JPH0840036A - サスペンション予見制御装置 - Google Patents

サスペンション予見制御装置

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JPH0840036A
JPH0840036A JP17890294A JP17890294A JPH0840036A JP H0840036 A JPH0840036 A JP H0840036A JP 17890294 A JP17890294 A JP 17890294A JP 17890294 A JP17890294 A JP 17890294A JP H0840036 A JPH0840036 A JP H0840036A
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gain
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Hideo Tohata
秀夫 戸畑
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Abstract

(57)【要約】 【目的】旋回状態から直進走行状態に及び加減速状態か
ら定速走行状態に移行した直後でも良好な予見制御を行
って乗心地を向上させる。 【構成】プレビューセンサの検出値HDL及びHDRに基づ
いて路面推定値R0L′,R0R′を求め(ステップS8) 、
前後加速度XG 及び横加速度YG と車速Vとをもとにゲ
イン算出マップを参照して各加速度が大きくなるにつれ
て小さい値となるゲインαX,αY を算出し、これらを乗
算して補正制御ゲインαを求める(ステップS11)。この
ゲインαと路面推定値R0L′,R0R′とから予見制御値
PL′,R PR′を算出してこれらを順次シフトレジスタ
領域に格納し(ステップS13)、現在の各輪の接地路面に
対応する予見制御値RPL′,RPR′に再度補正制御ゲイ
ンαを乗算して各輪の予見制御値RPFL ′〜RPRR ′を
算出し、これらをもとに予見制御力UPFL 〜UPRR を算
出し(ステップS17)、これらに基づいて前後輪のアクチ
ュエータを制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、制御対象車輪より前方
位置で路面変位を表す前方路面情報を検出し、この路面
情報に基づいて制御対象となる車体及び車輪間に介装し
たアクチュエータを予見制御するようにしたサスペンシ
ョン予見制御装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の予見制御を行うサスペンション予
見制御装置としては、例えば特開平4−372411号
公報に記載されているものがある。この従来例には、車
体に取付けられ車輪より予見距離だけ前方の路面の変位
を検出する路面検出手段と、車速を検出する車速検出手
段と、旋回半径を推定する旋回半径推定手段と、前記路
面検出手段により検出された路面の変位を時系列に記憶
する記憶手段とを含み、前記予見距離及び車速に基づき
車両が予見距離だけ走行した際の路面の変位を記憶手段
に記憶されている路面変位より推定し該推定された路面
の変位に応じた予見制御量でアクチュエータを制御する
制御手段とを有し、前記制御手段は前記旋回半径推定手
段により推定される旋回半径が小さいほど前記予見制御
量を低減するように構成したアクティブサスペンション
の制御装置が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のサスペンション予見制御装置にあっては、推定され
る旋回半径が小さいほど予見制御量を小さくするように
制御しているため、例えば図17に示すように、旋回走
行状態から直進走行状態に移行した直後では、旋回によ
る予見位置と車輪の通過軌跡のずれが解消されていない
にもかかわらず、旋回中の予見情報による予見制御量が
出力されることになり、正確な予見制御を行うことがで
きず、乗心地が悪化するという未解決の課題がある。
【0004】一方、本出願人は、先に特願平5−302
18号として、予見位置と車輪の通過軌跡との不一致を
検出したとき及び加減速状態を検出して車速変化が大き
いときには予見制御を中止するようにしたサスペンショ
ン予見制御装置を提案しているが、この場合も図17に
示すように旋回走行状態から直進走行状態に移行した直
後では予見位置と車輪の通過軌跡とが一致していても、
予見制御は予見位置と車輪の通過軌跡とが不一致である
時点の予見情報に基づいて行われることになり、上記従
来例と同様の未解決の課題があると共に、図15に示す
ように、加速(又は減速)状態から一定速走行状態に移
行した直後では、前方路面センサと制御対象車輪との間
の距離LP を車速Vで除して算出される遅延時間τと実
際に検出した路面を車輪が通過するまでの遅延時間τ′
との誤差が解消されていないにもかかわらず、加速(又
は減速)時の予見情報による制御が行われ、正確な予見
制御を行うことができず、乗心地が悪化するという未解
決の課題もある。
【0005】そこで、本発明は、上記従来例の未解決の
課題に着目してなされたものであり、旋回状態から直進
走行に移行した直後及び加速(又は減速)状態から一定
速走行状態に移行した直後に正確な予見制御を行って乗
心地を向上させることができるサスペンション予見制御
装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に係るサスペンション予見制御装置は、図
1に示すように、制御対象車輪と車体との間に配設さ
れ、それら間のストロークを制御可能な制御力を制御信
号に基づいて発生するアクチュエータを有し、該アクチ
ュエータを前記制御対象車輪より前方の路面情報に基づ
いて予見制御するようにしたサスペンション予見制御装
置において、前記制御対象車輪より前方の路面情報を検
出する前方路面情報検出手段と、車速を検出する車速検
出手段と、車両の走行状態に応じた車体の平面運動状態
を検出する平面運動状態検出手段と、該平面運動状態検
出手段で検出した平面運動状態の変化の割合が大きくな
るにつれて小さい値となる補正制御ゲインを設定するゲ
イン設定手段と、前記前方路面情報検出手段の前方路面
情報に前記補正制御ゲインを乗じて予見情報とし、該予
見情報から前記車速検出手段の車速検出値に基づいて前
記制御対象車輪が接地している路面の路面情報を抽出す
る路面情報抽出手段と、該路面情報抽出手段の路面情報
に前記補正制御ゲインを乗じて予見制御量を算出し、該
予見制御量に応じた制御信号を前記アクチュエータに出
力する予見制御手段とを備えたことを特徴としている。
【0007】また、請求項2に係るサスペンション予見
制御装置は、前記平面運動状態検出手段が、車両に作用
する横加速度を検出する横加速度検出手段を有し、該横
加速度検出手段の横加速度検出値に基づいて車体の平面
運動状態を検出するように構成されていることを特徴と
している。さらに、請求項3に係るサスペンション予見
制御装置は、前記平面運動状態検出手段が、車両に作用
する前後加速度を検出する前後加速度検出手段を有し、
該前後加速度検出手段の前後加速度検出値に基づいて車
体の平面運動状態を検出するように構成されていること
特徴としている。
【0008】さらにまた、請求項4に係るサスペンショ
ン予見制御装置は、前記ゲイン設定手段が、平面運動状
態検出手段の検出値が設定値を越えたときにゲインを低
下させ、且つ当該設定値を車速が増加するにつれて大き
な値に変更するように構成されていることを特徴として
いる。
【0009】
【作用】請求項1に係る発明においては、平面運動状態
検出手段で、車両の走行状態に応じた車体の平面運動状
態即ち車体がフラットな状態からロール変化やピッチ変
化を検出したときに、ゲイン設定手段で平面運動状態の
変化の割合が大きくなるにつれて小さい値となる制御ゲ
インを設定し、この制御ゲインを路面情報抽出手段でそ
の入力情報となる前方路面情報に乗算し、且つ予見制御
手段でも入力情報となる路面情報抽出手段の路面情報に
制御ゲインを乗算する。これによって車体の平面運動状
態の変化の割合が大きいときには車両が旋回状態又は加
減速状態となって、予見情報と実際に発生させる予見制
御力との間にずれがあるものと判断して、予見情報及び
