JPH08323986A - インクジェット記録ヘッドの製造方法 - Google Patents

インクジェット記録ヘッドの製造方法

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JPH08323986A
JPH08323986A JP13304095A JP13304095A JPH08323986A JP H08323986 A JPH08323986 A JP H08323986A JP 13304095 A JP13304095 A JP 13304095A JP 13304095 A JP13304095 A JP 13304095A JP H08323986 A JPH08323986 A JP H08323986A
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JP
Japan
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substrate
recording head
ink
nozzle
flow path
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Application number
JP13304095A
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English (en)
Inventor
Haruo Kawakami
春雄 川上
Taku Umegaki
卓 梅垣
Masaharu Furukawa
雅晴 古川
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Fuji Electric Co Ltd
Original Assignee
Fuji Electric Co Ltd
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Publication date
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】エキシマレーザーによる加工代が小さく、種々
の非結晶性熱可塑性樹脂に対して加工精度の高い吐出口
が容易に得られる製造方法を提供する。 【構成】インク供給部4、流路抵抗調整部6、加圧室部
7が凹溝として形成され、インク流路の端末部を垂直に
貫通して背面側に吐出口9が開口したノズル部8が貫通
状態で形成された基板1を、金型ピン12を有する成形
型10を用いて非結晶性熱可塑性樹脂成形品として成形
し、得られた基板の吐出口に加圧室部側からエキシマレ
ーザー光20を照射して吐出口の開口部に僅かに残った
バリなどを除去する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、印刷装置などに用い
られるサイドシュート型のインクジェット記録ヘッドに
係わり、ことに非結晶性熱可塑性樹脂成形品をキャビテ
ィ板として用いたインクジェット記録ヘッドの製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録ヘッド機構を用いた
印刷装置は構成が簡素であるという利点から、小型軽量
性が要求される卓上プリンタやファックスなどの分野に
広く用いられている。インクジェット記録ヘッドの機構
には幾つかの方式が提案されているが、振動板に圧電素
子を接着し、圧電素子に電界を印加して伸縮させ、その
伸縮運動により振動板を振動させる方式は、ヘッド寿命
が半永久的でランニングコストが低いなどの特長を有す
るものであり、今後広く用いられようとしている。
【0003】図5は従来のインクジェット記録ヘッドの
一例を示し、(a)はインクジェット記録ヘッドの基板
部分の平面図、(b)は(a)のA−A位置におけるイ
ンクジェット記録ヘッドの断面図である。図において、
基板(キャビティ板とも呼ぶ)1の表面ににはインク供
給部4、およびインク供給部4から流路抵抗調整部6を
介して分岐した供給路7A,加圧室部7が凹溝として形
成され、加圧室部7がその底部を垂直に貫通して背面側
に開口した吐出口9を有するノズル部8に連通して複数
のインク流路5を形成する。また、基板1の表面には振
動板2が気密に接着されてインク供給部4およびインク
流路5を覆い、かつ加圧室部7に対向する振動板2の表
面には共通電極3Aを介して電気機械変換素子としての
