JPH0853568A - 球状樹脂粉体およびその製造方法ならびに化粧料 - Google Patents

球状樹脂粉体およびその製造方法ならびに化粧料

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JPH0853568A
JPH0853568A JP19041794A JP19041794A JPH0853568A JP H0853568 A JPH0853568 A JP H0853568A JP 19041794 A JP19041794 A JP 19041794A JP 19041794 A JP19041794 A JP 19041794A JP H0853568 A JPH0853568 A JP H0853568A
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淳 岸本
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 化粧品の可視光線透過型原料として適した球
状樹脂粉体およびその製造方法ならびにこれを使用した
化粧品に関し、金属化合物粒子を樹脂粉体に含有させて
使用することにより、有機系紫外線吸収剤を不要にし、
化粧料の原料として金属化合物の微粒子を使用する場合
に伴う技術的困難さと有機系紫外線吸収剤の存在に伴う
弊害とを解消できるようにすることを目的とする。 【構成】 球状樹脂粉体は、樹脂粉体の粒径が30μm以
下であり、該樹脂粉体には金属酸化物、金属窒化物、お
よび金属炭化物のうち少なくとも1種類の金属化合物を
全重量のうち 1〜80重量%含有し、当該金属化合物の分
散粒子径が 0.1μm以下であるように構成し、製造方法
は、前記球状樹脂粉体を製造することができるように
し、化粧料は前記球状樹脂粉体を1〜50重量%配合す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は化粧品の可視光線透過型
原料として適した球状樹脂粉体およびその製造方法なら
びにこれを使用した化粧品に関する。詳しくは、可視光
線を透過させる程度に微細な金属化合物を含有させた球
状樹脂粉体およびその製造方法並びにその球状樹脂粉体
を含有させて使用性および機能性を向上させた化粧品に
関する。
【0002】
【従来の技術】化粧品に使用される金属酸化物、金属窒
化物、および金属炭化物等の金属化合物の粉体には、特
定の着色力を持つため顔料として使われるもの、また、
紫外線遮蔽性、赤外線遮蔽性、および抗菌性等の機能を
有しているため機能材料として使われるもの等がある。
【0003】これら金属化合物粉体の粒子径を小さくす
ると、例えば 0.1μm以下にするならば、可視光線(波
長 0.4〜0.8 μm)をほとんど吸収せずに透過してしま
う。この結果、金属化合物の粉体は透明性を帯びる。例
えば、赤色顔料として使われているヘマタイト(酸化第
2鉄:Fe2O3 )は、粒子径を 0.1μm以下にするなら
ば、着色力は低下するものの、その代わりに透明感に優
れた色むらのない赤味を発色させることができる。
【0004】最近、化粧料では皮膚に対する隠蔽力を弱
めにして、これを使用した時に自然な仕上がりになるの
を好むような消費者の傾向がでてきており、この意味で
透明性に優れた金属化合物の微粉体は、このような化粧
料を作るのに適した原料といえる。機能材料の場合、そ
の性能は表面積の大きさに依存するケースも多く、表面
積が大きい方が高性能となる傾向が強いため、金属化合
物を 0.1μm以下の粒子径とするならば、表面積は著し
く大きくなるので、より高機能を引出すことができる。
一般的に、紫外線遮蔽性や抗菌性等の機能を有する金属
化合物の微粒子粉体の場合、このことが良くあてはま
る。
【0005】したがって、金属化合物の粒子径を 0.1μ
m以下にするならば、透明性と機能性の両方を著しく高
めることができ、化粧料の原料としての有用性も増すこ
とになる。また、透明で紫外線遮蔽性を有する粉体に
は、これまでに述べた金属酸化物を使う方法以外に、ベ
ンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、およびサリチ
ル酸塩系等の有機系紫外線吸収剤を溶解させた樹脂粉体
を使う方法もある。
【0006】しかし、これらの有機系紫外線吸収剤は一
般的に樹脂に対する溶解度が余り高くないため、高濃度
で有機系紫外線吸収剤を含有する樹脂粉体を製造するこ
とが難しく、このような低濃度の有機系紫外線吸収剤を
含有する樹脂粉体を用いて充分な紫外線遮蔽効果のある
化粧料を製造しようとすると、樹脂粉体の配合料を多く
せざるを得ず、このため化粧料の商品設計に支障を来
す。
【0007】そして、一般に有機系紫外線吸収剤は樹脂
粉体よりブリードアウトしやすく樹脂の表面に出てくる
傾向があるので、経時的に濃度が下がり、性能が低下す
る懸念があるということ以外に、有機系紫外線吸収剤は
繰り返し皮膚と接触する時、アレルギー症状を引き起こ
す可能性があることが指摘されており、樹脂粉体の表面
にブリードアウトしてきた有機系紫外線吸収剤について
は、このような安全性の面での心配もある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の技術におい
