JPH0883426A - 光学情報記録方法及び光学情報記録媒体 - Google Patents

光学情報記録方法及び光学情報記録媒体

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Publication number
JPH0883426A
JPH0883426A JP6215827A JP21582794A JPH0883426A JP H0883426 A JPH0883426 A JP H0883426A JP 6215827 A JP6215827 A JP 6215827A JP 21582794 A JP21582794 A JP 21582794A JP H0883426 A JPH0883426 A JP H0883426A
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JP
Japan
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recording
substrate
optical
groove
optical information
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Application number
JP6215827A
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English (en)
Inventor
Kenichi Osada
憲一 長田
Nobuo Akahira
信夫 赤平
Eiji Ono
鋭二 大野
Kenichi Nishiuchi
健一 西内
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】安定なトラッキング特性を実現し、良好な再生
信号振幅を得る。 【構成】記録薄膜15内の情報を再生するレーザー光の波
長λに対し、溝深さ12が下記1の範囲にあり、未記録部
からの反射光18の位相φ1 と記録部からの反射光17の位
相φ2 の差Δφ1、2 が下記2の範囲にあれば、溝部13に
記録し、Δφ1、2 が下記3の範囲にあれば、ランド部14
に記録する。 (1)(1/16〜1/8)λ+0.5Nλ 但し、
Nは0以上の整数 (2)(0.3〜0.5)π+(2n−1)π 但
し、nは整数 (3)(0.5〜0.7)π+2nπ 但し、nは整

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、レーザー光を用いて情
報を高密度に記録・再生することができる光学情報記録
媒体及び光学情報記録方法に関し、そのうち特に、書換
え可能な光ディスク及びその情報記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】信号を記録・再生し、かつ、消去するこ
とができる光ディスクとしては、記録薄膜材料にカルコ
ゲン化物を用いた相変化型の光ディスクが知られてい
る。一般には、記録薄膜材料が結晶状態にある場合を未
記録状態とし、レーザー光を照射し、記録薄膜材料を溶
融・急冷して非晶質状態とすることにより、信号を記録
する。一方、信号を消去する場合には、記録時よりも低
パワーのレーザー光を照射することにより、記録薄膜材
料を昇温して結晶状態にする。
【0003】記録薄膜材料としては、例えば、Te、I
n、Sb、Se等を主成分とし、非晶質−結晶間で相変
化する材料、又は異なる2種類の結晶構造の間で可逆的
に相変化を起こす物質を用いるのが一般的である。
【0004】相変化記録のメリットの1つは、記録手段
として単一のレーザービームのみを用い、情報信号をオ
ーバライトできる点にある。すなわち、レーザー出力を
記録レベルと消去レベルの2つのレベル間で情報信号に
応じて変調し、記録済みの情報トラック上に照射するこ
とにより、既存の情報信号を消去しながら新しい信号を
記録することができる(特開昭56−145530号公
報)。
【0005】また、記録密度を向上させるために、再生
レーザー光の波長λに対して、未記録部と記録部との間
で位相差が生じるようにディスクの構造を決定すること
が提案されている(特開平3−41638号公報、特開
平3−157830号公報)。反射率の変化によって記
録部(記録マーク)を読み取る場合、再生に用いるレー
ザー光の大きさに比べて記録状態の面積が十分大きくな
ければ、大きな再生信号を得ることはできない。なぜな
ら、再生ビームの光強度は、一般にガウス分布をしてお
り、相変化した記録マークよりも外側に広がっているた
めに、反射光量は記録マークの反射率と、周囲の未記録
領域の反射率にそれぞれの面積と光強度分布を加重して
平均した値に比例しているからである。一方、位相変化
再生構造の場合には、記録部と未記録部からの位相が異
なり、それらが干渉し合って反射光量が変化することを
利用している。従って、記録部と未記録部における反射
光の位相差が(1+2n)π(nは整数)のときに反射
光量の変化が最も大きく、この値に近いことが望まし
い。また、再生ビームの強度分布として、記録部に入射
する強度と周辺の未記録部に入射する強度が等しいとき
に干渉の効果が最も大きく、従って、反射光の強度変化
が大きい。すなわち、再生ビームの大きさよりも記録マ
ークが小さい場合に、再生信号を大きくとることができ
る。以上のことから、同じ再生ビームで再生する場合に
は、反射率変化再生よりも位相変化再生の方が小さな面
積の記録マークで大きな信号を得ることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】通常、記録可能な光デ
