JPH08501748A - 遅延した流体反力を有するブレーキブースタ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 このブレーキブースタ装置はマスターシリンダ（２）を組付けた空気圧ブレーキブースタ（１）を包含する。ブースタは弁（７）を支持した可動の空気圧ピストン（５）を包含し、流体反作用原理に従って機能し、マスターシリンダの流体ピストン（１１）は入力を受ける中空の可動シリンダ（１３）を包含する。ブースト力によって生起される流体反力は、マスターシリンダ（２）と可動シリンダ（１３）との間に設置された逆止弁（２２）によって遅延される。

Description

【発明の詳細な説明】 遅延した流体反力を有するブレーキブースタ装置 本発明は、一方において、ブレーキ流体を満たされ、共に軸線方向に作用する 入力とブースト力とから成る駆動力を受けるようになっている主流体ピストンを 設けたマスターシリンダと、他方において、弁の開作動を制御する制御ロッドに 前記入力を加えることにより制御されて主流体ピストンに前記駆動力を発揮でき る空気圧ブースタとを包含し、ブースタが少なくとも可動壁によって２つの室に 密封態様で分離された剛性ケーシングを包含し、可動壁が弁の開作動から起こる ２つの室間の圧力差によって作用し、ケーシングに対して移動可能な空気圧ピス トンを駆動でき、空気圧ピストンが弁を支持し、前記ブースト力の少なくとも一 部分の伝達に少なくとも寄与している自動車用ブレーキブースタ装置に関する。 この型式の装置は先行技術においてよく知られており、例えば米国特許第４， ４９１，０５８号に記載されている。 移動可能な空気圧ピストンを用いているこのような装置は、制動時ブレーキペ ダルに長い行程を与えて車両の減速の最適制御を許容するという利点を有する。 しかしながら、車輪のロック及び又はホイールスピ ンを防止するようになっている電子制御ブレーキ装置を普遍化することは、機械 的及び流体的サブアセンブリの応答時間に新たな拘束を生じさせることとなり、 電子的サブアセンブリは非常に短い応答時間を有している。 これに関連して、本発明は正にブレーキブースタ装置の応答時間を減少させる ことを目的としている。 この目的のため、本発明の装置は、本質的に、マスターシリンダの主流体ピス トンが、ブースト力の少なくとも一部分を受ける中空の可動シリンダを包含し、 この可動シリンダ内では、少なくとも前記入力を受けることができる副流体ピス トンが密封態様で軸線方向に摺動し、少なくとも１つの開口が可動シリンダに形 成されて該シリンダの内部をマスターシリンダの内部に連通し、選択可能な流量 低減装置がこの開口に設けられて、マスターシリンダから可動シリンダへのブレ ーキ流体の循環及び逆方向の循環においてそれぞれ第１及び第２の圧力降下を生 じさせ、第１の圧力降下が第２の圧力降下よりも大きいことを特徴としている。 この構成により、急制動作用中副流体ピストンは漸増的且つ遅延した態様での みマスターシリンダの内部圧力の反力を受けることとなる。 これによる重要な結果として、制御ロッドが、空気圧ピストンと比べると、マ スターシリンダの方向に比較的前進した位置に長い時間の間留まり、この結果弁 を長い時間の間より広く開いたままに保ち、ブースト力をより急速に高い値に確 立されるようにできるのである。 実施を容易にした実施例では、複数の開口が可動シリンダに形成され、選択可 能な流量低減装置はこれら開口の少なくとも１つに設置された逆止弁である。 好ましくは、装置は更に、制御ロッドと副流体ピストンとの間に配置した調整 可能な長さのスラストロッドを包含している。 以下、本発明を一例として添付図面を参照して説明する。 図１は本発明の実施例による装置の部分断面図である。 図２は図１の実施例の変形例による装置の部分断面図である。 本発明が空気圧ブレーキブースタ装置に対してなした改良に関し、またこの装 置の一般的な構成及び機能が当業者にはよく知られているので、この装置は、こ こでは本発明を表す改良を全体的に理解するためにだけ簡単に思い起こすことと する。 概略的に、この型式の装置はブースタ１とマスターシリンダ２とを包含する。 ブースタ自体は可動壁４によって２つの室３ａ及び３ｂに密封態様で分離され た剛性ケーシング３を包含し、この可動壁は隔膜４ａと剛性スカート４ｂとから 成り、ケーシング３内を移動可能な空気圧ピストン５を駆動し得る。 前面をマスターシリンダ２によって密封態様で閉鎖された前方室３ａは、逆止 弁６を介して部分真空源（図示しない）に常時接続されている。 後方室３ｂ内の圧力は制御ロッド８により制御される弁７によって制御され、 この制御ロッドはブレーキペダル（図示しない）に連結されている。 制御ロッド８がこの場合右方に引張られている休止位置にある時、弁７はブー スタの２つの室３ａ及び３ｂ間の連通を確立し、あるいはこの連通が確立されて いた位置から来る。 