JPH08323572A

JPH08323572A - 吸着式固定治具

Info

Publication number: JPH08323572A
Application number: JP19399395A
Authority: JP
Inventors: Kazunori Kawamura; 和典河村; Toshimitsu Tachibana; 俊光橘; Yozo Nagai; 陽三長井; Junichi Moriyama; 順一森山
Original assignee: Nitto Denko Corp
Current assignee: Nitto Denko Corp
Priority date: 1995-05-30
Filing date: 1995-05-30
Publication date: 1996-12-10

Abstract

(57)【要約】【目的】加工治具本体の当てつけ面が被加工体の曲面
に良く倣い、被加工体との当接部に傷等の欠陥が生じた
場合であっても、被加工体を確実に保持し、しかも当て
つけ面の管理が容易な吸着式固定治具を提供する。【構成】曲面が被吸着面である被加工体を加工に供す
るために吸着固定する吸着式固定治具において、この支
持部材と被加工体との接触面に、該被加工体の吸着面と
略一致する曲面形状を有する多孔質シートを介在させた
ことを特徴とする、吸着式固定治具である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、曲面が被吸着面であ
る被加工体を吸着固定する吸着式固定治具に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、レンズ等曲面を被吸着面とする
被加工体を固定する加工治具としては、以下に挙げるも
のがある。すなわち、被加工体の周回り方向から該被加
工体を締め付けて保持するコレット式加工治具、被加工
体を治具本体に接着して保持する接着式加工治具であ
る。しかし、コレット式加工治具は曲面半径の異なる被
加工体であっても１個の加工治具を用いて容易に保持出
来るという利点があるものの位置決めが困難であり、端
面の幅が少ないものは保持力が極端に低下し、また保持
力による被加工体の変形が生じる問題がある。一方、接
着式加工治具は被加工物の位置決めは容易であるものの
加工治具本体への接着固定が面倒であるという問題点が
ある。また加工後に被加工体と加工治具を分離させる必
要があるため、強力な接着剤を使用出来ず、保持力の点
で問題がある。さらに、被加工体と加工治具を分離後そ
の被加工体を洗浄する必要もある。

【０００３】そこで被加工物を吸引して保持する吸着式
固定治具が提案されている。この吸着式固定治具は位置
決めが容易でかつその治具本体への保持も容易であると
いう利点がある。しかし、従来の吸着式加工治具は、被
加工体の曲面に治具本体の当てつけ面が倣っていない
と、吸着力が著しく低下するため、高精度の加工が必要
となり、更には吸着力を保持するには保管時の当てつけ
面の管理が煩雑であるという問題点がある。そこで、特
開平３−１２１７６３号公報で開示の「吸着式固定治
具」では弾性体で支持された複数個の筒体を同心状に配
置し、その先端部で被加工体を吸着する加工治具が開示
されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】前記特開平３−１２１
７６３号公報「吸着式固定治具」は、被加工体を面で支
持せず複数の点で支持するため、構造が複雑であり被加
工体との当接部に傷等の欠陥が一部に生じた場合、吸着
力の平均性が著しく低下して作業性を低下させるという
問題点がある。この発明が解決しようとする課題は、加
工治具本体の当てつけ面が被加工体の曲面に良く倣い、
被加工体との当接部に傷等の欠陥が生じた場合であって
も被加工体を確実に保持し、しかも当てつけ面の管理が
容易な吸着式固定治具を提供する点である。

【０００５】

【課題を解決するための手段】請求項１に記載の発明
は、曲面が被吸着面である被加工体を加工に供するため
に吸着固定する吸着式加工治具において、支持部材と被
加工体との接触面に、該被加工体の曲面と略一致する曲
面形状を有する多孔質シートを介在させたことを特徴と
する吸着式固定治具である。請求項２に記載の発明は、
多孔質シートが、超高分子量プラスチックから成ること
を特徴とする請求項１記載の吸着式固定治具である。請
求項３に記載の発明は、多孔質シートが、超高分子量ポ
リエチレンから成ることを特徴とする請求項１記載の吸
着式固定治具である。

【０００６】

【発明の作用】請求項１記載の吸着式固定治具は、曲面
が被吸着面である被加工体と支持部材との接触面に該加
工体の曲面に、該加工体の曲面と略一致する多孔質シー
トを介在させたので、多孔質シートの被加工体との当接
面に傷が付いても気密な空間を確保し、被加工体を保持
する。請求項２に記載の吸着式固定治具は請求項１記載
の作用に加え、超高分子量プラスチック製の多孔質シー
トを使用するので加工しやすく、被加工体の曲面により
一致し易い多孔質シートとなる作用を有する。請求項第
３項に記載の吸着式固定治具は、超高分子量ポリエチレ
ン多孔質シートとしたので、耐摩耗性にすぐれ、保管時
の当てつけ面の管理が容易となる作用を有する。