これに基づいて算出される予見制御力の双方に対するゲ
インを小さくすることにより、旋回終了時や加減速終了
時の制御誤差を抑制する。
【0010】また、請求項2に係る発明においては、平
面運動状態検出手段を横加速度検出手段で構成すること
により、車体のロール変化を検出して、旋回状態終了時
の予見制御誤差を抑制する。さらに、請求項3に係る発
明においては、平面運動状態検出手段を前後加速度検出
手段で構成することにより、車体のピッチ変化を検出し
て、加減速状態の終了時の予見制御誤差を抑制する。
【0011】さらにまた、請求項4に係る発明において
は、ゲイン設定手段で、平面運動状態検出値が設定値を
越えたときにゲインを低下させ、且つ設定値を車速の増
加に伴って大きな値に変更することにより、車両の旋回
中心が、車速が低いときには後輪軸の延長上にあるため
前輪と後輪との走行軌跡差が大きいが、車速の増加に伴
って走行軌跡差が小さくなることによる予見制御誤差の
変動を効果的に抑制し、同様に加減速走行時の予見距離
通過時間に対する実際の予見距離通過時間の誤差時間が
加減速度が大或いは車速が小になるほど増加することに
よる予見制御誤差の変動を効果的に抑制する。
【0012】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図2は、本発明の一実施例を示す概略構成図であ
り、図中、10は車体側部材を、11FL〜11RRは前左
〜後右車輪を、12はアクチュエータを構成する能動型
サスペンションを夫々示す。
【0013】能動型サスペンション12は、車体側部材
10と車輪11FL〜11RRの各車輪側部材14との間に
各々介装された油圧シリンダ18FL〜18RRを備え、こ
れら油圧シリンダ18FL〜18RRにその作動圧を個別に
調整する圧力制御弁20FL〜20RRが接続され、これら
圧力制御弁20FL〜20RRが供給側配管21S及び戻り
側配管21Rを介して所定圧力の作動油を供給する油圧
源22に接続された構成を有する。そして、油圧源22
及び圧力制御弁20FL〜20RR間の供給圧側配管21S
には、蓄圧用のアキュムレータ24F,24Rが介挿さ
れている。
【0014】能動型サスペンション12は、例えばスピ
ードメータ内に配設された車速に応じたアナログ電圧を
出力する車速センサ26と、車体の重心位置近傍に配設
された傾斜状態検出手段としての車両の前後方向加速度
を検出する前後方向加速度センサ27X及び横方向加速
度を検出する横方向加速度センサ27Yと、3つの車輪
11FR,11RL及び11RRに夫々対応する位置における
車体の上下方向加速度を夫々個別に検出する上下方向加
速度センサ28FR,28RL及び28RRと、前輪11FL,
11FRより前方の車体下面に夫々路面と対向して配設さ
れた超音波距離センサで構成されるプレビューセンサ2
9L,29Rと、各上下方向加速度センサ28FR〜28
RRの上下方向加速度検出値X2FR ″〜X2RR ″に基づい
て各圧力制御弁20FL〜20RRを能動制御すると共に、
各センサ26、28FR〜28FR及び29L,29Rの検
出値に基づき路面状況に応じて前後輪の圧力制御弁20
FL〜20RRの出力圧を個別に予見制御するコントローラ
30とを備えている。
【0015】油圧シリンダ18FL〜18RRの夫々は、シ
リンダチューブ18aを有し、このシリンダチューブ1
8aには、軸方向貫通孔を有するピストン18cにより
隔設された下側の圧力室Lが形成され、ピストン18c
の上下面の受圧面積差と内圧に応じた推力を発生する。
そして、シリンダチューブ18aの下端が車輪側部材1
4に取り付けられ、ピストンロッド18bの上端が車体
側部材10に取り付けられている。さらに、圧力室Lの
各々は、油圧配管38を介して圧力制御弁20FL〜20
RRの出力ポートに接続されている。
【0016】油圧シリンダ18FL〜18RRの圧力室Lの
各々は、絞り弁32を介してバネ下振動吸収用のアキュ
ムレータ34に接続されている。油圧シリンダ18FL〜
18RRの各々のバネ上,バネ下間には、比較的低いバネ
定数であって車体の静荷重を支持するコイルスプリング
36が配設されている。圧力制御弁20FL〜20RRの夫
々は、スプールを摺動自在に内装した円筒状の弁ハウジ
ングとこれに一体的に設けられた比例ソレノイドとを有
する、従来周知の3ポート比例電磁減圧弁(例えば特開
昭64−74111号参照)で構成されている。そし
て、比例ソレノイドの励磁コイルに供給する指令電流i
(指令値)を調整することにより、弁ハウジング内に収
容されたポペットの移動距離、即ちスプールの位置を制
御し、供給ポート及び出力ポート又は出力ポート及び戻
りポートを介して油圧源22と油圧シリンダ18FL〜1
8RRとの間で流通する作動油を制御できるようになって
いる。
【0017】ここで、励磁コイルに加えられる指令電流
i(:iFL〜iRR)と圧力制御弁20FL(〜20RR)の
出力ポートから出力される制御圧Pとの関係は、図3に
示すように、ノイズを考慮した最小電流値iMIN のとき
には最低制御圧PNIM となり、この状態から電流値iを
増加させると、電流値iに比例して直線的に制御圧Pが
増加し、最大電流値iMAX のときには油圧源22の設定
ライン圧に相当する最高制御圧PMAX となる。この図3
で、iN は中立指令電流,PN は中立制御圧である。
【0018】前後方向加速度センサ27Xは、図4に示
すように、前後方向加速度が零であるときに零の電圧、
加速時の後方向の加速度を検出したときにその加速度値
に応じた正のアナログ電圧、減速時の前方向の加速度を
検出したときに、その加速度値に応じた負のアナログ電
圧でなる前後方向加速度検出値XG を出力するように構
成されている。
【0019】横方向加速度センサ27Yは、図5に示す
ように、横方向加速度が零であるときに零の電圧、左旋
回時の右方向の加速度を検出したときにその加速度値に
応じた正のアナログ電圧、右旋回時の左方向の加速度を
検出したときに、その加速度値に応じた負のアナログ電
圧でなる前後方向加速度検出値YG を出力するように構
成されている。
【0020】上下方向加速度センサ28FR〜28RLの夫
々は、図6に示すように、上下方向加速度センサ28FR
が車体の前右輪11FRの左後方位置に、上下方向加速度
センサ28RL及び28RRが車体の後輪11RL及び11RR
の内側やや後方位置に夫々配設されている。これら上下
方向加速度センサ28FR〜28RRは、図7に示すよう
に、上下方向加速度が零であるときに零の電圧、上方向
の加速度を検出したときにその加速度値に応じた正のア
ナログ電圧、下方向の加速度を検出したときに、その加
速度値に応じた負のアナログ電圧でなる上下方向加速度
検出値ZGFR 〜Z GRR を出力するように構成されてい
る。
【0021】このように、上下方向加速度センサ28FR
〜28RRを、3つの車輪11FR〜11RR位置に配置する
ことにより、図6に示すように、車両にバウンス加速度
Z″、ロール角加速度φ″及びピッチ角加速度θ″が生
じたときに、各上下方向加速度センサ28FR〜28RRか
ら夫々下記(1)〜(3)式で表される上下方向加速度
検出値ZGFR 〜ZGRR が出力される。
【0022】 ZGFR =Z″−L2 θ″+L1 φ″ …………(1) ZGRL =Z″+L4 θ″−L3 φ″ …………(2) ZGRR =Z″+L4 θ″+L3 φ″ …………(3) ここで、L1 は車両の重心点gを通る前後方向線と前右
上下方向加速度センサ28FRとの間の左右方向距離、L
2 は車両の重心点gを通る左右方向線と前右上下方向加
速度センサ28FRとの間の前後方向距離、L3 は車両の
重心点gを通る前後方向線と後左及び後右上下方向加速
度センサ28RL及び28RRとの間の左右方向距離、L4
は車両の重心点gを通る左右方向線と後左及び後右上下
方向加速度センサ28RL及び28RRとの間の前後方向距
離である。
【0023】プレビューセンサ29L及び29Rは、図
6に示すように、車体の下面における前輪11FL及び1
1FRより前方側で前輪11FL及び11FRの延長線上に路
面と対向して配設されている。これらプレビューセンサ
29L及び29Rは、図8に示すように、路面に対して
超音波を発する超音波送波器29aと、この超音波送波
