JPH09110689A - 静脈細胞接着分子−1の産生阻害剤及びナピラジオマイシンsc - Google Patents

静脈細胞接着分子−1の産生阻害剤及びナピラジオマイシンsc

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JPH09110689A
JPH09110689A JP27302495A JP27302495A JPH09110689A JP H09110689 A JPH09110689 A JP H09110689A JP 27302495 A JP27302495 A JP 27302495A JP 27302495 A JP27302495 A JP 27302495A JP H09110689 A JPH09110689 A JP H09110689A
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napyradiomycin
methanol
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inhibiting
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JP27302495A
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Daisuke Kamimura
大輔 上村
Kaoru Yamada
薫 山田
Tomoko Tsuji
智子 辻
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Sagami Chemical Research Institute
Original Assignee
Sagami Chemical Research Institute
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ヒト静脈内皮細胞による細胞接着分子(VC
AM−1)の産生阻害剤を提供する。 【構成】 下記一般式(1) 【化1】 (式中、R1 は塩素原子又は水酸基を表し、R2 は水素
原子を表すか、あるいはR1 とR2 は一体となって単結
合を形成する。R3 とR4 は、各々異なってメチル基又
は水酸基を表すか、あるいは一体となってメチリデン基
を表す。R5 は塩素原子又は臭素原子を表す。)で表さ
れるナピラジオマイシン類を有効成分とするVCAM−
1産生阻害剤、及び式(2)で表されるナピラジオマイ
シンSC。 【効果】 上記ナピラジオマイシン類は細胞毒性を示さ
ない範囲で、VCAM−1の産生を阻害する。従って、
本発明の阻害剤は、癌転移抑制剤、抗炎症剤の他、気管
支喘息、動脈硬化、移植拒絶反応、慢性関節リュウマ
チ、サルコイドーシス等の治療薬としての用途を有す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は静脈内皮細胞の静脈
細胞接着分子−1(VCAM−1)産生を阻害する作用
を示す薬剤及び新規化合物に関するもので、癌転移抑制
剤、抗炎症剤の他、動脈硬化、移植拒絶反応、慢性関節
リュウマチ、サルコイドーシス等の治療薬としての利用
が期待される。
【0002】
【従来の技術】VCAM−1は静脈細胞接着分子(VC
AM)の1つで、1989年に新たに見出された分子量
9万の糖蛋白である(Osborn, L., et al, Cell 59, 12
03, 1989)。VCAM−1は血管内皮細胞をTNF(腫
瘍壊死因子)やIL−1(インターロイキン−1)等の
炎症性サイトカインで刺激することによって発現が誘導
され、血管内皮細胞とVCAM−1のリガンドであるV
LA−4を発現する細胞(リンパ球、マクロファージ、
好酸球、好塩基球、メラノーマ等)との接着に関与す
る。また最近、濾胞樹状細胞等での発現も確認されてい
る。
【0003】炎症反応においてはVCAM−1の他にP
−セレクチン、ELAM−1、ICAM−1等の接着分
子が関与するが、この内VCAM−1とICAM−1を
介する接着は特に強固で、実際の疾患においてはこれら
の働きが重要な役割を果たしているとされる。動脈硬
化、同種移植片拒絶症、メラノーマ等の癌転移、気管支
喘息、及び種々の急性、慢性炎症性疾患等、広い範囲の
