JPH08510719A - 有効量のインターロイキン−10、その類似体および/または作動薬を含有する医薬組成物の使用 - Google Patents
有効量のインターロイキン−10、その類似体および/または作動薬を含有する医薬組成物の使用Info
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Abstract
(57)【要約】
本発明は、i)Tリンパ球によるインターロイキン−5の産生;またはii) B7/CD28またはICAM-1/LFA-1の経路によるTリンパ球の活性化;またはiii)単球の凝血促進活性の活性化を伴う疾患;iv) 腫瘍壊死因子(TNF)を伴う重症感染症;の治療または予防に用い医薬を製造するためのインターロイキン−10(IL-10)またはその類似体もしくは作動薬の使用に関する。
Description
【発明の詳細な説明】
有効量のインターロイキン−10、その類似体および/または作動薬を含有す
る医薬組成物の使用
本発明は、過剰量のインターロイキン−5、B7/CD28および/またはICAM-1/LF
A-1の分子相互作用による過剰なT細胞剌激、および/または過剰な単球凝血促
進活性によって誘発される疾患からなる群から選択される疾患を治癒させるかま
たは予防するため、哺乳類とくにヒトを治療するのを目的とする医薬を製造する
のに用いる、有効量のインターロイキン−10、その類似体および/または作動
薬を含有する医薬組成物の使用に関する。
ヒトIL-10は、その成熟した形態では、160個のアミノ酸と2個の分子間ジ
スルフィド架橋を有するサイトカインである。またヒトIL-10はグリコシル化部
位を含有しているがグリコシル化されていない。
IL-10は、いくつもの異なるタイプの細胞によって身体内で産生される。免疫
系に関与する細胞すなわちリンパ球TとBおよび単球/マクロファージはIL-10
の重要な起源である。免疫系以外では、角化細胞および特定の腫瘍細胞もIL-10
を産生することができる。IL-10の合成を制御する因子は完全には理解されてい
ない。
最初はサイトカイン合成阻害因子(Cytokine Synthesis Inhibitory Factor)
(CSIF)として知られていたIL-10は、いくつもの異なる標的細胞に対してその
生物学的作用を発揮する。
その免疫抑制特性と抗炎症特性は主として、単球および
マクロファージに対するこのサイトカインの作用(すなわち単球およびマクロフ
ァージがTH1サイトカイン類を産生するのを阻害する)に関連しているが、IL-10
もTリンパ球に直接作用することができることが最近見出された。TH1サイトカ
イン(IL-2、IFN-γ)の産生のIL-10による阻害は主として、Tリンパ球の活性
化が抗原提供細胞(Antigen Presenting Cells)(APC)として作用する単球と
マクロファージによって決まる系に観察されている。IL-10は主として、APCによ
ってTリンパ球に与えられる活性化信号を阻害することによってTリンパ球に間
接的に作用する。クラスII主要組織適合性遺伝子複合体(MHC)のAPC表面での発
現の阻害は、関連する機構の一つと考えられる。
例えば、国際特許願公開第WO 91/00349号には、IL-10(CSIF)が
、TH1リンパ球を阻害し、細胞性免疫応答を制御する哺乳類サイトカインとして
記載されている。MHC関連免疫応答に関する疾患を抑制するのにIL-10を使用する
ことが記載されている。
国際特許願公開第WO 93/17698号には、移植片宿主相関病または組
織拒絶反応を抑制するのにIL-10を用いることが記載されている。この状況でのI
L-10の作用の主な機構は、単球でのMHCクラスIIの発現のダウンレギュレーショ
ンであると記載されている。この文書では、単球でのICAM-1とB7の発現のダウン
レギュレーションがIL-10の作用機構としては明確に除外されている。したがっ
て、B7/CD28およびICAM-1/LFA-1経路によるTリンパ球の活性化を伴う疾患にIL-
10を使用することは記載も示唆もさ
れていない。
1993年2月18日に公開された国際特許願公開第WO 93/02693
号(ヨーロッパ条約A.54(3)条による従来の技術)には、敗血症性ショッ
クおよび中毒性ショックの治療または予防に、IL-10またはその類似体もしくは
作動薬(agonist)もしくは拮抗薬(antagonist)を使用することが記載されて
いる。この文書によれば、IL-10は、LPSもしくは超抗原に対する暴露と同時にま
たはその暴露の後に投与される。内毒素または超抗原に対する暴露を行う前にIL
-10を投与すると、グラム陰性菌もしくはグラム陽性菌の種による罹患とこの罹
患による死亡を予防することができることは示唆もされていない。
国際特許願公開第WO 93/19770号には、IL-4とともにIL-10を含有
し、急性もしくは慢性の炎症の治療に用いるのに適した組成物が記載されている
。IL-10だけの使用は記載されていない。
本発明の根底にある技術的問題点は次のとおりである。
i) 好ましくは内毒素もしくは超抗原に暴露される前に、敗血症ショックを
治療し予防する有効な手段を確認すること;
ii) 単球の表面で組織因子の発現を誘発することによる凝血系の活性化を伴
う疾患の治療法を確認すること;
iii) 同種反応性応答(alloreactive response)を伴う臨床状況で、Tリン
パ球活性化経路をすべて遮断して、標準の治療法に対して拒絶の徴候を示す患者
を治療できる手段を確認すること;および
iv) Tリンパ球による過剰なIL-5の産生を伴う疾患の治療法を確認すること
である。
上記の技術的問題点の解決策は、IL-10を単独または他の治療法と組合わせて
投与することにあることが本発明の発明者らによって発見されたのである。この
解決策は本発明の発明者らによる下記の発見に基づいている。すなわち
i) IL-10は、LPSで剌激された単球によるTNF-α産生の有効なインビターで
ある;
ii) IL-10は単球の凝血促進活性の誘発を防止する;
iii) IL-10は単球でのB7とICAM-1の発現を阻害する;および
iv) IL-10はTリンパ球によるIL-5の産生を阻害する;
という発見に基づいている。
本発明は、敗血症性ショック、Tリンパ球によるIL-5の過剰産生、B7/CD28も
しくはICAM-1/LFA-1の相互作用による過剰なT細胞の剌激、または単球の凝血促
進活性を伴う症状の治療に用いる、有効量のIL-10、その類似体または作動薬を
含有する医薬組成物に関する。また本発明は、個体に上記医薬組成物を投与する
ステップを含んでなる、個体の上記症状を予防もしくは抑制もしくは抑圧する方
法に関する。
“IL-10”という用語は、天然起源から精製されるかまたは好ましくはインタ
ーロイキン−10をコードする組換えDNA配列の適切な宿主での発現で産生され
る、哺乳類の特にヒトの純品のインターロイキン−10を意味する。また本発明
のIL-10には、ウイルス形のインターロイキン−
10、ヒトとウイルスのIL-10起源の配列で構成されたキメラタンパク質が、本
発明の必要とするIL-10の特性を維持している場合含まれる。また“IL-10”とい
う用語には、例えばPCT特許願公開第WO 91/00349号にサイトカイ
ン合成阻害因子として記載されているようなインターロイキン10の類似体およ
びペプチドも含まれる(englobe)。
適切な組換え宿主としては、適正なIL-10コーディング配列を有するレトロウ
イルスベクターまたはバキュロウイルス系でトランスフェクトされた真核細胞が
挙げられる。レトロウイルスのベクターは哺乳類の細胞(例えばCHO細胞)に導
入される。上澄み液中に得られる組換えタンパク質は哺乳類中で発現される未変
性タンパク質に類似している。さらに、IL-10遺伝子を保有するレトロウイルス
粒子は、これらの構造体でトランスフェクトされたパッケージング細胞(packag
ing cell)の上澄み液中に産生される。これらの粒子を使用して哺乳類の細胞に
感染させてこれらの細胞にIL-10を発現させることができる。バキュロウイルス
のベクターは、レトロウイルスのベクターより多量の組換えタンパク質を産生さ
せるのに使用される。この発現系は、グリコシル化されかつジスルフィド架橋を
有する組換えタンパク質を生成するが、翻訳後修飾の変化および異なるグリコシ
ル化を誘発する。
IL-10の“有効量”という用語は、本願で用いる場合、上記容態のうちの一つ
の症状を少なくとも改善もしくは予防するのに充分な量を意味する。特定の患者
に対する有効
量は、治療される容態の状況、患者の全健康状態、投与方法、副作用の重症度な
どの因子によって変化する。
IL-10の類似体および/または作動薬は、IL-10と同様にIL-10の受容体と相互
反応を行う分子である。このIL-10の類似体および/または作動薬は、IL-10の類
似体もしくはフラグメント、またはIL-10の受容体のサイドエピトープを捕捉す
るリガンドに対する抗体、または受容体と相互に反応するIL-10の部分に結合す
る特定の抗体に対する抗イディオタイプ抗体でもよい。
抗体は、IL-10のサイトカイン、フラグメントおよび類似体に対し、その天然
に存在する形態および組換え体の形態で生成させることができる。その上、抗体
は活性形もしくは不活性形のIL-10に対して生成させることができる。そしてそ
の差異は、この活性サイトカインに対する抗体は、活性コンホメーションでのみ
存在しているエピトープを認識するようであるということである。抗イディオタ
イプ抗体もこれらの方法で生成させることができそしてIL-10の作動薬になるで
あろう。
一般に、IL-10は有効量のIL-10および医薬担体を含有する医薬組成物として投
与される。医薬担体は、本発明の組成物を患者に送達するのに適切な相容性の非
毒性の物質であればよい。一般に、これら薬剤を非経口投与するのに有用な組成
物は公知である〔例えば、Remington's Pharmaceutical Science,第15版(1
980年)、(米国、ペンシルベニア州、イーストン所在のMack Publishing Co
mpany発行)参照〕。あるいは、本発明の組成物は、移植用
もしくは注射用薬剤の送達システムによって患者の身体中に導入することができ
る〔例えばURQUHARTら、Ann.Rev.Pharmacol.Toxicol.,24巻、199〜2
36頁、1984年,Lewis編集、Controlled Release of Pesticides and Phar
maceuticals(米国、ニューヨーク、Plenum Press社、1981年);米国特許
第3773919号および米国特許第3270960号参照〕。
IL-10は、非経口投与される場合、医薬担体とともに一回投与の注射形態で配
合される(例えば溶液、懸濁液または乳濁液)。これら担体の例としては、通常
の食塩水、リンゲル液、デキストロースの溶液およびハンクス溶液がある。不揮
発性油およびオレイン酸エチルのような非水性担体も使用できる。好ましい担体
は5%デキストロース/食塩水である。この担体は、等張性および化学的安定性
を高める物質のような添加剤、例えば緩衝剤および保存剤を少量含有していても
よい。IL-10は、凝集物および他のタンパク質を実質的に含有しない純粋な形態
でかつ約10000〜100000U/mlの範囲内の濃度で配合することが好
ましい〔活性の標準単位(U)は、MC/9マスト細胞系によるハーフ−マキシ
マル応答(half-maximal response)を起こすのに必要なIL-10の量である(THOM