ては、紫外線遮蔽性を有する金属化合物を使う化粧料で
は、金属化合物の粒子径を微細にすると化粧料の原料と
しての有用性が増すが、微細化することは必ずしも良い
面ばかりではなく、不利な面もある。例えば、粒子径が
小さくなると粒子の表面積が増大し、その表面エネルギ
が著しく大きくなるために凝集し易くなり、1次粒子と
しては 0.1μm以下でも、2次粒子としてはずっと大き
くなるため、本来の透明性を発揮させることが難しくな
る。
【0009】また、粒子径が 0.1μm以下になると、表
面エネルギが大きいため、皮膚と接触した時にザラつく
感触となり、化粧料原料としては欠点となる。さらに、
粒子径がこのように小さいと触媒活性が生じる場合があ
り、化粧料に配合された時には、他の成分のビヒクル
(Vehicle )に作用して変質、着色、ゲル化等の現象を
誘起することがある。
【0010】このため、このような金属化合物の微粒子
を、化粧料の原料として使いこなすのには、かなりの技
術的な困難さを伴うという問題点があった。また、有機
系紫外線吸収剤を含有した紫外線遮蔽性を有する樹脂粉
体を使う化粧料では、樹脂粉体の配合料を大きくせざる
を得ず、商品設計に支障を来し、またアレルギー症状を
引き起こす可能性があるなどの問題点があった。
【0011】本発明は、従来の技術における前記問題点
を解消するためのものであり、そのための課題は、金属
化合物粒子を樹脂粉体に含有させて使用することによ
り、有機系紫外線吸収剤を不要にし、化粧料の原料とし
て金属化合物の微粒子を使用する場合に伴う技術的困難
さと有機系紫外線吸収剤の存在に伴う弊害とを解消した
球状樹脂粉体およびその製造方法ならびに化粧料を提供
することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は前記課題を達成
できるようにするため、請求項1に係る球状樹脂粉体
は、樹脂粉体の粒径が30μm以下であり、該樹脂粉体に
は金属酸化物、金属窒化物、および金属炭化物のうち少
なくとも1種類の金属化合物を全重量のうち 1〜80重量
%含有し、当該金属化合物の分散粒子径が 0.1μm以下
であることを特徴とする。
【0013】請求項2に係る球状樹脂粉体は、前記金属
酸化物が酸化亜鉛、酸化チタン、および酸化セリウムの
うち少なくとも1種類から選ばれ、紫外線遮蔽機能を有
することを特徴とする。
【0014】また、請求項3に係る球状樹脂粉体の製造
方法は、金属酸化物、金属窒化物、および金属炭化物の
うち少なくとも1種類の金属化合物と、当該金属化合物
に対し 1〜50重量%のカルボン酸、スルホン酸、硫酸エ
ステル、リン酸エステル、およびフォスフォン酸、並び
にこれらの塩の内から選ばれた少なくとも1種類の分散
剤とを、樹脂モノマーまたは樹脂モノマーと溶剤との混
合体に分散させて、当該金属化合物の分散粒子径が 0.1
μm以下である分散液を調整し、この分散液を水性媒体
に加え、懸濁重合もしくは乳化重合を行わせることを特
徴とする。
【0015】また、請求項4に係る化粧料は、前記球状
樹脂粉体を1〜50重量%含有し、伸びおよび滑りに優
れたものであることを特徴とする。また、請求項5に係
る化粧料は、前記球状樹脂粉体を1〜50重量%含有
し、伸びおよび滑りに優れ、かつ、紫外線遮蔽機能を有
するものであることを特徴とする。
【0016】〔発明の具体的説明〕主に化粧料の原料と
して使用する上で有用な金属化合物の微粒子を、球状樹
脂粉体に含有させ、この球状樹脂粉体を30μm以下の粒
径にする。そして、この樹脂粉体の樹脂マトリックス中
に分散している金属化合物の粒子径(以下、分散粒子径
という)を 0.1μm以下とする。
【0017】この分散粒子径 0.1μm以下の金属化合物
の微粒子は、樹脂中に固定されているため、当然、再凝
集することはなく、粒成長はしない。このため透明性が
充分に高い樹脂を選択するならば、樹脂中の微粒子も分
散粒子径が 0.1μm以下で可視光透過性が高いので、こ
のような金属化合物を含有する樹脂粉体は全体としても
透明性に優れたものとなる。このとき使用されている金
属化合物が機能材料の場合には、その性能は一層高まる
ことになる。
【0018】この樹脂粉体は形状が球状なので化粧料に
配合した場合、この化粧料の伸び、および滑りを一層改
善する効果がある。さらに金属化合物の粒子表面が樹脂
で覆われているために、触媒活性は抑えられ、化粧料中
の他のビヒクルになんら悪影響を及ぼすことはない。こ
のため、金属化合物の微粒子を樹脂マトリックスの中に
分散させるならば、微粒子ゆえの透明性もしくは高機能
という長所を生かしつつ、微粒子の凝集性、伸びや滑り
の悪さ、触媒活性等の欠点を改善することができるよう
になる。
【0019】本発明で用いられる金属化合物には、金属
酸化物としては二酸化珪素、酸化鉄(ベンガラ、鉄黒
等)、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム等の、通常
の化粧料原料として用いられるものが挙げられ、金属窒
化物としては窒化硼素等、また金属炭化物としては炭化
珪素等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるも
