JPH08325938A - pH緩衝性吸湿性アクリル系繊維及びその製造方法 - Google Patents

pH緩衝性吸湿性アクリル系繊維及びその製造方法

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JPH08325938A
JPH08325938A JP16286995A JP16286995A JPH08325938A JP H08325938 A JPH08325938 A JP H08325938A JP 16286995 A JP16286995 A JP 16286995A JP 16286995 A JP16286995 A JP 16286995A JP H08325938 A JPH08325938 A JP H08325938A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 弱酸性のpH緩衝能力が大きく耐久性があ
り、且つ20℃65%RH下で15〜35%の吸湿率を
有し、その上難燃性、抗菌性、制電性、抗ピル性の多機
能を有するpH緩衝性吸湿性アクリル系繊維を提供す
る。 【構成】 ヒドラジン架橋による窒素含有量の増加が
1.0〜8.0重量%である架橋アクリル系繊維であっ
て、残存ニトリル基の一部には2.5〜4.5meq/
gのカルボキシル基が、残部にはアミド基が導入されて
おり、該カルボキシル基の一部がpH4.0〜7.0に
おいてCa,Mg,Alの硝酸塩、塩酸塩、硫酸塩、燐
酸塩より選ばれた1種又は2種以上の金属塩を添加して
変換した金属塩型であり、且つその当量比(金属対H)
が1.0対1.5から4.0対1.0の範囲にあること
を特徴とするpH緩衝性吸湿性アクリル系繊維。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は繊維に接触する水のpH
をpH5〜7の弱酸性(以下単に弱酸性という)に保持
する機能を有し、且つ20℃65%RH下で15〜35
%の吸湿率を有するpH緩衝性吸湿性アクリル系繊維及
びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】人の皮膚は正常な状態では、分泌される
乳酸等によって弱酸性に保たれているが、近年の環境破
壊に伴う酸性雨や、洗濯による衣服のアルカリ化によっ
て皮膚のpHが正常な範囲をこえ、これが健康な肌をそ
こなっている。肌のpHを弱酸性に保つためには外部か
らの酸やアルカリを衣服によって中和すると共に、肌に
接触する繊維素材そのものが弱酸性であることが望まし
い。この様な要望に答える方法として、弱酸性に等電点
を持つタンパク質を繊維製品への後加工によって付着さ
せたものがある。しかし、この方法はpH緩衝性物質を
後加工によって繊維製品に付着させているため、各種の
形態に容易に加工できない欠点を有するものであり、又
最近社会的ニーズとして高まりつつある吸湿性、難燃
性、抗菌性、制電性、抗ピル性の要求を満たすものでは
なかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、このよう
な従来技術の問題点を解消するために、特願平6−36
597でアクリル系繊維をヒドラジン処理により架橋
し、次いで加水分解処理を施し、生成したカルボキシル
基を酸型に変換後、金属水酸化物でその一部を金属塩型
に変換することを特徴とするpH緩衝性繊維およびその
製造方法を提案したが、カルボキシル基が酸型の場合は
繊維の膨潤が小さく金属塩型に変換する際、内部迄均一
に反応しにくいことから金属水酸化物添加量を少量づつ
添加する必要があり、工業的に製造する上で時間が多大
にかかること、表層部に金属塩が多く分布するためその
方法で製造したpH緩衝性繊維を染色加工する際に、特
に染液pHの高い染色において金属塩が脱落し染液が汚
染し染上がり製品へ粉状に付着する等、耐久性に欠点を
持つことが明らかになった。
