JPH08323064A - 電気かみそり - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】肌伸ばし部材の円滑なフロートと、それに伴う
良好な肌当たりを持つ電気かみそりを提供する。 【構成】刃ヘッド部分もしくはその近傍に配設されて肌
との接触で肌を伸ばす肌伸ばし部材８を備えている電気
かみそりである。上部に刃部を有する内カセット１１の
側壁面に刃ヘッド部分の長手方向に沿って相対向するよ
うに一対の片持ち状のフロートアームを延設する。各フ
ロートアームの先部を回転自在且つ長手方向にスライド
可能に肌伸ばし部材８に連結する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、電気かみそり、特に肌
を引き伸ばして髭を起こす肌伸ばし部材を備えている電
気かみそりに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】電気かみそりによって髭を剃るにあた
り、手指で肌を引き伸ばしつつ髭を剃る操作にならっ
て、電気かみそりに肌に接する肌伸ばし部材を設けるこ
とが、実開昭６３−１２１０７２号公報に示されてい
る。また、肌伸ばし部材を電気かみそりに設けるにあた
り、肌に押し当てればばね付勢に抗して肌伸ばし部材が
沈むようにしたもの、つまり、肌伸ばし部材をフロート
自在としたものが実開平５−５６０６３号公報に示され
ている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】このような肌伸ばし部
材は、肌における電気かみそりで髭を剃ろうとしている
部位の近傍を押圧することで肌を伸ばして髭を起こすも
のであるが、電気かみそりに肌伸ばし部材が固定的に配
設されたものにおいては、電気かみそりを肌に沿って動
かしつつ髭を剃る時、肌伸ばし部材の肌への接触圧を一
定に保つことがきわめて困難であり、しかも、肌伸ばし
部材に肌が引っ掛かってスムーズに髭を剃ることができ
ないという状態も招く。

【０００４】肌伸ばし部材をフロート自在としたものに
おいては、肌への押し当て力の変化に対して、肌伸ばし
部材と肌との接触圧を一定に保つようにフロートのため
のばねのばね力が作用することから、上記問題は少なく
なっているが、依然として次の問題を有している。すな
わち、フロートばねを形成するにあたり、構造を簡易な
ものとするために板ばねでばね付勢する場合、肌伸ばし
部材がフロートした時に板ばねと肌伸ばし部材の連結部
がこじれてしまい、円滑なフロートが得られず、肌伸ば
し部材のフロート力が増大することで肌と肌伸ばし部材
の接触圧が大きくなり、肌当たりが悪化してしまうこと
がある。

【０００５】本発明は上記問題点の解決を目的とするも
のであり、肌伸ばし部材の円滑なフロートと、それに伴
う良好な肌当たりを持つ電気かみそりを提供しようとす
るものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明では、刃ヘッド部分もしくはその近傍に配設
されて肌との接触で肌を伸ばす肌伸ばし部材を備えてい
る電気かみそりにおいて、上部に刃部を有する内カセッ
トの側壁面に刃ヘッド部分の長手方向に沿って相対向す
るように一対の片持ち状のフロートアームを延設し、こ
の各フロートアームの先部を回転自在且つ長手方向にス
ライド可能に肌伸ばし部材に連結したことを特徴とする
ものである。

【０００７】

【作用】しかして、片持ち状の各フロートアームの先部
を回転自在且つ長手方向にスライド可能に肌伸ばし部材
に連結することにより、肌伸ばし部材を肌に向けてばね
付勢すると共にフロート自在なものとすることができ、
肌伸ばし部材を肌に向けて付勢する構造を内カセットの
側壁面に形成することにより、フロート構造の簡易化、
コンパクト化及び部品点数の削減を達成でき、刃ヘッド
部分及び電気かみそり本体の小型化を図ることができ
る。また、相対向する一対のフロートアームの先端は肌
伸ばし部材と連結する際に回転自在で且つ長手方向にス
ライド可能であることから、肌伸ばし部材がフロートし
た時にフロートアームと肌伸ばし部材の連結部分がこじ
れるのを防止することができ、これによりフロート力の
低減と最大応力の緩和及び円滑なフロートを行わせるこ
とができる。

【０００８】

【実施例】以下、本発明を図示の実施例に基づいて詳述
すると、図２に示した電気かみそりは、本体５の上端に
一対の刃ヘッド１，１と、両刃ヘッド１間に配された刃
ヘッド２とが平行並列に配設されたもので、これら３個
の刃ヘッド１，１，２は、モータ４によって同時に駆動
される。図中６はトリマーブロック、７はスイッチ部で
ある。

