JPH08338537A - ラビリンスシール - Google Patents

ラビリンスシール

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JPH08338537A
JPH08338537A JP14360995A JP14360995A JPH08338537A JP H08338537 A JPH08338537 A JP H08338537A JP 14360995 A JP14360995 A JP 14360995A JP 14360995 A JP14360995 A JP 14360995A JP H08338537 A JPH08338537 A JP H08338537A
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JP
Japan
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labyrinth seal
labyrinth
chamber
fluid
rotating
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Application number
JP14360995A
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English (en)
Inventor
Yoshiichi Ikeda
田 宣 一 池
Tatsuo Yamashita
下 達 雄 山
Toshio Hirano
野 俊 夫 平
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
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  • Sealing Using Fluids, Sealing Without Contact, And Removal Of Oil (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ラビリンスシール本来の目的である流体のシ
ール効果を損なうことなく、自励振動を抑制することが
できるラビリンスシールを提供する。 【構成】 回転式流体機械を構成する回転部1とこれを
包囲する静止部6との間に静止部内を高圧部と低圧部と
に区画するラビリンスシール20が配置されている。ラ
ビリンスシール20は静止部6に固着されたシール本体
21と、シール本体21から回転部側に突出して回転部
1との間に絞り部23を形成するとともに複数のチャン
バ24を形成する複数のラビリンスフィン22を備えて
いる。シール本体21には高圧部からチャンバ24aに
向かって流体を導く通路25が形成され、通路25のチ
ャンバ側吹出口26は流体の流れ方向上流側に向かって
いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、蒸気タービン、ガスタ
ービン、圧縮機などの回転式流体機械において、内部の
高圧流体をシールするために広く用いられているラビリ
ンスシールに係り、とりわけこれら回転式流体機械の軸
系の自励振動を防止する手段を備えたラビリンスシール
に関する。
【0002】
【従来の技術】図22および図23に、ラビリンスシー
ルを備えた回転式流体機械の一例として蒸気タービンが
示されている。
【0003】図22および図23において、回転部1に
は動翼2が回転部1を中心として多数配置され、これら
の動翼2はシュラウド3によって周方向に連結されてい
る。また静翼4が、ノズルダイアフラム5を介して動翼
2と向き合うように、静止部6の内部に配置されてい
る。これら動翼2と静翼4とを軸方向に多数並べて段落
を構成することにより、この段落を蒸気が通過するにつ
れて、各段落ごとにエンタルピが降下し、この降下分が
動力に変換されている。
【0004】このように各段落で圧力が降下し、そのエ
ンタルピ差が有効に動力に変換されるためには、各段落
間の蒸気の漏れが完全に遮断されている必要がある。し
かしながら実際には、ノズルダイアフラム5と回転部1
との間、またはシュラウド3と静止部6との間を通っ
て、圧力の低い側へと蒸気が漏れてしまうことがあり、
さらには、静止部6を回転部1が貫通する部分であるグ
ランド部7a,7bからも、圧力の低い側へと蒸気が漏
れてしまうことがある。
【0005】このような漏れはタービンの効率を低下さ
せる原因となるため、蒸気の漏れをできる限り小さくす
る必要がある。そこで、上記の各部材間にはラビリンス
シールが配置され、上記の漏れを効率よく抑制してい
る。
【0006】ラビリンスシールには、シール本体から回
転部側に向かって回転部表面に極めて近接した部分まで
突出する環状の歯(ラビリンスフィン22)が備えられ
ており、このラビリンスフィン22は、回転部1を取り
囲むように配置されており、このラビリンスフィン22
と回転部1の外周面によって、絞り部23とチャンバ2
4が形成されている。蒸気はチャンバ24で膨脹し、絞
り部23で絞られ、この繰り返しによって、作動流体の
漏洩を抑制している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、ラビリ
ンスシールは作動流体の漏洩を有効に抑制する。しか
し、近年のターボ式流体機械の高性能化に伴って、回転
部が自励振動の発生箇所となっていることが指摘されて
いる。この種の自励振動は、蒸気タービンにおいては、
スチームホワールとして知られており、蒸気条件の高圧
化にともなって問題となってきている。
【0008】この自励振動は、ラビリンスシールを通過
する流体の流れが旋回成分を持ち、その結果としてチャ
ンバ内の周方向の圧力分布が不均一になることによっ
て、回転部の振れ回り振動が助長されて発生する。
【0009】図24において、回転部1が振れ回ってい
るとき、すなわち、回転部1の回転軸中心1aと実際の
回転中心1bとが異なっている場合における、ラビリン
スシールにより形成されたチャンバ内の圧力分布15が
示されている。ここで、流体の流れに旋回成分がある
