JPH086091B2 - 強誘電性液晶物質組成物及び液晶光学素子 - Google Patents

強誘電性液晶物質組成物及び液晶光学素子

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JPH086091B2
JPH086091B2 JP63184673A JP18467388A JPH086091B2 JP H086091 B2 JPH086091 B2 JP H086091B2 JP 63184673 A JP63184673 A JP 63184673A JP 18467388 A JP18467388 A JP 18467388A JP H086091 B2 JPH086091 B2 JP H086091B2
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公洋 湯浅
聡 蜂屋
憲次 橋本
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、強誘電性液晶物質組成物及びこれを用いて
なる液晶表示素子、液晶記憶素子等の液晶光学素子に関
する。
〔従来の技術〕
近年、液晶材料として強誘電性液晶を用い、これを高
度に配向制御し、かつこの液晶材料を電極が配設された
二枚の基板の間に挟持してなる液晶光学素子が、電界等
の外部刺激に対しての高速応答性、コントラスト比等に
優れるなどの優れた特性を有することから注目され、液
晶表示素子、液晶記憶素子等として盛んに利用されるよ
うになってきた。しかしながら、強誘電性液晶物質のみ
からなる液晶材料を用いて液晶光学素子を作製する場
合、セル厚を厚くすることができず、導通欠陥や複屈折
干渉による色むらを生じたり、また双安定性が不均一に
なり易く、大面積化が難しいという問題がある。
これを改良するために、スメクチック相を有する液晶
物質とこれをカプセル化する媒体とを含有する液晶素子
で、光の散乱状態をコントロールする方法が特開昭62−
48789号公報に記載されている。ここで示されている液
晶素子はネマチック相で電界応答させているので応答速
度が遅く(数10〜数100ms)スメクチック相ではそのネ
マチック相での状態を保持するのみであり、また、散乱
非散乱モードにより光のオンオフを行っているのでコン
トラストが低いという問題がある。
また、強誘電性液晶物質と熱可塑性ポリマーとを含有
する複合膜を用いた液晶光学素子が特開昭63−25622号
公報に記載されているが、複合膜を調製するために乾湿
製膜法、水面展開法などを用いる必要があり、電気光学
素子とするためには複数枚積層しなければならず、生産
性が悪く、大面積化が困難であり、また従来のラビング
法などでは十分な配向が得られず、配向処理が困難であ
るという問題がある。
さらに、透明なエポキシ樹脂中に液晶物質をカプセル
状に分散させた液晶材料を用いた液晶光学素子が特表昭
61−502128号公報に記載されているが、このものもネマ
チック相で電界応答させているので応答速度が遅く、ま
た散乱非散乱モードにより光のオンオフを行っているの
でコントラストが低いという問題がある。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明は、従来の液晶材料よりも液晶光学素子のセル
厚を厚くすることができ、かつ電界に対する応答速度が
速く、かつコントラスト比を高くすることができる強誘
電性液晶物質組成物とこれを用いた液晶光学素子を提供
することを目的とする。
本発明はまた、厚いセルにおいてもリタデーション値
が小さく、着色や色むらが少なく、双安定性に優れ、変
形に対しての寸法、配向安定性に優れた液晶光学素子を
提供することを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは前記課題を解決するために鋭意検討を進
めた結果、強誘電性液晶物質と不飽和ポリエステル樹脂
及び架橋性のシリコーン樹脂から選ばれる架橋性樹脂か
らなる新規な強誘電性液晶物質組成物を用いた液晶光学
素子が前記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完
成するに至った。
すなわち、本発明は強誘電性液晶物質と不飽和ポリエ