【０００９】上記刃ヘッド１，２のうち、刃ヘッド１，
１は図３に示すように、金属薄板から形成されるととも
に多数の刃孔が形成されている外刃１０と、この外刃１
０を保持している内カセット１１と、外刃１０内面に摺
接する図５に示した内刃１２とからなるもので、内カセ
ット１１はその両外側面に外刃取付けのための複数個の
ヒートシール用突起１３を、両端面にはＥ字状をなした
弾性アーム１６を一体に備えている。

【００１０】刃ヘッド２は、上面壁と両側壁とからなる
断面逆Ｕ字状であって上面壁に多数のスリットを備えた
固定刃２０と、固定刃２０の長手方向両端にそれぞれ固
定される一対のプレート２１，２１と、固定刃２０の上
面壁の内面に摺接する可動刃２２と、可動刃２２に固着
された駆動プレート２３とからなるもので、プレート２
１の下片の上面と、駆動プレート２３の両端下面との間
には、夫々押し上げばね２４，２４が配設されている。

【００１１】これら刃ヘッド１，１，２は、図４に示す
外カセット３と、この外カセット３が着脱自在となって
いる外刃フレーム５６とを介して本体５の上端部に取り
付けられる。外カセット３は、合成樹脂の成形によって
矩形枠状に形成されるもので、その長手方向の両端面の
両側には、上記刃ヘッド１における内カセット１１の弾
性アーム１６先端の係合突起１６ａを受ける係合部３
１，３１を夫々備え、両端面の中央部には縦溝を形成し
ており、上記刃ヘッド２におけるプレート２１の端面と
係合且つ上下にスライド可能となる。また、外カセット
３はその両端外面に、飾り釦３９が付設されたフック部
３６，３６を備えている。これらフック部３６，３６
は、外カセット３を外刃フレーム５６に着脱自在に取り
付けるためのものである。

【００１２】外カセット３には、更に一対の肌伸ばし部
材８，８が取り付けられる。この肌伸ばし部材８は、平
板状で且つ上端面から細い複数状のリブ８０を突出させ
たもので、各リブ８０は肌伸ばし部材８の長手方向と平
行に形成されており、外カセット３に対しては上下にス
ライド自在となるように保持されるとともに、内カセッ
ト１１から上方に向けて付勢されている。

【００１３】また、肌伸ばし部材８の長手方向中央にお
ける下縁には、内カセット１１から突設された凸部１８
が上下にスライド自在に嵌まり込むガイド溝８８が設け
られている。外カセット３内面に設けられたガイド溝３
８とも上下にスライド自在に係合する凸部１８とガイド
溝８８とのスライド係合により、肌伸ばし部材８の長手
方向におけるがたつきが生じないようにされているわけ
である。更に内カセット１１の側壁面の上部両端から肌
伸ばし部材８側に向けて突設されている突起１７は、肌
と肌伸ばしの接触圧により肌伸ばし部材８が内カセット
１１側に倒れ込み、肌伸ばし部材８が外刃１０に触れて
外刃１０を変形させてしまうことがないように、外刃１
０と肌伸ばし部材８との間隔を保つものである。

【００１４】ここにおいて、肌伸ばし部材８は、その下
部が合成樹脂や金属等の摩擦係数が小さい部材からなる
剛性部８ａとして、上部がゴムのような弾性を有する材
質からなる弾性材部８ｂとして構成されており、各リブ
８０は摩擦係数も大である弾性材部８ｂに一体に形成さ
れて、弾性を有するものとなっている。肌伸ばし機能を
得るためには、所要の摩擦係数を有するもので肌伸ばし
部材８を形成しなくてはならないが、内カセット１１及
び外カセット３によって上下スライド自在に支持される
部分は摩擦係数が小さい剛性部８ａとしているために、
肌伸ばし部材８のスムーズな上下動が得られるようにし
ているわけである。

【００１５】肌伸ばし部材８は前述のように刃ヘッド１
における内カセット１１にフロートアーム８９が配され
ており、肌に刃ヘッド１及び肌伸ばし部材８を押し当て
たならば、まず、肌伸ばし部材８が沈むように、肌伸ば
し部材８のフロート力、つまり、一対のフロートアーム
８９のばね定数の和は刃ヘッド１のフロート力、つまり
内刃１２を押し上げている押し上げばね１９と弾性アー
ム１６の合力のばね定数よりも小さくしてある。ちなみ
に、刃ヘッド２のフロート力も、刃ヘッド１のフロート
力よりも小さくしてある。