器29aからの超音波が路面で反射された反射波を受信
する超音波受波器29bと、超音波送波器29aを駆動
する発振回路29cと、この発振回路29cに駆動指令
を出力すると共に、超音波受波器29bからの受信信号
を入力して、超音波送波器29aから超音波を発射した
時点から超音波受波器29bで反射を受信する迄の時間
を計測することにより対地距離を測定する距離測定回路
29dとで構成され、距離測定回路29dから対地距離
を表すディジタル信号でなる対地距離検出値HDL及びH
DRが出力される。
【0024】コントローラ30は、図9に示すように、
前後方向加速度センサ27X及び横方向加速度センサ2
7Yから入力される前後加速度検出値XG 及び横加速度
検出値YG をディジタル値に変換するA/D変換器41
X及び41Yと、上下方向加速度センサ28FR〜28RR
から入力される上下加速度検出値ZGFR 〜ZGRR をディ
ジタル値に変換するA/D変換器42FR〜42RRと、車
速センサ26の車速検出値V、プレビューセンサ29
L,29Rの対地距離検出値HDL, DR及び各A/D変
換器41X,41Y,42FR〜42RRのA/D変換出力
が入力されるマイクロコンピュータ42と、このマイク
ロコンピュータ42から出力される圧力指令値をアナロ
グ信号に変換するD/A変換器43FL〜43RRと、これ
らA/D変換器43FL〜43RRのから出力されるアナロ
グ信号を圧力制御弁20FL〜20RRに対する駆動電流i
FL〜iFRに変換する例えばフローティング形定電圧回路
で構成される駆動回路44FL〜44FRとを備えている。
【0025】ここで、マイクロコンピュータ42は、少
なくとも入力側インタフェース回路42a、出力側イン
タフェース回路42b、演算処理装置42c及び記憶装
置42dを有する。入力インタフェース回路42aに
は、車速検出値V、対地距離検出値HDL,HDR及びA/
D変換器41X,41Y,42FR〜42RRの変換出力が
入力され、出力側インタフェース回路42bからは各圧
力制御弁20FL〜20RRに対する圧力指令値PFL〜PRR
を出力する。
【0026】演算処理装置42cは、後述する図10の
処理を実行して、所定サンプリング時間TS (例えば2
0msec)毎に、車速検出値V、対地距離検出値HDL,H
DR、前後方向加速度XG 、横方向加速度YG 及び車体上
下方向加速度ZGFR 〜ZGRRを読込み、上下方向加速度
検出値ZGFR 〜ZGRR に基づいて下記(4)〜(6)式
の演算を行って重心点gにおけるバウンス加速度Z″、
ピッチ角加速度θ″及びロール角加速度φ″を算出し、
これらに基づいて車体の姿勢変化を抑制するために各油
圧シリンダ18FL〜18RRで発生させる姿勢変化抑制制
御力FFL〜FRRを算出する。
【0027】 φ″=(ZGRR −ZGRL )/2L3 ………(6) また、演算処理装置42cは、上下方向加速度検出値Z
GFR 〜ZGRR に基づいて下記(7)式及び(8)式の演
算を行ってプレビューセンサ29L及び29R位置での
車体上下方向加速度ZPL″及びZPR″を算出し、これら
とプレビューセンサ29L及び29Rの対地距離検出値
DL及びHDRとに基づいてプレビューセンサ29L及び
29R位置での路面変位速度R0L′及びR0R′を逐次算
出して、これらに前後方向加速度XG 及び横方向加速度
G と車速Vとによって決定される補正制御ゲインαを
乗算して補正した値を記憶装置42dに形成したシフト
レジスタ領域に順次シフトしながら記憶し、このシフト
レジスタ領域から車速Vに基づいて算出される遅延時間
τF 及びτR によって現在の前輪及び後輪の接地路面の
路面変位速度R0FL , 0FR ′及びR0RL
, 0RR ′を抽出し、これらに前記補正制御ゲインαを
乗算すると共に、制御系の制御ゲインGを乗算して各圧
力制御弁20FL〜20RRに対する予見制御力UFL〜URR
を算出し、姿勢変化抑制制御力FFL〜FFRと予見制御力
FL〜URRとに基づいて各圧力制御弁に対する圧力指令
値PFL〜PRRを算出し、これらを夫々D/A変換器43
FL〜43RRに出力する。
【0028】 ZPL″=Z″−L6 θ″−L5 φ″ ………(7) ZPR″=Z″−L6 θ″+L5 φ″ ………(8) さらに、記憶装置42dは、予め演算処理装置42cの
演算処理に必要なプログラムが記憶されていると共に、
所定サンプリング時間TS 毎に、算出される路面変位速
度R0L′及びR0R′を夫々順次シフトさせながら所定数
格納するシフトレジスタ領域が形成されていると共に、
予め設定された前後加速度及び車速と補正制御ゲインα
X との関係を表す3次元の前後加速度ゲイン算出マップ
及び横加速度及び車速と補正制御ゲインαY との関係を
表す3次元の横加速度ゲイン算出マップが記憶されてお
り、さらに演算処理装置42cの演算過程で必要な演算
結果を逐次記憶する。
【0029】ここで、前後加速度ゲイン算出マップは、
図10に示すように、車速Vが低車速であるときには、
前後方向加速度XG の絶対値|XG |が予め設定した所
定値XGS1 未満であるときには、前後加速度ゲインαX
が“1”に設定され、所定値XGS1 以上で予め設定され
た所定値XGS2 未満の間では、前後方向加速度XG の増
加に伴って順次減少し、所定値XGS2 以上では“0”と
なり、さらに車速Vの増加に伴って所定値XGS1 及びX
GS2 が増加すると共に、これら所定値XGS1 及びXGS2
間のゲイン減少率が徐々に小さくなるように設定されて
いる。
【0030】このように前後加速度ゲイン算出マップを
設定する理由は、定速走行と仮定して算出した予見距離
通過時間Tに対する加減速走行したときの実際の予見距
離通過時間T′の誤差時間δtは、後述するように前後
加速度XG が大あるいは車速Vが小になるほど増加こと
に着目し、前後加速度XG が同じであってもそのときの
車速Vが低いほど誤差時間δtの影響でプレビュー制御
効果が悪化することになるので、これを解決するため
に、同一前後方向加速度XG であっても低車速になるほ
どゲインを小さく設定している。
【0031】すなわち、予見距離LP とこの予見距離L
P を前後加速度XG で走行するのに要する予見距離通過
時間τ′とは、図11に示すように、横軸に時間を、縦
軸に車速Vをとると、初速をV1 とし、予見距離LP
達したときの終速をV2 とする傾きXG の直線LJ とそ
の両端から横軸に降ろした垂線LK1, K2と横軸とで囲
まれる面積が予見距離LP となり、この面積に達した時
間が予見距離通過時間τ′となるので、 LP ={(V1 +V2 )/2}τ′ …………(9) で表すことができる。ここで、V2 =V1 +XG ・τ′
であるので、これを上記(9)式に代入して整理する
と、 LP =V2 τ′−XG τ′2 /2 …………(10) となり、この(10)式から予見距離通過時間τ′を求
めると、 τ′=LP /V2 +XG τ′2 /2V2 …………(11) となる。
【0032】一方、予見距離LP 走行後の車速から求め
られる予見時間τは、 τ=LP /V2 …………(12) で表されるので、予見距離時間τと実際の予見距離通過
時間τ′との誤差時間δtは、 δt=τ′−τ =(LP /V2 +XG τ′2 /2V2 )−LP /V2 =XG τ′2 /2V2 …………(13) で表すことができる。
【0033】ところで、τ′=τ+δtであるので、こ
れを上記(13)式に代入すると、 δt=XG (τ+δt)2 /2V2 =XG τ2 (1+δt/τ)2 /2V2 …………(14) となり、δt/τ≪1であるので、 δt≒XG τ2 (1+2δt/τ)/2V2 …………(15) となり、この(15)式を誤差時間δtについて解く
と、 δt−(XG τ2 /2V2 )(2δt/τ)≒XG τ2 /2V2 (1−XG τ/V2 )δt≒XG τ2 /2V2 δt≒(XG τ2 /2V2 )/(1−XG τ/V2 ) =XG τ2 /{2(V2 −XG τ)} …………(16) となり、この(16)式に前記(12)式を代入するこ
とにより、 となり、誤差時間δtは車速V2 と前後加速度XG によ
って変化し、前後加速度XG 大或いは車速V2 小で誤差
時間δtが増加することになる。
