JPH08325432A - ポリアセタール樹脂組成物 - Google Patents

ポリアセタール樹脂組成物

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JPH08325432A
JPH08325432A JP13200495A JP13200495A JPH08325432A JP H08325432 A JPH08325432 A JP H08325432A JP 13200495 A JP13200495 A JP 13200495A JP 13200495 A JP13200495 A JP 13200495A JP H08325432 A JPH08325432 A JP H08325432A
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polymer
core
polyacetal resin
shell
resin composition
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恭之 福手
Tatsuya Yamada
竜也 山田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ポリアセタールの本来有する機械物性、摩擦
摩耗性、成形性、靭性などを保持しながら、ヒンジ特性
に優れ、かつ流動性の向上したポリアセタール樹脂組成
物及びその成形品を提供する。 【構成】 (A) ポリアセタール樹脂 100重量部に、(B)
ゴム状ポリマーのコアとガラス状ポリマーのシェルを有
するコアシェルポリマー1〜50重量部及び(C) 1級又は
2級アミンを有する、炭素鎖が2〜8個隣接するオキシ
アルキレン系重合体 0.1〜20重量部を配合する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、コアシェルポリマーと
1級又は2級アミンを有するオキシアルキレン系重合体
を配合してなり、優れたヒンジ特性を有し、しかも耐衝
撃性、ウエルド特性にも優れたポリアセタール樹脂組成
物、及びその組成物を成形してなるポリアセタール樹脂
製ヒンジ部品に関するものである。尚、ここで言うヒン
ジ部品とは、例えば図1に示す如きものであり、部品の
或る部分において1回以上の曲げ又は折り曲げ荷重が加
えられる薄肉部を称してヒンジ(図中1で示す)と呼
ぶ。ヒンジの形状については、特に制約はなく、シート
状、帯状、ひも状等であることができる。ヒンジの厚
み、長さについても規定されるものではなく、実質的に
ヒンジとしての機能を有するものは本発明にいうヒジ部
品に含まれる。また、本明細書中、ヒンジ特性とは、上
記の如きヒンジにおける1回以上の曲げ又は折り曲げ荷
重に対する耐久性と定義する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】周知の
如く、ポリアセタール樹脂は、機械的性質、電気的性質
などの物理的性質、或いは耐薬品性、耐熱性などの化学
的特性の優れたエンジニアリング樹脂として近年きわめ
て広汎な分野において利用されている。しかし、ポリア
セタール樹脂が利用される分野の拡大に伴い、その材料
としての性質にもさらに特殊性が要求される場合があ
る。このような性質の一つとして、屈曲性に優れる材
料、即ちヒンジ特性に優れる材料の開発が要望される場
合がある。とりわけ近年、部品点数の削減による原価低
減の必要性から、いくつかの部品をヒンジをもって一体
化せしめ組付けを容易且つ安価に行うことが望まれる場
合が増えており、さらには、ヒンジ部品の低温下での使
用、或いは構造上好ましいヒンジ形状が取り得ないもの
等、ヒンジ特性を低下させる要因も多く、本質的に優れ
たヒンジ特性の要求は一層厳しいものとなっている。ま
た、一般の電気機器、建材等の分野においても、その目
的に応じて各種材料を組み合わせて使用する機会が増加
しているが、ポリアセタール樹脂の一層の耐衝撃性向上
が求められている。ヒンジ特性の要求に応える方法とし
て、ポリアセタール樹脂に熱可塑性ポリウレタン等のゴ
ム状物質を添加してヒンジ特性の向上を図る方法が知ら
れている。この方法でも、ヒンジ特性の向上を示すこと
は可能ではあるが、ゴム状物質を配合することにより成
形品表面で剥離現象が起こり易くなり、成形品の外観を
著しく損なう問題があり、又、熱安定性の低下、さらに
成形品のウエルド強伸度が著しく低下する等のことから
ヒンジ設計の自由度が小さくなる等、種々の問題点があ
