JPH0870859A - 動物細胞培養用の無血清培地、および生理活性ペプチドまたは蛋白質の製造法 - Google Patents

動物細胞培養用の無血清培地、および生理活性ペプチドまたは蛋白質の製造法

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JPH0870859A
JPH0870859A JP7150683A JP15068395A JPH0870859A JP H0870859 A JPH0870859 A JP H0870859A JP 7150683 A JP7150683 A JP 7150683A JP 15068395 A JP15068395 A JP 15068395A JP H0870859 A JPH0870859 A JP H0870859A
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JP7150683A
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Hidekazu Sawada
秀和 沢田
Takashi Ito
隆司 伊藤
Kazutaka Maejima
一孝 前島
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Takeda Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Takeda Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】工業的物質生産に使用可能な動物細胞培養用の
無血清培地およびそれを用いる製造法を確立する。 【構成】無機鉄化合物または低分子量の有機鉄化合物、
シクロデキストリンおよび非イオン性界面活性剤を含有
してなる動物細胞培養用の無血清培地、およびそれを用
いる生理活性ペプチドまたは蛋白質の製造法、ならび
に、t−gD−IL−2産生能を有する新規マウスミエ
ローマ細胞。 【効果】本発明の動物細胞培養用の無血清培地は、安価
で、成分組成が明らかであり、ロット間の差がなく均一
であるため、動物細胞培養による生理活性ペプチドまた
は蛋白質の工業的生産に極めて有利に使用できる。特
に、天然には微量にしか存在しないため大量取得が困難
な生理活性ペプチドまたは蛋白質の製造に広く応用する
ことができ、これらの大量供給が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、動物細胞を大量培養す
るための無血清培地、これを用いた生理活性ペプチドま
たは蛋白質の製造法、および、その産生細胞株に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】動物細胞、とりわけ遺伝子組換え動物細
胞の大量培養は、例えばインターフェロン、エリスロポ
イエチン、ティシュープラスミノーゲンアクティベータ
ー、顆粒球コロニー刺激因子、神経成長因子などの生理
活性ペプチドまたは蛋白質、さらに各種ウイルスに対す
るワクチン用の抗原、イムノグロブリン可変領域(Idiot
ype)−顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子(GM
−CSF)融合蛋白質(Idiotype/GM−CSF)(M. T
ao およびR. Levy、ネイチャー(Nature)、第362巻、
第755頁(1993))、t−gD−IL−2融合蛋白質
(S. Hinumaら、フェブスレターズ(FEBS Letters)、第
288巻、第138頁(1991))などの生理活性ペプ
チドまたは蛋白質の製造にとって極めて重要な技術であ
る。生理活性ペプチドまたは蛋白質を生産するための宿
主細胞としては、ヒトバーキットリンパ腫(Namalwa)細
胞やマウス骨髄腫細胞(マウスミエローマSp2/O−
Ag14、マウスミエローマX63Ag8−653)な
どの浮遊性細胞とチャイニーズハムスター卵巣由来のC
HO細胞、ベイビーハムスター腎臓由来のBHK細胞、
ヒト子宮頸部癌由来のHeLa細胞、マウス乳癌由来のC−
127細胞、マウス線維芽細胞(NIH/3T3)など
の接着性細胞の両方が用いられ、とりわけ従来からCH
O細胞が汎用されている。CHO細胞などの接着性細胞
に対しては通常ローラーボトル培養やマイクロキャリア
ー培養、さらにホローファイバー、セラミックマトリッ
クスあるいはガラス布などの固定化床に細胞を付着させ
て培養する固定化培養法が採られている。しかし、工業
的に有用物質を大量生産するためには、操作面やスケー
ルアップの点から接着培養より浮遊培養の方が有利であ
る。そこで、CHO細胞を浮遊培養できるように馴化さ
せる方法(M. Murataら、ジャーナル オブ ファーメ
ンテーション テクノロジー(J. Ferment. Techno
l.)、第66巻、第501頁(1988))や本来浮遊性
であるNamalwa 細胞を用いる方法(H. Yanagiら、ジャ
ーナル オブ ファーメンテーション アンド バイオ
エンジニアリング(J. Ferment. Bioeng.)、第68巻、
第257頁(1989); M. Okamoto ら、バイオテクノ
ロジー(Bio/Technology)、June、第550頁(199
0)); S. Hosoiら、サイトテクノロジー(Cytotechnol
ogy)、第7巻、第25頁(1991))が、近年、注目
されている。宿主細胞としてミエローマ細胞を用いる発
現系も知られているが(特開昭63−44897;特開
昭63−126483)、この細胞を用いて実際に生理
活性ペプチドまたは蛋白質を大量に効率よく生産した例
は比較的少ない〔D. Broadら、サイトテクノロジー(Cyt
otechnology)、第5巻、第47頁(1991)〕。
【0003】一般に動物細胞はその増殖時に血清が必要
とされており、血清を含まない培地(以下、無血清培地
と称することもある)中では全く増殖できないか、増殖
が不十分なことが多い。しかし、血清は高価である上に
ロット間の品質差が大きく、また成分の不明な蛋白質性
の物質を多く含むために、生産された目的の生理活性ペ
プチドまたは蛋白質の精製を妨害する。特に医薬品の場
合、血清を含んだ培地(以下、血清培地と称することも
ある)を用いると、血清由来の不純物の除去に関する煩
雑な試験が安全性評価のために必要となる。従って、動
物細胞を使用して工業的に物質生産を行う場合には、血
清培地には問題点が多く、実用的な無血清培地の開発が
望まれている。これまでに、血液凝固第VIII因子産生C
HO細胞用の無血清培地として、特開平4−31648
4にASF−104培地にプルロニックF68およびジメ
チル−α−シクロデキストリンを添加した培地が開示さ
れているが、この培地を使用する場合は「まず、10%血
清を含んだ培地で対象となる細胞を8〜24時間培養し、
(第3頁右欄第2行〜3行)」と記載されているとお
り、10%血清含有培地で細胞を前培養する必要があ
り、完全に無血清条件下での培養とはならない。また、
カルチャーディッシュ上の小スケールのしかも静置培養
での例が記載されているのみで、工業的物質生産には程
遠い培養法である。一方、マウスハイブリドーマ培養用
の無血清培地として、特開平4−51891、特開平3
−180175には、ITES(インスリン、トランス
フェリン、エタノールアミン、亜セレン酸ナトリウム)
中のトランスフェリンの代わりに無機鉄化合物を加えた
培地が開示されているが、これらの場合においても、テ
ィシュカルチャーフラスコでの小スケールの静置培養で
の例が記載されているに過ぎず、また、これらの培地が