ィスクは、トラッキング用の溝(グルーブ)を有してい
る。この場合には、プッシュプル方式を用いてトラッキ
ングエラー信号を得ることが一般的に行われている。そ
して、安定したトラッキング特性を実現するために、ト
ラッキングエラー信号が極大となる溝深さλ/8を採用
するのが一般的である。
【0007】しかし、上記した位相変化再生構造の光デ
ィスクの場合には、再生に記録マークとその周辺部の反
射光の位相差を用いるため、特別の配慮がない限り、ト
ラッキングエラー信号が再生信号の影響を強く受けるこ
とが予想される。すなわち、未記録状態と記録状態でト
ラッキングエラー信号に差が生じ、安定したトラッキン
グ特性を得ることはできない。従来技術においては、こ
の点について何等配慮がなされていない。
【0008】本発明は、従来技術における前記課題を解
決するため、安定したトラッキング特性を得ることがで
きる光学情報記録方法及び光学情報記録媒体を提供する
ことを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明に係る光学情報記録方法の第1の構成は、ト
ラッキング用の溝を有する基板と、前記基板上に形成さ
れ、レーザー光の照射によって相変化を生じて光学定数
の異なる状態へ移行し得る記録薄膜とを少なくとも備え
た光学情報記録媒体に、所定の波長のレーザー光の照射
によって記録を行う光学情報記録方法であって、前記記
録薄膜に記録された情報を再生するレーザー光の波長λ
に対し、前記基板の光学的溝深さが上記(数1)の範囲
にあり、かつ、前記光学情報記録媒体の未記録領域と記
録マーク領域における反射率が略等しく、前記光学情報
記録媒体の未記録領域からの反射光の位相φ1 と記録マ
ーク領域からの反射光の位相φ2 の差Δφ1、2 が上記
(数2)の範囲にあれば、溝内に記録を行うことを特徴
とする。
【0010】また、本発明に係る光学情報記録方法の第
2の構成は、トラッキング用の溝を有する基板と、前記
基板上に形成され、レーザー光の照射によって相変化を
生じて光学定数の異なる状態へ移行し得る記録薄膜とを
少なくとも備えた光学情報記録媒体に、所定の波長のレ
ーザー光の照射によって記録を行う光学情報記録方法で
あって、前記記録薄膜に記録された情報を再生するレー
ザー光の波長λに対し、前記基板の光学的溝深さが上記
(数1)の範囲にあり、かつ、前記光学情報記録媒体の
未記録領域と記録マーク領域における反射率が略等し
く、前記光学情報記録媒体の未記録領域からの反射光の
位相φ1 と記録マーク領域からの反射光の位相φ2 の差
Δφ1、2 が上記(数3)の範囲にあれば、溝間のランド
部に記録を行うことを特徴とする。
【0011】また、本発明に係る光学情報記録媒体の第
1の構成は、所定の波長のレーザー光の照射によって情
報を記録・再生する装置に用いる光学情報記録媒体であ
って、トラッキング用の溝を有する基板と、前記基板上
に形成され、レーザー光の照射によって相変化を生じて
光学定数の異なる状態へ移行し得る記録薄膜とを少なく
とも備え、前記記録薄膜に形成された情報を再生するレ
ーザー光の波長λに対し、前記基板の光学的溝深さが上
記(数1)の範囲にあり、かつ、前記光学情報記録媒体
の未記録領域と記録マーク領域における反射率が略等し
く、前記未記録領域からの反射光の位相φ1 と前記記録
マーク領域からの反射光の位相φ2 の差Δφ1、2 が上記
(数2)の範囲にあることを特徴とする。
【0012】また、本発明に係る光学情報記録媒体の第
2の構成は、所定の波長のレーザー光の照射によって情
報を記録・再生する装置に用いる光学情報記録媒体であ
って、トラッキング用の溝を有する基板と、前記基板上
に形成され、レーザー光の照射によって相変化を生じて
光学定数の異なる状態へ移行し得る記録薄膜とを少なく
とも備え、前記記録薄膜に形成された情報を再生するレ
ーザー光の波長λに対し、前記基板の光学的溝深さが上
記(数1)の範囲にあり、かつ、前記光学情報記録媒体
の未記録領域と記録マーク領域における反射率が略等し
く、前記未記録領域からの反射光の位相φ1 と前記記録
マーク領域からの反射光の位相φ2 の差Δφ1、2 が上記
(数3)の範囲にあることを特徴とする。
【0013】
【作用】前記本発明の光学情報記録方法の第1の構成に
よれば、トラッキング用の溝を有する基板と、前記基板
上に形成され、レーザー光の照射によって相変化を生じ
て光学定数の異なる状態へ移行し得る記録薄膜とを少な
くとも備えた光学情報記録媒体に、所定の波長のレーザ
ー光の照射によって記録を行う光学情報記録方法であっ
て、前記記録薄膜に記録された情報を再生するレーザー
光の波長λに対し、前記基板の光学的溝深さが上記(数
1)の範囲にあり、かつ、前記光学情報記録媒体の未記
録領域と記録マーク領域における反射率が略等しく、前
記光学情報記録媒体の未記録領域からの反射光の位相φ
1 と記録マーク領域からの反射光の位相φ2 の差Δφ
1、2 が上記(数2)の範囲にあれば、溝内に記録を行う
ようにしたことにより、記録時のTE信号振幅の絶対値
は十分に大きく、未記録、記録間のTE信号振幅の差は
小さくなり、しかも反射率差再生媒体の場合に比較して
信号振幅の点で優位性が得られる。その結果、安定した
トラッキング特性及び再生振幅の大きな信号特性を得る
ことができる。
【0014】また、前記本発明の光学情報記録方法の第
2の構成によれば、トラッキング用の溝を有する基板
と、前記基板上に形成され、レーザー光の照射によって
相変化を生じて光学定数の異なる状態へ移行し得る記録
薄膜とを少なくとも備えた光学情報記録媒体に、所定の
波長のレーザー光の照射によって記録を行う光学情報記
録方法であって、前記記録薄膜に記録された情報を再生
するレーザー光の波長λに対し、前記基板の光学的溝深
