JPH0830540B2 - 湯水混合用単シリンダ−型開閉弁 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、通常、湯、水の混合栓に使用されるもので
あり、湯、水の吐水、止水または混合するための開閉弁
における単シリンダー型開閉弁に関するものである。

従来のこの種、単シリンダー型開閉弁は、湯、水の流
入口における開閉と、湯、水の混合量の調節とを同一の
弁体で行うよう円筒状に構成されており、円筒状の弁体
をその軸線方向に移動させることにより流入口の開閉操
作を行い、円筒状の弁体を回動させることにより湯、水
の流入口における開度を可逆的に調節して湯、水の混合
量の調節操作を行っている。

この従来装置における円筒状の弁体は、シリンダー側
に設けたゴム製或は合成樹脂製のＯリングによるシール
手段しかなく、供給される湯、水に混合してくる砂、小
石、配管などの錆片などの異物によって、Ｏリングの摩
滅、切損が激しく、早期に水漏れなどの障害が生ずる欠
点を有する。

また、供給される水中に含まれる例えば、カルシュー
ム分、鉄分、水あかや塩素などの殺菌剤がＯリングに附
着して、Ｏリングを早期に劣化したり、弁体との摺動抵
抗を増大して、初期における弁操作の何倍もの力を必要
とする不都合が生じる欠点を有する。

さらには、Ｏリングと弁体との摺動抵抗を軽減するた
め弁体の摺動面に潤滑剤を塗布しておいても、この円筒
状の弁体がその軸方向に移動する湯、水の流入口を開閉
する操作と、回動する湯、水の流入口における開度の調
節操作とを行うことから、湯、水と接解する弁体の摺動
面が極めて広い範囲にわたっており、その摺動面に塗布
されている潤滑剤は忽ちのうちに洗い流してしまい初期
の摺動状態を保つことは極めて困難なことであった。

また、従来装置における円筒状の弁体さらにはシリン
ダーの強度を高めるため、化学的変化が少なく、損粍劣
化の少ない高硬度のスレンレス、セラミックなどによる
製造も提案されているけれども、これら高硬度材料によ
る円筒状の精密仕上げが困難であり、これら高硬度材料
によって円筒状の弁体さらにはシリンダーを製造したと
しても、Ｏリングによるシールは不可欠のものであっ
た。

本発明は、これら従来装置における欠点を除去するこ
とを目的とするものであって、湯と水それぞれの流入口
を、シリンダーの内側に設けた平滑な案内面と開閉弁の
平滑な摺動面とによる平滑面どうしの面シールとするこ
とにより、損傷し易いＯリングの使用を排除して、その
耐用命数を向上させることができた湯水混合用単シリン
ダー型開閉弁を提供するものである。

また、本発明の他の目的とするところは、湯と水それ
ぞれの流入口を、シリンダーの内側に設けた平滑な案内
面と開閉弁の平滑な摺動面とによる平滑面どうしの面シ
ールとすることにより、開閉弁の平滑な摺動面、さらに
はシリンダー内側の平滑な案内面を化学的変化が少な
く、損粍劣化の少ない無機質、高硬度の材料、例えば、
特殊鋼、ステンレス、セラミック、ニューセラミックな
どの材料によっても高精度に仕上げることが容易とな
り、これら材料の使用を可能にして、開閉弁におけるシ
ール効果の優れた耐用命数の長い湯水混合用単シリンダ
ー型開閉弁を提供するものである。

さらに、本発明の他の目的とするところは、湯、水の
流入口を開閉する開閉弁と、湯、水の流入口における開
度を調節する混合弁とを別体のものとして形成すること
により、開閉弁による湯、水の流入口における給水、止
水のための操作は、シリンダーの軸線方向に沿った往復
動による極めて僅かな範囲にとどまり、開閉弁の摺動面
に塗布された潤滑油の洗い流される量も少なく、塗付さ
れた潤滑油による摺動抵抗の軽減状態を保ち、摺動面に
おける損粍劣化を長時間にわたって抑えることができる
湯水混合用単シリンダー型開閉弁を提供するものであ
る。

