JPH08322961A

JPH08322961A - 塗装ゴルフボール

Info

Publication number: JPH08322961A
Application number: JP7133409A
Authority: JP
Inventors: Masatoshi Yokota; 政利横田
Original assignee: Sumitomo Rubber Industries Ltd
Current assignee: Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority date: 1995-05-31
Filing date: 1995-05-31
Publication date: 1996-12-10
Also published as: AU702110B2; AU5460996A; US5695414A

Abstract

(57)【要約】【目的】本発明により、ゴルフボール本体の表面に塗
膜層を有する塗装ゴルフボール、特に打撃時の打出角お
よびスピンが最適条件となり、かつゴルフボール本体の
表面または表面に施されたマーク等の保護性が向上した
塗装ゴルフボールを提供する。【構成】本発明は、ゴルフボール本体の表面に塗膜層
を有する塗装ゴルフボール、特にゴルフボール本体表面
に存在するディンプルの山部(1)、エッジ部(2)、斜面部
(3)および底部(4)のそれぞれを覆う塗膜層の平均厚さ
が、該ディンプルの深さの20〜40％の範囲である塗装ゴ
ルフボールに関する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はゴルフボール本体表面に
塗膜層を有する塗装ゴルフボール、特に打撃時の打出角
およびスピンが最適条件となり、かつゴルフボール本体
の表面または表面に施されたマーク等の保護性が向上し
た塗装ゴルフボールに関する。

【０００２】

【従来の技術】通常、ゴルフボールには、ワンピースボ
ール、ツーピースボール、スリーピースボール等のソリ
ッドゴルフボールや糸巻きゴルフボール等があるが、い
ずれの場合にも表面に塗料が塗装されている。その役割
は、ゴルフボール本体の表面またはその表面に施された
マーク等の保護、および白さや光沢を長時間保持するこ
と、即ち外観を美しく見せることである。しかしなが
ら、これまで塗装された塗料によるゴルフボールの性能
に及ぼす影響については、あまり検討されていなかっ
た。

【０００３】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記点に着眼
し、鋭意検討を行った結果、ゴルフボール本体の表面に
存在するディンプルの山部、エッジ部、斜面部および底
部のそれぞれを覆う塗膜層の平均厚さが、そのディンプ
ルの深さの20〜40％の範囲である塗装ゴルフボールが、
打撃時の打出角およびスピンが最適条件となり、かつゴ
ルフボール本体の表面に施されたマーク等の保護性が向
上することを見い出した。

【０００４】以下、本発明について更に詳述すると、本
発明のゴルフボールは、図１に示すように、ゴルフボー
ル本体の表面に存在するディンプルの山部(1)、エッジ
部(2)、斜面部(3)および底部(4)のそれぞれを覆う塗膜
層の平均厚さが、そのディンプルの深さの20〜40％、好
ましくは20〜35％の範囲とすることを特徴とする。塗膜
層の平均厚さがティンプルの深さの20％より薄いと、打
出角が低く、スピン量が多くなり飛距離が小さくなる。
40％より厚いと、打出角が高くなり過ぎ、スピン量が少
なくなり過ぎドロップして飛距離が小さくなる。また、
40％以上では塗膜層が厚く、ディンプルが埋まってしま
い、ディンプルの効果が小さくなる（浮力が得られなく
なる）。塗膜厚が適当（ディンプル深さの20〜40％の場
合）である場合、塗料はカバー材より滑り性が良いた
め、ゴルフクラブでの打撃時にフェース上で適度にスリ
ップして、打出角が高くなり、スピン量が減少して、飛
行距離が伸びる。

【０００５】更に、本発明の塗装ゴルフボールの表面に
存在するディンプルの山部、エッジ部、斜面部および底
部のそれぞれを覆う塗膜層のすべての厚さが40〜70μm
の範囲であることが好ましく、全ディンプルの50％以
上、好ましくは80％以上が、上記のような塗膜厚となる
のが好ましい。50％より少ないと上記の効果が得られな
い。また、ディンプル深さは0.1mm〜0.3mmであるのが好
ましい。0.1mmより小さいとディンプルの効果が得られ
ない。0.3mmを越えると、ボールが吹き上がり飛ばな
い。