PSON-SNIPESら、J.of Exp.Med.,173巻、507〜510頁、1991年
)〕。IL-10はほとんどの場合、患者に対し連続的に注入して約100000〜
100000000Uの範囲の量を一日当り送達させる(すなわち約1500〜
150000U/Kg/日)ことによって投与するこ
とができる。一日当りの注入量は副作用の監視結果と患者の血球数に基づいて変
えることができる。しかし、場合によっては(例えば抗CD3による治療で起こる
副作用を予防するため)、IL-10は、約50000〜5000000Uを一回の
注射で投与することが好ましい。
本発明によって、同種移植片拒絶反応を予防および/または治療するために、
IL-10を投与するか、細胞をIL-10とともにインキュベートするかまたはIL-10遺
伝子を転移させることができる。このような遺伝子の転移は通常の方法で実施す
ることができるが、下記の方法のうちの一つで行うことが好ましい。
1) IL-10をコードする遺伝子を、ドナーの細胞中に生体外で転移させ、次に
その細胞を患者に注射して、キメラ現象と同種移植片耐性を誘発させる。この転
移は、レトロウイルスのベクターのような異なるベクターを用いて行うことがで
きる(Anderson,Science,256巻、808〜813頁、1992年;Rosenbe
rgら、New England Journal of Medicine、323巻、570〜578頁、19
90年)。
2) IL-10をコードする遺伝子を、患者から単離された自所性で同種反応性の
リンパ球中に、生体外で転移させる。次に、これらの修飾された細胞を、患者に
再び注射して同種移植片耐性を誘発させる。その転移は、レトロウイルスベクタ
ーのような異なるベクターを用いて実施できる。
3) IL-10ウイルス粒子を含有する媒体で移植片を潅流することによって、IL
-10をコードする遺伝子を、同種移
植片を移植された細胞中に転移させる。この転移は、アデノウイルス由来のベク
ターのような異なるベクターを用いて実施できる(Rosenfeldら、Science、25
2巻、431〜434頁、1991年)。
I−重篤な感染症:
グラム陰性菌由来の内毒素すなわちリポ多糖類(LPS)は、敗血症性ショック
の発生機序の主要な原因物質である(1)。ショック様状態は、実際には、動物
にLPSを一回注射することによって実験的に誘発させることができる。LPSのこれ
らの毒作用は、大部分がマクロファージの活性化に関連があり、多数の炎症メデ
ィエーターが放出される。これらのメディエーターのなかで主要壊死因子(TNF
)は、中和抗TNF抗体を投与することによってLPSの毒性が防止されることで示さ
れるように、重要な役割を演じているようである(2〜5)。
IL-10は、敗血症性ショックのマウスモデルでTNFの放出とそれに付随する毒性
を阻害するのに有効である。したがってIL-10は、単独でまたは従来の治療法(
26)と組合わせて、グラム陰性菌の種による敗血症の罹患とその敗血症による
死亡を防止するのに用いることができる。
本発明の発明者らは、IL-10で前処置を行うと、LPSで誘発される毒性が防止さ
れることを、証明したのである。これらの結果は、細菌敗血症および関連する敗
血症性ショックが起こりそうな状況下、例えば外科手術、特にフィールド手術(
field surgery)を行う前に、および細菌感染が起こりそうな他の状況下で、IL-
10を予防的に使用できる
ことを示している。これらの場合、本発明では、IL-10は、細菌微生物に暴露さ
れる可能性がある前に投与される。
またIL-10は下記の理由から脳性マラリア(神経マラリア)を予防するのに用
いることができる。すなわち
a) 接着分子(特にICAM-1)の発現は、感染した赤血球が脳の微小血管の内
皮に細胞接着するのに重要な役割を演じ;
b) これらの接着分子の発現はマラリア抗原が誘発させるTNFで刺激され;そ
して
c) マラリア抗原で誘発されるTNFの産生もIL-10の投与で阻害できるからで
ある。したがって上記の症例では、IL-10は単独もしくは組合わせで、病原体の
発生を阻害できる。
またIL-10は、本発明のこの態様にしたがって、中毒性ショック症候群の治療
または予防に使用できる。この症候群は、グラム陽性菌(例えばぶどう球菌)由
来の毒素で誘発されるT細胞と単球の活性化に関連している。IL-10はこのプロ
セスを有効に遮断するので、単独でまたは通常の治療法と組合わせて、上記目的
のため治療に用いることができる(26,27)。
II−IL-10による、単球の凝血促進活性の阻害:
本発明の発明者らは、IL-10が単球の凝血促進活性を阻害することを初めて証
明したのである。
したがってIL-10は、敗血症性ショック、髄膜炎菌血症、前単球性白血病、抗C
D3モノクローナル抗体によって誘発される第一投与反応などのような単球表面で
の組織因子
発現の誘発を伴う凝血系の活性化を特徴とする急性疾患;ならびに抗リン脂質症
候群、溶血性***性症候群、同種移植片拒絶反応、播種性血管内凝血および危
険性が高い手術のような血栓性プロセスを特徴とするすべての疾患に有効に使用
することができる。
これらの用途でIL-10は、単独の活性成分としてまたは凝血系の外因性経路で
作用する他の治療法と組合わせて使用することができる。IL-10は好ましくは本
発明の医薬組成物中に存在する単一のサイトカインである。
ヒト単球の表面で組織因子が発現すると、凝血促進活性が誘発されるが、この
組織因子の発現は、細菌LPS(敗血症性ショックで生成する)、抗CD3モノクロー
ナル抗体、またはTNFもしくはIL-1のような炎症メディエーターによって誘発さ
れる。
単球の凝血促進物のLPSによる誘発はサイトカインに対し非依存性であるから
、LPSによって誘発される単球の凝血促進活性に対するIL-10の阻害作用は、IL-1
0が単球のサイトカイン合成を阻害するという従来の技術での観察結果に関連が
なくかつこの観察結果から予測できないであろう。
本発明のこの態様の好ましい実施態様によれば、IL-10は、抗CD3誘発ショック
症候群の治療または予防に用いる医薬を製造するのに使用される。IL-10は、こ
の用途では二重の機能を有し、つまり単球とリンパ球によるサイトカイン(TNF-
αとIL-1)の合成および凝血促進活性の両者を阻害する作用を有する。
その上、腎臓移植体の受容者を抗CD3抗体(OKT3)で治療すると凝血系の活性
化をトリガーし、時には移植片血栓症を起こすことがあるので、同種移植片受容
者にOKT3を最初に注射する前に、IL-10を単独でまたは通常の治療法と組合わせ
て予防のために投与してもよい。
III−B7/CD28またはICAM-1/LFA-1の経路によるTリンパ球
の活性化の、IL-10による阻害:
今までに刊行された文献の報告とは異なり(例えば、前掲の国際特許願公開第
WO 93/17698号supra;Ann.Rev.Immunol.,11巻、165〜19
0頁、1993年参照)、本発明の発明者らは、IL-10が、クラスII MHCの発現
のみならずヒト単球でのB7とICAM-1の発現を阻害することを見出したのである。
またこの発見は、DINGらの観察結果(J.Immunol.,151巻、1224〜12
34頁、1993年8月)からみて驚くべきものである。すなわちDINGらは、IL
-10はマウスのマクロファージのB7のアップレギュレーションを阻害するが、こ
れらの細胞のICAM-1の発現を変化させなかったと報告している。
B7とICAM-1(細胞間接着分子−1)は、抗原提示細胞(APC)の膜上に発現さ
れる“補助分子”であり、それぞれ、Tリンパ球の表面に存在するそれらの対応
する受容体(CD28とLFA-1)と相互に作用し、かつTリンパ球を共刺激(co-stim
ulation)するのに非常に重要である。したがって、IL-10は、MHC II/T細胞受
容体の相互作用およびB7/CD28とICAM-1/LFA-1の相互作用の両者を阻害すること
によって、Tリンパ球の活性化を阻害する。後者の作用は移植
免疫に特に関連がある。実際に、これらの共刺激(co-stimulatory)分子が不足
している抗原提示細胞(APC)は、生体外でT細胞の不応答(T細胞アネルギー
)を誘発する。さらに、モノクローナル抗体の注射によるICAM-1/LFA-1の相互作
用の生体内阻害、またはCTLA4-Ig融合タンパク質によるB7/CD28相互作用の生体
内阻害によって、生体内での同種移植片拒絶反応が防止される。また本発明の発
明者らは、IL-10が、Tリンパ球内でB7/CD28活性化の経路を阻害する証拠も得た
。この経路におけるIL-10の二重作用(APCとTリンパ球のレベルにおける作用)
は、IL-10を投与して同種移植片に対する耐性を高めることができることを示し
ている。
これらの観察結果は、B7/CD28もしくはICAM-1/LFA-1の経路によるTリンパ球
の活性化を伴う疾患、特に同種移植片拒絶反応および移植片宿主相関病のような
同種反応性応答に関連する疾患の治療または予防にIL-10を使用できることを示
している。
本発明によれば、IL-10は、単独でまたはドナー由来の細胞懸濁液(血球、脾
臓細胞、骨髄細胞、骨髄幹細胞など)と組合わせて用いて、充実同種移植片に対
する拒絶反応を予防もしくは治療することができる。IL-10は、ドナーのパッセ
ンジャー白血球(passenger leucocyte)を阻害するため移植を行う前に移植片
に注射するか、および/または受容者に非経口経路で注射できる。またIL-10は
、移植耐性を誘発するため、受容者に注入する前にドナーの細胞懸濁液に添加し
てもよい。
また、IL-10の上記特性は、骨髄移植を行った後の急性の移植片宿主相関病を
予防もしくは治療するのにIL-10を使用できることを示している。予防のプロト
コルでは、IL-10は、受容者に注入する前にドナーの骨髄細胞に添加するか、ま
たは骨髄移植を行った後に受容者に注射する。
従来の知見と異なり、IL-10は、シクロスポリン−A耐性であることが知られ
ているICAM-1/LFA-1経路およびB7/CD28経路を阻害することがいまや見出された
ので、単独の活性成分として、またはシクロスポリン−Aもしくは他の類縁免疫
抑制薬例えばFK506もしくはラパマイシンと組合わせて使用することができる。
したがって同種移植片の拒絶反応を予防もしくは治療するため、従来の治療にIL
-10をつけ加えることは有利である。シクロスポリン−Aを含めて従来の治療法
では拒絶反応を予防できない患者には、IL-10が特に有用である。
IL-10は標準の治療法に比べてそれ以上の利点を提供する。例えばIL-10は、ご
く短期間投与すれば同種移植片拒絶反応を予防もしくは治療することができ、連
続して投与する必要がない。また以下に説明するように、本発明の発明者らは、
IL-10が、Tリンパ球によるIL-5の産生を阻害することを見出したのである。好
酸球はIL-5によって誘発されかついくつもの形態の移植片拒絶反応に関与してい
るので、移植実施時のIL-10の有利な作用は、IL-5の産生の阻害に関連している
。さらにIL-10は抗CD3 mAbと組合わせて用いることもできる。上記後者の組合わ
せでは、IL-10は抗CD3 mAbの免疫抑制作用を高め、しかもサイトカイ
ン放出に関連するその副作用を予防する。
IV−IL-10はTリンパ球によるIL-5の産生を阻害する:
IL-10は、TH2リンパ球が産生するサイトカインであるが、TH1サイトカイン類
の強力なインヒビターであると従来報告されてきた。IL-10がTH2サイトカイン類
