JPH089421Y2

JPH089421Y2 - 燃料噴射装置

Info

Publication number: JPH089421Y2
Application number: JP8187590U
Authority: JP
Inventors: 徳昭小野; 聖川谷
Original assignee: Mitsubishi Motors Corp
Current assignee: Mitsubishi Motors Corp
Priority date: 1990-07-31
Filing date: 1990-07-31
Publication date: 1996-03-21
Anticipated expiration: 2005-07-31
Also published as: JPH0440151U

Description

【考案の詳細な説明】（産業上の利用分野）本考案は、燃料噴射装置の噴射用ノズルに関する。

（従来の技術）周知のように内燃機関の一つであるディーゼルエンジ
ンにあっては、燃料供給系からの燃料を噴射ポンプと噴
射ノズルを用いて燃料室内の高圧空気に噴射して燃焼さ
せ、これに伴い発生した熱エネルギーによってそれに応
じた出力を得るようになっている。

上述した燃料噴射ポンプと燃料噴射ノズルとを備えた
燃料噴射装置においては、一時期に集中して燃料噴射が
行なわれ、その結果ある時期に集中して燃焼が行なわれ
るので爆発音及び振動音が大きくなり、かつ燃焼後の気
筒内の温度が著しく上昇していることからNOxの発生も
多くなる虞れがあった。

上記燃料噴射装置の問題点を解決するために実願平２
−7449号の考案が提案された。この考案を第４図により
説明する。符号15は燃料噴射装置に設けられた燃料噴射
ポンプより送られてくる燃料を噴射する噴射ノズル本体
を示す。４は噴射ポンプより送られてくる燃料をスプー
ルバルブ室５に導くポンプ側燃料入路を示す。スプール
バルブ室５内には、スプールバルブ16が挿嵌されてお
り、スプールバルブ16は、ばね10によってポンプ側燃料
入路４に向けて変位習性を与えられている。スプールバ
ルブ室５には、スプールバルブ16の初期位置近傍に設け
られた断面小面積の第１の通路17と、スプールバルブ16
の変位終端寄りに第１の通路17よりも太い第２の通路18
とが設けられている。これら通路は噴射ノズル15の針弁
14の開弁圧を設定するための開弁圧室13にそれぞれ連通
している。

噴射ポンプより送られてきた燃料は、ポンプ側燃料入
路４からスプールバルブ室５へ入り、スプールバルブ16
をばね10に抗して押し下げ、まず第１の通路17がスプー
ルバルブ室５と連通することにより開弁圧室13に入り針
弁14を押し上げ少量が噴射（以下パイロット噴射）され
る。つぎにさらにスプールバルブ16が押し下げられると
第２の通路18がスプールバルブ室５と連通されることに
よって今度は燃料の大量噴射（以下主噴射）が行なわれ
る。上記のような燃料噴射を行なうことにより燃料の一
時期の急激な集中燃焼が防止される。

（考案が解決しようとする課題）上記考案では燃料噴射工程においてパイロット噴射が
行なわれたのち、主噴射が行われるまでの時間はエンジ
ンの回転速度によって変化してしまう。つまりエンジン
が高速回転になれば、高圧のより大量の燃料がスプール
バルブ室に入ってくるため、ばね10を押す力が大きくな
りスプールバルブ16の移動速度が大となる。例えば、エ
ンジンの低速回転においてパイロット噴射の行なわれる
時期と主噴射が行なわれる時期との間隔を上記問題（騒
音、NOxの発生）が解決されるように調節しておいた場
合、そのままの状態では、高速回転側で上記間隔が短く
なりすぎパイロット噴射による効果が薄れてしまうとい
う問題がある。

本考案の目的は、エンジンの回転数及び負荷等にあっ
た、主噴射に対するパイロット噴射の時期を調節するこ
とのできる噴射ノズルを備えた燃料噴射装置を提供する
ことにある。