ステル樹脂及び架橋性のシリコーン樹脂から選ばれる架
橋性樹脂からなる強誘電性液晶物質組成物と、この強誘
電性液晶物質組成物が少なくとも一方が透明な2枚の電
極により挟持されており、該強誘電性液晶物質が一軸配
向処理されている液晶光学素子を提供するものである。
本発明で用いられる強誘電性液晶物質としてはカイラ
ルスメクチックC相(SmC)を示す低分子又は高分子
の強誘電性液晶であれば特に限定されない。強誘電性低
分子液晶、強誘電性高分子液晶、あるいは、これらの混
合物などがある。
この強誘電性低分子液晶としては、例えば、一種また
は二種以上の強誘電性低分子液晶、一種または二種以上
の強誘電性低分子液晶と他の低分子液晶等の混合物から
なる強誘電性低分子液晶などを挙げることができる。
前記強誘電性高分子液晶としては、例えば、一種また
は二種以上の強誘電性高分子液晶、一種または二種以上
の強誘電性低分子液晶と一種または二種以上の強誘電性
高分子液晶からなる強誘電性高分子液晶、一種または二
種以上の強誘電性低分子液晶と一種または二種以上の他
の高分子液晶等からなる強誘電性高分子液晶などを挙げ
ることができる。
すなわち、前記強誘電性高分子液晶としては、ポリマ
ー分子自体が強誘電性の液晶特性を示す強誘電性高分子
液晶(ホモポリマーまたはコポリマーまたはそれらの混
合物)、強誘電性高分子液晶と他の高分子液晶および/
または通常のポリマーとの混合物、強誘電性高分子液晶
と強誘電性低分子液晶との混合物、強誘電性高分子液晶
と強誘電性低分子液晶と高分子液晶および/または通常
のポリマーとの混合物、あるいは、これらと通常の低分
子液晶との混合物などの、すべての強誘電性を示す高分
子液晶を使用することができる。
前記強誘電性高分子液晶の中でも、例えば、側鎖型強
誘電性高分子液晶が好適に使用することができ、特にカ
イラルスメクチックC相をとる側鎖型強誘電性高分子液
晶が好適に使用することができる。
側鎖型強誘電性高分子液晶の具体例としては、たとえ
ば、以下の各々の一般式からなる繰り返し単位を有する
ポリマー、コポリマー又はこれらのブレンド物等を挙げ
ることができる。
〔I〕ポリアクリレート系(特願昭61−305251号及び特
願昭62−106353号として本出願人が出願) 〔式中、kは1〜30までの整数であり、 であり、Xは−COO−又は−OCO−であり、 Rzは−COOR3、−OCOR3、−OR3、又は−R3であり、 ここでR3(式中、m及びnは、各々独立に、0〜9の整数であ
り、qは、0又は1であり、R4及びR5は、それぞれ−CH
3、ハロゲン原子又はCNであり、但し、R5が−CH3である
場合には、nは0ではなく、Cは不斉炭素原子を表
し、C(*)はn≠0の場合不斉炭素原子を意味す
る。)で表される基を表す。〕 このポリマーの数平均分子量は、好ましくは、1,000
〜400,000である。1,000未満であるとこのポリマーのフ
ィルム、塗膜としての成形性に支障を生じる場合があ
り、一方、400,000を超えると応答時間が長くなる等の
好ましくない結果の現れることがある。そして、数平均
分子量の特に好ましい範囲は、R1の種類、kの値、R3
光学純度等に依存するので一概に規定できないが1,000
から200,000である。
このポリマーの一般的な合成方法は、下式、 (ここで、k、R1、R2、R3、R4、R5、m及びnは前記の
ものである。) で示されるモノマーを公知の方法で重合することにより
得ることができる。
なお、ポリアクリレート系のうち、次式で示す液晶の
SmC相を示す温度TSC 、及び平均分子量Mnの例を示す
と、次の通りである。
(a)k=12,Mn=5300,TSC :5〜12℃ (b)k=14,Mn=6500,TSC :13〜31℃ 〔II〕ポリエーテル系(特願昭61−309466号として本出
願人が出願したものなど) (式中、k、R1、R2、R3、R4、R5、m、n及びXは前記
〔I〕と同じである。) このポリマーの数平均分子量は、好ましくは、1,000
〜400,000である。1,000未満であるとこのポリマーのフ
ィルム、塗膜としての成形性に支障を生じる場合があ
り、一方400,000を超えると応答速度が遅くなる等の好
ましくない結果の表れることがある。そして、数平均分
子量の特に好ましい範囲は、R1の種類、kの値、R3の光