のインヒビターであるという報告は今までなされていない。
驚くべきことには、本発明の発明者らは、T細胞内でのIL-10の阻害作用は、
これらの細胞によるTH1サイトカイン類の産生に対し特異的には作用せず、IL-10
は実際に、IL-5すなわちTH2リンパ球が一般に産生するサイトカインの産生を阻
害できることを見出したのである。末梢血液のT細胞を用いて得たこれらの結果
は、特に予想外であった。というのは、T細胞クローンでの類似の実験(人工産
物を提供できるTリンパ球の実験室モデル)の試験結果は、IL-10がIL-5の産生
を阻害しないことを示したからである(DE WAAL MALEFYTら,J.Immunol.,15
0巻、4754〜4865頁、1993年)。
また本発明の発明者らは、IL-10によるIL-5産生の阻害がTリンパ球の共刺激
に依存していることも見出した。実際には、IL-10は、T細胞がB7/CD28シグナリ
ングによって共刺激された場合にT細胞がIL-5を産生するのを阻害するが、T細
胞がPMAとA23187カルシウムイグノホアによって刺激された場合にT細胞がIL-5
を産生するのを阻害しない。
これらの観察結果は、Tリンパ球によるIL-5の過剰産生を伴う疾患を治療する
のにIL-10は価値があることを示し
ている。
IL-5は好酸球増加症に関連する疾患で重要な役割を演じているので、IL-10は
、(満足すべき治療法が全くない下記のような)好酸球増加症を治療するのに有
用である。このような疾患としては、例えば、アレルギー性鼻炎と気管支喘息を
含むアトピー性疾患;アトピー性皮膚炎などの好酸球の浸潤が関連する皮膚病(
慢性湿疹、多形紅斑、疱疹状皮膚炎、肥満細胞症、水疱性障害を含む);クロー
ン病;気管支肺アスルペルギルス症;スペイン毒性油症候群(spanish toxic oi
l syndrome);L−トリプトファン製剤で誘発される筋肉痛・好酸球増加症候群
;特定の医薬のアレルギー反応;熱帯好酸球増加症;ぜん虫感染症;シュルマン
(Schulman)症候群(好酸球性筋膜炎);チャーグ−ストラウス症候群などの好
酸球増加症を伴う血管炎(vasculitide);レフレル症候群;慢性好酸球性肺炎
;好酸球性胃腸炎;および過好酸球増加症候群がある。
これらの疾患の場合、rIL-10を、単独でまたはインターフェロンαもしくはイ
ンターフェロンγと組合わせて用いることが好ましい。また過好酸球増加症候群
は、肺が間質浸潤をもっていることが特徴であるから、IL-10を投与する適正な
ルートは、エアゾルを使用するルートおよびさきに述べたルートである。軟膏を
含む局所塗布剤も適切である。
また本発明の発明者らは、TH2リンパ球が産生する内因性IL-10が、これらの同
じ細胞がIL-5を産生するのを制御することも証明した。中和抗IL-10モノクロー
ナル抗体は
IL-5の放出を増大させる。したがって、本発明によれば、Tリンパ球からのIL-5
の産生が不充分な疾患を治療もしくは予防するのに、抗IL-10抗体を使用できる
。
本発明の各種の態様を下記の図面で示す。
図1:マウスのIL-10レトロウイルスベクターの構築。PBR322(pCO6-HX)中に
クローン化したハーベイマウス肉腫(Harvey murine sarcoma)ウイルス(Ha-Mu
SV)からプラスミドのpTG1H-MIL-10を導出した。v-rasHの全コーディング領域(
SacII-XhoI)を除去し次いでマウスIL-10 cDNAをコードする560bpのフラ
グメントで置換した。Ha-MuSVの配列は肉太線で示し、pBR322の配列は破線で示
す。制限エンドヌクレアーゼの部位は、HがHind III部位を示し、SがSac II部
位を示し、XがXho I部位を示し、BはBamHI部位を示す。黒四角印はIL-10の
コーディング配列を示し、白四角印はv-rasHのコーディング配列を示し、そして
網かけ四角印はHa-MuSV LTRを示す。
図2:以下のものを注射したBALB/cマウス(1群当り6〜21頭)の直腸温度
(平均値±SEM)の時間経過を示す。媒体のみ注射(○)、前処置なしでLPS注射
(100μg 静脈注射)(●)、1000UのIL-10で前処置した後にLPS注射
(100μg 静脈注射)(▽)または模擬トランスフェクトされた(mock-tra
nsfected)CHO-K1細胞由来の上澄み液で前処置した後にLPSを注射(100μg
静脈注射)(▼)。
図3:3群のBALB/cマウスに500μgのLPSを注射した後の致死率:
(●)前処置なしのマウス(n=15);
(▽)1000UのIL-10を腹腔内注射して前処置を行ったマウス(n=15
);
(▼)模擬トランスフェクトされたCHO-K1細胞由来の上澄み液を腹腔内注射し
て前処置したマウス(n=10)。
両側のp値はフィッシャーの直接法で求めた。
図4:抗CD3 mAbとB7/CD32トランスフェクタントによって活性化されたヒト休
止T細胞によるIL-5の産生のrIL-10による阻害。
図5:PMAおよび抗CD28 mAbによって刺激されたT細胞によるサイトカイン類
の分泌に対するrIL-10の影響。
図6:rIL-10を全身投与すると、同種細胞の皮下注射によって誘発される排液
リンパ節腫脹(draining lymph node enlargement)を阻害する。BALB/c(同系
)またはA/J(同種)のマウス由来の2.5×106の脾臓細胞を、BALB/cマウス
の右後足の肉趾に皮下注射した。同種細胞を受けているマウスには、0日目〜5
日目まで1日当り3回、1000UのrIL-10または対照の賦形剤を注射した。5
日目に、対照側の(controlateral)リンパ節との重量差(デルタmg)によっ
て右リンパ節の腫脹を測定した。*:同系注射に対してp<0.001で有意差
があることを示し、**は同種注射に対してp<0.05で有意差がありかつ同
種+対照の注射に対してp<0.01で有意差があることを示す。
実施例
実施例 1:これらの実施例に用いたIL-10のcDNAとベ
クター
特に断わらない限りこれらの実施例で用いたcDNAは下記のとおりである。
IL-10 cDNA:
mIL-10(マウスIL-10)cDNAのクローン化については実施例2、ならびに標
題が“Interleukin-10 reduces the release of tumor necrosis factor and pr
events lethality in experimental endotoxemia”のC.Gerardら、Journal of
Experimental Medicine,177巻、547〜550頁、1993年の文献に詳
細に記載されている。このcDNAの配列は、247位に位置する一つのヌクレオチ
ドが、本発明の発明者らが“C”であることを見出し国際特許願公開第WO 9
1/00349号に記載されている“T”ではないことを除いて、公表された配
列(国際特許願公開第WO 91/00349号、29頁、15〜26行)と同
一である。
hIL-10(ヒトIL-10)cDNAのクローン化は、標題が“Interleukin-10 inhibi
ts the induction of monocyte procoagulant activity by bacterial lipopoly
saccharide”のO.Pradierら、European Journal of Immunology、23巻、27
00〜2703頁、1993年の報告に記載されている。このcDNAの配列は公表
された配列(国際特許願公開第WO 91/00349号)と同一である。
VIL-10(ウイルスIL-10)DNA(Viera P.ら、P.N.A.S.,88巻、1172〜
1176頁、1991年)は、エプスタイン・バールウイルス(EBV)由来のウ
イルスIL-10
DNAの特定のオリゴヌクレオチドを用いてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を実施す
ることによってクローン化された。このPCRに用いられる標的DNAは、EBVに感染
した患者の末梢血液単核細胞から抽出した。
これらの実施例に用いられるベクター類は特に断わらない限り以下のとおりで
ある。
レトロウイルスのベクター:
マウスIL-10レトロウイルスベクターの構築法を図1に示したが、これはGerar
dら、J.Exp.Med.,177巻、547〜550頁、1993年にも記載されて
いる。
上記ベクターは上記のヒトIL-10 cDNAおよびウイルスIL-10 cDNAを挿入するの
に使用される。
第二のレトロウイルスベクター(pCO7-FX)は、ハーベイマウス肉腫ウイルス
およびフレンドマウス白血病ウイルスの両者の配列から誘導される。このベクタ
ーは、上記の第一のベクターに比べて高い発現と高いウイルス力価を達成できる
。それは、Feldmanら、Journal of Virology,63巻、5469〜5474頁、
1989年に報告されている。IL-10構造体(pTG2F- IL-10と呼称する)を構築
するため、IL-10 cDNAをpCO7-FXベクターのSac II部位とXhoI部位に挿入した。
バキュロウイルス系を用いて行うmIL-10とhIL-10の発現:
上記cDNAと同じcDNAを、市販されているpBlueBac2伝達ベクター(tramsfer ve
ctor)(Invitrogen社)のNhel BamHIのクローン化部位に挿入した。これらの
構造体中で、こ
れらのcDNAはポリヘドリンプロモーターの制御下にある。これらcDNAをトランス
フェクトすることによって、昆虫細胞に感染できる組換えウイルスが得られ、そ
の細胞から組換えIL-10を調製し精製した。
実施例 2:IL-10は、TNF-αの放出を減少させかつ実験的内毒素血症での致死
を防止する。
材料と方法
動物:KUL Proef Dieren Centrum(ベルギー、Leuven所在)から入手した10
〜15週齢のBALB/cマウスを用いた。
薬剤:イー・コリ(E.coli)(血清型055:B5)由来のLDSをSigma Chemical C
o.社(米国、ミズリー州、セントルイス所在)から入手した。JESS-2A5 mAbすな
わち中和ラット抗マウスIL-10 IgG1 mAbは、Tim Mosmann(カナダのエドモント
ン所在のアルバータ大学免疫学部)から入手した(9)。LO-DNP mAbすなわち対
照として用いられるラットIgG1抗体は、H.Bazin(ベルギー、ブリュッセル所在
のUniversite Catholique de Louvain)Experimental Immunology Unit)から入
手した。
マウス組換えIL-10:クローン化と発現
マウスIL-10 cDNAの特定のオリゴヌクレオチドをIL-10配列にしたがって合成
した(10)。制限部位は、サブクローニングを行うためそのオリゴヌクレオチ
ドの5′末端に含有させた。すなわちセンスプライマー5′−CTCCATCATGCCTGGC
TCA−3′(ヌクレオチド69〜87)に対するHincII/SacII部位とアンチセン
スプライマー5′−TACACA
CTGCAGGTGTTTTAGC−3′(ヌクレオチド608〜629)に対するSmal/XhoI部
位である。サイトカイン転写の非特異的刺激剤としてハムスター抗CD3 mAb 145-
2C11を注射したマウスの脾臓から、全RNAを調製した(11)。プライマーとし
てのアンチセンスオリゴヌクレオチド(1μg)、およびRT緩衝液〔50mM
KCl、20mMトリスHCl、pH8.3、2.5mM MgCl2、0.1mg/ml