のではない。
【0020】金属酸化物として酸化亜鉛、酸化チタン、
または酸化セリウム等の紫外線遮蔽機能を有するものを
選べば、これらの微粒子を分散粒子径 0.1μm以下で含
有してなる樹脂粉体は、透明性および紫外線遮蔽機能を
有するものとなる。このため、 0.1μm以下の分散粒子
径となるように紫外線遮蔽機能を有する金属化合物を用
いて樹脂粉体を製造すれば、透明性、紫外線遮蔽性に加
え、長期安定性および安全性等の点で優れた材料ができ
るようになる。
【0021】前述したとおり、樹脂粉体中における金属
化合物の分散粒子径は 0.1μm以下とする。さらに好ま
しくは、0.05μm以下でなくてはならない。この粒子径
が 0.1μm以上であると、粒子の可視光線に対する散乱
係数が大きくなり、透明性が著しく損なわれる。このよ
うな 0.1μm以上の樹脂粉体を配合して化粧料を作って
も透明性に優れたものは得られない。
【0022】樹脂中での分散粒子径を 0.1μm以下にす
るためには、出発原料である金属化合物の粒径もまた
0.1μm以下でなければならない。このような金属化合
物の微粒子は、例えば特開平 2−311314号公報に記載さ
れている方法で製造することができる。この公報中に
は、特に、酸化亜鉛微粉末の製造方法について言及され
ている。すなわち、亜鉛の酸性塩と酢酸アンモニウムの
混合溶液に硫化水素を通じ、得られた沈殿物から可溶塩
を除去し、次いで、この沈殿物を非水溶媒に分散した
後、これをオートクレーブにて 250〜400 ℃で加熱して
ガス分を除去し、その後得られた乾粉を 500〜800 ℃で
加熱処理することで酸化亜鉛微粒子を得る。
【0023】他の金属酸化物微粒子の多くについても、
上述のように、まず当該金属の酸性塩とアルカリの中和
反応により沈殿物を得て、引き続き、これをオートクレ
ーブを用いて高温高圧処理をすることで、酸化亜鉛の場
合と同様にして、製造することができる。金属酸化物の
粒径は、 0.1μm以下であれば、工業的に量産可能な範
囲でいくら細かくても樹脂粉体製造上支障がない。
【0024】ただし、単に、 0.1μm以下の1次粒子径
を持つ粉末を樹脂に練り混むだけでは分散粒子径を 0.1
μm以下にすることはできず、また樹脂粉体の形状を3
0μm以下の球状にすることはできない。分散粒子径を
0.1μm以下にするとともに樹脂粉体の粒径が30μm
以下で形状が球状のものであることが、本発明の重要な
点である。
【0025】次に、樹脂粉体中の金属化合物の含有率は
1〜80重量%が好ましい。含有率が1重量%以下では
含有量が少なすぎ、たとえば、この金属化合物が機能材
料であって、これを含有する樹脂粉体を化粧料に配合し
て当該金属化合物のもつ機能を化粧料に与えようとして
も、十分に性能を発揮させるためには樹脂粉体を大量に
配合しなければならず、化粧料の配合設計が極めて難し
くなる。
【0026】また、含有率が80重量%以上では、重合
前の分散液を製造する段階で、樹脂モノマーに対する金
属化合物の量が多すぎて、この分散液の粘度が非常に高
くなり、金属化合物の微粒子に対し効果的に分散エネル
ギーを与えることができないため、金属化合物の微粒子
を高分散状態にすることは困難になる。このため、金属
化合物の分散粒子径が 0.1μm以下である分散液を製造
することはできない。この場合、後に述べる理由で、金
属化合物をやはり分散粒子径を 0.1μm以下で含有する
樹脂粉体を製造することはできなくなる。
【0027】また、この場合、金属化合物粉末を樹脂モ
ノマーと溶剤との混合体に分散する方法もあるが、樹脂
モノマーに対して相対的に溶剤をかなり多くしなければ
ならず、この時、重合後、樹脂粉体中に多量の溶剤が残
存するため、当該樹脂粉体を化粧料原料として用いる場
合は安全性のためには、この溶剤を除去しなければなら
ないので、製造上、問題が残る。
【0028】たとえば、特公昭62−51931 号公報では、
その実施例で酸化チタン微粉末、酢酸ビニル、およびヘ
キサンの混合系で重合させて球状多孔質樹脂粉体を得る
との記述があるが、この公報中では樹脂粉体を多孔質化
するために樹脂モノマーである酢酸ビニルに対し溶剤の
ヘキサンを多量に用いているので、樹脂粉末を得た後、
残留ヘキサンを除去するために、イソプロピルアルコー
ルで繰り返し、洗浄している。
【0029】〔球状樹脂粉末の製造〕請求項1で述べた
樹脂粉体は、懸濁重合法を用いる場合、次のような段階
を経て製造される。第1段階 0.1μm以下の粒径をも
つ金属化合物を、樹脂モノマーまたは樹脂モノマーと溶
剤との混合体に高分散状態で分散させる。第2段階 第
1段階で得られた分散液を重合開始剤の存在下で、懸濁
保護剤を添加された水相と混合し、攪拌しながら重合開
始に必要な温度以上に昇温したのち、一定時間保持す
る。重合終了後、濾過洗浄し、乾燥させて、本発明の目
的物である樹脂粉体を得る。
【0030】以下、各段階のプロセスにつき、詳述す
る。 〔第1段階のプロセス〕第1段階で用いられる樹脂モノ
マーとしては、アクリル酸エステル、メタクリル酸エス
テル、アクリルスチレン共重合体、酢酸ビニル、ポリア
ミド、エポキシシ、ウレタン、ポリエステル、およびシ
リコン樹脂等のうちから選ばれたものを用いる。すなわ