と、圧力のピークは回転部1の振れ回り方向に対して遅
れ方向に位置し、この不均一に分布する圧力が回転部1
に作用する力は、回転部1の振れ回り方向の力Fyと、
Fyと直交する方向の力Fxとに分解することができ
る。このような圧力のピークが発生した場合は、回転部
1は常に振れ回り方向にFyなる力で押され、前述した
ように回転部1の振れ回りが助長され、自励振動が発生
する。
【0010】ラビリンスシールに入る流体の流れに旋回
成分が存在するのは、ターボ式流体機械においては避け
られない。例えば、蒸気タービンでは、ラビリンスシー
ル入口より高圧の上流側に配置されているタービン段落
を通過することによって、流れには必然的に旋回成分が
存在することになるし、また回転部の外周面との摩擦に
よっても、流れに旋回成分が与えられることになる。
【0011】この旋回成分を除去することができれば、
この自励振動を抑制することが可能となる。旋回成分除
去手段としては、チャンバ内に旋回防止板を設置する方
法などが従来から知られている。一例として、これらの
旋回防止板や転向板を使った従来の手段における流れの
様子を図25(a)(b)に示す。図25(a)におい
て、右上側が静止部側、左下側が回転部側となり、左上
側が上流側、右下側が下流側となる。また、図25
(b)は吹き抜け部分の流れの様子を示しており、左側
が上流側、右側が下流側となる。図25(a)は旋回防
止板16が設置された場合の流れの方向を矢印で示した
ものであり、矢印の大きさは流速を示している。この方
法によれば、旋回防止板16が取り付けられている静止
部側の領域では旋回流は除去される。しかしながら図2
5(b)に示すように、旋回防止板16と回転部1とで
形成される間隙から流体は漏れてしまい、最も重要な回
転部1の表面の旋回流は除去できない。このように従来
の手段では、不安定性に深く関与する回転部表面付近の
流れの旋回成分を除去することはできない。
【0012】このように、従来からラビリンスシール内
の旋回成分を除去することにより自励振動を抑制する手
段が種々考えられてきたが、いまだ完全といえる解決策
はみいだされておらず、さらなる改善が望まれている。
【0013】本発明は、このような点を考慮してなされ
たものであり、ラビリンスシール本来の目的である流体
のシール効果を損なうことなく、自励振動を抑制するこ
とができるラビリンスシールを提供することを目的とす
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
回転式流体機械を構成する回転部とこれを包囲する静止
部との間に配置され、静止部内を高圧部と低圧部とに区
画するラビリンスシールであって、静止部に固着された
シール本体と、このシール本体から回転部側に突出して
回転部との間に絞り部を形成するとともに複数のチャン
バを形成する複数のラビリンスフィンとを備え、シール
本体には高圧部からチャンバに向かって流体を導く通路
が形成され、この通路のチャンバ側吹出口は流体の流れ
方向上流側に向かっていることを特徴とするラビリンス
シールである。
【0015】請求項8記載の発明は、回転式流体機械を
構成する回転部とこれを包囲する静止部との間に配置さ
れ、静止部内を高圧部と低圧部とに区画するラビリンス
シールであって、前記静止部から回転部側に突出して回
転部との間に絞り部を形成するとともに複数のチャンバ
を形成する複数のラビリンスフィンを備え、ラビリンス
シール入口および出口およびチャンバ内のうち少なくと
も1つに、障害物を設けたことを特徴とするラビリンス
シールである。
【0016】請求項13記載の発明は、回転式流体機械
を構成する回転部とこれを包囲する静止部との間に配置
され、静止部内を高圧部と低圧部とに区画するラビリン
スシールであって、静止部に設けられたシール本体と、
このシール本体から回転部側に突出して回転部との間に
絞り部を形成するとともに複数のチャンバを形成する複
数のラビリンスフィンと、静止部とシール本体との間に
介在され、シール本体を支持するとともに所定の剛性係
数k1 および減衰係数c1 を有する支持手段を備えたこ
とを特徴とするラビリンスシールである。
【0017】
【作用】請求項1記載の発明によれば、静止部に固着さ
れたシール本体に高圧部からチャンバに向かって形成さ
れた通路に流体が導かれ、この流体は通路のチャンバ側
吹出口から上流側に向かって吹き出される。これによっ
て、ラビリンスシール入口から流入する流体がせき止め
られる。
【0018】請求項8記載の発明によれば、ラビリンス
シール入口および出口およびチャンバ内のうち少なくと
も1つに設けられた障害物によって、ラビリンスシール
入口もしくは出口またはチャンバ内に存在する流体の流
れの旋回成分が減衰または消滅する。
【0019】請求項13記載の発明によれば、静止部と
シール本体との間に介在され、シール本体を支持すると
ともに所定の剛性係数k1 および減衰係数c1 を有する
支持手段によって、回転体が流体から受ける力の変動幅
が最小限に抑制され、これによって、回転体の自励振動
の発生原因となるチャンバ内の流体から回転体が受ける
回転体の振れ回り方向の力が、消滅または減少する。
【0020】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例につい
て3通りに分けて説明する。第1実施例 まず、第1実施例について説明する。図1乃至図8は本
発明の第1実施例を示す図である。図1に示すように、
ラビリンスシール20は、回転式流体機械を構成する回
転部1とこの回転部1を包囲する静止部6との間に配置
されている。このラビリンスシール20によって、静止
部6内は高圧部(図1左側)と低圧部(図1右側)とに
区画されている。ここで、F1 は高圧流体の流れを示し
ており、高圧部側からラビリンスシール20内を通過し
低圧側へと抜けてゆく。
【0021】ラビリンスシール20は、静止部6に固着
されたシール本体21と、シール本体21から回転部1
側に突出した複数のラビリンスフィン22を備えてい
る。これによって、複数のラビリンスフィン22の先端
と回転部1の外周面との間に複数の絞り部23が形成さ
