JPH088472Y2 - 携帯時計 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 この考案は、腕時計や懐中時計などの携帯時計に適用
し得る。詳しくは、巻真を時刻修正位置として小鉄車に
ツヅミ車を噛み合わせ、その後該巻真を回転したとき、
その回転を前記ツヅミ車から前記小鉄車に伝達し、その
小鉄車から日ノ裏車へと伝達し分針車や時針車を回転し
て時刻修正を行う携帯時計に関する。

従来の技術 従来、この種の携帯時計は、たとえば第５図および第
６図に示すような構成であった。図中符号１は、地板で
ある。地板１の表側には、その孔1aに一部2aをはめ合わ
せ、高成形性の材料（たとえばポリアセタール）ででき
た樹脂部材２（たとえば絶縁座）を取り付ける。樹脂部
材２は、巻真溝2bを有し、その巻真溝2bに先端3aを入れ
て地板１との間で巻真３を保持する。樹脂部材２には、
また図中上部に軸部2cを設け、その軸部2cに中心孔4aを
はめ合わせて小鉄車４を回転自在に取り付ける。そし
て、その軸部2cの先端2dに孔5aをはめ合わせて樹脂部材
２上に輪列受５を取り付け、小鉄車４の抜けを防止す
る。小鉄車４は、アイドラ６を介して地板１上の日ノ裏
車７と噛み合う。これにより、巻真３を引き出して時刻
修正位置とし、小鉄車４にツヅミ車８を噛み合わせ、そ
の後該巻真３を回転するとき、その回転をツヅミ車８か
ら小鉄車４に伝達し、その小鉄車４から日ノ裏車７へと
伝達して時刻修正を行う構成であった。

考案が解決しようとする課題 ところが、このような従来の構成では、樹脂部材２で
支持して小鉄車４を巻真３の上に配置するから、時計ム
ーブメントの薄型化には限界がある問題があった。ま
た、樹脂部材２を用いるから、強度的に弱くなる問題が
あった。さらに、小鉄車４と日ノ裏車７との高さが合わ
ないので、アイドラ６を必要とし、部品点数が多くなる
問題があった。

従来の携帯時計の中には、小鉄車を裏押えに取り付け
て地板の裏側に設けるものもあるが、この場合は裏押え
が要るし、地板の裏側でも組付け作業を行わなければな
らない問題があった。

そこで、この考案の目的は、携帯時計において、その
ような従来の問題を解消し、 時計ムーブメントの薄型化を可能とする 強度的に弱い樹脂部材を用いずに小鉄車および巻真
を保持する構成とし、信頼性を向上する アイドラや裏押えをなくして部品点数を削減する 地板裏側での組付け作業を不要とする ことにある。

課題を解決するための手段 そのため、この考案は、たとえば以下の第１図ないし
第４図に示す実施例のとおり、巻真15を時刻修正位置と
して小鉄車11にツヅミ車16を噛み合わせ、その後該巻真
15を回転したとき、その回転を前記ツヅミ車16から前記
小鉄車11に伝達し、その小鉄車11から日ノ裏車12へと伝
達して時刻修正を行う携帯時計において、地板10の表側
に一体に軸状凸部10aを形成し、その軸状凸部10aに中心
孔11aをはめ合わせて該地板10上に前記小鉄車11を回転
自在に取り付け、その小鉄車11に前記日ノ裏車12を直接
噛み合わせるとともに、前記軸状凸部10a上に２番受13
などの板部材を乗せてその板部材の巻真溝13aを該軸状
凸部10a上に位置させ、その板部材を挾んで前記地板10
上に輪列受14を取り付け、先端15aを前記巻真溝13aに入
れてその輪列受14と前記地板10と前記板部材とで前記巻
真15を保持することを特徴とする。

作用 そして、巻真15を時刻修正位置とし、小鉄車11にツヅ
ミ車16を噛み合わせる。それから、該巻真15を回転し、
その回転をツヅミ車16から小鉄車11に伝達し、軸状凸部
10aを中心としてその小鉄車11を回転する。そうして、
その回転を日ノ裏車12へと伝達し分針車や時針車を回転
して時刻修正を行う。