圧電素子3が接着されてインクジェット記録ヘッドが形
成される。
【0004】このように構成されたインクジェット記録
ヘッドは、記録信号によって選択された圧電素子3に電
圧を印加して振動させると、振動板2を介して加圧室部
7の容積が変化し、流路抵抗調整部6で逆流が阻止され
た加圧室部7内のインクが吐出口9を介して基板1の背
面からインク滴として吐出される。このように、振動板
2との接着面を基板1の表面とした場合、その背面に垂
直にインク滴が吐出される方式を、特にサイドシュート
型インクジェット記録ヘッドと呼び、インク滴が振動板
2の振動面に平行して吐出される方式のインクジェット
記録ヘッドと区別されている。
【0005】ところで、この方式のインクジェット記録
ヘッドの製造コストを低減する方法として、基板1や振
動板2に非結晶性熱可塑性樹脂などのプラスチック材料
を用いることが考えられている。具体的には、ポリエス
テル,ポリエステルカーボネート,ポリフェニレンオキ
サイド,ポリフェニレンサルファイド,ポリサルフォ
ン,ポリエーテルサルフォン,ポリアリレート,ポリエ
ーテルイミド、およびこれらの変成体,共重合体などを
含有する非結晶性熱可塑性樹脂を用い、基板1を射出成
形等の成形加工によって製作するとともに、振動板用の
シート材は押出成形,カレンダ成形などの一般的なシー
ト成形方法で製作される。
【0006】また、ノズル部の形成は、基板と振動板と
の接着面に沿った凹溝として形成する方法、電鋳による
金属プレートを用いる方法、プラスチック板にエキシマ
レーザー等により加工を行う方法など種々の方法が提案
されている。この内、エキシマレーザーにより加工を行
う方法は、紫外線の光励起により高分子の化学結合を分
断して加工を行う方法であり、例えば、特開平1−29
4040号公報、特開平3−169559号公報、特開
平3−277554号公報、特開平6−99581号公
報などにより提案されている。
【0007】即ち、特開平1−294040号公報の方
法では、エキシマレーザーにより基板にインク流路,噴
出孔,吸入孔を形成する。また、特開平3−16955
9号公報の方法では、基板にノズル部の出口を塞ぐプラ
スチック板(ノズルプレートとも呼ぶ)を接着し、この
プラスチック板にエキシマレーザーを照射して、ノズル
部の出口に連通する吐出口(ノズル孔とも呼ぶ)を形成
する。
【0008】さらに、特開平3−277554号公報の
方法では、加圧室部の底に未貫通のメクラ穴を射出成形
によって形成し、このメクラ穴側からエキシマレーザー
を照射してノズル孔を貫通させ,かつ吐出口を整形加工
する。さらにまた、特開平6−99581号公報の方法
では、吐出口を予めノズルプレートに形成後、吐出口に
開口端面側からエキシマレーザーを照射して整形時に吐
出口にはみ出したバリを除去する整形加工を行う。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】特開平1−29404
0号公報の方法では、エキシマレーザーによる加工代が
大きく加工時間が膨大になるために、経済的不利益を招
くという問題がある。また、レーザーのパワー密度を上
げて加工時間を短縮することは可能であるが、パワー密
度を上げすぎると、エキシマレーザーといえどもその熱
影響により加工面およびその周辺が炭化して平滑な加工
面を得難くなる。我々の経験では板厚0.3mm程度が実
用上の限界厚さであると考える。
【0010】また、特開平3−169559号公報の方
法では、加工代がノズルプレートの厚みで決まるため、
特開平1−294040号公報の方法に比べて加工時間
は短くて済むが、依然として加工時間が大きく、かつレ
ーザーによる加工の限界からノズルテーパーなどの形状
制御が難しく、インク滴の吐出特性に優れた吐出口を得
難いという問題がある。
【0011】さらに、特開平3−277554号公報の
方法では、前述の方法と同様に、レーザーによる加工の
限界からノズルテーパーなどの形状制御が難しく、イン
ク滴の吐出特性に優れた吐出口を得難いという問題があ
る。さらにまた、特開平6−99581号公報の方法で
は、ノズル端面側から吐出口の縁にレーザーを照射する
ことにより、その周辺のノズル端面が熱影響を受けて平
坦性が阻害され、その後行うはっ水膜塗布などの工程に
支障をきたす恐れがある。また、エキシマレーザー加工
の特性として、加工孔は入射側より出射側で小さくな
る。このため、ノズル端面側から吐出口の縁にレーザー
を照射することで形成したノズル孔は、その内径が開口