れている。また、互いに隣接するラビリンスフィン22
と、シール本体21と、回転部1の外周面とに囲まれた
部分に複数のチャンバ24が形成されている。
【0022】シール本体21は、その高圧部側において
上部が削り取られたような形状をしており、この削り取
られた部分と静止部6の内周面によって空間27が形成
されている。なお、この空間27は静止部6の内周面を
削り取ることによって形成してもよい。また、図1およ
び図2に示すように、シール本体21には、高圧部の一
部を成す空間27に連通するとともに、最も上流側に位
置するチャンバ24aに向かって空間27から高圧流体
を導く通路25が形成されている。この通路25は円筒
形状で形成されており、その中心軸は回転部1の回転軸
中心線1aに対してαなる角度を有して傾斜している。
これによって、通路25のチャンバ24a側吹出口26
は、角度αで上流側に向かっている。なお、図1および
図2においては、通路25はその中心軸が直線の円筒形
状で形成されているが、通路25はその途中が曲がって
いてもよいが、チャンバ24a側吹出口26は、常に回
転部1方向であってかつ上流側に向かっていることが肝
要である。
【0023】また、通路25および吹出口26の中心軸
は図1および図2に示すように回転部1の回転軸中心線
に対してαなる角度を有して傾斜させるとともに、さら
に図3に示すように、回転部1の回転軸中心線1a方向
に対してβなる角度をつけて形成してもよい。これによ
って、通路25の吹出口26は上流側に向かうととも
に、回転部1の回転方向Rと逆の方向に向かって形成さ
れることになる。
【0024】また、通路25は、1のチャンバ内に複数
設けるのが好ましい。この場合、それぞれの通路25に
対応して設けられた複数の吹出口26は、形成された吹
出口26の数に対応してシール本体21の内周を等分し
た位置に配置されている。すなわち図2および図3に示
されるように、吹出口26は等間隔で配置される。例え
ば吹出口26が偶数個形成される場合には、一の吹出口
26の回転部1の回転軸中心に対する対称位置には、他
の吹出口26が形成されることになる。
【0025】また、図4に示すように、シール本体21
には通路25に加えて、異なるチャンバ間を連通する追
加通路28をさらに形成してもよい。この場合は、下流
側のチャンバ側の開口が吹出口26aとなる。なお、図
5において、追加通路28は隣接するチャンバ間を連通
しているが、吹出口26aを有する追加通路を離れたチ
ャンバ間に設けてもよい。
【0026】また、それぞれの吹出口26aは、上流側
に向かうとともに、回転部1の回転方向Rと逆の方向に
向かって形成されているのが好ましい。この場合も、追
加通路28の吹出口26aは、1のチャンバ内に複数設
けるのが好ましく、形成された吹出口26aの数に対応
してシール本体21の内周を等分した位置に配置するこ
とが好ましい。この場合、各チャンバ内に設けられる吹
出口26,26aの数は同数であることが望ましい。
【0027】このように、各チャンバ内にそれぞれ同数
の複数の吹出口26,26aが形成される場合、各チャ
ンバ内に形成される吹出口26,26aは、図5に示す
ように、シール本体21の内周方向にずらして配置され
るのが望ましい。すなわち、各チャンバ内に形成される
吹出口26,26aは、下流側に行くにしたがってシー
ル本体21の内周方向であって、回転部1の回転方向R
と逆の方向に、寸法xずつ、徐々にずらして配置される
のが望ましい。寸法xは、後述するように設計条件にあ
わせて各チャンバ内の圧力分布(図6参照)のそれぞれ
を適当に打ち消すような値に設定される。
【0028】また、ラビリンスフィン22の突出方向
は、回転部1の回転軸中心線に対して垂直方向に限定さ
れるものではなく、図7に示すように、ラビリンスフィ
ン22は、その先端が上流側を向くように、回転部1の
回転軸中心線に対してθなる角度で傾いて設けてもよ
い。この場合は、吹出口26はチャンバ内における下流
側のラビリンスフィンの近傍に形成される。
【0029】次に、このような構成からなる本実施例の
作用について説明する。図1において、ラビリンスシー
ル20の高圧側の流体は空間27に導かれ、通路25を
通って吹出口26からチャンバ24a内に吹き出され
る。ここで、吹出口26は上流側に向かっているため、
流体は、上流側に向けて、すなわち最も上流側に位置す
るラビリンスフィン22aの先端部分に向けて、絞り部
23aから流入する流体に対して吹き付けられる。
【0030】このため、絞り部23aから流入する流体
をせき止めることができ、ラビリンスシール20を通過
する流体の漏れ量を著しく減少させることができる。ま
た同時に、ラビリンスシール20の最も上流側に位置す
る絞り部23aより流入する流体の旋回成分を除去する
ことができる。これによって、チャンバ24内の周方向
圧力の不均一は減少し、自励振動の発生を防止すること
ができる。
【0031】また、図3に示すように、吹出口26は、
上流側のみならず回転部1の回転方向Rと逆の方向にも
向いているため、高圧側の流体は吹出口26から上流側
かつ回転部1の回転方向Rとは逆の方向に向かって吹き
出される。この吹き出された流体は絞り部23aから流
入しようとする流体と合流する。
【0032】このため、ラビリンスシール内に流入する
流体は、回転部1の回転方向の強い旋回成分をもってい
るが、吹出口26からの流体と合流することによって旋
回成分が打ち消され、絞り部23aよりも下流側では回
転部1の回転方向と逆の方向の旋回成分を持つことにな
る。
【0033】ここで、適切な逆方向の旋回成分を発生さ
せるためには以下の事項が考慮される。回転部1の回転
数をω[rpm]、回転部1の半径をR[m]とする
と、絞り部23aにおける流体の流れの旋回成分は回転
部1の周速の半分であるとして次式で概算出来る。
【0034】
【数2】 一方、通路25から流出する流体の速度v[m/s]
は、密度をρ[kg/m3 ]とすると次式で概算でき
る。
【0035】
【数3】 図3によれば、通路25はその吹出口26が回転方向と
逆方向を向くように形成されているが、ここで、通路2
