JPH0872420A - 熱転写インクシート - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 インク層に疎水化カチオン染料を使用した熱
転写インクシートにおいて、保存時の裏移りを防止し、
また熱転写時の地汚れを防止する。 【構成】 シート状基材２上に、疎水化カチオン染料を
含有するインク層３を有する熱転写インクシート１にお
いて、該インク層３に、疎水化カチオン染料の吸着保持
剤を含有させる。疎水化カチオン染料の吸着保持剤とし
ては、球状シリコーン、粘土鉱物、Ａｌ_２Ｏ_３、ＳｉＯ
_２又はＴｉＯ_２を使用する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、昇華型熱転写記録に使
用する熱転写インクシートに関する。さらに詳しくは、
本発明は疎水化カチオン染料を使用した熱転写インクシ
ートであって、この熱転写インクシートを巻き回して保
存した場合の染料の裏移りや印画時の地汚れを防止した
熱転写インクシートに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、印画紙等の被転写体と熱転写
インクシートとを重ね合わせ、それをサーマルヘッドや
レーザ等の加熱手段を用いて画像信号に応じて選択的に
加熱し、熱転写インクシートから被転写体に染料を転写
させて画像を形成する熱転写記録方法が広く行われてい
る。熱転写記録方法としては、熱転写インクシートのイ
ンク層を熱可塑性樹脂等のバインダー樹脂と染料もしく
は顔料とから形成し、そのインク層を熱溶融させて被転
写体に転写させる熱溶融型熱転写記録方法と、インク層
を昇華性又は熱拡散性染料とバインダー樹脂とから形成
し、この昇華性又は熱拡散性染料を被転写体に昇華又は
熱拡散させて転写させる昇華型熱転写記録方法が知られ
ている。このうち、昇華型熱転写記録方法は、加熱エネ
ルギーに応じて階調性を有するフルカラー画像を得るこ
とができるので、ビデオカメラ、テレビ、コンピュータ
グラフィックス等の画像をハードコピーする技術として
注目されている。

【０００３】この昇華型熱転写記録に使用する昇華性又
は熱拡散性染料としては、従来より一般に分散染料が使
用されている。しかし、分散染料は転写感度、画像の色
相及び耐光性の点で実用上十分とはいえない。

【０００４】そこで、本出願人は、先に疎水化カチオン
染料を使用することを提案した（特開平６−４０１７２
号公報の特許請求の範囲）。即ち、カチオン染料は特有
の鮮明さ、高着色性、及び高耐光性を有する染料として
知られているが、これ自体は親水性であるため、インク
層に使用するバインダー樹脂中に均一に安定性よく分散
させることが困難である。これに対し、カチオン染料の
ハロゲン等の対イオンを有機アニオンと交換することに
より疎水化するとバインダー樹脂中に均一に安定性よく
分散させることができる。したがって、疎水化カチオン
染料はインク層に使用する染料として有用なものとな
る。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、疎水化
カチオン染料を使用した熱転写インクシートにおいて
は、その熱転写インクシートを巻き回し、熱転写インク
シートの表面のインク層と熱転写インクシートの裏面と
が重なり合うようにして保存した場合、保存中にインク
層から熱転写インクシートの裏面に染料が移行するとい
う裏移りの問題があった。

【０００６】また、この熱転写インクシートを使用して
熱転写した時に被転写体に地汚れが生じるという問題も
あった。この地汚れは、特に、低階調部で問題となって
いた。

【０００７】本発明は以上のような従来技術の課題を解
決しようとするものであり、疎水化カチオン染料を使用
した熱転写インクシートについて、保存時の裏移りを防
止し、また熱転写時の地汚れを防止することを目的とす
る。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明者は、熱転写イン
クシートのインク層を形成する染料として疎水化カチオ
ン染料を使用した場合に、インク層中に疎水化カチオン
染料の吸着保持剤を含有させると、熱転写インクシート
の保存時の裏移りや熱転写時の地汚れを防止できること
を見出し、本発明を完成させるに至った。

【０００９】即ち、シート状基材上に、疎水化カチオン
染料を含有するインク層を有する熱転写インクシートに
おいて、該インク層が、疎水化カチオン染料の吸着保持
剤を含有することを特徴とする熱転写インクシートを提
供する。

【００１０】以下、本発明を詳細に説明する。

【００１１】図１は、第１の本発明の熱転写インクシー
ト１の基本的な態様の断面図である。同図のように、こ
の熱転写インクシート１は、シート状基材２の上にイン
ク層３を有している。またインク層３と反対側のシート
状基材２の表面には耐熱滑性層４を有している。

