JPH0879716A - ワイドテレビジョン信号処理装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 第２世代ＥＤＴＶ方式において、フィルタ処
理による垂直方向の信号のレベル変動を小さくできる送
信側のワイドテレビジョン信号処理装置を提供する。 【構成】 ワイドテレビ信号源１００の輝度信号はプレ
フィルタ１０１を通った後、４−３変換垂直ローパスフ
ィルタ１０２に入力され、有効走査線４８３本の信号を
有効走査線３６２本の信号に変換する。有効走査線３６
２本の信号はＳＳＫＦ垂直ハイパスフィルタ１０３とＳ
ＳＫＦ垂直ローパスフィルタ１０４に入力される。有効
走査線３６２本の信号が入力されるので、３タップのＳ
ＳＫＦ垂直ハイパスフィルタ１０３では、フィルタ処理
による信号のレベル変動を小さくするための処理は必要
がない。同様に、５タップのＳＳＫＦ垂直ローパスフィ
ルタ１０４では、前述の処理の規模を従来より削減する
ことができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、現行のテレビジョン放
送で使用されている伝送帯域内で、現行のテレビジョン
放送との両立性を保ちながら、現行のテレビジョンに比
べて高画質でアスペクト比が大きい画像を伝送できる、
レターボックス方式のワイドテレビジョン信号の送信側
の信号処理装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】現行のカラーテレビジョン放送は、日本
や米国ではＮＴＳＣ方式として走査線数５２５本、２：
１飛び越し走査、輝度信号水平帯域幅４．２ＭＨｚ、ア
スペクト比４：３という諸仕様（例えば、文献：放送技
術双書カラーテレビジョン日本放送協会編、日本放送出
版協会、１９６１年を参照）を有しているが、昭和３５
年に開始されて以来、３０年以上が経過している。その
間、高精細な画面に対する要求とテレビジョン受信機の
性能向上に伴い、各種の新しいテレビジョン方式が提案
されている。また、サービスされる番組の内容自体も単
なるスタジオ番組や中継番組などから、シネマサイズの
映画の放送など、より高画質で臨場感を伴う映像を有す
る番組へと変化してきている。

【０００３】このような背景のもとで現行放送との両立
性及び、画面のワイド化を図ったワイドテレビジョン信
号放送方式が提案されている。いわゆる第２世代ＥＤＴ
Ｖ暫定方式として知られているもので、有効走査線数を
フレーム当り４８０本から３６０本に圧縮し、上下に黒
の部分（以下、無画部と称する）を残す。こうすること
によって、アスペクト比は１６：９になるが、垂直の解
像度が落ちるので３６０ＴＶ本から４８０ＴＶ本までの
成分を垂直高域成分（以下、ＶＨ信号と称する）として
特に静止画の場合に伝送する必要がある。通常このＶＨ
信号は上下の無画部で伝送される。さらに信号源として
１：１の順次走査を用いたものを使用する場合には、
２：１飛び越し走査に変換する際に生成されるいわゆる
垂直時間高域成分（以下、ＶＴ信号と称する）を伝送す
る。このＶＴ信号も上下の無画部で伝送する。また水平
の解像度を上げるために現行の水平解像度４．２ＭＨｚ
を拡大し、それ以上の帯域を水平高域成分（以下、ＨＨ
信号と称する）として特に静止画の場合に画面内に多重
して伝送する。

【０００４】ワイドテレビ信号は水平走査線が５２５本
で、１：１の順次走査、輝度信号の水平周波数帯域が約
６ＭＨｚ程度である。一方従来から用いられている通常
のテレビ信号は水平走査線が５２５本、２：１飛び越し
走査、輝度信号水平周波数帯域４．２ＭＨｚ程度であ
る。これは現行のＮＴＳＣ方式によるテレビ放送で主と
して使用されている。ワイドテレビ信号を現行のＮＴＳ
Ｃ方式によるテレビ放送と互換性を保ちつつ伝送する第
２世代ＥＤＴＶ暫定方式では、伝送路との互換性を保つ
ためワイドテレビ信号を走査線５２５本、２：１飛び越
し走査、輝度信号水平周波数帯域４．２ＭＨｚの信号に
変換する信号処理が送信側で必要となる。この変換処理
を行う装置がエンコーダである。