5の中心軸と回転部1の回転軸中心とのなす角をβ[r
ad]とすると、吹き出し流れによって発生する逆旋回
成分は次式で表わされる。 vsin β ………(3) ここで、(1)式の値より(3)式の値の方が大きくな
るように、吹出口26における流体の流入圧力PH ,絞
り部23aにおける圧力PL ,βを設計すれば、吹き出
し流れによって形成される逆旋回成分の方が、もともと
流体が有している回転方向の旋回成分よりも大きくな
り、これによって回転方向の旋回成分を打ち消す効果が
増大する。
【0036】また、図2または図3に示すように、1つ
のチャンバ内に2以上の通路25が形成されそれぞれの
通路25の吹出口26がその数に対応してシール本体2
1の内周を等分した位置に配置されているため、流体は
それぞれの吹出口26から同じように吹き出される。
【0037】この場合、吹出口からの流体によって発生
するチャンバ24内の圧力分布は周方向について略均等
となるので、吹出口26から流体を吹き出すことによっ
て、新たに、チャンバ24内に圧力不均一を生じさせる
ことはない。とりわけ、吹出口26が1つのチャンバ内
に偶数個形成された場合は、各吹出口26が回転部1の
回転軸中心に対して対称に配置されることとなるので、
チャンバ4内の圧力は周方向に対して対称となり、さら
に好ましい効果が得られることとなる。
【0038】さらに、図4に示す実施例においては、シ
ール本体21に異なるチャンバ間を連通する追加通路2
8がチャンバ24aよりも下流側のチャンバに形成され
ているため、追加通路28の吹出口26aからも流体が
吹き出される。
【0039】これによって、下流側のチャンバにおいて
も旋回流の除去及び流体の漏れ流れの減少を図ることが
できる。
【0040】また、図5に示す実施例においては、隣り
合うチャンバの吹出口のうち上流側のチャンバの吹出口
と、下流側のチャンバの吹出口とは、各チャンバ内の圧
力分布のピークを打ち消すように、吹出口の位置を設計
条件にあわせて寸法xずつずらして配置されているた
め、図6に示すような各チャンバ内の圧力のピークがそ
れぞれ打ち消され、周方向の圧力不均一を緩和すること
ができる。
【0041】なお、寸法xについては以下の事項を考慮
して設定することが肝要である。すなわち、図6(a)
(b)(c)にはラビリンスシール内の流体の流れの圧
力分布が示されており、このうち図6(b)、図6
(c)には、図6(a)の矢印で示す箇所の周方向圧力
分布が示されている。図6(b)(c)において、Oは
回転部1の回転軸中心であり、eの長さだけ静止部6の
内周の中心軸O′から偏心している。回転部1はRの方
向に回転しており、さらに回転部1はTの方向に振れ周
っている。このときの周方向圧力分布は図のように均一
ではなく、一部分にピークのある分布となっている。図
6(a)はこの周方向圧力分布のピークを、回転部1の
周りの逆回転方向の螺旋状の線で示している。このよう
に回転部1の周りを流れる流体の周方向圧力分布は、軸
方向下流に行くに従い螺旋状に逆回転方向にずれてい
く。このことを考慮することによって、寸法xを最適な
値に設定することができる。
【0042】また、図7及び図8に示す実施例におい
て、ラビリンスフィン22c,22dの先端が上流側を
向くように回転部1の回転軸中心線に対して傾いて設け
られており、吹出口26はチャンバ24c内における下
流側のラビリンスフィン22dの近傍に形成されてい
る。このため、通路25の吹出口26から流出した高圧
流体はラビリンスフィン22dに沿って上流の方に逆流
するように吹き出される。ここで、図8に示すように、
吹き出された流体は絞り部23dに吹きつけられ、絞り
部23cが境界となって上流側から下流側への流体の流
れが遮断される。
【0043】これによって上流側の旋回成分のある流れ
Fは、絞り部23dから漏れ出なくなる。絞り部23d
より流出するのは吹出口26より流れ出た旋回成分のな
い流れであるので、絞り部23dを境界として、この部
分から下流側の流体の流れには旋回成分が除去されるこ
とになる。
【0044】なお、上述したような効果を得るには、図
8に示す吹出口における流体の流入圧力PH が、絞り部
23cにおける圧力PL よりも高くなるように、空間2
7、通路25、吹出口26等を設計することが肝要であ
る。第2実施例 次に、第2実施例について説明する。図9乃至図13は
本発明の第2実施例を示す図である。図9には、ラビリ
ンスシールが配置された回転式流体機械の一例である蒸
気タービンのタービン段落とグランド部の断面が示され
ている。図9において、回転部1に取り付けられた動翼
2と、静止部6に取り付けられた静翼4とによってター
ビン段落が構成されタービン段落には2つのラビリンス
シール20a,20bが配置されている。
【0045】図9において、静翼4と回転部1との間に
配置されたラビリンスシール20aはノズルパッキン、
動翼2と静止部6との間に配置されたラビリンスシール
20bはチップフィンとそれぞれ呼ばれる。
【0046】また、グランド部7には、静止部6と回転
部1との間にラビリンスシール20cが配置されてお
り、これはグランドパッキンと呼ばれる。
【0047】図9に示すように、各ラビリンスシール2
0a,20b,20cは各々ラビリンスフィン22を備
えており、互いに隣接するラビリンスフィン22間に複
数のチャンバ24が形成されている。
【0048】各ラビリンスシール20a,20b,20
cの入口側には入口側障害物30bが配置され、チャン
バ24内にはチャンバ内障害物30aが配置され、また
各ラビリンスシール20a,20b,20cの出口側に
は出口側障害物30cが配置されている。なお、図9に
おいて、グランド部7に配置されたラビリンスシール2
0cには、入口側障害物30bが設けられていないがこ
れに限定されるものではなく、入口側障害物30bを設
けてもよい。すなわち、障害物30a,30b,30c
は、設計条件に応じてその配置部位を変更することが可
能である。
【0049】次に、図9、図10及び図13を参照し
て、障害物30a,30b,30cの配置方法を詳述す
る。なお、以下、ラビリンスシール20aが配置されて