遺伝子組換え用の宿主として汎用されるCHO細胞の培
養に適用できるか否かは不明である。以上のように、動
物細胞による生理活性ペプチドまたは蛋白質の工業的生
産に有用な、安価でかつ生産性の高い工業用無血清培地
は未だ提供されていないのが実情である。
【0004】ところで、動物細胞の培養によって有用物
質を効率よく生産するためには、一般に細胞を高密度で
長期間、連続的に培養する方法が有利であると言われて
いる。実際、モノクローナル抗体産生ハイブリドーマや
遺伝子導入マウスミエローマなどの浮遊性細胞の培養に
は、新鮮培地を培養槽内に供給し、老廃物を含んだ培養
上清液を培養槽外にハーベストして長期間、連続的に培
養する高密度浮遊灌流培養法が試みられている(K. Kit
anoら、アプライド マイクロバイオロジーアンド バ
イオテクノロジー(Appl. Microbiolo. Biotech.)、第
24巻、第282 頁(1986); Y. Takazawa および
M. Tokashiki、サイトテクノロジー(Cytotechnolog
y)、第2巻、第95頁(1989))。他方、バッチ培
養法は、培養の再現性に優れており、製品の恒常性を確
保するのに工業生産上有利な培養法と言える。また、バ
ッチ培養では、灌流培養に比べて培養槽以外の付帯設備
も少なくて済むので培養プロセスを簡略化でき、スケー
ルアップも容易であるなどの利点がある。このようなバ
ッチ培養の利点を生かし、かつ生産性を高める手段とし
て培地成分をフィードして培養するフェッドバッチ培養
法も試みられている(ミエローマ細胞を無血清培地で培
養 M. Rhodes およびJ. Birch、バイオテクノロジー(B
io/Technology)、第6巻、第518頁(1988)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前述のように、動物細
胞を無血清培地を使用し大量培養による効率的な生理活
性ペプチドまたは蛋白質製造法の開発が望まれている
が、このような製造法は未だ充分に確立されていない。
例えば、ヒトNT−3生産のためには、ヒトNT−3遺
伝子導入CHO細胞を用いる方法が特開平5−1036
75に開示されているが、該方法においては5%ウシ胎
児血清を含む培地で培養した後、培養途中で市販の無血
清培地に交換する方法が採られている。また、ガン細胞
由来イムノグロブリン分子の可変領域(Idiotype)と顆
粒球・マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)
との融合蛋白質(Idiotype/GM−CSF)を動物細胞
で発現させ、それをB細胞リンパ腫に対するワクチンと
して利用しようとする研究(M.Tao および R. Levy、ネ
イチャー(Nature)、第362巻、第755頁(199
3))においては、製造基材としての動物細胞種P3X
63Ag8.653 Plasmacytoma cell line が明らかに
されている程度で、工業上有利な製造法に関する言及ま
ではなされていない。また、抗単純ヘルペスウイルス剤
として開発が期待されているt−gD−IL−2融合蛋白
質に関しては、目的の遺伝子を導入したCHO−HDL
−1−5細胞あるいはマウスミエローマSp−neo−HD
L−245細胞を用いる方法が特開平4−117399
に開示されているが、単に「無血清培地ASF104培
地(味の素社製)で培養し」と記載されているのみで、
具体的な培養方法に関しては一切言及されておらず、発
現を確認するだけの目的で実験室レベルでの培養を行っ
たに過ぎず、工業的生産には程遠いものである。有用な
生理活性ペプチドまたは蛋白質を工業的に大量生産する
ためには、まず、工業的物質生産に満足して使用できる
無血清培地の開発が重要な課題である。そのために、求
められる無血清培地の条件としては、(1)安価であるこ
と、(2)成分組成が明らかであり、ロット間の差がなく
均一であること、さらには(3)静置培養のみならず長
時間の撹拌培養や灌流培養に使用できることなどが挙げ
られる。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、動物細
胞、例えば抗ヘルペスウイルス剤であるt−gD−IL−
2融合蛋白質を生産する遺伝子組換えマウスミエローマ
細胞やNT−3産生CHO細胞を用いて、目的とする生
理活性ペプチドまたは蛋白質を大量生産する方法につい
て検討を行い、その結果、安価で、成分組成が明らかで
ありロット間の差がなく均一である工業用無血清培地の
開発に成功し、さらに検討して本発明を完成するに到っ
た。すなわち、本発明は、(1)無機または有機鉄化合
物、シクロデキストリンおよび非イオン性界面活性剤を
基礎培地に含有せしめてなる動物細胞培養用の無血清培
地、(2)インスリン、エタノールアミンまたはその誘
導体、および亜セレン酸またはその塩をさらに含有して
なる上記1記載の培地、(3)無機または有機鉄化合物
が、塩化第二鉄、塩化第一鉄、硫酸第一鉄、硝酸鉄、ク
エン酸鉄、シュウ酸鉄または乳酸鉄のいずれか1種また
は2種以上の組み合わせである上記1または2記載の培
地、(4)非イオン性界面活性剤が、プルロニック系界
面活性剤である上記1または2記載の培地、(5)デキ
サメサゾン、蛋白質加水分解物およびアミノ酸類のうち
少なくとも1種類を補添してなる上記1または2記載の
培地、(6)蛋白質加水分解物が、ポリペプトン、ラク
トアルブミン加水分解物、バクトトリプトンおよびカザ
ミノ酸のいずれか1種または2種以上の組み合わせであ
る上記5記載の培地、(7)塩化第二鉄、α−シクロデ
キストリン、プルロニック系界面活性剤、インスリン、
エタノールアミン、亜セレン酸ナトリウムおよびポリペ
プトンを含有してなる上記1または2記載の培地、
(8)動物細胞が、マウスミエローマ細胞またはチャイ
ニーズハムスター卵巣細胞である上記1または2記載の
培地、(9)上記1、2、3、4、5、6または7記載
の培地を用いて動物細胞を培養し、生理活性ペプチドま
たは蛋白質を生成蓄積せしめ、これを採取することを特
徴とする該生理活性ペプチドまたは蛋白質の製造法、
(10)動物細胞が、マウスミエローマ細胞またはチャ
イニーズハムスター卵巣細胞である上記9記載の製造
法、(11)培養が浮遊撹拌培養である上記9記載の製
造法、(12)生理活性ペプチドまたは蛋白質が、ホル
モン、鎮痛物質、増殖因子、サイトカイン、酵素、神経
伝達因子、レセプター、抗体またはワクチン用の抗原で
ある上記9記載の製造法、(13)増殖因子が、神経成
長因子(NGF)ファミリーに属するものである上記1
2記載の製造法、(14)生理活性ペプチドまたは蛋白
質が、ホルモン、鎮痛物質、増殖因子、サイトカイン、
酵素、神経伝達因子、レセプター、抗体またはワクチン
用の抗原から選択された同種または異種間の融合蛋白質
である上記9記載の製造法。(15)融合蛋白質が、単
純ヘルペスウイルスの外被糖蛋白とインターロイキン−
2からなる融合蛋白質である上記14記載の製造法、
(16)t−gD−IL−2産生能を有するマウスミエロ
ーマ細胞Sp2/0−22−32−34株、に関するも
のである。
【0007】本発明における動物細胞培養用の無血清培
地は、無機鉄化合物または低分子量の有機鉄化合物、シ
クロデキストリンおよび非イオン性界面活性剤を含有す
ることを特徴とするものである。即ち、該無血清培地
は、各種基礎培地に上記の各成分を添加してなり、化学
的に含有成分が明らかになっている物質によって構成さ
れている培地である。
【0008】基礎培地としては、血清を添加することに
よって動物細胞の培養が可能となる公知の無血清培地を
使用することができ、例えば、イーグルMEM培地(H.