さが上記(数1)の範囲にあり、かつ、前記光学情報記
録媒体の未記録領域と記録マーク領域における反射率が
略等しく、前記光学情報記録媒体の未記録領域からの反
射光の位相φ1 と記録マーク領域からの反射光の位相φ
2 の差Δφ1、2 が上記(数3)の範囲にあれば、溝間の
ランド部に記録を行うようにしたことにより、記録時の
TE信号振幅の絶対値は十分に大きく、未記録、記録間
のTE信号振幅の差は小さくなり、しかも反射率差再生
媒体の場合に比較して信号振幅の点で優位性が得られ
る。その結果、安定したトラッキング特性及び再生振幅
の大きな信号特性を得ることができる。
【0015】また、前記本発明の光学情報記録媒体の第
1の構成によれば、所定の波長のレーザー光の照射によ
って情報を記録・再生する装置に用いる光学情報記録媒
体であって、トラッキング用の溝を有する基板と、前記
基板上に形成され、レーザー光の照射によって相変化を
生じて光学定数の異なる状態へ移行し得る記録薄膜とを
少なくとも備え、前記記録薄膜に形成された情報を再生
するレーザー光の波長λに対し、前記基板の光学的溝深
さが上記(数1)の範囲にあり、かつ、前記光学情報記
録媒体の未記録領域と記録マーク領域における反射率が
略等しく、前記未記録領域からの反射光の位相φ1 と前
記記録マーク領域からの反射光の位相φ 2 の差Δφ1、2
が上記(数2)の範囲にあるように構成したので、溝内
に記録を行うことにより、記録時のTE信号振幅の絶対
値は十分に大きく、未記録、記録間のTE信号振幅の差
は小さくなり、しかも反射率差再生媒体の場合に比較し
て信号振幅の点で優位性が得られる。その結果、安定し
たトラッキング特性及び再生振幅の大きな信号特性を得
ることができる。
【0016】また、前記本発明の光学情報記録媒体の第
2の構成によれば、所定の波長のレーザー光の照射によ
って情報を記録・再生する装置に用いる光学情報記録媒
体であって、トラッキング用の溝を有する基板と、前記
基板上に形成され、レーザー光の照射によって相変化を
生じて光学定数の異なる状態へ移行し得る記録薄膜とを
少なくとも備え、前記記録薄膜に形成された情報を再生
するレーザー光の波長λに対し、前記基板の光学的溝深
さが上記(数1)の範囲にあり、かつ、前記光学情報記
録媒体の未記録領域と記録マーク領域における反射率が
略等しく、前記未記録領域からの反射光の位相φ1 と前
記記録マーク領域からの反射光の位相φ 2 の差Δφ1、2
が上記(数3)の範囲にあるように構成したので、溝間
のランド部に記録を行うことにより、記録時のTE信号
振幅の絶対値は十分に大きく、未記録、記録間のTE信
号振幅の差は小さくなり、しかも反射率差再生媒体の場
合に比較して信号振幅の点で優位性が得られる。その結
果、安定したトラッキング特性及び再生振幅の大きな信
号特性を得ることができる。
【0017】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的
に説明する。まず、本発明が光学情報記録媒体の信号再
生においてどのように作用し、高振幅の再生信号及び安
定したトラッキング特性を得ることができるかについ
て、光学シュミレーションの結果を説明する。
【0018】図4に、光ディスクにレーザー光を照射し
ている状態を示す。図4に示すように、光ディスクは、
トラッキング用の溝41が設けられた基板42と、基板
42上に形成され、レーザー光の照射によって相変化を
生じて光学定数(屈折率n、消衰係数k)の異なる状態
へ移行し得る記録薄膜49とにより構成されている。記
録情報を再生するには、まず、半導体レーザー43から
のレーザー光をコリメーターレンズ44、ハーフミラー
45、対物レンズ46を通して記録薄膜49に照射す
る。そして、反射光を対物レンズ46、ハーフミラー4
5、レンズ47を通してフォトディテクター48に集光
させる。ここで、フォトディテクター48は、光ディス
クの半径方向に均等に2分割されている。
【0019】光学シミュレーションにおいては、対物レ
ンズ46に入射するレーザー光をガウス分布光とし、ホ
プキンス(HOPKINS) モデル(J.Opt.S
oc.Am.,Vol.69,No.1,Jan.19
79 p4−24 H.H.Hopkins 参照)を
用いて、フォトディテクター48上における反射光のビ
ーム強度を計算する。反射光量はフォトディテクター4
8の全域における受光量として計算し、一方、トラッキ
ングエラー信号(以下「TE信号」という)は、2分割
されたフォトディテクター48の左右の領域における受
光量の差として計算する。溝幅とランド(溝間の平らな
部分)幅が等しい場合、入射光を光ディスクの半径方向
に移動させると、TE信号は、隣合った溝41とランド
のそれぞれの中心を結ぶ線上の中心付近で、その絶対値
が最大となる。一方、溝41及びランドの中心に入射光
がさしかかった場合には、TE信号は検出されない。
【0020】ここでは、入射光の波長を780nm、対
物レンズ46のNA(開口数)を0.55、トラックピ
ッチを1.6μm、溝幅(=ランド幅)を0.8μm
(溝壁垂直)、マーク幅を0.6μm、マーク周期を
1.6μm、マーク長を0.8μmとし、マーク部(記
録部)とマーク周辺部(未記録部)における反射率は等
しいものとして計算した。このようにマーク部とマーク
周辺部における反射率をほぼ等しくしたのは、小さい記
録マークでも再生信号の振幅を大きくすることができる
と共に、ディスクの構造として容易に実現することがで
きるからである(特願平4−157728号)。
【0021】マーク部とマーク周辺部からの反射光は位
相差を有する。ここでは、未記録部(マーク周辺部)か
らの反射光の位相φ1 と、記録部(マーク部)からの反