病変局所の血管内皮細胞でVCAM−1の発現亢進が報
告されている。従って、この静脈内皮細胞のVCAM−
1産生を抑制する作用を持つ物質は、これらの疾患の治
療薬として有効であると考えられる。本発明者らは、そ
のような作用を示す物質を既にいくつか報告した(文部
省がん重点研究総括班、ワークショップ”癌化学療法の
分子標的”039, 1994 )が、より優れた物質の発見が望
まれている。
【0004】一方医療の場では、炎症性疾患は直接生命
に関わるものではないものの、様々な原因による症状に
悩む患者は数多く、より有効で副作用の少ない治療薬が
常に求められている。また癌の転移は癌による死亡の主
因であるにも関わらず、その予防法、治療法は未だに殆
ど確立されていないのが現状である。
【0005】ところで、カイニア(Chainia )属に属す
る微生物(例えば、カイニア ルブラ(Chainia rubra
)MG802−AF1(微工研菌寄第8022号))
の培養液から、下記式
【0006】
【化3】
【0007】で表される一連の物質が単離され、ナピラ
ジオマイシン類と命名されている(K.Shiomi, et al.,
J. Antibiotics, 494, 39, 1986; ibid., 1213, 40, 19
87 )。しかしながら、これらの物質は、抗菌作用、細
胞毒性、エストロゲン受容体アンタゴニスト作用が報告
されているのみで、VCAM−1産生阻害活性を有する
ことは知られていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、新
規なVCAM−1の産生阻害剤を提供することを目的と
する。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、海洋由来
微生物の培養液に含まれる成分を探索した結果、ストレ
プトミセス属に属する微生物培養液から分離されるナピ
ラジオマイシン類が静脈内皮細胞によるVCAM−1の
産生を阻害する作用を示すことを見出し、本発明を完成
した。
【0010】すなわち本発明は、下記構造式(1)
【0011】
【化4】
【0012】(式中、R1 は、塩素原子又は水酸基を表
し、R2 は水素原子を表すか、あるいはR1 とR2 は一
体となって単結合を形成する。R3 とR4 は、各々異な
ってメチル基又は水酸基を表すか、あるいは一体となっ
てメチリデン基を表す。R5 は塩素原子又は臭素原子を
表す。)で表されるナピラジオマイシン類を有効成分と
する静脈細胞接着分子−1(VCAM−1)産生阻害剤
を提供するものである。
【0013】さらに、下記構造式
【0014】
【化5】
【0015】で表されるナピラジオマイシンSCを提供
するものである。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明に係るナピラジオマイシン
類は、例えばストレプトミセス属又はカイニア属に属す
る微生物の培養液から分離することができる。
【0017】本発明において使用する微生物はストレプ
トミセス属又はカイニア属に属し、一般式(1)で表さ
れるナピラジオマイシン類を生産することができるもの
であればよく、このような微生物は自然界から新たに分
離することができる。
【0018】ストレプトミセス属に属する微生物の例と
して、ナピラジオマイシン類生産能力を持つ微生物とし
て本発明者らが新たに分離し、ストレプトミセス シア
ネウス(Streptomyces cyaneus)と同定したSCRC−
A64を挙げることができる。このストレプトミセス
シアネウスSCRC−A64は、工業技術院生命工学工
業技術研究所特許微生物寄託センターにFERM P−
15233として寄託されている(寄託日 平成7年1
0月11日)。
【0019】この菌株は表1に示す組成の培地を用いて
次のように分離した。
【0020】
【表1】 ────────────────────────────── a.培地 酵母エキス 0.4 % 麦芽エキス 1.0 % グルコース 0.4 % 寒天 2.0 % 75%人工海水、 pH7.3 SZ培地 グルコース 1.0 % バクトペプトン 0.5 % 酵母エキス 0.1 % 燐酸鉄(III) 0.01% 75%人工海水、 pH7.4 ──────────────────────────────