ち、その重合体の透明度が高く、かつ、化粧料の原料と
して使用可能なものであれば良い。
【0031】金属化合物と樹脂モノマーとの重量比は、
(金属化合物)/(樹脂モノマー)=70/30以下が
好ましい。この比率以上であると液の粘性が上がって金
属化合物を良好な分散状態にすることが難しくなる。こ
れらの樹脂モノマーに金属化合物の粒子を分散させるわ
けであるが、このとき分散を促すために必要に応じて有
機溶媒を用いても良い。ここで用いる有機溶媒は、たと
えば、イソプロピルアルコール等のアルコール類、メチ
ルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル
類などで、第2段階の最終工程における乾燥により容易
に除去できるものであれば、これらに限定されるもので
はない。
【0032】有機溶媒の樹脂モノマーに対する添加量
は、金属化合物の良好な分散状態を確保できる範囲で、
できるだけ少ないほうが良い。添加量の少ない方が第2
段階の乾燥による蒸発によって有機溶媒の除去が容易に
なるからである。第1段階で技術的に重要な点は、 0.1
μm以下の粒径をもつ金属化合物を樹脂モノマーまたは
樹脂モノマーと溶剤との混合体に分散させる際、いかに
して適切な分散剤を選択するかということである。
【0033】使用される分散剤としては、樹脂モノマー
との親和性に富み、同時に後で述べるように第2段階で
の製造を考慮して疎水性の高いものが良い。すなわち、
分散剤は金属化合物を被覆することで樹脂モノマーに対
する分散を促し、同時に金属化合物間の再凝集を防ぐ。
この状態で高い分散エネルギーを与えると金属化合物の
粒子は比較的に短時間のうちに、ほとんど単分散状態と
なり、分散粒子径は 0.1μm以下となる。
【0034】また、分散剤は金属化合物の粒子に疎水性
を与えるので、第2段階で樹脂モノマーが重合する際、
金属化合物の粒子が重合体の外に出ず、水相に移行する
ことなく樹脂中に取り込まれるのを助ける。このような
分散剤としては、カルボン酸またはその塩(例、カルボ
キシメチルセルロースナトリウム)、スルホン酸または
その塩(例、アルカンスルホン酸ナトリウム)、硫酸エ
ステルまたはその塩(例、ポリオキシエチレンノニルフ
ェニルエーテル硫酸ナトリウム)、リン酸エステルまた
はその塩(例、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリ
ン酸ジエタノールアミン)、およびフォスフォン酸また
はその塩(ラウリルリン酸ナトリウム)が挙げられる。
これらの分散剤は同時に化粧料の原料として認められた
ものでなくてはならない。
【0035】分散剤の金属化合物に対する添加率は 1〜
50重量%が好ましい。1重量%以下では金属化合物の表
面を覆うには少なすぎて十分な金属化合物の分散状態を
得ることができず、一方、50重量%以上では、これ以
上、添加率を上げても、さらに分散性を改善することが
できなくて、分散剤がむだになる。分散装置としては、
ボールミル、サンドミル、超音波分散機、またはホモジ
ナイザー等が挙げられるが、分散系に十分な分散エネル
ギーを与えられるものであれば、これらに限定されるも
のではない。
【0036】分散時間としては、一般的には、30分〜
2時間程度が好ましいが、分散状態と製造コストとの兼
ね合いで適切な時間を選べば良い。以上の諸条件によ
り、金属化合物粒子の分散粒子径が 0.1μm以下である
分散液を得ることができる。 〔第2段階のプロセス〕まず、第1段階で得た分散液に
重合開始剤を添加し、これを樹脂モノマー相とする。重
合開始剤の樹脂モノマーに対する添加率は、通常 0.1〜
0.5 重量%である。この場合、重合開始剤を樹脂モノマ
ーに溶解させた上で分散液に添加しても良い。
【0037】重合開始剤としては、過酸化ベンゾイル、
過酸化ラウロイル,tert.−ブチルパ−オキシ2エ
チルヘキサノエート等の過酸化物、2,2アゾビス2,
4ジメチルバレロニトリル、2,2アゾビスイソブチロ
ニトリル等のアゾ化合物を挙げることができる。樹脂モ
ノマーを水相で安定化するための懸濁保護剤は予め水相
に添加する。この懸濁保護剤には、有機系のものと、無
機系のものとがある。有機系の懸濁保護剤としては、部
分ケン化ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリド
ン、ゼラチン、およびデンプン等が挙げられる。また、
無機系の懸濁保護剤としては、マグネシウムやカルシウ
ム等のリン酸塩を挙げられるが、これらに対しては更に
アニオン系の界面活性剤が併用されることが多い。
【0038】懸濁保護剤の樹脂モノマーに対する添加率
は 0.5〜10重量%で、界面活性剤を用いるときは水に対
し0.01〜0.2 重量%添加される。次に、上記樹脂モノマ
ー相と水相とを混合したのち、攪拌しながら昇温して、
重合を開始させるのであるが、この重合開始温度は50
〜80°Cとするのが良い。そして、この温度で保持し
ながら重合させる時間としては一般的に1〜5時間程度
が好ましい。
【0039】懸濁重合プロセスにより、樹脂中に金属化
合物を、第1段階における分散液中の分散粒子径 0.1μ
m以下のまま取り込んだ樹脂粉体を得る。懸濁重合の過