【0004】本発明はかかる従来技術の現状に鑑み創案
されたものであり、その目的とするところは、弱酸性の
pH緩衝能力が大きく耐久性があり、且つ20℃65%
RH下で15〜35%の吸湿率を有し、その上難燃性、
抗菌性、制電性、抗ピル性の多機能を有するpH緩衝性
吸湿性アクリル系繊維およびその工業的に有利な製造方
法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記目的を達
成するために鋭意検討した結果、本発明の完成に至っ
た。即ち、本発明はヒドラジン架橋による窒素含有量の
増加が1.0〜8.0重量%である架橋アクリル系繊維
であって、残存ニトリル基の一部には2.5〜4.5m
eq/gのカルボキシル基が、残部にはアミド基が導入
されており、該カルボキシル基の一部がpH4.0〜
7.0においてCa,Mg,Alの硝酸塩、塩酸塩、硫
酸塩、燐酸塩より選ばれた1種又は2種以上の金属塩を
添加して変換した金属塩型であり、且つその当量比(金
属対H)が1.0対1.5から4.0対1.0の範囲に
あることを特徴とするpH緩衝性吸湿性アクリル系繊維
である。また、本発明はアクリル系繊維にヒドラジン処
理により架橋結合を導入して窒素含有量の増加を1.0
〜8.0重量%の範囲内に調整し、加水分解反応により
残存しているニトリル基量の2.5〜4.5meq/g
にカルボキシル基を、残部にアミド基を導入し、酸加水
分解のときは、Li、Na、Kより選ばれた1種又は2
種以上の水酸化物で、アルカリ加水分解のときは、硫
酸、塩酸、硝酸および燐酸より選ばれた1種又は2種以
上の酸でpH4.0〜7.0に調整してカルボキシル基
の一部を塩型にした後、必須成分としてのCa,Mg,
Alの硝酸塩、塩酸塩、硫酸塩、燐酸塩より選ばれた1
種又は2種以上の金属塩を添加して一部を金属塩型に変
換することを特徴とするpH緩衝性吸湿性アクリル系繊
維の製造方法である。
【0006】以下、本発明を詳述する。まず、本発明の
架橋アクリル系繊維は、その出発アクリル系繊維として
アクリロニトリル(以下、ANという)を40重量%以
上、好ましくは50重量%以上含有するAN系重合体に
より形成された繊維であり、短繊維、トウ、糸、編織
物、不織布等いずれの形態のものでもよく、また、製造
工程途中品、廃繊維などでも構わない。AN系重合体
は、AN単独重合体、ANと他のモノマーとの共重合体
のいずれでも良く、他のモノマーとしては、ハロゲン化
ビニル及びハロゲン化ビニリデン;(メタ)アクリル酸
エステル;メタリルスルホン酸、p−スチレンスルホン
酸等のスルホン酸含有モノマー及びその塩;(メタ)ア
クリル酸、イタコン酸等のカルボン酸基含有モノマー及
びその塩;アクリルアミド、スチレン、酢酸ビニル等の
その他のモノマーが挙げられる。
【0007】該アクリル系繊維にヒドラジン架橋を導入
する方法としては、窒素含有量の増加を1.0〜8.0
重量%に調整しうる手段である限り特に限定されない
が、濃度5〜80重量%(好ましくは5〜40重量
%)、温度50〜130℃(好ましくは85〜130
℃)で、1〜8時間(好ましくは1〜4時間)処理する
手段が工業的に好ましい。ここで窒素含有量の増加と
は、原料アクリル系繊維の窒素含有量とヒドラジン架橋
アクリル系繊維の窒素含有量との差をいう。
【0008】なお、窒素含有量の増加が上記下限に満た
ない場合には、最終的に実用上満足し得る物性の繊維が
得られず、その上難燃性、抗菌性、制電性、抗ピル性の
多機能が得られず、上限を越えると吸湿性、pH緩衝性
が得られず、いずれも発明の目的が達成されない。ここ
で採用し得るヒドラジンとしては、水加ヒドラジン、硫
酸ヒドラジン、塩酸ヒドラジン、硝酸ヒドラジン、臭素
酸ヒドラジン等が例示される。
【0009】また、加水分解反応により、ヒドラジン架
橋されずに残存しているニトリル基を実質的に消失さ
せ、最終的に2.5〜4.5meq/gのカルボキシル