【0021】上記組成のa.培地の寒天平板に各地の海
洋より採取したサンプルを滅菌した生理食塩水で適度に
希釈した物を接種し、35℃で7から14日間培養し
た。この寒天培地上に出現したコロニーを同じ培地組成
の斜面培地に釣菌し、多数の菌株を分離した。
【0022】次にSZ培地を試験管に5mLづつ分注
し、同様に滅菌し、各々の菌株をこの液体培地で35℃
で7日間振とう培養した。
【0023】このようにして本発明のナピラジオマイシ
ン類を生産するストレプトミセスシアネウス SCRC
−A64を得た。
【0024】この菌株は次のような菌学的性質を有す
る。
【0025】1.a寒天培地上でのコロニーの形態 色 :褐色 光沢 :なし 形 :不規則、台状に盛り上がり、ひだ状を呈す
る 大きさ :直径7〜8mm(7日) 胞子形成 :なし(スターチ無機塩培地で12日間培養
すると螺旋状の胞子鎖を形成することがある)
【0026】2.生化学的性質 生育温度 :25〜37℃(+)、45℃(−) カタラーゼ:陽性 オキシダーゼ:陰性 グラム染色:陽性 OFテスト:陰性
【0027】3.化学分類学的性質 細胞壁ジアミノ酸 :LLジアミノピメリン酸 主要な脂肪酸の種類 :12−メチルテトラデカン酸、
14−メチルペンタデカン酸、14−メチルヘキサデカ
ン酸
【0028】以上の結果より、SCRC−A64は、ス
トレプトミセス属に属し、さらに詳細な種同定試験の結
果、本菌株はストレプトミセス シアネウスと同定され
た。
【0029】なお、本菌に変異を生じさせて一層生産性
の高い菌株を得ることもできる。また、本菌株の細胞中
に存在するナピラジオマイシン類の生産に関与する遺伝
子を切り出し、これを適切なベクター例えばプラスミド
に挿入し、このベクターを用いて適当な宿主、例えばエ
ッシェリッヒア・コリ(Escherichia coli)や酵母のご
とき異種宿主、またはストレプトミセス属菌のごとき同
種宿主を形質転換することにより、本発明のナピラジオ
マイシン類生産菌を人為的に創製することもできる。
【0030】本発明の菌株は、常法に従って保存するこ
とができ、例えば寒天スラント上で、または凍結乾燥法
により保存することができる。寒天スラント培地として
はストレプトミセス属菌の保存に常用されている培地、
例えば菌の分離に関して前記した培地を使用することが
できる。また凍結乾燥も常法に従って行うことができ
る。
【0031】前記微生物を培養して本発明のナピラジオ
マイシン類を製造しようとする場合、基礎栄養培地とし
て、この発明の微生物が増殖し得るものであればいずれ
を使用してもよい。この培地は、窒素源として例えば酵
母エキス、ペプトン、肉エキス等の1種類または複数種
類を含有する。またこの培地には必要に応じて炭素源と
して各種の糖類を加えることができる。この培地には塩
化ナトリウム、もしくは天然海水や人工海水を加えるこ
とが必要である。
【0032】培養は固体培地または液体培地のいずれを
用いても良いが、目的とする物質を多量に得るためには
液体培地を用い、静置培養もしくは振とう培養、通気・
攪はん培養等により好気的条件下で行うのが好ましい。
培養温度は菌が生育し、本発明のナピラジオマイシン類
が生産される温度範囲であればいずれの温度でも良く、
好ましくは25〜45℃であり、より好ましくは30〜
37℃である。pHは6〜9、好ましくは7〜8の範囲
である。培養時間は採取し得る量のナピラジオマイシン
類が生産される時間を選べば良く、好ましくは12時間
〜10日間である。本発明の前記一般式(1)で表され
るナピラジオマイシン類は、例えばストレプトミセス属
の微生物培養菌体または培養上清を有機溶媒で抽出し、
更にクロマトグラフィにより分離することにより、通常
の方法で得られる。
【0033】抽出に用いられる溶媒としてはメタノー
ル、エタノール、酢酸エチル、クロロホルム等が挙げら
れ、クロマトグラフィはカラム及び薄層クロマトグラフ
ィが用いられ、カラムクロマトグラフィとしてはシリカ
ゲルの他、セファデックスLH20、逆相系のRP−1
8が用いられ、薄層クロマトグラフィとしては、シリカ
ゲルの他、RP−18が用いられる。
【0034】本発明における前記一般式(1)に含まれ
る化合物としては具体的には、
【0035】
【化6】 で表されるナピラジオマイシン類が挙げられる。
【0036】本発明に係る上記化合物を有効成分とする