程で樹脂モノマーは水中で最小の表面エネルギーになろ
うとするために球状となるので、重合終了後、生成され
る樹脂粉体もまた球状となる。このとき、攪拌条件をコ
ントロールし、球状の樹脂モノマーに対する剪断状態を
コントロールすることで、樹脂粉体の粒径を決定するこ
とができる。
【0040】樹脂粉体の粒径は30μm以下とするのが
良い。一般的に化粧料を皮膚に塗る時、その塗布厚は3
0〜50μm程度と考えられ、このため樹脂粉体の粒径
は30μm以上であると塗布厚に比較して粒径が大きす
ぎ、塗布したときの平滑性を欠くことになる。引き続き
濾過を行い、樹脂粉体を水相より分離し、さらに洗浄を
行い、室温で乾燥させて、本発明の目的物である金属化
合物の微粒子を含有する樹脂粉体を得る。
【0041】化粧料に対して樹脂粉体を配合する場合、
その配合量は1〜50重量%が好ましい。この配合量が
1重量%以下であると樹脂粉体が少なすぎて着色や機能
性の付与等の樹脂粉体を添加した効果が明確に認められ
ず、また、50重量%以上に添加量を増加したとして
も、添加量の増加に見合った顕著な効果の増進が得られ
ないため、樹脂粉体が無駄になる。
【0042】
【作用】このように構成したことにより、本発明による
球状樹脂粉体は、金属化合物が粒子径 0.1μm以下であ
って高い透明性を有し、それが機能材料の場合には粒径
が大きいときよりも高い機能性を発揮して、これを化粧
料の原料として用いるならば、これによって得られる化
粧料はより付加価値の高いものとなる。
【0043】そして、金属化合物の微粉末を樹脂粉体に
含有させたことによって、金属化合物の微粉末ではその
表面エネルギーが大きいために凝集傾向が強いが、1次
粒子の微細粒をそのまま維持することができるようにな
り、金属化合物微粒子の長所を生かすことができるよう
になる。
【0044】また、本発明による球状樹脂粉体の製造方
法は、 0.1μm以下の粒径をもつ金属化合物の分散液を
作製し、その分散液を懸濁重合もしくは乳化重合して、
金属化合物の分散粒子径が 0.1μm以下である球状の樹
脂粉体を製造するようにしたことによって、球状樹脂粉
体が金属化合物の1次粒子の微細粒をそのまま維持し、
金属化合物がもつ透明性、紫外線遮蔽性を維持する。
【0045】さらにまた、本発明による化粧料は、 0.1
μm以下の粒径をもつ金属化合物を球状樹脂粉体に分散
させたため、透明性、紫外線遮蔽性に優れ、すなわち金
属化合物の長所を十分に引き出した化粧料が得られ、か
つ、樹脂粉体が球状であるため滑りおよび伸びにも優れ
たものが得られる。
【0046】
【発明の効果】以上のように、本発明における請求項1
に係る球状樹脂粉体では、樹脂粉体の粒径が30μm以下
で、該樹脂粉体に金属酸化物、金属窒化物、および金属
炭化物のうち少なくとも1種類の金属化合物を全重量の
うち 1〜80重量%含有させ、当該金属化合物の分散粒子
径を 0.1μm以下にしたことにより、微細な金属化合物
が球状樹脂粉体に含有されているため透明性および高機
能性を生かしつつ、微粉体の凝集性や伸びまたは滑りの
悪さあるいは触媒活性等を抑制することができ、化粧料
として配合されても金属化合物による弊害を生じること
がなく、また有機系紫外線遮蔽剤の使用を不要にするこ
とができて有機系紫外線遮蔽剤のブリードアウトによる
弊害を受けることがなくなり、しかも金属化合物の長所
を十分に引き出すことができて、透明性および紫外線遮
蔽性に優れ、良く伸びかつ滑りのよい化粧料とするため
の化粧料配合用原料を提供することができる。
【0047】請求項2に係る球状樹脂粉体では、前記金
属酸化物として酸化亜鉛、酸化チタン、および酸化セリ
ウムのうち少なくとも1種類から選ばれ、紫外線遮蔽機
能を有するものとしたことにより、化粧料配合用として
従来用いられていなかった透明性および紫外線遮蔽機能
の優れた金属化合物を利用することができる。
【0048】また、請求項3に係る球状樹脂粉体の製造
方法では、金属酸化物、金属窒化物、および金属炭化物
のうち少なくとも1種類の金属化合物と、当該金属化合
物に対し 1〜50重量%のカルボン酸、スルホン酸、硫酸
エステル、リン酸エステル、およびフォスフォン酸、並
びにこれらの塩の内から選ばれた少なくとも1種類の分
散剤とを、樹脂モノマーまたは樹脂モノマーと溶剤との
混合体に分散させて、当該金属化合物の分散粒子径が
0.1μm以下である分散液を調整し、この分散液を水性
媒体に加え、懸濁重合もしくは乳化重合を行わせること
によって、微細な金属化合物を効果的に分散させ金属化
合物間の凝集を防止して、所定の分散粒子径の球形樹脂
粉体が得られ、アレルギー等の人体への悪影響が避けら
れ、しかも原料配合の無駄をなくし、経費を低減させる
ことができる化粧料配合用原料を製造することができ
る。
【0049】また、請求項5に係る化粧料では、前記球
状樹脂粉体を1〜50重量%含有し、伸びおよび滑りに
優れたものにしたことにより、透明性および紫外線遮蔽
機能に優れ、使用感が良い化粧料を実現させることがで
きる。また、請求項4に係る化粧料では、前記球状樹脂
粉体を1〜50重量%含有し、伸びおよび滑りに優れ、
かつ、紫外線遮蔽機能を有するものにしたことにより、
アレルギー等の人体への悪影響を及ぼすことがない紫外