基と残部にアミド基を導入する方法としては、アルカリ
金属水酸化物、アンモニア等の塩基性水溶液、或いは硝
酸、硫酸、塩酸等の鉱酸の水溶液を含浸、または該水溶
液中に原料繊維を浸漬した状態で加熱処理する手段が挙
げられる。なお、前記架橋結合の導入と同時に加水分解
反応を行うこともできる。ここにおいて、最終的にカル
ボキシル基量が上記下限に満たない場合には、実用上満
足し得るpH緩衝能が得られず、さらに20℃65%R
H下で15〜40%の吸湿率が得られず、その上難燃
性、抗菌性、制電性、抗ピル性の多機能が得られない。
また上限を越えると実用上満足しうる物性の繊維が得ら
れない。
【0010】かくして導入されたカルボキシル基を必須
成分としてのCa、Mg、Alから選ばれた1種又は2
種以上の金属とHとの当量比(金属対H)を1.0対
1.5から4.0対1.0に調整する方法としては、上
述した加水分解を酸で行った時は、Li、Na、Kより
選ばれた1種又は2種以上の水酸化物で、アルカリ加水
分解のときは、硫酸、塩酸、硝酸および燐酸より選ばれ
た1種又は2種以上の酸でpH4.0〜7.0に調整し
てカルボキシル基の一部を塩型に変換し、必須成分とし
てのCa、Mg、Alの硝酸塩、塩酸塩、燐酸塩より選
ばれた1種又は2種以上の金属塩を添加してカルボキシ
ル基の一部を金属塩に変換し、しかる後水洗、油剤処
理、乾燥する方法が用いられる。ここで使用する水酸化
物、鉱酸及び金属塩は水に対する溶解度が高く、又pH
を4.0〜7.0に調整することにより、カルボキシル
基の一部が解離状態になり、かくして処理される繊維の
微細構造が半膨潤し、金属塩への変換が繊維内部まで均
一に且つ素速く行われる。この方法によってはじめて工
業的に有利にpH緩衝性吸湿性繊維を製造することが可
能になり、且つ染色、洗濯に対して金属塩の脱落が防止
できるのである。
【0011】なおCa、Mg、Al以外の金属塩型カル
ボキシル基ではpHを弱酸性に緩衝できないか、人体に
対する有害性が懸念されることから推奨できない。例え
ばNa、K、Li等のアルカリ金属塩型は、酸に対する
pH緩衝能は有するが、アルカリに対する緩衝能力が劣
る。これを避けるためにH型比を大きくすると酸に対す
る緩衝性が低下し、実質的に弱酸性に緩衝能を有するp
H緩衝性繊維ではなくなる。次にCa、Mg、Al金属
塩型カルボキシル基とH型カルボキシル基の比が1.0
対1.5に満たない場合には酸に対する緩衝性が少な
く、4.0対1.0を越える場合にはアルカリに対する
緩衝性が少なく実用上弱酸性に緩衝能を有するpH緩衝
性繊維ではなくなり、いずれも発明の目的を達成できな
い。なお、本発明では金属塩の種類としてCa、Mg、
Alのいずれかが採用されることが必須であるが、pH
緩衝性、難燃性、抗菌性、制電性、抗ピル性及び20℃
65%RH下で15〜35%の吸湿率を損なわない範囲
でこれら以外の金属を使用することもできる。しかしそ
の含有量は、金属塩型カルボキシル基として0.4me
q/g以下である。
【0012】このようにして、1g/dの引張強度以上
でpH緩衝性のある難燃性、抗菌性、制電性、抗ピル性
及び20℃65%RH下で15〜35%の吸湿率を兼備
するアクリル系繊維を工業的に有利に提供することがで
きる。かくして製造される本発明の繊維は、ニトリル基
が大きく変性されているのでアクリル変性繊維と称する
こともできるものである。尚、特に高い引張強度を求め
る場合には、後述するように出発アクリル系繊維として
二色性比の高い繊維を選ぶのが良い。
【0013】上記アクリル系繊維を製造するための装置
としては、アクリル系繊維をポンプ循環系を備えた容器
内に充填し、上記架橋結合の導入、加水分解反応、及び
金属塩の形成の各反応を逐次行う手段が、安全性、均一
反応性等の諸点から望ましい。かかる装置(ポンプ循環
系を備えた容器)の代表例としては、加圧型オーバーマ
イヤー染色機等が挙げられる。
【0014】また、実用上問題のない繊維物性とpH緩
