JPH08501962A - マイクロねじ山を設けた固定体 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 本発明は、骨組織中へ植え込まれるべき、少なくとも一つの全体として円筒状の部分を有する本体（１）を有するインプラントに関する。この円筒状の部分には0.02mm〜0.20mmの高さを有するねじ山（２）が少なくとも部分的に設けられている。

Description

【発明の詳細な説明】 マイクロねじ山を設けた固定体発明の技術的分野 本発明は、骨組織中に植え込まれるべき少なくとも一つの円筒状の部分を含む 構成要素に関する。発明の背景 今日一般的に使用される歯内骨内インプラント（endo-osseousimplants）のた めの２種類の主なシステムが存在する。 一つのシステムは、顎骨中にドリルで開けられた穴の中へねじ込まれるねじ山 を設けた固定体（fixtures）を利用する。このシステ システムは、予めねじ山を設けた穴の中にねじ込まれるべきねじを切られた固定 体と、顎骨中にドリルで開けられた予めタップを立てられていない穴の中へねじ 込まれるセルフタッピン（self-tapping）固定体の両方から成る。 一般に使用される他の一つのシステムは、固定体としての荒い表面を備えた円 筒を利用し、そして顎骨中の錐穴の中へ穏やかにタップ立てされる、所謂IMZイ ンプラントによって例示することができる。表面の荒さは特定の方向性を持たな い。 ねじを切られたインプラントは幾つかの重要な利点を有し、大きなものは臨床 の状況における主な荷重が軸方向荷重であるという事実からくる。ねじを切られ たインプラントは軸方向の荷重を支えるのに非常に適していて、そしてこのこと は、インプラントが十分に安定かつ錐穴中でなるべく動かないことが重要である 骨統合（osseointegration）処置の初期段階においては特に重要である。 て造り出され、そして本明細書中で使用される“骨統合”という言葉は、例えば チタンで作られたインプラントを使用することによって得ることができる、骨組 織とインプラントとの間の密接な付着を指す。 しかしながら、この構造には幾つかの固有の欠点が存在し、大きな欠点の一つ は、穴の中へセルフタッピンインプラントをねじ込むために必要とされる時間及 び気遣いである。また穴に予めねじ山を設けなければならない場合には、手術に 要する全時間は勿論もっとずっと長くなる。従来のねじを切られたインプラント はねじ山の主な径と殆ど同じ径を有する穴の中へねじ込むことができると考えら れるけれども、骨組織がねじ山の中に成長しなければならないであろう距離は長 過ぎるであろうし、そして骨統合処置のために必要とされる時間は長いであろう 。 ざらついた表面の円筒状インプラントは挿入するのが非常に簡単であり、そし てこのために必要とされる時間は短い。しかしながら、この設計を有するインプ ラントは、十分に挿入されないうちに錐穴中で動かなくなることが起きる可能性 があり、これは、インプラントを力で完全に挿入する場合も力で取り出す場合も 共に、骨組織に好ましからざる外傷をもたらす可能性がある。このインプラント の初期及び最終の両方の安定性は、ねじを切られたインプラントの初期及び最終 安定性よりも小さいであろう。発明の概念の簡単な説明 本発明の目的は、上記の２つのシステムの利点を合わせ、同時にそれらの欠点 を排除したインプラントを提供することである。 この目的は、骨内インプラントに、ここに添付の請求の範囲の主たる請求項に 述べられた特徴を備えることで達成される。 好ましい実施態様は、添付の請求の範囲の従属項中に述べられている。添付図面の簡単な説明 図１は、本発明によるインプラントの全体図を示す。 図２は、線Ｉ−Ｉに沿って取られた図１中のインプラントの断面を示す。 図３は、図２中の線II−IIによる端面図を示す。 図４はマイクロねじ山の第一の好ましい実施態様を示し、そして図５はマイク ロねじ山の第二の好ましい実施態様を示す。本発明の好ましい実施態様の詳細な説明 本発明の好ましい実施態様は、骨組織中の錐穴の中へ挿入するための全体とし て円筒状の本体１を有するインプラントから成る。本体１の外被表面には、それ らの寸法がマイクロメートル領域中にあるので本明細書中ではマイクロねじ山と 呼ばれる非常に小さなねじ山２が設けられている。これらのねじ山は、インプラ ントがねじとして機能することを可能にする。ねじの前端つまり先端には、チッ プ収集キャビティ３と共に３つの刃先４が設けられている。チップ収集キャビテ ィが存在する結果、円筒状部分の一部にはねじ山が設けられていない。