JPH08329938A - アルカリ蓄電池用ニッケル電極及びアルカリ蓄電池 - Google Patents

アルカリ蓄電池用ニッケル電極及びアルカリ蓄電池

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JPH08329938A
JPH08329938A JP7310659A JP31065995A JPH08329938A JP H08329938 A JPH08329938 A JP H08329938A JP 7310659 A JP7310659 A JP 7310659A JP 31065995 A JP31065995 A JP 31065995A JP H08329938 A JPH08329938 A JP H08329938A
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JP
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nickel
copper
electrode
zinc
cobalt
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Application number
JP7310659A
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English (en)
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Masaharu Watada
正治 綿田
Yukio Yamamoto
幸雄 山本
Masahiko Oshitani
政彦 押谷
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Yuasa Corp
Original Assignee
Yuasa Corp
Yuasa Battery Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 放電性能に優れ、電極膨潤を十分に抑制で
き、高温時の充電効率が十分に高く、環境悪化の原因と
ならない、アルカリ蓄電池用ニッケル電極を提供するこ
と。 【解決手段】 水酸化ニッケルを主体とする活物質を有
するニッケル電極において、水酸化ニッケルが、その結
晶中に、亜鉛及びコバルトの少なくとも一方と銅とを固
溶状態で含有していることを特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルカリ蓄電池例
えばニッケル金属水素化物電池、ニッケル亜鉛電池、ニ
ッケルカドミウム電池、ニッケル鉄電池等に用いられる
ニッケル電極、及び該ニッケル電極を備えたアルカリ蓄
電池、に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電動車両用の高エネルギー密度電池とし
ては、正極にペースト式ニッケル電極を用いたニッケル
金属水素化物電池やニッケル亜鉛電池等が開発されてい
るが、そのニッケル電極には、サイクル寿命が長く且つ
高温時の充電効率が高いことが要望されている。
【0003】そのような要望を満たすべく、ニッケル電
極の高性能化を図る方法としては、活物質である水酸化
ニッケルへの異種元素の固溶体添加が有効な方法として
知られている。例えば、ニッケル電極の膨潤の原因であ
るγ−NiOOHの生成を抑制して長寿命化を図るため
に、亜鉛、カドミウム等のII族元素やIb族元素を添加し
ている。また、酸素過電圧を大きくして高温時の充電効
率を向上させるために、ニッケル電極の酸化電位を卑に
する作用を有するコバルトを添加したり、酸素発生電位
を貴にする作用を有する酸化亜鉛、酸化カドミウム等の
II族元素化合物を混合したりしている。これらの元素は
複合添加しても、各元素の作用がそれぞれ発揮される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】コバルトを添加した場
合では、添加量に比例して酸素過電圧は大きくなるが、
放電電圧の低下も伴うために添加量が制限される。ま
た、コバルトは、希少元素であるため、高価である。II
族元素化合物を添加した場合では、45℃以上の高温領
域で、殆んど効果がなく充電効率が顕著に低下してしま
う。一方、カドミウムは、環境面から使用が規制されて
いる。
【0005】このように、電動車両用のニッケル電極の
実用化には、電極膨潤を効果的に抑制すること、高温時
の充電効率を向上させること、環境悪化の原因とならな
いことが、必要条件であるが、上記事情から、従来の実
用化されたニッケル電極としては、水酸化ニッケルに亜
鉛とコバルトとを固溶体添加したもの以外に、効果的な
ものは見い出されていない。しかも、そのニッケル電極
でも、高温時の充電効率が50℃で70〜80%程度で
あり、更なる改良が望まれている。
【0006】本発明は、放電性能に優れ、電極膨潤を十
分に抑制でき、高温時の充電効率が十分に高く、環境悪
化の原因とならない、アルカリ蓄電池用ニッケル電極、
及び該ニッケル電極を備えたアルカリ蓄電池を、提供す
ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の内、請求項1記載のアルカリ蓄電池用ニッ
ケル電極は、水酸化ニッケルを主体とする活物質を有す
るニッケル電極において、水酸化ニッケルが、その結晶
中に、亜鉛及びコバルトの少なくとも一方と銅とを固溶
状態で含有していることを特徴としている。
【0008】請求項2記載の発明は、請求項1記載のニ
ッケル電極において、亜鉛及びコバルトの両方と銅とを
含有している。なお、請求項2記載の発明において各成
分の含有量は、次の通りとするのが好ましい。即ち、亜
鉛:1〜5重量%、コバルト:1〜6重量%、銅:0.