【０００６】塗膜の鉛筆硬度はＢ〜２Ｈが好ましく、Ｂ
未満であるとスピンがかかり過ぎ、打出角が低くなり、
塗膜強度が小さくなる。また、２Ｈを越えるとスピンが
かかりにくくなり、塗膜に亀裂が入り易い欠点がある。

【０００７】本明細書中において、「ゴルフボール本
体」とは、塗装が施されていないゴルフボール自体をい
い、その表面には多数のディンプルと呼ばれるくぼみが
存在する。「塗装ゴルフボール」とは、ゴルフボール本
体上に塗料が塗装された塗膜層を有するゴルフボールを
意味する。

【０００８】本発明のゴルフボールは構造には左右され
ず、ワンピースボール、ツーピースボール、スリーピー
スボール以上のマルチピースボール、または糸巻きゴル
フボールであってもよい。例えば、ツーピースゴルフボ
ールでは、各種成分を配合したゴム組成物を適宜加硫し
て得たコアに、アイオノマー等の熱可塑性樹脂を射出成
形または圧縮成形し、この表面にバフ処理等を施し、塗
装前処理工程を経て、塗装を行う。上記前処理工程に
は、サンドブラスト処理、ブラッシング処理等の物理的
処理や、プラズマ処理、アルコール処理または薬品塗布
等の化学的処理等がある。

【０００９】本発明に用いる塗料には、エポキシ系また
はウレタン系の樹脂を用いることができるが、好ましく
はウレタン系の塗料が好適であり、下地との密着性を考
慮して選択することが望ましい。具体的には塗料にはポ
リエステルポリオール、ポリエーテルポリオールのよう
な活性水素含有化合物を主剤に、イソシアネート化合物
を硬化剤に用いて、これらを反応させたものが好まし
い。前記イソシアネート化合物には、1,6-ヘキサメチレ
ンジイソシアネート変性体（ビューレット体、トリメチ
ロールプロパン変性、３量体化等）が好ましく、トリレ
ンジイソシアネート変性体も好適である。

【００１０】塗料には、前記成分以外に更に種々の添加
剤、希釈剤等が含まれる。添加剤の例としては、紫外線
吸収剤、光安定剤、目止め顔料並びに蛍光材料もしくは
蛍光増白剤である。これらの添加剤の配合量は塗料固形
分に対し0.1〜10重量％である。

【００１１】塗料中に配合される蛍光剤や蛍光増白剤は
ゴルフボールに使用されている一般に公知のものが挙げ
られる。その具体的な例としては、2,5-ビス［5'-t-ブ
チルベンゾオキサゾリル(2)］チオフェン（日本チバガ
イギー社からユビテックスOBとして市販）、7-(2h-ナフ
トール(1,2-d)-トリアゾール-2-Y1)-3-フェニル-クスリ
ン（サンゾス社からLeucopureEGMとして市販）等が好適
であるが、ビアゾリン誘導体（モーベイケミカルコーポ
レーションからPhorwhite K-2002として市販）、オキサ
ゾール系（住友化学社からホワイトフルアーHCS、PCS、
Bとして市販）およびヘキストジャパン社からHostalux
KCBとして市販の蛍光増白剤が挙げられる。これらの配
合量は塗膜固形分に対し0.005〜1.0重量％である。

【００１２】塗料に配合される希釈剤は水、イソプロピ
ルアルコール等のアルコール類、トルエン等の芳香族
類、ヘキサン等の炭化水素類、酢酸エチル等のエステル
類、メチルエチルケトン等のケトン類等が挙げられる。
希釈剤の配合量は特に限定的ではないが、５〜50重量％
である。

【００１３】本発明に用いる塗料の塗装方法として、こ
れらに限定されないが、エアガン塗装または静電塗装が
適している。

【００１４】本発明の塗装前処理するゴルフボールの表
面層は、アイオノマーカバー、バラタカバーまたは硬質
ゴム質等のいずれでも、本発明の塗料を適用し得る。こ
の内、特にアイオノマーカバーのゴルフボールが、アイ
オノマー自体に遊離のカルボキシル基を含有しているた
め、優れた密着性を示し、最も適している。