Eagle、サイエンス(Science)、第130巻、第432
頁(1959))、ダルベッコ変法イーグル培地(DM
EM)培地(R.DulbeccoおよびG.Freeman、バイロロジ
ー(Virology)、第8巻、第396頁(1959))、
イスコフ培地(N. Iscove アンド F. Melchers、 ジャ
ーナル エクスペリメンタル メソッズ(J. Exp. Me
d.)、第147巻、第923頁(1978))、ハムF1
2培地(R. G. Ham、 プロシーディングス オブ ナシ
ョナル アカデミー オブ サイエンス(Proc. Nat. A
cad. Sci.、)、第53巻、第288頁(1965))、
L−15培地(A. Leibovitz、 アメリカン ジャーナ
ル オブ ハイジーン(Amer. J. Hyg.)、第78巻、
第173頁(1963))、RPMI 1640培地(G.
E. Moore ら、ザ ジャーナル オブ ザ アメリカン
メディカル アソシエイション(J. A. M. A.)、第1
99巻、第519頁(1967))、E−RDF培地(極
東製薬)、UC−102培地(日水製薬)、UC−21
2培地(日水製薬)、ダイゴT培地(日本製薬、特開昭
60−145088号)、TL−2培地(Y. Shintani
ら、アプライド マイクロバイオロジー アンド バイ
オテクノロジー(Appl. Microbiol. Biotechnol.)、第
27巻、第533頁(1988))、およびこれらを適当
な比率で混合した培地が挙げられる。とりわけ、E−R
DF培地、ダイゴT培地、TL−2培地などがより好ま
しく用いられる。
【0009】以下、本発明における無血清培地を特徴づ
ける成分について、詳細に述べる。なお、本文中に示す
各種成分の添加量は、最終の液体培地1L分の基礎培地
粉末に、添加する該成分の添加質量を表すものとする。
使用の際には、これらを水に溶解し1L とすることによ
り本発明の動物細胞培養用の無血清培地として調製す
る。無機鉄化合物としては、塩化第二鉄、塩化第一鉄、
硫酸第一鉄、硝酸鉄などが、また低分子量の有機鉄化合
物としては、非蛋白質性の低分子量の有機鉄化合物が好
ましく、例えば、クエン酸鉄、シュウ酸鉄、乳酸鉄など
が挙げられ、鉄供与体としての目的で、1種または2種
以上が用いられる。とりわけ、無機鉄化合物が好まし
く、中でも塩化第二鉄や硫酸第一鉄がより好ましく用い
られる。例えば、鉄イオンとして約18〜370μmo
l、好ましくは約35〜80μmolを添加するとよい。具
体的には例えば、塩化第二鉄(6水加物)の場合、約5
〜100mg好ましくは約10〜20mgを添加するとよ
い。
【0010】シクロデキストリンとしては、α−シクロ
デキストリン、β−シクロデキストリンまたはγ−シク
ロデキストリンのいずれを用いてもよい。とりわけ、α
−シクロデキストリンがより好ましく用いられる。ま
た、該シクロデキストリンにメチル化等の化学修飾を施
した誘導体も、同様に用いられる。具体的には例えば、
α−シクロデキストリンの場合、約1〜5g好ましくは
約1.5〜3gを添加するとよく、またβ−シクロデキス
トリンの場合、約100〜500mg好ましくは約200
〜300mgを添加するとよい。非イオン性界面活性剤と
しては、細胞に毒性を示さないものならばいずれでもよ
く、ポリエーテル系非イオン性界面活性剤などが好まし
く挙げられる。例えば、プロピレンオキシド(propylen
e oxide)とエチレンオキシド(ethylene oxide)のコ
ポリマー(co-polymer)であるプルロニック系界面活性
剤、具体的には例えば、プルロニックF68、F88、
F77、P65(いずれも、旭電化工業株式会社製な
ど)などが挙げられ、とりわけ、プルロニックF68が
より好ましく用いられる。これら非イオン性界面活性剤
は、動物細胞の細胞膜に作用し、その透過性を変化させ
ることにより細胞の受ける生成物阻害の影響を減じる等
の効果が考えられる。非イオン性界面活性剤は一般に、
約0.25〜3g好ましくは約0.5〜2gを添加するとよ
い。
【0011】本発明における動物細胞培養用の無血清培
地には、上記の成分以外に、インスリン、エタノールア
ミンまたはその誘導体、亜セレン酸またはその塩を添加
することも好ましい。インスリンとしては、天然のイン
スリン、または合成法や遺伝子組換え手法を用いて製造
したインスリンが挙げられ、また、インスリン作用を有
する物質、例えばインスリン様増殖因子(IGF−I)
なども包含する。具体的には例えば、インスリンの場
合、約0.5〜20mg好ましくは約1〜5mgを添加する
とよい。IGF−Iの場合、約0.01〜0.1mg好まし
くは約0.02〜0.05mgを添加するとよい。エタノー
ルアミンまたはその誘導体としては、エタノールアミ
ン、エタノールアミン塩酸塩、ホスホエタノールアミン
などが挙げられる。例えば、エタノールアミンに換算し
て、約8〜80μmol、好ましくは約16〜32μmolを
添加するとよい。具体的には例えば、エタノールアミン
を約0.5〜5mg、好ましくは約1〜2mgを添加すると
よい。亜セレン酸またはその塩としては、亜セレン酸、
亜セレン酸ナトリウム、亜セレン酸カリウム、亜セレン
酸バリウムなどが挙げられる。例えば、セレンイオンと
して約5X10-3〜60X10-3μmol、好ましくは約1
5X10-3〜30X10-3μmolを添加するとよい。具体
的には例えば、亜セレン酸ナトリウムの場合、約1〜1
0μg、好ましくは約3〜5μgを添加するとよい。
【0012】本発明における動物細胞培養用の無血清培
地には、前記の成分以外に、さらにデキサメサゾン、蛋
白質加水分解物およびアミノ酸のうち少なくとも1種類
を補添しても良い。デキサメサゾンの場合、約0.5〜
4mg好ましくは約1〜2mgを添加するとよい。デキサメ
サゾンがより好ましいが、その代わりとしては、ヒドロ
コルチゾン、デキサメサゾン、トリヨードチロニン、プ
ロスタグランジンなどのホルモン類を添加することもで
きる。蛋白質加水分解物としては、ポリペプトン、ラク
トアルブミン加水分解物、バクトトリプトンおよびカザ
ミノ酸などが挙げられ、これらを1種または2種以上の
組み合わせで用いることができる。具体的には例えば、
ポリペプトン約0.25〜3g好ましくは約0.5〜1.5
gを添加するとよい。
【0013】アミノ酸類としては、天然蛋白質の構成ア
ミノ酸ならばいずれでもよく、通常それらを適当な割合
で添加して用いられる。具体的にはアルギニン、アスパ
ラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グ
リシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジ
ン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリ
ン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、
グルタミン酸、アラニンなどのアミノ酸類が挙げられ
る。使用する基礎培地により添加量は異なるが、その基
礎培地中のアミノ酸を補強する目的で、例えば、アルギ
ニン約100〜800mg好ましくは約400mg、アスパ
ラギン約15〜150mg好ましくは約100mg、アスパ