学純度等に依存するので一概に規定できないが、1,000
〜200,000である。
このポリマーの一般的な合成方法は、下記一般式 (ここで、k、R1、R2、R3、R4、R5、m、n及びXは前
記と同じである。) で示されるモノマーを公知の方法で重合することにより
得ることができる。
なお、ポリエーテル系のうち、次式で示す液晶のSmC
相を示す温度TSC 、及び平均分子量Mnの例を示す
と、次の通りである。
(a)k=8,Mn=2800,TSC 24〜50℃ (b)k=10,Mn=2400,TSC :19〜50℃ 〔III〕ポリシロキサン系(特願昭62−114716号として
本出願人が出願したものなど) (式中、R6は低級アルキル基であり、k、R1、R2、R3
R4、R5、m、n及びXは前記と同じである。) このポリマーの数平均分子量は、特に限定されない
が、1,000〜400,000であることが好ましい。この数平均
分子量が1,000未満ではこのポリマーのフィルム、塗膜
としての成形性に支障を生じる場合があり、一方、400,
000を超えると電界応答速度が遅い等の好ましくない結
果の現れることがある。数平均分子量の特に好ましい範
囲は、R1基の種類、k、m、nの値、R3基の光学純度等
に依存するので一概に規定できないが、通常1,000〜20
0,000である。
このポリマーは例えば、下式、 (式中、R6は前記と同じ意味を有する。) で表される繰り返し単位からなるアルキルヒドロポリシ
ロキサンと下式 H2C=CH(CH2k-2−O−R1 (式中、R1、R2、R3、R4、R5、k、m、及びnは前記と
同じ意味を有する。) で表される液晶ユニット化合物とを一定条件で反応させ
ることにより合成することができる。
なお、ポリシロキサン系のうち次式で示す液晶SmC
相を示す温度TSC 及び平均分子量Mnの例を示すと、次
の通りである。
(a)k=6,Mn=16400,TSC :70〜90℃ (b)k=8,Mn=15000,TSC :39〜91℃ 〔IV〕ポリエステル系(特願昭61−206851号として本出
願人が出願したものなど) 〔式中のR7はH、CH3又はC2H5、sは1〜20の整数、A
はO(酸素)又は−COO−、tは0又は1、R1、R2
R3、R4、R5、k、m及びnは前記と同じ意味を有す
る。) 又は、 〔式中のs、A、t、R1、R2、R3、R4、R5、k、m及び
nは前記と同じ意味を有する。) これらのポリマーは、通常のポリエステルの縮重合反
応によって得られる。即ち、上記構造の二塩基酸又はこ
れらの酸クロライドと、二価アルコールの縮重合反応に
よって得られる。
これらのポリマーの数平均分子量1,000〜400,000の範
囲にあることが好ましい。この分子量が1,000未満では
このポリマーのフィルムや塗膜としての成形性に支障が
生じる場合がり、一方、400,000を超えると応答速度が
遅い等の好ましくない結果の現れることがある。数平均
分子量の特に好ましい範囲は、R2の種類、kの値、R3
光学純度等に依存するので一概に規定できないが、通常
1,000〜200,000である。
〔V〕
前記〔I〕ポリアクリレート系、〔II〕ポリエーテル
系、〔III〕ポリシロキサン系及び〔IV〕ポリエステル
系の繰り返し単位を含む共重合体。
前記〔I〕〜〔IV〕の繰り返し単位を含む具体例とし
ては次のものがある。
〔I〕の繰り返し単位と、以下の繰り返し単位を含
む共重合体。
等。(式中R3はH、CH3、Cl、F、Br、又はIであり、R
9はC110のアルキル又はアリールである。) この共重合体の数平均分子量Mnは1,000〜400,000であ
り、好ましくは1,000〜200,000である。
また、〔I〕の繰り返し単位は、20〜90%が好まし
い。
〔I〕の繰り返し単位の前駆体単量体である と以下の単量体との重合によって得られる共重合体。
〔式中、R10はC120のアルキル又はアリールであ
る。〕 〔I〕の繰り返し単位と の繰り返し単位を含む共重合体。
(式中は1〜30の整数であり、R11は、 であり、X1は−COO−、−OCO−又は−CH=N−であり、
R12は−COOR13、−OCOR13、−OR13又は−R13であり、R
13はC110のアルキル、フルオロアルキル又はクロロア