1〜5重量%。
【0009】請求項3記載の発明は、請求項1記載のニ
ッケル電極において、亜鉛と銅とを含有している。な
お、請求項3記載の発明において各成分の含有量は、次
の通りとするのが好ましい。即ち、亜鉛:1〜5重量
%、銅:1〜3重量%。
【0010】請求項4記載の発明は、請求項1記載のニ
ッケル電極において、コバルトと銅とを含有している。
なお、請求項4記載の発明において各成分の含有量は、
次の通りとするのが好ましい。即ち、コバルト:1〜5
重量%、銅:1〜3重量%。
【0011】請求項5記載のアルカリ蓄電池は、水酸化
ニッケルを主体とする活物質を有するニッケル電極を備
えたアルカリ蓄電池において、水酸化ニッケルが、その
結晶中に、亜鉛及びコバルトの少なくとも一方と銅とを
固溶状態で含有していることを特徴としている。
【0012】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)以下に示すニッケル電極、試験用セル、
及びアルカリ蓄電池を作製した。
【0013】ニッケル電極 (1)水酸化ニッケル粉末の作製 まず、亜鉛、コバルト、及び銅を固溶状態で含有した水
酸化ニッケル粉末を、次のようにして作製した。即ち、
硫酸ニッケルに所定量の硫酸亜鉛、硫酸コバルト、及び
硫酸銅を加えた水溶液を調製し、この水溶液に硫酸アン
モニウムを添加して、ニッケル、亜鉛、コバルト、及び
銅の、それぞれのアンミン錯体を生成させ、これに水酸
化ナトリウム水溶液を激しく攪拌しながら滴下し且つア
ルカリ度をpH11〜13に制御して、水酸化ニッケル
を沈澱析出させた。
【0014】ここでは、亜鉛3重量%、コバルト5重量
%、及び銅1重量%を固溶状態で含有した水酸化ニッケ
ル粉末を得た。この水酸化ニッケル粉末は、次のような
物性を有する球状の粉末であった。即ち、タップ密度:
2.0〜2.1g/ml、BET比表面積:7〜17m
2 /g、窒素吸着法による吸着等温線(脱離側)から求
めた細孔容積:0.01〜0.03ml/gであった。
従って、従来法で得た水酸化ニッケル粉末に比して、高
密度であった。なお、従来法で得た水酸化ニッケル粉末
の物性は、タップ密度:約1.6g/ml、細孔容積:
約0.14ml/gであった。従来法とは、硫酸ニッケ
ルの水溶液に水酸化ナトリウム水溶液を激しく攪拌しな
がら滴下して、水酸化ニッケルを沈澱析出させる方法で
ある。
【0015】(2)電極の作製 次に、得られた水酸化ニッケル粉末に、導電性ネットワ
ーク作製剤である一酸化コバルト粉末10重量%を混合
し、カルボキシメチルセルロースの増粘液を加えてペー
スト状とし、この所定量を約95%の多孔度のニッケル
金属多孔体基板に充填し、乾燥・加圧を行なってニッケ
ル電極を作製した。得られたニッケル電極の容量密度は
約600mAh/mlであり、従来法で得た水酸化ニッ
ケル粉末を用いて同様に作製したニッケル電極(約50
0mAh/ml)より、高い容量密度を示した。
【0016】試験用セル 上記ニッケル電極を正極とし、水素吸蔵合金電極を負極
とし、セパレータを介在させて、開放形セルを構成し
た。電解液は6mol/l水酸化カリウム水溶液を用い
た。
【0017】アルカリ蓄電池 上記ニッケル電極を正極とし、水素吸蔵合金電極、亜鉛
電極、鉄電極、又はカドミウム電極を負極とし、ポリプ
ロピレン系不織布からなるセパレータを介在させて、巻
回し又は積層し、例えば水酸化カリウム水溶液等のアル
カリ電解液を注液して、円筒型又は角型の電池を作製し
た。
【0018】(実施形態2)硫酸ニッケルに加える化合
物を硫酸亜鉛及び硫酸銅とし、他は実施形態1と同様に
して、亜鉛及び銅を固溶状態で含有した水酸化ニッケル
粉末を得、更にニッケル電極を作製し、試験用セル及び
アルカリ蓄電池を構成した。なお、セルの負極はカドミ
ウム電極とした。
【0019】ここでは、亜鉛3重量%及び銅3重量%を
固溶状態で含有した水酸化ニッケル粉末を得た。この水
酸化ニッケル粉末は、次のような物性を有する球状又は
卵状の粉末であった。即ち、タップ密度:2.1g/m
l、BET比表面積:10m2 /g、窒素吸着法による
吸着等温線(脱離側)から求めた細孔容積:0.03m
l/gであった。従って、上記従来法で得た水酸化ニッ
