JPH088582A - 導電シート及びその導電シートを有する樹脂成形品 - Google Patents

導電シート及びその導電シートを有する樹脂成形品

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JPH088582A
JPH088582A JP6136149A JP13614994A JPH088582A JP H088582 A JPH088582 A JP H088582A JP 6136149 A JP6136149 A JP 6136149A JP 13614994 A JP13614994 A JP 13614994A JP H088582 A JPH088582 A JP H088582A
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conductive
sheet
resin
conductive sheet
molding
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JP6136149A
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Inventor
Masamichi Nishiu
雅道 西宇
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Daifuku Seishi Kk
Original Assignee
Daifuku Seishi Kk
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Abstract

(57)【要約】 【目的】軽量化及び製造コストの低減を図り、成形品と
した場合にも、優れた成形性を発揮し、良好な電磁波シ
ールド特性を維持することを可能とする。 【構成】導電シートを構成する原料は、金属めっきされ
た炭素繊維よりなる導電性繊維が配合された導電性不織
布と、その空隙内に少なくとも一部が埋め込まれた樹脂
シート材を含んでいる。例えば樹脂シート材が加熱され
て不織布に当接され、加圧ロールにより強制的に不織布
の空隙部分に樹脂が含浸される。このとき、シボ加工が
施されるのが望ましい。この導電シートは、導電性繊維
の存在により優れた電磁波シールド特性を有する。ま
た、このシートが用いられることにより公知の真空成形
法により筐体状の樹脂成形品1が得られる。成形時に
は、コーナー部においても歪み応力がかかるものの、該
部分において電気的導通が遮断されることがない。その
ため、得られる成形品は導電シートの持つ特性を何ら損
なうことがない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、導電シートに係り、特
に、電磁波シールド特性の要求される分野において好適
に用いられる導電シート及びその導電シートを有する樹
脂成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、エレクトロニクス機器の使用に
あたっては、電磁波障害という問題がある。すなわち、
機器の機能が、自然界や他の機器から発生する電磁波に
より妨害されてしまうのである。そこで、従来より、か
かる問題を解消するための技術が種々提案されている。
【0003】例えば、第1の技術として、実開平4−1
33446号公報に開示されたものが知られている。こ
の技術では、内周面に接着性合成樹脂層を有する金属外
殻成形体の前記合成樹脂層の上に、導電性樹脂からなる
射出成形層を設け、さらに内部機構部を一体に形成した
電磁波シールドケースを特徴としている。かかる構成に
より、電磁波シールド効果の高いケースが得られる。
【0004】また、第2の技術として、実開昭63−1
21500号公報に開示されたものが知られている。こ
の技術では、金属板とSMC(シートモールディングコ
ンパウンド)とが接合されることにより外板が形成され
る。前記金属板には複数の透孔が形成されており、該透
孔内にSMCの一部が圧入充填される。このため、金属
板とSMCとの結合力が増し、接着剤層を介さずとも両