のアセチル化BSA、2.5mMの各dNTP、RNasin 20U(米国、ウイスコンシ
ン州、マディソン所在のPromegaのCorp.社)〕中の200UのMo-MulV逆転写酵
素(RT)(Promega Corp.社)を最終容積20μlで用いて、1μgのRNAを逆
転写させた。得られた液に、同じ緩衝液中の2.5UのTaq DNAポリメラーゼお
よび1μgの各センス/アンチセンスプライマー(最終容積100μl)を添加
した。DNA熱サイクラー(DNA thermal cycler)(米国、コネティカット州、ノ
ーウォーク所在のPerkin-Elmer Cetus社)を用いPCRを35サイクル行った(1
サイクルは、94℃で1分間の変性、55℃で2分間のアニーリングおよび72
℃で3分間のエクステンションである)。560bpの予測された大きさのバンド
が得られた。増幅されたcDNAの特異性は、その制限パターンによって確認した。
また、配列の決定はジデオキシヌクレオチド連鎖終止法(12)にしたがって実
施した。322位、465〜468位、522位および523位のヌクレオチド
は公表されたもの(10)と異なっていたが、そのアミノ酸は変化していなかっ
た。マウスIL-10 cDNAを含有するSac II-XhoI制限フラグ
メントを、p21rasのコーディング配列の代わりに、ハーベイマウス肉腫ウイルス
由来のレトロウイルスベクターpCO6-HX中に挿入した。“pTG1H- mIL-10”と呼ば
れるこの構築体内では、IL-10 cDNAが唯一の機能遺伝子である。IL-10遺伝子を
全く挿入されていない類似のベクターを負の(模擬の)対照として使用した。高
レベルのIL-10を発現する細胞の個々のコロニーを得るため、pTG1H- mIL-10をプ
ラスミドpSV2-neoと共トランスフェクトされた(cotransfect)。なおこのプラ
スミドpSV2-neoは選択マーカーとしてネオマイシン耐性遺伝子を含有している。
キャリヤーDNAが存在しないことを除いて、改変リン酸カルシウム法を用いて、
トランスフェクションをCHO-K1(チャイニーズハムスター卵巣K1)細胞系に実施
した(14)。トランスフェクタントの選択は400μg/mlのG418(Geneti
cin;スコットランドのペイズリー所在のGibco社)を添加することによって開始
した。10日後、個々の耐性コロニーを単離し、特定のELISA法を用いてIL-10発
現について試験した(米国、カリフォルニア州、サンディエゴ所在のPharmingen
社)。IL-10濃度は、COS細胞の上澄み液(470U/ml)に発現された組換え
IL-10の標準曲線を参照して測定した(Pharmingen社)。高レベルのIL-10(20
0U/ml)を含有するコロニーを24時間培養した後あつめた上澄み液を、限
外濾過膜(米国、マサチューセッツ州、ダンバーズ所在のAmicon Corp.社)で、
5000U/IL-10/mlまで濃縮した。対照プラスミドとpSV2-neoでトランス
フェクトされたCHO-K1細胞由来の対照(模擬)上澄み
液を選択し収集し次いで同様に濃縮した。注射された製剤の内毒素含有量は1n
g/ml未満であった。
TNFの血清中レベルの測定。血液の試料を、眼窩後の穿刺によって、個々のマ
ウスから得た。TNFの血清中レベルは、アクチノマイシン−Dで処理したWEHI-16
4クローン13細胞について細胞毒性を検定することによって推定した(15)
。イー・コリ中に発現された組換えマウスTNFの標準化(英国、NBSB)製剤の細
胞毒性活性に関する試験結果をpg/ml単位で示した(16)。この製剤は比
生物活性が2.25×108IU/mgであった。なおこの1IUは約4pgの
マウスTNFを表す。IL-10は、この生物検定法を阻害していないことが見出された
。
実験のプロトコル。マウスに、CHO-IL-10または模擬上澄み液を腹腔内投与し
てから30分後に100μgのLPSを静脈注射した。LPSによる攻撃を行ってから
1.5時間後、3時間後および6時間後にTNFの血清中レベルを測定し、一方直
腸温度を、一定の時間間隔をおいてディジタル温度計で測定した。他の系列の試
験で、500μgのLPSを一回投与することによって誘発される致死に対するIL-
10の作用を評価した。
統計学。TNFのレベルと温度をマン−ホイットニーのU検定法を使用して比較
した。死亡率のデータはフィッシャーの直接法で分析した。
試験結果と考察
LPSで誘発されるTNFの放出に対する、IL-10の投与の生体内作用を評価するた
め、3種の投与量のIL-10(10
,100または1000U)を腹腔内に投与してから30分後に100μgのLP
Sを静脈注射した。今までの試験で、LPSで攻撃を行ってから1.5時間後にTNF
のレベルがピークに達することが分かっていたので、血液試料はその時点で採取
した(17)。IL-10で前処理すると、LPSで攻撃を行った後に血液循環で放出さ
れたTNFの量は、表1に示すように、有意に減少した。なお表1には類似の結果
を与えた3回の実験のうちの一つの結果を示す。IL-10のこの生体内の作用は、
10Uのような低い投与量の場合でもすでに観察された(対照の媒体で前処置し
た後にLPSを投与した場合に比べてp<0.01で観察された)。1000Uが
一層顕著で再現可能な活性を有していたので、この投与量をその後の試験を行う
のに選択した。IL-10製剤の作用の特異性を、模擬トランスフェクトされたCHO-K
1細胞由来の上澄み液でマウスを前処置することによって評価した。表1に示す
ように、この対照製剤はTNFの放出に対し全く影響しなかった。血清中のTNFのレ
ベルは、すべての群のマウスについて、LPSによる攻撃を行ってから3時間後に
ベースラインの値まで戻った。このことはIL-10がTNFの放出を単に遅らせたので
はないことを示している(表1)。
BALB/cマウス(各群n=5)に指定投与量のIL-10を腹腔内投与してから30
分後に100μgのLPSを投与した。対照として、CHO-K1細胞を培養するのに用
いた媒体または模擬上澄み液でマウスを前処置した。生物活性TNFの血清中レベ
ル(平均値±SEM)を、LPSによる攻撃を行ってから1.5時間後と3時間後に測
定した。
*,**および***はそれぞれ、対照の媒体または模擬の上澄み液で前処置
した後LPSで攻撃したマウスに比べてp<0.01、p<0.05およびp<0
.005で有意差があることを示す。
LPSで誘発される毒性に対するIL-10の効果を生体内で評価する第一の方法とし
て、100μgのLPSで攻撃して
から24時間、直腸温度を監視した。実際に、LPSは、TNFの放出に恐らく関連し
ている著しい低体温を起こした(18)。図2に示すデータは、IL-10による前
処置によって、LPSが誘発する低体温が有効に防止されたが(LPSだけで処置した
場合、または模擬上澄み液によって前処置した後にLPSによる処置を行った場合
に比べて4時間後でp<0.0001で有意差があり6時間後にはp<0.00
5で有意差がある)、一方、模擬トランスフェクトされたCHO-K1細胞由来の対照
上澄み液には有意な作用がなかった。100μgのLPSを、単独でまたは模擬上
澄み液で前処置した後に注射した動物の低体温からの回復にはかなりの変動がみ
られた。CHO-IL-10上澄み液で前処置を行った後観察された効果に対する特異性
の追加の対照として、中和抗マウスIL-10 JESS-2A5 mAbまたは対照のラットIgG1
LO-DNP mAbを1mgIL-10製剤に添加した。この抗IL-10は、低体温に対するIL
-10の防護作用を完全に阻害したが対照のラット mAbは全く効果がなかった。
LPSで誘発される致死に対する、IL-10による前処置の効果を評価するため、マ
ウスを500μgのLPSで攻撃した。なおこのLPS投与量は、72時間以内に実験
動物の50%が死亡する量である。1000UのIL-10で前処置されたマウスは
すべて、LPSの注射後も生き続けたが、一方、模擬トランスフェクトされたCHO-K
1細胞由来の上澄み液で前処置した場合、LPSで誘発される致死は変化しなかった
(図3)。
要約すると、これらのデータは、IL-10で前処置すると
、内毒素ショックのマウスモデルにおけるLPSの毒性が防止されることを示して
いる。IL-10の有益な作用は、少なくとも一部分はTNFの合成または放出を減少さ
せることによるものであろう。実際に、LPSで誘発される致死に対する同じレベ
ルの防護が、中和抗TNF抗体を使用することによって得られている(2〜5)。I
L-10は、敗血症性ショックの発生に関与する他の単球/マクロファージ由来のサ
イトカイン類、特にIL-1の合成および/または放出も阻害または防止できるとい
うことを生体外のデータが示唆している(1,6,19,20)。
したがってIL-10は、抗TNF mAb(2〜5)、IL-1受容体拮抗剤(21〜23)
、分化因子/白血病阻害因子(24)およびG-CSF(25)をすでに含んでいる
、敗血症性ショックの予防および/または治療のための可能性がある免疫介入法
(immunointervention strategy)に付け加えることができる。IL-10はマクロフ
ァージを失活させる作用があるので、IL-10による治療は特に興味深く、これら
の他の生物学的薬剤のいくつかと組合わせることができる。
実施例 3:前血栓状態(prothrombotic state)でのIL-10の使用:単球の凝血
促進活性の阻害。
LPSは、主として単球および内皮細胞に組織因子(TF)を発現させることによ
って凝血促進活性(PCA)の発現を誘発することが知られている。またTNFもしく
はインターロイキン−1(IL-1)のような炎症メディエイター、およびLPSも、
内皮細胞にTFを発現させることができる。したがってIL-10のこの前血栓機構に
対する作用を、培養したヒト
左静脈細胞(HUVEC)および末梢血液単核細胞(PBMC)を用いて試験した。
LPS(1μg/ml)によって単球に誘発されるPCAとTFの発現は、ヒト組換え
IL-10(1〜2.5U/ml)を、LPSを添加する前に、PBMCとともに一夜、前イ
ンキュベートしたところ80%以上中和された。最高にPCAを阻害するには、単
球をIL-10とともに少なくとも6時間、前インキュベートすることが必要であっ
た。ECによる、LPS誘発組織因子の発現に対するIL-10の影響は全く認められなか
った。
ヒト組換え IL-10(hIL-10)は以下のようにして得た。抗CD3モノクローナル
抗体すなわちOKT3によって生体外で刺激されたヒトPBMC由来の全RNAを単離し、
次いでMo-MuLV逆転写酵素を用いて逆転写させた。ヒトIL-10 cDNAに対して特異
的なオリゴヌクレオチド:センスプライマーの5′−AAGGCATGCACAGCTCAGCACTGC
TC-3′(ヌクレオチド26〜51)およびアンチセンスプライマー5′−CCACC
CTGATGTCTCAGTTTCGTATC-3′(ヌクレオチド555〜580)を用いてポリメラ
ーゼ連鎖反応(PCR)を実施した。554の予想された大きさと予想された制限
パターンを有するPCR生成物を、レトロウイルスのベクター中にクローン化し、
次いでネオマイシン耐性遺伝子を含有するプラスミドpSV2-neoによって、CHO-K1
細胞に共トランスフェクトさせた。選択培地(400μg/ml G418)中
に入れて10日経過後、個々の耐性コロニーを単離し、24時間培養した後に集
めたこれらコロニーの上澄み液を、OKT3で