VCAM−1産生阻害剤は、経口投与、非経口投与(皮
下、静脈、筋肉、胸骨注射等)または直腸投与などによ
り供することができる。上記化合物の投与量は患者の症
状、年齢、投与方法等によっても異なるが、通常0.0
1から500mg/kg/日程度である。投与にあたっ
ては、上記化合物をそのまま用いることもできるが、通
常は製剤化して用いる。製剤化にあたっては、慣用の希
釈剤、担体、増量剤、添加剤等の薬理学的、製剤学的に
認容される製剤用成分を用い、この分野で通常行われて
いる方法を適用することができる。更に公知の技術によ
り持続性製剤とすることも可能である。製剤の形として
は錠剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、カプセル剤、シロップ
剤、エリキシル剤、注射剤、点眼剤、眼軟膏剤または座
薬等が用いられる。製剤に含まれる有効成分量は0.0
1から99.99%程度である。
【0037】上記製剤用成分としては、内服用製剤(経
口剤)、注射用製剤(注射剤)、粘膜投与剤(バッカ
ル、トローチ、坐剤等)、外用薬(軟膏、貼付剤等)な
どの投与経路に応じた適当な成分が使用される。例え
ば、経口剤及び粘膜投与剤にあっては、賦形剤(例:澱
分、乳糖、結晶セルロース、乳糖カルシウム、メタケイ
酸アルミン酸マグネシウム、無水ケイ酸)、崩壊剤
(例:カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチル
セルロースカルシウム)、滑沢剤(例:ステアリン酸マ
グネシウム、タルク)、コーティング剤(例:ヒドロキ
シエチルセルロース)、矯味剤などの製剤用成分が、ま
た注射剤にあっては、水性注射剤を構成し得る溶解剤な
いし溶解補助剤(例:注射用蒸留水、生理食塩水、プロ
ピレングリコール)、懸濁化剤(例:ポリソルベート8
0などの界面活性剤)、pH調整剤(例:有機酸または
その金属塩)、安定剤などの製剤用成分が、さらに外用
剤にあたっては、水性ないし油性の溶解剤ないし溶解補
助剤(例:アルコール、脂肪酸エステル類)、粘着剤
(カルボキシビニルポリマー、多糖類)、乳化剤(例:
界面活性剤)などの製剤用成分が使用される。
【0038】上記の製剤は、公知の製造法、例えば日本
薬局方第10版製剤総則記載の方法ないし適当な改良を
加えた方法によって製造することができる。
【0039】
【実施例】以下、本発明を実施例及び試験例により詳細
に説明する。
【0040】実施例 1.ストレプトミセス シアネウ
ス SCRC−A64の培養によるナピラジオマイシン
類の生産 ストレプトミセス シアネウス SCRC−A64を表
1のSZ培地で25℃、7日間好気的に培養した。培養
液(55L)を半容のメタノール−クロロホルム(1:
2)で1回、続いてクロロホルムで2回抽出し、合わせ
て濃縮し、暗褐色の粗抽出物2gを得た。
【0041】実施例 2.培養液中のナピラジオマイシ
ン類の分離精製 実施例1.で得た粗抽出物を80%メタノール−水とn
−ヘキサンで分配した。ヘキサン可溶画分(360m
g)を得た。内径1.5cmのガラスカラムにメタノー
ルに懸濁させたYMC ODS−AQを高さ16cmに
充填し、溶媒を70%メタノール−水に置換し、このヘ
キサン画分を少量の同ODS樹脂に吸着させてカラム上
に載せた。このカラムに70%メタノール−水70m
L、続いて80%メタノール−水50mL、90%メタ
ノール−水60mL及びメタノール100mLを順次流
し、メタノール溶出部の前半を集めて濃縮し、68mg
の濃縮物を得た。
【0042】内径12mmのガラスカラムにn−ヘキサ
ン−クロロホルム−メタノール(4:5:1)で膨潤さ
せたセファデックスLH−20を高さ28cmに充填し
た。前記濃縮物68mgを少量の同混合溶媒に溶かして
このカラムに乗せ、同溶媒で溶出し、20から30mL
目の溶出液を合わせて濃縮し、褐色油状物質32mgを
得た。
【0043】上記油状物質を0.8mLの80%メタノ
ール溶液とし、1回に100μLづつ高速液体クロマト
グラフィ(カラム:Shiseido Capcel
Pak C−8 7mm×150mm; 溶媒:80%
メタノール−水、流速0.6mL/min.;検出:U
V210nm)に注入して保持時間20分から27分ま
でを分取した。この部分を集めて濃縮し、得られた7.