射光の位相φ2 との差を△φ1、2 として表わすことにす
る。△φ1、2 の極性は、未記録部にマークを書き込んだ
とき、マーク部における反射面がビーム側(基板42
側)から見て、あたかも奥(反射層86側)に遠ざかる
かのような位相変化を生じる場合にはプラス、逆に手前
に近づくかのような位相変化を生じる場合にはマイナス
と定義する。以下、溝深さと△φ1、2 をパラメータとし
て、フォトディテクター48上における信号振幅とTE
信号を評価する。
【0022】図2に、溝部に記録した信号を再生した場
合の溝深さとTE信号振幅との関係を示す。縦軸のTE
信号振幅は、隣合った溝とランドのそれぞれの中心を結
ぶ線上の中心に再生光の中心がさしかかった場合におけ
るTE信号の計算値を示す。図2から読み取れるよう
に、未記録状態では、溝深さの光路長が入射光のλ/8
のときに、TE信号振幅が最大となる。尚、溝深さがλ
/8+0.5nλ(nは整数)の場合でも光学的には全
く同じである。一方、マークを記録した場合のTE信号
振幅は、未記録部と記録部の位相差の値によって異な
る。図2から読み取れるように、未記録部と記録部の位
相差が下記(数4)の範囲にあれば、溝深さを選ぶこと
により、TE信号振幅として未記録の場合の最大TE信
号振幅(溝深さ:λ/8)の半分を確保することができ
る。
【0023】
【数4】
【0024】位相差がこの範囲外であれば、トラッキン
グ特性は外乱の影響を極端に受けやすく、既存の技術で
は実用性に乏しい。しかし、安定したトラッキング特性
を得るために重要なことは、記録時のTE信号振幅の絶
対値が大きいという点だけではなく、むしろ、記録時と
未記録時のTE信号振幅の変化率が小さいということで
ある。この観点に立って、図2の縦軸を記録時における
TE信号振幅と未記録時におけるTE信号振幅の比に改
め、これを図5に示す。溝記録の場合、位相差を下記
(数5)の範囲に設定し、かつ、溝深さの光路長を下記
(数6)の範囲に設定すれば、記録時のTE信号振幅の
絶対値はある程度大きくなり[およそ未記録の場合の最
大TE信号振幅(溝深さ:λ/8)の半分以上]、か
つ、未記録、記録間のTE信号振幅の差は小さくなる
(変動量5割以下)。その結果、安定したトラッキング
特性を得ることができる。
【0025】
【数5】
【0026】
【数6】
【0027】上記した範囲が実際上、安定したトラッキ
ング特性を得るために必要十分であることは、後記の具
体的実施例において示す。尚、ここでは、上記したよう
に記録マークの間隔を1.6μmに固定した場合の計算
結果を示しているが、マーク長を0.5μm〜2.0μ
mの範囲で変化させ、記録マークの間隔を1.0μm〜
4.0μmの範囲で変化させた場合においても、位相差
及び溝深さを上記の範囲に限定した場合には、記録マー
クの間隔が1.6μmの場合とほぼ同様の結果を得るこ
とができた。
【0028】次に、溝間のランド部に信号を記録し再生
する場合について説明する。図3に、ランド部に記録し
た信号を再生した場合の溝深さとTE信号振幅との関係
を示す。縦軸のTE信号振幅は、隣合った溝とランドの
それぞれの中心を結ぶ線上の中心に再生光の中心がさし
かかった場合におけるTE信号の計算値を示す。図3か
ら読み取れるように、未記録状態では、溝深さの光路長
が入射光のλ/8(+0.5nλ)(nは整数)のとき
に、TE信号振幅が最大となる。一方、マークを記録し
た場合のTE信号振幅は、未記録部と記録部の位相差の
値によって異なる。図3から読み取れるように、未記録
部と記録部の位相差が下記(数7)の範囲にあれば、溝
深さを選ぶことにより、TE信号振幅として未記録の場
合の最大TE信号振幅(溝深さ:λ/8)の半分を確保
することができる。
【0029】
【数7】
【0030】位相差がこの範囲外であれば、トラッキン
グ特性は外乱の影響を極端に受けやすく、既存の技術で
は実用性に乏しい。しかし、安定したトラッキング特性
を得るために重要なことは、記録時のTE信号振幅の絶
対値が大きいという点だけではなく、むしろ、記録時と
未記録時のTE信号振幅の変化率が小さいということで
ある。ランド記録の場合、位相差を下記(数8)の範囲
に設定し、かつ、溝深さの光路長を上記(数6)の範囲
に設定すれば、記録時のTE信号振幅の絶対値はある程
度大きくなり、かつ、未記録、記録間のTE信号振幅の
差は小さくなる。その結果、安定したトラッキング特性
を得ることができる。
【0031】
【数8】
【0032】上記した範囲が実際上、安定したトラッキ
ング特性を得るために必要十分であることは、後記の具
体的実施例において示す。以上、溝記録、ランド記録の
それぞれの場合において安定したトラッキング特性を得
ることができる条件について説明してきたが、以下、再
生振幅の大きな信号特性を得ることができる条件につい
て、光学シミュレーションの結果を説明する。
【0033】図6に、溝部に記録した信号を再生した場
合の溝深さと再生信号振幅との関係を示す。縦軸の信号
振幅は、再生光の中心がマーク中央にさしかかった場合
のフォトディテクター48上における全受光量(鏡面上
未記録状態における反射光量を1とする)と、再生光の
中心がマーク間の中央にさしかかった場合のフォトディ
テクター48上における全受光量(鏡面上未記録状態に
おける反射光量を1とする)との差を示す。前記したよ
うに、図6は記録マークの間隔が1.6μmの場合の光
学シミュレーションの結果である。比較のために、反射
率差再生媒体の光学シミュレーションの結果を図6に曲
線61で示す。反射率差再生媒体の光学シミュレーショ
ンにおいて、入射光の波長780nm、対物レンズのN
A0.55、トラックピッチ1.6μm、溝幅(=ラン
ド幅)0.8μm、マーク幅0.6μm、マーク長0.