誘発される、ヒトPBMCによるIFN-γの産生を阻害する性能について試験した。
対照のプラスミドおよびpSV2-neoでトランスフェクトされたCHO-K1細胞由来の
対照(模擬)上澄み液を選択し同様に収集した。
細菌LPS。イー・コリ055.B5由来のLPSをSigma社(米国、ミズーリ州、セ
ントルイス)から入手した。
末梢血液の単核細胞(PBMC)の単離:
クエン酸リン酸デキストロースアデニン(citrate phosphate dextrose adeni
ne)(CPDA)によって凝血を防止された血液から、健康なボランティアー由来の
PBMCを調製した。Ficoll Hypaque gradient上にバフィコートを遠心分離し、続
いてカルシウムとマグネシウムなしのハンクスの平衡塩類溶液(HBSS)で洗浄し
た後、Hepes(20mM)、グルタミンおよび10%うし胎仔血清(FCS)で補充
したRPMI1640からなる1mlの培地でPBMCを3×106/mlで培養した。最終
のPBMC製剤は一般に、STK-S細胞カウンターおよびMay Gruenwald Giemsa染色法
を用いる細胞同定法で推定して、22%〜30%の単球、70%〜78%のリン
パ球、1%未満の好中球および1ml当り20000未満の血小板を含有してい
た。すべての薬剤と培地は、Limulus Amoebocytes Lysate assayを用いて測定し
た結果、10pg/ml未満の内毒素を含有していた。
内皮細胞の調製:
ヒトの臍静脈内皮細胞(HUVEC)を、20%の収集ヒト血清、必須アミノ酸、
内皮細胞成長因子(ECGF-40μg/m
l)、ヘパリン(100μg/ml)、ペニシリンおよびストレプトマイシンで
補充したM199培地を用いて培養した。その第二継代由来の細胞を96ウエル
のプレートに移し、ECGFとヘパリンなしの培地で24時間培養後、集めて(at c
onfluence)用いた。
凝血促進活性(PCA)の検定:
1μg/mgのLPSで6時間刺激されたPBMCの表面のPCAを単一段階凝血検定法
(single stage clotting assay)で測定した。PBMC懸濁液中の単球の数は5×
105単球/mlに調節した。次にこの細胞懸濁液を100μlの25mM CaC
l2とともに1分間インキュベートした後、プールしクエン酸塩を添加した正常血
漿100μl添加することによって凝血を開始させた。凝血時間をKC10装置で記
録し、次に市販のトロンボプラスチンを段階希釈することによって得た標準曲線
に内挿してPCAのU/ml値を得た。1Uは正常な凝血時間12.4秒を示すト
ロンボプラスチンの量に相当する。PCAにおける組織因子/VII因子の経路の役割
を測定するため、正常ヒト血漿を、いくつかの試験では、VII因子不足血漿、も
しくは12D10(中和マウス抗VII因子MoAb)とともに30分間プレインキュベート
された正常血漿で置換するか;またはこれら細胞を中和マウスIgG1抗組織因子Mo
Ab(4507)とともにインキュベートした。
HUVECの表面に誘発されたPCA:
このPCAは10μg/mlのLPSとともに6時間インキュベートした後に測定し
た。要約すると、カルシウム(1
00μlの30mM CaCl2、37℃で2分間)、クエン酸塩を添加した正常ヒ
ト血漿(37℃で45秒間)および色素原基質(S2238、0.7mM、10
0μl、37℃で20分間)を順に加えた後、HUVECの表面に生成するトロンビ
ンを測定した。反応を酢酸(50μl)で停止させ、405mmで吸光度を読み
取った。この系で生成したトロンビンの量は、精製トロンビンで得た標準曲線を
用いて計算し、1×105HUVEC当りの値で示した。
組織因子発現に関するフローサイトメトリーによる分析
培養されたPBMCの表面におけるTF分子の発現を、フルオレセインで標識をつけ
たマウスIgG1抗組織因子MoAbでステインした後、フローサイトメトリーで定量し
た。培養後、細胞を、0.5%BSAで補充したPBSで洗浄し、6×105の細胞を
、抗組織因子MoAb、または対照として、関連がないIgG1 MoAbとともに4℃で1
時間インキュベートした。洗浄し、1%のホルマリンで固定した後、細胞をFACS
canフローサイトメーターで分析した。側方散乱および前方光散乱の性質を利用
して単球をゲート(gate)させた。このゲートで、70%を超える細胞がTF抗原
を発現し、TF抗原を有する細胞の95%がCD14分子を同時に発現する。既知量の
フルオレセインでコートしたフローサイトメトリー標準化微細ビーズを用いて、
可溶性蛍光の平均当量(mean equivalents of soluble fluorescence)(MESF)
を測定できる校正曲線を作成した。
逆PCRによる組織因子mRNAの発現の測定。
試験結果
IL-10はPBMC上にLPSで誘発されるPCAを阻害する:
PBMCを1μg/mlのLPSとともにインキュベートすると、高レベルのPCAが出
現する。予備試験によって、PBMC上にLPSで誘発されるPCAは6時間後にピークに
達することが確認された。したがってこのインキュベーション時間を以後の試験
に選択した。凝血検定にVII因子不足血漿を用いたところPCAは全く現れなかった
。さらに、正常血漿について観察されるPCAは、PCA検定を行う前に、細胞に、中
和抗組織因子MoAbを添加しかつインジケーターの血漿を抗VII因子MoAbとともに
プレインキュベートすることによって、90%以上阻害することができたが、こ
のことはこの場合にPCAが増大するのは組織因子に起因していることを示してい
る。したがって本発明の発明者らは、PBMCをIL-10とともに一夜(18時間)プ
レインキュベートした後、LPSで6時間刺激してPCAを測定した。その結果、PCA
は投与量に依存して低下し、1.5〜2.5U/mlのIL-10によって、各種の
試験で75〜90%の範囲の最大阻害率が達成された。このことは、トリパンブ
ルーによる色素排除試験によって測定された細胞生存率が培養後90%を超えた
ので、IL-10上澄み液の毒作用によるものではなかった。模擬トランスフェクト
されたCHO細胞由来の対照上澄み液は、LPSで誘発されるPCAに有意な作用をしな
い。PBMCをIL-10のみとプレインキュベートした場合、基本的なPCAを減少させな
いかまたはいくつかの試験では基本的なPCAをかなり減少させた。
IL-10は、単球上にLPSで誘発される組織因子の発現を阻害する:
LPSとともに6時間インキュベートされたPBMCはその表面に多量の組織因子を
示す。TFステイニング(TF staining)について陽性であるほとんどすべての細
胞は、大きさと前方散乱特性、および抗CD14 MoAbによる二重染色試験によって
示した場合単球であった。細胞は、イソタイプが適合しかつフルオレセインで標
識をつけた対照MoAbでは全くステインされなかったので、上記ステイニングは特
異的なものであった。PBMCをIL-10と一夜インキュベートしてからLPSを添加する
と、単球上で増加する組織因子の発現をほぼ完全に防止した。この現象の投与量
に対する反応はIL-10によるPCAの阻害のそれに対して密接に対応していた。
LPSで誘発されるPCAおよびPBMC上へのTF発現をIL-10によって阻害するにはプ
レインキュベーションが必要である:
上記の試験では、IL-10をPBMCとともに18時間インキュベートしてから6時
間後にLPSで攻撃した。IL-10とともに6〜24時間インキュベートしてからLPS
を添加しても、PCAおよび単球上でのTFの発現が最適に防止される。プレインキ
ュベーションを3時間および1.5時間まで短くしたところIL-10の阻害作用は
着実に低下した。IL-10をLPSとともに添加した場合、PCAもしくはTFの発現を全
く阻害しないか、最小の阻害率(<20%)しか得られなかった。
IL-10は、内皮細胞上に、LPSが誘発するPCAを阻害できない:
表1に示すように、HUVECをLPSとともに6時間インキュベートすると、PCAな
らびにHUVECの膜上にトロンビンを生成する性能が大きく誘発される。投与量の
範囲が0.2〜20U/mlでかつプレインキュベーション時間が0〜18時間
でIL-10をHUVECに添加した場合、LPSによって誘発されるPCAまたはトロンビンの
生成は変化しなかった。
これらの試験結果は、LPSによって誘発される単球の凝血促進活性をhIL-10が
阻害することを示している。炎症メディエータの放出を抑制するhIL-10の性能に
関連するこの直接の抗凝血作用は、hIL-10を外部から投与する方法は敗血症性シ
ョックに対する新しい治療法になりうることを示唆している。
実施例 4:インターロイキン−10は、サイトカイン類の放出を調節し、かつ
マウス内で抗CD3モノクローナル抗体で誘発されるショック症候群を減少させる
。
IL-10は、活性化されたTH1細胞およびマクロファージによるインターフェロン
−γとTNF−αの分泌を減少させる。それ故、サイトカインの放出ならびに抗CD3
モノクローナル抗体を活性化することによって誘発される毒性を阻害するIL-10
の性能を試験した。
組換えヒトIL-10(hIL-10)を、OKT3によって生体外で刺激されたPBMCに添加
した。未刺激PBMCおよびOKT3で刺激されたPBMCはそれぞれ150pg/mlと8
000pg/
mlのTNF−α(IRMAで測定)を含有していた。hIL-10は、投与量に依存する方
式でTNF−αの分泌を減少させた。最高濃度のhIL-10でTNF分泌の阻害率は85%
であった。またhIL-10は、OKT3によって誘発されるINF-γの放出を90%を超え
て抑制できた。
抗マウスCD3の145-2C11 mAbを10μg、生体内注射することによってBALB/c
マウス内に誘発させたTNF−αの放出と低体温に対する、組換えマウスIL-10(mI
L-10)の作用も試験した。TNF−αの血清中レベルは、145-2C11 mAbを注射する
と90分後に、検出不能(<50 IU/ml)から795±150IU/ml
(平均値±SEM)まで上昇した。1000UのmIL-10を腹腔内に投与してから3
0分後に抗CD3で攻撃すると、TNF−αの血清中レベルを有意に減少させることが
できた(145-2C11だけを注射したマウスに比べてp<0.05にて90分後に3
27±36IU/ml)。並行して、抗CD3を注射してから8時間後に観察した
5.8±1.5℃という直腸温度の低下(平均値±SEM)はmIL-10で前処置を行
うことによって1.2±0.4℃まで小さくなった(p<0.05)。
材料と方法
モノクローナル抗体と組換えマウスIL-10:
マウスCD3複合体に対するハムスターmAb 145-2C11をヌードマウスの腹水とし
て産生させた。中和抗マウスIL-10 mAb JES5-2A5は、T.Mosmann博士(カナダ、
エドモントン所在のアルバータ大学)から贈呈されたものである。マウス組換え
IL-10(mIL-10)は、先に述べたように、対
応するcDNAで安定にトランスフェクトされたCHO-K1細胞由来の培養上澄み液とし
て得た。模擬トランスフェクトされた細胞から収集した上澄み液を対照として使
用した。上記のmAb製剤とCHO-K1細胞上澄み液の内毒素のレベルは、Limulus amo
ebocyte lysate assayで測定したところ1ng/ml未満であった。
組換えヒトIL-10のクローン化と発現:
実施例2に記載したのと同じ。
リンホカインの検定:
TNFの血清中レベルは実施例1の方法にしたがって測定した。IFN-γは、Db-1
およびF1のラット抗マウスIFN-γ mAbを用いて2部位(two site)ELISA法によ