いるノズルパッキン部を例にとって障害物の配置方法を
説明するが、その他のラビリンスシール20b,20c
が配置されている部位においても障害物の配置方法は略
同一である。
【0050】図9の右側に示すように、静翼4の回転部
1側の端部である静翼先端部4aには、3つのラビリン
スフィン22が設けられている。この3つのラビリンス
フィン22と回転部1の外周表面とによって2つのチャ
ンバ24が形成されている。また、静翼先端部4aの左
側には入口側障害物30bが、右側には出口側障害物3
0cがそれぞれ配置されている。また、2つのチャンバ
24の静翼先端部4a側には、チャンバ内障害物30a
がそれぞれ配置されている。なお、図9においては、障
害物30a、30b、30cは静翼先端部4aに固定配
置されているが、これに限定されるものではなく、回転
部1の外周表面上に固定配置してもよい。
【0051】図10は、図9に示すチャンバ内障害物3
0aの配置状態を示している。図10において、チャン
バ24内に静翼先端部4aの内周面に係止された多孔質
体31が設けられ、この多孔質体31によりチャンバ内
障害物30aが構成されている。このようにチャンバ2
4内に多孔質体31を配置する場合、多孔質体31は、
図10に示すようにチャンバ24内の空間のできるだけ
多くの部分を満たすように配置され、多孔質体31と回
転部1の外周表面との間の空間、および多孔質体31と
その両側のラビリンスフィン22との間の空間ができる
だけ狭くなるようになっている。
【0052】また、図9に示すように、ラビリンスシー
ル20aの入口側または出口側に多孔質体31を配置す
る場合には、多孔質体31とその対向面である回転部1
の外周表面との間の空間ができるだけ狭くなるようにす
るのが好ましい。
【0053】また、流体の流れの旋回成分の減衰効果向
上の観点から、多孔質体31は、前述した半径方向ばか
りでなく、図13に示すように円周方向についてもでき
るだけ広範囲にわたって配置されることが好ましい。図
13には、チャンバ24内に多孔質体31を配置する際
の円周方向の配置状況が示されている。すなわち,多孔
質体31をリング状に形成して、図13(a)に示すよ
うに円周方向に連続的に配置してもよく、図13(b)
に示すように多孔質体31からなるリング状体の一部を
数箇所で削除して円周方向に断続的に配置してもよい。
図13(b)に示すように断続的な配置を行う場合で
も、多孔質体31は、円周方向についてできるだけ広範
囲にわたって配置することが好ましい。
【0054】また、多孔質体31に替えて、図11及び
図12に示すようなチャンバ内障害物30aを配置して
もよい。すなわち、図11に示すように、チャンバ内障
害物30aを細い針金をまるめた網状体32によって構
成してもよい。この場合、網状体32の針金の一端は静
翼先端部4aの内周面に植え込まれる。また、図12に
示すように、チャンバ内障害物30aをブラシ状体33
によって構成してもよい。このブラシ状体33は、細い
棒状体を静翼先端部4aの内周の半径方向に向きを揃え
て任意の間隔で静翼先端部4aの内周面に植え込み、林
立させるようにして形成されている。なお、網状体32
及びブラシ状体33は、必ずしも静翼先端部4aの内周
面に直接植え込む必要はなく、リング状の基材に網状体
32及びブラシ状体33を植え込んで、静翼先端部4a
の内周、または回転部1の外周表面に装着してもよい。
【0055】次に、このような構成からなる本実施例の
作用について説明する。本実施例によれば、図9乃至図
13に示された障害物30a,30b,30cによっ
て、それぞれラビリンスシール20の入口、出口、およ
びチャンバ24内部に存在する流体の旋回流が減衰また
は消滅する。これによって、回転部1の自励振動発生原
因となり得る回転部1が流体から受ける流体力を除去あ
るいは減少させることができる。
【0056】このことによって、本実施例は従来技術に
対して以下の利点を有することになる。すなわち、板状
の障害物を使用する従来の技術では旋回流をせき止める
かあるいは流れの方向を変える必要があるので、円滑な
流れの偏向を行うためには流体力学的形状の最適化設計
が必要となるが、上記のような材料を使用して障害物を
ラビリンスシール20の前記した入口側、チャンバ24
内,出口側の各空間に配置固定すれば、容易に漏れ流れ
の旋回流を減衰あるいは消滅する作用を得られる。
【0057】また、従来の板状の障害物では運転中に回
転部1と板状の障害物が接触した場合、局部的な接触に
より大きな摩擦が生じるため局所的な発熱を伴い、回転
部1の熱曲がりを生じ、回転部1の振動変化あるいは損
傷の原因となる。これに対して、本実施例では障害物を
前述した多孔質体31、網状体32またはブラシ状体3
3によって構成しているため、材料が押しつけ力に対し
て比較的脆弱である。このため、回転部と障害物が接触
した場合には、従来の板状障害物と比較して接触部位の
障害物の摩耗あるいは変形が容易に発生するため、局所
的な発熱を低減することができ、上述した回転部1に対
する影響を低減することができる。
【0058】また、図13(b)に示すように,障害物
が円周方向に断続的に配置された場合には、障害物と、
互いに隣接するラビリンスフィン22とによってサブチ
ャンバ35が形成される。
【0059】このため,流体の流れの旋回成分は、チャ
ンバ内障害物30aの内部を周方向に通過してゆきなが
ら減衰してゆき、サブチャンバ35に流出する。このと
き、さらに旋回成分は隣の障害物30aへと入っていこ
うとするが、このときに障害物30aの側面で旋回流が
乱れるため、さらに旋回成分を減少させることができ
る。第3実施例 次に、第3実施例について説明する.図14乃至図21
は本発明の第3実施例を示す図である。図14(a)に
は、グランド部7の断面が示されており、回転部1と静
止部6との間に、支持部40に支持されたシール本体2
1と、このシール本体21から回転部1側へ突出するラ
ビリンスフィン22とを備えたラビリンスシール20が
配置されている。図14(a)に模式的に示された支持
部40は、具体的には後述するように図19乃至図21
に示されるようなもので構成されている。