部側で大きくなり、先細りのノズルテーパーを有する吐
出口を形成しにくいという問題がある。さらに、ノズル
プレートを用いることは、ノズルプレートを基板に接着
する際、基板側に既に成形されているノズル部との位置
合わせが難しく、インク滴の吐出特性に優れた吐出口を
得難いばかりか、製造コストの上昇を招くという問題も
発生する。
【0012】この発明の目的は、エキシマレーザーによ
る加工代が小さく、種々の非結晶性熱可塑性樹脂に対し
て加工精度の高い吐出口が容易に得られる製造方法を提
供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】前述の目的を達成するた
めに、請求項1記載の発明は、表面に凹溝として形成さ
れたインク供給部、このインク供給部から流路抵抗調整
部を介して分岐した加圧室部を有するインク流路、この
インク流路の端末部を垂直に貫通して背面側に吐出口が
開口したノズル部とからなるインク流路構造を有する基
板と、この基板の表面に気密に接着されて前記インク供
給部およびインク流路を覆う振動板と、前記加圧室部に
対向する振動板の表面に接着された圧電素子とを備えた
インクジェット記録ヘッドの製造方法において、インク
流路構造を有する基板を非結晶性熱可塑性樹脂成形品と
して一体成形する成形工程と、得られた基板の吐出口に
前記加圧室部側からレーザー光を照射してバリ取りなど
を行う仕上げ工程とを含む。
【0014】ここで、請求項2記載の発明は、成形工程
が、ノズル部の径に相応した径の丸棒の先端部に吐出口
に相応したテーパー部を有する金型ピンを成形型を貫通
してキャビティ内のノズル部形成位置に挿入し、その先
端とキャビティの内壁面との間の距離を20μm以下に
保持し、この状態で成形工程を行うようにする。また、
請求項3記載の発明は、金型ピンの先端とキャビティの
内壁面との間の距離を20μm以上に保持した状態で成
形作業を行った後、結晶性熱可塑性樹脂が硬化する以前
に金型ピンの先端がキャビティの内壁面に当接するまで
キャビティ内に押し込み、開口した吐出ノズル孔を形成
する過程を含むようにする。
【0015】さらに請求項4記載の発明は、成形工程を
終了した基板の吐出口周辺にはっ水膜を形成した後、加
圧室部側からレーザー光を照射してはっ水膜の吐出口へ
のはみ出し部分を含むバリ取りなどを行う仕上げ工程に
移行するようにする。
【0016】
【作用】請求項1に記載の発明では、基板の背面に開口
した吐出口と表面に凹溝として形成されたインク流路と
を結ぶ基板に垂直なノズル部が成形工程で貫通孔として
形成され、成形工程の終了時点ではノズルテーパーなど
が既に形成されたほぼ完成状態となる。このため、エキ
シマレーザー加工にはノズルの形状制御の必要がなく、
成形工程でノズルの開口部に突き出たバリを切り取る程
度の仕上げ加工で済むことになり、加工代が小さく、成
形で得られたノズル形状を熱影響によって損なうことな
く寸法精度の高いノズル部を容易に形成できる。また、
基板の吐出口に加圧室部側からレーザー光を照射するこ
とにより、ノズル端面への熱影響が回避でき、ノズル端
面の平面性を維持できる。さらに、成形工程における貫
通状態のノズル部の成形は、非結晶性熱可塑性樹脂の流
動性に左右されることなく容易に行えるので、使用する
非結晶性熱可塑性樹脂の種類を広げることが可能にな
る。
【0017】ここで、請求項2に記載の発明のように、
ノズル部の径に相応した径の丸棒の先端部に吐出口に相
応したテーパー部を有する金型ピンを、その先端とキャ
ビティの内壁面との間の距離を20μm以下に保持した
状態で成形を行えば、20μm以下の隙間には成形樹脂
が進入せず、従って吐出口が開口した状態のノズル部を
備えた基板が非結晶性熱可塑性樹脂成形品として容易に
得られ、その後に行うエキシマレーザーによる仕上げ加
工の加工代が縮小される。
【0018】また、請求項3に記載の発明のように、金
型ピンの先端とキャビティの内壁面との間の距離を20
μm以上に保持した状態で成形作業を行うことにより、
20μm以上の隙間に侵入した非結晶性熱可塑性樹脂
を、結晶性熱可塑性樹脂が硬化する以前に金型ピンの先
端がキャビティの内壁面に当接するまでキャビティ内に
押し込んで追い出すことにより、吐出口が開口した状態
のノズル部を備えた基板が非結晶性熱可塑性樹脂成形品
として容易に得られる。
【0019】さらに請求項4記載の発明のように、成形
工程を終了した基板の吐出口周辺にはっ水膜を形成し、
その後ノズル部側からレーザー光を照射してはっ水膜の