【００１２】ここで、シート状基材２は従来の熱転写イ
ンクシートのシート状基材と同様に構成することがで
き、例えば、ＰＥＴ等のポリエステルフィルム、ポリイ
ミドフィルム、ナイロン等のポリアミドフィルムなどの
樹脂シートや、コンデンサーペーパー、グラシン紙等の
紙類を使用することができる。その厚さは、通常３〜２
０μｍとすることが好ましい。

【００１３】インク層３は染料として疎水化カチオン染
料を含有し、さらに疎水化カチオンの染料吸着保持剤を
含有することを特徴としている。

【００１４】疎水化カチオン染料としては、特開平６−
４０１７２号公報の特許請求の範囲、段落［０００９］
〜［００１５］に記載されている染料を好ましく使用す
ることができる。即ち、イエロー染料としては、式
（１）

【００１５】

【化１】 （式中、Ｒ¹ 、Ｒ² 、Ｒ³ 及びＲ⁴ は、独立的に水素原
子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、シクロアル
キル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ
基、アラルキル基、アラルコキシ基、アルケニル基、ア
ルケノキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ
基又はアシル基であり、これらは置換されていてもよ
く、Ｚ⁻は対イオンである）のジアザカルボシアニン系
カチオン染料の対イオンを、有機アニオンと交換するこ
とにより得られる疎水化カチオン染料を使用することが
できる。ここで、有機アニオンと交換する前のカチオン
染料の例としては、Ｃ．Ｉ．Ｂａｓｉｃ Ｙｅｌｌｏｗ
２８、同５１等や特開昭４７−４８８１号公報等に記
載の染料をあげることができる。

【００１６】他のイエロー染料としては、Ｃ．Ｉ．Ｂａ
ｓｉｃ Ｙｅｌｌｏｗ ２１、同３６、同６７又は同７
３のカチオン染料の対イオンを、有機アニオンと交換す
ることにより得られる疎水化カチオン染料を使用するこ
とができる。

【００１７】マゼンタ染料としては、式（２）

【００１８】

【化２】 （式中、Ｒ²¹、Ｒ²²、Ｒ²³、Ｒ²⁴及びＲ²⁵は、独立的に
水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、シク
ロアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオ
キシ基、アラルキル基、アラルコキシ基、アルケニル
基、アルケノキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル
オキシ基又はアシル基であり、これらは置換されていて
もよく、またＲ²⁴とＲ²⁵とは互いに連結して環を形成し
てもよく、Ｚ⁻は対イオンである）のヘミシアニン系カ
チオン染料の対イオンを、有機アニオンと交換すること
により得られる疎水化カチオン染料を使用することがで
きる。ここで、有機アニオンと交換する前のカチオン染
料の例としては、Ｃ．Ｉ．Ｂａｓｉｃ Ｒｅｄ １３、
同１４、Ｃ．Ｉ．Ｂａｓｉｃ Ｖｉｏｌｅｔ ７、同１
６、Ｃ．Ｉ．４８０２５、同４８０３０等や、ＵＳＰ３
３７９７２３、特公昭３４−６９４号公報、特公昭４０
−１９９５１号公報、特公昭４５−２８０２４号公報、
特公昭５０−７０８７号公報、特開昭５０−１４９７２
３号公報等に記載の染料をあげることができる。

【００１９】シアン染料としては、式（３ａ）又は（３
ｂ）

【００２０】

【化３】 （式中、Ｒ³¹、Ｒ³²、Ｒ³³、Ｒ³⁴、Ｒ³⁵、Ｒ³⁶、Ｒ³⁷、
Ｒ³⁸、Ｒ³⁹、Ｒ³¹⁰ 、Ｒ³¹¹ 及びＲ³¹² は、独立的に水
素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、シクロ
アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキ
シ基、アラルキル基、アラルコキシ基、アルケニル基、
アルケノキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキ
シ基又はアシル基であり、これらは置換されていてもよ
く、またＲ³¹とＲ³²、Ｒ³³とＲ³⁴、Ｒ³⁷とＲ³⁸、Ｒ³⁹と
Ｒ³¹⁰ 、Ｒ³¹⁰ とＲ³¹¹ 、及びＲ³¹¹ とＲ³¹² とはそれ
ぞれ互いに連結して環を形成してもよく、Ｚ⁻は対イオ
ンである）のオキサジン系カチオン染料の対イオンを、
有機アニオンと交換することにより得られる疎水化カチ
オン染料を使用することができる。ここで、有機アニオ
ンと交換する前のカチオン染料の例としては、Ｃ．Ｉ．
Ｂａｓｉｃ Ｂｌｕｅ ３、同６、同１０、同１２、同
４９、同７５、同８７、同９５、同９６、同１０１、同
１０４、同１０７、同１０８、同１１４、同１２２、同
１２４、同１４１、同１５１、同１５５、Ｃ．Ｉ．５１
０１５等や、特公昭４５−２５７８８号公報、特開昭４
７−１３６３８号公報、ＢＰ１３５６５／９０、ＢＰ１
８６２３／９０、ＵＳＰ２７４１６０５、ＵＳＰ４９４
８３８、ＦＰ２１１０３５、ＧＰ６２３６７、ＧＰ６３
２３８、ＧＰ６８５５７、ＧＰ６８５５８、ＧＰ６９８
２０、ＧＰ７１２５０等に記載の染料をあげることがで
きる。