衝性、難燃性、抗菌性、抗ピル性、制電性及び20℃6
5%RH下で15〜35%の吸湿率を兼ね備えた繊維を
提供するためには、特に下記特性を備えた出発アクリル
系繊維を採用することが望ましい。
【0015】即ち、繊維を形成するAN系重合体分子が
十分に配向しておりコンゴーレッド(以下CRという)
二色性比が0.4以上、更に好ましくは0.5以上のア
クリル系繊維を採択することが望ましい。なお、CR二
色性比は、高分子化学23(252)193(196
6)記載の方法に従って求められるものである。
【0016】なお、かかるアクリル系繊維の製造手段に
限定はなく、上記CR二色性比が満たされる限り、適宜
公知の手段を用いることができるが、中でも全延伸倍率
を4倍以上、好ましくは8倍以上とし、かつ工程収縮率
を40%以下、好ましくは30%以下とする手段の採用
により工業的に有利に所望のアクリル系繊維を製造する
ことができる。
【0017】更に出発アクリル系繊維として、延伸後熱
処理前の繊維(AN系重合体の紡糸原液を常法に従って
紡糸し、延伸配向されてはいるが、乾燥緻密化、湿熱緩
和処理等の熱処理の施されていない繊維、中でも湿式又
は乾/湿式紡糸、延伸後の水膨潤ゲル状繊維:水膨潤度
は30〜150%)を使用することにより、反応液中へ
の繊維の分散性、繊維中への反応液の浸透性などが改善
され、以て架橋結合の導入や加水分解反応が均一かつ速
やかに行われるので望ましい。なお、水膨潤度とは乾燥
繊維重量基準で表した含有水分量の百分率である。
【0018】
【作用】本発明に係るpH緩衝性吸湿性アクリル系繊維
及びその製造方法が難燃性、抗菌性、抗ピル性、制電性
及び20℃65%RH下で15〜35%の吸湿率を兼ね
備える理由は、十分に解明するに至っていないが、概ね
次のように考えられる。
【0019】即ち、本発明に係る繊維は、AN系重合体
から出発していながら、実質的にニトリル基が消失して
いるところから、ポリマー鎖に結合している側鎖は、ヒ
ドラジンとの反応により生成した窒素を含有する架橋構
造と、ニトリル基の加水分解反応により生成したH型,
金属塩型カルボキシル基及びアミド基と考えられる。
【0020】一般に塩型カルボキシル基はpH緩衝性を
有するが、本発明においてCa、Mg、Alの金属塩型
とH型との特定比率のカルボキシル基が弱酸性に緩衝性
を示すのは、弱塩基の金属塩と弱酸が適度に共存するた
めであろう。難燃性は架橋構造とアクリルアミド及びカ
ルボン酸の金属塩により、抗菌性は架橋構造によりもた
らされているものと推定する。又、制電性は高吸湿水分
による漏洩効果により、抗ピル性は低強度により、更に
高吸湿性は架橋構造と金属塩型カルボキシル基によるも
のであろう。また加工性能を支えているのは、CR二色
性比にみられる配向構造と多価金属による分子内、分子
間のイオン架橋に由来するところが大であろう。
【0021】
【実施例】以下本発明を実施例により具体的に説明する
が、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例
中の部及び百分率は断りのない限り重量基準で示す。
【0022】なお、pH緩衝能力(μeq/g)、全カ
ルボキシル基量、金属塩型カルボキシル基量、H型カル
ボキシル基量(meq/g)、LOI(限界酸素指
数)、吸湿率、抗菌性(増減値差)、抗ピル性(ICI
等級)及び制電性(半減期)は以下の方法により求め
た。
【0023】(1) pH緩衝能力(μeq/g) 十分乾燥した供試繊維約0.4gを精秤し(X)g、こ
れに200mlの水を加えた後、0.1N塩酸水溶液あ
るいは0.1N苛性ソーダ水溶液を滴下し、塩酸水溶液
の場合はpH5.0になるまでに、また苛性ソーダ水溶
液の場合はpH7.0になるまでに消費された塩酸水溶
液または苛性ソーダ水溶液消費量(Y)ccを求め、次式
によって、酸またはアルカリに対する緩衝能力を算出し
た。
【0024】(2) 全カルボキシル基量(meq/