【０００７】

【実施例】以下に、発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図１はこの発明の第１実施例に係る吸着式加工治
具を用いて凸レンズを保持した状態を示した断面図、図
２はこの発明の第２実施例に係る吸着式加工治具を用い
て凹レンズを保持した状態を示した断面図、図３は支持
部材を中空管とした第３実施例の断面図、図４は減圧経
路を２経路以上設けた実施例を示す第４実施例の断面図
である。図中（１）は多孔質シート、（２）は治具本体
（３）上の支持部材である。（４）は前記支持部材
（２）上の曲面で、（５）は被加工体（６）の吸着面
で、この吸着面は曲面である。（７）は減圧経路（８）
に連通連結し、多孔質シート（１）の当接面から支持部
材（２）の裏面へと貫通する排気口で、この減圧経路
（８）は治具本体を貫通している。この発明において使
用する曲面を被吸着面とする被加工体（６）としては、
ガラス製、合成樹脂製の凸レンズ、凹レンズ、凸面鏡、
凹面鏡、球体等が挙げられる。勿論、この発明において
はガラス製、合成樹脂製のレンズ等に限定されることな
く、宝石、鉱石、金属球等、任意の材質が使用できる。

【０００８】多孔質シート（１）はポリエチレン、ポリ
プロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化
ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリエステ
ル、超高分子量ポリエチレン（以下ＵＨＭＷＰＥと略
す）、超高分子量ポリプロピレン、超高分子量ポリ塩化
ビニル、超高分子量ポリアミド等の熱可塑性プラスチッ
クからなるものである。この熱可塑性プラスチックから
なる多孔質体の厚さ、気孔率は特に限定されないが厚さ
０．０５〜１０ｍｍ、気孔率５〜６０％とするのが好ま
しい。この多孔質シート（１）を使用することにより、
曲面を面で包接して吸引支持することができる。この発
明において、多孔質シート（１）を超高分子量プラスチ
ック製とするのがより好ましい。その理由は超高分子量
プラスチック製多孔質シートは被加工体の曲面に略一致
する曲面を作りやすいからである。そして、この発明に
おいては多孔質シート（１）をＵＨＭＷＰＥ製とするの
が最も好ましい。ＵＨＭＷＰＥはその分子量（粘度法に
よる測定値）が通常のものよりはるかに大きい点で特異
である。即ち、通常のポリエチレンの分子量が約１０万
以下であるのに対し、ＵＨＭＷＰＥのそれは約５０万以
上である。かようなＵＨＭＷＰＥの具体例としては三井
石油化学工業株式会社製「ハイゼックス・ミリオン」
（商品名）、ヘキスト社製「ホスタレンＧＵＲ」（商品
名）等が市販されている。ＵＨＭＷＰＥ製多孔質シート
の使用が好ましい理由は該多孔質シートが摩耗し難く、
しかも、保管時に当てつけ面（被加工体の曲面に接触さ
せる面）へ傷が入り難く、また、曲面形状のへたりが少
ないからである。

【０００９】ここでこの発明に好適に用いられるＵＨＭ
ＷＰＥ製多孔質シートの製造方法の一例について以下説
明する。この方法においては、まずＵＨＭＷＰＥ粉末を
金型に充填し、ついでＵＨＭＷＰＥの融点以上に加熱さ
れた水蒸気中で焼結してブロック状成形体（多孔質）と
する。このため金型としては、少なくとも一つの開口部
を有するものを用いる。焼結に要する時間は粉末の充填
量や水蒸気の温度により変わり得るが、通常１〜１２時
間である。この際に用いる水蒸気はＵＨＭＷＰＥの融点
以上に加熱するため加圧状態とされるので、金型に充填
されたＵＨＭＷＰＥ粉末間に容易に侵入することが出来
る。なお、この加熱水蒸気のＵＨＭＷＰＥ粉末間への侵
入をより容易にするため、金型にＵＨＭＷＰＥ粉末を充
填した後金型内を減圧状態とし、その後加熱された水蒸
気中で焼結するようにしてもよい。この際の減圧の度合
いは特に限定されないが、約１〜１００ｍｍＨｇが好ま
しい。