8μm、マーク周期1.6μmは、前記した位相差再生
媒体の光学シミュレーションに用いた値と同じである。
但し、マーク周辺部(未記録部)からの反射光とマーク
部(記録部)からの反射光の位相差を0、マーク部の反
射率を5%、マーク周辺部の反射率を30%として計算
した。図6から読み取れるように、位相差再生媒体のマ
ーク周辺部とマーク部からの反射光の位相差が下記(数
9)の範囲にあり、かつ、溝深さがλ/8よりも浅い場
合には、位相差再生の方が反射率差再生よりも大きい信
号振幅を得ることができる。
【0034】
【数9】
【0035】この結果と、前記のトラッキング特性を考
慮した位相差を勘案すると、溝記録の場合には、位相差
を上記(数2)の範囲に設定し、かつ、溝深さの光路長
を上記(数1)の範囲に設定すれば、記録時のTE信号
振幅の絶対値は十分に大きく、未記録、記録間のTE信
号振幅比(変化率)は小さくなり、しかも反射率差再生
媒体の場合に比較して信号振幅の点で優位性が得られ
る。その結果、安定したトラッキング特性及び再生振幅
の大きな信号特性を得ることができる。
【0036】次に、溝間のランド部に信号を記録し再生
する場合について説明する。図7に、ランド部に記録し
た信号を再生した場合の溝深さと再生信号振幅との関係
を示す。縦軸の信号振幅は、再生光の中心がマークの中
央にさしかかった場合のフォトディテクター48上にお
ける全受光量(鏡面上未記録状態における反射光量を1
とする)と、再生光の中心がマーク間の中央にさしかか
った場合のフォトディテクター48上における全受光量
(鏡面上未記録状態における反射光量を1とする)との
差を示す。前記したように、図7は記録マークの間隔が
1.6μmの場合の光学シミュレーションの結果であ
る。比較のために、反射率差再生媒体の光学シミュレー
ションの結果を図7に曲線71で示す。反射率差再生媒
体の光学シミュレーションにおいて、入射光の波長78
0nm、対物レンズのNA0.55、トラックピッチ
1.6μm、溝幅(=ランド幅)0.8μm、マーク幅
0.6μm、マーク長0.8μm、マーク周期1.6μ
mは、前記した位相差再生媒体の光学シミュレーション
に用いた値と同じである。但し、マーク周辺部(未記録
部)からの反射光とマーク部(記録部)からの反射光の
位相差を0、マーク部の反射率を5%、マーク周辺部の
反射率を30%として計算した。図7から読み取れるよ
うに、位相差再生媒体のマーク周辺部とマーク部からの
反射光の位相差が下記(数10)の範囲にあり、かつ、
溝深さがλ/8よりも浅い場合には、位相差再生の方が
反射率差再生よりも大きい信号振幅を得ることができ
る。
【0037】
【数10】
【0038】この結果と、前記のトラッキング特性を考
慮した位相差を勘案すると、ランド記録の場合には、位
相差を上記(数3)の範囲に設定し、かつ、溝深さの光
路長を上記(数1)の範囲に設定すれば、記録時のTE
信号振幅の絶対値は十分に大きく、未記録、記録間のT
E信号振幅比(変化率)は小さくなり、しかも反射率差
再生媒体の場合に比較して信号振幅の点で優位性が得ら
れる。その結果、安定したトラッキング特性及び再生振
幅の大きな信号特性を得ることができる。
【0039】以上説明したように、溝深さの光路長を上
記(数1)の範囲に限定した位相差再生媒体において、
未記録領域からの反射光の位相φ1 と記録マーク領域か
らの反射光の位相φ2 の差△φ1、2 の範囲が上記(数
2)の範囲にあれば、溝内に記録を行い、また、△φ
1、2 の範囲が上記(数3)の範囲にあれば、溝間のラン
ド部に記録を行うことにより、安定したトラッキング特
性と大きな再生信号振幅を得ることができる。
【0040】尚、以上の説明においては、便宜上、溝幅
とランド幅を等しく、また、溝形状を矩形としている
が、必ずしもこの構造に限定されるものではなく、溝幅
とランド幅が異なる場合や、U字状又はV字状の溝形状
を有する場合であっても、本発明を適用することは可能
である。
【0041】<具体的実施例>以下に、具体的実施例を
挙げて本発明をさらに詳細に説明する。図8は本発明に
係る光学情報記録媒体の一実施例を示す断面図である。
図8に示すように、基板81の基板表面82には、レー
ザー光を導くためのスパイラル状の連続溝(トラック)
が設けられている。基板表面82には、第1及び第2の
保護層83、84に挟持された状態で記録薄膜85が設
けられている。ここで、記録薄膜85は、レーザー光の
照射によって相変化を生じて光学定数(屈折率n、消衰
係数k)の異なる状態へ移行することができる。第2の
保護層84の上には反射層86が設けられており、その
上にはさらに保護基板87が設けられている。ここで
は、トラックピッチを1.6μm、溝幅を0.8μmと
し、溝深さを種々変化させて数種類の基板を用意した。
尚、記録・再生を行うレーザー光は基板81の側から入
射させる。
【0042】基板81として、ここでは、厚さ1.2m
mのポリカーボネート円盤を用いた。第1及び第2の保
護層83、84の材料としては、物理的・化学的に安定
であるもの、すなわち記録材料の融点よりも融点及び軟
化温度が高く、かつ、記録材料と相固溶しないものであ
ればよい。ここでは、ZnS−20mol%SiO2
用いた。記録薄膜85としては、結晶状態と非晶質状態
との間で構造変化を起こす物質を用いる。ここでは、G
2 Sb2 Te5 を用いた。Ge2 Sb2 Te 5 は、良
好な記録・消去特性、及び繰り返し特性を得ることがで
きる相変化記録材料として一般に知られている(特開昭