【0034】同様に、横加速度ゲイン算出マップは、図
12に示すように、車速Vが低車速であるときには、横
方向加速度YG の絶対値|YG |が予め設定した所定値
GS 1 未満であるときには、横加速度ゲインαY
“1”に設定され、所定値YGS1以上で予め設定された
所定値YGS2 未満の間では、横方向加速度YG の増加に
伴って順次減少し、所定値YGS2 以上では“0”とな
り、さらに車速Vの増加に伴って所定値YGS1 及びY
GS2 が増加すると共に、これら所定値YGS1 及びYGS2
間のゲイン減少率が徐々に小さくなるように設定されて
いる。
【0035】このように、横加速度ゲイン算出マップを
設定する理由は、車両の旋回中心は、車速Vが低い時に
は後輪軸の延長上にあるため前輪と後輪との走行軌跡差
が大きくなることに着目し、このような走行軌跡差が大
きくなる低速旋回走行時ほどプレビュー制御効果が悪化
することになるので、これを解決するために、同一横加
速度YG であっても低車速になる程ゲインを小さく設定
している。
【0036】次に、上記実施例の動作をマイクロコンピ
ュータ42における演算処理装置42cの処理手順を示
す図13のフローチャートを伴って説明する。すなわ
ち、図13の処理は所定サンプリング時間TS (例えば
10msec)毎のタイマ割込処理として実行され、先ず、
ステップS1で、車速検出値V、前後方向加速度検出値
G 、横方向加速度検出値YG 、車体上下方向加速度検
出値ZGi(i=FL,FR,RL,RR)及び対地距離検出値H
Dj(j=L,R)を読込む。
【0037】次いで、ステップS2に移行して、前記
(4)〜(6)式の演算を行って、バウンス加速度
Z″、ピッチ角加速度θ″及びロール角加速度φ″を算
出し、次いで、ステップS3に移行して、算出されたバ
ウンス加速度Z″、ピッチ角加速度θ″及びロール角加
速度φ″をもとに前記(7)式及び(8)式の演算を行
って、プレビューセンサ29L及び29R位置での車体
上下方向加速度ZpL″及びZ pR″を算出してからステッ
プS4に移行する。
【0038】このステップS4では、下記(18)式〜
(20)式に示すように、上下方向加速度Z″、ピッチ
角加速度θ″及びロール角加速度φ″を1次遅れの伝達
関数L〔fZ〕、L〔fθ〕及びL〔fφ〕で表される
ローパスフィルタ処理によって積分した値に予め設定さ
れたバウンス制御ゲインGZ、ピッチ制御ゲインGθ及
びロール制御ゲインGφを乗算することにより、バウン
ス制御力FZ、ピッチ制御モーメントMθ及びロール制
御モーメントMφを算出する。
【0039】 FZ=GZ・fZ(Z″)但し、L〔fZ〕=1/(s+ωZ)………(18) Mθ=Gθ・fθ(θ″)但し、L〔fθ〕=1/(s+ωθ)………(19) Mφ=Gφ・fφ(φ″)但し、L〔fφ〕=1/(s+ωφ)………(20) ここで、fZ,fθ,fφは積分手段としてのローパス
フィルタで、夫々のゲインGZ,Gθ,Gφ及びカット
オフ周波数ωZ/2π,ωθ/2π,ωφ/2πは個別
に設定することができ、sは微分演算子(ラプラシア
ン)である。
【0040】次いで、ステップS5に移行して、下記
(21)式〜(24)式の演算を行って、4輪の油圧シ
リンダ18FL〜18RRで並進運動を発生すべき姿勢変化
抑制制御力FFL〜FRRを算出する。 FFL=(−Lr ・FZ+Mθ+Lr ・Mφ/d)/2(Lf +Lr )…(21) FFR=(−Lr ・FZ+Mθ−Lr ・Mφ/d)/2(Lf +Lr )…(22) FRL=(−Lf ・FZ−Mθ+Lf ・Mφ/d)/2(Lf +Lr )…(23) FRR=(−Lf ・FZ−Mθ−Lf ・Mφ/d)/2(Lf +Lr )…(24) ここで、Lf は重心点gから前輪までの前後方向距離、
r は重心点gから後輪までの前後方向距離、dは重心
点gから各車輪11FL〜11RRまでの左右方向距離であ
る。
【0041】次いで、ステップS6に移行して、プレビ
ューセンサ29L及び29Rの対地距離検出値HDjに対
して1次のハイパスフィルタ処理を行うことにより微分
を行って対地距離変位速度HDj′を算出する。次いで、
ステップS7に移行して、プレビューセンサ29L及び
29R位置での車体上下方向加速度検出値Zpj″に対し
て1次のローパスフィルタ処理を行うことにより積分を
行って車体上下方向変位速度HUj′を算出する。
【0042】次いで、ステップS8に移行して、下記
(25)及び(26)式の演算を行うことにより、ステ
ップS7で算出した対地距離変化速度HDj′とステップ
S6で算出したプレビューセンサ29L及び29R位置
での車体上下方向速度ZPj′とを加算して、路面状況を
表す路面推定値R0j′を算出する。ここで、対地距離変
化速度HDj′と車体上下方向速度ZPj′とを加算して路
面推定値R0j′を得ることができる理由は、対地距離検
出値HDjは車体の対地距離から車体変位を減算した値で
表されるので、これらを微分した対地距離変化速度
Dj′も実際の対地距離変化速度に車体上下方向速度Z
Pj′を減算したものとなり、対地距離変化速度HDj′か
ら車体上下方向速度X2j′を加算することにより、プレ
ビューセンサ29L,29R位置での車体上下方向速度
Pj′を相殺して路面凹凸にのみ応じた路面推定値
0j′を得ることができる。
【0043】R0L′=HDL′+ZPL′ …………(25) R0R′=HDR′+ZPR′ …………(26) 次いで、ステップS9に移行して、車速検出値Vと前後
方向加速度検出値XGとをもとに図10の前後加速度ゲ
イン算出マップを参照して、前後加速度ゲインαX を算
出し、次いでステップS10に移行して、車速検出値V
と横方向加速度検出値YG とをもとに図12の横加速度
ゲイン算出マップを参照して、横加速度ゲインαY を算
出し、次いでステップS11に移行して、算出された前
後加速度ゲインαX 及び横加速度ゲインαY を乗算して
補正制御ゲインα(=αX ・αY)を算出する。
【0044】次いで、ステップS12に移行して、路面
変位速度R0j′に補正制御ゲインαを乗算して予見制御
値RPj′を算出し、次いでステップS13に移行して、
算出した予見制御値RPL′及びRPR′に対して、低域側
のカットオフ周波数fCLを例えば0.5Hz、高域側の
カットオフ周波数fCHを例えば10Hzに設定したバン
ドパスフィルタ処理を行って、人間の感覚が鈍い低周波
数成分及び高周波数成分でのゲインを低下させて制御エ
ネルギーの消費量を低減させて予見制御に必要な周波数
領域のみでなる予見制御値RPL′及びRPR′を抽出し、
これらを夫々記憶装置42dに形成したシフトレジスタ
領域に順次シフトしながら格納する。
【0045】次いで、ステップS14に移行して、車速
検出値Vと予め設定された制御系の応答遅れ時間τ1
予め設定されたコントローラ演算むだ時間τ2 及びフィ
ルタによる位相遅れ時間τ3 とをもとに下記(27)式
及び(28)式の演算を行って、プレビューセンサ29
L,29Rで検出した路面に前輪11FL,11FR及び後
輪11RL,11RRが到達するまでの遅延時間(予見時
間)τF,τR を算出する。
【0046】 τF =(LP /V)−(τ1 +τ2 +τ3 ) …………(27) τR =τF +(L/V) …………(28) ただし、LP はプレビューセンサ29L,29Rで検知
する路面と前輪11FL,11FRとの間の距離、Lはホイ
ールベースである。次いで、ステップS15に移行し
て、シフトレジスタ領域に格納されている遅延時間τF
及びτR だけ前の予見制御値RPL′及びRPR′を夫々読
出し、これらを現在の前輪11FL,11FR及び後輪11
RL,11RRが接地している路面の前輪側路面推定値R
0FL ′,R0FR ′及び後輪側路面推定値R0RL ′,R
0RR ′として設定する。
【0047】次いで、ステップS16に移行して、前輪
側路面推定値R0FL ′,R0FR ′及び後輪側路面推定値
0RL ′,R0RR ′に前記ステップS11で算出した補
正制御ゲインαを乗算することにより、旋回状態及び加
減速状態での補正を加えた前輪側予見制御値RPFL ′,
PFR ′及び後輪予見制御値RPRL ′,RPRR ′を算出
する。
【0048】次いで、ステップS17に移行して、前輪
側予見制御値RPFL ′,RPFR ′及び後輪予見制御値R