者間の接合が可能となる。その結果、製造工数の低減が
図られる。
【0005】しかし、上記両技術においては、例えばア
ルミニウムや、亜鉛合金からなる金属板が使用されてい
るため、ケース又は外板全体の重量が大きくなってしま
うおそれがあった。さらに、上記ケース又は外板の製造
時においては、金属板を金型のキャビティ内等にセット
する必要があるのだが、このとき、セットされる金属板
には、厳密な寸法精度が要求されていた。このため、製
造に支障を来すおそれがあった。
【0006】これに対し、第3の技術として、実開平1
−76097号公報又は実開昭64−16694号公報
に開示されたものが知られている。これらの技術におい
ては、金属細線等よりなる導電性の付与された編地を樹
脂成形品の内部に埋設した電磁波シールド成形品が提案
されている。かかる技術によれば、上記金属板に比較し
て全体として軽量化を図ることができるとともに、導電
性編地は所定の程度のフレキシビリティを有しているた
め、成形品の成形が円滑に行われうる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記第3の
従来技術における金属細線等の導電性編地を得るのに
は、細線を編み込む作業が必要となるため、著しく手間
がかかり、製造コストが高くなってしまっていた。ま
た、得られた編地は、いわゆる「きめ」が比較的粗いた
め、例えば「1000MHz」以上の高周波領域におけ
る電磁波シールド特性が劣ったものとなってしまうおそ
れがあった。
【0008】一方、この問題を解消するべく、編地を織
地に変更することにより、「きめ」を細かくして、高周
波領域における電磁波シールド特性の向上を図ることも
考えられる。しかしながら、かかる場合には、「きめ」
を細かくすることにより細線密度が増してしまう。そし
て、織地自体が固いものとなってしまい、成形品として
筐体状に仕上げた場合に、折り曲げ部分が応力を受けや
すくなってしまう。そのため、該折り曲げ部分の電気抵
抗が変化し、該部分から電磁波が洩れてしまうおそれが
あった。すなわち、成形体とした場合には、電磁波シー
ルド特性が劣ったものとなってしまうおそれがあった。
【0009】本発明は前述した事情に鑑みてなされたも
のであって、その目的は、良好な電磁波シールド特性を
有し、全体としての軽量化及び製造コストの低減を図る
ことができるとともに、成形品とした場合にも、優れた
成形性を得ることができ、良好な電磁波シールド特性を
維持することのできる導電シート及びその導電シートを
有する樹脂成形品を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載の発明においては、導電性を有する
繊維及び該導電性繊維同士を接合するためのバインダー
を備えた導電性不織布と、成形時の加熱により少なくと
も一時的に熱可塑性を有し、前記導電性不織布の空隙内
に少なくとも一部が埋め込まれた状態で該不織布に接合
された樹脂シート材とを備えたことをその要旨としてい
る。
【0011】また、請求項2に記載の発明は、請求項1
に記載の導電シートにおいて、前記導電性不織布には前
記導電性繊維が5重量%以上配合されているとともに、
該導電性繊維の長さは4mm以上であることをその要旨
としている。
【0012】さらに、請求項3に記載の発明は、請求項
1又は2に記載の導電シートにおいて、少なくとも一部
には、凹凸加工が施されていることをその要旨としてい
る。併せて、請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の
いずれかに記載された導電シートと、樹脂製のプレート
とが相互に接合されるとともに、全体としてほぼ筐体状
に成形されてなる樹脂成形品をその要旨としている。
【0013】次に導電シート及びその製造方法の詳細に
ついて説明する。 (1)原料 本発明の導電シートを構成する原料は、好ましくは、長
さ4mm以上の導電性繊維が少なくとも5%以上配合さ
れた不織布を含んでいる。尚、導電性繊維の太さが非常
に小さい場合には、長さは4mm未満であってもよい。
導電性繊維を構成する素材は、特に限定されるものでは