62−209742号公報)。反射層86は、記録薄膜
85への光吸収効率を高める働きをする。ここでは、A
uを用いた。尚、例えば、記録薄膜85の膜厚を厚くし
て光吸収効率を高める工夫をすることにより、反射層8
6を設けない構成とすることも可能である。保護基板8
7は、ここでは、樹脂をスピンコートして形成した。場
合によっては、2組の記録媒体を中間基板又は反射層を
内側にして接着剤を用いて貼り合わせることにより、両
面から記録、再生、消去可能な構造としてもよい。記録
薄膜85、第1及び第2の保護層83、84、反射層8
6はスパッタリング法によって形成した。
【0043】記録薄膜85の厚さは、記録薄膜85が結
晶状態にあるときでも入射光線の一部が透過できる厚さ
に選ぶ。なぜなら、記録薄膜85の膜厚が厚すぎると、
反射層86で反射されて記録薄膜85中に再入射する成
分が無くなり、光の干渉効果が小さくなるために、第1
及び第2の保護層83、84並びに反射層86の膜厚を
多少変化させても媒体全体の反射率等、光学特性の設計
自由度が狭くなってしまうからである。
【0044】第1及び第2の保護層83、84の膜厚
は、以下のようにして決定することができる。すなわ
ち、まず、各層を構成する物質の複素屈折率を、通常の
方法(例えば、ガラス板上に薄膜を形成し、その膜厚と
反射率、透過率の測定値に基づいて計算する方法、又は
エリプソメーターを用いる方法)によって求める。次い
で、記録薄膜85及び反射層86の厚さを固定した状態
で、マトリクス法(例えば、久保田広著「波動光学」岩
波書店、1971年、第3章を参照)により第1及び第
2の保護層83、84の膜厚を計算によって求める。具
体的には、各層の膜厚を仮定し、表面を含む全ての界面
に対してエネルギー保存則に基づき光エネルギーの収支
を計算する。すなわち、多層媒体における各界面につい
てこのエネルギー収支の方程式を立て、得られた連立方
程式を解くことにより、任意の波長の入射光(実際に
は、情報を再生するために用いる波長λ)に対する光路
長、透過光の強度、反射光の強度並びに各層における吸
収量を求めることができる。記録薄膜が結晶状態にある
場合とアモルファス状態にある場合のいずれの場合につ
いても、上記計算を行うことにより、波長λの再生光に
対して、未記録領域(通常、結晶状態を当てる)と記録
マーク領域(通常、非晶質状態を当てる)の反射光の位
相差、両領域の反射率等を求めることができる。以上の
ようにして膜厚構成と光学特性(結晶と非晶質の反射
率、光吸収量、位相等)を求めることができるので、所
望の光学特性を得ることができるように各層の膜厚を決
定すればよい。記録媒体が設計通りにできているかどう
かは、できあがった媒体の反射率、透過率をスペクトル
メーター等を用いて測定し、あらかじめ計算した値と比
較することによって推定することができる。この場合、
2つ以上の波長で同じ比較を行うことにより、推定精度
を高めることができる。記録部と未記録部の位相変化量
は、再生光の波長と同じ波長の光の干渉縞が記録部と未
記録部との間でどのようにずれるかを、干渉膜厚計等を
用いて観察することによって求めることができる。
【0045】下記(表1)に、光学設計に用いた各層の
波長780nmに対する光学定数を示す。
【0046】
【表1】
【0047】また、実験に用いたサンプルについて、基
板81側の第1の保護層83の膜厚、反射層86側の第
2の保護層84の膜厚、非晶質状態における反射率R1
、結晶状態における反射率R2 、両状態間の位相差の
実測値を下記(表2)に示す。
【0048】
【表2】
【0049】但し、光学特性は波長780nmに対する
値である。記録薄膜85及び反射層86の厚さは、それ
ぞれ15nm、50nmに固定してある。反射率の実測
値は、分光光度計を用いて求めた。結晶化は、250℃
で10分間、窒素中熱処理を施すことにより行った。ま
た、サンプル片の一部領域を半導体レーザーによって結
晶化して、非晶質領域と結晶領域を隣合わせでつくり込
み、この部分を干渉膜厚計を用いて観察した。そして、
波長780nmの干渉縞の両領域間におけるずれ量から
位相差を求めた。
【0050】上記11種類の各構造に対して、基板は溝
深さが10nmから100nmまで10nm刻みに10
種類用意し、ディスクを作製して評価した。図1は本実
施例を説明するためのディスクの断面図である。図1
(a)は溝部に記録を行う場合を示しており、図1
(b)はランド部に記録を行う場合を示している。基板
11の表面には、溝部13及びランド部14からなる記
録領域が形成されている。記録薄膜15の中に書き込ま
れた記録マーク16は再生光によって再生される。本実
施例においては、溝深さ12の値(10nm〜100n
m)と、再生光が照射されたときの記録マークからの反
射光17と記録マーク周辺からの反射光18の位相差の
値(−0.8π〜+1.0π)をそれぞれ独立に変化さ
せて、再生振幅とトラッキング特性を調べた。これらの
媒体には、アルゴンレーザーを用いた初期化装置によ
り、記録薄膜15の全面にあらかじめ初期化(結晶化)
処理を施した。その後、この媒体を線速度12m/sで
回転させ、波長780nmの半導体レーザー光を開口数
0.55のレンズ系で絞って記録薄膜15上の溝部13
又は溝間のランド部14に焦点を合わせて照射した。記
録薄膜15の面上に種々のパワーで単一周波数7.5M
Hz、変調度30%で変調した光を照射し、記録薄膜1
5を部分的に非晶質化させて記録を行った(マークピッ