ケル粉末に比して、高密度であった。
【0020】(実施形態3)硫酸ニッケルに加える化合
物を硫酸コバルト及び硫酸銅とし、他は実施形態1と同
様にして、コバルト及び銅を固溶状態で含有した水酸化
ニッケル粉末を得、更にニッケル電極を作製し、試験用
セル及びアルカリ蓄電池を構成した。なお、セルの負極
はカドミウム電極とした。
【0021】ここでは、コバルト5重量%及び銅5重量
%を固溶状態で含有した水酸化ニッケル粉末を得た。こ
の水酸化ニッケル粉末は、次のような物性を有する球状
の粉末であった。即ち、タップ密度:2.0〜2.1g
/ml、BET比表面積:10〜30m2 /g、窒素吸
着法による吸着等温線(脱離側)から求めた細孔容積:
0.01〜0.05ml/gであった。従って、上記従
来法で得た水酸化ニッケル粉末に比して、高密度であっ
た。
【0022】(比較形態1)硫酸ニッケルに何も加え
ず、他は実施形態1と同様にして、水酸化ニッケル粉末
を得、更にニッケル電極を作製し、試験用セルを構成し
た。
【0023】(比較形態2)硫酸ニッケルに加える化合
物を硫酸亜鉛のみとし、他は実施形態1と同様にして、
亜鉛を固溶状態で含有した水酸化ニッケル粉末を得、更
にニッケル電極を作製し、試験用セルを構成した。ここ
では、亜鉛3重量%を固溶状態で含有した水酸化ニッケ
ル粉末を得た。
【0024】(比較形態3)硫酸ニッケルに加える化合
物を硫酸コバルトのみとし、他は実施形態1と同様にし
て、コバルトを固溶状態で含有した水酸化ニッケル粉末
を得、更にニッケル電極を作製し、試験用セルを構成し
た。ここでは、コバルト3重量%を固溶状態で含有した
水酸化ニッケル粉末を得た。
【0025】(比較形態4)硫酸ニッケルに加える化合
物を硫酸銅のみとし、他は実施形態1と同様にして、銅
を固溶状態で含有した水酸化ニッケル粉末を得、更にニ
ッケル電極を作製し、試験用セルを構成した。ここで
は、銅3重量%を固溶状態で含有した水酸化ニッケル粉
末を得た。
【0026】(比較形態5)硫酸ニッケルに加える化合
物を硫酸亜鉛及び硫酸コバルトとし、他は実施形態1と
同様にして、亜鉛及びコバルトを固溶状態で含有した水
酸化ニッケル粉末を得、更にニッケル電極を作製し、試
験用セルを構成した。ここでは、亜鉛3重量%及びコバ
ルト5重量%を固溶状態で含有した水酸化ニッケル粉末
を得た。
【0027】(性能試験及び結論)実施形態1〜3及び
比較形態1〜5のニッケル電極について、活物質利用
率、高温時の充電効率、及び電極膨潤度を調べた。
【0028】(1)活物質利用率 一般に、水酸化ニッケルの結晶化度が低ければ、活物質
利用率は高い。そこで、水酸化ニッケルについて、X線
回折線(001)面の半値幅を調べた。半値幅は結晶化
度の目安となることが知られており、一般に、半値幅が
大きければ結晶化度は小さい。
【0029】比較形態5では、水酸化ニッケル粉末の半
値幅は0.4度であり、ニッケル電極の活物質利用率は
85%であった。これに対し、実施形態1では、水酸化
ニッケル粉末の半値幅は0.9度であり、ニッケル電極
の活物質利用率は98%であった。従って、銅が固溶状
態で共存することにより、実施形態1の水酸化ニッケル
粉末の結晶化度は抑制されている。即ち、銅には、結晶
化を抑制して活物質利用率を向上させる作用がある。
【0030】実施形態2,3のニッケル電極も、活物質
利用率は98〜99%という高い値を示した。
【0031】また、図1は実施形態2のニッケル電極と
比較形態5におけるコバルトの含有量を3重量%とした
ニッケル電極との放電性能を示す。なお、充放電条件
は、充電を0.1C率で基準容量の150%まで行なう
こと、放電を0.2C率で酸化水銀参照電極に対して0
Vまで行なうこととした。充放電温度は20℃とした。
図1からわかるように、実施形態2のニッケル電極で
は、比較形態5のニッケル電極のような放電電圧の低下
は見られず、良好な放電性能を呈した。
【0032】(2)高温時の充電効率 充電効率は、所定条件の充放電を、20℃、40℃、5
0℃、及び60℃の、各温度で行ない、その放電容量を
測定し、20℃での放電容量を基準とした百分率で評価
した。充放電条件は上記(1)の充放電条件と同じとし
