JPH09109256A - ストレッチラベル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 装着性が良好で、しわ等が生じにくいストレ
ッチラベルを提供することを課題とする。 【解決手段】 自己伸縮性を有するストレッチフィルム
1 が筒状に形成され、容器3 に外嵌装着されるストレッ
チラベルにおいて、前記ストレッチフィルム1 が、密度
が０．９２５乃至０．９３４ｇ／ｃｍ³ のポリエチレン
を主成分とし、且つ容器3 への装着時の縦方向A の屈折
率が１．５２０乃至１．５３５、周方向Bの屈折率が
１．５１５乃至１．５３０であることを解決手段とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、瓶、缶、
ＰＥＴボトル等の容器に装着されるストレッチラベルに
関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、ストレッチラベルとしては、例え
ばポリエチレン樹脂からなる自己伸縮性を有するストレ
ッチフィルムを筒状に形成したものが知られており、こ
のようなストレッチラベルは、その径を拡張し、ＰＥＴ
ボトル等の容器の上方から外嵌されると、自己伸縮性に
よって拡張された径が収縮して容器の胴部等に密着状態
で装着させることができる。

【０００３】このようなストレッチフィルムとして使用
されるポリエチレン樹脂は通常、密度が約０．９０乃至
０．９２ｇ／ｃｍ³ 程度の比較的密度が低いポリエチレ
ン樹脂が使用されており、このようなポリエチレン樹脂
は伸張させた後に収縮する、ストレッチ回復性に優れて
いるため、ストレッチフィルムの材質として適してい
る。

【発明が解決しようとする課題】

【０００４】しかし、このような密度のポリエチレン樹
脂からなるストレッチフィルムは腰が弱いため、ストレ
ッチラベルとして形成してＰＥＴボトル等の容器に装着
する場合に取扱いが容易ではなく、装着作業も行いにく
かった。さらに、装着した後にもラベル表面にたるみや
しわが生じやすいという欠点があった。

【０００５】また、このようなストレッチラベルが装着
された容器内に飲食品や薬品等が充填された場合には、
飲食品や薬品等が容器内に充填された後、容器の外面か
ら通常７０°Ｃ乃至９０°Ｃの温水シャワーをかける、
いわゆる低温加熱殺菌処理をする場合があるが、従来の
ストレッチフィルムは腰が弱いため、この低温加熱殺菌
処理時の温水シャワーによって、伸長や膨張して表面に
たるみやしわ等が生じやすく、外観が低下するという問
題が生じていた。

【０００６】本発明は、このような問題点を解決するた
めになされたもので、装着性が良好で、しわ等が生じに
くいストレッチラベルを提供することを課題とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

（構成）本発明が、このような課題を解決するためにな
された手段としては、自己伸縮性を有するストレッチフ
ィルム1 が筒状に形成され、容器3 に外嵌装着されるス
トレッチラベルにおいて、前記ストレッチフィルム1
が、密度が０．９２５乃至０．９３４ｇ／ｃｍ³ のポリ
エチレンを主成分とし、且つ容器3 への装着時の縦方向
A の屈折率が１．５２０乃至１．５３５、周方向B の屈
折率が１．５１５乃至１．５３０であることにある。こ
こで、密度が０．９２５乃至０．９３４ｇ／ｃｍ³ のポ
リエチレンを主成分とするとあるのは、このような密度
のポリエチレンが５０重量％以上１００重量％以下の範
囲で含まれていることを示す。

【０００８】（作用）すなわち、本発明のストレッチフ
ィルムは、密度が０．９２５乃至０．９３４ｇ／ｃｍ³
のポリエチレンを主成分としているため、腰が強いスト
レッチフィルムを形成でき、容器に装着する際の装着性
が良好である。

【０００９】また、容器３への装着時の縦方向Ａの屈折
率が１．５２０〜１．５３５になるようにストレッチフ
ィルム１が形成されているため、低温加熱殺菌処理を行
った場合にもストレッチラベルの表面にしわやたるみ等
が生じにくくなる。

【００１０】さらに、容器３への装着時の周方向Ｂの屈
折率が１．５１５〜１．５３０になるようにストレッチ
フィルム１が形成されたため低温加熱殺菌処理時に容器
からラベルがずり落ちにくくなる。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面に従って説明する。

【００１２】図１において、１は自己伸縮性を有するス
トレッチフィルムで、２は該ストレッチフィルム１の両
端部を重合して接着することによって筒状に形成された
ストレッチラベルである。

【００１３】ストレッチフィルム１は、密度が０．９２
５乃至０．９３４ｇ／ｃｍ³ のポリエチレン樹脂に、エ
チレン−酢酸ビニル共重合体を１０乃至５０重量％混合
したポリマーを製膜して、長手方向及び幅方向にある程
度の延伸処理を施して、所定の屈折率になるように形成
したものである。密度の測定はＪＩＳ Ｋ７１１２に準
じた方法で、また屈折率の測定はアッベの屈折計を用い
てＪＩＳ Ｋ７１０５に準じた方法で測定した。