【００２１】また、これらの染料の対イオンとなる有機
アニオンとしては、特開平６−４０１７２号公報の段落
［００１７］〜［００２４］に記載されているような、
アニオン性界面活性剤のイオンを使用することができ
る。即ち、 （１）カルボン酸アニオン類 （１ａ）せっけん（ＲＣＯＯ⁻） （１ｂ）Ｎ−アシルアミノ酸（ＲＣＯＮ−ＣＯＯ⁻） （１ｃ）アルキルエーテルカルボン酸（ＲＯ（Ｃ_２Ｈ_４
Ｏ）_ｎＣＯＯ⁻） （２）スルホン酸アニオン類 （２ａ）アルキルスルホン酸（ＲＳＯ_３ ⁻） （２ｂ）アルキルベンゼンスルホン酸（式（４））

【００２２】

【化４】 （２ｃ）アルキルナフタレンスルホン酸（式（５））

【００２３】

【化５】 （２ｄ）スルホコハク酸（式（６））

【００２４】

【化６】 （２ｅ）α−オレフィンスルホン酸 （２ｆ）Ｎ−アシルスルホン酸（−ＣＯＮ−ＳＯ_３ ⁻） （３）硫酸エステルアニオン類 （３ａ）硫酸化油 （３ｂ）アルキル硫酸（ＲＯＳＯ_３ ⁻） （３ｃ）アルキルエーテル硫酸（ＲＯ（Ｃ_２Ｈ_４Ｏ）_ｎ
ＳＯ_３ ⁻） （３ｄ）アルキルアリールエーテル硫酸（式（７））

【００２５】

【化７】 （３ｅ）アルキルアミド硫酸（ＲＣＯＮＨ−ＯＳ
Ｏ_３ ⁻） （４）リン酸エステルアニオン類 （４ａ）アルキルリン酸（式（８）、（９））

【００２６】

【化８】 （４ｂ）アルキルエーテルリン酸（式（１０）、（１
１））

【００２７】

【化９】 （４ｃ）アルキルアリールエーテルリン酸 なお、上述の有機アニオンにおいて、入手容易性とコス
トの点からＲ、Ｒａ及びＲｂは好ましくは炭素数５〜２
０の直鎖又は分枝アルキル基もしくはアルケニル基であ
る。

【００２８】このような有機アニオンの中でも、（２
ｄ）のスルホコハク酸アニオン、例えばジエチルヘキシ
ルスルホコハク酸アニオン、（２ｂ）のアルキルベンゼ
ンスルホン酸アニオン、例えばドデシルベンゼンスルホ
ン酸アニオン、（３ｂ）のアルキル硫酸アニオン、例え
ばラウリル硫酸アニオン又は（１ａ）のせっけんアニオ
ンを好ましく使用することができる。

【００２９】なお、本発明の熱転写インクシート１のイ
ンク層３には必要に応じて、上述のような疎水化カチオ
ン染料以外の染料を含むことができる。

【００３０】一方、インク層３が含有する疎水化カチオ
ンの吸着保持剤としては、球状シリコーン、粘土鉱物、
Ａｌ_２Ｏ_３、ＳｉＯ_２、ＴｉＯ_２、ＺｎＯ等を使用する
ことができ、特に、入手コストの点から粘土鉱物、特に
焼成クレイ、カオリン等を使用することが好ましい。

【００３１】このような吸着保持剤は、インク層のバイ
ンダー樹脂の中で疎水化カチオン染料を吸着するので、
熱転写インクシートの保存時の染料の裏移りを防止する
ことができる。なお、この疎水化カチオン染料の吸着保
持力は、熱転写時の加熱により染料が印画紙等の被転写
体に移行することを妨げない程度の強さであるため、疎
水化カチオン染料の吸着保持剤をインク層に含有させる
ことが転写感度に悪影響を及ぼすことはない。また、吸
着保持剤の粒子径は、インク層３の厚さ以下とすること
が好ましい。