吐出口へのはみ出し部分を含むバリ取りなどの成形加工
を行えば、はっ水膜を形成する過程で吐出口に浸入,固
化した余分な部分をバリとともに一括して除去し、吐出
口を整形することが可能になる。
【0020】
【実施例】以下この発明を実施例に基づいて説明する。
なお、従来例と同じ参照符号を付けた部材は従来例のそ
れと同じ機能をもつので、その説明を省略する。図1は
この発明のインクジェット記録ヘッドの製造方法の一実
施例を示す図であり、(a)は基板の成形工程を示す成
形型の断面図、(b)はエキシマレーザーによる仕上工
程を示す基板の断面図である。図において、基板1の成
形工程は基板1に相応した形状のキャビティ11を有す
る上型10Aと、平板状の下型10Bとからなる成形型
10を用い、さらにノズル部8の径に相応した径の丸棒
の先端部に吐出口9に相応したノズルテーパー部12A
を有する金型ピン12を上型10Aを貫通してキャビテ
ィ11内のノズル部形成位置に挿入し、その先端と下型
10Bの内壁面との間の間隙長gを20μm以下に保持
し、この状態で非結晶性熱可塑性樹脂としてのポリエー
テルイミド樹脂を射出成形した。得られた基板1はノズ
ルテーパー部12Aが平滑な成形面を保持し、基板1の
背面に開口した状態の吐出口9の縁に僅かにバリが認め
られる程度で、20μm以下の隙間には成形樹脂が進入
せず、従って吐出口が背面に開口した状態のノズル部8
を備えた基板1が非結晶性熱可塑性樹脂成形品として得
られることが実証された。
【0021】そこで、得られた基板1の吐出口9に加圧
室部7側からエキシマレーザー光20を照射し、吐出口
9の開口部の縁に僅かに突き出たバリを除去する仕上げ
工程を実施した。その結果、ノズルテーパー部12Aに
熱影響を及ぼすことなく円形の吐出口9が背面側に開口
した基板1が短い加工時間で得られた。なお、得られた
基板1の表面に振動板2として厚み300μmのポリエ
ーテルイミドシートを熱融着して凹溝を覆うことによ
り、インク供給部4から分岐した複数のインク流路5を
形成した。
【0022】このように、実施例になるインクジェット
記録ヘッドの製造方法によれば、基板の背面に開口した
吐出口9および吐出口と加圧室部を結ぶ基板に垂直な流
路とからなるノズル部8が成形工程で貫通孔として形成
され、成形工程の終了時点ではノズルテーパーなどが既
に形成された状態となる。このため、エキシマレーザー
加工にはノズルの形状制御の必要がなく、成形工程でノ
ズルの開口部に突き出たバリを切り取る程度の仕上げ加
工で済むことになり、成形で得られたノズル形状を熱影
響によって損なうことなく寸法精度の高いノズル部を短
い加工時間で容易に形成できる利点が得られる。
【0023】また、基板の吐出口9に加圧室部7側から
レーザー光を照射することにより、ノズル端面への熱影
響を回避でき、ノズル端面の平面性を維持できるので、
その後に行うノズル端面のはっ水処理を容易化できる利
点が得られる。さらに、成形工程における貫通状態のノ
ズル部の成形は、非結晶性熱可塑性樹脂の流動性に左右
されることなく容易に行えるので、インクジェット記録
ヘッドに最適な非結晶性熱可塑性樹脂を選択し、インク
滴の吐出性能に優れた基板を経済的にも有利に提供でき
る利点が得られる。
【0024】さらにまた、ノズルプレートを用いる必要
もなくなるので、ノズルプレートの位置合わせや接着作
業に要する加工時間が排除され、基板の製造コストを低
減できる利点が得られる。図2はこの発明のインクジェ
ット記録ヘッドの製造方法の異なる実施例を示す図であ
り、(a)は基板の成形工程初期における金型ピンの状
態を示す図、(b)は基板の成形工程後期における金型
ピンの状態を示す図である。図において、この実施例が
図1に示す実施例と異なるところは、金型ピン12の先
端と下型10Bの内壁面との間の間隙長gを(a)のよ
うに20μm以上に保持した状態でキャビティ11に結
晶性熱可塑性樹脂15を射出した後、樹脂が硬化する以
前に金型ピン12の先端が下型10Bの内壁面に当接す
る(g≒0)状態までキャビティ内に金型ピン12を押
し込み、基板1の背面に開口した吐出口9を形成する過
程を含むよう構成した点にあり、エキシマレーザーによ
る仕上げ加工代をより縮小してその加工時間を短縮でき
る利点が得られる。
【0025】図3はこの発明のインクジェット記録ヘッ
ドの製造方法のさらに異なる実施例を示す図であり、
(a)は基板の成形工程で得られた基板の吐出口の状態
を示す図、(b)ははっ水膜形成処理後の吐出口の状態
