JPH09104624A - α−グルコシダーゼ阻害剤、それを含む糖を主体とする組成物、甘味料、食品及び飼料 - Google Patents

α−グルコシダーゼ阻害剤、それを含む糖を主体とする組成物、甘味料、食品及び飼料

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JPH09104624A
JPH09104624A JP7287820A JP28782095A JPH09104624A JP H09104624 A JPH09104624 A JP H09104624A JP 7287820 A JP7287820 A JP 7287820A JP 28782095 A JP28782095 A JP 28782095A JP H09104624 A JPH09104624 A JP H09104624A
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sugar
food
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glucosidase inhibitor
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JP7287820A
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English (en)
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正幸 ▲塚▼田
Masayuki Tsukada
Hiroyuki Takeda
博幸 竹田
Tokuo Maeda
▲徳▼雄 前田
Yasunori Fukumori
保則 福森
Tokuo Shiomi
▲徳▼夫 塩見
Shuichi Onodera
秀一 小野寺
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HOKUREN
HOKUREN FEDERATION OF AGRICULT COOP
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HOKUREN
HOKUREN FEDERATION OF AGRICULT COOP
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 小腸の微絨毛に局在するα−グルコシダーゼ
を緩慢に阻害するα−グルコシダーゼ阻害剤と、その阻
害剤を含む糖を主体とする組成物、食品、甘味料、飼料
を提供する。この阻害剤はデンプン、デンプン由来のオ
リゴ糖類及びシュークロースの消化を遅延させ、その結
果、血糖値の急激な上昇を抑え、インスリン分泌を低く
抑える作用を有するので、糖尿病予防に有用である。 【解決手段】 本発明のα−グルコシダーゼ阻害剤はヒ
ドロキシプロリンを有効成分とする。このα−グルコシ
ダーゼ阻害剤は、小腸の消化酵素であるα−グルコシダ
ーゼの作用を緩慢に阻害し、急激な血糖値の上昇を抑制
し、インスリンの分泌を低く抑える効果がある。このα
−グルコシダーゼ阻害剤は、消化性糖と組合わせること
により、食品、甘味料、飼料として利用される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、α−グルコシダー
ゼの働きを緩慢に阻害し、デンプン、デンプン由来のオ
リゴ糖類及びシュークロースの消化を遅延させ、その結
果、血糖値の急激な上昇を抑え、インスリン分泌を低く
抑える作用を有するα−グルコシダーゼ阻害剤、それを
含む糖を主体とする組成物、甘味料、食品及び飼料に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、食物繊維の多い炭水化物を増やし
た食事を摂取すると、腸からの栄養素の吸収が穏やかに
なり、食後の血糖値の上昇を抑制し、インスリン分泌を
低く抑えることができ、糖尿病の予防になることが報告
されている〔Dr.Denis Burkitt著「Don't forget fibre
in your diet (日本語訳;昭和58年5月25日中央
公論社発行の“食物繊維で現代病は予防できる”125
−137頁)」、昭和57年5月15日第一出版株式会
社発行の著書「食物繊維」271−286頁参照〕。し