り、その改善が求められていた。本発明は、他の物性を
損なうことなく、従来のものよりも更に優れたヒンジ特
性を有するポリアセタール樹脂組成物、及びポリアセタ
ール樹脂製ヒンジ部品を提供することを目的とするもの
である。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ポリアセ
タール樹脂本来の特性を可能な限り犠牲にすることな
く、上記の問題が解決され、優れたヒンジ特性を有し、
かつ耐衝撃性に優れたポリアセタール樹脂材料の開発を
すべく鋭意研究を重ねた結果、ポリアセタール樹脂にコ
アシェルポリマーと1級又は2級アミンを有するオキシ
アルキレン系重合体とを併用して添加するのが有効であ
ることを見出し、本発明を完成するに至ったものであ
る。即ち、本発明は、(A) ポリアセタール樹脂 100重量
部に(B) ゴム状ポリマーのコアとガラス状ポリマーのシ
ェルを有するコアシェルポリマー1〜50重量部及び(C)
1級又は2級アミンを有する、炭素鎖が2〜8個隣接す
るオキシアルキレン系重合体 0.1〜20重量部を配合した
ポリアセタール樹脂組成物、及びこれを成形してなるポ
リアセタール樹脂製ヒンジ部品に関するものである。本
発明の樹脂組成物は従来技術では困難であった、良好な
ヒンジ特性と耐衝撃性、ウェルド特性を備えているた
め、ヒンジ用として極めて好適な材料である。
【0004】以下、本発明の構成成分について詳しく説
明する。まず、本発明において用いられる(A) ポリアセ
タール樹脂は、オキシメチレン基(-CH2O-)を主たる構成
単位とする高分子化合物で、ポリオキシメチレンホモポ
リマー、オキシメチレン基以外に他の構成単位を少量有
するコポリマー、ターポリマー、ブロックコポリマーい
ずれにてもよく、又、分子が線状のみならず分岐、架橋
構造を有するものであってもよい。またその重合度等に
関しても特に制限はなく、溶融成形加工性を有するもの
であればよい。
【0005】次に本発明において用いられる(B) コアシ
ェルポリマーは、ゴム状ポリマーのコアとガラス状ポリ
マーのシェルを有する有機化合物であり、公知の方法に
よって調製することもできるし、また市販品を用いるこ
ともできる。その典型例はローム・アンド・ハース社の
アクリロイドKM330 及びKM653 、呉羽化学工業(株)の
パラロイドKCA-102 及びKCA-301 、武田薬品工業(株)
のスタフィロイドPO-0143 及び0148、鐘淵化学工業
(株)のカネエースFM、三菱レーヨン(株)のメタブレ
ンC-102 、E-901 、W-800 、S-2001等が挙げられる。か
かるコアシェルポリマーの内、好ましいのは、ゴム状ポ
リマーのコアとメチルメタクリレートを主成分とするガ
ラス状ポリマーのシェルを有するコアシェルポリマーで
あり、特に実質的にアニオンが検出されないコアシェル
ポリマーである。アニオンが検出されるコアシェルポリ
マーを用いた場合、溶融練込み時や射出成形時にポリア
セタールの分解を促進することがあり、所望のクリップ
特性が得られないことがある。又、分解が多すぎて溶融
練込みが不可能な場合もある。ここで、実質的にアニオ
ンが検出されないコアシェルポリマーとは、通常のアニ
オンの定性試験によってはアニオンが検出されない程度
のコアシェルポリマーを意味する。例えば、その測定方
法としては、試料(コアシェルポリマー)5gを50ml三
角フラスコに秤量し、イオン交換水20mlを加え、マグネ
チックスターラーで3時間攪拌し、次いでNo.5 C濾紙で
濾過した濾液を二分し、一方に1%塩化バリウム水溶液
0.5ml を加え、濁りの発生を比較観察する方法(硫酸イ
オンの定性試験)、また、同様の処理を行い、1%塩化
バリウム水溶液の代わりに0.1 N硝酸銀水溶液を加え、
濁りの発生を比較観察する方法(ハロゲンイオンの定性
試験)によってアニオンの存在を確認することができ
る。好ましくは、これらのアニオンが全く存在しないコ
アシェルポリマーが好適に用いられる。
【0006】本発明に用いるのに好ましいコアシェルポ
リマーは、ノニオン性界面活性剤及び発生するラジカル
が中性である重合開始剤を用い乳化重合して得られるも
のである。かかるコアシェルポリマーは、例えば特開平
3−14856 号公報に記載された乳化重合技術を用いて製
造することができる。乳化重合は、例えば次のような界
面活性剤及び重合開始剤を用いて行うことができる。ノ
ニオン性界面活性剤としてはポリオキシエチレンノニル
フェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエー
テル、ポリオキシエチレンラウリルエーテルなどのエー
テル型、ポリオキシエチレンモノステアレートなどのエ
ステル型、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレー
トなどのソルビタンエステル型、ポリオキシエチレンポ
リオキシプロピレンブロックコポリマーなどのブロック
ポリマー型など広く一般に使用されているノニオン性界
面活性剤のほとんどが使用可能である。その添加量は界
面活性剤の粒子安定化能力によって適宜選択される。重
合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、2,2'
−アゾビスイソ酪酸ジメチル、2,2'−アゾビス(2−ア
ミノプロパン)二塩酸塩などのアゾ系重合開始剤、クメ
ンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハ
イドロパーオキサイド、過酸化水素などの過酸化物系重
合開始剤が単独または2種以上を組み合わせて用いられ
る。このようにアニオンを含まない界面活性剤と過硫酸
塩ではない重合開始剤を使用するような反応系で乳化重
合を行えば、得られるコアシェルポリマーは実質的にア
ニオンを含まないものか、含んでいても極く少量である
コアシェルポリマーが得られる。このような実質的にア
ニオンを含まないコアシェルポリマーを用いたポリアセ
タール樹脂組成物はヒンジ特性に優れたものとなる。
【0007】本発明における(B) コアシェルポリマーと
は、ゴム状ポリマーのコアとガラス状ポリマーのシェル
を有し、シード乳化重合法のうち、通常、先の段階の重
合体を後の段階の重合体が順次に被覆するような連続し
た多段階乳化重合法によって得られる。コアシェルポリ
マーが後述の中間相を有する場合においては、先の段階
の重合体の中へ後の段階の重合体が侵入するような多段
階乳化重合法によって中間相が形成されることもある。
粒子発生重合時には、モノマー、界面活性剤および水を
反応器へ添加し、次に重合開始剤を添加することによ
り、乳化重合反応を開始させることが好ましい。第一段
目の重合はゴム状ポリマーを形成する反応である。ゴム
状ポリマーを構成するモノマーとしては、例えば共役ジ
エンまたはアルキル基の炭素数が2〜8であるアルキル
アクリレートあるいはそれらの混合物などが挙げられ
る。これらのモノマーを重合させてガラス転移温度−30
℃以下のゴム状ポリマーを形成する。このような共役ジ
エンとして、例えばブタジエン、イソプレン、クロロプ
レン等を挙げることができるが、特にブタジエンが好ま
しく用いられる。又、アルキル基の炭素数が2〜8であ
るアルキルアクリレートとして、例えばエチルアクリレ
ート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、シ
クロヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリ
レート等を挙げることができるが、特にブチルアクリレ
ートが好ましく用いられる。第一段目の重合には共役ジ
エンおよびアルキルアクリレートなど共重合可能なモノ
マー、例えばスチレン、ビニルトルエン、α−メチルス
チレン等の芳香族ビニル、芳香族ビニリデン、アクリロ
ニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル、シ
アン化ビニリデン、メチルメタクリレート、ブチルメタ
クリレート等のアルキルメタクリレート等を共重合させ
ることもできる。第一段目の重合が共役ジエンを含まな
い場合あるいは共役ジエンを含んでいても第一段目の全
モノマー量の20重量%以下である場合は、架橋性モノマ
ーおよびグラフト化モノマーを少量用いることにより高
い耐衝撃性をもつポリマーとすることができる。架橋性
モノマーとして、例えばジビニルベンゼン等の芳香族ジ
ビニルモノマー、エチレングリコールジアクリレート、
エチレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコ
ールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレー
ト、ヘキサンジオールジメタクリレート、オリゴエチレ
ングリコールジアクリレート、オリゴエチレングリコー
ルジメタクリレート、トリメチロールプロパンジアクリ
レート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、ト
リメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロー
ルプロパントリメタクリレート等のアルカンポリオール
ポリアクリレートまたはアルカンポリオールポリメタク
リレート等を挙げることができるが、特にブチレングリ
コールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレー
トが好ましく用いられる。グラフト化モノマーとして、
例えばアリルアクリレート、アリルメタクリレート、ジ
アリルマレエート、ジアリルフマレート、ジアリルイタ
コネート等の不飽和カルボン酸アリルエステル等を挙げ
ることができるが、特にアリルメタクリレートが好まし
く用いられる。このような架橋性モノマー、グラフト化
モノマーは、それぞれ第一段目の全モノマー量の0〜5
重量%、好ましくは 0.1〜2重量%の範囲で用いられ
る。
【0008】このゴム状ポリマーのコアはコアシェルポ
リマー全体の50〜90重量%の範囲が好ましい。コアがこ
の重量範囲よりも少ないとき、あるいはこれを越えて多
いときは生成するコアシェルポリマーを溶融混合して得
られる樹脂組成物の耐衝撃性改良の効果が十分ではない
ことがある。またコアのガラス転移温度が−30℃よりも
高い場合は、低温耐衝撃性改良の効果が十分ではないこ
とがある。最外殻相(シェル相)はガラス状ポリマーが
形成されている。ガラス状ポリマーを構成するモノマー
としては、メチルメタクリレート、メチルメタクリレー
トと共重合可能なモノマーが挙げられる。これらモノマ
ーは、メチルメタクリレート単独あるいはメチルメタク
リレートと共重合可能なモノマーの混合物であり、ガラ
ス転移温度60℃以上のガラス状ポリマーを形成する。メ
チルメタクリレートと共重合可能なモノマーとしては、
例えばエチルアクリレート、ブチルアクリレート等のア
ルキルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメ
タクリレート等のアルキルメタクリレート、スチレン、
ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニ
ル、芳香族ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリロ
ニトリル等のシアン化ビニル、シアン化ビニリデン等の
ビニル重合性モノマーを挙げることができるが、特に好
ましくはエチルアクリレート、スチレン、アクリロニト
リル等が用いられる。この最外殻相(シェル相)はコア
シェルポリマー全体の10〜50重量%の範囲が好ましい。
この最外殻相がこの重量範囲よりも少ないとき、あるい
は越えて多いとき、生成するコアシェルポリマーを溶融
混合して得られる樹脂組成物の耐衝撃性改良の効果が十
分でないことがある。また、第一段と最終の重合相の間
には中間相が存在していてもよい。例えば、グリシジル
メタクリレート、メタクリル酸、ヒドロキシエチルメタ
クリレートなどのような官能基を有する重合モノマー、
メチルメタクリレートなどのようなガラス状ポリマーを
形成する重合モノマー、ブチルアクリレートなどのゴム
状ポリマーを形成する重合モノマーなどをシード乳化重
合することによって中間相が形成される。このような中
間相は所望のコアシェルポリマーの性質によって種々選
択することができる。また、その重合割合も使用するモ
ノマーによって適宜選択すれば良い。例えば、ガラス状
ポリマーを中間相とする場合は、その重合割合をシェル
の一部として算出すればよく、ゴム状ポリマーの場合は
コアの一部として算出すればよい。
【0009】このような中間相を有するコアシェルポリ
マーの構造は、例えばコアとシェルの間にもう一つの層
が存在している多層系構造をとるものや、中間相がコア
中で細かな粒状となって分散しているサラミ構造をとる
ものが挙げられる。サラミ構造を有するコアシェルポリ
マーにおいては更に極端な場合は、分散するべき中間相
がコアの中心部において新たな芯を形成していることも
ある。このような構造のコアシェルポリマーはスチレン
に代表されるモノマーを中間相構成モノマーとして使用
した場合に生じることがある。また、中間相を有するコ
アシェルポリマーを使用した場合、耐衝撃性改良の他
に、曲げ弾性率の向上、熱変形温度の上昇、外観 (表面
剥離およびパール光沢の抑制、屈折率変化による色調の
変化) も改善される。本発明のコアシェルポリマー(B)
のポリアセタール樹脂 100重量部に対する添加量は1〜