【０００５】図２は第２世代ＥＤＴＶ暫定方式として公
知のエンコーダの主画部の輝度信号処理系とＶＴ信号処
理系のブロック図の１例を示す。水平走査線数５２５本
でアスペクト比が１６：９の順次走査のワイドテレビ信
号源１００が出力する輝度信号はプレフィルタ１０１に
入力される。一般にプレフィルタ１０１は現行受信機で
ワイドテレビ信号を受信したときのラインフリッカ妨害
を抑えると共に、輝度信号とＨＨ信号や色信号とのクロ
ストークを抑えるためのフィルタである。プレフィルタ
１０１の出力信号はＶＨ信号を生成する垂直高域成分処
理部と４−３変換垂直ローパスフィルタ（＝低域通過フ
ィルタ、以下ＬＰＦと称する）１０２に入力される。４
−３変換垂直ＬＰＦ１０２は折り返し防止のため垂直解
像度を約３６０ＴＶ本以下に制限し、有効走査線を４８
０本から３６０本に変換する。次に、３６０本に変換さ
れた４−３変換垂直ＬＰＦ１０２の出力信号はＳＳＫＦ
垂直ハイパスフィルタ（＝高域通過フィルタ、以下ＨＰ
Ｆと称する）２０３とＳＳＫＦ垂直ＬＰＦ２０４に入力
される。ＳＳＫＦフィルタは完全再構成可能な分離、合
成フィルタの一種であり、Ｓｙｍｍｅｔｒｉｃ Ｓｈｏ
ｒｔ ＫｅｒｎｅｌＦｉｌｔｅｒの略称である。主画部
を構成する信号経路ではまず、ＳＳＫＦ垂直ＬＰＦ２０
４で垂直低域成分が取り出される。順次−飛び越し変換
器（以下Ｐ−Ｉ変換器と称する）１０６は３６０本の順
次走査線から１８０本の飛び越し走査線に変換し、主画
部の輝度信号を生成する。

【０００６】次に、Ｐ−Ｉ変換器１０６で変換されたと
きに失われる成分を抽出した信号であるＶＴ信号の信号
経路ではまず、ＳＳＫＦ垂直ＨＰＦ２０３で垂直高域成
分をもつＶＴ信号が生成される。さらに、Ｐ−Ｉ変換器
１０５で３６０本の順次走査線から１８０本の飛び越し
走査線に変換して出力する。

【０００７】このようにして生成されたフィールド当り
１８０本分のＶＴ信号はＶＨ信号と上下配置処理部１０
７で加算され、さらに時間軸が１／３に圧縮された後、
主画部の輝度信号と合成される。すなわち、主画部の１
８０本の期間にはＰ−Ｉ変換器１０６の出力信号を、上
下の無画部では１／３に圧縮されたＶＨ信号とＶＴ信号
の両方を出力する。上下配置処理部１０７の出力輝度信
号はＮＴＳＣエンコーダに入力され、輝度信号と色差信
号が合成され、さらに、妨害低減処理やＨＨ信号多重処
理がされる。

【０００８】このように、第２世代ＥＤＴＶ暫定方式と
して公知のエンコーダでは、特に、主画部の輝度信号処
理系とＶＴ信号処理系でいくつかの垂直フィルタ処理が
含まれるため、垂直フィルタ処理による垂直方向の信号
のレベル変動が主画部の輝度信号とＶＴ信号の先頭部、
及び最終部のラインに現れる。この垂直フィルタ処理に
よる垂直方向の信号のレベル変動を小さくするために、
４−３変換垂直ＬＰＦ１０２とＳＳＫＦ垂直ＨＰＦ２０
３とＳＳＫＦ垂直ＬＰＦ２０４のフィルタ係数を走査線
毎に変える処理（以下、ミラー処理と称する）を行うこ
とができる。

【０００９】（表１）に、ＳＳＫＦ垂直ＨＰＦ２０３と
ＳＳＫＦ垂直ＬＰＦ２０４のミラー処理を含むフィルタ
係数の種類を示す。（表１）のセンターライン番号は、
ＳＳＫＦフィルタのセンターの位相にある走査線が垂直
ブランキング信号の立ち下がりから数えて何番目である
かを表わす。

【００１０】

【表１】

【００１１】ＳＳＫＦ垂直ＨＰＦ２０３のセンターライ
ンが１０６ライン目から４６３ライン目までは、次式で
示される３タップの垂直フィルタのフィルタ係数（（表
１）中の通常に相当する）がＲＯＭなどから設定され
る。