【００１５】

【実施例】本発明を実施例により更に詳細に説明する。
特に本実施例はツーピースゴルフボールの場合を示した
が、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。

【００１６】（実施例１〜２、および比較例１〜２）以
下に示すコア配合にて、ゴム組成物を加硫成形して得ら
れたソリッドコアを、カバー配合に示されたアイオノマ
ー樹脂のカバーを被覆し、表面に432個のディンプルを
有するツーピースゴルフボール本体を得た。このゴルフ
ボール本体を以下の塗料配合の塗料を塗装して、塗装ゴ
ルフボールを得た。塗装方法、評価方法は以下に示す通
りであった。（配合） (Ｉ)コア配合種類重量部ＢＲ−18(注1) 100 アクリル酸亜鉛 30 亜鉛華 20 老化防止剤(注2) 0.7 ジクミルパーオキサイド 1.5 加硫条件：160℃×25分

【００１７】 (II)カバー配合種類重量部ハイミラン＃1605(注3) 50 ハイミラン＃1706(注3) 50 (III)塗料配合重量部塗料配合プライマートップウレタン樹脂 100 100 光安定剤(注4) 0.2 − 紫外線吸収剤(注5) 0.1 − 酸化防止剤(注6) 0.1 − 蛍光増白剤(注7) 0.2 0.2 この塗料から作成した塗膜の鉛筆硬度は、プライマー:Ｈ、トップ:Ｆであった。 (注1)ＪＳＲ製ポリブタジエン (注2)吉富製薬製 (注3)三井ポリケミカル社製アイオノマー樹脂 (注4)三共社より市販のSanal LS770 (注5)チバガイギー社より市販のTinuvin 900 (注6)チバガイギー社より市販のIrganox 245 (注7)チバガイギー社より市販のUbitex OB （塗装方法）表面を前処理として、ブラスト処理をして
表面活性させ、プライマー塗料をエアガン塗装し、乾燥
硬化後、クリヤー塗料をエアガン塗装し、乾燥硬化させ
た。上記のようにして得られた塗装ゴルフボールを以下
の方法により評価し、その結果を表１に示した。

【００１８】

【表１】

【００１９】（測定方法）塗膜厚はディンプル部の切断
面を顕微鏡で測定した。その測定方向は塗膜表面のある
測定点で塗膜表面に接する面からゴルフボール本体にお
ろした垂線方向、例えば図１の７、８および９である。
また、図１は模式図であり測定部分７の両端が鋭角にな
っているが、実際のゴルフボールでは丸みを帯びてい
て、その場合にも同様にそれに接する面の垂線方向を測
定する。（評価方法）飛行特性およびマーク耐久性：ドライバーを使用したツ
ルーテンパー社製スウィングロボットでヘッドスピード
40m/sで打撃し、打出角、スピン量およびキャリーを測
定し、50ショット後のマークの欠け具合を目視観察し
た。

【００２０】

【発明の効果】本発明によれば、打撃時の打出角および
スピンが最適条件となり、かつゴルフボールの表面また
は表面に施されたマーク等の保護性が向上した塗装ゴル
フボールを提供する。

【図面の簡単な説明】

【図１】塗装ゴルフボールの表面に存在するディンプ
ルの拡大模式図である。

【符号の説明】

１…山部２…エッジ部３…斜面部４…底部５…塗膜層６…ディンプル深さ７，８，９…塗膜厚の測定方向

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】ゴルフボール本体の表面に塗膜層を有す
る塗装ゴルフボールにおいて、ゴルフボール本体表面に
存在するディンプルの山部(1)、エッジ部(2)、斜面部
(3)および底部(4)のそれぞれを覆う塗膜層の平均厚さ
が、該ディンプルの深さの20〜40％の範囲である塗装ゴ
ルフボール。
【請求項２】該塗装ゴルフボールの塗膜層の厚さが、
山部、エッジ部、斜面部および底部のすべての部分にお
いて、40〜70μmの範囲内である請求項１記載の塗装ゴ
ルフボール。
【請求項３】塗膜の鉛筆硬度がＢ〜２Ｈである請求項
１記載のゴルフボール。