かしながら、前記食物繊維は広範な食品に自由に添加混
合できる糖とは異なり、種々の食品に対する利用に制約
があった。例えば、食物繊維自体は甘味がなく、コーヒ
ーやジュース等の飲料やケーキやお菓子類に用いる甘味
料又は甘味素材として用いることはできない。
【0003】また近年、α−グルコシダーゼ阻害剤を投
与すると、α−グルコシダーゼ阻害剤が小腸の微絨毛に
局在するα−グルコシダーゼの作用を阻害し、食後の血
糖値の急上昇及びそれに続くインスリン値の急上昇を抑
制することが知られている(例えば、特開昭52−12
2342号公報、DIABETIC MEDICINE, 1993;10:688-69
3,134-138, Am,J.Clin.Nutr.1992;55:318S-9S 、特開昭
57−200335号公報、A m,J.Clin.Nutr.1992;55:
314S-7S 、 特開昭57−59813号公報参照)。この
ようなα−グルコシダーゼ阻害剤のうち、アカルボース
はインスリン非依存型糖尿病(略語:NIDDM)用の
経口糖尿病治療薬として用いられている。しかしなが
ら、これらの物質は本来生体に対して異物であって、安
全性については懸念が残されており、使用量について厳
しい規定が定められている。
【0004】また、難消化性或いは低消化性のオリゴ糖
として、フラクトオリゴ糖やガラクトオリゴ糖等、或い
はデンプン加水分解物や他のオリゴ糖の糖アルコール類
(例えば、マルチトールやマルトオリゴ糖の糖アルコー
ル類、イソマルトースとそのオリゴ糖の糖アルコール
類、還元パラチノースやラクチトール)は、それ自体が
難消化性、低消化性のため血糖値の上昇が少ない甘味料
として従来使用されている。しかし、これら血糖値の上
昇が少ない甘味料として使用されていた難消化性或いは
低消化性のオリゴ糖は、摂取量を誤ると下痢を誘発しや
すい等の欠点があった。
【0005】また、糖質の吸収抑制作用を有するインド
産ギムネマシルベスタを原料とする血糖値上昇抑制を目
的とする飲食物が、特開昭61−5023号公報、特開
昭63−208532号公報に提案されている。
【0006】これらギムネマシルベスタやギムネマイノ
ドラムの抽出物の作用は、糖類の吸収作用を抑制するこ
とによるものであり、摂取量を誤ると副作用として血糖
値が下がりすぎたり、吸収されない糖質が大腸に達し、
下痢等の障害をおこす恐れがあった。
【0007】特開平6−65080号公報には天然に存
在するL−アラビノースを中心とした糖類が安全なα−
グルコシダーゼ阻害剤として使用できるとされている。
しかし、アラビノース等は5炭糖であることから、加熱
することによる褐変が避けられず、炭水化物に添加して
の利用に際して大きな制約を受けることになる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記したように従来の
α−グルコシダーゼ阻害剤は種々の問題点があるため、
通常摂取する食物中に含まれる物質であって、加工特性
に優れ、消化管から吸収され、体内で有効に使用するこ
との可能な、つまり生体にとって安全性が高く有益なα
−グルコシダーゼ阻害剤の出現が望まれていた。
【0009】そこで本発明は、小腸の微絨毛に局在する
α−グルコシダーゼを阻害する物質を検索し、食品素材
・甘味料・飼料に用いることができ、糖尿病の予防が可
能で、またそれらの患者用に適したα−グルコシダーゼ
阻害剤、そのα−グルコシダーゼ阻害剤を含む糖を主体
とした組成物、食品素材、甘味料、飼料を提供すること
を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、食品の三
大要素の一つとして知られているタンパク質に注目し、
その構成物質のアミノ酸にα−グルコシダーゼ阻害作用
があるかどうかについて検討した。その結果、ある特定
アミノ酸のみがα−グルコシダーゼに対して緩慢な阻害
作用を有することを発見し、さらに、このような阻害作
用を有するアミノ酸と食用の炭水化物、糖類を併用した
際における、摂取直後の急激な血糖値上昇の抑制、イン
スリン分泌を低く抑える作用があることを見出した。こ
のような知見を基礎にして次のような発明を完成した。
【0011】即ち、本発明のα−グルコシダーゼ阻害剤
は、ヒドロキシプロリンを有効成分とするα−グルコシ
ダーゼに対する緩慢な阻害作用を有するα−グルコシダ
ーゼ阻害剤であることを特徴とする。