さらにまた、本発明の目的とするところは、湯、水の
流入口における開度を調節する混合弁を開閉弁に内蔵す
ることにより、混合弁には充分なシール機構を必要とし
ない構造の簡単な湯水混合用単シリンダー型開閉弁を提
供するものである。

即ち、本発明は、湯と水それぞれの流入口とそれら
湯、水の流出口とを開口したシリンダーを設け、そのシ
リンダーの内側に湯と水それぞれの流入口における開口
部を含む平滑な案内面をシリンダーの軸線方向に沿って
設け、それらシリンダーの内側に設けた平滑な案内面に
対向する平滑な摺動面を有すると共に、それらの摺動面
にシリンダーにおける湯と水それぞれの流入口に対応す
る湯と水それぞれの開閉用流入口を開口した開閉弁をシ
リンダーの軸線方向に対して摺動自在に設け、その開閉
弁の内側には湯と水それぞれの開閉用流入口を適宜開閉
する混合弁を設けたことを特徴とする湯水混合用単シリ
ンダー型開閉弁の構造を要旨とするものである。

次に、本発明を図示実施例に従って説明すれば、
（１）はシリンダーであって、混合栓本体の内部に配設
されるものであり、黄銅などの金属、或はナイロン、塩
化ビニールなどの合成樹脂材により円筒状に形成されて
いる。この円筒状のシリンダー（１）は一体に成形する
こともできるが、２つ割りにして成形しこれを組合せる
ようにしてもよい。（２）は湯を供給するための流入口
であって、シリンダー（１）における一側の周縁部に開
口している。（３）は水を供給するための流入口であっ
て、シリンダー（１）の周縁部に開口する湯流入口
（２）に対して直径方向に相対向してシリンダー（１）
の周縁部に開口している。この湯流入口（２）と水流入
口（３）との開口位置は、必ずしも正確に対向させるこ
となく、適宜の対向角度を持ったり、軸線方向のずれを
持ったりすることもある。（４）は平滑な案内面であっ
て、シリンダー（１）の内側に湯流入口（２）または水
流入口（３）の開口部を含むように、シリンダー（１）
の軸線方向に沿って設けられるものであり、プレート
（５）（５）を介して成形されている。プレート（５）
（５）はシリンダー（１）と一体に成形したものであっ
ても、プレート（５）を別個に成形してシリンダー
（１）の内面にろー付けなどの手段によって固着したも
のであってもよい。そして、その表面を形成する平滑な
案内面（４）は、化学的変化が少なく、損粍劣化の少な
い無機質、高硬度の材料、例えば、特殊鋼、ステンレ
ス、セラミック、ニューセラミックなどの材料によって
作られるのが好ましく、さらには、鏡面仕上げを行って
平滑面を重ね合せた時にリンキング現象が生じるように
しておくのが効果的である。（６）は湯、水の流出口で
あって、円筒形のシリンダー（１）に対し、湯流入口
（２）、水流入口（３）とは軸線方向の反対側に位置し
て開口している。シリンダー（１）内に供給される湯、
水さらにはそれらの混合水を吐出すためのものである。
（７）は固定用掛止溝であって、シリンダー（１）をホ
ルダー（８）に対して一体的に固定するためのものであ
り、ホルダー（８）に設けられた掛止溝に内側突部を嵌
合すると共にＯリングなどを嵌合して固定する。（９）
は開閉弁であって、シリンダー（１）に設けた湯流入口
（２）および水流入口（３）を開閉するためのものであ
り、シリンダー（１）の内側に設けられた平滑な案内面
（４）（４）に対向する平滑な摺動面（10）（10）を有
する筒状体に形成されており、それらの平滑な摺動面
（10）（10）には、シリンダー（１）に設けられた湯流
入口（２）および水流入口（３）にそれぞれ対応する開
閉用湯流入口（11）および開閉用水流入口（12）を開口
しており、ホルダー（８）に摺動自在に軸支されている
弁軸（13）の端末部に設けられた弁受け（14）によって
底板を支持すると共に、弁軸（13）の中間部に設けた鍔
（15）と開閉弁（９）の内底部との間に設けたスプリン
グ（16）とによって保持されている。そして、弁軸（1
3）の軸線方向に対する移動に伴って開閉弁（９）の平
滑な摺動面（10）（10）はシリンダー（１）の内側に設
けられた平滑な案内面（４）（４）に沿って摺動し、そ
の摺動位置によって湯流入口（２）と開閉用湯流入口
（11）とが、また水流入口（３）と開閉用水流入口（1
2）とが一致したり齟齬したりしてシリンダー（１）の
湯流入口（２）および水流入口（３）が開閉されるので
ある。この開閉弁（９）における平滑な摺動面（10）
（10）も、対向するシリンダー（１）の平滑な案内面
（４）（４）と同様に、化学的変化が少なく、損粍劣化
の少ない無機質、高硬度の材料、例えば、特殊鋼、ステ
ンレス、セラミック、ニューセラミックなどの材料によ
って作られるのが好ましく、さらには、鏡面仕上を行っ
て平滑な案内面（４）（４）を重ね合せた時にリンキン
グ現象が生じるようにしておくのが効果的である。な
お、高硬度の材料で平滑な案内面（４）（４）或は平滑
な摺動面（10）（10）を形成する時には、その表面部分
のみにこれらの高硬度の材料を塗布し或はそれらの薄板
を貼着して構成する場合、これら案内面（４）、摺動面
（10）を有するプレート（５）或は開閉弁（９）全体を
高硬度の材料で構成する場合などがある。（17）は混合
弁であって、開閉弁（９）に設けられた開閉用湯流入口
（11）および開閉用水流入口（12）の開度を可逆的に調
節して湯、水の混合量を調節するためのものであり、側
面に大きな開口を有する筒状の弁として構成され、開閉
弁（９）内に位置して設けられている。この混合弁（1
7）は、開閉弁（９）と同様にスプリング（16）によっ
て弁軸（13）に保持されると共に、弁軸（13）に設けら
れたキー（18）によって弁軸（13）と共に回動するよう
になっている。なお、弁軸（13）に対する開閉弁（９）
と混合弁（17）との遊嵌とスプリング（16）による装着
は、急激な弁の閉止操作時においても、両弁が瞬間的に
同時に閉止することなく、開閉弁（９）および混合弁
（17）とをスプリング（16）に抗し弁軸（13）に沿って
遊動させた後、スプリング（16）の荷動によって徐々に
閉止するよう作動するのでウォーターハンマーの発生を
防止することができる。また、混合弁（17）の構成は図
示実施例に限らず従来公知の機構を採用することができ
る。また、サーモスタットエレメントを使用する方法、
サーミスターセンサーを使用する方法などの手段も採用
することができる。