ないが、金属繊維、或いは表面が金属でコートされた合
成繊維(例えば炭素繊維)等が挙げられる。
【0014】また、この不織布中に配合されるバインダ
ーの代表例としては、天然繊維、合成繊維等の繊維が挙
げられる。また、これ以外にも、バインダーとしては導
電性繊維同士の接合を助長するものであれば、樹脂材料
が溶剤に溶けた状態となった液状物であってもよいし、
将来熱融着されるチップ等の固体物であってもよい。詳
しくは、天然繊維においては、木材パルプ、靱皮繊維パ
ルプ、葉脈繊維パルプ等が好ましい。また、合成繊維と
しては再生セルロース繊維、熱可塑性樹脂繊維、例え
ば、SWP(ポリエチレン合成パルプ)、PP(ポリプ
ロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、
PA(ポリアミド)、PI(ポリイミド)、PUR(ポ
リウレタン)、塩化ビニル、EVA(酢酸ビニル共重合
体)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)等よりな
る繊維、あるいは、熱硬化性樹脂繊維(フェノール繊維
等)が好ましい。
【0015】一方、導電シートを構成する原料は、上記
不織布の他に、樹脂シート材を含んでいる。この樹脂シ
ート材としては、前記不織布の空隙内に少なくとも一部
が埋め込まれた(含浸された)状態で接合され、成形時
の加熱により少なくとも一時的に熱可塑状態となる熱硬
化性を有するものでもよいし、さらに、熱可塑性を有す
るものであればいかなるものでもよい。また、特にヒー
トシール性を有するものが望ましい。その代表例として
は、CPET(変成ポリエステル樹脂)、ナイロン等の
PA、PUR(ポリウレタン樹脂)、PP等のポリオレ
フィン、EVA、PBT(ポリブチレンテレフタレー
ト)、塩化ビニル等が挙げられる。さらに、電極となる
金属に対するホットメルト接着性の良好な樹脂(CPE
T,NP,PUR,EVA)ならなお好ましい。
【0016】(2)含浸方法 上記樹脂シート材を導電性不織布に含浸する方法として
は、1)溶液含浸(湿式含浸)、2)溶融含浸(乾式含
浸)の2つに大別できるが、いずれの方法でも可能であ
る。しかしながら、乾式含浸では湿式含浸に比べ溶剤を
揮発させる必要がないだけコスト的に有利である。
【0017】さらに、乾式含浸においても1)オフライ
ン法、2)オンライン法の2種類があり、導電性不織布
あるいは樹脂シート材に応じて、適宜使い分けることが
できる。
【0018】まず、オフライン法について説明すると、
導電性不織布は、まず導電繊維が剪断によって折れない
程度の圧縮を受ける。次に、樹脂シート材を加熱ドラム
により加熱して前記不織布に当て、この状態で冷却ロー
ル及び加圧ロールにより強制的に不織布の空隙部分に樹
脂を含浸させる。このとき、樹脂の量がオーバーリッチ
とならないように調整される。なお、このとき、加圧ロ
ールの一方にシボ加工用ロールを用いることにより、全
体としてシボ加工(凹凸加工)の施された導電シートが
得られる。
【0019】次に、オンライン法について説明する。導
電性不織布は加熱ドラムにより加熱され、加圧ロール及
び冷却ロールが当接する加圧部に送られる。そして、こ
の加圧部において、ドライラミネート装置によってダイ
からシート状の樹脂が供給され、冷却ロールにより、不
織布の空隙部中に含浸される。
【0020】通常、不織布に電極・端子を取り付ける場
合、電極が不織布を把持するように、電極を絶縁物で押
圧するか、導電性接着剤により電極・端子が接着されて
いる。しかしながら、不織布が絶縁物である樹脂で覆わ
れると電気的接続ができないため、オフライン法及びオ
ンライン法の両者において、含浸後の樹脂シート材の厚
さが導電性不織布と同じ厚さになるように調整されるの
が望ましい。
【0021】(3)導電シートの特性及び成形品への応
用 次に、上記導電シートの特性について詳細に説明する。
上記導電シートは、導電性繊維の存在により優れた電磁
波シールド特性を有する。このため、特に、上記導電シ
ートを有する筐体状に成形されてなる樹脂成形品は、例
えば携帯用電話機、親子電話機、ポケットベル、パソコ
ン、ワープロ等の分野において応用されうる。上記筐体