た。更に、酸素発生電位、平均酸化電位、及び両電位の
電位差(η値)を求めた。表1はその結果を示す。
【0033】
【表1】
【0034】一般に、ニッケル電極の充電効率は、酸素
過電圧の目安となるη値が大きい程、活物質である水酸
化ニッケルの酸化反応が酸素発生を伴うことなく進行す
るために、向上する。実施形態1のニッケル電極が大き
なη値を示すのは、酸化電位が卑へ大きくシフトするこ
とに起因するが、これは固溶体添加されたコバルトの作
用に基づいている。従って、表1に示すように、実施形
態1及び比較形態5のニッケル電極は、共に、大きなη
値を示し、40〜50℃での充電効率が高い。しかし、
実施形態1のニッケル電極は、比較形態5に比して、6
0℃での充電効率が高い。
【0035】そこで、高温時の充電効率に関して、より
詳細にその結果を見るために、次のような試験を行なっ
た。即ち、亜鉛、コバルト、及び銅の含有量をそれぞれ
5重量%の範囲内で変動させて、η値の異なる水酸化ニ
ッケル粉末を作製し、それらを用いたニッケル電極の充
電効率を測定した。なお、水酸化ニッケル粉末及びニッ
ケル電極の作製は実施形態1と同様に行なった。図2は
それらニッケル電極の充電効率と20℃でのη値との関
係を示す。図2からわかるように、45℃での充電効率
に関しては、実施形態1のニッケル電極と比較形態5の
ニッケル電極との間で差は殆んどなく、充電効率は単に
η値に依存している。しかし、60℃での充電効率に関
しては、η値が同じであっても実施形態1のニッケル電
極の方が比較形態5のニッケル電極よりも高くなってい
る。このように、実施形態1のニッケル電極は、比較形
態5に比して、60℃での充電効率も向上しており、高
温時の充電効率が高い。
【0036】実施形態2において銅の含有量を変化させ
たニッケル電極と、比較形態2,4において亜鉛,銅の
含有量を変化させたニッケル電極と、比較形態1のニッ
ケル電極とについて、40℃での充電効率を調べた。充
放電条件は上記(1)の充放電条件と同じとした。その
結果を図3に示す。図3からわかるように、銅には高温
時の充電効率を向上させる作用があり、その作用は亜鉛
と併用することにより大きくなる。銅の添加量は1〜3
重量%が望ましい。
【0037】実施形態3のニッケル電極と、比較形態1
のニッケル電極と、比較形態4において銅の含有量を1
重量%とした場合及び3〜5重量%とした場合のニッケ
ル電極とについて、充放電温度と充電効率との関係を調
べた。その結果を図4に示す。図4からわかるように、
銅をコバルトと併用することによって、高温時の充電効
率が顕著に向上している。
【0038】(3)電極膨潤度 電極膨潤(電極厚み変化)の原因であるγ−NiOOH
の生成率を調べた。γ−NiOOHの生成を効果的に抑
制するには、3重量%以上の亜鉛を水酸化ニッケルに固
溶体添加することが必要であると言われている。そこ
で、実施形態1及び比較形態2のニッケル電極について
γ−NiOOHの生成率を次のようにして測定した。即
ち、5℃の低温で0.5Cの充電率で過充電した時に生
成するγ−NiOOH粉末をX線回折ピークにより計測
した。その結果、比較形態2のニッケル電極では7%で
あったが、実施形態1のニッケル電極では6%であっ
た。即ち、実施形態1のニッケル電極でも、γ−NiO
OHの生成が抑制されていた。
【0039】実施形態2において銅の含有量を変化させ
たニッケル電極と、比較形態4において銅の含有量を変
化させたニッケル電極と、比較形態1のニッケル電極と
について、γ−NiOOHの生成率を調べた。図5はそ
の結果を示す。図5からわかるように、銅には、γ−N
iOOH生成を抑制する作用があり、その作用は亜鉛と
併用することにより顕著になっている。
【0040】実施形態3のニッケル電極と、比較形態4
において銅の含有量を1,3,5重量%としたニッケル
電極と、比較形態1のニッケル電極とについて、電極膨
潤とγ−NiOOHの生成率との関係を調べた。図6は
その結果を示す。図6からわかるように、銅にはγ−N
iOOH生成を抑制する作用があり、この作用はコバル
トと併用しても阻害されずに発揮される。なお、5重量
%を超える銅の添加は、γ−NiOOH生成の抑制に対
しては過剰となる。