【００３２】疎水化カチオン染料の吸着保持剤のインク
層３における含有量は、少なすぎると裏移り防止効果が
不十分であり、多すぎるとインク層３の成膜性が低下す
るため、通常、インク層の１〜４０重量％とすることが
好ましい。

【００３３】染料として疎水化カチオン染料を含有し、
かつ疎水化染料の吸着保持剤を含有する以外のインク層
３の構成は、従来の昇華型熱転写記録用のインク層と同
様とすることができる。例えば、インク層３中で染料を
保持するバインダー樹脂としてはブチラール樹脂、ポリ
ビニルアルキルアセタール樹脂、セルロースエステル樹
脂、セルロースエーテル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエス
テル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂等を使用することができ
る。

【００３４】また、インク層３は、必要に応じて他の成
分、例えば、疎水性ポリマーバインダー、可塑剤、溶
剤、粘結剤等を含有することができる。

【００３５】インク層３は、以上のような各成分を混合
して得られるインク層形成用組成物をシート状基材２の
上の所定の領域にワイヤーバーコーター等で塗布して形
成することができる。また、その厚さは通常０．５〜
５．０μｍとすることが好ましい。

【００３６】また、インク層３としては、単一色のみを
形成してもよく、複数色を面順次に形成してもよい。例
えば図２に示すように、イエローＹ、マゼンタＭ、シア
ンＣ、ブラックＢの各色のインク層を面順次に形成する
ことができる。

【００３７】一方、図１に示した熱転写インクシート１
において、耐熱滑性層４は、熱転写時に熱転写インクシ
ートとサーマルヘッドとが融着し、走行不良を引き起こ
すスティッキングを防止するために、必要に応じて設け
られる。耐熱滑性層４は公知の熱転写インクシートの耐
熱滑性層と同様に形成することができ、例えば酢酸セル
ロース、エポキシ樹脂等の高軟化点樹脂から形成するこ
とができる。この場合、シリコーンオイル、ワックス、
脂肪酸アミド等の滑剤を高軟化点樹脂層に内添させても
よく、また、高軟化点樹脂層上に塗布してもよい。

【００３８】本発明の熱転写インクシートは、図１に示
したシート状基材２、インク層３及び耐熱滑性層４の他
に、必要に応じてさらに異なる層を有することができ
る。

【００３９】例えば、被転写体に形成した転写画像の定
着性や耐擦過性等を向上させるために、被転写体に形成
した転写画像上にラミネート層を形成する場合がある
が、このようなラミネート層を熱転写インクシートを用
いて形成できるようにするために、熱転写インクシート
上のインク層と同一面レベルに熱転写性のラミネート層
を形成することができる。例えば図３に示すように、
Ｙ、Ｍ、Ｃの各色のインク層と同一面レベルにラミネー
ト層ｐを形成することができる。このようなラミネート
層は、アクリル系樹脂、セルロースエステル系樹脂、ポ
リエステル系樹脂、ビニル系樹脂等から形成することが
できる。

【００４０】さらに、染料受容層が形成されていない任
意の被転写体に対しても良好に画像を形成できるよう
に、画像の転写に先立って熱転写インクシートから被転
写体に染料受容層を転写する場合があるが、このような
染料受容層の転写を熱転写インクシートを用いて行える
ようにするために、例えば図４に示すように、熱転写イ
ンクシート上の各色のインク層Ｙ、Ｍ、Ｃと同一面レベ
ルに熱転写性の染料受容層ｑを形成することができる。
この場合、染料受容層ｑは、ポリエステル系樹脂、セル
ロースエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ
塩化ビニル系樹脂等の染着性の良好な樹脂から形成する
ことができる。

【００４１】また、本発明の熱転写インクシートには、
以上のような各層の層間の接着性を向上させるためにプ
ライマー層を形成することができる。このようなプライ
マー層は、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ
オールとジイソシアネートからなるプレポリマー等から
形成することができる。

【００４２】本発明の熱転写インクシートは常法にした
がって製造することができる。例えば、シート状基材の
片面に耐熱滑性層形成用塗料を塗布し、硬化させて耐熱
滑性層を形成し、次にシート状基材の反対面にインク層
形成用塗料を塗布し、乾燥させてインク層を形成するこ
とにより製造することができる。