PRL ′,RPRR ′をもとに下記(29)〜(32)式の
演算を行って前輪側予見制御力UpFL,pFR 及び後輪側
予見制御力UpRL,pRR を算出し、これを記憶装置42
dの所定記憶領域に更新記憶してからステップS18に
移行する。
【0049】 UpFL =−〔Cp +{1/(ω1 +s)}Kp 〕RPFL ′…………(29) UpFR =−〔Cp +{1/(ω1 +s)}Kp 〕RPFR ′…………(30) UpRL =−〔Cp +{1/(ω1 +s)}Kp 〕RPRL ′…………(31) UpRR =−〔Cp +{1/(ω1 +s)}Kp 〕RPRR ′…………(32) ただし、Cp は減衰力制御ゲイン、Kp はばね力制御ゲ
イン、ω1 は制御上のカットオフ周波数fC に2πを乗
じた値であって、実際のサスペンションの減衰定数C及
びばね定数Kに対して、Cp ≦C,Kp ≦Kに設定さ
れ、且つω1 ≧0に設定される。なお、sはラプラス演
算子である。
【0050】ステップS18では、上記ステップS17
で算出した各予見制御力UFL〜URRと前記ステップS5
で算出した姿勢変化抑制制御力FFL〜FRRとに基づいて
下記(40)式〜(43)式に従って、総合制御力UFL
〜URRを算出する。 UFL=UN +FFL+UpFL …………(40) UFR=UN +FFR+UpFR …………(41) URL=UN +FRL+UpRL …………(42) URR=UN +FRR+UpRR …………(43) ここで、UN は車高を目標車高に維持するために必要な
制御力である。
【0051】次いで、ステップS19に移行して、上記
ステップS18で算出した各制御力UFL〜URRに対応す
る圧力指令値PFL〜PRRを夫々D/A変換器43FL〜4
3RRに出力してからタイマ割込処理を終了して所定のメ
インプログラムに復帰する。この図13の処理におい
て、ステップS3,S6〜S8の処理とプレビューセン
サ29L,29R及び上下加速度センサ28FR〜28RR
とが前方路面情報検出手段に対応し、ステップS9〜S
11の処理がゲイン設定手段に対応し、ステップS12
〜S15の処理が路面情報抽出手段に対応し、ステップ
S16〜S19の処理が予見制御手段に対応している。
【0052】したがって、今、車両が目標車高を維持し
て停車状態にあるものとし、乗員の乗降及び荷物の積載
がないものすると、この状態では、車両に揺動を生じな
いので、前後方向加速度センサ27X及び横方向加速度
センサ27Yの前後加速度検出値XG 及び横加速度検出
値YG と各上下方向加速度センサ28FR〜28RRの車体
上下方向加速度検出値ZGFR 〜ZGRR とが略零となって
いると共に、プレビューセンサ29L及び29Rの対地
距離検出値HDL及びHDRは目標車高を表している。
【0053】このため、ステップS2で算出される上下
加速度Z″、ピッチ角加速度θ″及びロール角加速度
φ″が共に零となると共に、ステップS3で算出される
プレビューセンサ29L,29R位置での上下方向加速
度ZPL″,ZPR″も零となり、ステップS4で算出され
るバウンス制御力FZ、ピッチ制御モーメントMθ及び
ロール制御モーメントMφも零となり、ステップS5で
算出される各車輪位置での姿勢変化抑制制御力FFL〜F
RRも零となる。
【0054】また、車体に上下動がないと共に、車両が
停車中であって路面変動がないことから、ステップS6
で算出される対地距離変化速度HDL′及びHDR′も略零
であり、且つステップS7で算出される左右のプレビュ
ーセンサ29L,29R位置での上下速度ZPL′及びZ
PR′も略零となるので、ステップS8で算出される路面
推定値R0L′及びR0R′も略零となる。
【0055】一方、車両が停車状態であって、車速検出
値Vが零であり、前後方向加速度検出値XG 及び横方向
加速度検出値YG も零であることから、ステップS9及
びS10で算出される前後加速度ゲインαX 及び横加速
度ゲインαY が“1”に設定されるためステップS11
で算出される補正制御ゲインαが“1”に設定される
が、路面推定値R0L′及びR0R′が略零であることか
ら、ステップS12で算出される予見制御値RPL′及び
PR′も零となり、これらがバンドパスフィルタ処理さ
れて記憶装置42dに形成されたシフトレジスタ領域に
順次シフトしながら格納される。
【0056】さらに、車速検出値Vが零であることによ
り、ステップS14で算出される前輪側遅延時間τF
び後輪側遅延時間τR は共に無限大となるが、シフトレ
ジスタ領域のデータ量が限られているので、その最長時
間のシフト位置の予見制御値RPL′及びRPR′を読出し
て、前輪路面推定値R0FL ′,R0FR ′及び後輪路面推
定値R0RL ′,R0RR ′として設定するが車両が停車状
態を継続しているため、各推定値R0FL ′,R0FR ′,
0RL ′,R0RR ′も零となっている。
【0057】したがって、ステップS16で算出される
前輪予見制御値RPFL ′,RPFR ′及び後輪予見制御値
PRL ′,RPRR ′も零となるため、ステップS17で
算出される前輪側予見制御力UPFL,PFR 及び後輪側予
見制御力UPRL,PRR も零となり、結局、ステップS1
8で算出される総合制御力UFL〜URRは前述したように
姿勢変化抑制制御力FFL〜FRRも零であるので、目標車
高を維持する中立制御力UN のみとなり、これらに応じ
た圧力指令値PFL〜PRRがD/A変換器43FL〜43RR
を介して駆動回路44FL〜44RRに出力される。これに
応じて駆動回路44FL〜44RRから中立電流値iN の励
磁電流iFL〜iRRが圧力制御弁20FL〜20RRに出力さ
れ、これら圧力制御弁20FL〜20RRの制御圧PC が中
立圧PNに制御され、これが油圧シリンダ18FL〜18R
Rに供給されるので、これら油圧シリンダ18FL〜18R
Rで目標車高を維持する推力が発生される。
【0058】この停車状態からブレーキペダルを解放し
てアクセルペダルを軽く踏込むことにより、車両を平坦
な路面で直進状態で緩発進させると、この緩発進状態で
は、車両に生じる前後方向加速度XG は小さく、車両の
後輪側が沈み込む所謂スカット現象を僅かに発生しよう
とするが、ステップS4でスカット現象を抑制する負の
ピッチ制御モーメントMθが算出されることにより、ス
テップS5で算出される前輪側の姿勢変化抑制制御力F
FL及びFFRがピッチ制御モーメントMθに応じた負の値
となり、後輪側の姿勢変化抑制制御力FRL及びFRRがピ
ッチ制御モーメントMθに応じた正の値となる。
【0059】このとき、車両が緩発進状態であるので、
前後方向加速度XG は小さい値となっているため、ステ
ップS9で算出される前後加速度ゲインαX は略“1”
の状態を維持し、直進走行状態であるため横方向加速度
検出値YG ″は零を維持しているので、横加速度ゲイン
αY も“1”を維持するので、補正制御ゲインαは略
“1”の状態を維持する。
【0060】一方、平坦な路面を走行していることによ
り、路面変位はなく、シフトレジスタ領域に格納されて
いる前回までの予見制御値RPL′及びRPR′は全て零を
維持していることから、ステップS15で読出される現
在前輪11FL,11FR及び後輪11RL,11RRが接地し
ている路面の路面推定値R0FL ′,R0FR ′及び
0R L ′,R0RR ′は略零を維持しており、ステップS
17で算出される前輪側予見制御力UPFL,PFR 及び後
輪側予見制御力UPRL,PRR は略零を維持する。
【0061】したがって、ステップS18で算出される
総合制御力は、前輪側総合制御力U FL,UFRについては
中立制御力UN に負の姿勢変化抑制制御力FFL,FFR
加算することにより、姿勢変化抑制制御力FFL,FFR
減少し、後輪側総合制御力U RL,URRについては中立制
御力UN に正の姿勢変化抑制制御力FRL,FRRを加算す
ることにより、姿勢変化抑制制御力FRL,FRR分増加
し、これに応じて前輪側の油圧シリンダ18FL,18FR
の内圧が中立圧PN より減少し、後輪側の油圧シリンダ
18RL,18RRの内圧が中立圧PN より増加して、僅か
なスカット現象を抑制して、車体を略フラットな状態に
維持する。
【0062】このようにな緩発進状態で、例えば左側車