実施例 以下、図面を参照しつつ、この考案の実施例を説明す
る。

第１図は巻真の長さ方向に沿って切断した時計ムーブ
メントの部分断面図、第２図はそのＡ−Ａ線における矢
示方向断面図である。図中符号10は、金属製の地板であ
る。地板10の表側には、軸状凸部10aを一体に形成す
る。その軸状凸部10aに中心孔11aをはめ合わせ、地板10
上には小鉄車11を回転自在に取り付ける。小鉄車11は、
中心孔11aまわりに上向き段部11bを同心に有し、外周の
歯部11cを日ノ裏車12に直接噛み合わす。

さて、地板10の軸状凸部10a上には、２番受（板部
材）13を乗せる。２番受13は、金属製で、巻真溝13aを
有し、第３図に示す形状をなす。そして、第１図および
第２図に示すように、巻真溝13aを軸状凸部10a上に位置
させる。そのような２番受13を挾んで、地板10上には、
金属製の輪列受14を取り付ける。輪列受14は、第４図に
示す形状をなし、前述の日ノ裏車12を支持するととも
に、図示省略するが、地板10との間でロータ車・５番車
・４番車・３番車等を支持する。そして、先端15aを巻
真溝13aに入れ、地板10と２番受13と輪列受14とで巻真1
5を保持する。

これにより、巻真13を引き出して時刻修正位置とし、
小鉄車11にツヅミ車16を噛み合わす。それから、該巻真
13を回転し、その回転をツヅミ車16から小鉄車11に伝達
し、軸状凸部13aを中心としてその小鉄車11を回転す
る。そうして、その回転を日ノ裏車12へと伝達し、分針
車や時針車を回転して時刻修正を行う。

なお、上述した図示実施例では、軸状凸部10aの高さ
ａと小鉄車11の中心孔11aまわりの厚さｂとの差で、小
鉄車11のアガキを決定する。そして、ツヅミ車16との噛
み合いを良好とする。

また、上述した実施例では、地板・板部材・輪列受を
金属材料でつくるが、金属と同等の強度をもつ樹脂材料
（たとえばポリカーボネイト）でつくってもよい。この
場合、それらの樹脂材料は、だいたい難成形性であるか
ら、地板・板部材・輪列受の形状はできるだけ簡素化す
ることが必要である。

考案の効果 したがって、この考案によれば、以下の効果がある。

小鉄車を巻真と地板との間に配置し、従来の樹脂部
材を不要とするから、時計ムーブメントを薄くし、その
薄型化を可能とする。

地板・板部材・輪列受の３つの部材で小鉄車および
巻真を保持し、強度的に弱い樹脂部材を不要とするか
ら、強度を増して信頼性を向上することができる。

小鉄車を直接日ノ裏車に噛み合わせるから、アイド
ラを不要とし、また小鉄車を地板の表側に配置するか
ら、裏押えを不要とし、部品点数の削減を図ることがで
きる。

地板表側のみの組付けで、裏側の組付け作業を不要
とすることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第４図にはこの考案の一実施例を示し、第
１図は巻真の長さ方向に沿って切断した時計ムーブメン
トの部分断面図、第２図はそのＡ−Ａ線における矢示方
向断面図、第３図はそれに使用する２番受の平面図、第
４図は輪列受の平面図である。第５図は従来の時計ムー
ブメントの一断面図、第６図は他の断面図である。 10……地板、10a……軸状凸部、11……小鉄車、11a……
小鉄車の中心孔、12……日ノ裏車、13……２番受（板部
材）、13a……巻真溝、14……輪列受、15……巻真、15a
……巻真の先端、16……ツヅミ車。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】巻真を時刻修正位置として小鉄車にツヅミ
   車を噛み合わせ、その後該巻真を回転したとき、その回
   転を前記ツヅミ車から前記小鉄車に伝達し、その小鉄車
   から日ノ裏車へと伝達して時刻修正を行う携帯時計にお
   いて、地板の表側に一体に軸状凸部を形成し、その軸状
   凸部に中心孔をはめ合わせて該地板上に前記小鉄車を回
   転自在に取り付け、その小鉄車に前記日ノ裏車を直接噛
   み合わせるとともに、前記軸状凸部上に板部材を乗せて
   その板部材の巻真溝を該軸状凸部上に位置させ、その板
   部材を挾んで前記地板上に輪列受を取り付け、先端を前
   記巻真溝に入れてその輪列受と前記地板と前記板部材と
   で前記巻真を保持してなる、携帯時計。