【0060】また図14(b)には、軸方向(図14
(b)におけるz方向)から見たグランド部が模式的に
示されている。ここで、図14(b)において、mはラ
ビリンスシール20の重量、k1 は支持部40の剛性係
数、c1 は支持部40の減衰係数をそれぞれ表してい
る。また、kはラビリンスシール20と回転部1との間
に介在する流体をばねとみなして、この流体から受ける
力fの変動成分を表わしている。
【0061】また、xは回転部1の回転軸中心線1aの
変位を、yはラビリンスシール20の変位をそれぞれ表
している。なお、dy/dtおよびd2 y/dt2 は、
それぞれラビリンスシール20の速度、加速度を表して
いる。なお、図14(b)において、下向きがxおよび
yの正方向である。
【0062】次に、支持部40の剛性係数k1 および減
衰係数c1 の最適値を決定する方法について図14
(a),図14(b)を参照しながら説明する。
【0063】ラビリンスシール20が、支持部40から
受ける力は、剛性項が−k1 y、減衰項が−c1 (dy
/dt)、流体から受ける力は−k(y−x)なので、
ラビリンスシール20に関する運動方程式は、
【0064】
【数4】 である。ここで、回転部1が振幅X、角振動数ωで振動
しているとして、 x=Xcos ωt=Re(Xeiωt) とおく。ただしiは虚数単位、Re()は複素数の実部
を示す。運動方程式を解くと、
【0065】
【数5】 となるので、回転部1に作用する流体力fは、
【0066】
【数6】 と表すことができる。ラビリンスシール20の振動振幅
Y、回転部1に作用する流体力の変動幅Fは、
【0067】
【数7】 となる。図15および図16は、それぞれ支持部40の
剛性係数k1 、減衰係数c1 を一定として、回転部1の
角振動数ωを変化させた場合のラビリンスシール20の
振動振幅Yおよび流体力の変動幅Fの変化を示したもの
である。ここで図中の実線で示された曲線はc1 =0の
場合、破線で示された曲線はc1 が比較的小の場合、一
点鎖腺で示された曲線はc1 が比較的大の場合を、それ
ぞれ示している。ここでω1 ,ω2 をそれぞれ
【0068】
【数8】 とすると、図15から、ω=ω1 付近でFは最小になる
ことがわかる。自励振動が発生しているときの流体によ
る励振力の周波数成分は、回転部系の固有振動数ωn
一致するため、Fが最小になる角振動数がωn と一致す
るように、支持部の剛性係数k1 、減衰係数c1 を調整
することにより、回転部1に作用する流体力を最小に
し、自励振動を抑制することができる。ここで、ω=ω
n として、
【0069】
【数9】 を計算し、k1 を変化させたときのFの増減を調べると
図17に示すように
【0070】
【数10】 のときに、Fは最小となる。つまり、減衰係数c1 を決
めると、ω=ωn でFを最小にする弾性係数k1 の値を
決めることができる。このときのFの最小値をFmin
すると、k1 ,Fmin はc1 の関数となる。また、ラビ
リンスシール20の振幅Yは図16に示すように、ω=
ω2 =(k+k1 /m)1/2 で最大となる。そのときの
Yの値をYmax とすると、Ymax もc1 の関数となる。
max が大きいと、ラビリンスシールと回転部1の間隙
を大きくしなければならず、シール性能が落ちるため、
max も小さくする必要がある。
【0071】減衰係数c1 を小さくするとFmin の値を
小さくすることができるが同時にYmax も大きくなって
しまう。Fmin ,Ymax を共に小さく抑えたいので、評
価関数として
【0072】
【数11】 を考え、c1 によるJの変化を調べ、Jを最小にするc
1 を最適値とする。ただし、ε1 ,ε2 はそれぞれF
min ,Ymax に対する重みである。図18は、支持部の
減衰係数c1 とJ,Fmin /ε1 ,Ymax /ε2 の関係
を示したものである。ここで、図中実線はc1 をパラメ
ータとしたときのJの変化を、一点鎖線はc1 をパラメ
ータとしたときのFmin /ε1 の変化を、破線はc1
パラメータとしたときのYmax /ε2 の変化をそれぞれ
示している。この図18に示すように支持部40の減衰
係数c1 に対して、Fmin は単調増加、Ymax は単調減
少であるが、両者の重み付けの和であるJに関しては最
小値を求めることができるので、そのときの支持部の減
衰係数c1 の値を最適値とする。最適なc1 から、最適
なk1 を計算することができる。
【0073】このようにして、支持部40の剛性係数お
よび減衰係数を決めることにより、回転部1が流体から
受ける力の軸系固有振動数成分を除去あるいは減少させ
ることができるので、シール部を通過する流体から受け
る力による回転部1の自励振動を抑制することができ
る。
【0074】次に、図14において示された支持部40
の具体的な構造について図19乃至図21により説明す
る。図19には、支持部40として積層板ばね41を用
いた構造が示されている。静止部6の内周面には積層板
ばね41を取りつけるために、積層板ばね41の形状に
対応した8つのくさび状の溝42が形成されている。積
層板ばね41はその両端部で溝部に取りつけられてお
り、それぞれの積層板ばね41には、円周方向の4分の
1づつを受けもち回転部1をとりかこむように分割され
た状態で配置されたラビリンスシール20が係止されて
いる。なお、図19において、ラビリンスシール20は
4分割されて配置されているが、これに限定されるもの
ではなく、これよりも細かく分割してもかまわない。こ
の場合積層板ばね41は、ラビリンスシールを分割した
数に対応して設けられる。
【0075】また、図20には、支持部40として係止
手段54とスクイズフィルムダンパ50とを用いた構造
例が示されている。係止手段54は、適当な弾性を有す
るもので構成されていれば何でもよい。例えば、コイル
スプリング、積層板ばねのようなものであってもよい。
また、ここでスクイズフィルムダンパ50とは、シール
本体21と、シール本体の静止部6側に形成された溝に
挿入されたオイルシールとによって囲まれた空間に給油
口52から供給される粘性の高い流体によって、スクイ