輪11FL及び11RLの通過する走行軌跡の前方の路面に
一過性の突起がある場合には、先ず、左側のプレビュー
センサ29Lが突起を検出することにより、これから出
力される対地距離検出値HDLが突起の頂点に達するまで
は突起の形状に応じて急激に小さい値に変化し、突起の
頂点を越えると突起の形状に応じて急激に大きい値に変
化し、突起を通過し終わると目標車高に復帰する。
【0063】この間に、前左輪11FLが突起に乗り上げ
ないものとすると、車体は揺動することがないので、ス
テップS3で算出されるプレビューセンサ29L,29
R位置での上下方向加速度ZPL″及びZPR″は零の状態
を維持するため、ステップS6で算出される上下方向速
度ZPL′及びZPR′は零の状態を維持するが、ステップ
S7で算出される対地距離変化速度HDL′は突起の頂点
に達するまでは負方向に増加し、突起の頂点で零とな
り、その後正方向に増加してから目標車高に復帰するこ
とになる。この結果、ステップS8で算出される左輪側
の路面推定値R0L′が対地距離変化速度HDL′の変化に
応じて変化することになり、このときの補正制御ゲイン
αは略“1”であるので、路面推定値R0L′が略そのま
ま予見制御値RPL′としてシフトレジスタ領域に順次シ
フトしながら格納される。
【0064】そして、ステップS14で車速検出値Vを
もとに前記(27)式及び(28)式の演算を行って、
プレビューセンサ29L,29Rで検出した路面に前輪
11FL,11FR及び後輪11RL,11RRが到達する迄の
遅延時間τF 及びτR を算出する。ところで、左側のプ
レビューセンサ29Lで路面の突起を検出した時点で
は、前左輪11FLが突起に到達しておらず、この時点で
は、シフトレジスタ領域に格納されている前回までの左
輪側の予見制御値RPL′は略零であるので、遅延時間τ
F 及びτR 前の予見制御値即ち現在前左輪11FL及び後
左輪11RLが接地している路面の路面推定値R0FL ′及
びR0RL ′が零であるため、前後輪側の総合制御力
FL,UFR及びURL,URRは中立制御力UN を維持す
る。
【0065】その後、前左輪11FLが突起位置に到達す
ると、そのときに算出される遅延時間τF だけ前にシフ
トレジスタ領域に格納された予見制御値RPL′が突起の
形状を表す値となっているので、この予見制御値RPL
を路面推定値R0FL ′として、これに基づいて前輪側予
見制御力UpFL が算出されることにより、この前輪側予
見制御力UpFL が前回の処理時の零から負方向に増加
し、これによってステップS14で算出される前左輪1
1FLに対する総合制御力UFLが中立制御力UN より前輪
側予見制御力UpFL 分だけ減少する。
【0066】このため、駆動回路44FLから出力される
指令電流iFLが低下し、これによって圧力制御弁20FL
から出力される制御圧PC が中立圧PCNより低下して、
油圧シリンダ18FLの推力が低下され、前左輪11FLの
突起乗り上げを事前に許容することができ、前左輪11
FLの突起乗り上げによる車体側部材10の揺動を確実に
抑制することができる。以後、順次シフトレジスタ領域
に格納されている突起に対応した予見制御値RPL′が順
次路面推定値R0FL ′として読出されることにより、突
起通過の影響が車体側部材10に伝達されることなく、
良好な乗心地を確保することができる。
【0067】その後、同様に後左輪11RLが突起に到達
する状態となると、上記した前左輪11FLと同様に、シ
フトレジスタ領域から後輪側遅延時間τR だけ前の予見
制御値RPL′を路面推定値RPRL ′として読出すことに
より、前左輪11FLと同様に、後左輪側の油圧シリンダ
18RLで路面状況に応じた予見制御力を発揮して良好な
乗心地を確保することができる。
【0068】同様に、右側輪11FR及び11RRの走行軌
跡上に突起がある場合も、上記と同様の予見制御が実行
されることにより、良好な乗心地を確保することができ
る。ところが、停車状態からアクセルペダルを大きく踏
込んで、車両を急発進させる場合には、車両に発生する
前後方向加速度が大きいことから、図14に示すよう
に、前記(27)式及び(28)式で演算される遅延時
間τF 及びτR と、実際にプレビューセンサ29L,2
9Rで検出した路面に前輪11FL,11FR及び後輪11
RL,11RRが到達するまでの時間τF ′及びτR ′との
間に大きな誤差時間δtが生じることになる。
【0069】この場合には、車速センサ26の車速検出
値Vは比較的小さい値となっているが、前後方向加速度
センサ27Xの前後方向加速度検出値XG が所定値X
GS2 以上であるときには、図13の処理が実行されたと
きに、ステップS9で図10に示す前後加速度ゲイン算
出マップを参照して算出される前後加速度ゲインαX
“0”となり、このため補正制御ゲインαも“0”とな
ることから、この間にシフトレジスタ領域に順次格納さ
れる予見制御値RPL′及びRPR′が零となると共に、ス
テップS14で算出された前輪側遅延時間τF 及び後輪
側遅延時間τR に基づいてシフトレジスタ領域から読出
した前輪側路面推定値R0FL ′,R0FR ′及び後輪側路
面推定値R0RL ′,R0RR ′に基づいて算出される前輪
予見制御値RPFL ′,RPFR ′及び後輪予見制御値R
PRL ′,RPRR ′も零となり、結果として予見制御が中
止されて姿勢変化抑制制御のみが実行されることにな
り、大きな誤差時間δtを生じている場合における予見
制御よる乗心地の悪化を確実に防止することができる。
【0070】また、急発進時であっても、前後方向加速
度センサ27Xの前後方向加速度検出値XG が所定値X
GS1 以上で所定値XGS2 未満であるときには、図10に
示す前後加速度ゲイン算出マップを参照して算出される
前後加速度ゲインαX が前後方向加速度検出値XG が増
加するにつれて小さい値となることにより、ステップS
14で算出された遅延時間τF,τR と実際にプレビュー
センサ29L,29Rの検出した路面に前輪11FL,1
1FR及び後輪11RL,11RRが到達する迄の実時間
τF ′,τR ′との誤差時間δtの大きさに反比例して
前後加速度ゲインα X が算出されることにより、これに
応じた予見制御が行われ、誤差時間δtを生じている場
合の予見制御による乗心地の悪化を確実に防止すること
ができる。
【0071】その後、図15に示すように、加速状態か
ら定速走行状態に移行する場合にも、加速状態でシフト
レジスタ領域に格納される予見制御値RPL′及びRPR
が補正制御ゲインαによって車両の加速状態における誤
差時間δtに応じて制限されているので、定速走行状態
となった直後に、図13の処理が実行されたときに、ス
テップS15で読出された加速状態での前輪側路面推定
値R0FL ′,R0FR ′及び後輪側路面推定値R0RL ′,
0RR ′がそのときの加速状態に応じて補正さているの
で、これら前輪側路面推定値R0FL ′,R0FR ′及び後
輪側路面推定値R0RL ′,R0RR ′を使用して前輪側予
見制御値RPFL ′,RPFR ′及び後輪側予見制御値R
PRL ′,RPRR ′を算出しても、誤差時間δtの影響を
極力少なくして乗心地を確保することができる。
【0072】そして、高速走行状態となるに従って、ス
テップS9で算出される前後加速度ゲインαX を減少さ
せる所定値XGS1 の値が大きくなることにより、誤差時
間δtが車速Vの増加あるいは前後方向加速度XG の減
少によって小さくなることになるため効果的な予見制御
効果を行うことができる。また、定速走行状態から加速
状態に移行したときには、前述した発進時と同様に、加
速状態に移行した直後から前後加速度XG に基づいて補
正制御ゲインαが算出されることにより、発進加速時と
同様の補正制御ゲインαに基づいて予見制御値RPL′,
PR′及びRPFL ′〜RPRR ′が算出されることによ
り、発進時と同様の動作を行う。
【0073】さらに、車両の定速走行状態からブレーキ
ペダルを踏込むことにより制動状態として減速走行状態
に移行すると、この場合には、前後加速度センサ27X
から負の前後加速度XG が出力されることになるが、図
13の処理が実行されたときに、ステップS9で、前後
加速度XG の絶対値|XG |によって前後加速度ゲイン
算出マップを参照するので、前述した加速走行状態と同