インプラ ントを機能させようとするやり方から考えて、それをねじとして機能させるに十 分な面積にねじ山を設けなければならない。この好ましい実施態様においては、 本体の先端は、更にまた、ねじの十分な挿入を妨げる可能性があるゆるんだ（lo ose）骨のチップのためにねじの下に幾らかの空間を最初に残すために丸 められている。錐穴の底は、通常使用されるドリルの形のために、通常は少し円 錐形に作られている。 刃先４及びチップ収集キャビティ３は、必要な場合には、新しいねじ山を切る ための又は組織中に既に切られているねじ山を調節するためのセルフタッピンね じとしてこのねじが機能することを可能にするものである。 ねじのもう一方の端には、当該技術において極めて慣用的であるように、骨組 織を覆う柔らかい組織をブリッジするための支台歯のアタッチメント及び補綴物 のアタッチメントのための縦方向の錐穴が設けられている。この錐穴の内側部分 ７は円筒状でありそして内部ねじ山６が設けられており、そして錐穴の外側部分 ５は円錐状に広がっていて円筒状のねじを切られた端部で終わる支台歯の円錐状 に先細になったアタッチメント部分を収容する。 図４及び５は、本発明の２つの異なる実施態様を示す。図４中に示されたねじ 山は0.1mmの高さであり、そして隣り合うねじ山までの距離（山の頂から山の頂 まで）は0.2mmである。このねじは三条ねじになっているが、これはねじ山のピ ッチが0.6mmであることを意味する。一条ねじ山の設計でなく三条ねじ山の設計 にした理由は、インプラントを錐穴中にねじ込むため必要とする時間は多条ねじ の方が短いことである。ねじ山のフランク間の角度は45゜である。ねじ山は、ね じ山の回りの骨組織における応力集中を回避、又は少なくとも最小化するために 丸く設計されている。 図５中に示されたねじ山は、主に、フランク間の角度が45゜の代わりに60゜で あるという点で図４中のねじ山とは異なる。 一般に、マイクロねじ山の高さは、0.02〜0.20mmの範囲内でよい。 この高さは、好ましい実施態様においては0.02〜0.15mm、更に好ましい実施態様 においては0.05〜0.15で変動しうる。そして最も好ましい実施態様においてはこ の高さは0.1mmである。ねじ山の数は随意であるが、例えば１〜５で変化してよ い。好ましい実施態様においては、隣り合うねじ山間の、即ち山の頂から山の頂 への距離は、ねじ山の高さの２倍である。 ねじ山は、例えば、インプラントの上に表面荒さを得るための慣用的な技術で あるプラズマ溶射によって得ることができる種類の、先行技術の非方向性表面荒 さと同じサイズ範囲にある規定された方向性をもつ荒さと見なすことができる。 例えば噴射技術によって得られる更に小さな寸法を有する非方向性荒さを本発 明のねじ山の上に重ねてもよい。 生体力学の研究（Hansson S．：荷重を支える骨インプラントのための表面荒 さの役割について：ピットサイズ、ピット形状及びピット密度の関数としてのマ イクロピットを掘られた表面の保持潜在力（On the role of surface roughness for load bearing boneimplants：The retention potential of a micro-pitte d surfaceas a function of pit size，pit shape and pit density）。Thesis ， Centre for Biomech.，Chalmers Univ．of Technol．andGothenburg Univ.， Preprint 1991：4，Gothenburg）は、このサイズの荒さによって、もっと荒いね じ山によって得られる保持力と同様の保持力が得られることを示した。 インプラントは、医学的見地からみて適切であるもの及び歯科医又は外科医の 選択によって、円筒状の荒い表面のインプラント及びねじを切られたインプラン トの両方として使用することができる。 インプラントを円筒状インプラントとして使用する場合には、主な径としてイ ンプラントと同じか又は殆ど同じ径を有する（好ましくは径はそれより大きくは ない）穴の中へ慣用のインプラントと同じやり方でインプラントを軽く叩いて入 れることができる。これは、通常は、比較的速やかに行うことができる。しかし ながら、時々起きることがあるが、インプラントが途中で動かなくなる場合には 、外科医はインプラントをねじ戻すか、又は穴の中にインプラントを完全にねじ 込むかの選択をすることができる。これは、インプラントを力ずくで無理に抜き 出すか又は所定の場所中にハンマーで打ち込むと仮定した場合生じるであろう種 類の外傷を回りの骨組織に与えることなく行うことができる。 