ズフィルム51と呼ばれる液膜を形成させたものであ
る。
【0076】また、図21には、支持部40として変形
自在な密閉容器60を用いた構造が示されている。密閉
容器60の内部には圧縮性流体が封入されている。また
密閉容器60には細い管62が取りつけられており、こ
の管62を介して密閉容器60は、密閉容器60より十
分に大きい内容積を有する静止部6側に形成された密閉
室61に連通している。また、図20と同様に図21に
おいてもラビリンスシールは円周方向に4分割されて配
置されているが、これに限定されるものではなく、これ
よりも細かく分割してもかまわない。この場合もやはり
同様に、密閉容器60、密閉室61、管62はラビリン
スシールを分割した数に対応して設けられる。
【0077】次に、このような構成からなる本実施例の
作用について説明する。図19に示す実施例において
は、支持部40として、積層板ばね41が用いられてい
る。積層板ばね41は、板を重ねたもので変形すると隣
り合った板との接触面で摩擦が発生するため、ばねの効
果と共に減衰の効果も持っている。このため、板の厚
さ、枚数、表面荒さを前述した計算手法により、最適な
剛性k1 、減衰係数c1 を設定することにより、回転部
1が流体から受ける力の軸系固有振動数成分を除去ある
いは減少させることができるので、シール部を通過する
流体から受ける力による回転部1の自励振動を抑制する
ことができる。
【0078】図20に示す実施例においては、係止手段
54とスクイズフィルムダンパ50によりラビリンスシ
ール20を支持する支持部40が構成されている。この
ため、ラビリンスシール20が振動しラビリンスシール
20と静止部6の間隙が変化すると、スクイズフィルム
51にスクイズ効果と呼ばれる間隙の変化する速度に比
例した圧力が発生するため、減衰装置として作用する。
その間隙を大きくすると減衰係数は小さくなり、スクイ
ズフィルム51の軸方向の幅を大きくすると減衰係数は
大きくなるので、これらの値を調整することにより、最
適な減衰を得ることができる。
【0079】図21に示す実施例においては、その中に
圧縮性流体が封入されているとともに管62を介して密
閉室61に連通する密閉容器60によって、ラビリンス
シール20を支持する支持部40が構成されている。こ
のためラビリンスシール20が静止部6の方へ動くと、
密閉容器60は容積が小さくなるので、密閉容器内の圧
力は上昇し、また、中の流体の一部は細い管62を通っ
て密閉室61へ流れ、その際に管路抵抗を受ける。容積
変化による圧力変化は弾性力として、管路抵抗は減衰力
として作用する。中に封入する流体の種類および圧力、
細い管の径および長さを前述した計算手法によって、剛
性係数k1 ,減衰係数c1 が最適な値となるように設定
することによって自励振動を最小とするような特性を持
ったラビリンスシール支持部40を構成することができ
る。
【0080】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、高圧流体
ををラビリンスチャンバ内へ上流側に逆流する方向に吹
き出すことにより、ラビリンスシール絞り部を通ってき
た漏れ流れに存在する旋回流が除去されるので、自励振
動が抑制される。同時に漏れ流れを吹き出し流れでせき
止め、漏れ流れの流量を大幅に減少させることが出来る
ので、シール効率が向上する。
【0081】また、請求項8記載の発明によれば、障害
物をラビリンスシールの入口、各チャンバ内部、出口の
空間に配置することにより、ラビリンスシール間隙部を
通ってきた漏れ流れに存在する旋回流が減衰あるいは消
去されるので、流体力によって発生する自励振動を抑制
することができる。
【0082】また、請求項13記載の発明によれば、剛
性係数および減衰係数を最適な値に設定したラビリンス
シールの支持部を設けることにより、ラビリンスチャン
バで回転軸が流体から受ける力の変動を除去あるいは減
少させることができ自励振動を抑制することができる。
すなわち、本願発明によれば、流体力によって発生する
回転部の自励振動を抑制することができ、回転式流体機
械の運転の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】主として請求項1記載のラビリンスシールの一
実施例の断面図。
【図2】図1におけるA−A断面図。
【図3】主として請求項3記載のラビリンスシールの一
実施例であって、図2と略同一部分を示したもの。
【図4】主として請求項4記載のラビリンスシールの一
実施例を示した図。
【図5】主として請求項6記載のラビリンスシールの一
実施例であって、図2と略同一部分を示したもの。
【図6】ラビリンスシールを通過する流体の圧力分布を
示す図。
【図7】主として請求項7記載のラビリンスシールの一
実施例を示す図。
【図8】図7記載のラビリンスシール内での流体の流れ
を示す模式図。
【図9】主として請求項8記載の障害物の配置を示す
図。
【図10】多孔質体障害物をチャンバ内に配置した状態
を示す図。
【図11】網状体障害物をチャンバ内に配置した状態を
示す図。
【図12】ブラシ状体障害物をチャンバ内に配置した状
態を示す図。
【図13】障害物の全体的形状を示す斜視図。
【図14】請求項13および17記載の発明の一実施例
を示す図であって、最適な剛性係数及び減衰係数を計算
する上での変数及び定数の概念を示す模式図。
【図15】周波数と流体力の変動幅との関係を示す図。
【図16】周波数とラビリンスシールの振幅との関係を
示す図。
【図17】支持部の剛性係数と流体力の変動幅との関係
を示す図。
【図18】支持部の減衰係数と評価関数との関係を示す
図。
【図19】請求項14記載の支持体の一実施例を示す
図。
【図20】請求項15記載の支持体の一実施例を示す
図。
【図21】請求項16記載の支持体の一実施例を示す
図。
【図22】従来の蒸気タービンの構成図。
【図23】従来の蒸気タービンの構成図。
【図24】回転部まわりの圧力分布を示す図。
【図25】旋回防止板が設けられた従来のラビリンスシ
ール内の流体の流れを示す図。
【符号の説明】