g) 十分乾燥した供試繊維約1gを精秤し(X)g、これに
200mlの1N塩酸水溶液を加え30分間放置したの
ちガラスフィルターで濾過し水を加えて水洗する。この
塩酸処理を3回繰り返したのち、濾液のpHが5以上に
なるまで十分に水洗する。次にこの試料を200mlの
水に入れ1N塩酸水溶液を添加してpH2にした後、
0.1N−苛性ソーダ水溶液で常法に従って滴定曲線を
求めた。該滴定曲線からカルボキシル基に消費された苛
性ソーダ水溶液消費量(Y)ccを求め、次式によって全
カルボキシル基量を算出した。
【0025】(3) 金属塩型カルボキシル基量(me
q/g) 十分乾燥した供試繊維を精秤し常法に従って濃硫酸と濃
硝酸の混合溶液で酸分解したのち、金属を常法に従って
原子吸光光度法により定量し、金属の結合したカルボキ
シル基量として算出した。
【0026】(4) H型カルボキシル基量(meq/
g) 次式によりH型カルボキシル基量を算出した。H型カル
ボキシル基量=全カルボキシル基量−金属塩型カルボキ
シル基量
【0027】(5) LOI JIS−7201の最低酸素指数の測定法に従って行な
った。
【0028】(6) 吸湿率(%) 試料繊維約5.0gを熱風乾燥機で105℃、16時間
乾燥して重量(W1)gを測定する。次に試料を温度2
0℃で相対湿度65%に調整された恒温恒湿機に24時
間入れて置く。このようにして吸湿した試料の重量(W
2)gを測定する。以上の結果から、吸湿率を次式に従
って算出した。
【0029】(7) 抗菌性 試験菌株:黄色葡萄状球菌 Stapylococcus aureus I
FO 12732 試験方法:繊維製品衛生加工協議会(SEK)で定める
方法により、滅菌試料布に試験菌のブイヨン懸濁液を注
加し、密閉容器中で、37℃、18時間培養後の生菌数
を計測し、植菌数Aに対する標準布の菌数Bと試料の菌
数Cの増減値差で求める。 増減値=logC−logA 増減値差=(logB−logA)−(logC−lo
gA)
【0030】(8) 抗ピル性 JIS L 1076織物及び編物のピリング試験方法
A法のICI型試験機を用いる方法に従って行った。
【0031】(9) 制電性 JIS L 1094織物及び編物の帯電性試験方法に
従って行なった。
【0032】実施例 1 AN90%及びアクリル酸メチル(以下、MAという)
10%からなるAN系重合体(30℃ジメチルホルムア
ミド中での極限粘度〔η〕:1.2)10部を48%の
ロダンソーダ水溶液90部に溶解した紡糸原液を、常法
に従って紡糸、延伸(全延伸倍率;10倍)した後、乾
球/湿球=120℃/60℃の雰囲気下で乾燥して、次
いで125℃の高圧スチ−ム下で緩和処理(工程収縮率
27%)して単繊維繊度1.0dの原料繊維(CR二色
性比0.56)を得た。
【0033】原料繊維10gを表1に示した条件で1L
のヒドラジン水溶液及び1LのNaOH水溶液で処理し
た後、水洗した。得られた繊維を表1に記載した条件で
pH調整処理をした後水洗しカルボキシル基の一部がH
型となった繊維を得た。ヒドラジン処理後の窒素増加量
は5.0重量%、加水分解処理後の全カルボキシル量は
4.2meq/gであった。次に得られた繊維を表1に
記載した条件で各種の金属塩を加えて金属塩処理を実施
した。十分に水洗した後乾燥しpH緩衝性吸湿性繊維N
o.1〜7を得た。このNo.1〜7のpH緩衝性吸湿
性繊維の特性値を表2に示した。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】表1及び表2からわかるように、本発明例
のpH緩衝性吸湿性繊維No.1〜5は、本発明者が先
に提案した比較例No.6〜7に比べてpH調整及び金
属塩処理時間を大幅に短縮したにもかかわらず、引張強
度、難燃性、抗菌性、吸湿率のいずれの特性値も勝ると
も劣らない優れた性能を得ることができる。
【0037】実施例 2 実施例1で作成した、本発明例(繊維No.1、No.