【0012】本発明において「緩慢な阻害作用」とは、
そのα−グルコシダーゼ阻害剤が炭水化物とともに摂取
される場合に、摂取される全炭水化物量(全糖質量)に
対して0.5〜30重量%のα−グルコシダーゼ阻害剤
が配合される量の範囲において、小腸の消化酵素α−グ
ルコシダーゼの働きを適度に阻害する作用を言う。本発
明のα−グルコシダーゼ阻害剤の使用適量は、従来のα
−グルコシダーゼ阻害剤の投与量と比較して多量である
ことから本発明のα−グルコシダーゼ阻害剤は「緩慢な
阻害作用」と言える。
【0013】本明細書で「ヒドロキシプロリン」とは、
4−ヒドロキシ−L−プロリンを意味し、その立体異性
体であるシス−4−ヒドロキシ−L−プロリン(別名:
アロヒドロキシプロリン)を意味しない。ヒドロキシプ
ロリンは、生体内で酵素によりL−プロリンから生成さ
れる非必須アミノ酸である。
【0014】また、ヒドロキシプロリンはゼラチン、カ
ゼイン、グロビンなどのたんぱく質を構成する重要なア
ミノ酸の一つであり、平成7年8月10日食品添加物と
して公示されている。
【0015】本発明の糖の緩慢な消化作用を有し、且つ
インスリン分泌を低く抑える作用を有する糖を主体とす
る組成物は、上記したα−グルコシダーゼ阻害剤とシュ
ークロース、デンプン及びデンプン由来のオリゴ糖から
選ばれた1種又は2種以上の消化性糖類とから構成され
ている。この糖を主体とする組成物において、前記本発
明のα−グルコシダーゼ阻害剤は、糖を主体とする組成
中に0.5〜30重量%含まれるように配合されてい
る。糖を主体とする組成物中において、前記本発明のα
−グルコシダーゼ阻害剤が0.5重量%以下であると、
α−グルコシダーゼに対する阻害作用が充分でなく、急
激な血糖値の上昇を抑制する効果や、インスリン分泌を
低く抑える効果がない。また本発明の糖を主体とする組
成物中において、前記本発明のα−グルコシダーゼ阻害
剤が30重量%以上であるとアミノ酸特有の味が優勢と
なり過ぎることがある。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明のα−グルコシダーゼ阻害
剤とシュークロース、デンプン、及びデンプン由来のオ
リゴ糖から選ばれた1種または2種以上の消化性糖から
構成される糖と組み合わせてなる、前記糖を主体とした
組成物は、甘味料として使用することができ、このよう
な甘味料は、人体又は動物に摂取されたとき、糖の緩慢
な消化作用を有し、かつインスリン分泌を低く抑える作
用を有する。
【0017】本発明のα−グルコシダーゼ阻害剤は、炭
水化物が主体となった食品に直接添加されて使用される
場合には、その食品が人体又は動物に摂取されるとき、
その食品に含まれる糖の緩慢な消化作用が行なわれ、且
つインスリンの分泌を低く抑える作用が発揮される。こ
のような炭水化物が主体となった食品の例は、パスタ
類、麺類、パン類、クッキー類、ケーキ類、チョコレー
ト、キャンディー、チューインガム、各種菓子類、ジュ
ース・コーラ等の各種清涼飲料等の各種食品が挙げられ
る。
【0018】本発明のα−グルコシダーゼ阻害剤が、炭
水化物の含有量が元来少ないか或いは殆ど含まないよう
な食品に対して使用される場合、例えば、コーヒー、紅
茶、或いは各種茶等に対して、シュークロース、デンプ
ン、及びデンプン由来のオリゴ糖から選ばれた1種又は
2種以上の消化性糖から構成される糖とα−グルコシダ
ーゼ阻害剤が組み合わされた糖を主体とする組成物又は
甘味料の形態で使用することができる。
【0019】本発明のα−グルコシダーゼ阻害剤が添加
される食品は、健康食品、糖尿病患者用食品とすること
ができる。また、本発明のα−グルコシダーゼ阻害剤は
飼料にも添加することができ、家畜、ペット等の糖尿病
予防等に用いることができる。
【0020】
【実施例】
〔実施例1〕本実施例1はヒドロキシプロリンが豚小腸
のα−グルコシダーゼを阻害する実施例である。
【0021】基質として20mMのシュークロース(S
uc)、2%可溶性デンプン(S−Starch)溶液
を用意した。これらをそれぞれ0.5mlずつ試験管に
とり、これに0.1Mリン酸カリウム緩衝液(pH7.
0)で希釈した100mMのヒドロキシプロリン溶液を
0〜0.4ml加え、さらに0.1Mリン酸カリウム緩
衝液(pH7.0)を0.4〜0ml加えた。すなわ
ち、ヒドロキシプロリン溶液と緩衝溶液の合計量が0.