って定量した。IL-10の血清中レベルは、Pharmingen社から購入したJES5-2A5お
よびSXCl mAbを用いてELISA法で測定した。IL-6の血清中レベルは、IL-6依存性7
TD1細胞系およびヘキソサミニダーゼ法を用いて測定した。TNF、IFN-γ、IL-10
およびIL-6の検出下限はそれぞれ2U/ml、5U/ml、2U/mlおよび5
pg/mlであった。
試験のプロトコル:
マウスに、1000UmIL-10または模擬上澄み液200μlを腹腔内投与し、
30分後に10μgの145-2C11 mAbを静脈注射した。IL-10のこの投与量は、内
毒素血症のモデルで最適であることがすでに見出されていたので選択した。直腸
温度は、続く24時間にわたってディジタル温度計で監視した。血液試料は、抗
CD3 mAbを注射してからいくつもの時点で眼窩後の穿刺によって採取し、サイト
カインの血清中レベルを測定するのに用いた。グルコースの血中レベルは、Gluc
ostixのストリップおよびGlucometerIIMで、標準の微量法を用いて4時間の時
点で測定した。抗CD3 mAb毒性の致死モデルでmIL-10の作用を測定するため、1
0mgのD−ガラクトサミンをマウスに腹腔内注射してから90分後に200μ
gの該mAbを投与することによってマウスを感作した。いくつかの試験では、シ
クロスポリンA(CsA)を腹腔内に注射(各投与当り50mg/kg)してから
18時間後と3時間後に抗CD3で攻撃した。サイトカイン類の全身放出を阻害す
るのを示すプロトコルは先に述べた。
統計学:
グループ間の比較は、フィッシャーの片側直接検定法で分析した死亡率データ
を除いてスチューデント検定法を用いて行った。
試験結果
mIL-10は、145-2C11 mAbを注射した後のIFN-γとTNFの全身放出を阻害する
がこの注射後のIL-6の全身放出を阻害しない:
10μgの145-2C11 mAbをBALB/cマウスに静脈注射したところ血清中への大量
のIFN-γとTNFの放出が誘発されそれぞれ4時間と90分の時点でピークを示し
た。1000UのmIL-10を投与してから30分後に145-2C11 mAbを注射すると、
応答の動力学に影響することなく、IFN-γの放出をほとんど完全に阻害しかつTN
Fの誘発を有意に減少させた。mIL-10による前処置は、IFN-γとTNFに対する
その阻害作用とは対照的に、145-2C11 mAbによるIL-6の生体内誘発に有意に作用
しなかった。mIL-10と同じタイミングで投与された、模擬トランスフェクトCHO-
K1細胞の上澄み液によってIFN-γとTNFの放出は変化しなかったが、これはIL-10
製剤によって観察された作用の特異性を示している。さらに、145-2C11 mAbで刺
激された脾臓細胞によるIFN-γの生体外産生に対するこの製剤の活性は、JES5-2
A5抗IL-10 mAbによって完全に中和された。
hIL-10は、145-2C11 mAbによって誘発される、IFN-γとIL-10の放出を特異
的に調節する:
抗CD3 mAbがIL-10の生体内での分泌を誘発することが最近観察されたので、外
因性IL-10による前処置のこのサイトカインの放出に対する作用を測定した。内
因性IL-10の測定に対する、注射されるIL-10の干渉を避けるために、これらの実
験は、ELISA法では検出できずかつELISA法でmIL-10に干渉しないhIL-10で行った
。本発明の発明者らは第一に、hIL-10は、145-2C11 mAbによって誘発される生体
内でのIFN-γとTNFの放出を有意に遮断したので、hIL-10がマウス系内で生物学
的に活性であることを示すデータを確認した。同じ試験において、145-2C11 mAb
を注射してから4時間後のIL-10の血清中ピークレベルで評価したところ、hIL-1
0による前処置によってIL-10の内因性放出は減少しなかった。IL-10の阻害作用
に対するIL-10の抵抗性は、IFN-γ、TNFおよびIL-10の放出を等しく遮断したCsA
作用と比べて対称的である。
mIL-10は145-2C11 mAbの急性毒性を低下させる:
すでに報告されているように、低体温症と低血糖症は、145-2C11 mAbによって
誘発されるショック症候群の鋭敏なパラメータである。本発明の発明者らは、14
5-2C11 mAbの注射に続いて起こる直腸温度の降下をIL-10が有意に減少させるこ
とを見出したのである。対照試験は、模擬上澄み液で前処置を行ったマウスは抗
CD3で誘発される低体温症に対して防護されないことを示した(6時間の時点で
の平均値±SEM:145-2C11 mAbのみを注射したマウスの場合32.5±0.8℃
であるのに対し31.6±1.8℃であった。P=NS)。一方、145-2C11 mAb
の注射に続いて起こる低血糖症はmIL-10による前処置で変化しなかった。
さらに、IL-10の防護性の可能性をD-Galで感作されたマウスで得た致死モデル
で試験したところ、D-Galで感作されたマウスの30%が145-2C11 mAbの注射後
に死に、そしてmIL-10で前処置されたマウスではその死亡率が5%まで低下した
。
これらの試験結果は、サイトカインの放出および抗CD3mAbによって誘発される
生体内毒性がIL-10によって低下することを示している。
実施例 5:ヒト休止T細胞によるB7/CD28依存性IL-5産生はIL-10によって阻害
される。
この実施例は、末梢血液から単離されたヒト休止T細胞によるIL-5産生に対す
るrIL-10の作用を示す。B7/CD32でトランスフェクトされたマウスの線維芽細胞
に架橋された抗CD3 mAbまたは抗CD28 mAbとともにp.m.Aによって活
性化されたT細胞中に投与量依存方式でIL-5が産生されるのを、IL-10が阻害す
ることが見出された。
材料と方法
試薬:
ヒトIL-10(rIL-10)を、すでに報告されているIL-10cDNAクローン(Pradier
,O.;C.Gerard,A.;Delvaux;M.Lybin;D.Abramowicz;P.Capel;T.Velu
およびM.Goldman,Eur.J.Immunol.,23巻、2700頁、1993年)を
用いてバキュロウイルス系中に発現させた。そのIL-10製剤をイオン分離クロマ
トグラフィー続いてゲル濾過法で半精製を行った。いくつもの試験で、本発明の
発明者らは、この製剤の活性が市販のrIL-10の活性に類似していることを証明し
た。
トランスフェクタントの細胞系:
ヒトCD32(FcγRII)を単独でまたはB7/BB1抗原(B7と呼称する)とともに発
現するマウス線維芽細胞系3T6を入手し培養して保持した。トランスフェクトさ
れた細胞を、10μg/mlのマイトマイシン−Cとともに5時間インキュベー
トし、3回洗浄し、次いでT細胞とともにコカルチャー(coculture)で使用し
た。
末梢血液からの休止T細胞の単離:
Lymphoprep上に密度勾配遠心分離法で健康なドナーのバフィーコートから全PB
MCを単離した。ハンクスの平衡塩類溶液(HBSS)で3回洗浄した後、細胞を、2
mMのL−グルタミン、ゲンタマイシン(20μg/ml)および10%
FCSを補充した組織培養培地RPMI1640中に再懸濁させた。Tリンパ球を、1
サイクルのLymphokwik-T処理法を用いて精製した。そのTリンパ球をさらに、抗
CD56、抗CD19、抗DR、抗CD14および抗CD11bのmAbとともに4℃で30分間インキ
ュベートし、洗浄し次いでヤギ抗マウスIgGをコートした磁性ビーズとともにイ
ンキュベートした。4℃で1時間インキュベートした後、未コートの細胞を磁石
を用いて除いた。得られたT細胞製剤は、98%を超えるCD3+ CD28+ DR-のT
細胞を含有していたが検出可能なCD14+単球は含有していなかった。いくつかの
実験では、CD4+Tリンパ球を、抗CD8でコートしたDynabeadを用い磁気免疫減少
法(magnetic immunodepletion)でさらに精製した。
T細胞の刺激:
PLA(1ng/ml)およびA23187(0.1μg/ml);またはPMA(
1ng/ml)および抗CD28 mAb(1μg/ml);またはCD32もしくはB7/CD3
2でトランスフェクトされた線維芽細胞(104細胞/ウエル)に架橋された抗CD
3 mAb(100ng/ml);またはホルボール12−ミリステート13−アセ
テート(PMA、1ng/ml)、およびB7/CD32でトランスフェクトされた線維芽
細胞(104細胞/ウエル)が、全容積20μlで入っている平底96ウエルプ
レート中で、休止T細胞を37℃、5%CO2雰囲気下でインキュベートした。T
細胞は、この実験ではトランスフェクタント細胞を用いて2.155/ウエルで
接種し、他の条件では1.105/ウエルで接種した。各種のインキュベーショ
ン時間の後、培養物の
上澄み液を集め、サイトカイン測定の検定を行うまで−20℃で貯蔵した。
培養物上澄み液中のサイトカインのレベルの測定:
下記の抗ヒトIL-5 mAbすなわちコーティングmAbとしてのH3Oラット抗ヒトIL-
5 mAb IgG2bおよび第二mAbとしてのmAb7マウス抗ヒトIL-5 mAb IgG1を用いて
、サンドイッチELISA法によって、IL-5のレベルを測定した。予備実験で、本発
明の発明者らは、rIL-10が、rIL-5の免疫酵素検出法に干渉しないことを確認し
た。IL-2とIFN-γを測定するのに市販のキットを使用した。検出の下限は、IL-5
については10pg/ml、IL-2については1IU/mlおよびIFN-γについて
は10U/mlであった。
IL-5遺伝子の発現のPCR分析:
精製T細胞由来のRNAを、グアニジウムチオシアネート法を用いて抽出し、そ
して逆PCR法によって、IL-5のmRNAおよびヒポキサンチンホスホリボシルトラン
スフエラーゼ(hprt)のmRNAについて分析した。要約すると、モロニーのマウス
白血病ウイルス(MoMuLV)の逆転写酵素(200U/検定)を用いて1μgのRN
Aを逆転写した。得られたcDNAを32サイクルのPCRに付した。各サイクルは、9
3℃で1分間、53℃で2分間および70℃で3分間実施した。IL-5とHPRTのプ
ライマーは、ヒトcDNAの配列にしたがって合成した。IL-5については、5′セン
スプライマーは5′−GCTTCTGCATTTGAGTTTGCTAGCT−3′であり、3′アンチセ
ンスプライマーは5′−TGGCCGTCAATGTATTTCTTTATTAAG−3′であった、これら
のプライマーを用いてPCR増
幅を行ったところmRNA特異的の291bpのフラグメントが得られた(16)。
試験結果
CD28/B7シグナリングによって共刺激された休止T細胞は高レベルのIL-5を分
泌する:
B7分子によって与えられる共刺激は、抗CD3 mAbに対するヒト休止T細胞の応
答を劇的に高めることが知られている(Annu. Rev.Immunol.,11巻,191
頁,1993年に概説されている、Linsley P.S.とJ.A.Ledbetterの報告“t
he role of the CD28 receptor during T cell responses to antigen)。B7/CD
32でトランスフェクトされた線維芽細胞(B7/CD32トランスフェクタント)の存
在下、抗CD3 mAbで刺激された休止T細胞によるIL-5の産生を、CD32だけを発現
するトランスフェクトされた線維芽細胞(CD32トランスフェクタント)を対照と