状の樹脂成形品は、公知の真空成形法、圧空成形法又は
プレス成形法(スタンピング成形法)等により得られ
る。ここで、上記成形が施される際に、導電シートと、
樹脂製のプレートとが相互に接合される。このため、樹
脂製のプレートとしては、導電性シートとの接合性のあ
るものが好適に用いられ、例えば前記樹脂シート材とし
て採用されるものと同一の素材、或いはABS(アクリ
ロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合)樹脂、ポリ
カーボネート等が特に好適に用いられる。また、接着剤
等を介しての接合も許容されるため、その他のいかなる
樹脂素材も用いられうる。
【0022】ここで、上記の成形に際し、樹脂製のプレ
ートと、導電シートとは、相互に接合された状態で、金
型のキャビティ内に配設され、筐体状に成形される。こ
のとき、コーナー部においては、前記導電シートは折り
曲げ加工されることとなり、成形の歪み応力が特に加わ
りやすい。しかし、本発明の導電シートは、導電性不織
布が埋設されている恰好となっているので、かかる応力
が多少加わったとしても、電気的導通が遮断されること
がない。そのため、得られる成形品は、導電シートの持
つ特性を何ら損なうことなく、優れた電磁波シールド特
性を発揮することとなる。
【0023】
【実施例】
[第1実施例]以下、本発明を導電シートに具体化した
第1実施例について説明する。
【0024】(実施例1)まず、導電性不織布を用意し
た。すなわち、φ8μm×18mmのニッケルめっきの
施された炭素繊維5重量%、φ8μm×6mmのニッケ
ルめっきの施された炭素繊維5重量%、φ10μm×5
mmのPET繊維50重量%及びφ15μm×5mmの
PETバインダー繊維40重量%を配合して導電性不織
布を2枚用意した。尚、この導電不織布における坪量は
20g/m2 であった。
【0025】また、樹脂シート材として、厚さ50μm
のCPETフィルム(東レ株式会社製 商品名:ケミッ
ト)を1枚用意した。上記の導電性不織布と樹脂シート
材とを接合するべく、両者を接合用装置に供した。すな
わち、オフライン乾式含浸法により、導電性不織布の空
隙中に樹脂シート材を含浸させた。該装置は、図6に示
すように、樹脂シート材を加熱するためのヒータ21並
びに両者(導電性不織布及び樹脂シート材)を加圧する
ためのゴムローラ22及びプレスローラ23を備えてい
る。そして、ローラ状の樹脂シート材及び導電性不織布
を図の矢印方向へ送るとともに、樹脂シート材を加熱
し、両者を加圧接合させた。この熱プレスの設定温度は
150℃であり、設定圧力は50kg/cm2 であっ
た。
【0026】このようにして得られた導電シートの坪量
は90g/m2 であり、表面抵抗は0.9Ω/dm2
あった。そして、上記の導電シートを曲率半径10mm
のバーに当接させて湾曲させたときの表面抵抗を測定し
た。このときの表面抵抗においても、上記と同程度の数
値(0.9Ω/dm2 )が得られた。すなわち、本実施
例の導電シートは、筐体状に成形したとしても、電磁波
シールド特性は衰えないことが分かる。
【0027】また、上記の導電シートの電解シールド特
性を測定した。すなわち、公知のKEC法によりシール
ド効果(単位dB)を、一般生活を営む上で特に必要と
考えられる100MHz〜1GHzの周波数範囲内にお
いて測定した。その結果を図2に示す。同図に示すよう
に、本実施例の導電シートによれば、100MHz〜1
GHzの範囲内において、電磁波シールド材として必要
な「40dB」以上のシールド効果を得ることができ
た。
【0028】(実施例2)上記実施例1のサンプルと同
様、まず、導電性不織布を用意した。すなわち、φ8μ
m×18mmのニッケルめっきの施された炭素繊維5重
量%、φ8μm×6mmのニッケルめっきの施された炭
素繊維15重量%、φ10μm×5mmのPET繊維4
0重量%及びφ15μm×5mmのPETバインダー繊
維40重量%を配合して導電性不織布を1枚用意した。
尚、この導電不織布における坪量は45g/m2 であっ
た。
【0029】また、樹脂シート材として、厚さ50μm