【００１２】

【数１】

【００１３】ＳＳＫＦ垂直ＨＰＦ２０３のセンターライ
ンが１０５ライン目と４６４ライン目のときは、それぞ
れ、例えば、次式で示される垂直フィルタのフィルタ係
数（それぞれ（表１）中のミラー処理用３、ミラー処理
用４に相当する）がＲＯＭなどから設定される。

【００１４】

【数２】

【００１５】

【数３】

【００１６】これはＳＳＫＦ垂直ＨＰＦ２０３に入力さ
れる映像信号が１０５ライン目から４６４ライン目まで
の３６０本の走査線にしかないために、（数１）で表わ
されるフィルタ処理をすると、フィルタ出力信号の先頭
ラインと最終ラインのレベルが他のラインのレベルに対
して不連続に変動するからである。同様に、ＳＳＫＦ垂
直ＬＰＦ２０４のセンターラインが１０７ライン目から
４６２ライン目までは、次式で示される５タップの垂直
フィルタのフィルタ係数（（表１）中の通常に相当す
る）がＲＯＭなどから設定される。

【００１７】

【数４】

【００１８】ＳＳＫＦ垂直ＬＰＦ２０４のセンターライ
ンが１０５ライン目、１０６ライン目、４６３ライン
目、及び４６４ライン目のときは、それぞれ、例えば、
次式で示される垂直フィルタのフィルタ係数（それぞれ
（表１）中のミラー処理用５、ミラー処理用６、ミラー
処理用７、ミラー処理用８に相当する）がＲＯＭなどか
ら設定される。

【００１９】

【数５】

【００２０】

【数６】

【００２１】

【数７】

【００２２】

【数８】

【００２３】これはＳＳＫＦ垂直ＬＰＦ２０４に入力さ
れる映像信号が１０５ライン目から４６４ライン目まで
の３６０本の走査線にしかないために、（数４）で表わ
されるフィルタ処理をすると、フィルタ出力信号の先頭
ラインと最終ラインのレベルが他のラインのレベルに対
して不連続に変動するからである。このように、垂直フ
ィルタ処理による垂直方向の信号のレベル変動を小さく
するために、特に、ＳＳＫＦ垂直ＨＰＦ２０３とＳＳＫ
Ｆ垂直ＬＰＦ２０４のフィルタ係数を走査線毎に変える
ミラー処理を行う回路が必要となる。

【００２４】

【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる問題に
鑑みてなされたもので、ＳＳＫＦ垂直フィルタ処理によ
って、主画部の輝度信号とＶＴ信号の先頭部と最終部の
ラインに現れる信号のレベル変動を比較的簡単な方法で
小さくする。

【００２５】

【課題を解決するための手段】上記問題を解決するため
に、本発明のワイドテレビジョン信号処理装置では、ワ
イドテレビ信号源から出力される、映像信号が載ってい
る４８３本の有効走査線を４−３変換垂直ＬＰＦで３６
２本の有効走査線に変換し、有効走査線数３６２本の信
号をＳＳＫＦ垂直ＨＰＦとＳＳＫＦ垂直ＬＰＦに入力す
る。ＳＳＫＦ垂直ＨＰＦとＳＳＫＦ垂直ＬＰＦの出力信
号はそれぞれＰ−Ｉ変換器に入力され、有効走査線数３
６２本の順次走査から有効走査線数１８１本の飛び越し
走査に変換される。飛び越し走査線１８１本の主画部の
輝度信号とＶＴ信号は上下配置処理部に入力され、上下
無画部６０本、主画部１８０本のレターボックス処理な
どの第２世代ＥＤＴＶ暫定処理がなされて送信される。

【００２６】

【作用】本発明は上記した方法によって、４−３変換垂
直ＬＰＦの出力信号が有効走査線数３６２本の信号であ
るので、３タップのＳＳＫＦ垂直ＨＰＦでは垂直フィル
タ処理による先頭と最終のラインに現れる信号のレベル
変動を小さくするためのミラー処理は不要になる。５タ
ップのＳＳＫＦ垂直ＬＰＦではミラー処理の規模を従来
に比べて削減することができる。さらに、垂直フィルタ
処理による主画部の輝度信号とＶＴ信号の先頭部と最終
部のラインに現れる信号のレベル変動は従来に比べてよ
り小さくすることができる。