従って、後方室３ｂは前方室３ａと同じ部分真空を受けており、ピストン５は スプリング９によって休止位置へ右方に押し戻される。 制御ロッド８の左方への駆動は、第１段階では、室３ａ及び３ｂを互いに隔離 するように弁７を動かす作用をなし、次に第２段階では、後方室３ｂを大気圧に 開放するようにこの弁を動かす作用をなす。 隔膜４ａによって感知される２つの室間の圧力差は、可動壁を左方に動かして ピストン５を駆動させようとするスラストを可動壁４に発揮し、このピストンは スプリング９を圧縮しながら移動する。 制御ロッド８に発揮される制動力又は“入力”及び可動壁４のスラストから生 じるブレーキ倍力又は“ブ ースト力”は、マスターシリンダ２の方向に制御ロッド８の軸線１０に沿って一 緒に加えられ、マスターシリンダの駆動力を構成するように連合される。 より詳細には、駆動力はマスターシリンダの主流体ピストン１１に加えられ、 該ピストンの（図１中）左方への移動を生じさせ、この移動がマスターシリンダ の内部容積室１２内に存在するブレーキ流体の圧力の上昇及びマスターシリンダ に接続されたブレーキの駆動を導くこととなる。 主流体ピストン１１は実際には複合体であり、一方において可動中空シリンダ １３と、他方において副流体ピストン１４とを包含する。 可動シリンダ１３の内部容積室１５は、可動シリンダに軸線方向に形成した１ ６及び１７のような開口を介してマスターシリンダの内部容積室１２に連通する 。 マスターシリンダ２の内部容積室１２と可動シリンダ１３の内部容積室との間 でこれら開口１６及び１７が許容する流体の流通とは別に、この可動シリンダ１ ３はマスターシリンダ２内を密封態様で摺動し、少なくとも環状シール１８によ って密封性が得られている。 副流体ピストン１４は可動シリンダ１３内を摺動し、環状シール１９によって 密封態様でこの可動シリンダを閉鎖する。 可動シリンダ１３はブッシュ２０を介して剛性スカート４ｂに連結されて、こ のスカートを介して発揮さ れるブースト力の少なくとも一部分を受ける。 副流体ピストン１４は、少なくとも制御ロッド８に発揮される入力を該ピスト ンに伝達できるスラストロッド２１に面して軸線方向に配置されている。 上述した装置の機能は次のとおりである。 入力が制御ロッド８に加えられると、制御ロッド８の所定の行程の後、弁７が 前方室３ａから既に隔離されているブースタの後方室３ｂを大気に開放し、ブー スト力が剛性スカート４ｂによってブッシュ２０を介して可動シリンダ１３に加 えられる。 マスターシリンダの内部容積室１２内の流体圧力が上昇し、開口１６及び１７ を通る加圧流体の循環により、可動シリンダの内部容積室１５内そして副流体ピ ストン１４上に、入力に抵抗しブースト力に応じた反力を生じさせることとなり 、従ってブースト力による反力の制御が許容される。 本発明によると、開口１６の少なくとも１つは、マスターシリンダの内部容積 室１２から可動シリンダの内部容積室１５へこれらを連通する開口を介して確立 されようとする加圧流体の流量を、逆方向に確立されようとする流体の流量に比 べ、抑制するように働く選択可能な流量低減装置２２を設けており、１番目に記 載の流量は、２番目の流量が受ける圧力降下よりも大きい圧力降下をもたらして いる。 実施を非常に容易にした実施例によると、選択可能 な流量低減装置２２は、図に示すように、開口１６，１７の少なくとも一方に設 置され且つ流体がこの開口を介してマスターシリンダから出てマスターシリンダ へ戻るのを禁止する逆止弁によって構成されている。 これらの特徴により、流体反力の作用のもとで可動シリンダ１３内での副流体 ピストン１４の（図１の右方に向かう）後退移動が、可動シリンダ内へのこの副 流体ピストンの（左方に向かう）駆動よりも急速且つ瞬間的ではなくなる。 この結果として、制動中、そして特に急制動の場合に、制御ロッド８は空気圧 ピストン５に対し、そして該ピストンが支持する弁７に対しても、従来の装置の 場合よりも、（図の左方に向けて）更に駆動された位置に且つより長い時間の間 位置され得るのである。 従って、弁７は略瞬間的に広く開くことができるとともに、後方室３ｂの充填 に必要な時間の間ここに留まることができ、この時間は更に、本発明によりこの 弁が広く開くことができるという事実のためにそれだけ短かくなる。 この理由のため、スラストロッド２１を長さ調整可能となるようにすることは 有益であり、長さの調整は弁７の開度の調整を許容するものである。 図２には、上述した実施例の変形例によるブースタ装置が示されている。この 図では、上述したものと同一又は類似の要素は同一の符号を付してある。 