のポリウレタンフィルム(ダイセル化学工業株式会社製
商品名:サーモライト)を1枚用意した。上記の導電
性不織布と樹脂シート材とを接合するべく、両者を上記
と同様に接合用装置に供した。このときの熱プレスの設
定温度は165℃であり、設定圧力は50kg/cm2
であった。また、本実施例では、導電シートに凹凸加工
(シボ加工)を施すべく、上記装置のうちプレスローラ
23としてシボ加工用の凹凸ローラを採用した。
【0030】このようにして得られた導電シートの表面
には、シボ加工が施され、その坪量は95g/m2 であ
り、表面抵抗は0.9Ω/dm2 であった。そして、上
記の導電シートを曲率半径2mmのバーに当接させて湾
曲させたときの表面抵抗を測定した。このときの表面抵
抗においても、上記と同程度の数値(0.9Ω/d
2 )が得られた。すなわち、本実施例の導電シートを
筐体状に成形したとしても、電磁波シールド特性は衰え
ないことが分かる。また、本実施例の導電シートには、
シボ加工が施されているので、延び応力に対して強くな
っている。従って、上記の如く、曲げ加工が施されたと
しても電磁波シールド特性が劣ってしまうことがない。
【0031】また、上記の導電シートの電解シールド特
性を上記と同様の方法により測定した。その結果を図3
に示す。同図に示すように、本実施例の導電シートによ
れば、100MHz〜1GHzの範囲内において、電磁
波シールド材として必要な「40dB」以上のシールド
効果を得ることができた。
【0032】次に、比較例として、樹脂を含浸していな
い導電性不織布と、樹脂が含浸されていても短い繊維長
の導電繊維が配合された導電シートについて電気特性に
ついて調べた。
【0033】(比較例1)短い導電性繊維のみが配合さ
れた導電シートを作製した。すなわち、φ7μm×3m
mの炭素繊維15重量%、NBKPパルプ(SR20
°)80重量%、1d(デニール)×5mmのPVA
(ポリビニルアルコール)繊維5重量%を配合して導電
性不織布を形成した。この導電性不織布の坪量は40g
/m2 であった。また、この導電性不織布に、CPET
フィルム(50μm 1枚)をオフライン乾式含浸法に
より含浸させた。熱プレス時の含浸条件は、設定温度1
50℃、設定圧力50kg/cm2 であった。
【0034】このようにして得られた導電シートの坪量
は120g/m2 であり、表面抵抗は20Ω/dm2
あった。そして、上記の導電シートを曲率半径50mm
のバーに当接させて湾曲させたときの表面抵抗を測定し
た。このときの表面抵抗においては、上記抵抗値に比べ
て10%以上も抵抗値が増加してしまった。すなわち、
本比較例の導電シートを筐体状に成形した場合には、電
磁波シールド特性は衰えてしまうことが分かる。
【0035】また、この導電シートの電解シールド特性
を上記実施例と同様の方法により測定した。その結果を
図4に示す。同図に示すように、本実施例の導電シート
によれば、100MHz〜1GHzの範囲内において、
電磁波シールド材として必要な「40dB」以下、場合
によっては「10dB」以下のシールド効果しか得られ
なかった。
【0036】(比較例2)また、導電性不織布のみによ
り構成された場合の導電シートとして、以下のものを用
意した。すなわち、φ8μm×18mmのニッケルめっ
きの施された炭素繊維5重量%、φ8μm×6mmのニ
ッケルめっきの施された炭素繊維15重量%、φ10μ
m×5mmのPET繊維40重量%及びφ15μm×5
mmのPETバインダー繊維40重量%を配合して導電
性不織布を1枚用意し、これをそのまま導電シートとし
た。尚、この導電不織布における坪量は70g/m2
あった。
【0037】このようにして得られた導電シートの表面
抵抗は3Ω/dm2 であった。そして、上記の導電シー
トを曲率半径100mmのバーに当接させて湾曲させた
ときの表面抵抗を測定した。このときの表面抵抗におい
ては、上記抵抗値に比べて200%以上も抵抗値が増加
してしまった。すなわち、本比較例の導電シートを筐体
状に成形した場合にも、電磁波シールド特性は著しく衰
えてしまうことが分かる。
【0038】また、この導電シートの電解シールド特性
を上記実施例と同様の方法により測定した。その結果を
