JPH08511948A - C4bp結合活性が不足しているがapc補因子活性を有するプロテインs欠失変異体、組成物及び治療法 - Google Patents

C4bp結合活性が不足しているがapc補因子活性を有するプロテインs欠失変異体、組成物及び治療法

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JPH08511948A
JPH08511948A JP7503413A JP50341394A JPH08511948A JP H08511948 A JPH08511948 A JP H08511948A JP 7503413 A JP7503413 A JP 7503413A JP 50341394 A JP50341394 A JP 50341394A JP H08511948 A JPH08511948 A JP H08511948A
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ボウマ,ボンノ・ナメン
ベルテイナ,ロジール・マリア
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リークスウニフエルジタイト・ライデン
ボウマ,ボンノ・ナメン
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、C4b結合タンパク質(C4BP)に有意に結合しない組み換えプロティンS(PS)の種々の機能性変異体、及び治療薬としての変異体の利用に関する。特に本発明は、APCに対する補因子活性を有し、対応する成熟野生型プロテインSのSHBG−様ドメインの少なくとも2つの推定C4BP結合ドメインが欠如しているプロテインSの欠失突然変異体を目的とする。そのような欠失突然変異体は特に、対応する成熟野生型ヒトプロテインSの少なくともアミノ酸残基401−457及び583−635が欠如している。

Description

【発明の詳細な説明】 C4BP結合活性が不足しているがAPC補因子活性を有する プロテインS欠失変異体、組成物及び治療法技術的分野 本発明はC4b結合タンパク質(C4BP)に有意に結合しない組み換えプロ テインS(PS)の種々の機能性変異体及び治療薬としての変異体の利用に関す る。背景 プロテインS(PS)は、635個のアミノ酸残基を有する分子量が75,0 00のビタミンK−依存性タンパク質である。DiScipio et al. ,Biochem.,18:899(1979);Lundwall et a l.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,83:6716−67 20(1986);Hoskins et al.,Proc.Natl.Ac ad.Sci.USA ,84:394−353(1987)。ヒト血漿は346 nMのPSを含み、その62%は補体タンパク質、C4b結合タンパク質(C4 BP)のβ鎖サブユニットと複合化しており、38%はC4BPと複合化してお らず、「遊離PS(free PS)」と考えられる。Griffin et al.,Blood,79:3203−3211(1992); al.,J.Biol.Chem.,265:16082(1990);及び Nelson et al.,Biochemistry,30:2384(1 991)。 PSは試験管内血餅形成アッセイにおいて抗凝血活性を示す。PSは活性化プ ロテインC(APC)、抗凝血セリンプロテアーゼ酵素に関する抗凝血補因子活 性を示す。Walker,J.Biol.Chem.,255:5221−52 24(1980);Harris et al.,J.Biol.Chem., 260:2007(1985);Stern et al.,J.Biol.C hem .,261:713(1986);Walker,J.Biol.Che .,256:11128(1981);及びSolymoss et al. ,J.Biol.Chem.,263:14884(1988)。PSはAPC を含まないアッセイにおいてプロトロンビナーゼ活性を阻害できるので、APC の不在下においも抗凝血因子であることが示され(Mitchell et a l.,Thromb.Haemost.,60:298−304,1988)、 因子Va又は因子Xaに結合してAPCなしで抗凝血物質として機能する。He eb et al.,Circulation,86:3238a,1992; 及びHeeb et al.,Circulation,86:1040a,1 992。血漿において、PSは高い親和力でC4BPと可逆的に会合する(約1 〜5ナノモルの解離定数)。遊離のPSのみがAPC補因子として活性であり、 C4BPとのPSの会合はPSの抗凝血活性の消失を伴うことが広く受け入れ 12022(1986);及びTaylor et al.,Blood,78 :357−363(1991)。従ってC4BPは有効に、PS抗凝血活性の阻 害剤である。PSの抗凝血活性は、残基46−75を含むいわゆる「トロンビン −感受性ループ」内のアルギニン残基の切断 によっても低下させるか、又は失わせることができる。Chang et al .,Circulation,86:3241a(1992)。 PSの遺伝性又は後天性欠乏症は、静脈性及び動脈性血栓症を伴うので、PS は生理学的に非常に重要な抗トロンビン因子である。Allaart et a l.,Thromb.Haemost.,64:206(1990);Sie et .,Thromb.Haemost.,62:1040(1989);E ngesser et al.,Ann.Intern.Med.,106−6 77(1987);Mannucci et al.,Thromb.Haem ost .,55:440(1986);及びSchwartz et al.,Blood ,74:213(1989)。遊離のPSのみが試験管内で抗凝血活 性を有するので、試験管内における血液中の遊離のPSの量が、唯一の関連する 生理学的抗凝血的活性種であると考えられることは、広く受け入れられている。 正常な量の合計PSの場合の遊離のPSの不足が血栓症の何人かの患者において 記載され(Comp.et al.,Blood,67:1986)、汎発性血 管内凝血又は多様な炎症状態、例えば全身性エリテマトーデスにおけるC4BP の一時的増加による遊離のPSの後天性不足が過剰凝血状態(hypercoa gulable state)に寄与し得るということが仮定された。Tayl or et al.,Blood,78:357−363(1991);Hee b et al.,Blood,73:455(1989);Comp et al.,Blood,66:348a(1985);D’Angelo et al.,J.Clin.Invest.,81:1445(1988);Boe rger et al.,Blood,69:692 (1987);及びD’Angelo et al.,Ann.Intern. Med .,107:42(1987)。さらに、PSは転移性癌及び白血病にお いて重要であり、従って癌細胞増殖の阻害に治療的に用いることができることが 示唆された。Kemkes−Matthes.Clin.Invest.,70 :529−534(1992)。 近年、霊長類動物モデルにおいて、C4BPの増加が宿主応答を悪化させ、非 致死投薬量のE.コリ(E.coli)を致死投薬量に変換することが示された 。Taylor et al.,Blood,78:357−363(1991 )。過剰のPSを与えられた動物をC4BPで処置すると、致死の結果又は過剰 凝血応答を経験せず、かくしてC4BPに結合していない遊離のPSが感染、炎 症及び過剰凝血に対する有用な治療薬であり得ることを示すことも示された。T aylor et al.,Blood,78:357−363(1991)。 さらにSchwarz et al.は血栓症及び血栓塞栓合併症の処置のため の生体内治療法における血漿−由来PSの利用を記載した。米国特許第5,14 3,901号。 C4BPに対する親和力が低下した形態のPSは、C4BPへの結合に伴う活 性の消失の危険なしで投与することができるので、有用な治療薬を与えるであろ う。 