様の減速度が大きくなるにつれて小さい値の前後加速度
ゲインαX が算出されることにより、前述した加速走行
状態と全く同様の補正制御ゲインαによる正確な予見制
御が行われることになり、特に減速走行状態から定速走
行状態に移行する場合に生じる予見制御の誤差時間δt
の影響を極力少なくして乗心地を確保することができ
る。
【0074】一方、車両の直進走行状態から旋回状態に
移行する場合も、その旋回半径に応じてプレビューセン
サ29L,29Rの走行軌跡と前後輪の走行軌跡とに差
が生じ、予見制御効果に影響を与えることになるが、こ
の場合には、図13の処理が実行されたときに、ステッ
プS10で横方向加速度センサ27Yの横方向加速度検
出値YG に基づいて横加速度ゲインαY が算出されるこ
とにより、上記加減速走行状態と同様に予見制御力が抑
制されて、走行軌跡差が生じている場合の予見制御によ
る乗心地の悪化を確実に防止することができる。
【0075】すなわち、車両が低車速で走行している場
合には、小さい横方向加速度であっても、走行軌跡差を
生じさせるものと判断して、横加速度ゲインαY
“1”から減少させる所定値YGS1 が比較的小さい値に
設定されており、横方向加速度検出値YG が所定値Y
GS1 未満であるときには、走行軌跡差が殆どないものと
判断して横加速度ゲインαY が“1”に設定されて、通
常の予見制御が行われるが、横加速度検出値YG が所定
値YGS1 以上で且つ所定値YGS2 未満であるときには、
横加速度検出値YG の増加に応じて走行軌跡差が大きく
なると判断して、横加速度検出値YG の増加に応じて横
加速度ゲインαY が低下することにより、予見制御が抑
制されると共に、シフトレジスタ領域に格納される予見
制御値RPL′及びRPR′も抑制されることになり、横加
速度検出値YG が所定値YGS2 以上となると横加速度ゲ
インαY が“0”に設定されることにより、予見制御が
中止されると共に、シフトレジスタ領域に格納される予
見制御値RPL′及びRPR′も零となる。
【0076】したがって、直進走行状態から旋回状態に
移行するときには、その直前の直進走行状態で正規の予
見制御値RPL′及びRPR′がシフトレジスタ領域に格納
されており、これに基づいて遅延時間τF 及びτR 前の
路面推定値R0FL ′,R0FR′及びR0RL ′,R0RR
が読出され、これに旋回時の補正制御ゲインαを乗算し
て、予見制御値RPFL ′,RPFR ′及びRPRL ′,R
PRR ′を算出することにより、良好な乗心地を確保する
ことができる。
【0077】また、旋回状態から直進走行状態に移行す
る場合には、旋回状態でシフトレジスタ領域に走行軌跡
差に応じて抑制された予見制御値RPL′及びRPR′が格
納されているので、これを使用して予見制御を行うこと
により、走行軌跡差の影響を受けない予見制御を行って
良好な乗心地を確保することができる。この旋回状態で
も、車速検出値Vの増加に伴って、横加速度ゲインαY
を“1”から減少させる所定値YGS1 が大きな値に設定
されているので、同一横加速度検出値YG であっても、
低車速にあるほど横加速度ゲインαY が小さくなり、低
車速時の旋回中心が後輪軸の延長上にあって前輪と後輪
との走行軌跡差が大きくなって予見制御効果が悪化する
ことを確実に防止することができる。
【0078】なお、旋回状態で車体にロールが発生しよ
うとすると、これに応じてロール制御モーメントMφが
算出され、これに基づいロールを抑制する姿勢変化抑制
制御力FFL〜FRRが算出され、これらが予見制御力に加
算されて総合制御力UFL〜U RRが算出されるので、ロー
ルを抑制して車体をフラットな状態に維持することがで
きる。
【0079】さらに、加減速走行と旋回走行とを同時に
行う場合には、前後方向加速度検出値XG に基づいて前
後加速度ゲインαX が算出され、横方向加速度検出値Y
G に基づいて横加速度ゲインαY が算出され、両ゲイン
αX 及びαY を乗算して補正制御ゲインαを算出するの
で、双方の走行状態を同時に加味した補正制御ゲインα
を設定することができ、種々の走行状態に応じた最適の
予見制御を行うことができる。
【0080】さらにまた、悪路等を走行する状態となっ
て、車体側部材10にバウンスを生じることになると、
ステップS4でこのバウンスを抑制する制御力FZが算
出され、この制御力FZに基づいてステップS5でバウ
ンスを抑制する姿勢変化抑制制御力FFL〜FRRが算出さ
れ、これと予見制御力UpFL 〜UpRR とに基づいて総合
制御力UFL〜URRが算出されることにより、バウンスを
抑制することができる。
【0081】なお、上記実施例においては、前輪より前
方位置に配設したプレビューセンサとして超音波距離セ
ンサを適用した場合について説明したが、これに限らず
レーザ距離計等の非接触式センサを適用したり、路面に
接触するローラ等を設けて車体と路面との相対変位を測
定するようにしてもよい。また、上記実施例において
は、前輪より前方位置に配設したプレビューセンサ29
L,29Rによって路面推定値RPL′及びRPR′を検出
する場合について説明したが、これに限定されるもので
はなく、前輪11FL及び11FRに夫々ストロークセンサ
を配設し、このストロークセンサのストローク検出値と
前輪位置での車体上下方向加速度とに基づいて路面推定
値を算出し、この路面推定値に基づいて後輪側の油圧シ
リンダ18RL,18RRを予見制御するようにしてもよ
い。
【0082】さらに、上記実施例においては、マイクロ
コンピュータ42で全ての演算を行う場合について説明
したが、これに限らずプレビューセンサ29L,29R
位置の車体側部材にも上下方向加速度センサを設け、プ
レビューセンサ29L,29R及び上下方向加速度セン
サの検出値を夫々ハイパスフィルタ及びローパスフィル
タで微分及び積分し、両者を加算器で加算する路面推定
回路を設け、この路面推定回路から出力される路面推定
値をマイクロコンピュータ42に入力するようにしても
よい。
【0083】さらにまた、上記実施例においては、予見
制御値RPL′及びRPR′をシフトレジスタ領域に順次シ
フトしながら格納する場合について説明したが、これに
限らず、予見制御値RPL′及びRPR′に基づいて(2
9)〜(32)式に従って算出した予見制御用制御力U
pFL 〜UpRR をシフトレジスタ領域に順次シフトしなが
ら格納し、遅延時間τF 及びτR だけ前の予見制御用制
御力UpFL,pFR 及びU PRL,pRR を読出すようにして
もよい。
【0084】また、上記実施例においては、3つの上下
方向加速度センサ28FR〜28RRを配置して、残りの一
か所については演算で上下方向加速度を推定する場合に
ついて説明したが、これに限らず、4輪11FL〜11RR
に対応する位置に夫々上下方向加速度センサを配設する
ようにしてもよい。さらに、上記実施例においては、制
御弁として圧力制御弁20FL〜20RRを適用した場合に
ついて説明したが、これに限定されるものではなく、他
の流量制御型サーボ弁等を適用し得るものである。
【0085】さらにまた、上記実施例においては、コン
トローラ30をマイクロコンピュータ62で構成した場
合について説明したが、これに限定されるものではな
く、図16に示すように、電子回路で構成するようにし
てもよい。すなわち、図16では、例えば左前輪側の1
系統のみの回路構成が表されており、車速センサ26、
前後方向加速度センサ27X及び横方向加速度センサ2
7Yの各検出値に基づいて補正制御ゲインαを演算する
ゲイン演算回路50と、3つの上下方向加速度センサ2
8FR〜28RRの検出値に基づいてプレビューセンサ29
L位置での車体上下方向加速度ZPL″を演算する演算回
路51と、この演算回路51から出力される上下方向加
速度ZPL″を積分してプレビューセンサ29L位置での
車体上下速度ZPL′を算出する積分回路52と、プレビ
ューセンサ29Lの対地距離検出値HDLを微分して対地
距離変化速度HDL′を算出する微分回路53と、微分回
路53の対地距離変化速度HDL′と積分回路52の車体
上下速度ZPL′とを加算して真の路面推定値R0L′を算
出する加算器54と、この加算器54から出力される路
面推定値R0L′にゲイン演算回路50で算出された補正