ルキルである。) 本発明に用いられる強誘電性高分子液晶としては、ポ
リマー中の側鎖の末端部分に不斉炭素が1又は2存在す
るものに限定されるものではなく、側鎖の末端部分に不
斉炭素が3以上含まれるものも使用できる。
また、前記強誘電性高分子液晶にSmCを有する低分
子液晶を混合したものも使用できる。
さらに、強誘電性高分子液晶として、例えばプロトン
供与体及び/又はプロトン受容体をそれぞれに有するポ
リマーと強誘電性低分子化合物とのブレンド物(特願昭
61−169288号として本出願人が出願したものから類推で
きる)等を挙げることができる。
この強誘電性高分子液晶としては、例えば下記に示す
低分子液晶とポリビニルアセテートとが水素結合して高
分子状となっているものがある。
強誘電性低分子液晶としては、例えば、次のものがあ
る。
(ここで、zは3〜30の整数である。) 4−〔4′−(12−ジメチロールプロピオニルオキ
シドデシルオキシ)ベンゾイルオキシ〕安息香酸2−メ
チルブチルエステル 4−〔4′−(12−(2,2−ジアセトキシプロピオ
ニルオキシ)ドデシルオキシ)ベンゾイルオキシ〕安息
香酸2−メチルブチルエステル 4′−(12−ジメチロールプロピオニルオキシドデ
シルオキシ)ビフェニル−4−カルボン酸2−メチルブ
チルエステル 4′−〔12−(2,2−ジアセトキシプロピオニルオ
キシ)ドデシルオキシ〕ビフェニル−4−カルボン酸2
−メチルブチルエステル 4′−〔4″−(12−ジメチロールプロピオニルオ
キシドデシルオキシ)ベンゾイルオキシ〕ビフェニル−
4−カルボン酸2−メチルブチルエステル 4′−〔4″−(12−(2,2−ジアセトキシプロピ
オニルオキシ)ドデシルオキシ)ベンゾイルオキシ〕ビ
フェニル−4−カルボン酸2−メチルブチルエステル 4−〔4″−(12−ジメチロールプロピオニルオキ
シ)ドデシルオキシビフェニル−4′−カルボニルオキ
シ〕安息香酸2−メチルブチルエステル 4−〔4″−(12−(2,2−ジアセトキシプロピオ
ニルオキシ)ドデシルオキシ)ビフェニル−4′−カル
ボニルオキシ〕安息香酸2−メチルブチルエステル さらに他のタイプの強誘電性高分子液晶としては、例
えば強誘電性低分子液晶と熱可塑性非晶質ポリマーとの
ブレンド物〔特願昭59−169590号(特開昭61−47427
号)として本出願人が出願〕等を挙げることができる。
この液晶は、熱可塑性非晶質ポリマー10〜80wt%と、
低分子液晶90〜20wt%とからなる液晶組成物であって、
本来は、自己形状保持能力がない低分子液晶に特定の非
晶質ポリマーを一定量加えることによって、この混合物
をフィルム等に形成することを可能にし、このフィルム
状等にすることにより自己形状保持能力を付与したもの
である。
この液晶組成物に用いられる熱可塑性非晶質ポリマー
としては、ポリスチレン、ポリカーボネート等の光学的
異方性を有しないものが用いられる。また、低分子液晶
としては、例えば DOBAMBC(p−デシロキシベンジリデン−アミノ−
2−メチルブチルシンナメート) 4′−オクチルオキシビフェニル−4−カルボン酸
2−メチルブチルエステル 4−(4″−オクチルオキシビフェニル−4′−カ
ルボニルオキシ)安息香酸2−メチルブチルエステル 4−オクチルオキシ安息香酸4−(2−メチルブチ
ルオキシ)フェニルエステル 4′−オクチルオキシビフェニル−4−カルボン酸
3−メチル−2−クロロペンチルエステル 3−メチル−2−クロロペンタン酸4′,4″−オク
チルオキシビフェニルエステル p−ヘキシルオキシベンジリデン−p′−アミノ−
2−クロロプロピルシンナメート 4−(2−メチルブチルベンジリデン)−4′−オ
クチルアニリン等のSmC相をとる強誘電性の液晶化合
物が用いられる。
本発明においては、本発明の目的に支障のない範囲
で、液晶材料にさらに他の液晶状ポリマーや、オレフィ
ン系樹脂、アクリル系樹脂、メタアクリル系樹脂、ポリ
スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネー
ト系樹脂、スチレン−ブタジエン系共重合体、塩化ビニ
リデン−アクリロニトリル共重合体などの樹脂を混合し
て使用することも可能である。
本発明において用いられる不飽和ポリエステル樹脂及
び架橋性シリコーン樹脂から選ばれる架橋性樹脂として