を示す図、(c)はエキシマレーザーによる仕上げ加工
で得られた基板の吐出口の状態を示す図である。図にお
いて、この実施例が図1に示す実施例と異なるところ
は、成形工程を終了した基板1の吐出口9周辺のノズル
端面32にはっ水膜33を形成した後、ノズル部8を介
してエキシマレーザー光20を照射し、成形工程で発生
したバリ31およびはっ水膜33の吐出口9へのはみ出
し部分34を一括して除去する仕上げ工程を行うよう構
成した点にある。この実施例方法によれば、はっ水膜を
形成する過程で吐出口に浸入,固化した余分な部分をバ
リとともにエキシマレーザー光の照射によって除去でき
るので、バリ31およびはっ水層のはみ出し34を別々
に行う場合に比べてエキシマレーザーによる仕上げ加工
の簡略化が可能であり、加工コストを低減できる利点が
得られる。また、ノズル部8を介してエキシマレーザー
光20を照射して仕上げ加工を行ったことにより、はっ
水層33に熱影響を与えずに済むので、吐出口から吐出
したインクをノズル端面に付着させず、インク滴として
飛翔させることが可能になり、画像形成性能に優れたイ
ンクジェット記録ヘッドが得られる。
【0026】図4はこの発明のインクジェット記録ヘッ
ドの製造方法の他の実施例で得られた基板の平面図であ
る。図において、非結晶性熱可塑性樹脂にポリサルフォ
ン樹脂を用い、上型に軸方向の移動可能に支持された金
型ピンの先端と下型の内壁面との間の間隙長gを500
μmに保持した状態でキャビティ内に樹脂を射出し、直
ちに金型ピンを下型に接触するまで圧入し、この状態で
ポリサルフォン樹脂を硬化させた。得られた基板1は、
そのノズル端面にはっ水剤(商品名,サイトップ:旭ガ
ラス製)を塗布してはっ水膜を形成し、その後ノズル部
8を介して吐出口9にエキシマレーザーを照射し、吐出
口9の開口部にはみ出したはっ水膜を含むバリを一括し
て除去する仕上げ加工を行った。なお、得られた基板1
の表面に振動板として厚み200μmのポリサルフォン
シートを溶剤接着して凹溝を覆うことにより、インク供
給部4から分岐した複数のインク流路5が形成されるこ
とはいうまでもないことである。
【0027】図4に示す基板1は、インク流路5の内最
も幅が広い加圧室部7の位置を流路方向に交互にずら
せ、26条のインク流路5を基板1の限られたスペース
内に集積し、インク滴の吐出時間幅を短縮するよう構成
されている。このため、流路抵抗調整部6でインク供給
部4から分岐した供給流路7A、および加圧室7からノ
ズル部8に至るノズル流路8Aの長さおよび形状が複雑
化している。この実施例になる製造方法により、図のよ
うに複雑な構造のインク流路部分5はもとより、インク
流路の端末部から垂直に基板を貫通し,背面側に吐出口
9が開口したノズル部8も、欠陥部分を生ずることなく
成形加工することが可能であり、その結果エキシマレー
ザーによる仕上げ加工が省力化,省時間化され、したが
って、製造コストの低い基板を備えたインクジェット記
録ヘッドを経済的にも有利に提供できることが実証され
た。
【0028】
【発明の効果】この発明のインクジェット記録ヘッドの
製造方法は前述のように、インク供給部,インク流路,
および背面に吐出口が開口したノズル部とからなるイン
ク流路構造を完成状態に近いところまで成形工程で製造
し、その後基板の表面側からエキシマレーザー光を照射
してバリ取りなどの仕上げ加工を行うよう構成した。そ
の結果、未貫通状態のノズル部にエキシマレーザー光を
照射してノズルテーパーの加工を行う従来技術に比べて
加工代が大幅に低減され、かつノズルプレートを用いる
必要もないので、加工時間を大幅に短縮し,製造コスト
を低減する効果が得られる。また、成形できる非結晶性
熱可塑性樹脂の種類も多く材料選択の自由度が広がると
いう利点も得られる。
【0029】さらに、エキシマレーザー光による孔明け
加工を必要とせず、かつ比較的弱いエキシマレーザー光
を流路側から照射してバリ取りのみを行うので、ノズル
テーパーやノズル端面部分への熱影響も発生せず、した
がって成形によって得られた平滑なノズルテーパー面が
保持されてインク吐出性能に優れた基材を備えたインク
ジェット記録ヘッドを経済的にも有利に提供できる利点
が得られる。
【0030】一方、成形で得られた基材のノズル端面に
はっ水処理を行った後、エキシマレーザー光を流路側か
ら照射してバリ取りを行うよう構成すれば、熱影響のな
い平滑なノズル端面に薄いはっ水膜を容易に形成できる
とともに、バリおよびはみ出した余分なはっ水膜をエキ