1 回転部 2 動翼 3 シュラウド 4 静翼 5 ノズルダイヤフラム 6 静止部 7 グランド部 8 軸受 9 ルートフィン 10 チップフィン 11 グランドフィン 12 最終段動翼 13 ノズルパッキン 14 グランドパッキン 15 圧力分布 20 ラビリンスシール 21 シール本体 22 ラビリンスフィン 23 絞り部 24 チャンバ 25 通路 26 吹出口 27 空間 28 追加通路 30 障害物 31 多孔質体障害物 32 網状体障害物 33 ブラシ状体障害物 35 サブチャンバ 40 支持部 41 積層板ばね 42 溝 50 スクイズフィルムダンパ 51 スクイズフィルム 52 給油口 53 オイルシール 54 係止手段 60 密閉容器 61 密閉室 62 管

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】回転式流体機械を構成する回転部とこれを
    包囲する静止部との間に配置され、静止部内を高圧部と
    低圧部とに区画するラビリンスシールにおいて、 前記ラビリンスシールは静止部に固着されたシール本体
    と、 このシール本体から回転部側に突出して回転部との間に
    絞り部を形成するとともに複数のチャンバを形成する複
    数のラビリンスフィンと、を備え、 前記シール本体には前記高圧部から前記チャンバに向か
    って流体を導く通路が形成され、この通路のチャンバ側
    吹出口は流体の流れ方向上流側に向かっていることを特
    徴とするラビリンスシール。
  2. 【請求項2】前記吹出口は、最も上流側に位置するチャ
    ンバに形成されたことを特徴とする、請求項1記載のラ
    ビリンスシール。
  3. 【請求項3】前記吹出口は、前記回転部の回転方向と逆
    の方向に向かって形成されたことを特徴とする、請求項
    1または2記載のラビリンスシール。
  4. 【請求項4】前記シール本体に異なるチャンバ間を連通
    する追加通路がさらに形成され、前記追加通路の吹出口
    は前記上流側に向かっていることを特徴とする、請求項
    1乃至3のいずれか記載のラビリンスシール。
  5. 【請求項5】1のチャンバに対して前記吹出口が2以上
    形成されており、それぞれ吹出口はその数で前記シール
    本体の内周を等分した位置に配置されたことを特徴とす
    る、請求項1乃至4のいずれか記載のラビリンスシー
    ル。
  6. 【請求項6】各チャンバに対して前記吹出口が2以上形
    成され、それぞれ吹出口はその数で前記シール本体の内
    周を等分した位置に配置されており、隣り合うチャンバ
    の吹出口のうち上流側のチャンバの吹出口と、下流側の
    チャンバの吹出口とは互いにずれて配置されていること
    を特徴とする、請求項1乃至5のいずれか記載のラビリ
    ンスシール。
  7. 【請求項7】前記ラビリンスフィンは、その先端が上流
    側を向くように前記回転部の回転軸中心線に対して傾い
    て設けられており、前記吹出口は前記チャンバ内におけ
    る下流側のラビリンスフィンの近傍に形成されたことを
    特徴とする、請求項1乃至6のいずれか記載のラビリン
    スシール。
  8. 【請求項8】回転式流体機械を構成する回転部とこれを
    包囲する静止部との間に配置され、静止部内を高圧部と
    低圧部とに区画するラビリンスシールにおいて、 前記静止部から回転部側に突出して回転部との間に絞り
    部を形成するとともに複数のチャンバを形成する複数の
    ラビリンスフィンを備え、 前記ラビリンスシールの入口および出口および前記ラビ
    リンスシールのチャンバ内のうち少なくとも1つに、障
    害物を設けたことを特徴とするラビリンスシール。
  9. 【請求項9】前記障害物は多孔質体によって構成されて
    いることを特徴とする、請求項8記載のラビリンスシー
    ル。
  10. 【請求項10】前記障害物は網状体によって構成されて
    いることを特徴とする、請求項8記載のラビリンスシー
    ル。
  11. 【請求項11】前記障害物は前記回転部の半径方向に配
    置されたブラシ状体によって構成されていることを特徴
    とする、請求項8記載のラビリンスシール。
  12. 【請求項12】前記障害物を周方向全周にわたって配置
    したことを特徴とする、請求項8乃至11のいずれか記
    載のラビリンスシール。
  13. 【請求項13】回転式流体機械を構成する回転部とこれ
    を包囲する静止部との間に配置され、静止部内を高圧部
    と低圧部とに区画するラビリンスシールにおいて、 前記ラビリンスシールは静止部に設けられたシール本体
    と、 このシール本体から回転部側に突出して回転部との間に
    絞り部を形成するとともに複数のチャンバを形成する複
    数のラビリンスフィンと、 静止部とシール本体との間に介在され、前記シール本体
    を支持するとともに所定の剛性係数k1 および減衰係数
    1 を有する支持手段と、を備えたことを特徴とするラ
    ビリンスシール。
  14. 【請求項14】前記支持手段は、積層板ばねによって構
    成されていることを特徴とする、請求項13記載のラビ
    リンスシール。
  15. 【請求項15】前記支持手段は、スクイズフィルムダン
    パによって構成されていることを特徴とする、請求項1
    3記載のラビリンスシール。
  16. 【請求項16】前記支持手段は、前記静止部に形成され
    た管を介して密閉室と連通するとともにその内部に圧縮
    性流体が封入されている変形自在の密閉容器によって構
    成されていることを特徴とする、請求項13記載のラビ
    リンスシール。
  17. 【請求項17】前記支持手段の剛性係数k1 および減衰
    係数c1 を、次式によって表される評価関数Jの値を最
    小にするように定めたことを特徴とする、請求項13か
    ら16いずれか記載のラビリンスシール。 【数1】
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