【００４３】本発明の熱転写インクシートは、従来の昇
華型熱転写記録装置で使用することができる。

【００４４】

【作用】本発明の熱転写インクシートによれば、インク
層が疎水化カチオン染料を含有しているので、熱転写記
録において、鮮明で耐光性に優れた染料画像を形成する
ことが可能となる。

【００４５】さらに、このインク層は疎水化カチオン染
料の吸着保持剤も含有しているので、インク層から不要
に疎水化カチオン染料が移行することを抑制する。した
がって、熱転写インクシートの保存時の疎水化カチオン
染料の裏移りや、熱転写時の被転写体の地汚れを防止す
ることができる。

【００４６】

【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説
明する。

【００４７】実施例１、２及び比較例１ シート状基材として裏面に耐熱滑性層を有するＰＥＴフ
ィルム（厚さ６μｍ）を用意した。また、表１の組成の
インク層用組成物を調製した。そして、この組成物をＰ
ＥＴフィルムの上にワイヤーバーを用いて塗布し、１２
０℃の熱風で２分間乾燥し、乾燥膜厚が約１μｍのイン
ク層を形成し、熱転写インクシートを製造した。

【００４８】

【表１】 インク層用組成物（重量部） 実施例１ 実施例２ 比較例１ 染料(*1) １２ １２ １２ バインダー樹脂(*2) １０ １０ １０ 吸着保持剤(*3) ３ ３ − トルエン １２５ １２５ １２５ ＭＥＫ １２５ １２５ １２５ (*1)Ｃ．Ｉ．Ｂａｓｉｃ Ｂｌｕｅ ７５ ラウリル硫酸塩 (*2)デンカブチラール ６０００ＡＳ、電気化学工業社製 (*3)オプチホワイト、白石カルシウム社製（実施例１） トスパール１０５、東芝シリコーン社製（実施例２） （評価） (1) 印画テスト 実施例及び比較例の熱転写インクシートを使用し、カラ
ービデオプリンター（ＣＶＰ−Ｇ５００、ソニー（株）
製）を用いて印画紙（ＵＰＣ−３０１０、ソニー（株）
製）に階調印画を行った。そして、転写感度を評価する
ために、得られた画像の反射濃度をマクベス反射濃度計
を用いて測定し、その最高濃度部の値を求めた。また、
非転写部分の地汚れの有無を目視で調べた。この結果を
表２に示す。

【００４９】

【表２】 実施例１ 実施例２ 比較例２ 最高濃度部の濃度(0.D.) ２．２３ ２．２３ ２．２３ 地汚れの有無 なし なし あり 表２から、実施例の熱転写インクシートは、比較例の熱
転写インクシートと同じ転写感度を有し、しかも地汚れ
を生じさせないことがわかる。 (2) 保存性テスト 熱転写インクシートのインク層と耐熱滑性層とを向かい
合わせ、４０ｇｆ／ｃｍ^２の圧力をかけ、６０℃で７２
時間保存し、インク層から耐熱滑性層への染料の裏移り
の有無を調べた。この場合、裏移りの程度は、耐熱滑性
層の反射濃度を測定し、保存前後の反射濃度の増加量
（ΔO.D.）を求めることにより行った。この結果を表３
に示す。

【００５０】

【表３】 実施例１ 実施例２ 比較例２ 反射濃度の増加量（ΔO.D.） ０．０１ ０．０１ ０．０４ 表３から、実施例の熱転写インクシートでは裏移りが大
きく抑制されていることがわかる。

【００５１】

【発明の効果】本発明によれば、インク層に疎水化カチ
オン染料を使用した熱転写インクシートにおいて、保存
時の裏移りを防止し、また熱転写時の地汚れを防止する
ことが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の熱転写インクシートの断面図である。

【図２】本発明の熱転写インクシートの平面図である。

【図３】本発明の熱転写インクシートの平面図である。

【図４】本発明の熱転写インクシートの平面図である。

【符号の説明】

１ 熱転写インクシート ２ シート状基材 ３ インク層 ４ 耐熱滑性層

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 シート状基材上に、疎水化カチオン染料
   を含有するインク層を有する熱転写インクシートにおい
   て、該インク層が、疎水化カチオン染料の吸着保持剤を
   含有することを特徴とする熱転写インクシート。
2. 【請求項２】 疎水化カチオン染料の吸着保持剤が、球
   状シリコーン、粘土鉱物、Ａｌ_２Ｏ_３、ＳｉＯ_２又はＴ
   ｉＯ_２を含有する請求項１記載の熱転写インクシート。
3. 【請求項３】 疎水化カチオン染料の吸着保持剤が、イ
   ンク層中１〜４０重量％含まれる請求項１又は２記載の
   熱転写インクシート。