4mlになるように緩衝溶液を加えた。これに豚小腸の
粗酵素液(2倍希釈)を0.1ml加え、37℃、30
分間反応させた後、2M−Tris塩酸緩衝液(pH
7.0)2mlを加えて反応を停止した。酵素反応で生
じたグルコースの量をグルコースオキシダーゼを用いた
酵素法で定量した。
【0022】なお、上記酵素阻害反応に用いた酵素液は
次のようにして調製した酵素液を用いた。すなわち、屠
殺直後の豚の小腸の内壁の粘膜を採取し、これに5mM
EDTAを含む0.1Mリン酸カリウム緩衝液(pH
7.0)の中でホモジナイズし、遠心分離で沈澱物を回
収した。この沈澱物を少量の同緩衝液に懸濁し、これに
1%のTriton X−100を含む同緩衝液を5倍
量加え、0℃、60分間攪拌し酵素を抽出し、遠心分離
で沈澱物を除去後、0.01Mリン酸カリウム緩衝液
(pH7.0)中で透析を行い粗酵素液を得た。
【0023】その結果を下記の表1に示す。
【0024】
【表1】
【0025】表1における酵素活性は基質のみと酵素に
よる反応を100%として表示した。表1によれば、シ
ュークロース(Suc)及び可溶性デンプン(S−St
arch)を基質としたとき、ヒドロキシプロリンの濃
度を増加させるに従い(最大濃度40mMo1/1)、
酵素活性は低下する結果となった。すなわち、ヒドロキ
シプロリンは消化酵素α−グルコシダーゼ(マルターゼ
やスクラーゼ等)の反応を阻害することがわかる。
【0026】〔比較例1〕比較例1は、各種アミノ酸
の、豚小腸の消化酵素α−グルコシダーゼに対する作用
を調べたものである。
【0027】基質(シュークロース)及びα−グルコシ
ダーゼは前記実施例1と同じものを用い、各種アミノ酸
が豚小腸の消化酵素に対して阻害作用があるかどうかを
前記実施例1と同様の方法で実験し調べた。その結果を
下記の表2(非必須アミノ酸)、表3(必須アミノ酸)
に示す。なお、各種アミノ酸の無添加の時の酵素活性を
100%とし、これに対する比活性(%)値を各種アミ
ノ酸の添加濃度毎に示した。
【0028】
【表2】
【0029】
【表3】
【0030】表2、表3によれば、必須アミノ酸か否か
に関係なく、アミノ酸の添加量が増えても比活性が10
0%前後で推移しており、これらアミノ酸にはα−グル
コシダーゼ阻害効果は認められないことがわかる。
【0031】〔実施例2〕本実施例2は、糖質負荷後の
血糖値上昇抑制作用とインスリン分泌抑制作用を調べた
実施例である。
【0032】体重150gのSugague-dawley系雄ラット
を下記の表4に示す成分組成の基本食で7〜8日間予備
飼育した。飼育は、1匹ずつアパートメント形式のゲー
ジで、飼料及び飲料水は自由摂取させた。飼育室内温度
は22±1℃、飼育期間中の明期を7:00〜19:0
0、暗期を19:00〜7:00までの12時間毎の明
暗2サイクルとした。
【0033】
【表4】
【0034】実施前に体重測定をし、体重に極端な差の
ある個体を排除し、1群6〜7匹の群分けをした。実施
前一晩絶食させた。
【0035】各群のラットに下記A、B、Cの糖液組成
(シュークロース及び/又は阻害剤、或いは対照として
生理的食塩水)を胃ゾンデを用い経口投与し、0分・1
5分・30分・60分・120分・180分後に動脈血
を採取し、血糖濃度(血清グルコース量)と血清インス
リン濃度を酵素法により測定した。
【0036】糖液組成: A:20%シュークロース(対照) B:20%シュークロース+1%ヒドロキシプロリン C:生理食塩水 投与量は、ラットの体重100gあたり糖質が250m
gとなる割合で投与し、生理食塩水は2mlを投与し
た。投与後の血糖値の経時変化を下記の表5、血清イン
スリン量の経時変化を下記の表6に示す。
【0037】
【表5】
【0038】
【表6】
【0039】表5及び表6より明らかなように、対照区
の血糖値及び血清インスリン値は投与後15分後に最大
値をとり、その後徐々に低下する。これは今までに報告
されている種々の文献報告と一致している。表5の対照
区(20%シュークロース)において15分後は、糖質
(シュークロース)が小腸内で消化酵素α−グルコシダ
ーゼにより最終的にグルコースまで分解され、かつ強制
的にグルコースが血管内に取り込まれ急速な血糖値の上
昇を招いたことを示している。また、表6によれば、こ
の時の対照区は急速な血糖値の上昇にしたがい、インス
リンの分泌が強く促されたことを示している。そのイン