【００１４】このポリエチレン樹脂の密度が上記範囲よ
りも低い場合には、フィルムの腰が弱くなり容器への装
着性が悪くなり、一方この範囲よりも高い場合には、装
着する際にストレッチラベルを拡径した後に収縮して元
に戻ろうとする回復性（ストレッチ後回復性）が悪くな
る。

【００１５】該ストレッチフィルム１は、フィルムの長
手方向が容器に装着時の縦方向Ａと、幅方向が容器の周
方向Ｂと一致するように形成されており、縦方向Ａでの
屈折率が１．５２０乃至１．５３５、好ましくは１．５
２０乃至１．５３０の範囲になるように形成されてい
る。また、周方向Ｂの屈折率が１．５１５乃至１．５３
０好ましくは１．５２０乃至１．５３０の範囲になるよ
うに形成されている。

【００１６】このストレッチフィルム１の縦方向Ａでの
屈折率が上記範囲より低い場合には、低温加熱殺菌処理
時にたるみが生じるおそれがあり、またこの範囲より高
い場合には逆にひきつりが生じるおそれがある。

【００１７】さらに、周方向Ｂでの屈折率が上記範囲よ
りも低い場合には、低温加熱殺菌処理時にストレッチラ
ベル１が容器からずり落ち易くなり、この範囲よりも高
い場合にはストレッチ後の回復性が悪くなるという欠点
が生じる。

【００１８】また、該ストレッチフィルム１の内面側に
はコロナ放電処理等の表面処理が施され、さらに該表面
処理面上に任意のデザインや着色がグラビア印刷によっ
て施されている。

【００１９】次に、このようなストレッチラベル２を製
造する場合について説明する。まずストレッチフィルム
用のポリマーとして、例えば密度０．９３４ｇ／ｃｍ ³
の高圧法ポリエチレン樹脂を９０部、酢酸ビニル成分含
有量１０重量％のエチレン−酢酸ビニル共重合体を１０
部混合したものを、溶融押出によって製膜する。

【００２０】次に、約９０°Ｃの温度でフィルムの長手
方向に約１．５倍、幅方向に１．３倍延伸処理してフィ
ルムを形成し、その後９５°Ｃで５秒間、緊張熱固定
し、さらに、片面側にコロナ放電処理を施してストレッ
チフィルムを得た。このようにして得られたフィルム
は、密度が０．９３０ｇ／ｃｍ³ 、長手方向の屈折率が
１．５２３、幅方向の屈折率が１．５２１の性質を有す
るストレッチフィルムである。

【００２１】さらに、上記により得られたストレッチフ
ィルムのコロナ放電処理面上に任意のデザイン等を印刷
によって施す。

【００２２】このようにして形成されたストレッチフィ
ルム１を、所定の大きさに切断し、該ストレッチフィル
ム１の幅方向が、周方向Ｂと一致し、且つ前記印刷され
た面が内面側になるように筒状に折り曲げ、重合された
両端部を接着剤や熱融着によって接着してストレッチラ
ベルを形成する。

【００２３】次に、使用例について説明する。上記のよ
うにして製造されたストレッチラベル２は、径を拡張し
ながら上方からＰＥＴボトル等の容器３の胴部に外嵌装
着される。

【００２４】この時、本発明のストレッチラベル２は、
上記範囲の密度を有するポリエチレン樹脂製のストレッ
チフィルム１を有するため、一般的なストレッチラベル
に比して腰が強く装着性が良好で、装着し易い。

【００２５】また、このようなストレッチラベル２が装
着された容器３は、例えば果汁入りの炭酸飲料が充填さ
れた後、容器３内の飲料を殺菌するために、低温加熱殺
菌処理される。

【００２６】この低温加熱殺菌処理方法は容器３の外面
から温度約７０乃至９０°Ｃの温水シャワーが２０乃至
４０分間程度かけられ、内部の飲料を加熱殺菌する方法
である。

【００２７】この時、本発明のストレッチラベル２は、
容器３の縦方向Ａの屈折率が上記範囲に形成されている
ため、温水シャワーを掛けられてもしわやひきつれが生
じることがなく、従って低温加熱殺菌処理後にも外観が
低下することがない。

【００２８】また、周方向Ｂの屈折率が上記範囲に形成
されているため、温水シャワーによってラベルが容器３
からずり落ちることがない。

【００２９】尚、上記実施の形態では、ストレッチフィ
ルム用のポリマーとして、ポリエチレン樹脂に酢酸ビニ
ル成分含有量１０重量％のエチレン−酢酸ビニル共重合
体を１０部混合したものを使用したが、このような酢酸
ビニル成分含有量のエチレン−酢酸ビニル共重合体を混
合することは必須条件ではなく、また、エチレン−酢酸
ビニル共重合体を混合することも必須の条件ではなく、
さらに他の添加剤、例えば滑剤、ブロッキング防止剤、
安定剤、帯電防止剤、着色剤等を加えることも必要に応
じて適宜可能である。