図２に示されているように、副流体ピストン１４は実際には、一方において制 御ロッド８に発揮される入力を、また他方において空気圧ピストン５によって発 生されるブースト力の一部分を副流体ピストンに伝達できるスラストロッド２１ の軸線方向延長部から成り、これらの力はそれ自体周知の方法で反動ディスク２ ３によって、この空気圧ピストンと制御ロッドにより駆動されるフィーラ２４と が当接する該ディスクの一方の面に伝達され、反動ディスクの他方の面はスラス トロッド２１に固着されたカップ２５に当接する。 装置の駆動時、マスターシリンダの内部容積室１２内の流体圧力が上昇し、開 口１７を通る加圧流体の流れによって可動シリンダの内部容積室１５内に確立さ れ、従ってブースト力に応じて反力を副流体ピストン１４に生じさせ、反動ディ スク２３を介して伝えられる力に抵抗し、そしてブースト力を入力によって制御 できるようにしている。 前記実施例の場合のように、可動シリンダの内部容積室１５は、例えば開口１ ６に配置された逆止弁及び開口１７に配置された流量絞りで作られた選択可能な 流量低減装置２２を介して、マスターシリンダの内部容積室１２に連通する。 このようにして、上述したように、急制動の場合に内部容積室１２から内部容 積室１５への加圧流体の循環が開口１７内の流量絞りによって遅くされ、そして 副流体ピストン１４への流体反力が遅延されて、応答時間を改善することができ る。運転者が制動作用を終了すると、開口１６内の逆止弁が開き、ブースタとマ スターシリンダの異なる構成要素をそれらの休止位置へ急速に戻すことができる 。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＤＥ， ＤＫ，ＥＳ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，ＩＴ，ＬＵ，Ｍ Ｃ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＢＲ，ＪＰ，ＵＳ (72)発明者 ペレ ルビラ ミゲル フランス国アルジェンツイユ 95100 リ ュ ガンベッタ 14 (72)発明者 ルブレー ロラン フランス国スタン 93240 アブニュ ガ ストン モンムーソー ９ビス

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 一方において、ブレーキ流体を満たされ、共に軸線方向に作用する入力とブ ースト力とから成る駆動力を受けるようになっている主流体ピストン（１１）を 設けたマスターシリンダ（２）と、他方において、弁（７）の開作動を制御する 制御ロッド（８）に前記入力を加えることにより制御されて主流体ピストンに前 記駆動力を発揮できる空気圧ブースタ（１）とを包含し、ブースタが少なくとも 可動壁（４）によって２つの室（３ａ，３ｂ）に密封態様で分離された剛性ケー シング（３）を包含し、可動壁が弁の開作動から起こる２つの室間の圧力差によ って作用し、ケーシングに対して移動可能な空気圧ピストン（５）を駆動でき、 空気圧ピストンが弁を支持し、前記ブースト力の少なくとも一部分の伝達に少な くとも寄与している自動車用ブレーキブースタ装置において、マスターシリンダ の主流体ピストン（１１）が、ブースト力の少なくとも一部分を受ける中空の可 動シリンダ（１３）を包含し、この可動シリンダ内では、少なくとも前記入力を 受けることができる副流体ピストン（１４）が密封態様で軸線方向に摺動し、少 なくとも１つの開口（１６，１７）が可動シリンダに形成されて該シリンダの内 部（１５）をマスターシリンダの内部（１２）に連通し、選択可能な流量低減装 置（２２）がこの開口に設けられて、マスターシリンダから可動シリンダへのブ レー キ流体の循環及び逆方向の循環においてそれぞれ第１及び第２の圧力降下を生じ させ、第１の圧力降下が第２の圧力降下よりも大きいことを特徴とする自動車用 ブレーキブースタ装置。 ２ 請求項１記載のブレーキ装置において、複数の開口（１６，１７）が可動シ リンダに形成され、選択可能な流量低減装置がこれら開口の少なくとも１つ（１ ６）に設置された逆止弁であることを特徴とするブレーキ装置。 ３ 請求項２記載の装置において、制御ロッド（８）と副流体ピストン（１４） との間に調整可能な長さのスラストロッドを設けていることを特徴とする装置。 ４ 入力が反動ディスク（２３）によって伝達され、空気圧ピストンがこの反動 ディスクに当接して前記ブースト力の少なくとも一部分を該ディスクに供給する ようになっている請求項１記載の装置において、副流体ピストン（１４）が反動 ディスク（２３）から少なくとも前記入力と前記ブースト力の少なくとも一部分 とを受けることができることを特徴とする装置。 ５ 請求項４記載のブレーキ装置において、複数の開口（１６，１７）が可動シ リンダに形成され、選択可能な流量低減装置がこれら開口の少なくとも１つ（１ ６）に設置された逆止弁であることを特徴とするブレーキ装置。 ６ 請求項５記載の装置において、制御ロッド（８） と副流体ピストン（１４）との間に調整可能な長さのスラストロッドを設けてい ることを特徴とする装置。