は次のようなものが挙げられる。
不飽和ポリエステル樹脂 シリコーン樹脂 強誘電性液晶物質組成物中の架橋性樹脂の重量分率は
通常5〜90%、好ましくは10〜70%とする。架橋性樹脂
の量が多すぎると液晶部分が少ないためコントラストが
低下し、少なすぎると上下基板間に十分充填されないた
め素子の力学的安定性が低下する。
強誘電性液晶物質と架橋性樹脂の混合方法は液晶部カ
プセルが存在できるように混合する方法であれば特に限
定されないが、次に示すような単純混合法と溶液混合法
が挙げられる。
単純混合法は室温又は液晶の粘度が小さくなる温度
〔カイラルスメクチックC相(SmC)、スメクチック
A相(SmA)、ネマチック相(N)、等方相(Iso)又は
これらの混相など結晶相やガラス相でない温度〕で架橋
前の架橋性樹脂と強誘電性液晶物質を混練する方法であ
る。混練の度合いは液晶部カプセルの大きさが数μm以
下であることが好ましいが、通常目視で均一であれば実
用上十分である。
溶液混合法は強誘電性液晶物質と架橋前の架橋性樹脂
を適当な溶媒に溶解させて混合する方法である。溶媒と
してはメチレンクロライド、クロロホルム、トルエン、
キシレン、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、
ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミドなど種々
のものが利用できる。この溶媒を蒸発させることで、一
様に分散した混合物を得ることができ、さらに蒸発速度
の調整で液晶カプセルの大きさを変えることもできる。
液晶光学素子の製造に用いられる強誘電性液晶物質組
成物のうち、強誘電性液晶物質と不飽和ポリエステル樹
脂及び架橋性のシリコーン樹脂から選ばれる架橋性樹脂
からなる強誘電性液晶物質組成物は新規な組成物であ
る。
本発明においては上記の混合法により得られた強誘電
性液晶物質組成物を少なくとも一方が透明である2枚の
電極の間に挟持して、強誘電性液晶物質を一軸配向処理
し、架橋性樹脂を架橋し素子とする。この素子の片面又
は両面には必要に応じ基板を積層して素子とする。
この素子を得る方法は、電極付き基板と強誘電性液晶
物質組成物の膜を積層する方法と電極付き基板に強誘電
性液晶物質組成物を塗布等により製膜してこれに電極付
き基板を積層する方法がある。
前者の方法は、キャスト法、押出し法、プレス法など
通常のポリマーに対して行われる製膜法を用いて1〜20
μm、好ましくは1.5〜15μmの厚さの強誘電性液晶物
質組成物のブレンド膜をつくり、その両側を少なくとも
一方が透明な電極で挟持し液晶光学素子とする。この素
子の片面又は両面には必要に応じ透明な基板を設けるこ
とができる。
透明な電極の具体例としては、例えば、NESA膜といわ
れる酸化錫膜、ITO膜といわれる酸化錫を混入した酸化
インジウム膜、酸化インジウム膜、金やチタンなどの蒸
着膜あるいは他の薄膜状の金属もしくは合金などを挙げ
ることができる。
基板の具体例としては、例えば、一軸又は二軸延伸ポ
リエチレンテレフタレート等の結晶性ポリマー、ポリス
ルホン、ポリエーテルスルホン等の非結晶性ポリマー、
ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポ
リカーボネート、ナイロン等のポリアミドなどからなる
熱可塑性樹脂板、ガラス板などを挙げることができる。
強誘電性液晶物質組成物の製膜は、製膜時にやや厚目
(2〜50μm)に製膜し、これを電極と積層する前に2
〜5倍程度に一軸延伸を行ってもよい。このようにする
と、強誘電性液晶物質の配向処理を兼ねることができ
る。
後者の塗布により製膜を行う方法は、電極付き基板の
電極上に塗布法により強誘電性液晶物質組成物を製膜、
これに電極又は電極付き対向基板を積層する方法であ
る。
この塗布により製膜する方法によれば、塗布温度、塗
布速度を適当に選択すれば強誘電性液晶物質をバーコー
ターなどで直接配向させることもできる。塗布は通常、
電極上の強誘電性液晶物質組成物を円筒状のローラやヘ
ラ状の棒等の塗布棒を用いてこれを移動させて膜状にす
ることにより行われる。用いられる電極の種類、基板の
種類等は前記の方法で用いられるものと同じものが用い