ラギン酸約10〜80mg好ましくは約60mg、システイ
ン約20〜150mg好ましくは約90mg、グルタミン約
150〜1000mg好ましくは約600mg、グリシン約
10〜40mg好ましくは約20mg、ヒスチジン約20〜
80mg好ましくは約50mg、イソロイシン約10〜17
0mg好ましくは約120mg、ロイシン約15〜170mg
好ましくは約110mg、リジン約40〜200mg好まし
くは約150mg、メチオニン約5〜60mg好ましくは約
30mg、フェニルアラニン約5〜80mg好ましくは約4
0mg、プロリン約20〜80mg好ましくは約40mg、セ
リン約10〜200mg好ましくは約100mg、スレオニ
ン約20〜300mg好ましくは約100mg、トリプトフ
ァン約2〜40mg好ましくは約20mg、チロシン約5〜
100mg好ましくは約30mg、バリン約10〜150mg
好ましくは約100mgを添加するとよい。
【0014】本発明における動物細胞培養用の無血清培
地には、前記の成分以外に、さらに糖類を添加すること
もできる。この場合の好ましい糖類としては、グルコー
ス、マンノース、フラクトース、キシロースなどの単糖
類、シュークロースなどの二糖類などが挙げられ、とり
わけ、グルコースやマンノースがより好ましく用いられ
る。これらの糖類は、初発培地に添加または/および培
養途中で添加してもよい。本発明における動物細胞培養
用の無血清培地は、上記に挙げた各成分を予め混合して
おき組成物として保存し、培養に用いる際、適宜に水に
溶解して用いることができ、また、培養毎に各成分を水
に溶解して用いてもよい。動物細胞が外来遺伝子を導入
し形質転換したものである場合、本発明における動物細
胞培養用の無血清培地には、前記の成分以外に、該形質
転換の際に使用した選択マーカーに応じて、選択薬剤で
あるメソトレキセート、ミコフェノール酸またはネオマ
イシン誘導体であるG418などの薬剤を添加しても良
い。
【0015】本発明で用いられる動物細胞としては、浮
遊性細胞または接着性細胞のいずれも対象となり得る。
浮遊性細胞としては、例えばヒトバーキットリンパ腫
(Namalwa)細胞やマウスミエローマ細胞であるSp2/
O−Ag14やX63Ag8−653などが挙げられ
る。接着性細胞としては、例えばチャイニーズハムスタ
ー卵巣由来のCHO細胞、ベイビーハムスター腎臓由来
のBHK細胞、ヒト子宮頸部癌由来のHeLa細胞、マウス
乳癌由来のC−127細胞、マウス線維芽細胞であるN
IH/3T3やBALB3T3、さらにアフリカミドリザル腎
臓由来のVerotsS3などが挙げられる。また、これら本
来接着性である細胞を特願平6−104221号などに
記載の公知の方法で浮遊馴化した細胞も挙げられる。中
でも、マウスミエローマ細胞や浮遊馴化したCHO細胞
がより好ましく用いられる。本発明製造法に用いる生理
活性ペプチドまたは蛋白質産生の動物細胞は、既に樹立
されている該性状の公知株を用いてもよい。また、必要
に応じて上記の生理活性ペプチドまたは蛋白質をコード
する遺伝子を公知の遺伝子工学的手法により上記の動物
細胞に導入することによって得られる。目的の生理活性
ペプチドまたは蛋白質の高発現株を親株として用いるこ
とは当然有利である。本発明製造法に用いる生理活性ペ
プチドまたは蛋白質産生の動物細胞としては、浮遊撹拌
培養可能な細胞がとりわけ好ましく用いられる。
【0016】本発明製造法に用いる生理活性ペプチドま
たは蛋白質産生の動物細胞は、ヒトゲノムライブラリー
あるいはヒトcDNAライブラリーからクローニングに
よって、ヒトゲノムDNA、mRNAあるいはcDNA
からポリメラーゼ チェーンリアクション(PCR)法
によってあるいは化学合成により得られた目的の生理活
性ペプチドまたは蛋白質をコードする遺伝子を取得し、
これに必要に応じ適当なプロモーター(例えば、SV4
0由来のプロモーター、レトロウイルスのプロモータ
ー、サイトメガロウイルスのプロモーターなど)、プロ
モーター−プレープロあるいはプロモーター−シグナル
(例えばIL−2遺伝子のシグナルなど)を接続し、こ
れを適当なベクターに挿入し、得られたベクターを用い
て上記の動物細胞を形質転換することにより得ることも
できる。このようにして得られた動物細胞株の例とし
て、具体的には例えば、t−gD−IL−2産生株とし
て、マウスミエローマ細胞Sp−neo−HDL−245株
(FERM BP−2810)、および、その高生産株
であるSp2/0−22−32−34株(IFO−50
442、NIBH P−14401)などが、また、N
GFファミリーに属する蛋白質産生株では、例えばNG
F産生株としては後述の実施例で用いられているNGF
−2(NT−3)産生CHO−N2−1株およびCHO
−N2−1 SF株(FERM BP−4624)など
が挙げられる。
【0017】本発明における生理活性ペプチドまたは蛋
白質の製造法は、上述のような動物細胞培養用の無血清
培地を用いることに特徴があり、目的とする生理活性ペ
プチドまたは蛋白質は、動物細胞によって生産され得る
ものであれば特に限定されない。本発明の製造法によっ
て有利に生産し得るものとしては、例えば、ホルモン、
鎮痛物質、増殖因子、サイトカイン、酵素、神経伝達因
子、レセプター、抗体、ワクチン用の抗原など、および
これらの活性型誘導体または融合蛋白質が挙げられる。
具体的には例えば、ホルモンとしては、黄体形成ホルモ
ン放出ホルモン(LH−RH)、甲状腺刺激ホルモン放
出ホルモン(TRH)、インスリン、ソマトスタチン、
成長ホルモン、プロラクチン、副腎皮質刺激ホルモン
(ACTH)、メラノサイト刺激ホルモン(MSH)、
甲状腺刺激ホルモン(TSH)、黄体形成ホルモン(L
H)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、バソプレシン、バ
ソプレシン誘導体{デスモプレシン〔日本内分泌学会雑
誌、第54巻第5号第676〜691頁(1978)〕
など}、オキシトシン、カルシトニン、副甲状腺ホルモ
ン(PTH)、グルカゴン、ガストリン、セクレチン、
パンクレオザイミン、コレシストキニン、アンジオテン
シン、ヒト胎盤ラクトーゲン、ヒト絨毛性ゴナドトロピ
ン(HCG)、セルレイン、モチリンなどが挙げられ
る。
【0018】鎮痛物質としては、エンケファリン、エン
ケファリン誘導体〔米国特許第4277394号、ヨー
ロッパ特許出願公開第31567号公報参照〕、エンド
ルフィン、ディノルフィン、キョウトルフィンなどが挙
げられる。増殖因子としては、神経成長因子(NGF)
ファミリー(NGF、BDNF、NGF−2(NT−3
とも呼ばれる)、NT−4、NT−5など)、上皮細胞
増殖因子(EGF)、繊維芽細胞増殖因子(FGF)フ
ァミリー(aFGF、bFGF、INT−2、HST−
1、FGF−5、FGF−6など)、ソマトメジン、T
細胞成長因子などが挙げられる。サイトカインとして
は、例えば、インターフェロン(α型、β型、γ型)、
インターロイキン類(IL−1、−2、−3、−4、−
5、−6、−7、−8、−9、−10、−11、−1
2、−13など)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CS
F)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(CM−
