JPH086765Y2 - 複合安全蓋体 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案に係る蓋体は、容器が初期開封されたことを明
示し得る安全蓋体に関するものであり、尚詳しくは合成
樹脂製キャップと金属製キャップとをもって形成される
複合蓋体に関するものである。

［従来の技術］ 今日、容器内に異物が混入されている虞れが無いこと
を確認する為に、容器が未開封であることを明示する手
段を備えた種々の安全蓋体が使用されている。

この安全蓋体は、合成樹脂製の蓋体にあっては、平板
状の天板部周縁から垂下して容器口部の外周を覆う円筒
形状をしたスカート部の下端に対し、弱化部を介してピ
ルファプルーフバンド部を前記スカート部の下方に設け
ることとし、該ピルファプルーフバンド部の内側には容
器鍔部等の下方に係合する突起を複数個設け、以て蓋体
を取り外す際、弱化部が破断されることにより容器が開
封された痕跡を残す様にしたものが有り、又、真空包装
等の減圧容器を被蓋する金属製の蓋体においては、上方
に湾曲させて形成した蓋体天板部の中央を容器内の減圧
状態により下方に湾曲させるものとし、初期開封に際し
ては、容器内の減圧状態が解除されると金属板の弾性に
より中央部が上方へ湾曲する元の形状に戻り、この形状
を元に戻す際に、金属音を発する様にした確認用湾曲部
を形成する様にしたものが有る。

更に、蓋体の天板部のみを金属板とし、天板部周縁及
びスカート部等は合成樹脂製とすることにより、スカー
ト部の下方にピルファプルーフバンド部を形成すると共
に、金属製の天板部により初期開封に際しては金属音に
よる確認をも可能として二重の初期開封表示機能を有す
る安全蓋体とする複合蓋体が有る（例えば特開昭64−4
5.264号）。

［考案が解決しようとする課題］ スカート部の下端にピルファプルーフバンド部を、更
に金属製天板部に確認用湾曲部を有する複合安全蓋体
は、初期開封を明示する機能に優れ、又、確認用湾曲部
は容器内の減圧状態が維持されて充填物の品質が変化し
ていないこと等を保証する機能を合せ持つも、スカート
部等が合成樹脂製の為、レトルト処理等の加熱処理を行
なうと蓋体が緩むことにより容器内の減圧状態が維持さ
れなくなり、未開封の容器であるにも拘らず、確認用湾
曲部が上方に復元してしまい、確認用湾曲部による初期
開封の明示ができなくなる場合が生じるのみでなく、内
容物の品質に疑問を生じさせる欠点が有った。

［課題を解決するための手段］ 本考案は、金属製キャップと合成樹脂製キャップによ
る複合蓋体とし、該金属製キャップは、中央を上方に突
出湾曲させて確認用湾曲部を形成した天板部の周縁から
下方に複数の垂下部を設け、該垂下部の下端から内方へ
突起部を形成するものとし、又、合成樹脂製キャップ
は、天板部の中央に透孔を形成し、天板部の周縁から垂
下する円筒状のスカート部を形成すると共に該スカート
部の内方に前記金属製キャップを係止する内方膨出部を
形成し、且つ、該スカート部の下端に弱化部を介したピ
ルファプルーフバンド部を形成するものとし、合成樹脂
製キャップの内側に金属製キャップを固定する様に両キ
ャップを組み合せることとする。

［作用］ 本考案は金属製キャップと合成樹脂製キャップとを組
み合せる複合蓋体である故、金属製キャップに確認用湾
曲部を設け、又、合成樹脂製キャップにピルファプルー
フバンド部を設けることにより二重の初期開封表示を行
なわせることができる。

更に、金属製キャップにおける天板部周縁に設けた垂
下部の下端に内方への突出部を形成することにより該突
出部を容器口部の螺子部に係合させる蓋体とし、金属製
キャップにより容器口部を密封する複合蓋体である故、
熱処理によってもキャップによる容器の密封が緩む虞れ
を無くすことができる。