【0041】(4)結論 活物質である水酸化ニッケルに固溶状態で添加された亜
鉛は、従来から知られている作用を奏する。即ち、ニッ
ケル電極の膨潤の原因である低密度なγ−NiOOHの
生成を抑制する。
【0042】同じく固溶状態で添加されたコバルトは、
従来から知られている作用を奏する。即ち、ニッケル電
極の酸素過電圧を高めて高温時の充電効率を向上させ
る。
【0043】そして、同じく固溶状態で添加された銅
は、次の〜の作用を奏する。なお、銅を亜鉛やコバ
ルトと併用しても、亜鉛やコバルトの作用を阻害しな
い。 水酸化ニッケルの結晶化を抑制し、活物質利用率を向
上させる。ちなみに、水酸化ニッケルの活物質利用率
は、一般に結晶化度と相関関係があり、結晶化度が高い
即ち結晶性が高くなるほど、活物質利用率は低くなる傾
向がある。 ニッケル電極の酸素過電圧を高めて高温時の充電効率
を向上させる。この作用は、亜鉛やコバルトと併用する
ことにより、顕著となる。 γ−NiOOHの生成を抑制して、電極膨潤を抑制す
る。この作用は、亜鉛と併用することにより大きくな
る。
【0044】以上のように、実施形態1のニッケル電極
では、亜鉛によるγ−NiOOH生成抑制作用及びコバ
ルトによる40〜50℃における充電効率向上作用に加
えて、銅による活物質利用率向上作用、高温時の充電効
率向上作用、及びγ−NiOOH生成抑制作用が発揮さ
れている。特に、銅による高温時の充電効率向上作用は
亜鉛及びコバルトと併用することにより大きくなってお
り、γ−NiOOH生成抑制作用は亜鉛と併用すること
により大きくなっている。
【0045】実施形態2のニッケル電極では、亜鉛によ
るγ−NiOOH生成抑制作用に加えて、銅による活物
質利用率向上作用、高温時の充電効率向上作用、及びγ
−NiOOH生成抑制作用が発揮されている。特に、銅
による高温時の充電効率向上作用及びγ−NiOOH生
成抑制作用は亜鉛と併用することにより大きくなってい
る。
【0046】実施形態3のニッケル電極では、コバルト
による40〜50℃における充電効率向上作用に加え
て、銅による活物質利用率向上作用、高温時の充電効率
向上作用、及びγ−NiOOH生成抑制作用が発揮され
ている。特に、銅による高温時の充電効率向上作用はコ
バルトと併用することにより大きくなっている。
【0047】従って、実施形態1〜3のニッケル電極は
いずれも、放電性能が優れており、γ−NiOOH生成
を抑制して電極膨潤を十分に抑制でき、高温時の充電効
率が十分に高い。また、ニッケル電極内にカドミウムを
含有していないので、環境悪化の原因にもならない。
【0048】また、実施形態1〜3のアルカリ蓄電池に
おいては、次の及びの作用を奏する。即ち、 ニッケル電極の上記作用に基づいて良好な性能が発揮
される。 ニッケル電極内にカドミウムを含有していないので、
カドミウムによって電池反応が阻害されることはなく、
安定した電池系を提供する。即ち、電池においては、長
期間充放電した場合に、ニッケル電極に添加されていた
元素が電解液中に一部溶出し、元素の種類によっては負
極に悪影響をもたらすことが知られている。特に電極膨
潤防止剤としてカドミウムが添加されたニッケル電極
を、ニッケル金属水素化物電池に用いた場合、溶出した
カドミウムは負極である水素吸蔵合金電極の表面に析出
して反応を阻害する。
【0049】
【発明の効果】請求項1記載のニッケル電極によれば、
亜鉛及び銅の少なくとも一方による効果に加えて、銅に
より、活物質利用率を向上でき、高温時の充電効率を向
上でき、更に、電極膨潤を抑制できる。従って、請求項
1記載のニッケル電極は、放電性能が優れており、γ−
NiOOH生成を抑制して電極膨潤を十分に抑制でき、
高温時の充電効率が十分に高い。また、ニッケル電極内
にカドミウムを含有していないので、環境悪化の原因に
もならない。
【0050】請求項2記載の発明によれば、亜鉛により
γ−NiOOH生成を抑制でき、コバルトにより40〜
50℃における充電効率を向上でき、それに加えて、銅
により請求項1記載の効果を発揮できる。特に、亜鉛及
びコバルトと併用したことによって、銅により、高温時
の充電効率を顕著に向上でき、また、γ−NiOOH生
成を顕著に抑制できる。