1992年12月11日のGlenn T.G.Changの論文“Stru cture and function of humanprotein S ”の3章において、プロテインSの2種の欠失変異体が記載され、C127細胞 において発現された。E−変異体は第3表皮成長因子様ドメインの欠失(アミノ 酸残基Asp−160−Asp− 202に相当するエキソンVIIの欠失)を有し、血漿系において正常なAPC 補因子活性を発現する。この活性は精製C4BPの添加により阻害されることが でき、結合親和力は野生型により示されるものと類似であった。 性ホルモン結合グロブリン(SHBG)−様ドメインのC−末端ループの欠失 (アミノ酸残基Asp−583−Ser−635に相当するエキソンXVの欠失 )を有する第2の変異体(L−変異体)も血漿において正常なAPC補因子活性 を発現する。これは、プロティンSの第3EGF−様ドメイン及びSHBG−様 ドメインのC−末端部分がプロテインSにおけるAPC補因子活性の発現に含ま れていないことを示す。 しかしL−変異体はC4BPへの結合に対する低下した親和力を示す。Ser 460に近い領域を認識するモノクローナル抗体S12が非変性L−変異体に結 合せず、変性L−変異体によりS12が認識され、突然変異体上のS12−エピ トープの存在を示している故に、C−末端ループの欠失はコンホメーション変化 を引き起こし、プロテインS分子のC−末端外に位置する結合部位におけるC4 BPに対する結合親和力の消失を生じること、及びC4BP結合活性の消失が、 プロテインSのSHBG−様ドメインのC−末端ループ、特にAsp−583− Ser 635がC4BPとの相互作用に含まれることを自動的に意味してはい ないことがChangにより示唆されている。Changにより用いられている 残基の番号付けは、Dahlback,B.,Lundwall,A.,and Stenflo,J.(1986),Proc Natl.Acad.Sci .USA,78:2512−2516;Lundwall,A.,Dackow ski,W.,Cohen,E.Sha o,J.and Wydro,R.(1986)Proc.Natl.Acad .Sci .USA,83:6716−6720;Hoskins,J.,Nor man,D.K.,Beckman,R.J.and Long,G.L.(1 987)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,84:349−35 及びPloos van Amstel.H.K.,Van der Zand en,A.L.,Reitsma,P.H.and Bertina,R.M. (1987)FEBS Lett.222:186190において当てられた番 号付けに基づく。 Fernandez,J.A.and Griffin J.H.(1991 )Thromb.Haemost 65:711においてC4BP結合部位がS HBG−ドメインの中心、アミノ酸残基Ser−460の比較的近く、すなわち アミノ酸残基420−434において報告された。モノクローナル抗体S12自 身はプロテインSへのC4BPの結合を妨げないので、これはS12エピトープ 及びSer−460領域がC4BPへの結合に含まれないことを示した。 前記の論文の4章においてChang et al.は、第1のジスルフィド ループにおけるGlu424のLysへ、Gln−427のGluへ、及びLy s−429のGluへの置換を含む突然変異体を記載している。後者の突然変異 体はC4BPに結合できず、野生型プロテインSのC4BPとの複合体形成を阻 害する抗−プロテインS抗体LJ−56を認識できなかった。これは、タンパク 質におけるLys−429がC4BPへの結合に含まれることを確証し、プロテ インSのSHBG −様ドメインの第1及び第2ジスルフィドループ、すなわちそれぞれ残基408 −434及び598−635の両方がC4BPとの相互作用に含まれると結論す ることができる。 Nelson及びLong(Journ.of Biol.Chem.vol .267,nr.12,pages 8140−8145,Nelson,R. M.and Long,G.L.)は、アミノ酸残基Tyr577−Ser63 5の間のC−末端ループの、より大きい部分の欠失がC4BPへの結合に対する 親和力を低下させるが、この欠失はAPC補因子活性のないタンパク質を生ずる ことを例示した。△577−635の抗凝血活性の欠如に関する正しい説明は、 その完全γ−カルボキシル化の欠如であった。△577−635が完全にγ−カ ルボキシル化されない理由は明らかでなかった。rHPS類似体を発現する細胞 はクローンでなかったので、それは重大な切断(truncation)自身の 性質ではあり得なかった。△577−635は、おそらく通常は10〜11個で ある中の約8個のGla残基しか有しておらず、従ってCa2+、リン脂質、因子 Xa及び/又はAPCと最適に相互作用することができないため、APCのため の補因子として機能することができなかったが、それにもかかわらず、それはそ の精製に用いられるCa2+−依存性モノクローナル抗体に結合する。これは、切 断自身が直接APC補因子機能を妨げるか、又はAPC補因子機能がGlaへの 要求において、その抗体結合より厳酷であるかのいずれかであると論証する。後 者の方がこの突然変異体の抗凝血活性の欠如に関する、ありそうな説明だと思わ れるが、残基577−607がAPC補因子を機能させる正しい立体配置をプロ テインSに与えることも可能性である。 驚くべきことに、少なくとも残基401−457の推定C4BP結合ドメイン 及び583−635のC4BP結合ドメインが欠如した欠失突然変異体は、C4 BP結合活性が欠如しているが、APC補因子活性を保持している。さらに驚く べきことに、実際に、SHBG−様ドメインとして既知の完全C−末端領域の欠 失、すなわち野生型プロテインSの約2/3の欠失が、得られる欠失突然変異体 のAPC補因子活性の消失を伴わずに得られた。残基243−635は、野生型 プロテインSの残基1−242を含む、得られるミニプロテインS(mini protein S)のAPC補因子活性を破壊せずに、除去された。 本発明は、APCに対する補因子活性を有し、対応する成熟野生型プロテイン SのSHBG−様ドメインの少なくとも2つのC4BP結合ドメインが欠如した プロテインSの欠失突然変異体を目的とする。突然変異プロテインSのAPCに 対する活性は、欠失突然変異体が由来する対応する成熟野生型プロテインSによ り示される活性の95%以上であるのが好ましい。 本発明の好ましい実施態様において、ヒトプロテインSから欠失突然変異体を 誘導する。配列番号(sequence id listing)1において野 生型ヒトプロテインSのアミノ酸配列を示す。この配列において、残基1−37 はGlaドメインを含み、残基38−45は疎水性領域を含み、残基46−75 はトロンビン感受性ドメインを含み、残基76−242は4つの表皮成長因子様 ドメインを含み、残基243−635はSHBG様ドメインを含む。残基408 −434及び600−625に、SHBG様ドメイン内に位置するジスルフィド ループを含む2つの領域がある。これらの2つのループは本明細書において前に 述 べた通り、プロテインSがC4BPに結合するのに必要なC4BPドメインであ ると仮定される。従って本発明は特定の実施態様において、対応する成熟野生型 ヒトプロテインSの少なくともアミノ酸残基408−434及び600−625 が欠如した欠失突然変異ヒトプロテインSを目的とする。従って本発明の欠失突 然変異体は、配列表id1(sequence listing id 1)か ら今示した欠失領域を除いたアミノ酸配列を有することができる。 本発明の欠失突然変異体は、2つの小領域自身を失うのみでなく、相互を連結 しているアミノ酸配列のいくらか、又はすべての欠失を有することもできる。ヒ トプロテインSの場合、これは残基408から残基625の欠失を意味する。C −末端から、C−末端方向から見られる第2C4BPドメインの末端までの欠失 を有することもできる。ヒトプロテインSの場合、これは残基408−C−末端 残基の欠失を意味する。