（課題を解決するための手段）本考案は、噴射ノズルにおける針弁の開弁圧を設定す
るための開弁圧室に接続される燃料通路の一部に、ポン
プ側燃料入路を作動圧入路として接続されているスプー
ルバルブ室を設け、このスプールバルブ室内には、ポン
プ側燃料入路側から上記スプールバルブ室を形成する側
面に向けて孔が設けられたスプールバルブが回転可能で
かつ摺動可能に挿嵌されており、上記スプールバルブ室
内周面には、その面上に沿って上記スプールバルブの初
期位置からの変位始端側に小幅に設定されたパイロット
用送油溝と、上記スプールバルブの変位終端側に上記パ
イロット用送油溝よりも大幅に設定され、かつその幅が
変化している主噴射用送油溝をそれぞれ設け、これら送
油溝に挾まれたスプールバルブ室周面のスプールバルブ
の変位方向の幅が変化しており、上記送油溝は、燃料通
路によって上記針弁の開弁圧室に接続されている噴射用
ノズルを備えるものである。

（作用）本考案によれば、燃料噴射ポンプから送られてくる燃
料の圧力でスプールバルブが初期位置から変位する途中
において、スプールバルブ内に設けられた孔を介してス
プールバルブ室とパイロット燃料通路とが連通すること
によって少量の燃料噴射（パイロット噴射）が行なわ
れ、スプールバルブがさらに変位すると、上記孔を介し
てスプールバルブ室と主噴射燃料通路とが連通すること
でこの噴射に続いて大量の燃料噴射（主噴射）が行なわ
れる。主噴射に対するパイロット噴射の時期はスプール
バルブを回転することにより調整される。

（実施例）本考案の実施例を第１図ないし第３図によって説明す
る。

第１図において符号１は噴射ノズル本体を示す。燃料
は噴射ポンプから送られてきて噴射ノズル本体１の一端
に設けられたポンプ側燃料入路４から噴射ノズル本体１
へ入り、針弁14の開弁圧室13に至り噴射される。

噴射ノズル本体１の内部にはポンプ側燃料入路４に続
きスプールバルブ室５が設けられている。このスプール
バルブ室５には円柱状のスプールバルブ２が回転可能か
つ摺動可能に挿嵌されている。スプールバルブ２には、
ポンプ側燃料入路４側の一端から周面方向に開口したス
プールバルブ内孔３が設けられており、同バルブ２の下
端外周面の一部には半径方向のスリーブ係合部2aが突設
されている。スプールバルブ２は、ばね10によりポンプ
側燃料入路４に向けて変位習性を与えられていて、スリ
ーブ係合部2aの突設されている側の端部はスリーブ11に
より囲まれている。スリーブ11にはスプールバルブ２の
変位方向に細長いスロット11aが設けられており、この
スロット11aにスリーブ係合部2aがスライド可能に係合
している。またスリーブ11の外周の一部にはピニオン11
bが設けられており、このピニオン11bにはラック12が噛
み合っていて、このラック12を左右に移動させることに
よりスリーブ11を介してスプールバルブ２を噴射ノズル
本体１に対して自由に回転させることができるようにな
っている。

スプールバルブ室５の内周面には、内周方向に沿った
比較的幅の狭いパイロット用送油溝６と、スプールバル
ブ２の変位終端側にパイロット用送油溝６よりも広幅
で、かつその幅が円周方向に沿って滑らかに変化してい
る主噴射用送油溝７が設けられており、パイロット用送
油溝６はパイロット燃料通路８に、主噴射用送油溝７は
主噴射燃料通路９にそれぞれつながれており、それぞれ
の燃料通路は開弁圧室13に接続されている。スプールバ
ルブ室５の内周のパイロット用送油溝６と主噴射用送油
溝７とに挾まれた中間部1aのスプールバルブ２の変位方
向の幅は、円周方向に変化している。

第３図は以上述べた構造の噴射ノズルの作動の様子を
示した図である。まず第３図（ａ）は噴射ポンプより送
られてきた燃料がスプールバルブ室５に入りスプールバ
ルブ２がばね10の弾性力に抗して押し下げられてスプー
ルバルブ内孔３の側面孔3aがパイロット用送油溝６に連
通された様子を示す。燃料は、スプールバルブ室５から
スプールバルブ内孔３を通りパイロット燃料通路８を通
過して開弁圧室13に入り針弁14を押し上げて噴射され
る。この噴射がパイロット噴射であり、少量の噴射であ
るが十分に針弁14を持ち上げ噴射できる圧力と量であ
る。パイロット噴射の噴射量の概略を第２図のＰに示め
す。