50重量部、好ましくは5〜40重量部である。コアシェル
ポリマーの添加量が少なすぎると耐衝撃性が十分発揮さ
れず、またいたずらに過大に添加しても、機械的性質特
に剛性の大巾低下が認められ、また、熱安定性に好まし
くない影響が生じる。
【0010】かかるコアシェルポリマー (B)はポリアセ
タール樹脂中に添加配合することにより、ポリアセター
ル樹脂の優れた機械的性質を低下させることなく、耐衝
撃性を向上させるが、ヒンジ特性は劣り、ヒンジ部品用
途には使用することはできなかった。その原因は、コア
シェルポリマーをポリアセタール樹脂中に添加配合して
得られる成形品では、その表面にコアシェルポリマーが
0.5〜2μm 程度の粒子状で分散し、成形部品を屈曲さ
せる時そのコアシェルポリマーが起点となって破壊或い
は破断してしまう。従って、(A) ポリアセタール樹脂に
(B) コアシェルポリマーを配合したものはヒンジ特性が
大幅に劣る。そこで、本発明は、上記(A) 、(B) 成分に
更に(C) 1級又は2級アミンを有するオキシアルキレン
系重合体を配合することを特徴とするものであり、かか
る(A) 、(B) 、(C) の3成分を配合することにより、ポ
リアセタール樹脂本来のもつ、バランスのとれた特性を
損なうことなく、ヒンジ特性を改善することができるの
である。
【0011】本発明において、かかる目的で用いられる
(C) 1級又は2級アミンを有するオキシアルキレン系重
合体とは、炭素鎖が2〜8個隣接するグリコール、具体
的にはエチレングリコール、プロピレングリコール、テ
トラメチレングリコールのホモポリマー及びコポリマー
の末端または分子鎖中に1級または2級アミンを有する
ポリマーであり、更に脂肪酸とのエステル、脂肪族アル
コールとのエーテル等若干の変性した重合体であっても
良く、例としてポリエチレングリコール、ポリプロピレ
ングリコール、ポリテトラメチレングリコールまたはこ
れらのコポリマーのジプロピルアミン、ジオクチルアミ
ン等がある。特に、ポリ(エチレンオキシド)系重合体
が最も好ましい。また、(C) 成分である1級又は2級ア
ミンを有するオキシアルキレン系重合体の数平均分子量
はヒンジ特性を向上する範囲で適宜選択して用いること
ができるが、好ましくは 400〜300000、特に好ましくは
1000〜100000である。(C) 成分である1級又は2級アミ
ンを有するオキシアルキレン系重合体の添加量は、(A)
ポリアセタール樹脂 100重量部に対し、 0.1〜20重量部
が適当であり、特に 0.5〜10重量部が好ましい。 0.1重
量部より少ない量ではヒンジ特性の改善効果が小さく、
20重量部より多い量では改善効果が飽和に達し、ポリア
セタール樹脂本来の特性に悪影響を生じる。1級又は2
級アミンを有するオキシアルキレン系重合体(C) は、ポ
リアセタール樹脂に単独に配合してもヒンジ特性の改善
に若干の効果が得られるが、耐衝撃性の改善には全く効
果はない。そこで、(B) コアシェルポリマーとの3成分
(A+B+C)を併用することにより耐衝撃性に優れ、しかも
極めて優れたヒンジ特性を有するという効果が認められ
る。かかる作用効果は、(C) 成分である1級又は2級ア
ミンを有するオキシアルキレン系重合体のオキシアルキ
レン重合体部がポリアセタール樹脂(A) に相溶効果を持
つ為に、オキシアルキレン重合体部が通常のポリアセタ
ール樹脂の高い結晶性を低下させ、弾性率を低下させる
と共に、オキシアルキレン系重合体の1級又は2級アミ
ン部がコアシェルポリマー(B) の化学的・物理的吸着効
果を持つためによるものと推測される。尚、この作用効
果は、必ずしも明確ではなく、これにより本発明が何等
制限を受けるものではない。
【0012】本発明の組成物は更に公知の各種安定剤を
添加し、熱安定性を補強することが望ましく、この目的
のため公知の酸化防止剤や窒素含有化合物、アルカリ又
はアルカリ土類金属化合物等を1種類又は2種類以上合
わせて使用することが望ましい。本発明組成物には更に
その目的に応じ所望の特性を付与するため、従来公知の
添加剤、例えば滑剤、核剤、離型剤、帯電防止剤その他
の界面活性剤、或いは(C) 成分以外の有機高分子材料、
無機、有機の繊維状、粉粒状、板状の充填剤等を1種又
は2種以上添加含有させることが可能である。本発明の
組成物は、一般に合成樹脂組成物の調製法として公知の
設備と方法により調製することができる。即ち、必要な
成分を混合し、1軸又は2軸の押出機を使用して混練
し、押出して成形用ペレットとした後成形することがで