さらに驚くべきことに、完全なSHBG様ドメインの欠 失でさえAPC補因子に対する活性をまだ有する欠失突然変異体を生ずることが 見いだされた。実際にそのような突然変異体はまだ、成熟野生型プロテインSが 有するAPCに対する活性の95%以上を有している。SHBG−様ドメインが 成熟野生型プロテインSの3分の2を構成しており、一般にそのような大きな欠 失は、不活性化に導くタンパク質の残りの部分におけるコンホメーション変化を 生じないとは予測されないので、これは驚くべきことである。 従って本発明は少なくともC4BPドメインの欠失を有し、完全SHBG様ド メインの欠失を含むSHBG様ドメインのアミノ酸配列におけるいずれのサイズ の欠失をもさらに含むことができる欠失突然変異プロ テインSを目的とする。ヒト突然変異プロテインSの場合、これは、本発明の欠 失突然変異ヒトプロテインSに導く、少なくともアミノ酸残基408−434及 び600−625の欠失を含み、場合によりさらにアミノ酸残基243からC− 末端アミノ酸残基に位置する残りのアミノ酸残基におけるいずれの長さの欠失も 含む、id1に従うアミノ酸配列を意味する。 本発明は、 (1)試験管内凝結アッセイにおける抗凝結活性;及び (2)C4b結合タンパク質(C4BP)に結合する能力の低下という望まし い性質を有する修飾(modified)欠失突然変異プロテインS、dPsと 命名されるミニプロテインSにつき記載する。 抗凝結活性は、dPSが標準的試験管内APC補因子アッセイにおいて、プロ テインS不足血漿の血餅形成時間を、好ましくは少なくとも5%、より好ましく は少なくとも10%、さらに好ましくは少なくとも約20〜50%延長する能力 を有することを意味する。代表的試験管内凝結アッセイを本明細書に記載する。 本発明のdPsがC4BPに結合する能力は、ヒト血漿から精製されるPS、 又は組み換えDNA法により生産されるPS、すなわち野生型PSとの比較にお いて測定される。血漿−精製PSの調製はDahlback et al., iochem.J .,209:2007−2010(1983)及びSchwa rtz et al.,米国特許第5,143,901号により記載された。( 引用されるすべての参照文献の記載事項は、引用することにより本明細書の内容 となる)。組み換えPSはChang et al.,Thrombos.Ha emos .,67:526−532(1992)により記載されている通り、又は本明 細書に記載の通りに生産することができる。結合能力の低下(例えば結合定数と して表される)はC4BPによる中和に対する増加した抵抗性、遊離のプロテイ ンSの血漿量の増加、及び従って単位重量のタンパク質当たりの力価における有 効な増加に翻訳されるので、C4BPへの野生型ヒト成熟PA結合と比較される 場合の、dPSがC4BPに結合する能力の低下は、本発明において有用である ためのいずれの測定可能な結合における低下であることもできる。 C4BPの結合能力における好ましい低下は、直接結合において測定され、結 合における低下として表される場合、結合容量(binding capaci ty)における少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約80%、好ましく は少なくとも約90〜100%の低下である。言い換えるとdPsは、同等のC 4BP結合アッセイにおいて比較した時に野生型ヒト成熟PSの約50%以下、 好ましくは約20%〜0%以下の結合容量を有する。dPSの結合は当該技術分 野の熟練者に既知の多様な方法により測定することができる。 本発明のdPSは、好ましい場合にしても、野生型成熟PSをコードするアミ ノ酸配列の対応する部分と実質的に相同である。 少なくとも1つの実施態様において、dPSは生体内における処置の方法にお いて用いられるはずなので、本来の(野生型)ヒトPSに実質的に相同のタンパ ク質を患者に与え、タンパク質に対する可能な有害免疫応答を制限するのが重要 である。実質的に相同とは、アミノ酸残基の少なくとも95%、好ましくは少な くとも98%、及びより好ましくは少なくとも99%が野生型ヒト成熟PSをコ ードするアミノ酸配列の対 応する部分の野生型ヒト成熟PSにおけると同じであり、それにより免疫系によ り検分した場合に野生型PSに対してdPSの全体的差を最小にすることを意味 する。 成熟野生型ヒトPSの完全アミノ酸残基配列を配列番号1(SEQID NO 1)に示す。成熟PSは、リーダーポリペプチド及びシグナル配列の切断及び 除去の後のタンパク質を言う。 ヒト以外の種からのプロテインSが構造的、及び一次配列の点の両方で高度に 関連している限り、本発明はウシ、ラット、ウサギ、マウス、ブタ、霊長類など を含む他の哺乳類に由来する、dPSの特性を有する突然変異プロテインSも含 む。 トロンビンは野生型プロテインSを切断し、不活性化することが知られている ので、APCに関する補因子活性を有し、C4BP結合活性が欠如しているのみ でなく、トロンビンに対して耐性でもある突然変異プロテインSを生産するのは 、明らかに有利である。従って本発明は好ましくは、今記載した種々の実施態様 において、対応する成熟野生型プロテインSのGlaドメインのトロンビン感受 性ループ領域における少なくとも1つの突然変異をさらに含み、該突然変異が欠 失突然変異体をトロンビン耐性とする欠失突然変異体も目的とする。 Chang et al.,Circulation,86:3241a(1 992)により、PSをあるアルギニン残基、すなわち野生型PSの残基49、 60、70において突然変異させ、抗凝結活性の消失を起こすトロンビンによる タンパク質分解的切断に対するPSの感受性を低下させるか、又は除去すること ができることが記載された。PS上のトロンビン−感受性切断部位は、トロンビ ン−感受性ループ領域又は T−ループ領域の残基位置49、60及び70にあると同定された。かくしてこ の領域における置換はT−ループ突然変異と呼ばれる1種の突然変異を限定し、 それは修飾PSを形成する。T−ループにおける1つ又はそれ以上の残基の置換 は、試験管内においてトロンビンに対するPS感受性を低下させることが示され た。PSのトロンビン切断がPSの抗凝結活性を不活性化する限り、トロンビン 感受性の阻害は、その血清半減期を延長することによりPS活性を向上させる。 T−ループ突然変異はPSのC4BPに対する結合に影響を与えるとは思われな いが、T−ループにおける突然変異はトロンビンに対する耐性を向上させる。 従って本発明は前章で記載した通り、対応する成熟野生型ヒトプロテインSの 残基46−75により限定される領域に位置するトロンビン感受性ループにおけ る少なくとも1つの突然変異をさらに含むヒトプロテインSの欠失突然変異も目 的とする。トロンビン感受性ループにおける適した突然変異位置は、対応する野 生型成熟ヒトプロテインSのアミノ酸配列の位置49、60及び70における残 基である。 かくして本発明は他の実施態様において、さらなる突然変異が1つ又はそれ以 上のPSアミノ酸残基位置番号49、60又は70の置換を含む欠失突然変異P Sを含む。 トロンビン耐性を与えるために、1個の置換より複数の置換が好ましい。好ま しい置換はR49L、R60L及びR70Iから成る群より選ばれるものである 。特に好ましい置換はR49L/R60L、R49L/R70I。R60L/R 70I及びR49L/R60L/R70Iから成る群より選ばれる。三重の突然 変異体が最も好ましい。 かくして本発明の好ましいdPSは、(1)C4BP結合に対応する 領域、すなわちアミノ酸残基位置401−457及び583−635の欠失、又 は残基243−C末端残基の欠失、ならびに(2)本明細書で挙げたT−ループ 領域における置換の両方を含む配列を有する。かくして好ましいdPSは、本明 細書で限定した少なくともC4BP結合領域における欠失に加えて、トロンビン 感受性ループにおける1つ又はそれ以上の置換を有する。 本発明の他の実施態様は、さらに別の突然変異を含み、該さらに別の突然変異 は、対応する野生型成熟プロテインS、好ましくはヒトプロテインSにおける表 皮成長因子様ドメイン3及び4を含む領域に位置している。