CSF)、マクロファージコロニー刺激因子(M−CS
F)、エリスロポイエチン、サイモポイエチン、サイモ
シンなどが挙げられる。酵素としては、例えば、ウロキ
ナーゼ、ティシュープラスミノーゲンアクチベータ、カ
リクレインなどが挙げられる。神経伝達因子としては、
例えば、ボムベシン、ニューロテンシン、ブラジキニ
ン、サブスタンスPなどが挙げられる。レセプターとし
ては、例えば、ソマトスタチンレセプター、LH−RH
(黄体化ホルモン放出ホルモン)レセプター、GH−R
H(成長ホルモン放出ホルモン)レセプター、CRH
(副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン)レセプター、T
RH(甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン)レセプターな
どが挙げられる。
【0019】抗体としては、抗原刺激の結果、免疫応答
によって生体内に産生される蛋白質で、免疫原(抗原)
と特異的に結合する活性をもつものをいう。即ち、蛋白
質、多糖類、核酸、脂質など種々の生理活性物質のうち
で抗原性を示す物質またはその集合体から成るもの(例
えば、ウイルス粒子、花粉、室内塵など)と、特異的に
結合する活性を有する蛋白質であればいずれでもよい。
具体的には、例えばマウス抗体やヒト抗体、さらにはマ
ウス/ヒト・キメラ抗体、ヒト型化抗体、一本鎖抗体、
単一ドメイン抗体、二重特異性抗体やトキシン融合抗体
などが挙げられる。またそれらの組合せとして得られる
例えば、マウス/ヒト・キメラ二重特異性抗体、ヒト型
化二重特異性抗体、一本鎖二重特異性抗体などが挙げら
れる。その具体例としては、抗B型肝炎ウイルス表面抗
原モノクロナール抗体、抗破傷風毒素モノクロナール抗
体、抗腫瘍関連抗原モノクロナール抗体などが挙げられ
る。キメラ抗体の具体例としては、マウス/ヒト・キメ
ラ抗ヒトフィブリン(以下、FIBと略記する)特異抗
体、マウス/ヒト・キメラ抗ヒト・ウロキナーゼ(以
下、UKと略記する)抗体、マウス/ヒト・キメラ抗F
IB/抗UK二重特異性抗体〔特開平5-76385〕などが
挙げられる。また特にこれら抗体を構成する断片の中
で、抗原との結合能を保持するF(ab')2、Fab'、
Fab、Fv、dAb断片などが、活性型を高収量で得
られる抗体蛋白として好ましく挙げられる。
【0020】ワクチン用の抗原(蛋白またはポリペプチ
ド)としては例えば、単純ヘルペスウイルス(HS
V)、水痘帯状ほう疹ウイルス(VZV)、サイトメガ
ロウイルス(CMV)をはじめとするヘルペスウイルス
の抗原、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、成人T細胞
白血病ウイルス(HTLV−1)をはじめとするレトロ
ウイルスの抗原、B型肝炎ウイルス(HBS)をはじめ
とするヘパドナウイルスの抗原、非A非B型肝炎ウイル
ス(HCV、HEV)、日本脳炎ウイルスをはじめとす
るトガウイルスの抗原、A型肝炎ウイルス(HAV)を
はじめとするピコルナウイルスの抗原、インフルエンザ
ウイルスをはじめとするオルソミキソウイルスの抗原、
パルボウイルスの抗原、パポパウイルスの抗原、アデノ
ウイルスの抗原、ボックスウイルスの抗原、レオウイル
スの抗原、パラミキソウイルスの抗原、ラプドウイルス
の抗原、アレナウイルスの抗原、コロナウイルスの抗原
などの動物を宿主とするウイルスの抗原、マラリア抗原
などの病原性原虫の抗原、百日咳菌抗原などの病原性細
菌などが挙げられる。具体例としては、単純ヘルペスウ
イルス(HSV)1型または2型の表面抗原gDあるい
はgB、水痘帯状ほう疹ウイルス(VZV)の表面抗原g
pIあるいはgpIII、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の
gag抗原あるいはenv抗原、成人T細胞白血病ウイルス
(HTLV−1)のgag抗原あるいはenv抗原、C型ウイ
ルス(HCV)のC抗原、M抗原あるいはE抗原、B型
肝炎ウイルス(HBV)のC抗原(HBc抗原)、L蛋
白、M蛋白あるいはS蛋白(HBs)などが挙げられ
る。
【0021】本発明の生理活性ペプチドまたは蛋白質の
製造法は、天然には微量にしか存在しないため大量取得
が困難な生理活性ペプチドまたは蛋白質の生産にも好ま
しく適用できる。また、本発明の製造法は、天然型の生
理活性ペプチド若しくは蛋白質またはその活性型誘導体
(ムテイン)のような非天然型生理活性ペプチド若しく
は非天然型蛋白質、およびそれらを結合させて得られる
融合蛋白質のいずれにも用いることができ、その立体構
造や糖鎖の有無が生理活性の発現に重要な要因となるた
め動物細胞を用いて生産することが望ましい生理活性ペ
プチドまたは蛋白質の製造に特に有利に用いることがで
きる。
【0022】本発明における融合蛋白質とは、先に述べ
た生理活性ペプチドまたは蛋白質から選択される同種ま
たは異種のものを遺伝子工学的に結合させたものであ
る。すなわち、ホルモン、鎮痛物質、増殖因子、サイト
カイン、酵素、神経伝達因子、レセプター、抗体、ワク
チン用の抗原など、およびこれらの活性型誘導体または
ムテインから選択される同種または異種のものを結合さ
せたものである。具体的には例えば、ワクチン用の抗原
とサイトカインとを結合させたもの、モノクローナル抗
体と成長因子を結合させたもの、成長因子とサイトカイ
ンを結合させたもの、サイトカイン同士を結合させたも
の、成長因子と毒素を結合させたものなどが挙げられ
が、なかでも本発明はワクチン用の抗原とサイトカイン
とを結合させたものの製造に好ましく用いられる。具体
的な例として、t−gD−IL−2融合蛋白質が挙げられ
る。本発明の製造法は、このような融合蛋白質を生産す
るために作製された形質転換体の培養にも好適である。
高産生クローン選択のためのクローニングの方法は公知
であり、例えばコロニー分離法、マイクロウェル法(日
本生化学会編・新生化学実験講座18、細胞培養技術第
12〜13頁(1990)、東京化学同人)などが挙げら
れる。
【0023】以上のようにして得られた生理活性ペプチ
ドまたは蛋白質産生株を用いて、目的の生理活性ペプチ
ドまたは蛋白質を大量に生産するために無血清培地で大
量培養を実施する。この時の培養装置としては、通気手
段、撹拌手段、温度調節手段、pH制御ならびに溶存酸
素(DO)制御手段など培養に必要な部材が必要に応じ
て具備された公知の浮遊撹拌培養槽(日本生化学会編・
新生化学実験講座1、タンパク質VI合成および発現第2
82頁、第286頁(1992)、東京化学同人;日本生
化学会編・新生化学実験講座18、細胞培養技術第31
3〜323頁(1990)、東京化学同人)などが用いら
れる。またエアーリフト式培養槽(J.R. Birch ら、ト
レンズ イン バイオテクノロジー(Trends in Biotec
hnol.)第3巻、第162頁(1985)も用いられる。
培養法としては、バッチ培養、フィード培養(フェッド
・バッチ培養)、灌流培養などが挙げられる。フィード
培養においては、培地の濃厚液および/または糖の濃厚
液、より好ましくは糖液のみを培養液中に培養途中1回
または培養期間中、連続的または間欠的にフィードして
培養液中における栄養分の枯渇を防ぎ、細胞を生存状態