次に、第３図（ｂ）に示すようにスプールバルブ２が
噴射ポンプから送られてきた燃料によりさらに押し下げ
られて、側面孔3aがパイロット用送油溝６と主噴射用送
油溝７とにはさまれたスプールバルブ室２の中間部1aに
より塞がれると、燃料は開弁圧室13まで届かない。

この状態より、さらにスプールバルブ２が押し下げら
れると、側面孔3aが主噴射用送油溝７と連通して燃料が
針弁14を押し上げて噴射される。この状態が主噴射であ
り大量に燃料が噴射され、第３図（ｃ）にその状態を示
し、第２図のＡにその噴射量の概略を示す。

第１図には、ラック12がエンジン回転数を検出するセ
ンサ（図示せず）からの、作動に必要な信号を受けたア
クチュエータ（図示せず）の力により移動したときのス
プールバルブ２の回転の様子が示されている。ラック11
が移動することにより、ピニオン11bを介してスリーブ1
1が回転し、スリーブ11とスリーブ係合部2aを介して結
合されているスプールバルブ２も共に回転し側面孔3aの
円周方向の位置が変わる。第１図（ａ）の状態からエン
ジンの回転数が下がり、ラック12が右方向へ移動する
と、主噴射用送油溝７の幅がスプールバルブ室５の円周
方向において変化していることにより、側面孔3aが中間
部1aによって塞がれている時間が、同じ噴射量、噴射圧
の場合短くなる。つまり、第１図（ａ）、（ｂ）のラッ
ク位置の場合、上記時間はそれぞれS1,S2であり、S2はS
1より短くなる。さらにエンジン回転数が下がり、ラッ
ク12がさらに右方向へ移動すると第１図（ｃ）のように
なって上記時間はS3になりさらに短くなる。このよう
に、ラック12の位置を変化させることにより側面孔3aが
中間部1aによって塞がれている時間を、変化させること
ができ、パイロット噴射の時期（クランク角に対して
の）に対する主噴射の時期（クランク角に対しての）が
変化する。

上記実施例では、ラック12をエンジン回転数に応じて
移動させたが、負荷（アクセル位置）によって適当にラ
ック12を移動させることもできる。

（考案の効果）本考案によればスプールバルブに設けられたピニオン
に噛み合っているラックをエンジン回転数及び負荷に応
じて移動させ、スプールバルブを回転させることによっ
て主噴射の時期に対するパイロット噴射の時期を調節で
きるので、その回転数、負荷にあったき目の細かい燃料
噴射ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の燃料噴射装置に用いられる噴射ノズ
ルのラック移動に伴うスプールバルブの回転を示す図、
第２図は、本考案の噴射ノズルの噴射量と噴射時期の概
略を示す線図、第３図は、本考案に用いられる噴射ノズ
ルの、あるスプールバルブ位置における作動状態を示す
図、第４図は、従来の噴射ノズルの主要構成を示す模型
図である。１……噴射ノズル本体、２……スプールバルブ、３……
スプールバルブ内孔、４……ポンプ側燃料入路、５……
スプールバルブ室、６……パイロット用送油溝、７……
主噴射用送油溝、８……パイロット燃料通路、９……主
噴射燃料通路、13……開弁圧室、14……針弁。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】噴射ノズルにおける針弁の開弁圧を設定す
るための開弁圧室に接続される燃料通路の一部に、ポン
プ側燃料入路を作動圧入路として接続されているスプー
ルバルブ室を設け、このスプールバルブ室内には、ポン
プ側燃料入路側から上記スプールバルブ室周面に向けて
開口した孔が設けられたスプールバルブが回転可能でか
つ摺動可能に挿嵌されており、上記スプールバルブ室内
周面には、その面上に沿って上記スプールバルブの初期
位置からの変位始端側に小幅に設定されたパイロット用
送油溝と、上記スプールバルブの変位終端側に上記パイ
ロット用送油溝よりも大幅に設定されかつその幅が変化
している主噴射用送油溝をそれぞれ設け、これら送油溝
にはさまれたスプールバルブ室周面のスプールバルブの
変位方向の幅が変化しており、上記送油溝は、燃料通路
によって上記針弁の開弁圧室に接続されていることを特
徴とした噴射用ノズルを備えた燃料噴射装置。