スリンの働きにより投与15分後以降は徐々に血糖値が
低くなり、やがて平常値となっていることが分かる(表
5)。
【0040】一方、ヒドロキシプロリンを混合したシュ
ークロース溶液では、シュークロースのみの対照区と比
較して15分後の最大血糖値が明らかに低く、15分後
の血糖値は有意水準5%で統計的に有意な差が認められ
た。
【0041】また、表6で示すようにヒドロキシプロリ
ンを混合したシュークロース溶液での血清インスリン濃
度は急激な上昇がおきず、15分後のインスリン値を対
照区(20%シュークロース)と比較すると低い値をと
り、有意水準1%で統計的に有意な差が認められた。
【0042】〔実施例3〕本実施例3は糖質としてデン
プンを使用してα−グルコシダーゼ阻害剤としてヒドロ
キシプロリンを混合したときの、糖質負荷後の血糖値上
昇抑制作用とインスリン分泌抑制作用を調べた実施例で
ある。
【0043】前記実施例2においてシュークロースに換
えて、デンプンを用いた以外は、前記実施例2と全く同
様にして行った。本実施例3における糖質負荷後の15
分後の血糖値とインスリン濃度を下記の表7に示す。
【0044】
【表7】
【0045】表7で明らかなようにヒドロキシプロリン
は、デンプンと混合して経口投与したとき、対照区(1
5%デンプン)と比較すると15分後の血糖値上昇及び
インスリン分泌量ともに阻害することがわかる。
【0046】〔実施例4〕本発明のα−グルコシダーゼ阻害剤を飲料に使用した場
合の実施例 これまでの実施例で示した、α−グルコシダーゼ阻害効
果の認められる量的範囲でシュークロースに対し、ヒド
ロキシプロリンを各1%及び5%混合した甘味料を作っ
た。
【0047】シュークロースのみを10%溶解したサン
プルを対照とし、上記甘味料を同量溶解したサンプルを
試験区とした。
【0048】それぞれのコーヒー溶液を熟練された10
名のパネラーに飲ませ、その味質の官能テストを行っ
た。その結果、10名の内2名が、5%添加コーヒーの
方に軽い苦みと渋みを感じ、2名が甘味の悪さを感じ
た。10名の内1名が、1%添加に軽い苦みを感じ、1
0名の内3名が5%ヒドロキシプロリンに好ましい渋み
を感じ、他はサンプル間に差がないと答えた。この結果
から、本発明のα−グルコシダーゼ阻害剤は飲料に利用
できることがわかる。
【0049】〔実施例5〕本発明の甘味料を甘味素材として用い食品を製造した実
施例 前記実施例5と同じ甘味料を用い、バターロールを製造
し官能試験を実施した。対照の甘味料としてシュークロ
ースを用い、同様にバターロールを作った。対照のシュ
ークロースを使用したバターロールの材料組成は、強力
粉500g、食塩5g、牛乳300ml、卵黄20g、
シュークロース40g、バター40g、生イースト25
gで、常法により製造した。この時一次発酵の状態は対
照区より容量比約5%増であった。
【0050】被験甘味料は、対照のシュークロースに対
し、ヒドロキシプロリンが6gすなわち炭水化物対比約
10%となるように調整し用いた。これを対照のシュー
クロースと置換した以外は、バターロールの材料組成を
上記と同じにした。
【0051】その結果、10名の内2名が、硬く歯ごた
えが好ましいと答え、味については差は見られなかっ
た。
【0052】〔実施例6〕本発明の甘味料を甘味素材として用い食品を製造した実
施例 前記実施例5と同じ甘味料を用い、スイートチョコレー
トを製造し官能試験を実施した。
【0053】対照の甘味料としてシュークロースを用い
同様にスイートチョコレートを作った。ビターチョコレ
ートブロック100gを粉末化し、甘味料あるいはシュ
ークロースを加え溶解後固形化した。製造されたスイー
トチョコレートについては官能試験を前記実施例5、6
と同じ方法で実施したが、味については特に苦みに差は
見られなかった。
【0054】調理例:ハードキャンディーの作り方 ショ糖220gに蒸留水87gを加え30分間で177
℃まで加熱した。その後、100℃に保ち、ヒドロキシ
プロリン5gを3回に分け加え、よく攪拌した。その後
あらかじめ用意した型に流し込み放冷した。その結果約
2%のアミノ酸入りのハードキャンディー249gを得
ることができた。味・香りについては通常のハードキャ
ンディーと変わらなかった。
【0055】
【発明の効果】本発明のα−グルコシダーゼ阻害剤の有
効成分であるヒドロキシプロリンは、シュークロース、
デンプン及びデンプン由来のオリゴ糖から選ばれた1種