【００１０】上記加熱水蒸気中での焼結に際し、金型内
に充填されたＵＨＭＷＰＥ粉末に対し、加圧を行っても
よい。加圧を行うとその圧力の増加に従って気孔の孔径
が小さな多孔質成形体が得られる。従って、加圧力は所
定の気孔の孔径をもつ多孔質成形体を得るために適宜選
定すればよい。この方法により多孔質シートを製造する
場合、特に限定しないが、０〜１ｋｇ／ｃｍ²が好まし
い。この焼結後、冷却を行う。冷却に際してはブロック
状成形体への亀裂等の発生を避けるため急冷を避けるの
がよく、通常、室温に放置する方法が採用される。そし
て、このブロック状成形体を所定厚さに切削することに
より多孔質シートが得られる。

【００１１】この発明に係る吸着式固定治具は、多孔質
シート（１）を被加工体（６）との接触面に介在して使
用する。この多孔質シート（１）は被加工体（６）の曲
面と略一致する曲面形状に成形加工する。この成形加工
の方法としては、熱プレス加工、真空成形加工、研磨に
よる彫り出し加工等、所定の形状を成形し得る方法が採
用でき特に限定するものではない。

【００１２】以下、多孔質シート（１）を曲面形状に加
工する方法の一例として、熱プレス加工する方法を示
す。まず、一対の成形金型のうちの一方を被加工体の曲
面形状と等しく成形し、他方の金型を、治具本体の支持
部材の曲面形状と等しく成形する。続いて金型の加熱制
御機能を有するプレス機に金型を装着し、平板状の多孔
質シートを上記金型間に挟み、加熱、加圧することによ
り、一方の面は被加工体に倣い、他方の面は支持部材に
倣う多孔質成形体を成形できる。加熱温度及び加圧力は
多孔質シートの大きさ、厚み等によって変化するが、通
常はそれぞれ１００〜１６０℃、１〜１０ｋｇ／ｃｍ²
である。この発明によれば、多孔質シートを用いるた
め、所定の形に成形した後も連続した気泡を維持し良好
な通気性を維持することからこれを被加工体と支持部材
の間に介在させることにより、双方に良好な密着性を示
し、被加工体を確実に保持することができる。さらにこ
の方法によれば、多孔質シート（１）の両面の曲面をそ
れぞれ独立に形成できるため、該多孔質成形体のみを交
換することにより１種類の治具本体で複数の被加工体の
曲面に対応できる。

【００１３】

【発明の効果】この発明は、曲面が被吸着面である被加
工体を加工に供するために吸着固定する吸着式加工治具
において、この支持部材と被加工体との接触面に、該被
加工体の曲面と略一致する曲面形状を有する多孔質シー
トを介在させたことを特徴とする吸着式固定治具及び、
上記多孔質シートが、超高分子量プラスチックから成る
ことを特徴とする請求項１記載の吸着式固定治具及び、
多孔質シートがＵＨＭＷＰＥから成ることを特徴とする
請求項１記載の吸着式固定治具であるから、請求項１記
載の吸着式固定治具は、曲面が被吸着面である被加工体
と支持部材との接触面に該加工体の曲面に、該加工体の
曲面と略一致する多孔質シートを介在させたので、多孔
質シートの被加工体との当接面に傷が付いても気密な空
間を確保し、被加工体を保持するという効果を奏する。
請求項２に記載の吸着式固定治具は請求項１記載の作用
に加え、超高分子量プラスチック製の多孔質シートを使
用するので加工しやすく、被加工体の曲面により一致し
易い多孔質シートとなる効果を奏する。請求項３に記載
の吸着式固定治具は、ＵＨＭＷＰＥ製多孔質シートとし
たので、耐摩耗製にすぐれ、保管時の当てつけ面の管理
が容易となる効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明による第１実施例を示す断面図であ
る。

【図２】この発明による第２実施例を示す断面図であ
る。

【図３】この発明による第３実施例を示す断面図であ
る。

【図４】この発明による第４実施例を示す断面図であ
る。

【符号の説明】

１・・・・多孔質シート２・・・・支持部材３・・・・治具本体６・・・・被加工体

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者森山順一大阪府茨木市下穂積１丁目１番２号日東電工株式会社内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】曲面が被吸着面である被加工体を加工に
供するために吸着固定する吸着式加工治具において、支
持部材と被加工体との接触面に、該被加工体の曲面と略
一致する曲面形状を有する多孔質シートを介在させたこ
とを特徴とする吸着式固定治具。
【請求項２】多孔質シートが、超高分子量プラスチッ
クから成ることを特徴とする請求項１記載の吸着式固定
治具。
【請求項３】多孔質シートが、超高分子量ポリエチレ
ンから成ることを特徴とする請求項１記載の吸着式固定
治具。