【００１６】従って、この往復式電気かみそりにおける
刃ヘッド１，２，１を肌に押し当てて髭を剃る時、刃ヘ
ッド１，１の近傍に位置する肌伸ばし部材８，８も同時
に肌に接触するとともに、肌伸ばし部材８と肌との接触
圧は、フロートアーム８９のばね力によって適切に設定
されるものであり、そしてこのように肌に接触する肌伸
ばし部材８は、肌を押圧することによって肌を引き伸ば
して髭を起こし、刃ヘッド１，２への髭の導入効率を高
める。

【００１７】また、髭剃りに際しては、刃ヘッド１，２
及び肌伸ばし部材８の長手方向と直交する方向に電気か
みそりを動かすわけであるが、肌伸ばし部材８における
肌との接触部は、細くて撓みやすい複数条のリブ８０で
構成されているために、肌伸ばし部材８はその長手方向
全長にわたって確実に肌に接触するものであり、フロー
ト自在となっていることもあって、肌の引き伸ばしが確
実になされるものである。

【００１８】一方、本体５側内に配設されたモータ４の
出力軸には、偏心軸と、この偏心軸の回転を往復動に変
換する一対の駆動子４１，４２とが連結され、本体５の
上面に上部が突出する駆動子４１，４２には、図５に示
すように、刃ヘッド１，１における各内刃１２，１２が
連結される。この時、駆動子４１，４２と内刃１２，１
２との間には、図１に示すように内刃１２を上方へと付
勢する押し上げばね１９，１９が配設される。また、一
方の駆動子４１には、副駆動子４３が取り付けられる。
この副駆動子４３は、刃ヘッド２における駆動プレート
２３と係合し、駆動子４１の動きを駆動プレート２３に
伝達する。

【００１９】しかして、２種３個の刃ヘッド１，２，１
が平行並列に並んでいるとともに、刃ヘッド１，１の外
側に肌伸ばし部材８，８が夫々配されているこの往復式
電気かみそりにおいて、モータ４を駆動すれば、モータ
４の回転が駆動子４１，４２によって往復動に変換さ
れ、この往復動で刃ヘッド１，１の内刃１２，１２が往
復駆動されるともに、副駆動子４３を介して刃ヘッド２
の可動刃２２も往復駆動されるものであり、また、肌に
これら刃ヘッド１，２，１を押し当てた時、刃ヘッド１
はその内カセット１１における弾性アーム１６が撓むこ
とでフロートし、刃ヘッド２は外カセット３における弾
性ばね３２が撓むことでフロートする。更に各肌伸ばし
部材８も、内カセット１１に配されたフロートアーム８
９が撓むことでフロートする。

【００２０】フロートアーム８９は、内カセット１１に
一体に形成された薄肉弾性片で構成された相対向する一
対の片持ち梁状に形成されている。この時、フロートア
ーム８９は内カセット１１の側壁面内に形成されるため
にコンパクト化を図ることができ、また、コイルバネ等
の別部品を使用しないために部品数の削減を図ることが
できる。

【００２１】そして、フロートアーム８９の肌伸ばし部
材８との連結は、肌伸ばし部材８に形成された貫通孔８
１に係合するようにフロートアーム８９の先端にボス８
２を突設し、貫通孔８１とボス８２の係合後、ヒートシ
ールすることで内カセット１１と肌伸ばし部材８の連結
をより確実なものとしている。図１０、図１１に示すよ
うにフロートアーム８９は、肌伸ばし部材８がフロート
した際にフロートアーム８９の先端のボス８２がフロー
トアーム８９の根元部８９ａを中心とする円弧運動をす
るために、ボス８２は刃ヘッド１の長手方向に移動する
とともに、回転運動を生じる。

【００２２】これらの作用により、仮にボス８２と、肌
伸ばし部材８が強固に固定連結されていた場合は、フロ
ート力の増加、フロートアーム８９の最大応力の増加等
の問題が生じ、スムーズなフロートが実現できない。そ
こで、肌伸ばし部材８に設けた貫通孔８１は図６に示す
ようにボス８２が刃ヘッド１の長手方向に移動可能なよ
うに長手方向に大きく貫通させてあり、且つ、ボス８２
が回転可能とするために図１０に示すようにボス８２の
上端と下端を円弧状のものとしている。このことから、
ボス８２はフロート時にこじることなく円滑なフロート
ができ、肌伸ばし部材８はフロート力が増大することが
ないために肌当たりが良好となる。