に保ちつつ生産を持続させることが可能である。フィー
ドする糖としては、グルコースまたはマンノースが用い
られる。フィード培養を実施するためには、培養槽に連
結してフィード液の貯槽、フィード液の供給手段が施さ
れる。フィードの開始は、通常、菌体が対数増殖期に達
した時点、通常培養開始直後〜6日目、好ましくは約3
日目から行われる。バッチ培養では、培地調製時に糖を
1〜10g/L、好ましくは3〜5g/L添加する方法が採ら
れる。灌流培養においては、培養槽に、培養液中の細胞
と培養上清液との分離手段、培養上清液の排出手段およ
び新鮮培地の供給手段が施される。培養液中の細胞と培
養上清液との分離手段としては、例えばフィルターによ
る分離法、コーン型細胞沈殿管や重力沈降管など細胞の
沈降を利用した分離法、または遠心分離法などの公知の
分離手段が挙げられる。例えば、これらの分離手段が培
養槽に施された培養システムを用い、公知の方法で連続
的に培養上清液を排出して新鮮培地と交換する方法など
が好ましく用いられる。培養上清液の排出と新鮮培地の
供給すなわち培地交換は、通常、対数増殖期から静止期
までの期間、通常、培養開始後約2〜10日目、好まし
くは約3〜7日目から行われ、培地の交換速度は細胞密
度の増加とともに徐々に増加させることが好ましい。具
体的には例えば、培養1日当たり培養液量の約10〜2
00%、とりわけ約50〜150%交換することが好ま
しくい。
【0024】培養時の温度は通常約30〜40℃、好ま
しくは37℃付近、撹拌回転数は約20〜100rpm、
好ましくは30rpm付近、pHは約6〜8、好ましくは7
付近、DOは約0.5〜5ppm、好ましくは1.5ppm付近
にそれぞれ調節される。目的とする生理活性ペプチドま
たは蛋白質は、培養途中で抜き取って得られる培養液か
ら、または培養終了後に回収する培養液から、採取され
る。
【0025】本発明製造法により、細胞内または細胞外
に生成、蓄積した生理活性ペプチドまたは蛋白質を分
離、精製するには自体公知の分離、精製法を適切に組み
合わせて実施すればよい。これらの公知の分離、精製法
としては、塩析、硫安沈殿および溶媒沈殿法などの溶解
度の差を利用する方法、透析法、限外ろ過法、およびS
DS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法などの主とし
て分子量の差を利用する方法、イオン交換クロマトグラ
フィーなどの荷電の差を利用する方法、アフィニティー
クロマトグラフィーなどの特異的新和性を利用する方
法、例えば抗体カラムおよびCu2+カラムなどのメタル
キレートカラム、逆相高速液体クロマトグラフィー(H
PLC)などの疎水性の差を利用する方法、等電点電気
泳動法などの等電点の差を利用する方法などが挙げられ
る。
【0026】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を詳述するが、
本発明がこれに限定されるものではない。なお、後述の
実施例中で使用したt−gD−IL−2産生マウスミエ
ローマ細胞Sp−neo−HDL−245株は、通商産
業省工業技術院生命工学工業技術研究所(NIBH)に
受託番号FERM BP−2810として寄託されてい
る。また、実施例12で得られたt−gD−IL−2高産
生クローンSp2/O−22−32−34株は、平成6
年4月13日より財団法人発酵研究所(IFO)に受託
番号IFO 50442として、また平成6年6月29
日より通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所
(NIBH)に受託番号FERM P−14401とし
て寄託されている。
【0027】実施例1.1L分のE−RDF培地粉末
(極東製薬)に、塩化第二鉄(6水加物)10mg、α−
シクロデキストリン2.2g、プルロニックF68 1gを
添加し、さらにインスリン10mg、エタノールアミン
1.5mg、亜セレン酸ナトリウム4μg、デキサメサゾン
1mg、ポリペプトン1g を添加した培地を調製し、これ
を水に溶解して1L の無血清培地とした。Sp−neo−H
DL−245株の凍結保存バイアル1本を液体窒素保存
容器より取り出して、37°Cで急速解凍し、約9mlの
上記無血清培地と混合して遠心分離した。遠心上清液を
を捨て、残った細胞を約50mlの上記無血清培地に再懸
濁(生細胞数が約1X105個/ml)してF75フラスコ
に入れ、2.5%炭酸ガスインキュベーター中で37°
C、一夜培養した。翌日、培地を新鮮な上記無血清培地
に交換し、37°C、2日間培養した。増殖してきた細
胞を遠心分離して集め、上記無血清培地50mlを分注し
た125ml容エルレンマイヤーフラスコに、0.8×1
5細胞/mlとなるように植え込んだ。37℃の回転振
盪機中でpHを中性付近に補正しながら、培養3日目に
グルコースを3g/L分フィードして8日間培養した。な
お、上記無血清培地において塩化第二鉄(6水加物)無
添加の培地を用い、比較実験として同様の培養を行っ
た。その結果、塩化第二鉄添加のものは良く増殖し、培
養3日目に9X105個/ml、培養5日目に25X105個/
mlの細胞数に到達したが、無添加のものは増殖が極めて
悪く培養3日目に2X105個/mlとなり、それ以降細胞
が死滅した。〔表1〕のt−gD−IL−2の生産量に示
されるように、安価な無機の鉄化合物である塩化第二鉄
の添加により増殖および産生能が増大することが分かっ
た。
【0028】
【表1】 実施例2.インスリンの添加効果 t−gD−IL−2産生Sp−neo−HDL−245細胞
を、50mlの無血清培地を分注した125ml容エルレン
マイヤーフラスコに0.8×105細胞/mlなるように植
え込んだ。本実験では、1L分のE−RDF培地粉末
(極東製薬)に、塩化第二鉄(6水加物)10mg、エタ
ノールアミン1.5mg、亜セレン酸ナトリウム4μg、α
−シクロデキストリン2.2g、プルロニックF68 1g、
デキサメサゾン1mg、ポリペプトン1g を添加した培地
を調製し、これを水に溶解して1Lの無血清培地とし
た。これにインスリンまたはインスリン様増殖因子I
(IGF−I)を〔表2〕に示す濃度で添加したもの、
または無添加のものを使用した。37℃の回転振盪機中
でpHを中性付近に補正しながら、培養3日目にグルコ
ースを3g/L分フィードして8日間培養したところ、イ
ンスリン1mg/L以上添加のものとIGF−I 25μg/L
添加のものはより良く増殖し、無添加のものに比べ増殖
速度がより速く、最高到達密度も高くなった。t−gD−
IL−2の生産量は、〔表2〕に示すように、1mg/Lの
インスリン添加のもの(以下、E−RDF−4培地と称
する)とIGF−I 25μg/L添加のものはほぼ同等で
あった。すなわち、上記組成の培地を用いる場合、イン
スリンは一般に用いられる添加量の約1/5〜1/10
量で良いことが分かった。
【0029】
【表2】 実施例3.撹拌大量培養によるt−gD−IL−2の生産 t−gD−IL−2産生Sp−neo−HDL−245細胞
を、約100mlのE−RDF−4無血清培地を分注した
125ml容テクネ・スピナーフラスコに生細胞数が約1
×105/mlなるように移植し、37℃、3日間撹拌培
養した。増殖してきた細胞をさらに500ml容テクネ・
スピナーフラスコ、3L容テクネ・スピナーフラスコに