き、又組成物の調製を成形機にて成形と同時に行うこと
も可能である。また各成分の分散混合を良くするため樹
脂成分の一部又は全部を粉砕し、混合して溶融押出した
ペレットを成形する方法等、いずれも可能である。また
前記安定剤、添加剤等の配合物は任意のいかなる段階で
加えてもよく、又最終成形品を得る直前で添加、混合す
ることも勿論可能である。また本発明にかかる樹脂組成
物は、押出成形、射出成形、圧縮成形、真空成形、吹き
込み成形、発泡成形のいずれによっても成形可能であ
る。
【0013】
【実施例】以下、実施例を挙げ本発明を更に詳しく説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
尚、実施例、比較例における特性評価は、以下の方法に
従って行った。 (1) ヒンジ特性の評価 図1に示した形状の試験片を成形し、次に示す基準に基
づき評価した。 サンプル数:n=10 テスト方法:サンプルを−10℃、50%RHの環境下に24
時間以上放置した後、同条件下でヒンジ部を 180度の角
度で 100回繰り返し折り曲げた。
【0014】評価A:100 回の折り曲げの間にヒンジ部
が破壊した個数(数値の小さいほど優れる)。
【0015】評価B:100 回の折り曲げを行なった後の
ヒンジ部状態を次の様な判定基準で評価し、平均点で表
したもの(数値の大きいほど優れる)。
【0016】 5:殆ど異常が認められなかったもの 4:ヒンジ部の表面に微小クラックが発生したもの 3:ヒンジ部表面のクラックが成長し、大きくなったも
の 2:ヒンジ部のクラックが更に中心部に向かって成長
し、ヒンジ部が極めて薄くなったもの 1:薄くなったヒンジ部に切れ目が入り、切断しかかっ
たもの 0:破断したもの (2) 表層剥離試験 1/32インチ試験片表面にセロハンテープを貼り付け、引
き剥した後、剥離状況を目視で観察し、表層剥離状態の
有無を評価した。 (3) 衝撃特性(アイゾット衝撃強度) 実施例および比較例で調製された樹脂ペレットを、型締
力75トンのインライン射出成形機(J75SA、日本製鋼
所製)を用いて、シリンダー温度 190℃で試験用サンプ
ル(幅12.7mm、厚さ6.4mm 、長さ64mmの直方体)を成形
し、ASTM D 256の方法に準拠したノッチを付け、アイゾ
ット衝撃値を測定した。アイゾット衝撃値が高い方が良
好であると判断される。 (4) ウエルド強伸度 ゲートを両端に持つ、厚さ1/32インチのウエルド試験片
成形用金型を用いて試験片を成形し、ASTM-D638 に準じ
て測定した。このときの引張強度と引張伸度をウエルド
強度、ウエルド伸度とし、これらを併せてウエルド特性
とした。一般的には特にウエルド伸度が大きいことが重
要とされる。実用上、ウエルド伸度は最低で10%は必要
で、20%以上あれば良好と判断される。なお、実施例、
比較例中の「部」はすべて重量部を表す。又、実施例に
おいて機械物性等の特性値の評価に用いた方法は以下の
通りである。 ・成形機 :J75SA、日本製鋼所製 ・成形条件 ノズル C1 C2 C3 シリンダー温度(℃) 200 190 180 160 射出圧力 650 (kg/cm2) 射出速度 1.0 (m/min) 金型温度 80 (℃) 実施例1〜9 下記に示す各種ポリアセタール樹脂(ポリプラスチック
ス(株)製、ジュラコン(商品名)」に、下記に示す各
種コアシェルポリマー、下記に示す各種1級又は2級ア
ミンを有するオキシアルキレン系重合体を表1に示す組
成で配合し、ヘンシェルミキサーを用いて混合後、30mm
2軸押出し機を用いて溶融混練しペレット状の組成物を
調製した。次いで、このペレットから、射出成形機を用
いて前述の成形条件にて試験片を成形し、光沢、その他
の特性を測定し、評価した。その結果を表1に示す。 比較例1〜12 表2に示すように、上記実施例において、コアシェルポ
リマー、オキシアルキレン系重合体の一方又は両方を配
合しなかった場合等について、同様にしてポリアセター
ル組成物を得た。同様にしてこの組成物から各試験片を
作製し、評価した。結果を表2に示す。
【0017】尚、表に示した各成分の略号は以下のもの
を示す。 <ポリアセタール> A−1 メルトインデックス (190℃) 9.0 (g/10min) A−2 メルトインデックス (190℃) 2.5 (g/10min) A−3 メルトインデックス (190℃) 27.0 (g/10min) <コアシェルポリマー> B−1 武田薬品工業(株)製 スタフィロイド(商品