線遮蔽機能を有し、かつ使用感の優れた化粧料が実現で
きる。
【0050】
【実施例】次に、本発明を実施例に基づき具体的に説明
するが、本発明がこれらに限定されるものではないこと
は言うまでもない。以下の実施例では、金属化合物とし
て紫外線遮蔽機能のある金属酸化物を選び詳述する。
【0051】(1) 第1段階における分散液の実施例 〔実施例1〕次の各材料を混合し、ボールミルを用いて
2時間分散処理を行い、微粒子酸化亜鉛の分散液を得
た。 微粒子酸化亜鉛(平均粒径 0.02 μm) 40重量部 メタクリル酸メチル(樹脂モノマー) 50重量部 スルホコハク酸ジオクチルナトリウム(分散剤) 10重量部
【0052】〔実施例2〕次の各材料を混合し、サンド
ミルを用いて3時間分散処理を行い、微粒子酸化セリウ
ムの分散液を得た。 微粒子酸化セリウム(平均粒径 0.02 μm) 37重量部 メタクリル酸メチル(樹脂モノマー) 26重量部 トルエン(溶剤) 29重量部 ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸(分散剤) 8重量部
【0053】〔実施例3〕次の各材料を混合し、超音波
分散機を用いて2時間分散処理を行い、微粒子酸化チタ
ンの分散液を得た。 微粒子酸化チタン(平均粒径 0.04 μm) 40重量部 酢酸ビニル(樹脂モノマー) 50重量部 スルホコハク酸ラウリル2ナトリウム(分散剤) 10重量部
【0054】〔比較例1〕次の各材料を混合し、ボール
ミルを用いて2時間分散処理を行い、酸化亜鉛粒子の分
散液を得た。 酸化亜鉛粉末(平均粒径 0.3μm) 50重量部 メタクリル酸メチル(樹脂モノマー) 40重量部 スルホコハク酸ジオクチルナトリウム(分散剤) 10重量部 以上の実施例1〜3および比較例1につき分散液中にお
ける金属化合物の分散粒子の粒度分布を調べるために、
電気泳動光散乱光度計(大塚電子製)を用いて測定を行
った。その測定結果を図1〜4に示す。
【0055】(2) 第2段階における懸濁重合の実施例 〔実施例4〕各相を次に示す配合で作製した。 樹脂モノマー相 分散液(実施例1〜3、比較例1による) 30重量部 メタクリル酸メチル(樹脂モノマー) 70重量部 エチレングリコールジメタクリレート(樹脂モノマー) 20重量部 2,2アゾビス 2,4ジメチルバレロニトリル(重合開始剤)0.2重量部 水相 水 500重量部 ポリビニルアルコール(ケン化度87%) 10重量部 樹脂モノマー相と水相とを混合し、これをホモミキサー
内で2000rpmで攪拌し、モノマー滴が約7μmになる
ように調整した。次に、この分散体を攪拌機および温度
計を備えた反応装置に移し、55°Cに昇温して重合を開
始させた。さらに、5時間、この温度で重合させたの
ち、室温まで冷却し、吸引濾過にて得られた樹脂粉体を
分離した。適量の温水そしてメタノールで洗浄したの
ち、室温にて乾燥させた。
【0056】〔比較例2〕実施例4で樹脂モノマー相中
の分散液の代わりに12重量部の微粒子酸化亜鉛(住友
セメント製、平均粒径 0.02 μm)と18重量部のメタ
クリル酸メチルとを使用し、樹脂モノマー相中の他の成
分は実施例4と同じにして、これらを攪拌機を用いて十
分に攪拌した。水相もまた実施例4と同じものを用意し
て、これを樹脂モノマー相と混合した。以降の操作は実
施例4と全く同じに行い、最後に樹脂粉体を得た。
【0057】(3) 第2段階における乳化重合の実施
例。 以上の実施例4および比較例2は、重合方法として懸濁
重合を用いる場合について述べたものであるが、本発明
は重合に先立つ前段階として金属化合物の分散粒子径が
0.1μm以下の分散液を用意するならば、懸濁重合に限
定されるものではなく、乳化重合の方法を用いても良
い。乳化重合の場合のプロセスは次のとおりである。す
なわち、金属化合物の粒子を前に述べたのと全く同じ方
法により樹脂モノマー、または樹脂モノマーと溶剤との
混合体に高分散させ、分散液を作製する。一方、重合触
媒を水に添加し溶解させる。乳化剤の存在下で、これら
の2液を混合し攪拌しながら昇温し、重合反応を開始さ
せる。次に重合が終了したら、濾過洗浄し、そして乾燥
させて、樹脂粉体を得る。乳化重合の場合、一般的に懸
濁重合の場合よりも粒径の小さな樹脂粉体が得られる。
【0058】また、この場合も樹脂モノマー相と水相と
を混合したときに表面エネルギーを最小にしようとする
作用が働き、樹脂モノマーは球状になり、乳化重合のの
ち得られる樹脂粉体も球状となる。
【0059】〔実施例5〕攪拌装置付きのステンレス製
密閉容器を用い、蒸留水 300重量部、ドデシルベンゼン
スルホン酸ナトリウム 0.6重量部、および過硫酸カリウ
ム 0.1重量部をこれに入れて密閉し、5°Cに冷却した
のち上部空間を窒素置換した。次に、これに実施例1で
作製した微粒子酸化亜鉛の分散液30重量部、メタクリル
酸メチル70重量部、およびエチレングリコールジメタア
クリレート20重量部を添加した。そして攪拌しながら液
温を55°Cに昇温させて重合を開始させた。引き続き
5時間この温度で維持して重合を行わせたのち、冷却し
て室温に戻し、次に攪拌しながら15重量%の塩化ナトリ
ウム水溶液を加えて樹脂粉体を沈殿させた。得られた樹
脂粉体を純水で十分に洗浄し、次いで乾燥させて最終生