又は2種以上の消化性糖類と併用して使用するとき、小
腸の消化酵素であるα−グルコシダーゼの作用を緩慢に
阻害し、急激な血糖値の上昇を抑制し、インスリンの分
泌を低く抑える効果がある。
【0056】本発明のα−グルコシダーゼ阻害剤はその
阻害作用が緩慢であり、摂取される全炭水化物量(全糖
質量)100重量部に対して0.5〜30重量部の大量
のα−グルコシダーゼ阻害剤を配合させて使用すること
ができるので、食品に添加混合できる食品素材あるいは
甘味料として使用することができる。
【0057】本発明のα−グルコシダーゼ阻害剤を含有
する食品、甘味料は、健康な人には、糖尿病を含む成人
病の予防に役立つことができ、また、糖尿病患者には、
従来のシュークロース、デンプン、及びデンプン由来の
オリゴ糖等の糖類摂取の制限を緩和することが可能な、
食事療法に適した幅広い食品、甘味料の提供が可能とな
る。
【0058】本発明のα−グルコシダーゼ阻害剤を含有
する飼料は、ペット又は家畜等の動物の糖尿病予防用飼
料として有用である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 47/26 A61K 47/26 L 47/36 47/36 L C12N 9/99 C12N 9/99 (72)発明者 福森 保則 北海道札幌市中央区北4条西1丁目3番地 ホクレン農業協同組合連合会内 (72)発明者 塩見 ▲徳▼夫 北海道札幌市厚別区上野幌2条4丁目1− 29 (72)発明者 小野寺 秀一 北海道札幌市白石区平和通1丁目北7−23 アサヒ平和ビル303

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒドロキシプロリンを有効成分とするα
    −グルコシダーゼに対する緩慢な阻害作用を有するα−
    グルコシダーゼ阻害剤。
  2. 【請求項2】 (1)請求項1記載のα−グルコシダー
    ゼ阻害剤と、 (2)シュークロース、デンプン、及びデンプン由来の
    オリゴ糖から選ばれた1種または2種以上の消化性糖
    類、から構成される糖の緩慢な消化作用を有しかつイン
    スリン分泌を低く抑える作用を有する糖を主体とする組
    成物。
  3. 【請求項3】 前記α−グルコシダーゼ阻害剤が、前記
    糖を主体とする組成物中において0.5〜30重量%含
    まれるように配合された請求項2記載の糖を主体とする
    組成物。
  4. 【請求項4】 請求項2又は3記載の糖を主体とする組
    成物を有効成分とする、糖の緩慢な消化作用を有し、か
    つインスリン分泌を低く抑える作用を有する甘味料。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の糖尿病患者用甘味料。
  6. 【請求項6】 請求項2又は3記載の糖を主体とする組
    成物が添加された糖の緩慢な消化作用を有し、かつイン
    スリン分泌を低く抑える作用を有する食品。
  7. 【請求項7】 請求項2又は3記載の糖を主体とする組
    成物が添加された糖の緩慢な消化作用を有し、かつイン
    スリン分泌を低く抑える作用を有する糖尿病患者用食
    品。
  8. 【請求項8】 請求項1記載のα−グルコシダーゼ阻害
    剤が、炭水化物を含む食品に、食品中の炭水化物量(糖
    質量)に対して0.5〜30重量%となるように配合さ
    れていることを特徴とする、糖の緩慢な消化作用を有し
    かつインスリン分泌を低く抑える作用を有する健康食
    品。
  9. 【請求項9】 請求項1記載のα−グルコシダーゼ阻害
    剤が、炭水化物を含む食品に、食品中の炭水化物量(糖
    質量)に対して0.5〜30重量%となるように配合さ
    れていることを特徴とする、糖の緩慢な消化作用を有し
    かつインスリン分泌を低く抑える作用を有する糖尿病患
    者用食品。
  10. 【請求項10】 請求項1記載のα−グルコシダーゼ阻
    害剤が、炭水化物を含む飼料に、飼料中の炭水化物量
    (糖質量)に対して0.5〜30重量%となるように配
    合されていることを特徴とする、糖の緩慢な消化作用を
    有しかつインスリン分泌を低く抑える作用を有する飼
    料。
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