そのような突然変異 は置換又は欠失突然変異体であることができる。Dahlback et al .1990c(Dahlback,B.,Hildebrand,B.,Mal m J.,Characterization of functionall y important domains in human vitamin K−dependent protein S using monoclo nal antibodies,J.Biol.Chem.1990C;265 :8127−8135)から、EGF1及びEGF2がAPC補因子活性に必要 であることが既知である。EGF3及びEGF4は必要でないので、前記の本発 明の実施態様に加えてEGF3及びEGF4ドメイン、すなわち残基160−2 42に含まれる領域も欠如した欠失突然変異体も含むことができる。 今記載した本発明のいずれの欠失突然変異体も、APC補因子活性を低下させ ない修飾、すなわち付加、欠失又は置換をさらに行うことができる。例えば融合 タンパク質を作り、他のタンパク質又はポリペプチド の所望の性質を本欠失突然変異体の興味深い性質と組み合わせることができる。 本発明の欠失突然変異プロテインS(dPS)は、本明細書でさらに議論する 通り、多様な治療法において用いられる。dPSは製薬学的組成物に調製するこ とができ、凝血及び他のPS−媒介過程の阻害のために投与することができる。 本発明は本発明の欠失突然変異体の実施態様をコードする合成又は組み換えヌ クレオチド配列も目的とし、そのようなヌクレオチド配列を含む組み換えベクタ ーも含み、該ベクターは該ヌクレオチド配列を発現することができるのが好まし い。本発明はそのようなヌクレオチド配列を含む、及び/又はそのような組み換 えベクターを含む宿主細胞も含み、該宿主細胞は該ヌクレオチド配列上で、又は 該ベクター上でコードされる発現産物を分泌できることが好ましい。 本発明のヌクレオチド配列は、本発明の欠失突然変異プロテインS(dPS) をコードするDNA配列を含むことを特徴とする。すなわち本発明のDNAセグ メントはdPS構造遺伝子の存在を特徴とする。遺伝子はコドンの中断されない 線状系列として存在するのが好ましく、各コドンはdPSタンパク質に存在する アミノ酸残基をコードする、すなわちイントロンを含まない遺伝子であるのが好 ましい。 1つの好ましい実施態様は、アミノ酸残基配列が2つのC4BP結合部位、残 基401−457及び583−635を含むアミノ酸配列の少なくとも2つの欠 失、及び好ましくは残基243−C末端残基の欠失を有する以外は、配列におい て野生型PSタンパク質に対応するdPSを限定するアミノ酸残基配列をコード するヌクレオチド配列であり、該ヌ クレオチド配列はdPSを発現できるのが好ましい。 好ましいヌクレオチド配列は本質的に配列番号2に示される配列から成るアミ ノ酸残基配列をコードし、そこにおいて前記の401−457及び583−63 5の欠失は存在しない。アミノ酸配列番号2に対応するDNA配列は配列番号1 である。PSヌクレオチド配列番号1は、Gen Bankにも挙げられており 、受け入れ番号Y00692を有する。翻訳後処理の後、対応するアミノ酸配列 番号2が得られる。このアミノ酸残基配列もGen Bankに挙げられており 、受け入れ番号A26157を有する。 関連実施態様において、そのようなヌクレオチド配列はさらに、R49L、R 60L及びR70Iから成る群より選ばれる置換の少なくとも1つを含み、ヌク レオチド配列はdPSを発現することができる。特に好ましいヌクレオチド配列 は、R49L/R60L、R49L/R70I、R60L/R70I及びR49 L/R60L/R70Iから成る群より選ばれる置換を有するdPSをコードす るヌクレオチド配列を含む。言い換えると、1つの実施態様においてヌクレオチ ド配列は、本明細書に記載される通りの少なくとも両方のC4BP結合ドメイン の欠失及びT−ループにおける置換を有するdPSをコードする。 上記のdPSをコードする相同DNA及びRNAも含まれる。 dPSタンパク質をコードするDNAセグメント(すなわち合成オリゴヌクレ オチド)は化学的方法、例えばMatteucci, et al.,(J.A m.Chem.Soc .,103:3185−3191,1981)のホスホト リエステル法により、又は自動合成法を用いて容易に合成することができる。さ らに、もっと大きなDNAセグメントを 周知の方法、例えばDNAセグメントを限定するオリゴヌクレオチドの群の合成 、ならびにそれに続くハイブリッド形成及び完全なセグメントの構築のためのオ リゴヌクレオチドの連結により容易に製造することができる。 もちろんコード配列を化学的に合成することにより、いずれの所望の修飾も、 単に本来のアミノ酸残基配列をコードする塩基を適した塩基に置換することによ り行うことができる。 さらに本発明は、少なくとも1つの本発明のヌクレオチド配列を含む組み換え DNA分子(rDNA)を含む。rDNAは、ベクターを本発明のヌクレオチド 配列に作用的に(operatively)連結することにより製造することが できる。 本発明で用いられる「ベクター」という用語は、細胞において自律複製が可能 であり、他のヌクレオチド配列が作用的に連結され、付けられたセグメントの複 製をもたらすことができるDNA分子を言う。dPS遺伝子の発現を方向付ける ことができるベクターは本明細書において「発現ベクター」と言われる。 本発明のDNAセグメントを作用的に連結するベクターの選択は、当該技術分 野において周知の通り、所望の機能的性質、例えばタンパク質発現、及び形質転 換される宿主細胞に直接依存し、これらは組み換えDNA分子の構築の分野にお ける生来固有の制限である。 原核レプリコンを含むベクターも、それを用いて形質転換されたバクテリア宿 主細胞、例えばE.コリ中のdPS遺伝子の発現(転写及び翻訳)を方向付ける ことができる原核プロモーターを含むことができる。バクテリア宿主と適合性の プロモーター配列は典型的に、本発明のDN Aセグメントの挿入のための簡便な制限部位を含むプラスミドベクターにおいて 与えられる。そのようなベクタープラスミドの典型は、Biorad Labo ratories,(Richmond,CA)から入手可能なpUC8、pU C9、pBR322及びpBR329、ならびにPharmacia,Pisc ataway,N.J.から入手可能なpPL及びpKK223である。 真核細胞と適合性の発現ベクター、好ましくは脊椎動物細胞と適合性の発現ベ クターも、本発明の組み換えDNA分子の形成に用いることができる。真核細胞 発現ベクターは当該技術分野において周知であり、いくつかの商業的供給源から 入手可能である。典型的にそのようなベクターは、所望のDNAセグメントの挿 入のための簡便な制限部位を含んで与えられる。そのようなベクターの典型はp SVL及びpKSV−10(Pharmacia)、pBPV−1/pML2d (International Biotechnologies,Inc.) 、Stratagene(La Jolla,CA)から入手可能なpXT1、 American Type Culture Collection(ATC C;Rockville,MD)から受け入れ番号ATCC37722として入 手可能なpJ5Eω、pTDT1(ATCC 31255)及び同様の真核発現 ベクターである。 本発明は、本発明の組み換えDNA分子を用いて形質転換された宿主細胞も含 む。宿主細胞は原核又は真核であることができるが、真核細胞が好ましい。dP Sテンパク質の発現に有用な真核細胞は、細胞系が細胞培養法と適合性であり、 発現ベクターの増殖及びdPS遺伝子産物の発現と適合性であれば、制限されな い。好ましい真核宿主細胞は酵母及 び哺乳類細胞を含み、マウス、ラット、サル又はヒト繊維芽細胞株からの細胞な どの脊椎動物細胞が好ましい。好ましい真核宿主細胞は、ATCCからCCL6 1として入手可能なチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ATCCから CRL 1658として入手可能なNIHスイスマウス胚細胞NIH/3T3、 ベビーハムスター腎臓細胞(BHK)及び同様の真核組織培養細胞株を含む。