られる。強誘電性液晶物質組成物の厚さとしては通常、
0.5〜10μm、好ましくは0.5〜4μm程度の範囲内に設
定するのが適当である。また、強誘電性液晶物質組成物
の5〜50重量%の溶液をロールコーター、グラビアコー
ター、スクリーン印刷等で電極付き基板に塗布した後に
溶媒を蒸発させ、これに電極又は電極付き基板を積層す
る方法も好適に用いられる。
次に本発明の液晶光学素子においては、液晶物質が一
軸配向処理されている必要がある。すなわち、電界によ
るスイッチングにおいて高コントラストを得るには複屈
折型素子としなければならない。このために、液晶物質
をセル面とほぼ平行に一軸配向処理を行う。
この配向処理は製膜時に同時に行う方法と、製膜、積
層後に行う方法とがある。
製膜時に配向させる方法は、前記の製膜して得られた
膜を延伸してから積層する。膜の延伸温度を液晶がSmC
相、SmA相、N相、N相あるいはこれらと等方相(I
so相)との混相を示す温度で2〜5倍に延伸することに
より配向状態が得られる。配向が十分でない場合には、
等方相まで加熱し、液晶温度まで0.05〜20K/分、好まし
くは0.05〜5K/分で冷却することで配向が良好になる。
また、前記の塗布により得られた膜は塗布条件を適当に
設定すれば、塗布時に同時に配向状態が得られる。
配向処理を製膜、積層後に行う方法としては、ラビン
グ法、斜法蒸着法、剪断法、曲げによる配向法等が挙げ
られる。
ラビング法によれば、予め少なくとも一方の電極付き
基板上にポリイミド(PI)、ポリビニルアルコール(PV
A)等の膜をスピンコート法、ディップ法、塗布法など
で20〜10,000Å、好ましくは2000Å以下に形成し、布な
どで一方向にこする(ラビングする)処理をしておき、
液晶を等方相から0.05〜20K/分、好ましくは0.05〜5K/
分で冷却することで配向した液晶層が得られる。(ラビ
ング法:磯貝正人、向尾昭夫、中野文雄、佐藤幹夫、第
43回応用物理学会講演会予稿集(1982秋)) 斜方蒸着法によれば少なくとも一方の電極付き基板上
にSiO、SiO2などの無機物質を斜方蒸着しておき、等方
相からラビング法と同様な速度で冷却することで配向し
た液晶層が得られる。(W.Vrbach,M.Boix,and E.Guyon;
Appl.Phys,Lett.,25(1974)479) 剪断法によれば電極付きの上下基板をわずかに相互に
ずらし、液晶に剪断応力を印加することで配向した液晶
層が得られる。(N.A.Clark and S.T.Langerwall;Appl.
Phys,Lett.,36(1980)899) 曲げによる配向法によれば、例えば液晶光学素子を少
なくとも二本の自由回転ローラ間を連続して移動させな
がら曲げ変形処理することにより配向した液晶層が得ら
れる。この配向処理は架橋性樹脂が十分硬化する前に行
えば、液晶部分に大きな剪断が印加され易く、より高度
な配向状態が得られる。
次に本発明の液晶光学素子を製造するにあたっては、
膜形成時に強度、安定性をもたせるために架橋操作を行
う。架橋操作は架橋性樹脂に架橋剤(硬化剤)を混入さ
せることで行われる。通常は製膜前の溶液作製時に混入
すればよい。溶液状態では希釈効果によって容易に架橋
が進行しないので溶液の粘度が急激に変化することもな
い。製膜後、溶媒が蒸発した後に架橋が開始する。樹脂
の種類にもよるが室温で放置(数分〜数10時間)するが
適当な温度に加熱又は紫外光の照射で架橋硬化時間が短
縮できるものもある。この加熱又は紫外光照射などは積
層の前後のいずれでもよい。溶媒を用いずに液晶と架橋
性樹脂の混合物で製膜するときは混合物作製時に架橋が
開始するので安定な連続製造などを行うために架橋(硬
化)時間の長い樹脂を選定すればよい。もちろん加熱、
紫外光照射によって製膜後の硬化促進を行うことができ
る。
このようにして架橋性樹脂を架橋させて得られた強誘
電性液晶物質組成物からなる本発明の液晶光学素子は膜
形状安定性に優れているが、特に液晶が長期の使用に対
して流出するなどの恐れがある場合はセル端面をエポキ
シ系接着剤などで封入固定してもよい。
〔実施例〕
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、