2mgを再び高速液体クロマトグラフィ(同上、但し溶
媒は70%メタノール−水)に注入して保持時間60分
から67分までを分取濃縮して、4.1mgのナピラジ
オマイシンB1(1a)を褐色ガラス状物質として得
た。NMRスペクトル解析により同定した。
【0044】上記80%メタノール−水で溶出した高速
液体クロマトグラフィの保持時間10分から17分まで
を分取し、同様にして70%メタノール−水を用いる高
速液体クロマトグラフィで分離して保持時間25分から
29分までを分取した。これを濃縮して、0.6mgの
ナピラジオマイシンB2(1b)を得た。NMRスペク
トル解析により同定した。
【0045】内径2.8cmのガラスカラムにメタノー
ルに懸濁させたYMC ODS−AQを高さ23cmに
充填し、溶媒を70%メタノール−水に置換し、上記粗
抽出物の80%メタノール可溶画分(1.3g)を少量
の同ODS樹脂に吸着させてカラム上に載せた。このカ
ラムに70%メタノール−水、80%メタノール−水、
90%メタノール−水、及びメタノール各300mLを
順次流し、メタノール溶出部の前半を集めて濃縮し、1
72mgの濃縮物を得た。
【0046】内径12mmのガラスカラムにn−ヘキサ
ン−クロロホルム−メタノール(4:5:1)で膨潤さ
せたセファデックスLH−20を高さ28cmに充填し
た。前記濃縮物172mgを少量の同混合溶媒に溶かし
てこのカラムに乗せ、同溶媒で溶出し、20から30m
L目の溶出液を合わせて濃縮し、黄色油状物質25mg
を得た。これをメタノールから再結晶して、5mgのナ
ピラジオマイシンB4(1c)を淡黄色針状結晶として
得た。NMRスペクトル解析及びX線結晶解析により同
定した。
【0047】上記80%メタノール可溶画分のODSカ
ラムクロマトグラフィにおいて、90%メタノール溶出
部の前半を集めて濃縮し、82mgの濃縮物を得た。こ
れを約5mLのメタノールに溶かし、室温で静置するこ
とにより、21mgの新規ナピラジオマイシンSC(1
d)を黄色板状結晶として得た。
【0048】分子式:C25H32O7Cl2 1 H-NMR(CD3OD):δ0.40(3H,s,17-Me), 0.68(3H,s,17-M
e), 1.19(3H,s,13-Me), 1.27(3H,s,2-Me), 1.40(1H,dd,
J=16.4, 1.7Hz,H-11), 1.47(3H,s,2-Me), 1.56(1H,m,H-
14), 1.60(1H,dd,J=6.8, 1.7Hz,H-12), 1.76(1H,m,H-1
4), 1.8(1H,m,H-15),1.94(1H,m,H-15), 2.19(1H,dd,J=1
3.5, 11.2Hz,H-4), 2.22(1H,dd,J=13.5, 5.1Hz,H-4),
2.56(1H,dd,J=16.4, 6.9Hz,H-11), 3.69(1H,dd,J=12.0,
4.1Hz,H-16),4.46(1H,dd,J=11.2, 5.1Hz,H-3), 6.64(1
H,d,J=2.4Hz,H-7), 7.08(1H,,J=2.4Hz,H-9).