特 に好ましく、好例となるのは、Howley et al.,J.Virol. 26:291−298(1978)により記載され、ATCCからATCC C RL 1616として入手可能なマウス乳癌細胞株C127Iである。 本発明の組み換えDNA分子を用いた適した細胞宿主の形質転換は周知の方法 により行われ、典型的にそれは用いられるベクターの種類に依存する。原核宿主 細胞の形質転換に関し、例えばCohen et al.,Proc.Natl .Acad.Sci.USA ,69:2110(1972);及びManiat is et al.,Molecular Cloning,A Labora tory Mammal .Cold Spring Harbor Labor atory,Cold Spring Harbor,NY(1982)を参照 されたい。 rDNAsを含むベクターを用いた脊椎動物細胞の形質転換に関し、例えばG raham et al.,Virol.,52:456(1973);Wig ler et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,76 :1373−76(1979)及び本明細書における説明を参照されたい。 形質転換に成功した細胞、すなわち本発明のrDNA分子を含む細胞は、So uthern,J.Mol.Biol.,98:503(19 75)又はBerent et al.,Biotech.,3:208(19 85)により記載の方法などの周知の方法により同定することができる。 rDNAの存在に関する直接アッセイに加え、成功した形質転換を、rDNA がdPSの発現を方向付けることができる場合は周知の免疫学的方法により、又 はdPSの生物活性の検出により確証することができる。 かくして形質転換された宿主細胞自身に加え、本発明はこれらの細胞の培養物 、好ましくはモノクローナル(クローン的に均質)培養物、又はモノクロナール 培養物から誘導される栄養培地中の培養物も含む。培養物はdPS抗原性又は生 物活性を示すタンパク質も含むのが好ましい。 形質転換された宿主細胞の培養に有用な栄養培地は当該技術分野において周知 であり、いくつかの商業的供給源から得ることができる。宿主細胞が哺乳類細胞 である実施態様の場合、「無血清(serum−free)」培地を用いること ができる。好ましいのは本明細書に記載の培養条件である。 本発明の欠失突然変異ヒトプロテインS(dPS)は多様な手段で生産するこ とができ、そのような生産手段は制限であると考えられるべきではない。 dPSの製造は典型的に:本発明のdPSタンパク質をコードするDNAセグ メントを準備し;準備されたDNAセグメントを発現ベクター中に導入し;ベク ターを適合性宿主細胞中に導入し;dPSタンパク質の発現に十分な条件下で宿 主細胞を培養し;発現されたdPSタンパク質を宿主細胞から回収する段階を含 む。 発現されたタンパク質が野生型PSと高度に関連していれば、dPSの精製は 、細胞培養物から精製PSを調製するための当該技術分野で認められた多様な方 法により行うことができる。 かくして1つの実施態様において、本明細書に記載のヌクレオチド配列を用い てdPSタンパク質を製造する。別の場合、本明細書に記載のスクリーニング法 を用い、開示されている所望の性質を有するdPSを与える、野生型PSにおけ るアミノ酸の別の置換を同定することができる。本明細書に記載の多数の突然変 異構築物によりわかる通り、本方法により多様なdPSタンパク質を製造するこ とができる。本明細書に特定的に記載されたもの以外の別の置換(突然変異)又 は欠失を容易に設計し、開示されている生物活性を有するdPSを形成すること ができる。突然変異は、あらかじめ選択されたオリゴヌクレオチドを用いた試験 管内における特定部位の突然変異誘発などの多様な方法のいずれかにより導入す ることができる。 少なくとも製薬学的に許容し得る担体、及び活性成分としての本発明の欠失突 然変異プロテインSを含む製薬学的組成物も意図されている。以下:急性血栓症 、プロテインS欠乏症、敗血症、炎症及び癌の危険のある患者のいずれかの処置 のための本発明の欠失突然変異プロテインSのそのままの、又は製薬学的組成物 としての使用も本発明の範囲内に含まれる。 本発明の欠失突然変異ヒトプロテインS(dPS)は典型的に、意図される用 途に適した多様な組成物形態の1つ又はそれ以上で与えられる。dPSは多様な 緩衝液及び溶液中でその生物活性を保持するが、製薬学的に許容し得る賦形剤中 で調製されるのが好ましい。特に好ましいのは、 組成物中でdPSの最大の安定性及び生物活性を与える組成物である。そのよう な組成物は一般に当該技術分野において周知である。 1つの実施態様において、組成物はさらに治療的に有効量の第2の、抗凝血物 質又は血栓溶解剤として有効な活性成分を含むことができる。 PSはカルシウム依存性タンパク質であるので、好ましい組成物はさらに2価 のカルシウムカチオンを典型的に生理学的量で含む。 本発明の治療的組成物は、生理学的に許容し得る担体を、活性成分としてその 中に溶解又は分散された本明細書に記載のdPSの少なくとも1種と共に含む。 好ましい実施態様において、治療的組成物は、治療目的でヒト患者に投与された 場合に免疫原性でない。 本明細書で用いられる「製薬学的に許容し得る」、「生理学的に許容し得る」 という用語及びそれらの文法的変形は、それらが組成物、担体及び試薬を言う場 合、互換的に用いられ、吐き気、めまい、胃の混乱(gastric upse t)などの望ましくない生理学的影響を与えることなく物質をヒトに投与するこ とができることを示す。 さらに、治療的組成物は発熱物質を含まない、すなわち発熱物質に関する従来 のアッセイにおいてアッセイされた時に発熱応答を起こすことができないのが好 ましい。 その中に溶解又は分散された活性成分を含む薬理学的組成物の調製は当該技術 分野において十分理解されている。典型的にそのような組成物は無菌注射剤とし て、水性又は非水性液体溶液又は懸濁液として調製されるが、使用前に液体中の 溶液又は懸濁液とするのに適した固体の形態も調製することができる。調剤は乳 化することもできる。さらに治療的量のdPSが軟膏中に、又はバンドエージな どの拡散可能なパッチ上に 存在し、薬剤を局所的に与えることができる。 さらに、必要なら組成物は少量の補助物質、例えば活性成分の効力を強化する 湿潤剤類又は乳化剤類、pH緩衝剤類などを含むことができる。 本発明の治療的組成物はその中の成分の製薬学的に許容し得る塩類を含むこと ができる。 生理学的に許容し得る担体類は当該技術分野において周知である。液体担体類 の例は、活性成分及び水に加えて無機物を含まない、あるいは生理学的pH値に おけるリン酸ナトリウムなどの緩衝液、生理学的食塩水、あるいは両方、例えば リン酸塩−緩衝食塩水を含む無菌水溶液である。さらに水性担体は1種以上の緩 衝塩、ならびに塩化ナトリウム及びカリウムなどの塩類、デキストロース、プロ ピレングリコール、ポリエチレングリコール及び他の溶解物を含むことができる 。 液体組成物は本明細書に記載の通り、水に加えて、又は水を除外して液相を含 むこともできる。 治療的組成物は有効量の本発明のdPSを、典型的に合計治療的組成物の重量 当たりに少なくとも0.1重量%の活性タンパク質の量で含む。重量%は合計組 成物に対するdPSタンパク質の重量による比率である。 C4BP結合活性の低下又は不在と組み合わされた抗凝血物質として作用する 示されているdPSの能力を鑑みて、本発明のdPSは、C4BPにより不活性 化されないその相対的能力の故に、遊離のPSの血漿量が増加した有用な抗凝血 物質として機能する能力を有する。かくして本発明のdPSは、PSが治療的に 用いられ得る場合に野生型プロテインS(PS)の代わりに治療的に用いること ができる。PS、特に本発明のdPSの典型的用途は、PSが凝血を阻害するよ うに機能する凝血 過程、特にC4BPが存在してPSを阻害する過程を含む。 本方法を実行するための代表的患者は、血栓症、炎症又は野生型PSが改善的 効果を与える他の有害な生物過程に関する危険のあるヒトである。 dPSを用いる治療法に関する特に治療的に重要な凝血過程の例は、急性血栓 症(静脈性及び/又は動脈性の両方)、遺伝性又は後天性プロテインS欠乏症、 敗血症、炎症過程及び癌である。