図5に示す。同図に示すように、本比較例の導電シート
においても、100MHz〜1GHzの範囲内におい
て、電磁波シールド材として必要な「40dB」以下、
場合によっては「20dB」以下のシールド効果しか得
られなかった。
【0039】[第2実施例]以下、本発明を、導電シー
トを有する筐体状の成形品に具体化した第2実施例につ
いて説明する。
【0040】(実施例3,4)上記実施例1,2の導電
シートを用いて筐体状の樹脂成形品を公知の真空成形法
により成形した。すなわち、実施例1,2の導電シート
と、樹脂製のプレート(例えばABSプレート)とを相
互に接合させるとともに、真空成形機にて筐体のそれぞ
れ片側半分ずつを成形せしめ、両者を熱融着により接合
し、図1に示すような成形品を得た。但し、この成形品
において導電シートは、樹脂プレートの内面に接合させ
るようにした。そして、それらのサンプルを実施例3及
び実施例4のサンプルとした。
【0041】(比較例3,4)また、上記比較例1,2
の導電シートを用いて筐体状の樹脂成形品を公知の真空
成形法により成形し、上記実施例3,4と同様の成形品
を得た。そして、それらのサンプルを比較例3及び比較
例4のサンプルとした。
【0042】(比較例5〜7)さらに、内周面に接着性
合成樹脂層を有する金属外殻成形体の前記合成樹脂層の
上に、導電性樹脂からなる射出成形層を設けて筐体状の
樹脂成形品を成形し、このサンプルを比較例5のサンプ
ル(第1の従来技術に相当)とした。併せて、複数の透
孔を有する金属板とSMCとを接合することにより、筐
体状の樹脂成形品を成形した。このサンプルを比較例6
のサンプル(第2の従来技術に相当)とした。加えて、
金属細線よりなる編地を内部に埋設することにより、筐
体状の樹脂成形品を成形した。このサンプルを比較例7
のサンプル(第3の従来技術に相当)とした。
【0043】そして、上記実施例3,4及び比較例3〜
7のサンプルについて、電磁波シールド特性、成形性、
コストパフォーマンス、軽量性及び外観品質をそれぞれ
評価した。そのときの結果を表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】上記表1に示すように、本実施例によれ
ば、良好な電磁波シールド特性、成形性及び外観品質が
得られる。また、製造コストも低く抑えることができ、
軽量化をも図ることができることがわかる。
【0046】これに対し、比較例3,4のサンプルは、
コスト面、軽量性及び外観品質に関しては満足のゆく結
果が得られたものの、シールド特性に劣ったものとなっ
てしまい、しかも成形性が悪かった。また、比較例5の
サンプルは良好なシールド特性及び外観品質は得られる
ものの、成形性、軽量性に劣り、しかもコストが高いも
のとなってしまった。さらに、比較例6,7のサンプル
については、全ての面において悪い結果となった。
【0047】以上詳述したように、本発明の導電シート
によれば、良好な電磁波シールド特性を得ることがで
き、製造コストを低く抑えることができる。また、該シ
ートを用いて筐体状の樹脂成形品を成形する場合には、
優れた成形性が発揮される。さらに、得られた成形品に
ついては、著しい軽量化を図ることができ、また、導電
シートと同等の良好な電磁波シールド特性を維持するこ
とができる。
【0048】尚、本発明は上記実施例に限定されず、例
えば次の如く構成してもよい。 (1)前記第2実施例では、筐体状の樹脂成形品とし
て、図1に示すように、真空成形機にて筐体のそれぞれ
片側半分を成形せしめ、両者を熱融着により接合し成形
品を得たが、さらに、図7に示すように、接合部分に金
属製の箔31を取着するようにしてもよい。かかる場合
には、両者間での電気的導通及び接合強度をより一層確
実ならしめることができ、ひいては、優れた電磁波シー
ルド特性の維持を一層確実なものとすることができる。
【0049】また、図8に示すように、片側半分ずつの
両端部にフランジ32を形成し、両フランジ32を熱融
着するような構成としてもよい。この場合には、上記実
施例よりも接合面積の増大を図ることができ、接合強度
のさらなる向上を図ることができる。