チ1.6μm)。そして、1mWの連続光を照射し、そ
の反射光をフォトディテクターで検出して再生信号振幅
及び2次高調波歪を観察した。2次高調波歪が最小とな
るパワーで信号を記録した場合に、記録マーク長は約デ
ューティー50%、0.8μmになっていると考えられ
る。そこで、以下の信号記録は2次高調波歪が最小とな
るパワーで行い、その結果について説明する。また、外
乱として、ディスクの垂直方向に加速度1G、周波数3
0Hzの振動を加えた場合に、レーザー光がトラックを
安定に追従することができるかどうかを調べた。1G、
30Hzという値において安定したトラッキングを実現
することができれば、通常のドライブ使用状況を考えた
場合に、実用上問題はないと考えられる。
【0051】このようにして、記録媒体のマーク周辺部
からの反射光18とマーク部からの反射光17の位相
差、基板11の溝深さ12と再生信号の振幅、及びトラ
ッキング特性を調べたところ、次のことが明らかになっ
た。
【0052】(1)溝記録を行う場合、溝深さが60n
m以下の基板でサンプル番号(ディスクNo.)が1、
2、3、10、11のディスクにおいては、いずれもC
NR(搬送波対雑音比)として50dB以上の大きな値
が得られた。
【0053】(2)溝記録の場合、(1)のような良好
なCNRが得られる位相差と溝深さの組合せのうち、加
速度1G、周波数30Hzの振動に対して安定したトラ
ッキング特性を得ることができるのは、溝深さが30n
mから60nmの基板でサンプル番号が2、3及び1の
一部であった。下記(表3)に、振動試験の結果を示
す。
【0054】
【表3】
【0055】上記(表3)中、○は振動試験下でトラッ
キングが可能なディスクであり、×はトラッキングが不
可能なディスクである。λ/16は約30nm、λ/8
は約60nmの溝深さに相当する。図9に、溝記録時に
おける溝深さとTE信号振幅との関係を記録による位相
差ごとに整理して示す。TE信号振幅を求めるには、記
録した後にトラッキングサーボをOFFにし、TE信号
をオシロスコープ上で観察することにより行った。TE
信号振幅は、未記録時の最大TE信号振幅を1としてプ
ロットした。
【0056】(3)ランド記録を行う場合、溝深さが6
0nm以下の基板でサンプル番号が1、8、9、10、
11のディスクにおいては、いずれもCNRとして50
dB以上の大きな値が得られた。
【0057】(4)ランド記録の場合、(3)のような
良好なCNRが得られる位相差と溝深さの組合せのう
ち、加速度1G、周波数30Hzの振動に対して安定し
たトラッキング特性を実現することができるのは、溝深
さが30nmから60nmの基板でサンプル番号が8、
9及び10の一部であった。下記(表4)に、振動試験
の結果を示す。
【0058】
【表4】
【0059】上記(表4)中、○は振動試験下でトラッ
キング可能なディスクであり、×はトラッキング不可能
なディスクである。図10に、ランド記録時における溝
深さとTE信号振幅との関係を記録による位相差ごとに
整理して示す。TE信号振幅は、未記録時の最大TE信
号振幅を1としてプロットした。
【0060】以上が実験結果であるが、以下のように書
き換えても光学的な等価性は保たれる。すなわち、溝記
録の場合に、良好なCNRが得られ、かつ、安定したト
ラッキング特性を得ることができるのは、記録部と未記
録部の位相差が上記(数2)の範囲にあり、かつ、溝深
さが上記(数1)の範囲にある場合である。また、ラン
ド記録の場合に、良好な振幅が得られ、かつ、安定した
トラッキング特性を得ることができるのは、記録部と未
記録部の位相差が上記(数3)の範囲にあり、かつ、溝
深さが上記(数1)の範囲にある場合である。また、マ
ーク長及びマーク間隔が1.2μmから4.4μmの間
で混在しているランダムデータを記録した場合でも、周
期1.6μmの単一周波数でマークが記録された場合と
同様に、上記した位相差と溝深さとの組合せにおいて、
安定したトラッキング特性を得ることができた。
【0061】尚、以上の結果は、溝幅とランド幅が等し
い基板についての実験結果を示しているが、溝幅とラン
ド幅の比が0.8〜1.2程度の範囲にあっても同様の
結果を得ることができる。また、上記実施例において
は、書換え型の光ディスクの場合を例に挙げて説明して
いるが、必ずしもこれに限定されるものではなく、本発
明は追記型でも全く同様に有効である。
【0062】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
トラッキング用の溝を有する基板と、前記基板上に形成
され、レーザー光の照射によって相変化を生じて光学定
数の異なる状態へ移行し得る記録薄膜とを少なくとも備
えた光学情報記録媒体に、所定の波長のレーザー光の照
射によって記録を行う際に、前記記録薄膜に記録された
情報を再生するレーザー光の波長λに対し、前記基板の
光学的溝深さが上記(数1)の範囲にあり、かつ、前記
光学情報記録媒体の未記録領域と記録マーク領域におけ
る反射率が略等しく、前記光学情報記録媒体の未記録領
域からの反射光の位相φ1 と記録マーク領域からの反射
光の位相φ2 の差Δφ1、2 が上記(数2)の範囲にあれ
ば、溝内に記録を行い、また、Δφ1、2 が上記(数3)
の範囲にあれば、溝間のランド部に記録を行うことによ
り、記録時のTE信号振幅の絶対値は十分に大きく、未
記録、記録間のTE信号振幅比(変化率)は小さくな
り、しかも反射率差再生媒体の場合に比較して信号振幅
の点で優位性が得られる。その結果、安定したトラッキ