動脈性及び静脈性血栓症におけるPSの使用は 、いくつかの研究において示されている通り、特に好ましい;Green et al.,Neurology,42:1029(1922);Thommen ,et al.,Schenlz.med.Wschr.,119:493−4 99(1989);Wiesel,et al.,Thromb.Res.,5 8:461−468(1990)。 方法は、患者の組織、臓器、体液試料、例えば血液、血漿又は血清、あるいは 循環系を生体内又は試験管内において、製薬学的に有効量の本発明のdPSを含 む組成物と接触させることを含む。1つの実施態様において、生体内における接 触は、本発明のdPSを含む治療的有効量の生理学的に許容し得る組成物を患者 に投与することにより行われる。 かくして本発明は、治療的有効量の本発明のdPSを含む組成物をヒトに投与 することを含む、ヒトにおける凝血を阻害するための方法につき記載する。 dPSの治療的有効量は、所望の効果を達成する、すなわち患者の循環系の体 液試料における凝血時間を短縮し、それにより凝血の傾向を低下させるために算 出されたあらかじめ決められた量である。生体内治療 の場合、有効量は、凝血、炎症、敗血症又はプロテインS欠乏症に伴う1つ又は それ以上の症状における改善により測定することができる。 かくして本発明のdPSの投与のための投薬量範囲は、凝血の症状が改善され る、又は凝血の傾向が低下する所望の効果を与えるのに十分な多量の投薬量であ る。投薬量は不利な副作用、例えば過粘着性症候群、肺水腫、うっ血性心不全な どを起こす程多量であってはならない。一般に投薬量は患者の年令、状態、性別 及び疾患の程度により変化し、当該技術分野における熟練者が決定することがで きる。 投薬量は合併症のある場合にはそれぞれの医師により調節することができる。 本発明のdPSの治療的有効量は典型的に、生理学的に許容し得る組成物にお いて投与された場合に、約1ナノモル(nM)〜1マイクロモル(μM)、好ま しくは約10〜500nM、最も好ましくは約50〜200nMの血漿又は局所 的濃度を達成するのに十分な量である。 本発明のdPSは注射により、又は時間をかけた漸次輸液(gradual infusion)により非経口的に投与することができる。本発明のdPSは 静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、体腔内(intracavitally)、経 皮的、皮膚的(dermally)に投与することができ、蠕動手段により与え ることができる。凝血及び炎症は本方法の好ましい標的なので、循環系への静脈 内投与が特に好ましい経路である。 dPSを用いる本方法に適用できる、PSを用いた投薬量の例及び投与の経路 を記載した代表的治療法は、Schwarz et al.の米国特許第5,1 43,901号に記載されている。 関連する実施態様において、本発明は他の抗凝血治療と組み合わされたdPS の使用を意図している。特に活性化プロテインC(APC)への補因子としての PSを鑑み、好ましい実施態様は、治療的有効量のプロテインC(PC)チモー ゲン又はAPCと組み合わされたdPS治療的組成物を用いる。PCは生体内で APCに変換されることが既知であり、従って生体内法においてAPCの代わり に、又はそれと組み合わせて用いることができる。従って1つの実施態様におい て、本発明は治療的有効量のdPS及び治療的有効量のPC、APC又は両者を 、それぞれ製薬学的に許容し得る賦形剤中で投与することを含む、凝血を阻害す る方法を意図している。本来のPS及びAPCを用いた代表的方法は、Schw arz et al.の米国特許第5,143,901号に記載されており、治 療目的に適した精製APCの調製も記載されている。実施例 :ヒトミニプロテインSの構築及びそれらの分析 ヒト性ホルモン結合グロブリン(SHBG)様ドメインが欠如した組み換えヒ トプロテインS分子(ミニプロテインS、残基1−242)を構築した。切断分 子を哺乳類細胞発現系において発現させ、細胞培養培地から精製し、特性化した 。 還元SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動上で、ミニプロテインSの分子量 を評価した。 活性化部分的トロンボプラスチン時間血餅形成アッセイ系(activate d partial thromboplastin time clotti ng assay system)を用い、ミニプロテインSは、プロテインS 不足血漿の活性化プロテインC誘導血餅形成時間を、用量依存的に延長すること ができた。 さらにミニプロテインSを抗−プロテインSモノクローナル抗体のパネルを用 いて精査した。 最後に、ミニプロテインSは精製プロテインを用いた系においてC4b−結合 タンパク質(C4BP)と相互作用せず、C4BPに関する結合部位がSHBG −様ドメインに局在したことを示唆した。実験法 材料−制限エンドヌクレアーゼBamH I、Xba I BglII及びH ind IIIはPharmacia Biotechnology(Upps ala,Sweden)から購入した。T4 DNAリガーゼはBethesd a Reaearch Laboratory(Bethesda,MA,US A)から得た。酵素はすべて製造者の指示に従って用いた。エシェリキア コリ (Echerichia coli)株CJ236及びXL−1ブルーはBio −Rad(Richmond,CA,USA)から得た。APC、プロテインS 及びC4BP枯渇血漿は、記載の通りに調製した(Koedam,J.A.,M eijers,J.C.M.,Sixma,J.J.and Bouma,B. N.(1988)J.Clin.Invest.82,1236−1243)。 C4BP及び、C4BPのα−鎖に対して方向付けられた抗−C4BPモノクロ ーナル抗体8C11は記載の通りに調製した(Hessing,M.,Vloo swijk,R.A.A.,Hackeng,T.,Kanters,D.an d Bouma,B.N.(1990)J.Immunol.144,204− 208)。パーオキシダーゼに共役したウサギ抗ヒトプロテインS IgGはD akopatts(Glostrup,Denmark)から得た。モノクロー ナル抗体は記載の通りに調製した(Hackeng,T.M.Hessing, M.,van’t Veer,C.,Meijer−Huizinga,E., Meijers,J.C.M.,De Groot,P.G.,Van Mou rik,J.A.and Bouma,B.N.(1993)J.Biol.C hem.vol268,p3993−4000)。Iscoves Dulbe ccos修正培地、ペニシリン、ストレプトマイシンサルフェート、グルタミン 及び牛胎児血清はGibco(Paisly Park,UK)から得た。トラ シロールはBayer(Leverkusen,FRG)から得た。ビタミンK1 (Konakion)はF.Hoffman−La Roche(Basel ,Switzerland)から得た。ベクタスタチンABCキットはVect or Laboratories,Burlingame,CA,USAから得 た。 部位特異的突然変異誘発−プロテイン cDNA配列を有する発現ベクターp MSVPSからの2808塩基対Hind III−BamH Iフラグメント (Chang,G.T.G.,Ploos van Amstel,H.K., Hessing,M.,Reitsma,P.H.,Bertina,R.M. and Bouma,B.N.(1992)Thromb.Haemost.6 7,526−53221)をHind III及びMgl IIを用いた消化の 後にM13mp19中にサブクローニングした。以下の36−マーをプライマー として用い:5’−CAG AAG AGT TGT GAG TAA GTT TCA GTG TGC CTT CCC−3、残基238−249のアミノ 酸配列をコードするヌクレオチド配列とハイブリッド形成させ た。位置243におけるコドンTAAは停止コドンであり、従って組み換えタン パク質は242アミノ酸長である。