【0050】(2)前記各実施例では、乾式法により樹
脂を含浸させるようにしたが、湿式法により樹脂を含浸
させるようにしてもよい。 (3)前記実施例では、バインダー繊維として合成繊維
(PET繊維)を使用したが、木材パルプ等の天然繊維
を使用してもよい。また、樹脂材料が溶剤に溶けた状態
となった液状物であってもよいし、将来熱融着されるチ
ップ等の固体物であってもよい。
【0051】(4)前記実施例では、樹脂シート材とし
てPUR又はCPETフィルムを採用したが、PA、P
P、PE、EVA、PBT、PTFE、PS、POH、
PC、PVC等でも良いし、熱硬化性樹脂としてメラミ
ン、フェノール、エポキシ、不飽和ポリエステル等でも
良い。
【0052】上記実施例から把握できる請求項以外の技
術的思想について以下にその効果とともに記載する。 (i)前記導電繊維は、炭素繊維に金属めっきが施され
ていることを特徴とする請求項1〜3に記載の導電シー
ト又は請求項4に記載の樹脂成形品。この構成とするこ
とにより、耐熱性、機械的強度を向上させることができ
る。
【0053】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の導電シー
ト及びその導電シートを有する樹脂成形品によれば、良
好な電磁波シールド特性を有し、全体としての軽量化及
び製造コストの低減を図ることができるとともに、成形
品とした場合にも、優れた成形性を得ることができ、良
好な電磁波シールド特性を維持することができるという
優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を具体化した第2実施例における導電シ
ートを有する樹脂成形品を模式的に示す断面図である。
【図2】実施例1のサンプルのシールド効果を示すグラ
フである。
【図3】実施例2のサンプルのシールド効果を示すグラ
フである。
【図4】比較例1のサンプルのシールド効果を示すグラ
フである。
【図5】比較例2のサンプルのシールド効果を示すグラ
フである。
【図6】第1実施例における導電シートを作成するため
の装置を模式的に示す図である。
【図7】本発明を具体化した他の実施例における導電シ
ートを有する樹脂成形品を模式的に示す断面図である。
【図8】他の実施例における導電シートを有する樹脂成
形品を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1…成形品。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01L 23/14 // B29K 105:06 B29L 22:00 31:34

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性を有する繊維及び該導電性繊維同
    士を接合するためのバインダーを備えた導電性不織布
    と、 成形時の加熱により少なくとも一時的に熱可塑性を有
    し、前記導電性不織布の空隙内に少なくとも一部が埋め
    込まれた状態で該不織布に接合された樹脂シート材とを
    備えたことを特徴とする導電シート。
  2. 【請求項2】 前記導電性不織布には前記導電性繊維が
    5重量%以上配合されているとともに、該導電性繊維の
    長さは4mm以上であることを特徴とする請求項1に記
    載の導電シート。
  3. 【請求項3】 少なくとも一部には、凹凸加工が施され
    ていることを特徴とする請求項1又は2に記載の導電シ
    ート。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載された導
    電シートと、樹脂製のプレートとが相互に接合されると
    ともに、全体としてほぼ筐体状に成形されてなることを
    特徴とする導電シートを有する樹脂成形品。
JP6136149A 1994-06-17 1994-06-17 導電シート及びその導電シートを有する樹脂成形品 Pending JPH088582A (ja)

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