［実施例］ 本考案に係る蓋体は、第１図に示す様に、容器口部を
密封する金属製キャップ11を合成樹脂製キャップ31の内
側に設けて二重構造とした複合蓋体10である。

この金属製キャップ11は、第１図及び第２図に示す様
に、円板状にして容器口部を閉鎖する天板部13の中央部
を上方へ突出させる形状に湾曲させて確認用湾曲部15を
形成し、この天板部13の周縁には垂直方向の短円筒部17
を設け、該短円筒部17の下端から下方に延設する様に垂
下部21を等間隔に配置して複数個設けることとし、該垂
下部21の各下端には内方への突起部23を各々形成し、各
突起部23を容器口部51の螺子部55へ係合させる螺子部と
する。

尚、垂下部21の個数は容器口部51に形成された螺子部
55の条数に合せることとし、以て複数の突起部23により
形成される螺子部が、容器口部51の外周に設けられた螺
子部55により形成される雄螺子に合せた雌螺子とされる
ものとし、前記短円筒部17の内側には少なくとも天板部
13の周縁下面にライナー25を設けて容器口部51を密閉し
得る様にする。

そして天板部13に設ける確認用湾曲部15は、第２図に
示す様に上方に突出した形状として成形するも、初期の
密封状態では第１図に示す様に容器内の減圧により下方
へ湾曲した形状に変形し得る様に形成しておくものであ
る。

又、合成樹脂製キャップ31は、第１図及び第３図に示
す様に、前記金属製キャップ11の外径に応じた内径を有
するスカート部37を設け、該スカート部37の上端から水
平に平板状とした天板部33を設けるものとし、該天板部
33の中央には透孔35を設け、以て確認用湾曲部15が上方
及び下方へ自由に湾曲し得る様にし、且つ、湾曲部15が
下方へ突出する様に湾曲しているか否かを視認し得る様
にする。

更に、前記スカート部37の内側には内方膨出部38を形
成し、該内方膨出部38は金属製キャップ11における垂下
部21の下端に係合して合成樹脂製キャップ31の内側に前
記金属製キャップ11を挿入固定し得る様にし、又、スカ
ート部37の下端にブリッジや不連続スリットによる弱化
部41を設けてスカート部37の下方にピルファプルーフバ
ンド部43を形成し、該ピルファプルーフバンド部43は内
側に容器口部51の外周と係合するラチェット部45を有
し、以て蓋体10を容器口部51から開封除去する様に回転
させたとき、ピルファプルーフバンド部43はラチェット
部45により回転が阻止されて弱化部41に破断を生じさせ
る構造とするものである。

尚、前記金属製キャップ11の短円筒部17には適宜の凹
所19を設け、該凹所19と係合する凸部39を合成樹脂製キ
ャップ31のスカート部37における内側上方に設け、以て
合成樹脂製キャップ31に対して金属製キャップ11が回転
することを確実に防止しておく。

上述の如く、本実施例に係る蓋体10は金属製キャップ
11を合成樹脂製キャップ31の内側に固定した複合蓋体10
であり、上述の様に合成樹脂製キャップ31にピルファプ
ルーフバンド部43を形成すると共に、金属製キャップ11
の天板部13の中央に確認用湾曲部15を形成している故、
ピルファプルーフバンド部43の存在によって開封が行な
われていないことを表示すると共に、該蓋体10を減圧容
器に被蓋するときは、確認用湾曲部15は下方に湾曲する
様に吸引され、湾曲状態により充填物の品質を保証する
と共に、初期開封に際しては、容器内の減圧が解除され
ることにより確認用湾曲部15が上方へ湾曲した元の形状
に戻り、金属音を発して初期開封を明示し得る安全蓋体
10であり、当該複合安全蓋体10は、金属製キャップ11に
おける垂下部21の下端に設ける突起部23により雌螺子を
形成している故、金属製キャップ11によって容器口部51
に螺合固定され、内容物を充填した容器に熱処理を加え
た場合にも容器口部51との螺合が緩む虞れが無く、熱処
理後における容器内の減圧状態を確実に維持し、確認用
湾曲部15の機能を確実に生じさせ、又、前記ピルファプ
ルーフバンド部43による未開封表示と合せて二重の安全
性表示を行なって安全性を確実明確に示し得る複合安全
蓋体10である。