ング特性及び良好な再生信号振幅を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例においてディスクの溝部又は
ランド部に記録を行う場合を示す断面図である。
【図2】本発明の一実施例において溝部に記録した信号
を再生した場合の溝深さとTE信号振幅との関係を示す
図である。
【図3】本発明の一実施例においてランド部に記録した
信号を再生した場合の溝深さとTE信号振幅との関係を
示す図である。
【図4】光ディスクにおける記録・再生の原理を示す図
である。
【図5】本発明の一実施例の溝記録における溝深さと記
録前後のTE信号振幅変化との関係を示す図である。
【図6】本発明の一実施例において溝部に記録した信号
を再生した場合の溝深さと再生信号振幅との関係を示す
図である。
【図7】本発明の一実施例においてランド部に記録した
信号を再生した場合の溝深さと再生信号振幅との関係を
示す図である。
【図8】本発明に係る光学情報記録媒体の一実施例を示
す断面図である。
【図9】本発明の一実施例の溝記録時における溝深さと
TE信号振幅との関係を記録による位相差ごとに整理し
て示した図である。
【図10】本発明の一実施例のランド記録時における溝
深さとTE信号振幅との関係を記録による位相差ごとに
整理して示した図である。
【符号の説明】
11、81 基板 12 溝深さ 13 溝部 14 ランド部 15、85 記録薄膜 16 記録マーク 17 記録マークからの反射光 18 記録マーク周辺からの反射光 82 基板表面 83 第1の保護層 84 第2の保護層 86 反射層 87 保護基板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西内 健一 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トラッキング用の溝を有する基板と、前
    記基板上に形成され、レーザー光の照射によって相変化
    を生じて光学定数の異なる状態へ移行し得る記録薄膜と
    を少なくとも備えた光学情報記録媒体に、所定の波長の
    レーザー光の照射によって記録を行う光学情報記録方法
    であって、前記記録薄膜に記録された情報を再生するレ
    ーザー光の波長λに対し、前記基板の光学的溝深さが下
    記(数1)の範囲にあり、かつ、前記光学情報記録媒体
    の未記録領域と記録マーク領域における反射率が略等し
    く、前記光学情報記録媒体の未記録領域からの反射光の
    位相φ1 と記録マーク領域からの反射光の位相φ2 の差
    Δφ1、2 が下記(数2)の範囲にあれば、溝内に記録を
    行うことを特徴とする光学情報記録方法。 【数1】 【数2】
  2. 【請求項2】 トラッキング用の溝を有する基板と、前
    記基板上に形成され、レーザー光の照射によって相変化
    を生じて光学定数の異なる状態へ移行し得る記録薄膜と
    を少なくとも備えた光学情報記録媒体に、所定の波長の
    レーザー光の照射によって記録を行う光学情報記録方法
    であって、前記記録薄膜に記録された情報を再生するレ
    ーザー光の波長λに対し、前記基板の光学的溝深さが上
    記(数1)の範囲にあり、かつ、前記光学情報記録媒体
    の未記録領域と記録マーク領域における反射率が略等し
    く、前記光学情報記録媒体の未記録領域からの反射光の
    位相φ1 と記録マーク領域からの反射光の位相φ2 の差
    Δφ1、2 が下記(数3)の範囲にあれば、溝間のランド
    部に記録を行うことを特徴とする光学情報記録方法。 【数3】
  3. 【請求項3】 所定の波長のレーザー光の照射よって情
    報を記録・再生する装置に用いる光学情報記録媒体であ
    って、トラッキング用の溝を有する基板と、前記基板上
    に形成され、レーザー光の照射によって相変化を生じて
    光学定数の異なる状態へ移行し得る記録薄膜とを少なく
    とも備え、前記記録薄膜に形成された情報を再生するレ
    ーザー光の波長λに対し、前記基板の光学的溝深さが上
    記(数1)の範囲にあり、かつ、前記光学情報記録媒体
    の未記録領域と記録マーク領域における反射率が略等し
    く、前記未記録領域からの反射光の位相φ1 と前記記録
    マーク領域からの反射光の位相φ2 の差Δφ1、2 が上記
    (数2)の範囲にあることを特徴とする光学情報記録媒
    体。
  4. 【請求項4】 所定の波長のレーザー光の照射よって情
    報を記録・再生する装置に用いる光学情報記録媒体であ
    って、トラッキング用の溝を有する基板と、前記基板上
    に形成され、レーザー光の照射によって相変化を生じて
    光学定数の異なる状態へ移行し得る記録薄膜とを少なく
    とも備え、前記記録薄膜に形成された情報を再生するレ
    ーザー光の波長λに対し、前記基板の光学的溝深さが上
    記(数1)の範囲にあり、かつ、前記光学情報記録媒体
    の未記録領域と記録マーク領域における反射率が略等し
    く、前記未記録領域からの反射光の位相φ1 と前記記録
    マーク領域からの反射光の位相φ2 の差Δφ1、2 が上記
    (数3)の範囲にあることを特徴とする光学情報記録媒
    体。
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