して用いて評価した。CD32分子(FcγR II)は、TCR/CD3複合体を有効に架橋す
るのに必要なmAbをトランスフェクタントに結合させることができる。IL-5は、C
D32だけでトランスフェクトされた細胞の存在下では検出できなかったが、B7/CD
32トランスフェクタントを共刺激を行うのに使用すると著しいレベルのIL-5がIL
-2とともに産生された。IL-2のピークレベルは24時間の時点で検出され、一方
IL-5の最大レベルは48時間の時点で達成された。TCR/CD3のエンゲージメント
(engagement)がIL-5の誘発に必要か否かを決定するため、T細胞を、PMAおよ
びB7/CD32トランスフェクタン
トまたは抗CD28 mAbで剌激した。IL-5は両方の系で産生されたが、PMAのみでは
多量のサイトカインの分泌を誘発するのに非効率的であった。興味深いことには
、PMAとカルシウムイオノホアA23187に対し応答して産生するIL-5の量は
、PMAとB7/CD28シグナリングに対し応答して産生する量より常にはるかに低かっ
た。これらの系でも、IL-5の最大レベルは、24時間の時点より48時間の時点
の方が高かったが、IL-2は24時間の時点で最大であった。抗CD3 mAbまたはPMA
およびB7/CD28シグナリングで刺激した休止T細胞によるIL-5の産生が7名の異
なるドナーによる七つの独立の試験で観察された。予想どおりに、CD8+細胞の
減少はIL-5の産生には影響しなかったので、CD4+細胞がIL-5の主な起源であっ
た。
rIL-10は、B7/CD28シグナリングによって共刺激されたヒト休止T細胞によるI
L-5の産生を阻害する:
IL-5の産生に対するrIL-10の作用を、第一に、B7/CD32トランスフェクタント
を組合せた抗CD3 mAbに基づいた活性化系で分析した。図4に示すように、rIL-1
0は、この条件下でIL-5の産生を投与量に依存する方式で阻害した。平行して、
本発明の発明者らは、rIL-10が、精製T細胞によるIL-2の産生を阻害するがIFN-
γの産生を阻害しないことを示す以前のデータを確認した。対照試験では、rIL-
10は、トランスフェクトされた線維芽細胞によるB7の発現または精製T細胞によ
るCD28の発現をいずれも変化させなかった。IL-2は、他の系ではIL-5の誘発に関
与していることが分かっていたので、rIL-10のIL-5に対する作用がIL-2の阻
害によるものではないことが確認された。実際に、外因性rIL-2を1000U/
mlまで添加しても、IL-5の分泌のrIL-10による阻害は変化しないことが見出さ
れた。さらに本発明の発明者らは、rIL-10より一層有効にIL-2の分泌を阻害する
シクロスポリンA(CsA)が、IL-5の分泌を減少させず有意に高めさえすること
を観察した。
PMAおよび抗CD28 mAbで刺激されたT細胞によるサイトカイン類の分泌に対す
るrIL-10の影響も評価した。図5に示すように、rIL-10は、この条件下でのIL-5
の産生を投与量に依存する方式で阻害した。IL-2も阻害されたがIL-5の場合より
効果が低く、一方IFN-γの分泌はrIL-10によって影響を受けなかった(図5)。
上記のデータとともに、これらの試験結果は、IL-5の分泌に対するrIL-10の作用
は、休止T細胞がB7/CD28シグナリングで共刺激されている場合、休止T細胞がT
CR/CD3エンゲージメントによってまたはPMAで活性化されているにかかわらず事
実上同一であることを示している。
rIL-10は、PMAと抗CD28 mAbで活性化されたT細胞中へのIL-5 mRNAの蓄積を減
少させる:
IL-10がIL-5遺伝子の発現に干渉したか否かを確認するため、休止T細胞を、r
IL-10(50U/ml)の存在下または非存在下、PMAと抗CD28 mAbで24時間刺
激した後IL-5 mRNAを逆PCRによって分析した。rIL-10は明らかにIL-5 mRNAの蓄
積を阻害したが、HPRTハウスキーピング遺伝子の発現に対する検出可能な作用は
全くなかった。
rIL-10は、PMAおよびA23187カルシウムイオノホ
アに応答して行われるIL-5産生を阻害しない:
これらの試験では、PMAと抗CD28 mAbまたはPMAとA232187カルシウムイ
オノホアで刺激されたT細胞によるIL-5の産生に対するIL-10の作用を比較した
。健康な個体由来のT細胞は、上記の後者の条件下では比較的低レベルのIL-5を
産生したので、上記の両方の刺激条件下で高レベルのIL-5を分泌した、オーメン
症候群(過好酸球増加症を伴う重症複合型免疫不全)の患者由来の細胞もこの分
析に含めた。実際に、この患者のCD4+細胞が分泌するサイトカイン類のプロフ
ィルはTH2様のプロフィルに一致している。健康な個体およびオーメン症候群の
患者の両者の場合、rIL-10は、PMA+A23187によって誘発されるIL-5の産
生を低下させずむしろ高めた。これに対して、rIL-10は、PMA+抗CD28 mAbに応
答して産生されるIL-5のレベルを劇的に減少させた。阻害度は、健康な個体とオ
ーメン症候群の患者の場合、類似していた(約70%)。
内因性IL-10は、休止T細胞によるIL-5の産生をダウンレギュレートする:
末梢血液T細胞は活性化されるとIL-10を分泌することが知られているので、
内因的に産生されたIL-10のIL-5分泌に対する影響を調べた。IL-10 mAbを中和す
るのに用いられるmAbは、CD32を捕捉するため、B7/CD32トランスフェクタントに
対する抗CD3 mAbの架橋結合に干渉するから、この試験は、PMAと抗CD28 mAbで活
性化されたT細胞について実施した。実施した3回の実験で、抗IL-10 mAbを添
加したところIL-5の産生が114%、48%および64
%増加したが、イソタイプ適合(isotype−matched)対照mAbは全く作用しなか
った。このことはIL-5の産生がこの系内では内因性IL-10で調節されていること
を示す。
実施例 6:IL-10はヒト単球上でのB7とICAM-1の発現を阻害する。
この実施例では、補助分子B7とICAM-1の単球上での発現の、IL-10による調節
を示す。この特性はIL-10の免疫抑制特性に起因している。
材料と方法
組換えサイトカイン類:
組換えIL-10は、ヒトIL-10 cDNAを含有する発現ベクターでトランスフェクト
されたCHO(チャイニーズハムスター卵巣−K1)細胞の上澄み液から得た。対
照(模擬)上澄み液は、IL-10遺伝子が挿入されていない類似のベクターでトタ
ンスフェクトされたCHO-K1細胞から収集した。
細胞の調製と培養:
健康なドナー由来のヘパリン添加血液をLymphoprepで遠心分離を行うことによ
って、末梢血液の単核細胞(PBMC)を単離した。5%うし胎仔血清を補充したRP
MI 1640中、250U/mlのIFN-γの存在下もしくは非存在下で、PMBCを
24時間、1×106/mlで培養した。IL-10もしくは模擬上澄み液の段階希釈
液を細胞に添加してから1時間後にIFN−γで刺激した。
フローサイトメトリーによる分析:
細胞を、0.5%のBSAおよび10mMのNaN3を補充したPBSで洗浄し次いで10
pg/mlの一次マウスモノクロ
ーナル抗体(mAb)とともに4℃で30分間インキュベートした。一次mAbはB7-2
4抗B7 mAb(18)、抗ICAM-1 mAb、抗HLA-DR mAbまたは無関係のマウスIgG mAb
のF(ab)′2フラグメントであった。これらの抗体の結合は、ウサギ抗マウス免
疫グロブリン抗血清の、FITCをカップリングされたF(ab)′2フラグメントと、
4℃で30分間インキュベートすることによって明らかになった。洗浄後、細胞
を無関係のマウスIgGとともに4℃で10分間再びインキュベートしてからフィ
コエリトリン(PE)接合抗CD14 mAbを添加してさらに4℃で30分間インキュベ
ートした。CD14陽性細胞の表面でのB7、ICAM-1およびHLA-DRの発現を、FACScan
フロートサイトメーターを用いて測定した。IFN-γとIL-10はいずれも細胞のゲ
ーティング(gating)に干渉しなかった。所定量のフロオレセインでコートされ
たフローサイトメトリー用標準化微細ビーズを用いて、平均蛍光チャネル(mean
fluorescence channel)が1細胞当り捕捉されているフルオロセイン分子の数
に対して直線関係にあることを確認した。このことから、測定された平均蛍光チ
ャネルを、可溶性蛍光の平均当量(MESF)に変換できる。抗原特異的平均蛍光強
度(MESF)は、非特異的蛍光を差引くことによって計算した。
試験結果
IL-10は単球上でのICAM-1の発現を阻害する:
基本状態およびIFN-γによる刺激の後の両者における単球上でのMHCクラスII
分子(HLA-DR)の発現をIL-10が減少させたということを示すデータを第一に確
認した。次に
これらの細胞上でのICAM-1の発現に対するIL-10の作用を試験した。得られたFAC
Sヒストグラムは、IL-10が休止単球でのICAM-1の発現を減少させたことを示した
。三者の異なるドナーについて実施した三つの実験では、基本的なICAM-1発現の
阻害百分率は50〜65%の範囲内であった。模擬上澄み液は影響を与えなかっ
たので、IL-10製剤が特異性を有することが証明された。IFN-γ刺激によって、
単球でのICAM-1発現が媒体だけの場合と比べて明らかにアップレギュレートされ
たが、イソタイプ対照スティニングは変化しなかった。IL-10(3U/ml)を
添加したところ、単球の表面におけるIFN-γ誘発ICAM-1のアップレギュレーシ
ョンが阻害された。模擬上澄み液の場合、阻害作用は全くみとめられなかったの
で、IL-10製剤の上記阻害作用は投与量依存性でかつ特異的であった。
IL-10はIFN-γによって刺激された単球でのB7のアップレギュレーションを阻
害する:
PBMCをIFN-γ(250U/ml)とともに24時間インキュベートすると、単
球の表面でのB7発現の明確なアップレギュレーションが誘発された。IFN-γにIL
-10(3U/ml)を添加すると単球上でのB7のアップレギュレーションが著し
く低下した。IFN-γまたはIFN-γ+IL-10はいずれも、F(ab)′2抗B7の非存在
下、FITC接合抗マウス免疫グロブリン抗血清で観察される対照スティニング(co
ntrol staining)を変化させなかった。三者の異なるドナーについての三つの代
表的な試験におけるB7スティニングのMESF値は、IL-10の阻害作用が投与量依存
性で特異的であっ
たことを示している。これらの三つの試験で、IL-10による、B7発現の阻害百分
率は60〜97%の範囲内であった。
これらの試験結果は、単球の表面におけるICAM-1およびB7の発現をIL-10が阻
害することを示している。これらの観察結果の生体内での関連性は、同種移植片
の拒絶反応が、抗ICAM-1 mAbおよび抗LFA-1 mAbによって、またはT細胞活性化
のB7/CD28-CTLA-4経路を遮断するCTLA-4--Igによって防止された実験モデル
で実証されている(Isobeら、Science、2545巻、1125頁、1992年;
Lenschowら、Science、357巻、759頁、1992年)。
実施例 7:rIL-10を全身投与すると、生体内で同種反応性応答(alloreactive
response)中、水腫が生成しIFN−γが合成されるのを阻害する。
IL-10は、MHCの発現を阻害するのに加えて、マクロファージまたは単球上での