更に本実施例は、金属製キャップ11に螺子部を設ける
に際し、垂下部21により雌螺子となる突起部23と天板部
13とに距離を持たせ、垂下部21と突起部23とは円周方向
に不連続としている故、該金属製キャップ11用のブラン
ク28は、垂下部21及び突起部23を形成する為の突出部29
を円形の本体部の周囲に不連続に有する形状とすること
ができ、該金属製キャップ11用のブランク28を金属板か
ら打ち抜くに際しては、第４図に示す様にブランク28を
つめて打ち抜くことができ、資材の使用量を節用しつつ
金属製キャップ11に雌螺子を形成することができるもの
である。

尚、ピルファプルーフバンド部43を容器口部51に係合
させる機構は、ラチェット部45によりピルファプルーフ
バンド部43の回転を阻止する場合に限ることなく、ピル
ファプルーフバンド部43の内方に適宜の突起部又はフィ
ン等を形成し、以てピルファプルーフバンド部43が容器
の開封に際して蓋体10と共に上昇しない構造とする従来
の機構を適宜用い得ることは言う迄もない。

又、合成樹脂製キャップ31におけるスカート部37の内
側に形成する内方膨出部38によって金属製キャップ11を
係止固定するに際し、内方膨出部38を金属製キャップ11
における短円筒部17の下端に係合させて金属製キャップ
11の脱落を防止すると共に、内方膨出部38を垂下部21と
垂下部21との間に位置させて金属製キャップ11が合成樹
脂製キャップ31に対して回転しない様に固定することも
ある。

［考案の効果］ 本考案に係る複合安全蓋体は、金属製キャップと合成
樹脂製キャップとを組み合せたものであり、金属製キャ
ップに確認用湾曲部を形成し、合成樹脂製キャップにピ
ルファプルーフバンド部を形成して未開封状態を二重に
表示する安全蓋体であり、金属製キャップに螺子部とな
る突起部を不連続に形成して容器口部へ固定する故、資
材の節用を図りつつ熱処理に強い複合安全蓋体とし、確
認用湾曲部による充填物の変質保証を正しく表示させる
と共に初期開封の明示をも確実に行なわせることができ
る複合安全蓋体である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る複合安全蓋体を容器口部に被蓋し
た状態を示す断面図にして、第２図は金属製キャップを
示す半断面図であり、第３図は合成樹脂製キャップを示
す半断面図、第４図は金属製キャップを金属板から打ち
抜く際の型取りを示す図である。 10……複合蓋体、11……金属製キャップ、13……天板
部、15……確認用湾曲部、17……短円筒部、21……垂下
部、23……突起部、25……ライナー、31……合成樹脂製
キャップ、33……天板部、37……スカート部、38……内
方膨出部、41……弱化部、43……ピルファプルーフバン
ド部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】合成樹脂製キャップと金属製キャップとに
   よる複合蓋体にして、該金属製キャップは、天板部の中
   央に上方へ突出する球面形状の湾曲部を有し、該天板部
   の周縁に短円筒部を有し、該短円筒部の下端から下方へ
   複数の垂下部を有し、該垂下部の下端に内方への突起部
   を有する構造とし、又、前記合成樹脂製キャップは、天
   板部の中央に透孔を有し、該天板部の周縁から垂下する
   円筒状のスカート部を有すると共に、該スカート部の内
   側に内方膨出部を有し、且つ、該スカート部の下端に弱
   化部を介したピルファプルーフバンド部を有する構造と
   し、前記合成樹脂製キャップにおけるスカート部内側の
   内方膨出部により前記金属製キャップを合成樹脂製キャ
   ップの内方に係止固定したことを特徴とする複合安全蓋
   体。