【0051】請求項3記載の発明によれば、亜鉛により
γ−NiOOH生成を抑制でき、それに加えて、銅によ
り請求項1記載の効果を発揮できる。特に、亜鉛と併用
したことによって、銅により、高温時の充電効率を顕著
に向上でき、また、γ−NiOOH生成を顕著に抑制で
きる。
【0052】請求項4記載の発明によれば、コバルトに
より40〜50℃における充電効率を向上でき、それに
加えて、銅により請求項1記載の効果を発揮できる。特
に、コバルトと併用したことによって、銅により、高温
時の充電効率を顕著に向上できる。
【0053】請求項5記載のアルカリ蓄電池によれば、
請求項1〜4に記載の効果を発揮できる。また、ニッケ
ル電極内にカドミウムを含有していないので、カドミウ
ムによって電池反応が阻害されるのを防止でき、安定し
た電池系を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態2のニッケル電極と比較形態5にお
けるコバルトの含有量を3重量%としたニッケル電極と
の放電性能を示す図である。
【図2】 実施形態1と比較形態5においてη値の異な
る水酸化ニッケル粉末を有するニッケル電極の充電効率
と20℃でのη値との関係を示す図である。
【図3】 実施形態2において銅の含有量を変化させた
ニッケル電極と、比較形態2,4において亜鉛,銅の含
有量を変化させたニッケル電極と、比較形態1のニッケ
ル電極とについて、亜鉛、銅の添加量と40℃での充電
効率との関係を示す図である。
【図4】 実施形態3のニッケル電極と、比較形態1の
ニッケル電極と、比較形態4において銅の含有量を1重
量%とした場合及び3〜5重量%とした場合のニッケル
電極とについて、充放電温度と充電効率との関係を示す
図である。
【図5】 実施形態2において銅の含有量を変化させた
ニッケル電極と、比較形態4において銅の含有量を変化
させたニッケル電極と、比較形態1のニッケル電極とに
ついて、銅の添加量とγ−NiOOHの生成率との関係
を示す図である。
【図6】 実施形態3のニッケル電極と、比較形態4に
おいて銅の含有量を1,3,5重量%としたニッケル電
極と、比較形態1のニッケル電極とについて、電極膨潤
とγ−NiOOHの生成率との関係を示す図である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水酸化ニッケルを主体とする活物質を有
    するニッケル電極において、 水酸化ニッケルが、その結晶中に、亜鉛及びコバルトの
    少なくとも一方と銅とを固溶状態で含有していることを
    特徴とするアルカリ蓄電池用ニッケル電極。
  2. 【請求項2】 亜鉛及びコバルトの両方と銅とを含有し
    ている請求項1記載のアルカリ蓄電池用ニッケル電極。
  3. 【請求項3】 亜鉛と銅とを含有している請求項1記載
    のアルカリ蓄電池用ニッケル電極。
  4. 【請求項4】 コバルトと銅とを含有している請求項1
    記載のアルカリ蓄電池用ニッケル電極。
  5. 【請求項5】 水酸化ニッケルを主体とする活物質を有
    するニッケル電極を備えたアルカリ蓄電池において、 水酸化ニッケルが、その結晶中に、亜鉛及びコバルトの
    少なくとも一方と銅とを固溶状態で含有していることを
    特徴とするアルカリ蓄電池。
JP7310659A 1995-03-31 1995-11-29 アルカリ蓄電池用ニッケル電極及びアルカリ蓄電池 Pending JPH08329938A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9059465B2 (en) 2008-04-17 2015-06-16 Jx Nippon Mining & Metals Corporation Positive electrode active material for lithium ion battery, positive electrode for secondary battery, and lithium ion battery

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