【００２７】

【実施例】以下本発明の一実施例のワイドテレビジョン
信号処理装置について、図面を参照しながら説明する。

【００２８】図１は本発明のワイドテレビジョン信号処
理装置であるエンコーダの主画部の輝度信号処理系とＶ
Ｔ信号処理系のブロック図を示す。水平走査線数５２５
本（有効走査線数４８３本）でアスペクト比が１６：９
の順次走査のワイドテレビ信号源１００は輝度信号Ｙ及
び色差信号Ｉ，ＱまたはＲ−Ｙ，Ｂ−Ｙを出力する。ワ
イドテレビ信号源１００の出力輝度信号はプレフィルタ
１０１に入力される。前述のように、プレフィルタは現
行受信機でワイドテレビ信号を受信したときのラインフ
リッカ妨害を抑えると共に、輝度信号とＨＨ信号や色信
号とのクロストークを抑えるためのフィルタである。プ
レフィルタ１０１から出力される信号は垂直高域成分処
理部へ送られて、図２に示したエンコーダと同様、ＶＨ
信号を取り出すための第２世代ＥＤＴＶ暫定処理がなさ
れていく。プレフィルタ１０１から出力される有効走査
線数４８３本の信号は４−３変換垂直ＬＰＦ１０２にも
入力される。

【００２９】４−３変換垂直ＬＰＦ１０２は折り返し防
止のため垂直解像度を約３６０ＴＶ本以下に制限し、有
効走査線を４８３本から３６２本に変換する。有効走査
線数が３６２本の信号は、図２で説明した有効走査線数
が３６０本の信号の上下にラインが１本ずつ増えた信号
である。ワイドテレビ信号源１００の有効走査線数が４
８３本あるので、４−３変換垂直ＬＰＦ１０２では有効
走査線３６２本の信号を出力することができる。但し、
有効走査線数が３６２本の信号の１ライン目と３６２ラ
イン目の信号はＰ−Ｉ変換器１０５やＰ−Ｉ変換器１０
６、あるいは上下配置処理部１０７で間引かれ、第２世
代ＥＤＴＶ暫定処理されて伝送されることはない。４−
３変換垂直ＬＰＦ１０２の出力信号はＳＳＫＦ垂直ＨＰ
Ｆ１０３とＳＳＫＦ垂直ＬＰＦ１０４に入力され、それ
ぞれＶＴ信号と主画部の輝度信号の成分を生成する。Ｓ
ＳＫＦ垂直ＨＰＦ１０３は（数１）で表わされる３タッ
プのフィルタであり、有効走査線数３６２本の信号を入
力信号とする。さらに、有効走査線数３６２本の信号の
１ライン目と３６２ライン目の信号はエンコード画像と
して伝送されない。したがって、ＳＳＫＦ垂直ＨＰＦ１
０３ではミラー処理を用いなくても、エンコード画像と
して伝送される走査線数が１８０本分の信号には垂直フ
ィルタ処理による垂直方向の信号のレベル変動は原理的
に生じない。

【００３０】（表２）に、本発明のＳＳＫＦ垂直ＨＰＦ
１０３とＳＳＫＦ垂直ＬＰＦ１０４のフィルタ係数の種
類を示す。（表２）のセンターライン番号は、（表１）
と同様に、ＳＳＫＦフィルタのセンターの位相にある走
査線が垂直ブランキング信号の立ち下がりから数えて何
番目であるかを表わす。前述したように、ＳＳＫＦ垂直
ＨＰＦ１０３ではミラー処理は不要であるので、常に、
（数１）で示される３タップの垂直フィルタのフィルタ
係数（（表２）中の通常に相当する）がＲＯＭなどから
設定される。