次に、本発明装置の作用を説明すれば、先づ、シリン
ダー（１）の湯流入口（２）および水流入口（３）とが
開閉弁（９）によって閉じられている状態を第２図に示
している。

この第２図に示す状態において弁軸（13）の１端に設
けられているハンドル（19）を図において右方向に引け
ば、第３図に示すように、弁軸（13）を介して開閉弁
（９）が右方向に移動して、シリンダー（１）の湯流入
口（２）と開閉弁（９）の開閉用湯流入口（11）とが、
またシリンダー（１）の水流入口（３）と開閉弁（９）
の開閉用水流入口（12）とが合致して、湯流入口（２）
および水流入口（３）を開口しそれぞれの開口より開閉
弁（９）内に湯および水の供給を受けることになる。

そこで、ハンドル（19）を回転し、弁軸（13）を介し
て混合弁（17）を回転させれば、開閉弁（９）の開閉用
湯流入口（11）および開閉用水流入口（12）の開度は第
４〜８図のように変化する。即ち、第４図の状態は、開
閉用湯流入口（11）が閉じられ、開閉用水流入口（12）
のみが開口しており、水のみの供給を受けることにな
る。第５図の状態は、開閉用湯流入口（11）が僅かに開
かれると共に、開閉用水流入口（12）が僅かに閉じら
れ、僅かの湯と大量の水とが供給され混合されることに
なる。第６図の状態は、開閉用湯流入口（11）と開閉用
水流入口（12）とが同じように開かれ、同量の湯と水と
が供給され混合されることになる。第７図の状態は、開
閉用湯流入口（11）が僅かに閉じられると共に、開閉用
水流入口（12）が僅かに開かれており、大量の湯と僅か
な水とが供給され混合されることになる。さらに、第８
図の状態は開閉用湯流入口（11）のみが開かれ、開閉用
水流入口（12）が閉じられて、湯のみが供給されること
になり、何れも流出口（６）より吐出されることにな
る。