新しい骨組織はねじ山の高さが低いためにマイクロねじ山の中に急速に成長し 、そして回転（接線）方向におけるよりも軸方向においてかなり優れた保持力が 比較的速やかに得られるであろう。勿論これは、ねじ山が円周方向に向けられて いる結果である。ねじ山を備えたインプラントと比較して、問題のサイズ範囲に ある非方向性表面荒さを有するインプラントは、軸方向に対して垂直な同じ保持 面積（即ち、骨組織とかみ合っている面積）を提供せずそして結果として同じ程 度の保持力を提供しないであろう。 本発明によるインプラントの設計はまた、下顎よりももっと敏感であると考え られる上顎中へのインプラントの非常に穏やかな挿入を可能にするであろう。こ れは、マイクロねじを切られたインプラントは、上顎中の比較的もろいことのあ る骨組織中で広範なねじ切り操作を必要とせず、そして最小の切削作用によって セルフタッピンねじとして挿入することができるか、又は、一層重要なことには 、 上顎中の錐穴の中へただ押し込むか若しくは穏やかに軽く叩いて入れることがで きることに起因する。 本発明の別の利点は、ねじ山がインプラントの全断面の比較的小さな部分を形 成することになるので、小さく巾のせまいインプラントはまた主な軸方向荷重を 周囲の骨組織へ正確に移動する点で重要であろう最大の剛性又は剛さを有するこ とである。 上で述べたように、インプラントはまた、従来のねじを切られたインプラント と同じやり方で使用することができ、その場合には骨組織中に錐で開けられた穴 は、ねじ山の小さい径に対応するか又は幾らか大きい径を持たねばならない。後 者の場合には、骨組織中にねじ山を切るために必要とされる力はより小さいであ ろう。 本発明は添付の請求の範囲内でいろいろに変更することができることに留意す べきである。例えば、本発明は歯科のインプラントに限定されないこと、そして 本発明は全体として円筒状の錐穴中に挿入されるべき全体として円筒状のインプ ラントのいずれにも適用することができることを強調しなければならない。この 場合の、全体として円筒状とは、インプラントを取り囲む円筒の外被表面と一致 する部分を有することとして解釈されねばならない。かくして例えば、溝つき本 体を有するねじ形のインプラント（タップと類似の）は、添付の請求の範囲によ って授与される保護の範囲内にあるとされる。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＤＥ， ＤＫ，ＥＳ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，ＩＴ，ＬＵ，Ｍ Ｃ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＯＡ(ＢＦ，ＢＪ，ＣＦ，ＣＧ ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＭＬ，ＭＲ，ＮＥ，ＳＮ， ＴＤ，ＴＧ)，ＡＴ，ＡＵ，ＢＢ，ＢＧ，ＢＲ，ＢＹ， ＣＡ，ＣＨ，ＣＺ，ＤＥ，ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＧＢ，Ｈ Ｕ，ＪＰ，ＫＰ，ＫＲ，ＫＺ，ＬＫ，ＬＵ，ＭＧ，ＭＮ ，ＭＷ，ＮＬ，ＮＯ，ＮＺ，ＰＬ，ＰＴ，ＲＯ，ＲＵ， ＳＤ，ＳＥ，ＳＫ，ＵＡ，ＵＳ，ＶＮ

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．骨組織中へ植え込まれるべき、少なくとも一つの全体として円筒状の部分を 有する本体（１）を有するインプラントであって、該円筒状の部分に0.02mm〜0. 20mmの高さを有するねじ山（２）が少なくとも部分的に設けられていることを特 徴とするインプラント。 ２．ねじ山が0.02〜0.15mmの高さを有することを特徴とする、請求項１記載のイ ンプラント。 ３．ねじ山が0.05〜0.15mmの高さを有することを特徴とする、請求項２記載のイ ンプラント。 ４．ねじ山が0.10mmの高さを有することを特徴とする、請求項３記載のインプラ ント。 ５．隣り合うねじ山間の距離、山の頂から山の頂までが、ねじ山の高さの２倍で あることを特徴とする、前記請求項のいずれか一項に記載のインプラント。 ６．ねじ山が多条ねじ山、好ましくは三条ねじ山であることを特徴とする、前記 請求項のいずれか一項に記載のインプラント。 ７．ねじ山のフランク間の角度が4であることを特徴とする、前記請求項のいず れか一項に記載のインプラント。 ８．ねじ山のフランク間の角度が60゜であることを特徴とする、請求項１から６ のいずれか一項に記載のインプラント。