【００３１】

【表２】

【００３２】次に、ＳＳＫＦ垂直ＬＰＦ１０４は、本来
（数４）で示される５タップのフィルタであり、有効走
査線数３６２本の信号を入力信号とし、有効走査線数３
６２本の信号の１ライン目と３６２ライン目の信号はエ
ンコード画像として伝送されない。したがって、垂直フ
ィルタ処理による主画部の輝度信号の先頭部と最終部の
ラインに現れる信号のレベル変動を小さくしようとする
と、ＳＳＫＦ垂直ＬＰＦ１０４ではミラー処理が必要で
ある。これはＳＳＫＦ垂直ＬＰＦ１０４は入力される映
像信号の走査線が３６２本あっても、（数４）で表わさ
れる５タップのフィルタであるから、エンコード画像と
して伝送される走査線が１８０本分の信号には不連続な
レベル変動が残ってしまう。しかし、ＳＳＫＦ垂直ＬＰ
Ｆ２０４のように、４種類のミラー処理用フィルタ係数
は必要ではなく、２種類のミラー処理用フィルタ係数で
対応できる。（表２）に示すように、ＳＳＫＦ垂直ＬＰ
Ｆ１０４のセンターラインが１０６ライン目から４６３
ライン目までは、（数４）で示される５タップの垂直フ
ィルタのフィルタ係数（（表２）中の通常に相当する）
がＲＯＭなどから設定される。ＳＳＫＦ垂直ＬＰＦ１０
４のセンターラインが１０５ライン目と４６４ライン目
のときは、それぞれ、例えば、（数６）、（数７）で示
される垂直フィルタのフィルタ係数（それぞれ（表２）
中のミラー処理用１、ミラー処理用２に相当する）がＲ
ＯＭなどから設定される。ＳＳＫＦ垂直ＨＰＦ１０３と
ＳＳＫＦ垂直ＬＰＦ１０４の出力信号は、それぞれＰ−
Ｉ変換器１０５、Ｐ−Ｉ変換器１０６に入力され、３６
２本の順次走査線から１８１本の飛び越し走査線に変換
される。

【００３３】このようにして生成されたフィールド当り
１８１本分のＶＴ信号はＶＨ信号と上下配置処理部１０
７で加算される。さらに、エンコード画像として伝送さ
れる、フィールド当り１８０本分のＶＴ信号とＶＨ信号
に対して、時間軸が１／３に圧縮される。上下配置処理
部１０７に入力される主画部の輝度信号はフィールド当
り１８１本分であるが、エンコード画像として伝送され
る、フィールド当り１８０本分が抽出され、時間軸が１
／３に圧縮されたＶＴ信号やＶＨ信号と合成される。

【００３４】すなわち、主画部の１８０本の期間にはＰ
−Ｉ変換器１０６の出力信号から抽出された信号を、上
下の無画部では１／３に圧縮されたＶＨ信号とＶＴ信号
の両方を出力する。上下配置処理部１０７の出力輝度信
号はＮＴＳＣエンコーダに入力され、輝度信号と色差信
号が合成され、さらに、妨害低減処理やＨＨ信号多重処
理がされる。

【００３５】

【発明の効果】以上の説明から明らかなように、現行の
テレビ放送方式と互換性を保ちつつ、画面をワイドにす
るいわゆるレターボックス方式のワイドテレビジョン信
号処理装置において、４−３変換垂直ＬＰＦの出力信号
が有効走査線数３６２本の信号であるので、３タップの
ＳＳＫＦ垂直ＨＰＦでは垂直フィルタ処理による先頭部
と最終部のラインに現れる信号のレベル変動を小さくす
るためのミラー処理は不要になる。５タップのＳＳＫＦ
垂直ＬＰＦではミラー処理の規模を従来に比べて削減す
ることができる。さらに、垂直フィルタ処理による主画
部の輝度信号とＶＴ信号の先頭部と最終部のラインに現
れる信号のレベル変動は従来に比べてより小さくするこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例にかかわるワイドテレビジョン
信号処理装置であるエンコーダの主画部の輝度信号処理
系とＶＴ信号処理系のブロック図

【図２】第２世代ＥＤＴＶ暫定方式として公知のエンコ
ーダの主画部の輝度信号処理系とＶＴ信号処理系のブロ
ック図

【符号の説明】

１００ ワイドテレビ信号源 １０１ プレフィルタ １０２ ４−３変換垂直ＬＰＦ １０３，２０３ ＳＳＫＦ垂直ＨＰＦ １０４，２０４ ＳＳＫＦ垂直ＬＰＦ １０５，１０６ Ｐ−Ｉ変換器 １０７ 上下配置処理部

フロントページの続き (72)発明者 瀬藤 幸児 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 アスペクト比が１６：９のワイドテレビ
   信号を現行のアスペクト比が４：３のテレビ信号規格と
   互換性を有しつつ伝送するレターボックス方式の送信側
   において、ワイドテレビ信号源の有効走査線数４８３本
   の輝度信号を３６２本の有効走査線に変換する４→３変
   換垂直ローパスフィルタの出力信号を、垂直時間高域成
   分を生成する垂直ハイパスフィルタと、主画部の輝度信
   号を生成する垂直ローパスフィルタに入力することを特
   徴とするワイドテレビジョン信号処理装置。