順次移植して撹拌培養した。3L容テクネ・スピナーフ
ラスコで対数増殖期後期まで培養した培養液全量(約3
L)を、約17LのE−RDF−4培地を仕込んだ50L
容攪拌培養槽に移植し、37℃、攪拌回転数30rpmで
培養を開始した。培養3日目にグルコースを3g/L分フ
ィードし、pHは7.0付近、溶存酸素は1.5ppm付近
にコントロールして7日間培養した結果、約24mg/Lの
t−gD−IL−2が生産された。この時の培養経過を
〔図1〕に示した。この結果、本発明の無血清培地は、
動物細胞の大量培養に、前培養、本培養を通して使用で
きることがわかった。
【0030】実施例4.t−gD−IL−2の単離精製 実施例3で得られた培養終了液19Lを遠心分離し、培
養上清液18.4Lを得た。これに硫酸アンモニウムを2
0%飽和になるように加えた後、あらかじめ20%飽和
硫酸アンモニウムと0.1mM(p−アミジノフェニル)メ
タンスルフォニルフルオライドを含む20mMトリス−
塩酸緩衝液(pH7.5)で平衡化したブチル−トヨパール
650Mカラム(10×4cm)に付加し、同一緩衝液で
洗浄後、5%飽和硫酸アンモニウムと0.1mM(p−ア
ミジノフェニル)メタンスルフォニルフルオライドを含
む20mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)で溶出し、t−
gD−IL−2を含む画分2.1Lを集めた。この溶出画
分を、あらかじめ0.1mM(p−アミジノフェニル)メ
タンスルフォニルフルオライドを含む20mMリン酸緩
衝液(pH6.3)で平衡化したトリスアクリルGF05カ
ラム(15×70cm)に付加し、同一緩衝液で溶出して
t−gD−IL−2を含む画分2.4Lを集めた。この溶出
画分を、あらかじめ0.1mM(p−アミジノフェニル)
メタンスルフォニルフルオライドを含む20mMリン酸
緩衝液(pH6.3)で平衡化したスーパーQ−トヨパール
650Mカラム(5×15cm)に付加して同一緩衝液で洗
浄後、同一緩衝液中で塩化ナトリウム濃度を0〜400
mMに上げる直線濃度勾配溶出法で溶出し、t−gD−I
L−2の主溶出画分210mlを集めた。この画分をダイ
アフローセル(PM−10膜、アミコン社製) で濃縮し
て得られた濃縮液35mlを、あらかじめ150mM塩化
ナトリウムを含む25mM酢酸アンモニウム緩衝液(pH
6.5)で平衡化したセファクリルS−300HRカラム
(5×90cm)に付加し、同一緩衝液で溶出してt−gD−
IL−2精製標品120ml(52mg)を得た。
【0031】本精製標品を用いてSDS−ポリアクリル
アミドゲル電気泳動(分離用ゲル:10〜20%グラジ
エントゲル; 還元条件:10%2−メルカプトエタノー
ル、100℃、5分;染色:クマシーブリリアントブル
ーR250)を行った結果、〔図2〕に示すように、単
一のバンドが得られた。また、本精製標品のアミノ酸組
成分析の結果を〔表3〕に、N−末端アミノ酸配列分析
の結果を〔表4〕に、C末端アミノ酸分析の結果を〔表
5〕にそれぞれ示した。これらの蛋白化学的分析の結
果、ここで得られた精製標品は塩基配列から予想される
ものと良く一致した。
【0032】
【表3】
【0033】
【表4】
【0034】
【表5】
【0035】実施例5.クローニングによるt−gD−I
L−2高産生クローン株の選択 Sp−neo−HDL−245株から高産生クローン株を選
択する目的で、限界希釈培養法によるクローニングを2
回繰り返した。すなわち、培養フラスコから培養液を採
取して遠心分離し、細胞を集めてクローニング用培地
(ASF−104培地に1%FCS(ウシ胎児血清)と
4mg/Lのネオマイシン誘導体G418を添加)に懸濁
し、細胞数が1ml当たり5個となるよう同じ培地で希釈
した。この液を0.1mlずつ、約15枚の96ウェルプ
レートの各ウェルに分注し、2.5%炭酸ガスインキュ
ベーター中で37℃、15日間培養した。細胞の生育が
認められたウェルを選択し、新鮮なクローニング用培地
0.1mlを追加した。さらに5日間培養した後、0.5ml
のASF−104無血清培地(G418 4mg/L添加)
を分注した24ウェルプレートに移植した。移植量は
0.1mlを標準として生育状況に応じて適宜増減させ
た。2.5%炭酸ガスインキュベーター中で37℃、3
日間培養した後、各ウェルの培養液を100μl ずつ採
取し、新しい24ウェルプレートに継代した。残りはさ
らに2日間培養を継続した後、t−gD−IL−2の産生
量をEIAにより測定した。比較的高い生産性を示すク
ローンを24個選び、3日目に継代したプレートから細
胞を12ウェルプレート、F25 フラスコ、F75 フラス
コおよび150フラスコへとE−RDF−4培地(G4
18400μg/L添加)で順次継代して培養した。更
に、これら24個のクローンを125ml容テクネ・スピ
ナーフラスコに1×105/mlで移植し、E−RDF−4
培地(G418 400μg/L添加)で攪拌培養して最
も生産性の高いクローンを選択した。
【0036】次に更に高産生クローンを選択するため
に、同様な方法でクローニングと選抜を行い、最終的に
安定な高産生クローンSp2/O−22−32−34株
を選定した。このようにして得られたSp2/O−22
−32−34株を、振盪フラスコで培養し、その生産性
を比較した。すなわち、細胞を50mlの無血清培地を分
注した125ml容エルレンマイヤーフラスコに0.8×
105細胞/mlなるように植え込んだ。 高産生クロー
ン株の生産性評価の無血清培地には、1L分のダイゴT
培地粉末(日本製薬)に、アミノ酸(アルギニン400
mg、アスパラギン100mg、アスパラギン酸60mg、シ
ステイン90mg、グルタミン600mg、グリシン20m
g、ヒスチジン50mg、イソロイシン120mg、ロイシ
ン110mg、リジン150mg、メチオニン30mg、フェ
ニルアラニン40mg、プロリン40mg、セリン100m
g、スレオニン100mg、トリプトファン20mg、チロ
シン30mg、バリン100mg)、インスリン1mg、塩化
第二鉄(6水加物)10mg、エタノールアミン1.5m
g、亜セレン酸ナトリウム4μg、α−シクロデキストリ
ン2.2g、プルロニックF68 1g、デキサメサゾン1m
g、ポリペプトン1g添加した培地を調製し、これを水に
溶解して1Lの無血清培地(以下、E−T−4培地と称
する)とし、これにグルコースを4gを添加したものを
使用した。37℃の回転振盪機中でpHを中性付近に補
正しながら8日間培養したところ、Sp2/O−22−
32−34株では約102mg/L(3回平均)のt−gD−
IL−2が生産された。なお、比較のために元株である
Sp−neo−HDL−245株を同様に培養した場合のt
−gD−IL−2の生産性は、約24mg/L(3回平均)
であった。従って、元株に比べt−gD−IL−2の生産
性が約2.4倍上昇した高産生クローン株が取得できた
ことになる。
【0037】実施例6. CHO細胞の培養によるヒトN
T−3の生産 ヒトNT−3産生CHO−N2−1株(岩根ら、特開平
5−103675)の無血清浮遊攪拌馴化株CHO−N
2−1 SF(FERM BP−4624)を、5種類の
無血清培地(表中の記載参照)を各50mlずつ分注した
125ml容エルレンマイヤーフラスコに、生細胞数が約