本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1 強誘電性高分子液晶 ポリオキシラン系 Mn=2800 上記の強誘電性高分子液晶と、不飽和ポリエステル樹
脂(東洋東圧製エスター)を溶媒を用いずに1:1の混合
物とし、プレス法で20cm×20cm、厚み6μmに成形し
た。こののちITO付きPES基板でラミネートした。樹脂半
硬化後、第1図に示したローラーを通し(T1=T2=105
℃、T3=80℃、T4=60℃、v=3m/分、ロール径は大80m
m、小40mmである。)、曲げ配向処理を行ったところ、
コントラスト比は28℃、±15V印加で80となった。応答
速度は75msだった。リタデーション値を測定したとこ
ろ、Δn・d=0.26であった。顕微鏡観察では液晶カプ
セルの大きさは直径の平均値が5μmであった。目視で
も着色が少なく、一様な応答であった。電界除去後の双
安定状態は36℃で、一週間放置後も92%に保たれてい
た。(リタデーション値:Δn・d、Δn:屈折率異方
性、d:セル厚) 実施例2 上記の強誘電性高分子液晶と、架橋性のシリコーン樹脂
(東芝シリコーン製TSE3450)の1:3混合物(硬化剤含
む)をジクロルメタンに溶解させた25wt%溶液をグラビ
アコーターで塗布製膜後ラミネートした。基板はITO付
きPES基板(幅30cm)を用いた。電極間の膜厚は約7μ
mであった。配向処理は実施例1に示した装置で、T1
25℃、T2=60℃、T3=48℃、T4=25℃としてV=1m/min
で行った。
コントラスト比は25℃、±4Vの印加で42応答時間は90
0μsであった。リタデーション値はΔn・d=0.22で
あった。顕微鏡による観察では液晶部と樹脂部がほぼ均
一に分散しており区別が難しかった。目視での着色は認
められず白色であった。電界除去後の双安定状態は36
℃、1時間で95%保たれており実用上優れた結果を得
た。本素子は曲率半径5cmまで変形させたが配向状態、
膜厚は極めて安定に保たれていた。
〔発明の効果〕
本発明の強誘電性液晶物質組成物を用いた液晶光学素
子は、大面積の液晶光学素子で、電界に対する応答速度
が速く、コントラスト比の高いものが得られる。また、
着色、色むらのない双安定性、寸法安定性においても優
れたものが得られる。また、本発明の液晶光学素子の製
造方法においては、セル厚を厚くできるので製造条件が
緩和され、導通不良が起こりにくくなり、強誘電性液晶
物質の配向に曲げ配向法を有効に利用できるので極めて
少ないプロセスで容易に液晶光学素子を製造することが
でき、素子の大面積化、連続生産が可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図は素子を配向させているところを示す模式的断面
図である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−25622(JP,A) 特開 昭61−47427(JP,A) 特開 平1−230693(JP,A) 欧州特許出願公開219479(EP,A2)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】強誘電性液晶物質と不飽和ポリエステル樹
    脂及び架橋性のシリコーン樹脂から選ばれる架橋性樹脂
    からなる強誘電性液晶物質組成物。
  2. 【請求項2】強誘電性液晶物質と不飽和ポリエステル樹
    脂及び架橋性のシリコーン樹脂から選ばれる架橋性樹脂
    からなる強誘電性液晶物質組成物が少なくとも一方が透
    明な2枚の電極により挟持されており、該強誘電性液晶
    物質が一軸配向処理されている液晶光学素子。
  3. 【請求項3】強誘電性液晶物質と不飽和ポリエステル樹
    脂及び架橋性のシリコーン樹脂から選ばれる架橋性樹脂
    からなる強誘電性液晶物質組成物が少なくとも一方が透
    明な2枚の電極により挟持されており、該強誘電性液晶
    物質が一軸配向処理されている液晶光学素子の片面又は
    両面に基板を積層してなる液晶光学素子。
  4. 【請求項4】基板が熱可塑性樹脂板である請求項3記載
    の液晶光学素子。
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