B7分子とICAM-1の発現をダウンレギュレートする。IL-10のこれらの特性は、IL-
10が、急性細胞移植拒絶反応の誘発とエフェクター相を阻害することが可能で同
種移植片耐性を高めることができることを示唆している。この問題に対する第一
の方法として、本発明の発明者らは、同種細胞を局所に注射することによって誘
発させた同種反応性の生体内モデルで、rIL-10を全身投与した場合の作用を分析
した。
得られた結果は、rIL-10の主な作用は、同種抗原の攻撃によって誘発される水
腫の生成とIFN-γの合成を防止する
ことであることを示している。
材料と方法
マウス:
10〜12週齢のBALB/c(H−2d)、A/J(H−2k)およびC57/BL6(H−
2b)それぞれを、Harlan CPB(オランダ、ザイスト所在)、Centre National d
e la Recherche Scientifique(フランス、オルレアン)およびIffa Credo(フ
ランス、l'Arbresle)から入手した。
マウスrIL-10の調整:
マウスrIL-10を先に記載したようにして(実施例1)クローン化し、次にInvi
trogen Corp.社(米国、カリフォルニア州、サンディエゴ所在)から入手したバ
キュロウイルス発現ベクターpBlueBac2を用いてSf9昆虫細胞中に産生させた。Ph
armingen社から入手したJES 5-2A5抗IL-10モノクローナル抗体を用いて、rIL-10
のアフィニティー精製を行った。生体内投与を行うため、rIL-10を、0.1%マ
ウス血清を含有する食塩水緩衝液(rIL-10の賦形剤)で希釈し、最終濃度を10
000U/mlにした(ELISA法で測定)。
リンパ節腫脹の検定と試験プロトコル:
RPMI1640(0.1ml)中に2.5×106の同系(BALB/c)のまたは半
同種(A/J×BALB/c)のF1脾臓細胞を含有する懸濁液を、1日目に、BALB/cマ
ウスの右後足の肉趾に注射した。0日目から5日目まで、マウスに、1000U
のrIL-10または対照の賦形剤を8時間毎に腹腔内注射した。IL-10のこの投与量
は、二つの異なる生体内
モデルすなわち内因性毒素によるショックおよび抗CD3モノクローナル抗体によ
って誘発されるポリクローナルT細胞の活性化においてサイトカインの放出を阻
害するのに有効であることが見出されたので選択した。5日目には、左と右のリ
ンパ節を外科手術で膝窩から取り出して重量を測定した。試験結果は、右側(注
射を行った側)と左側(注射をしていない側)のリンパ節の間の重量差を表すデ
ルタ値(mg単位)で示した。
リンパ節細胞の計数と組織学的分析:
各リンパ節の細胞懸濁液の計数を行い、次いで各グループからのリンパ節細胞
をプールし、Becton Dickinson社から入手したフィコエリトリン接合抗CD4モノ
クローナル抗体(L3T4)またはFITC接合抗CD8モノクローナル抗体(Lyt 2
)で染色し、次いでCD4+細胞とCD8+細胞の百分率をフローサイトメトリーで求
めた。
逆PCRによるIFN-γ mRNA発現の分析:
膝窩リンパ節細胞由来のmRNAを、Invitrogen Corp.社から入手したMicro-Fast
Track(登録商標)mRNA単離用キットを用いて抽出した。各RNA試料1μgを、
オリゴdTプライマーを用いてcDNAに逆転写させた。次に、IFN-γまたはヒポキサ
ンチン−ホスホリボシルトランスフエラーゼ(HPRT)に特異的なプライマーを用
いてPCR増幅を行った。増幅された産物を2%アガロースゲルで分離し次いで臭
化エチジウムで染色して視覚化した。
試験結果
rIL-10は、同種細胞を皮下注射した後に排液リンパ節(
draining lymph node)が腫脹するのを阻害する。
排液リンパ節の腫脹は、同種細胞を皮下注射すると誘発される同種反応性応答
の優れた指標であるから、本発明の発明者らは第一に、このパラメータに対する
rIL-10投与の作用を評価した。図6に示すように、右足の肉趾に同種細胞を注射
すると、その排液膝窩リンパ節は、左の膝窩リンパ節との重量差によって測定し
た場合、著しい腫脹を起こした(デルタ値の平均値±SD:5.0±1.8mg)
。rIL-10を投与するとリンパ節の腫脹は有意に減少した(デルタ値の平均値±SD
:2.8±1.7mg、同種細胞だけを注射したマウスと比較してp<0.00
1で有意差あり)。同種細胞を注射したマウスの排液リンパ節中の増大した細胞
数は、rIL-10を投与しても有意には減少しなかったので(表2)、rIL-10の上記
の作用は、細胞の補充を阻害することが原因ではないであろう。さらに、排液リ
ンパ節中のCD4+細胞とCD8+細胞の平均百分率は、マウスがrIL-10を同種細胞と
ともに注射されるか同種細胞を注射されないかにかかわらず類似していた(CD4
+細胞とCD8+細胞についてそれぞれ、35%:43%と11%:14%であっ
た)。これらのデータは、rIL-10の投与による、リンパ節腫脹の阻害は、主とし
て、水腫生成が減少したことが原因であったことを示唆している。このことは、
排液リンパ節の組織学的分析によって確認した(表3)。
rIL-10を投与するとIFN-γのmRNAの蓄積を防止する:
IFN-γの産生は同種反応性応答の決定的な要素であるから、本発明の発明者らは
、同種細胞を注射したマウスの排液リンパ節中でのIFN-γ mRNAの誘発に対するr
IL-10の作用を測定した。逆PCR実験データは、rIL-10を投与すると、β−アクチ
ンmRNAすなわちハウスキーピング遺伝子の発現を変化させずに、これらマウス内
のIFN-γ mRNAの蓄積が劇的に減少した。
引用文献
─────────────────────────────────────────────────────
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(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
A61K 38/00 ACJ A61K 37/02 ACD
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(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
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,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AU,BB,BG,BR,CA,CN,
CZ,FI,GE,HU,JP,KP,KR,KZ,L
K,LV,MG,MN,MW,NO,NZ,PL,RO
,RU,SD,SK,UA,US,UZ,VN
(72)発明者 ヴェル,ティエリー
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ト ド レニック 808 キャンパス エ
ラスム,イリブン
(72)発明者 アブラモウィツ,ダニエル
ベルギー,ベ―1070 ブリュッセル,ルー
ト ド レニック 808 セルヴィス デ
ィミュノロジ,オピタル エラスム
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ラスム,イリブン
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(72)発明者 ジェラード,カトリーヌ
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(72)発明者 プラディエール,オリヴィエール
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Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1. i)Tリンパ球によるインターロイキン−5の産生;または ii) B7/CD28またはICAM-1/LFA-1の経路によるTリンパ球の活性化;または iii)単球の凝血促進活性の活性化を伴う疾患; iv) 腫瘍壊死因子(TNF)産生を伴う重症感染疾患; の治療または予防に用いる医薬を製造するための、インターロイキン−10(IL -10)またはその類似体もしくは作動薬の使用。 2. 好酸球増加症が関連する疾患のようなTリンパ球によるIL-5の過剰産生 を伴う疾患の治療または予防に用いる医薬を製造するための請求の範囲1記載の IL-10の使用。 3. アレルギー性鼻炎と気管支喘息を含むアトピー性疾患;アトピー性皮膚 炎など好酸球の湿潤が関連する皮膚病(慢性湿疹、多形紅斑、疱疹状皮膚炎、肥 満細胞症、水疱性障害を含む);クローン病;気管支肺アスペルギルス症;スペ イン毒性油症候群;L−トリプトファン製剤で誘発される筋肉痛好酸球増加症候 群;特定の医薬のアレルギー反応;熱帯好酸球増加症;ぜん虫感染症;シュルマ ン症候群(好酸球性筋膜炎);チャーグ−ストラウス症候群などの好酸球増加症 を伴う血管炎;レフレル症候群;慢性好酸球性肺炎;好酸球性胃腸炎;および過 好酸球増加症候群からなる群から選択される疾患の治療または予防に用いる医薬 を製造するための請求の範囲2記載の使用。 4. IL-10が医薬の唯一の活性成分である請求の範囲2 〜3のいずれか一つに記載の使用。 5. IL-10が、医薬中に、インターフェロンーα(IFN−α)およびインター フェロン−γ(IFN−γ)と組合わされている請求の範囲2〜3のいずれか一つ に記載の使用。 6. B7/CD28またはICAM-1/LFA-1の経路によるTリンパ球の活性化を伴う疾 患、例えば同種反応性応答に関連する疾患を治療または予防するのに用いる医薬 を製造するための請求の範囲1記載のIL-10の使用。 7. 同種移植片拒絶反応などの宿主移植片相関病、および移植片宿主相関病 からなる群から選択される疾患の治療または予防に用いる医薬を製造するための 請求の範囲6記載の使用。 8. IL-10が医薬の唯一の活性成分である請求の範囲6または7に記載の使 用。 9. IL-10が、医薬中に、シクロスポリンAまたは他の類縁免疫抑制剤例え ばFK506、ラパマイシンもしくは抗CD3モノクローナル抗体と組合わされている請 求の範囲6または7に記載の使用。 10. 表面組織因子の発現の誘発による、単球の凝血促進活性の活性化を伴う 疾患を予防または治療するのに用いる医薬を製造するための請求の範囲1記載の IL-10の使用。 11. 敗血症性ショック、髄膜炎菌血症、前単球性白血病、抗CD3抗体で誘発 される反応、大脳マラリア、抗リン脂質症候群、溶血性***性症候群、播種性 血管内凝血および危険性が高い手術からなる群から選択される疾患を予防 または治療するのに用いる医薬を製造するための請求の範囲10記載の使用。 12. TNFの産生を伴う重症感染症を予防するのに用いる医薬を製造するため の請求の範囲1記載のIL-10の使用。 13. グラム陰性菌によって誘発される敗血症性ショック、および大脳マラリ アからなる群から選択される疾患を予防するのに用いる医薬を製造するための請 求の範囲12記載の使用。 14. IL-10が組換えヒトIL-10である請求の範囲1記載のIL-10の使用。 15. IL-10が、ウイルスIL-10、IL-10類似体、IL-10作動薬、IL-10ペプチド 、または細胞IL-10とウイルスIL-10の両者から誘導されるキメラタンパク質であ る請求の範囲14または1に記載の使用。
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