【００２３】図３に示すように肌伸ばし部材８は、肌伸
ばし部材８の側壁面に一対のボス８３を突設しており、
内カセット１１はこのボス８３の上下に係合する位置に
夫々一対のボス８４ａ，８４ｂを突設しており、ボス８
４ａとボス８３の係合により、肌伸ばし部材８の長手方
向両端のフロート上限を決定することができ、ボス８４
ｂとボス８３の係合により、肌伸ばし部材８の長手方向
両端のフロート下限部を決定することができる。

【００２４】以上の作用により肌伸ばし部材８の長手方
向における傾きを制御し、必要以上に傾くことがなく、
フロートアーム８９の最大応力の緩和が可能である。図
９に示すように肌伸ばし部材８と連結する際に、フロー
トアーム先端部８２が内カセット１１の側壁面に対し、
内カセット１１外側に向けて撓み量Ｃだけ撓ませた状態
で取り付けることにより、刃ヘッド１の掃除又は交換時
に刃ヘッド１を本体５から取り外したり、取り付けたり
する際に刃ヘッド１内を内刃１２が上下に移動し、内刃
１２と、フロートアーム８９が干渉するのを防止するこ
とができ、干渉によるフロートアーム８９の破損を防止
することができる。

【００２５】また、フロートアーム８９の撓み量Ｃの撓
みによる反力で、肌伸ばし部材８を内カセット１１側に
引き寄せ、接触させることにより、刃ヘッド１の短手方
向における肌伸ばし部材８のガタツキを防止し、振動及
び騒音を低減させることができる。尚、撓み量Ｃは０．
１ｍｍ以上１．０ｍｍ未満が好ましい。図６に示すよう
に内カセット１１と、肌伸ばし部材８を連結した時には
フロートアーム８９は、肌伸ばし部材８の側壁面にあ
り、覆い被せられることにより刃ヘッド１１の掃除の際
における掃除ブラシがフロートアーム８９へ引っ掛かる
ことによるフロートアーム８９の破損を防止することが
できる。

【００２６】

【発明の効果】本発明は、刃ヘッド部分もしくはその近
傍に配設されて肌との接触で肌を伸ばす肌伸ばし部材を
備えている電気かみそりにおいて、上部に刃部を有する
内カセットの側壁面に刃ヘッド部分の長手方向に沿って
相対向するように一対の片持ち状のフロートアームを延
設し、この各フロートアームの先部を回転自在且つ長手
方向にスライド可能に肌伸ばし部材に連結しているの
で、片持ち状の各フロートアームによって肌伸ばし部材
を肌に向けてばね付勢すると共にフロート自在なものと
することができるものであり、フロートアーム先端と肌
伸ばし部材の連結部分がこじることなくフロートアーム
の最大応力が緩和され、フロートばね定数の増大の防止
に伴う肌当たりの向上が可能となるものである。また、
片持ち状のフロートアームを採用することにより部品点
数の減少とフロート構造の簡易化及びコンパクト化によ
る刃ブロック、電気かみそり本体の小型化を図ることが
できるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の部分縦断面図である。

【図２】同上の縦断面図である。

【図３】同上の刃ヘッド部分及び肌伸ばし部材の分解斜
視図である。

【図４】同上の外カセット及び外刃フレームの分解斜視
図である。

【図５】同上の駆動子及び内刃の分解斜視図である。

【図６】同上の外カセットに刃ヘッド及び肌伸ばし部材
を装着した状態の一部省略した正面図である。

【図７】同上のフロート時の状態を示す部分縦断面図で
ある。

【図８】同上の内カセットに肌伸ばし部材を装着した状
態の縦断面図である。

【図９】同上の部分拡大断面図である。

【図１０】（ａ）は同上のフロートアームのフロート時
の挙動を示す一部省略した正面図、（ｂ）はボスを示す
拡大正面図である。

【図１１】同上の肌伸ばし部材が最下点までフロートし
た際のアーム先端の肌伸ばし部材との連結状態を示す一
部省略した正面図である。

【符号の説明】

８ 肌伸ばし部材 １１ 内カセット ８９ フロートアーム

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 刃ヘッド部分もしくはその近傍に配設さ
   れて肌との接触で肌を伸ばす肌伸ばし部材を備えている
   電気かみそりにおいて、上部に刃部を有する内カセット
   の側壁面に刃ヘッド部分の長手方向に沿って相対向する
   ように一対の片持ち状のフロートアームを延設し、この
   各フロートアームの先部を回転自在且つ長手方向にスラ
   イド可能に肌伸ばし部材に連結したことを特徴とする電
   気かみそり。