成物を得た。
【0060】実施例4、実施例5、および比較例2によ
って得られた樹脂粉体を各々アクリル系樹脂に埋めてミ
クロトムにより厚さ 0.1μmに切り出した。この薄片を
透過型電子顕微鏡(TEM)で観察し、樹脂中における
金属酸化物の分散粒子径を測定した。この結果を表1に
示す。
【0061】
【表1】
【0062】次に、(樹脂粉体)/(流動パラフィン)
=30/70の重量比で樹脂粉体を流動パラフィンに攪
拌機を用いて十分に分散させ、これを50μm厚のPET
フィルム上にアプリケーターを使用してウエットで25μ
mの厚さに塗布し、この分光透過率を測定した。この結
果を図5に示す(図中の樹脂粉体サンプルNoについて
は表1を参照のこと)。
【0063】(4) 実施例における球状樹脂粉体の作用
効果 まず、図1〜3より第1段階で作られた実施例1から実
施例3までの分散液では、金属酸化物の分散粒子径はそ
れぞれ1次粒子のそれとほとんど同程度になっているこ
とがわかり、 0.1μm以下になっていて、分散が効率よ
く進行し、極めて単分散に近い状態になっていることが
わかる。これに対して、図4より、比較例1における平
均粒径 0.3μmの酸化亜鉛粉末を用いた場合では、分散
液中における分散粒子径は 0.2〜 0.5μmの範囲に分布
していることがわかる。
【0064】次に、第2段階である実施例4および実施
例5で作られた樹脂粉体に関するTEM観察の結果(表
1参照)より、分散液中の分散粒子径が 0.1μm以下の
場合は樹脂粉体中における分散粒子径も 0.1μm以下に
維持されている。これに対して、比較例1の場合のよう
に分散粒子径が 0.1μm以上の場合は、樹脂粉体中でも
やはり同程度の分散粒子径になっていることがわかっ
た。すなわち、本発明の方法によれば、第1段階で作ら
れる分散液中での分散粒子径が、第2段階における重合
後の樹脂粉体中での分散粒子径にほとんどそのまま保持
されていることがわかる。
【0065】また、比較例2で述べたように、あらかじ
め微粒子酸化亜鉛の分散液を作製せずに、微粒子酸化亜
鉛を直接樹脂モノマーおよび水と混合し重合反応をおこ
なわせて樹脂粉体を作る場合では、表1よりわかるよう
に樹脂粉体中における酸化亜鉛の分散粒子径は1次粒子
のレベルとはならず、 0.1μm以上となった。すなわ
ち、樹脂粉体中における金属酸化物の分散粒子径を 0.1
μm以下とするためには、重合の前段階として分散粒子
径 0.1μm以下の金属化合物の分散液を作る必要がある
ということである。
【0066】図5より、実施例1〜3の分散液を用いて
作った樹脂粉体、すなわち樹脂粉体中における金属酸化
物の分散粒子径が 0.1μm以下の樹脂粉体を塗布した場
合は可視光線の透過性に優れ、透明性が高く、その一方
で、波長 400nm以下の紫外線部では急激に吸収が始ま
って紫外線の遮蔽効果に優れたものとなっていることが
わかる。
【0067】これは金属酸化物の分散粒子径が 0.1μm
以下であると、可視光線の波長の4分の1以下となるた
め、可視光線をほとんど散乱させることなく透過させる
ことになり、その一方では表面積が著しく大きくなって
紫外線を効率良く散乱・吸収するためである。これに対
し、比較例1および比較例2により作られた酸化亜鉛の
分散粒子径が0.1μm以上になっている樹脂粉体では、
図5における分光透過率曲線より、可視光線の透過性が
悪く、すなわち透明性に劣り、一方では紫外線の遮蔽効
果も実施例1〜3の分散液より樹脂粉体を作る場合に比
べて劣ることが分かった。
【0068】以上のように本発明の方法により金属酸化
物の分散粒子径が 0.1μm以下である樹脂粉体を作るな
らば、その樹脂粉体は透明性に優れ、かつ、紫外線遮蔽
性に優れたものとなる。また、これまでの実施例では紫
外線遮蔽効果のある金属酸化物を選び、詳述してきた
が、最初に述べたように、本発明はこれらの金属酸化物
に限定されるものではなく、ほかの金属酸化物、金属窒
化物、および/または金属炭化物を使用しても良い。
【0069】本発明の重要な点は、金属化合物の分散粒
子径を 0.1μm以下にして樹脂粉体に含有せしめ、透明
性を維持しながら、金属化合物の持つ種々の機能をさら
に効果的に発揮できることである。そして、樹脂粉体粒
径が球形であるため、化粧料等に用いた場合には伸びお
よび滑りが改善される。さらに、得られた球状樹脂粉体
は、多くの微粒子が持つ、表面エネルギーが大きいため
に作用する化粧料中の他のビヒクルに対する触媒活性に
ついても、著しく抑制することができるのである。
【0070】(5) 球状樹脂粉体を化粧料へ配合した場
合の実施例 このようにして得られた樹脂粉体を化粧料に応用した場
合の実施例について述べる。
【0071】〔実施例6〕以下の配合により日焼け止め
効果のあるクリームを作った。 樹脂粉体 20重量部 カオリン 2重量部 セチルアルコール 1重量部 ワセリン 9重量部 流動パラフィン 1重量部 シリコーン油 1重量部 グリセリンモノステアリン酸エステル 1重量部 セチルアルコールエーテル 1重量部 プロピレングリコール 4重量部 精製水 60重量部 顔料 適量 ここで、樹脂粉体は実施例4、実施例5、および比較例
2で作製したものを用いた。
【0072】まず、樹脂粉体とカオリン、顔料をブレン