名)PO−0143 B−2 武田薬品工業(株)製 スタフィロイド(商品
名)PO−0148 <1級又は2級アミンを有するオキシアルキレン系重合体> C−1 ポリ(オキシエチレン)ジプロピルアミン 数平均分子量 100
0 C−2 ポリ(オキシエチレン)ジプロピルアミン 数平均分子量 4000 C−3 ポリ(オキシエチレン)ジプロピルアミン 数平均分子量 10000 C’−1 ポリオキシエチレン 数平均分子量 4000 <熱可塑性ポリウレタン> 武田バーディシュウレタン工業(株)製、商品名〔エラ
ストラン−S80A〕
【0018】
【表1】
【0019】
【表2】
【0020】
【発明の効果】以上の説明および実施例により明らかな
ように、ポリアセタール樹脂に、特定のコアシェルポリ
マー及び1級又は2級アミンを有するオキシアルキレン
系重合体を併用して添加配合させてなる本発明の組成物
は、ポリアセタールのバランスのとれた機械的物性を保
持しながらヒンジ特性に優れ、かつ靭性・ウエルド特性
を維持させるという顕著な効果を示した。更に流動性が
向上した非常に好ましい樹脂組成物を得ることが出来
る。かかるポリアセタール樹脂組成物、及びその組成物
を成形してなるヒンジ部品の用途例として、自動車、電
気・電子、建材、雑貨等の分野に於ける各種のヒンジ部
品が挙げられるが、より具体的には、自動車用コネクタ
ー、電気機器用コネクター等が挙げられ、これらの用途
に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はヒンジ特性測定に用いた試験片の略図で
あり、(a) 、(b) 、(c) は各々平面図、側図及びヒンジ
部の拡大図を示す。その他の数値の単位はmmである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 51:04 71:02)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A) ポリアセタール樹脂 100重量部に(B)
    ゴム状ポリマーのコアとガラス状ポリマーのシェルを有
    するコアシェルポリマー1〜50重量部及び(C) 1級又は
    2級アミンを有する、炭素鎖が2〜8個隣接するオキシ
    アルキレン系重合体 0.1〜20重量部を配合したポリアセ
    タール樹脂組成物。
  2. 【請求項2】コアシェルポリマー(B) が、実質的にアニ
    オンが検出されないコアシェルポリマーである請求項1
    記載のポリアセタール樹脂組成物。
  3. 【請求項3】コアシェルポリマー(B) が、ノニオン性界
    面活性剤及び発生するラジカルが中性である重合開始剤
    を用い乳化重合して得られるものである請求項1又は2
    記載のポリアセタール樹脂組成物。
  4. 【請求項4】コアシェルポリマー(B) のシェルが、メチ
    ルメタクリレートを主成分とするポリマーである請求項
    1〜3の何れか1項記載のポリアセタール樹脂組成物。
  5. 【請求項5】オキシアルキレン系重合体(C) の平均分子
    量が 400〜300000の範囲にある請求項1〜4の何れか1
    項記載のポリアセタール樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5の何れか1項記載のポリア
    セタール樹脂組成物を成形してなるポリアセタール樹脂
    製ヒンジ部品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO1997023563A1 (fr) * 1995-12-25 1997-07-03 Polyplastics Co., Ltd. Composition de resine polyacetal
US6747083B2 (en) 2000-05-12 2004-06-08 Kaneka Corporation Process for producing rubber latex containing water in particle

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WO1997023563A1 (fr) * 1995-12-25 1997-07-03 Polyplastics Co., Ltd. Composition de resine polyacetal
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