1×105/mlなるように移植した。37℃の回転振盪機
(100rpm)中で、pHを中性付近に調整しながら16
日間培養し、経時的に培養液上清中のNT−3量を酵素
免疫測定法(EIA)〔新谷ら、バイオケミカル アン
ド バイオフィジカル リサーチ コミュニケイション
(BBRC)、第194巻、第1500頁(1993)〕
により測定したところ、〔表6〕に示すような結果が得
られた。すなわち、優れた培地として一般に広く用いら
れているASF−104培地やCOSMEDIUM−0
01培地などに比べて、本発明のE−RDF−4培地や
E−T−4培地は、ヒトNT−3産生CHO細胞におい
ても有利に利用できることが証明された。
【0038】
【表6】
【0039】実施例7.灌流培養によるt−gD−IL−
2の大量生産 実施例4で得られたSp2/O−22−32−34株を
約100mlのE−T−4培地(グルコース4g/l添加)
を分注した125ml容テクネ・スピナーフラスコに生細胞
数が約1×105/mlとなるように移植し、37℃、3
日間撹拌培養した。増殖してきた細胞をさらに500ml容
テクネ・スピナーフラスコに生細胞数が約1×105/m
lとなるように移植し、37℃で対数増殖期の後期まで
培養した。増殖してきた細胞を、約1LのE−T−4培
地(グルコース4g/l添加)を仕込んだ2L容ジャー・フ
ァーメンターに約1×105/mlの播種密度で移植し、
37℃、撹拌回転数40rpmで培養を開始した。培養4日
目からE−T−4培地(グルコース4g/l添加)を用い
て、約70%の培地交換速度(培養液量1Lに対する培養
1日当たりの培地交換比率)で灌流を開始し、細胞密度
が高くなるにつれて培地交換速度を徐々に約150%まで
増加させた。培養液のpHは7.0付近、溶存酸素(DO)
は1.5ppm付近にコントロールして培養した。その結果、
35日間の培養で、全細胞数が約4×107/mlの密度ま
で増殖し、積算量として約1500mgのt−gD−IL−2が
生産された。
【0040】
【発明の効果】本発明の動物細胞培養用の無血清培地
は、(1)安価である点、(2)成分組成が明らかであ
り、ロット間の差がなく均一である点、また、(3)血
清を添加することなく前培養、本培養を通して、動物細
胞の培養に使用できる点、さらに、(4)静置培養のみ
ならず撹拌培養(バッチ培養、フェド・バッチ培養な
ど)または長期間の灌流培養も可能である点など各種の
生理活性ペプチドまたは蛋白質の工業的生産に極めて有
利に使用できる。該無血清培地の特徴の一つは、血清由
来の鉄供与体を使用せず、無機または非蛋白質性の低分
子の有機鉄化合物を使用することにあり、これによって
安価に培地を供給でき、しかも生産性も良好である。該
無血清培地を用いた動物細胞培養による工業生産によっ
て、具体的には例えば、老人性痴呆症への応用が期待さ
れるNGF、NT−3などのNGFファミリーに属する
もの、単純ヘルペスウイルスに対する免疫原性の強いワ
クチンとしてその開発が期待される融合蛋白質t−gD−
IL−2などの大量供給が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例3によるt−gD−IL−2産生Sp−neo
−HDL−245細胞の大量培養経過を示す。
【図2】実施例4で得られたt−gD−IL−2精製標品
のSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動の結果を示
す。
【符号の説明】
Mは分子量マーカーを、Aは実施例4で得られたt−gD
−IL−2の精製標品を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12N 5/02 7729−4B C12P 21/02 K 9282−4B H 9282−4B //(C12N 5/10 C12R 1:91) (C12P 21/02 C12R 1:91) (C12N 5/00 B C12R 1:91)

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】無機または有機鉄化合物、シクロデキスト
    リンおよび非イオン性界面活性剤を基礎培地に含有せし
    めてなる動物細胞培養用の無血清培地。
  2. 【請求項2】インスリン、エタノールアミンまたはその
    誘導体、および亜セレン酸またはその塩をさらに含有し
    てなる請求項1記載の培地。
  3. 【請求項3】無機または有機鉄化合物が、塩化第二鉄、
    塩化第一鉄、硫酸第一鉄、硝酸鉄、クエン酸鉄、シュウ
    酸鉄または乳酸鉄のいずれか1種または2種以上の組み
    合わせである請求項1または2記載の培地。
  4. 【請求項4】非イオン性界面活性剤が、プルロニック系
    界面活性剤である請求項1または2記載の培地。
  5. 【請求項5】デキサメサゾン、蛋白質加水分解物および
    アミノ酸類のうち少なくとも1種類を補添してなる請求
    項1または2記載の培地。
  6. 【請求項6】蛋白質加水分解物が、ポリペプトン、ラク
    トアルブミン加水分解物、バクトトリプトンおよびカザ
    ミノ酸のいずれか1種または2種以上の組み合わせであ
    る請求項5記載の培地。
  7. 【請求項7】塩化第二鉄、α−シクロデキストリン、プ
    ルロニック系界面活性剤、インスリン、エタノールアミ
    ン、亜セレン酸ナトリウムおよびポリペプトンを含有し
    てなる請求項1または2記載の培地。
  8. 【請求項8】動物細胞が、マウスミエローマ細胞または
    チャイニーズハムスター卵巣細胞である請求項1または
    2記載の培地。
  9. 【請求項9】請求項1、2、3、4、5、6または7記
    載の培地を用いて動物細胞を培養し、生理活性ペプチド
    または蛋白質を生成蓄積せしめ、これを採取することを
    特徴とする該生理活性ペプチドまたは蛋白質の製造法。
  10. 【請求項10】動物細胞が、マウスミエローマ細胞また
    はチャイニーズハムスター卵巣細胞である請求項9記載
    の製造法。
  11. 【請求項11】培養が浮遊撹拌培養である請求項9記載
    の製造法。
  12. 【請求項12】生理活性ペプチドまたは蛋白質が、ホル
    モン、鎮痛物質、増殖因子、サイトカイン、酵素、神経
    伝達因子、レセプター、抗体またはワクチン用の抗原で
    ある請求項9記載の製造法。
  13. 【請求項13】増殖因子が、神経成長因子(NGF)フ
    ァミリーに属するものである請求項12記載の製造法。
  14. 【請求項14】生理活性ペプチドまたは蛋白質が、ホル
    モン、鎮痛物質、増殖因子、サイトカイン、酵素、神経
    伝達因子、レセプター、抗体またはワクチン用の抗原か
    ら選択された同種または異種間の融合蛋白質である請求
    項9記載の製造法。
  15. 【請求項15】融合蛋白質が、単純ヘルペスウイルスの
    外被糖蛋白とインターロイキン−2からなる融合蛋白質
    である請求項14記載の製造法。
  16. 【請求項16】t−gD−IL−2産生能を有するマウス
    ミエローマ細胞Sp2/0−22−32−34株。
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