ダーで混合して粉末部とした。次に精製水にプロピレン
グリコールを加えて65°Cに加熱し、上で述べた粉末
部を加えてホモミキサーで分散し、加熱溶解して65°
Cに保って水相とした。また、上記配合中の他の成分を
混合し、加熱溶解して65°Cに保って油相とした。そ
の後、上記水相に油相を加え、ホモミキサーで均一に乳
化、分散させ、これを冷却させながらかき混ぜることで
日焼け止めクリームを得た。
【0073】〔比較例3〕実施例6の場合の樹脂粉体の
代わりに、2重量部の微粒子酸化亜鉛(住友セメント
製、平均粒径 0.02 μm)を用い、他の成分および製造
プロセスも実施例6と全く同じにして、日焼け止めクリ
ームを作製した。このように実施例6および比較例3に
よって作製された日焼け止めクリームに関し、パネル2
0名による官能試験を行った。この試験における評価項
目としては、透明感、滑り、および伸びを選び、各々の
項目について、次のような基準で5段階評価を行った。
【0074】1……悪い 2……やや悪い 3……普通 4……やや良い 5……良い この官能試験の結果を表2に示す。
【0075】
【表2】
【0076】なお、表中の数値は20名の評価段階の平
均値である。この表より、実施例1〜3によって金属酸
化物の微粒子粉末を用いて分散液を作り、実施例4によ
って分散粒子径が 0.1μm以下である樹脂粉体を作製
し、これを原料として日焼け止めクリームを作る場合に
は、このクリームは透明性に優れ、かつ、滑りおよび伸
びにも優れていることがわかる。
【0077】これに対して、比較例1のように粒径が大
きい酸化亜鉛粉末を用いて分散液を作り、この分散液か
ら樹脂粉体を作った場合には、樹脂粉体中における酸化
亜鉛の分散粒子径もまた大きくなるため、日焼け止めク
リームの透明性が悪くなり、白く濁った感じになる。ま
た、比較例2のように分散液を作らずに懸濁重合の際に
酸化亜鉛の微粉をいきなり樹脂モノマーに添加して樹脂
粉体を作り、これを用いて日焼け止めクリームを作った
場合にも、やはり樹脂粉体中における酸化亜鉛の分散粒
子径が大きくなってクリームの透明性は良くない。
【0078】また、比較例3のように、樹脂粉末を作ら
ずに直接に粒子径が 0.1μm以下の酸化亜鉛微粉末を原
料として配合した日焼け止めクリームを作ると、透明性
もあまり良くなく、また滑りおよび伸びも良くないもの
になる。さらに、図5に示された各樹脂粉体の分光透過
率の測定結果を考慮すると、紫外線遮蔽機能を持つ金属
酸化物を分散粒子径 0.1μm以下で含有する樹脂粉体を
用いて作られた日焼け止めクリームは、紫外線遮蔽効果
の点でも優れたものになることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における実施例1の粒度分布を示すグラ
フである。
【図2】本発明における実施例2の粒度分布を示すグラ
フである。
【図3】本発明における実施例3の粒度分布を示すグラ
フである。
【図4】本発明における実施例4の粒度分布を示すグラ
フである。
【図5】本発明における各樹脂粉体の分光曲線を示すグ
ラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐久間 到 滋賀県蒲生郡蒲生町宮川248−76 積水化 成品工業株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂粉体の粒径が30μm以下であり、該
    樹脂粉体には金属酸化物、金属窒化物、および金属炭化
    物のうち少なくとも1種類の金属化合物を全重量のうち
    1〜80重量%含有し、当該金属化合物の分散粒子径が
    0.1μm以下であることを特徴とする球状樹脂粉体。
  2. 【請求項2】 前記金属酸化物が酸化亜鉛、酸化チタ
    ン、および酸化セリウムのうち少なくとも1種類から選
    ばれたものであることを特徴とする請求項1記載の紫外
    線遮蔽機能を有する球状樹脂粉体。
  3. 【請求項3】 金属酸化物、金属窒化物、および金属炭
    化物のうち少なくとも1種類の金属化合物と、当該金属
    化合物に対し 1〜50重量%のカルボン酸、スルホン酸、
    硫酸エステル、リン酸エステル、およびフォスフォン
    酸、並びにこれらの塩の内から選ばれた少なくとも1種
    類の分散剤とを、樹脂モノマーまたは樹脂モノマーと溶
    剤との混合体に分散させて、当該金属化合物の分散粒子
    径が 0.1μm以下である分散液を調整し、この分散液を
    水性媒体に加え、懸濁重合もしくは乳化重合を行わせる
    ことを特徴とする球状樹脂粉体の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の球状樹脂粉体を1〜50
    重量%含有してなる伸びおよび滑りに優れた化粧料。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の球状樹脂粉体を1〜50
    重量%含有してなる伸びおよび滑りに優れ、かつ、紫外
    線遮蔽機能を有する化粧料。
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