下線を引いたヌクレオチドは変更した。部位 特異的突然変異誘発は、Kunkel(Kunkel,T.A.(1985)P roc.Natl.Acad.Sci.USA 82,488−492)に従っ て行った。プロテインS挿入片を有するM13mp19クローンをCJ236( dut-ung-)細胞に感染させ、ウラシル−含有1本鎖ファージDNAを単離 し、鋳型として用いた。T7 DNAポリメラーゼを用いた第2鎖合成及びT4 DNAリガーゼを用いた連結の後、感応(competent)XL−1(d ut+ung+)細胞を形質転換した。得られた個々のプラークからの1本鎖DN Aを単離し、ジデオキシ鎖終結法(dideoxy chain termin ation method)(Sanger,F.,Nicklen,S.an d Coulson,A.R.(1977)Proc.Natl.Acad.S ci.USA 76,5463−5467)により配列決定し、配列が予想通り であることを確認した。2本鎖ファージDNAをバクテリア細胞から単離し、H ind III及びXba I消化の後にプロテインS挿入片を単離し、pMS VPS中に再クローニングした。以前に記載された通りに(Chang,G.T .G.,Ploos van Amstel,H.K.,Hessing,M. ,Reitsma,P.H.,Bertina,R.M.and Bouma, B.N.(1992)Thromb.Haemost.67,526−532) pTZX−BPVのBamH I消化の後にBPV−1ゲノムを単離し、pMS VPS中にクローニングした。得られたプラスミドをポリエチレングリコール沈 澱により精製し、1993年6 月24日に、ブタペスト条約に従い、Baarn,the Netherlan dsのCBSに、受託番号36193として寄託した。 細胞培養、DNAトランスフェクション及び組み換えミニプロテインSの精製 −C127細胞(ATCC CRL 1616)を以前に記載された通りに(C hang,G.T.G.,Ploos van Amstel,H.K.,He ssing,M.,ReitSma,P.H.,Bertina,R.M.an d Bouma,B.N.(1992)Thromb.Haemost.67, 526−532)培養した。トランスフェクションのために20μgのプラスミ ドを用い、従来のリン酸カルシウム共沈澱法により細胞をトランスフェクション した(Graham,F.and van der Eb,A.(1983)V irology 52,456−457)。組み換えプロテインSを含むことが ELISAにより決定された状態調節された培地を、発現の48時間後にビタミ ンK1(Konakion,Roche,5μg/ml)の存在下で収穫した。 組み換えプロテインSをアニオン交換カラム(Fast Flow Q 樹脂, Pharmacia)上で記載の通りに(Chang,G.T.G.,Ploo s van Amstel,H.K.,Hessing,M.,Reitsma ,P.H.,Bertina,R.M.and Bouma,B.N.(199 2)Thromb.Haemost.67,526−532)精製した。組み換 えプロテインSの純度及び組み込み度(integrity)を、還元12.5 %ゲル上のSDS/PAGEを用いた分離(Laemmli,U.K.(197 0)Nature 227,608−695)、ならびにウサギ抗−プロテイン Sポリクローナル及びマウス抗−プロテインSモノク ローナル抗体を用いたイムノブロッティング(Towbin,H.J.,Sta ehlin,T.and Gordon J.(1979)Proc.Natl .Acad.Sci.USA 76,4350−435426)の後に判定した 。 プロテインSアッセイ−特異的モノクローナル抗体ELISAを用いてプロテ インS抗原を決定し、2つの独立した抗−プロテインSモノクローナル抗体のI gG(13及び3D9、それぞれ5μg/ml)を50mMのNaHCO3、p H9.6において、4℃で終夜、ポリビニルミクロタイタープレート上にコーテ ィングした(Costar,Cambridge,MA,USA)。 非結合IgGの洗浄の後、ウェルを150mMのNaCl及び5mMのCaC l2を含む50mMのTris−HCl pH7.5中の1%(w/v)のBS Aを用い、室温で1時間遮蔽した(block)。量を増加させた組み換えプロ テインSを加え、室温で18時間インキュベートした。結合プロテインSを、ビ オチンと共役した抗−プロテインSモノクローナル抗体 18 IgG(0.5 μg/ml)に1時間結合させた。ABC試薬を加え(100μl)、室温で1 時間インキュベートした。ニトロフェニルホスフェートの加水分解をVmaxプレ ートリーダーを用いて492nmにおいて測定した(Molecular De vices Corporation,Menlo Park,CA,USA) 。 APC補因子活性を、Chang,G.T.G.,Ploos van Am stel,H.K.,Hessing,M.,Reitsma,P.H.,Be rtina,R.M.and Bouma,B.N.(1 992)Thromb.Haemost.67,526−532により記載され た通りに血餅形成アッセイにおいて決定した。 C4BPへの組み換えプロテインSの結合−組み換えプロテインSとC4BP の間の複合体形成を、C4BP及びビオチン共役抗−プロテインSモノクローナ ル抗体 18を用いた感受性(sensitive)ELISAにより測定した 。簡単に言うと、C4BPのα−鎖に向けられたモノクローナル抗体8C11か らのIgG(10μg/ml)を、50mMのNaHCO3、pH9.6中で、 4℃において終夜、ポリビニルミクロタイタープレートにコーティングした(C ostar,Cambridge,MA,USA)。非結合IgGの洗浄の後、 ウェルを150mMのNaCl及び5mMのCaCl2を含む50mMのTri s−HCl pH7.5中の1%(w/v)のBSAを用い、室温で1時間遮蔽 し、C4BPを1μg/mlの最終濃度で2時間結合させた。量を増加させた組 み換えプロテインSを加え、室温で18時間インキュベートした。結合プロテイ ンSを、前記の通りにビオチンに共役した抗−プロテインS IgGモノクロー ナル抗体 18(0.5μg/ml)に結合させた。 トロンビンによるプロテインSの不活性化−1mlの組み換えプロテインS( 50μg/ml)を50μlのトロンビン−セファロース(1mg/ml)と共 に、150mMのNaClを含む50mMのTris−HCl pH7.5中に おいて37℃で1時間インキュベートした。遠心によりトロンビン−セファロー スを除去し、不活性化プロテインSを必要となるまで−20℃で保存した。 抗−プロテインSモノクローナル抗体へのミニプロテインSの結合− 組み換え又はミニプロテインS(900ng)をポリビニルミクロタイタープレ ート上に、50mMのNaHCO3、pH9.6中において4℃で終夜コーティ ングした。種々のモノクローナル抗体からのIgG(0〜1.5μg/ml)を 加え、室温で2時間インキュベートした。ニトロフェニルホスフェートの加水分 解をVmaxプレートリーダーを用いて492nmにおいて測定した(Molec ular Devices Corporation Menlo Park, CA,USA)。結果と議論 プロテインSのSHBG−様ドメインの役割を研究するために、ミニプロテイ ンS(残基1−242)を構築し、C127細胞中で発現させた。組み換えミニ プロテインSを生産するとELISAにより決定された焦点を単離し、1細胞/ ウェルを用いてサブクローニングした。最高プロテインS生産クローンをミニプ ロテインSの大規模生産に用いた。ミニプロテインSをFast Flow Q カラムを用いて培養培地から精製した。還元SDSゲル上でミニプロテインSは 、30及び20kDという比較的低い見掛けの分子質量を有した(図1)。上部 のバンドは成熟プロテインS(残基1−242)を示し、トロンビンにより下部 のバンドに変換されることができた(残基71−242)。 APCに関する補因子活性を、プロテインS及びC4BP枯渇血清、ならびに 量を増加させたプロテインSを用いて活性化部分的トロンボプラスチン時間系に おいて測定した。