【００３０】また、上記実施の形態ではストレッチラベ
ルが装着される容器３としてＰＥＴボトルを使用した
が、本発明のストレッチラベル１を装着する容器はこれ
に限らず、この他、金属缶、ガラス瓶等どのような容器
でも使用することができる。また、容器内の収納物も食
品、薬品等に限定されずにその種類は問わない。

【００３１】さらに、上記実施の形態ではストレッチフ
ィルム１の内面側にコロナ放電処理を施し、さらに印刷
によってデザイン等を設けたが、このような表面処理や
印刷を施すことは条件ではない。

【００３２】

【実施例】上記のような実施の形態において示した本発
明のストレッチラベルを２種類のポリマーから形成し、
さらに従来のストレッチラベルと比較した実施例と比較
例について以下に具体的に述べる。

【００３３】まず、本発明のストレッチフィルム用とし
て以下の２種類のポリマー（イ、ロ）を用意した。 イ：密度０．９３４ｇ／ｃｍ³ の高圧法ポリエチレン樹
脂を９０部、酢酸ビニル成分含有量１０重量％のエチレ
ン−酢酸ビニル共重合体を１０部混合したもの。 ロ：密度０．９３０ｇ／ｃｍ³ の高圧法ポリエチレン樹
脂を８０部、酢酸ビニル成分含 有量６重量％のエチレ
ン−酢酸ビニル共重合体を２０部混合したもの。

【００３４】さらに、比較用のストレッチフィルム用と
して以下の３種類のポリマー（ハ、ニ、ホ）を用意し
た。 ハ：密度０．９０５ｇ／ｃｍ³ のポリエチレン樹脂を８
０部、酢酸ビニル成分含有量６重量％のエチレン−酢酸
ビニル共重合体を２０部混合したもの。 ニ：密度０．９３６ｇ／ｃｍ³ のポリエチレン樹脂を９
５部、酢酸ビニル成分含有量６重量％のエチレン−酢酸
ビニル共重合体を５部混合したもの。 ホ：密度０．９３４ｇ／ｃｍ³ のポリエチレン樹脂を８
５部、酢酸ビニル成分含有量６重量％のエチレン−酢酸
ビニル共重合体を１５部混合したもの。

【００３５】このような５種類のポリマーから種々の密
度、屈折率を有するストレッチフィルムを６種類（表１
に示す実施例１〜実施例２、及び比較例１〜比較例４の
フィルム）形成し、さらにこれらのフィルムをストレッ
チラベルとして使用した時の評価を表１に示す。評価
は、装着性、ストレッチ回復性、低温加熱殺菌処理後の
状態について判断し、◎は非常に良好、○は良好、△は
やや劣る、×は劣るの４段階で示した。

【００３６】

【表１】

【００３７】表１に示すように、本発明のストレッチラ
ベル（実施例１及び２）は、装着性、ストレッチ回復
性、低温加熱殺菌処理後の状態のすべてにおいて比較例
のフィルム（比較例３乃至６）よりも良好な評価が得ら
れた。

【００３８】

【発明の効果】叙上のように、本発明のストレッチラベ
ルは、従来のストレッチラベルに比して腰が強いため、
容器への装着性が良好で、装着時にしわが生じたりする
ことがなく、さらには低温加熱殺菌処理を施した場合に
もしわやたるみが生じにくい。その結果、しわ等がな
く、外観が非常に優れたストレッチラベルが得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のストレッチラベルが容器に装着された
使用状態を示す斜視図。

【符号の説明】

１ ストレッチフィルム ２ ストレッチラベル ３ 容器

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｂ２９Ｋ 23:00 105:02 Ｂ２９Ｌ 23:00

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 自己伸縮性を有するストレッチフィルム
   (1) が筒状に形成され、容器(3) に外嵌装着されるスト
   レッチラベルにおいて、前記ストレッチフィルム(1)
   が、密度が０．９２５乃至０．９３４ｇ／ｃｍ³ のポリ
   エチレンを主成分とし、且つ容器(3) への装着時の縦方
   向(A) の屈折率が１．５２０乃至１．５３５、周方向
   (B) の屈折率が１．５１５乃至１．５３０であることを
   特徴とするストレッチラベル。
2. 【請求項２】 前記ストレッチフィルム(1) のポリエチ
   レンに、酢酸ビニル含有量が２乃至１５重量％のエチレ
   ン−酢酸ビニル共重合体を１０乃至５０重量％混合され
   た請求項１に記載のストレッチラベル。