【0049】13C-NMR(CD3OD):δ14.5(17-Me), 20.3(2-M
e), 22.8(13-Me), 27.3(17-Me), 27.4(2-Me), 29.8(C-1
5), 33.1(C-11), 39.9(C-17), 40.5(C-14), 40.5(C-4),
48.6(C-12), 57.5(C-3), 70.2(C-13/16), 70.3(C-16/1
3), 78.6(C-2/4a), 79.7(C-4a/2), 83.6(C-10a), 107.0
(C-5a), 107.78(C-7/9), 107.83(C-9/7), 134.9(C-9a),
164.4(C-6/8), 166.2(C-8/6), 193.3(C-5/10), 199.0(C
-10/5).
【0050】EI-MS(m/Z):514(M+). [α]D 25:-62°(c 0.2, MeOH) M.P.:168.5-170.5℃
【0051】試験例 1.ヒトVCAM−1産生阻害試
験 正常ヒト臍帯静脈内皮細胞(CS−VE)を、ヒトリコ
ンビナント塩基性FGF10ng/mLを添加した10
%牛胎児血清含有CHL−MCBD131培地に加え、
1×104 個/mLに調製してコラーゲンI処理した9
6穴プレートに0.15mLづつ分注し、CO2 培養器
(CO2 5%、湿度100%、37℃)でコンフルエン
トに達するまで培養した。ヒトリコンビナントTNF−
αを25U/mL添加した10%牛胎児血清含有CHL
−MCBD131培地100μLに交換し、続いて試験
化合物を所定の濃度になるように添加した培地100μ
Lを加え、CO2 培養器(CO2 5%、湿度100%、
37℃)で18時間培養した。培地を除去後、0.3%
過酸化水素含有冷却メタノール100μLを加え、室温
で30分間静置して細胞を固定し、抗ヒトVCAM−1
抗体、ホースラディッシュパーオキシダーゼ標識マウス
IgG1抗体及び基質として3,3’,5,5’−テト
ラメチルベンジジンを用いる2抗体法でVCAM−1を
定量した。測定したVCAM−1量の対照群のそれに対
する百分率から50%産生阻害濃度(IC50)を求め
た。結果を表2に示す。
【0052】
【表2】
【0053】なお、上記化合物について、以下の方法に
より細胞毒性試験を行い、上記濃度において毒性が認め
られないことを確認した。即ち、試験例 1と同条件で
試料を添加して培養した96穴プレートに1.1mg/
mLのMTT水溶液を0.05mL分注しMTT法で生
存細胞を計測した。測定値の対照群に対する百分率から
50%増殖阻害濃度(IC50)を求めた。結果を表3に
示す。
【0054】
【表3】
【0055】
【発明の効果】本発明の静脈細胞接着分子−1産生阻害
剤の有効成分であるナピラジオマイシン類は細胞毒性を
示さない範囲で、ヒト静脈内皮細胞による細胞接着分子
(VCAM−1)の産生を阻害する。従って、本発明の
阻害剤は、癌転移抑制剤、抗炎症剤の他、気管支喘息、
動脈硬化、移植拒絶反応、慢性関節リュウマチ、サルコ
イドーシス等の治療薬としての用途を有する。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 31/35 ADU A61K 31/35 ADU C07D 311/92 101 C07D 311/92 101 // C12P 17/06 C12P 17/06 (C12P 17/06 C12R 1:01)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1) 【化1】 (式中、R1 は、塩素原子又は水酸基を表し、R2 は水
    素原子を表すか、あるいはR1 とR2 は一体となって単
    結合を形成する。R3 とR4 は、各々異なってメチル基
    又は水酸基を表すか、あるいは一体となってメチリデン
    基を表す。R5 は塩素原子又は臭素原子を表す。)で表
    されるナピラジオマイシン類を有効成分とする静脈細胞
    接着分子−1産生阻害剤。
  2. 【請求項2】 下記構造式 【化2】 で表されるナピラジオマイシンSC。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN103421706B (zh) * 2013-05-15 2016-03-30 中国科学院南海海洋研究所 链霉菌、化合物及其制备方法和在制备抗菌抗肿瘤药物中的应用

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