図2は、ミニプロテインSがAPCに関する補因子活性を有す ることを示し、それはトロンビンにより阻害され得る。補因子活性はモルに基づ き、野生型プロテインSと比較して2倍低かった。これは、ミニプロテイン製造 における切断材料の量のた めであり得る。この段階で、ミニプロテインは80%の切断材料を含んだが、野 生型プロテインSは50%を含んだ(図1)。この実験はさらに、SHBG−様 ドメインの欠失がAPC補因子活性に影響を与えないことを示し、プロテインS (5APCの相互作用がおそらく、最近モノクローナル抗体とプロテインSフラ グメントを用いてDahlbackと ebrand,B.and Malm,J.(1990)J.Biol.Che m.265,8127−8135)、N−末端を介して起こることを示している 。 カルシウムの存在下におけるC4BPへのミニプロテインSの結合(図3)は 、ミニプロテインSが野生型組み換えプロテインSのようにはC4BPに結合し ないことを示している。これは、SHBG−様ドメインがC4BPに対する結合 部位を含むことを示唆している。それはさらに、SHBG−様ドメインがおそら く抗凝血系に含まれず、補体系に多く含まれることを示唆している。 ELISA系(図4)を用いると、抗体 18はミニプロテインSを野生型と 同様に認識するが、S7はミニプロテインSを認識しなかった。モノクローナル 抗体18はEGF3及びEGF4領域のエピトープに向けられているが、モノク ローナル抗体S7はアミノ酸460に近いSHBG領域に向けられている。 当該技術の現状において、ヒトプロテインSの一次構造が1992年11月1 1日のGlenn T.G.Changの論文“Structure and function of human protein S”において16頁に 描かれている。ヒトプレプロプロテインSに 関するアミノ酸配列(1文字コード)及び14個のイントロン(A−N)の位置 が実線の矢印で示されている。プレプロリーダー配列は残基−41から−1を含 む。実線の棒はジスルフィド結合であり;γ,γ−カルボキシクルタミン酸(G LA);β,β−ヒドロキシアスパラギン酸又はβ−ヒドロキシアスパラギン; *,トロンビン−感受性ドメイン中のトロンビン−切断部位;o,芳香族付着ド メインにおける芳香族残基;白いダイヤモンド形は、可能性のあるAsn−X− Ser/Tyr型の炭水化物結合部位を示す。大きい数字は4つの表皮成長因子 −様ドメインの順序を示し、その後に性ホルモン結合グロブリン−様ドメインが 続く。図面への凡例 図1.イムノブロットプロテインSのSDS/PAGE分析。組み換えプロテ インS(列1)又はミニプロテインS(列2)のアリコート(100ng)を還 元条件下で12.5%のSDSゲル上で分離し、イモビロン膜(immobil on membrane)上にイムノブロットした。結合タンパク質をパーオキ シダーゼに共役したウサギ抗−プロテインSポリクローナル抗体を用いて検出し た。 図2.APCに対するプロテインSの補因子活性:トロンビンの影響。血餅形 成時間のプロテインS依存性延長を、プロテインS及びC4BP枯渇血清、AP C、カオリン及びセファリンを用い、活性化部分的トロンボプラスチン時間系に おいて測定した。量を増加させた組み換えプロテインS(丸)、あるいはトロン ビンで処理しない(白い記号)又は処理した(黒い記号)ミニプロテインS(四 角)を加えた。CaCl2を加えることにより血餅形成を開始し、血餅形成時間 を測定した。実験は 二重に行った。 図3.C4BPへのミニプロテインSの結合。抗−C4BPモノクローナル抗 体8C11 IgGをミクロタイターウェル上にコーティングし、C4BP(1 μg/ml)を捕捉した。組み換えプロテインS(丸)又はミニプロテインS( 四角)をカルシウムの存在下で量を増加させて加えた。C4BPへの結合は室温 で18時間行った。結合プロテインSはビオチンに共役した抗−プロテインS 18 IgG(0.5μg/ml)を用いて検出した。実験は二重に行った。 図4.種々のモノクローナル抗体へのミニプロテインSの結合。ミクロタイタ ープレートに固定された量の野生型組み換え(rec)([],0)又はミニプロ テインS(mini)(△,V)をコーティングし、量を増加させた種々のモノ クローナル抗体S7([],V)又は18(0,△)を室温で2時間加えた。結合 抗体を、「実験法」において記載した通りにパーオキシダーゼに共役したウサギ 抗−マウス抗体を用いて測定した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI C07K 14/745 A61K 37/64 ABE C12N 5/10 ADU (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN, TD,TG),AM,AT,AU,BB,BG,BR, BY,CA,CH,CN,CZ,DE,DK,ES,F I,GB,GE,HU,JP,KE,KG,KP,KR ,KZ,LK,LU,LV,MD,MG,MN,MW, NL,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,S E,SI,SK,TJ,TT,UA,US,UZ,VN (72)発明者 ベルテイナ,ロジール・マリア オランダ・エヌエル―2313エイチビー ラ イデン・テイベルジーゲンベークストラー ト30

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.APCに対する補因子活性を有し、対応する成熟野生型プロテインSのS HBG−様ドメインの少なくとも2つの推定C4BP結合ドメインが欠如してい るプロテインSの欠失突然変異体。 2.対応する成熟野生型ヒトプロテインSの少なくともアミノ酸残基401− 457及び583−635が欠如している請求の範囲第1項に記載の欠失望突然 変異体。 3.対応する成熟野生型ヒトプロテインSの少なくともC−末端から残基40 1のアミノ酸配列が欠如している請求の範囲第2項に記載の欠失突然変異体。 4.対応する成熟野生型プロテインSの完全SHBG−様ドメインが欠如して いる請求の範囲第1〜3項のいずれかに記載の欠失突然変異体。 5.対応する成熟野生型ヒトプロテインSの243を含んでそれからすべての アミノ酸残基が欠如している請求の範囲第1〜4項のいずれかに記載の欠失突然 変異体。 6.対応する成熟野生型プロテインSのトロンビン感受性ループ領域における 少なくとも1つの突然変異をさらに含み、該突然変異が欠失突然変異体をトロン ビン耐性とする請求の範囲第1〜6項のいずれかに記載の欠失突然変異体。 7.トロンビン感受性ループにおける突然変異が対応する成熟野生型ヒトプロ テインSの残基45−72により限定される領域に位置する請求の範囲第5項に 記載の欠失突然変異体。 8.突然変異が位置49、60及び70における残基の少なくとも1つの置換 を含む請求の範囲第6項に記載の欠失突然変異体。 9.表皮成長因子様ドメイン3及び4における少なくとも1つの突然変異をさ らに含む請求の範囲第1〜8項のいずれかに記載の欠失突然変異体。 10.請求の範囲第1〜9項のいずれかに記載の欠失突然変異体をコードする 合成又は組み換えヌクレオチド配列。 11.請求の範囲第10項に記載のヌクレオチド配列を含み、該ヌクレオチド 配列を発現できることが好ましい組み換えベクター。 12.請求の範囲第10項に記載のヌクレオチド配列及び/又は請求の範囲第 11項に記載の組み換えベクターを含み、該ヌクレオチド配列上、又は該ベクタ ー上でコードされる発現産物を分泌できるのが好ましい宿主細胞。 13.少なくとも製薬学的に許容し得る担体及び活性成分としての請求の範囲 第1〜9項のいずれかに記載の欠失突然変異プロテインSを含む製薬学的組成物 。 14.急性血栓症、プロテインS欠乏症、敗血症、炎症及び癌に関する危険の ある患者のいずれかの処置のための製薬学的組成物における、請求の範囲第1〜 10項のいずれかに記載の欠失突然変異プロテインSの使用。
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