本発明の湯水混合用単シリンダー型開閉弁は、湯と水
それぞれの流入口を、シリンダーの内側に設けた平滑な
案内面と開閉弁の平滑な摺動面とによる平滑面どうしの
面シールとして構成してあるので、損傷し易いＯリング
の使用を排除して、その耐用命数を向上させることがで
きる実益を有する。

また、本発明の湯水混合用単シリンダー型開閉弁は、
湯と水それぞれの流入口を、シリンダーの内側に設けた
平滑な案内面と開閉弁の平滑な摺動面とによる平滑面ど
うしの面シールとして構成してあるので開閉弁の平滑な
摺動面、さらにはシリンダー内側の平滑な案内面を化学
的変化が少なく、損粍劣化の少ない無機質、高硬度の材
料、例えば、特殊鋼、ステンレス、セラミック、ニュー
セラミックなどの材料によっても高精度に仕上げること
が容易となり、これら材料の使用を可能にして、開閉弁
におけるシール効果が優れ、耐用命数をさらに延長する
ことができる実益を有する。

さらに、本発明の湯水混合用単シリンダー型開閉弁
は、湯、水の流入口を開閉する開閉弁と、湯、水の流入
口における開度を調節する混合弁とを別体のものとして
構成してあるので、開閉弁による湯、水の流入口におけ
る給水、止水のための操作は、シリンダーの軸線方向に
沿った往復動による極めて僅かな範囲にとどまり、開閉
弁の摺動面に塗付された潤滑油の洗い流される量も少な
く、塗付された潤滑油による摺動抵抗の軽減状態を保
ち、摺動面における損粍劣化を長時間にわたって抑える
ことができる実益を有する。

さらにまた、本発明の湯水混合用単シリンダー型開閉
弁は、湯、水の流入口における開度を調節する混合弁を
開閉弁に内蔵するように構成してあるので、混合弁には
充分なシール機構を必要としない構造の簡単なものとす
ることのできる実益を有する。

【図面の簡単な説明】

図は本発明の実施例を示し、第１図は要部の分解斜視
図、第２図は開閉弁による湯流入口および水流入口の閉
止状態を示す縦断側面図、第３図は開閉弁による湯流入
口および水流入口の開閉状態を示す縦断側面図、第４〜
８図は何れも混合弁による開閉用湯流入口および開閉用
水流入口の開度調節状態を示す要部の縦断正面図であ
る。 図中の符号を説明すれば、次の通りである。 （１）はシリンダー、（２）は湯流入口 （３）は水流入口、（４）は平滑な案内面 （５）はプレート、（６）は湯、水の流出口 （７）は固定用掛止溝、（８）はホルダー （９）は開閉弁、（10）は平滑な摺動面 （11）は開閉用湯流入口、（12）は開閉用水流入口 （13）は弁軸、（14）は弁受け （15）は鍔、（16）はスプリング （17）は混合弁、（18）はキー （19）はハンドル

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】湯と水それぞれの流入口とそれら湯、水の
   流出口とを開口したシリンダーを設け、そのシリンダー
   の内側に湯と水それぞれの流入口における開口部を含む
   平滑な案内面をシリンダーの軸線方向に沿って設け、そ
   れらシリンダーの内側に設けた平滑な案内面に対向する
   平滑な摺動面を有すると共に、それらの摺動面にシリン
   ダーにおける湯と水それぞれの流入口に対応する湯と水
   それぞれの開閉用流入口を開口した開閉弁をシリンダー
   の軸線方向に対して摺動自在に設け、その開閉弁の内側
   には湯と水それぞれの開閉用流入口を適宜開閉する混合
   弁を設けたことを特徴とする湯水混合用単シリンダー型
   開閉弁。