4)及び比較例(繊維No.6)の3種のpH緩衝性吸
湿性繊維に油剤処理、乾燥処理を行い、1.8デニ−ル
×48mmの製品原綿を得た。これらの製品原綿を常法
に従って、混綿、カ−ド、練条、粗紡、精紡を行い、1
/52メ−トル番手、撚り数830T/Mの糸を作成し
た。次に、これらの糸を20ゲ−ジのスム−ス編機で目
付が200±20g/m2 の、表3に示すAからFの編
地サンプルを作成した。次いで、これらのサンプル編地
をH2 2 /NaOH(pH=9、80℃×60分)で
晒染色を実施した。
【0038】
【表3】
【0039】本発明例(繊維No.1、No.4)は、
紡績、編み、染色いずれの工程でも、加工上何らの問題
もなかったが、比較例(繊維No.6)は、カ−ド工程
及び精紡工程で白粉が認められ、更に晒染色残浴の濁り
が多く認められた。これは、pH調整及び金属水酸化物
処理に時間を掛けたにかかわらず、未反応の水酸化カル
シウムが繊維表面及び繊維内部に残存したためと考え
る。
【0040】晒染色後のサンプル編地A〜Fの吸湿率、
抗菌性、制電性、抗ピル性試験の結果を表4に示す。本
発明例のサンプル編地A〜Bはいずれも優れた特性を示
し、30%混のサンプル編地C〜Dに於いても、実用効
果が十分な特性を示すことがわかる。これは、金属塩処
理が、pH4.0〜7.0に調整してカルボキシル基の
一部を塩型にした後、金属塩処理することで、繊維内部
迄均一に反応し耐久性が著しく向上したためであろう。
比較例のサンプル編地E〜Fに於いても、本発明者が目
標とする実用性能は維持しているが、加工面で制約があ
る点が問題である。
【0041】
【表4】
【0042】
【発明の効果】本発明により、実用上問題のない繊維物
性を維持し、20℃×65RH下での飽和吸湿率が15
〜35%を有し、且つ難燃性、抗菌性、制電性、抗ピル
性を兼ね備えたpH緩衝性吸湿性アクリル系繊維並びに
該繊維を工業的に有利に製造する手段を提供することが
できる。本発明のpH緩衝性吸湿性アクリル系繊維はそ
れ自体が弱酸性にあり、外界からの酸,アルカリの攻撃
にもpH5〜7の範囲内に維持する能力に優れる。また
具体的には、LOI表示で24以上もの難燃性を示し、
抗菌性はSEK菌数増減値差で基準値1.6を上回り、
抗ピル性はICI法で30%混の編地において3級を上
回り、制電性は20℃×40RH下の半減期が30%混
の編地において15秒を下回るという、従来の合成繊維
や天然繊維と比べ顕著な諸性能を有する。さらに、不織
布,編物,織物などさまざまな形態に加工し得るため、
衣料分野をはじめ生活資材や産業資材などあらゆる用途
分野に広く用いられる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒドラジン架橋による窒素含有量の増加
    が1.0〜8.0重量%である架橋アクリル系繊維であ
    って、残存ニトリル基の一部には2.5〜4.5meq
    /gのカルボキシル基が、残部にはアミド基が導入され
    ており、該カルボキシル基の一部がpH4.0〜7.0
    においてCa,Mg,Alの硝酸塩、塩酸塩、硫酸塩、
    燐酸塩より選ばれた1種又は2種以上の金属塩を添加し
    て変換した金属塩型であり、且つその当量比(金属対
    H)が1.0対1.5から4.0対1.0の範囲にある
    ことを特徴とするpH緩衝性吸湿性アクリル系繊維。
  2. 【請求項2】 アクリル系繊維にヒドラジン処理により
    架橋結合を導入して窒素含有量の増加を1.0〜8.0
    重量%の範囲内に調整し、加水分解反応により残存して
    いるニトリル基量の2.5〜4.5meq/gにカルボ
    キシル基を、残部にアミド基を導入し、酸加水分解のと
    きは、Li、Na、Kより選ばれた1種又は2種以上の
    水酸化物で、アルカリ加水分解のときは、硫酸、塩酸、
    硝酸および燐酸より選ばれた1種又は2種以上の酸でp
    H4.0〜7.0に調整してカルボキシル基の一部を塩
    型にした後、必須成分としてのCa,Mg,Alの硝酸
    塩、塩酸塩、硫酸塩、燐酸塩より選ばれた1種又は2種
    以上の金属塩を添加して一部を金属塩型に変換すること
    を特徴とするpH緩衝性吸湿性アクリル系繊維の製造方
    法。
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