制御ゲインαを乗算して予見制御値RPL′を算出するゲ
イン設定器55と、このゲイン設定器55から出力され
る予見制御値RPL′を車速検出値Vに応じて算出される
前輪側遅延時間τF 分遅延させて前輪11FLでの路面推
定値R0FL ′として出力する遅延回路56と、この遅延
回路56から出力される路面推定値R0FL ′に補正制御
ゲインαを乗算して前輪予見制御値RPFL ′を算出する
ゲイン設定器57と、このゲイン設定器57から出力さ
れる前輪予見制御値RPFL ′に減衰力制御ゲインCを乗
算するゲイン設定器58と、ゲイン設定器57から出力
される前輪予見制御値RPF L ′を積分する積分回路59
と、この積分回路59の積分出力にバネ力制御ゲインK
を乗算するゲイン設定器60と、ゲイン設定器58及び
60の出力を加算して圧力制御弁20FLに対する圧力指
令値として出力する加算器61とを備えている。
【0086】また、上記実施例においては、作動流体と
して作動油を適用した場合について説明したが、これに
限らず圧縮率の少ない流体であれば任意の作動流体を適
用し得る。
【0087】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係るサ
スペンション予見制御装置によれば、予見制御を行うに
当たり、平面運動状態検出手段で車体の平面運動状態を
検出し、この平面運動状態に基づいてゲイン設定手段で
平面運動状態の変化割合が大きくなるにつれて小さい値
となる補正制御ゲインを設定し、設定された補正制御ゲ
インを前方路面情報と制御対象車輪が接地している路面
の路面情報との双方に乗じるようにしたので、車体の平
面運動状態の変化割合から前方路面情報検出手段と制御
対象車輪との走行軌跡差或いは加減速状態によって予見
制御誤差を生じる状態を検出することができると共に、
予見制御誤差を生じている状態では前方路面情報を補正
制御ゲインで抑制すると共に、この前方路面情報に基づ
く制御量を補正制御ゲインで抑制することができ、特
に、加減速走行状態から定速走行状態に、或いは旋回走
行状態から直進走行状態に移行した直後の予見制御を効
果的に行って、最適な乗心地を確保することができると
いう効果が得られる。
【0088】また、請求項2に係るサスペンション予見
制御装置によれば、平面運動状態検出手段が、車両に作
用する横加速度を検出する横加速度検出手段を有し、こ
の横加速度検出手段の横加速度検出値に基づいて車体の
平面運動状態を検出するようにしているので、車両の旋
回状態における前方路面情報検出手段と制御対象車輪と
の走行軌跡差を正確に判断することができるという効果
が得られる。
【0089】さらに、請求項3に係るサスペンション予
見制御装置によれば、平面運動状態検出手段が、車両に
作用する前後加速度を検出する前後加速度検出手段を有
し、この前後加速度検出手段の前後加速度検出値に基づ
いて車体の平面運動状態を検出するようにしているの
で、車両の加減速状態における予見制御タイミングのず
れを正確に判断することができるという効果が得られ
る。
【0090】さらにまた、請求項4に係るサスペンショ
ン予見制御装置によれば、ゲイン設定手段が、傾斜状態
検出手段の検出値が設定値を越えたときに補正制御ゲイ
ンを低下させ、且つその設定値を車速が増加するにつれ
て大きな値に変更するように構成されているので、旋回
状態や加減速状態による予見制御効果の悪化が大きい低
車速時に補正制御ゲインを低下させて正確な予見制御効
果を発揮して乗心地を向上させることができるという効
果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本構成を示す概略構成図である。
【図2】本発明の第1実施例を示す概略構成図である。
【図3】圧力制御弁の指令電流に対する制御圧の関係を
示す特性線図である。
【図4】前後方向加速度センサの出力特性を示す特性線
図である。
【図5】横方向加速度センサの出力特性を示す特性線図
である。
【図6】各センサの配置関係を示す説明図である。
【図7】上下方向加速度センサの出力特性を示す特性線
図である。
【図8】プレビューセンサの一例を示す概略構成図であ
る。
【図9】コントローラの一例を示すブロック図である。
【図10】前後加速度ゲイン算出マップを示す説明図で
ある。
【図11】車両の加速状態における時間に対する車速の
関係を表す特性線図である。
【図12】横加速度ゲイン算出マップを示す説明図であ
る。
【図13】本発明の第1実施例におけるマイクロコンピ
ュータの処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図14】車両が停車状態から加速走行状態に移行した
場合を示す説明図である。
【図15】車両が加速走行状態から定速走行状態に移行
した場合を示す説明図である。
【図16】車両が直進走行状態から旋回走行状態に移行
した場合を示す説明図である。
【図17】車両が旋回走行状態から直進走行状態に移行
した場合を示す説明図である。
【図18】本発明の他の実施例を示すブロック図であ
る。
【符号の説明】
10 車体側部材 11FL〜11RR 車輪 14 車輪側部材 18FL〜18RR 油圧シリンダ 20FL〜20RR 圧力制御弁 22 油圧源 26 車速センサ 27X 前後方向加速度センサ 27Y 横方向加速度センサ 28FR〜28RR 上下方向加速度センサ 29L,29R プレビューセンサ 30 コントローラ 50 ゲイン演算回路 51 上下加速度演算回路 52 積分回路 53 微分回路 54 加算器 55,57 ゲイン設定器 56 遅延回路

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 制御対象車輪と車体との間に配設され、
    それら間のストロークを制御可能な制御力を制御信号に
    基づいて発生するアクチュエータを有し、該アクチュエ
    ータを前記制御対象車輪より前方の路面情報に基づいて
    予見制御するようにしたサスペンション予見制御装置に
    おいて、前記制御対象車輪より前方の路面情報を検出す
    る前方路面情報検出手段と、車速を検出する車速検出手
    段と、車両の走行状態に応じた車体の平面運動状態を検
    出する平面運動状態検出手段と、該平面運動状態検出手
    段で検出した平面運動状態の変化の割合が大きくなるに
    つれて小さい値となる補正制御ゲインを設定するゲイン
    設定手段と、前記前方路面情報検出手段の前方路面情報
    に前記補正制御ゲインを乗じて予見情報とし、該予見情
    報から前記車速検出手段の車速検出値に基づいて前記制
    御対象車輪が接地している路面の路面情報を抽出する路
    面情報抽出手段と、該路面情報抽出手段の路面情報に前
    記補正制御ゲインを乗じて予見制御量を算出し、該予見
    制御量に応じた制御信号を前記アクチュエータに出力す
    る予見制御手段とを備えたことを特徴とするサスペンシ
    ョン予見制御装置。
  2. 【請求項2】 前記平面運動状態検出手段は、車両に作
    用する横加速度を検出する横加速度検出手段を有し、該
    横加速度検出手段の横加速度検出値に基づいて車体の平
    面運動状態を検出するように構成されていることを特徴
    とする請求項1記載のサスペンション予見制御装置。
  3. 【請求項3】 前記平面運動状態検出手段は、車両に作
    用する前後加速度を検出する前後加速度検出手段を有
    し、該前後加速度検出手段の前後加速度検出値に基づい
    て車体の平面運動状態を検出するように構成されている
    ことを特徴とする請求項1記載のサスペンション予見制
    御装置。
  4. 【請求項4】 前記ゲイン設定手段は、平面運動状態検
    出手段の検出値が設定値を越えたときに補正制御ゲイン
    を低下させ、且つ当該設定値を車速が増加するにつれて
    大きな値に変更するように構成されていることを特徴と
    する請求項2又は3に記載のサスペンション予見制御装
    置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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