シマレーザー光により一括して除去できるので、仕上げ
工程の簡素化も可能になり、インク滴の切れがよくイン
ク吐出性能に優れたサイドシュート型の基板を備えたイ
ンクジェット記録ヘッドを経済的にも有利に提供できる
利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のインクジェット記録ヘッドの製造方
法の一実施例を示す図であり、(a)は基板の成形工程
を示す成形型の断面図、(b)はエキシマレーザーによ
る仕上工程を示す基板の断面図
【図2】この発明のインクジェット記録ヘッドの製造方
法の異なる実施例を示す図であり、(a)は基板の成形
工程初期における金型ピンの状態を示す図、(b)は基
板の成形工程後期における金型ピンの状態を示す図
【図3】この発明のインクジェット記録ヘッドの製造方
法のさらに異なる実施例を示す図であり、(a)は基板
の成形工程で得られた基板の吐出口の状態を示す図、
(b)ははっ水膜形成処理後の吐出口の状態を示す図、
(c)はエキシマレーザーによる仕上げ加工で得られた
基板の吐出口の状態を示す図
【図4】この発明のインクジェット記録ヘッドの製造方
法の他の実施例で得られた基板の平面図
【図5】従来のインクジェット記録ヘッドの一例を示
し、(a)はインクジェット記録ヘッドの基板部分の平
面図、(b)は(a)のA−A位置におけるインクジェ
ット記録ヘッドの断面図
【符号の説明】
1 基板(キャビティ板) 2 振動板 3 圧電素子 4 インク供給部 5 インク流路 6 流路抵抗調整部 7 加圧室部 7A 供給流路 8 ノズル部 8A ノズル流路 9 吐出口 10 成形型 10A 上型 10B 下型 11 キャビティ 12 金型ピン 12A ノズルテーパー部 15 非結晶性熱可塑性樹脂 20 エキシマレーザー光 31 バリ 32 ノズル端面 33 はっ水膜 34 はっ水膜のはみ出し部 g 間隙長

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】表面に凹溝として形成されたインク供給
    部、このインク供給部から流路抵抗調整部を介して分岐
    した加圧室部を有するインク流路、このインク流路の端
    末部を垂直に貫通して背面側に吐出口が開口したノズル
    部とからなるインク流路構造を有する基板と、この基板
    の表面に気密に接着されて前記インク供給部およびイン
    ク流路を覆う振動板と、前記加圧室部に対向する振動板
    の表面に接着された圧電素子とを備えたインクジェット
    記録ヘッドの製造方法において、インク流路構造を有す
    る基板を非結晶性熱可塑性樹脂成形品として一体成形す
    る成形工程と、得られた基板の吐出口に前記加圧室部側
    からレーザー光を照射してバリ取りなどを行う仕上げ工
    程とを含むことを特徴とするインクジェット記録ヘッド
    の製造方法。
  2. 【請求項2】請求項1記載のインクジェット記録ヘッド
    の製造方法において、成形工程が、ノズル部の径に相応
    した径の丸棒の先端部に吐出口に相応したテーパー部を
    有する金型ピンを成形型を貫通してキャビティ内の前記
    ノズル部形成位置に挿入し、その先端とキャビティの内
    壁面との間の距離を20μm以下に保持し、この状態で
    成形工程を行うことを特徴とするインクジェット記録ヘ
    ッドの製造方法。
  3. 【請求項3】請求項1または請求項2記載のインクジェ
    ット記録ヘッドの製造方法において、金型ピンの先端と
    キャビティの内壁面との間の距離を20μm以上に保持
    した状態で成形作業を行った後、結晶性熱可塑性樹脂が
    硬化する以前に金型ピンの先端がキャビティの内壁面に
    当接するまでキャビティ内に押し込み、開口した吐出ノ
    ズル孔を形成する過程を含むことを特徴とするインクジ
    ェット記録ヘッドの製造方法。
  4. 【請求項4】請求項1記載のインクジェット記録ヘッド
    の製造方法において、成形工程を終了した基板の吐出口
    周辺にはっ水膜を形成した後、加圧室部側からレーザー
    光を照射してはっ水膜の吐出口へのはみ出し部分を含む
    バリ取りなどを行う仕上げ工程に移行することを特徴と
    するインクジェット記録ヘッドの製造方法。
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