JPH08301648A - 摺動部材 - Google Patents

摺動部材

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JPH08301648A
JPH08301648A JP7106550A JP10655095A JPH08301648A JP H08301648 A JPH08301648 A JP H08301648A JP 7106550 A JP7106550 A JP 7106550A JP 10655095 A JP10655095 A JP 10655095A JP H08301648 A JPH08301648 A JP H08301648A
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JP
Japan
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sliding
free carbon
contact surface
sliding contact
vane
Prior art date
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Pending
Application number
JP7106550A
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English (en)
Inventor
Kazunori Takenouchi
一憲 竹之内
Norihiro Oosugi
範裕 大杉
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Kyocera Corp
Original Assignee
Kyocera Corp
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Publication date
Application filed by Kyocera Corp filed Critical Kyocera Corp
Priority to JP7106550A priority Critical patent/JPH08301648A/ja
Publication of JPH08301648A publication Critical patent/JPH08301648A/ja
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  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)
  • Sliding Valves (AREA)
  • Sliding-Contact Bearings (AREA)
  • Mechanical Sealing (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】遊離炭素を含有する開放気孔率が0.2%以下
の焼結体からなり、平滑な摺接面を備えた摺動部材であ
って、該摺動部材の摺接面に存在する遊離炭素の占有率
を2.4%以上、12%未満で、かつその平均径を0.
1以上、2.9μm未満とする。また、上記摺動部材の
摺接面に粗研摩やエッチング加工等を施してベアリング
サーフェス率が40〜99%の摺接面とするとともに、
該摺接面に存在する表面凹部に液体潤滑剤や半固体潤滑
剤を保持させる。 【効果】摺接面に存在する遊離炭素により滑らかな摺動
特性が得られるとともに、自他共に低摩耗を実現するこ
とができる。また、摺接面に遊離炭素と潤滑剤を存在さ
せたことにより、高負荷、高速度条件での摺動におても
滑らかな摺動特性を長期間にわたって実現することがで
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、軸受、ダイス、スライ
ド装置、内燃機関用のシリンダ、カム、ピストンリン
グ、あるいはロータリーコンプレッサーやベーンポンプ
のベーン、ディスクバルブ等に使用される摺動部材関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来、軸受、ダイス、スライド装置、内
燃機関用のシリンダ、カム、ピストンリング、あるいは
ロータリーコンプレッサーやベーンポンプのベーン、デ
ィスクバルブ等に使用される摺動部材にあっては、金属
同士の激しい擦れ合いにより焼き付きが起こり易いこと
から潤滑性と耐摩耗性が要求されており、これらの要件
を満足させるために様々な摺動部材が提案されている。
【0003】例えば、特開昭61−244980号公報
や特開昭61−132575号公報には、5〜74%程
度の気孔率を有する多孔質セラミック体の気孔部に合成
樹脂などの固体潤滑剤を充填した摺動部材が開示されて
おり、特開昭60−235767号公報には、三次元編
目構造をした炭化珪素質焼結体の気孔部にエンジン油、
スピンドル油、ダイナモ油、ディーゼルエンジン油、タ
ービン油などの液体潤滑剤を含浸させた摺動部材が開示
されている。
【0004】一方、特開平2−221352号公報に
は、炭化珪素、窒化珪素、サイアロンなどからなる焼結
体中に、平均粒子径が1〜50μmの片状または球状の
炭素を0.3〜15体積%の割合で均一に析出させた摺
動部材が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前述した多
孔質セラミック体の気孔部に固定潤滑剤や液体潤滑剤を
充填、含浸させた摺動部材では、母材が多孔質セラミッ
ク体からなるために摺動部材自体の硬度および破壊靭性
が低く、その結果相手部材との摺動により短期間で摩耗
してしまうといった課題があった。しかも、これらの摺
動部材では潤滑剤を充填するための気孔部のエッジが刃
物として作用するために、摺動において相手部材を大き
く削り、摩耗させてしまう恐れもあった。
【0006】その上、潤滑剤として固体潤滑剤を使用し
たものにあっては多孔質セラミック体の気孔部にあとか
ら充填したものであるために、固体潤滑剤が摺接面から
脱落し易く、また、潤滑剤として液体潤滑剤を使用した
ものにあっては使用中に多孔質セラミック体の気孔部か
ら流出してしまう恐れもあった。その為、これらの潤滑
剤がなくなると硬質の部材同士の摺動となるために、双
方が大きく摩耗したり、焼き付きを生じたりして摺動特
性が大幅に損なわれるといった課題があった。一方、後
述したセラミック体中に自己潤滑性を有する炭素を含有
させたものでは、炭素の脱落等の問題は少ないものの、
摺動部材の摺動特性は炭素の含有量だけで改善できるも
のではなく、摺接面に存在する炭素の占有面積率や平均
径などによって大きく左右されるものであった。即ち、
摺接面に存在する炭素量が多すぎると摺接面の硬度が低
下し、相手部材の硬度と近似するために双方の部材が大
幅に摩耗して短期間で使用できなくなり、逆に摺接面に
存在する炭素量が少なすぎると相手部材を大きく摩耗さ
せてしまうといった課題があった。
【0007】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明では上記
課題に鑑み、遊離炭素を含有する開放気孔率が0.2%
以下の焼結体からなり、かつ平滑な摺接面を有する摺動
部材であって、該摺動部材の摺接面に存在する遊離炭素
の占有面積率が2.4%以上、12%未満で、かつその
平均径が0.1μm以上、2.9μm未満となるように
したものである。
【0008】また、本発明は上記摺動部材の摺接面に粗
研摩やエッチング加工等を施してベアリングサーフェス
率が40〜99%の摺接面とするとともに、該摺接面に
存在する表面凹部に液体潤滑剤や半固体潤滑剤を保持さ
せたものである。
【0009】即ち、本発明に係る摺動部材は、遊離炭素
を含有した開放気孔率が0.2%以下の緻密質な焼結体
により形成してあるため、摺接面には殆ど気孔がなく、
摺動部材を構成する焼結体が持つ本来の硬度に近い高硬
度を持った摺動部材とすることができる。その為、相手
部材との摺動においても短期間で摩耗することがない。
しかも、上記摺動部材には炭素を添加して摺接面に遊離
炭素を析出させてあるため、相手部材との摺動において
は遊離炭素の持つ自己潤滑作用および吸着膜の形成によ
り、滑らかな摺動特性を得ることができる。なお、本発
明で言う焼結体とは、硬質部材としてAl2 3 、Zr
2 、SiC、Si3 4 などを主成分とするセラミッ
クスやTiC、TiN、TiCNなどの硬質部材と金属
とからなるサーメット材などのことである。
【0010】ところで、安定した摺動特性および低摩耗
を実現するためには、摺動に関与する摺接面に存在する
遊離炭素の存在状態、つまり遊離炭素の占有面積率およ
びその平均径が重要な要件となる。
【0011】そこで、本発明では摺接面に存在する遊離
炭素の占有面積率を2.4%以上、12%未満とし、か
つその平均径を0.1μm以上、2.9μm未満の範囲
に設けてある。
【0012】ここで、摺接面に存在する遊離炭素の占有
面積率を2.4%以上、12%未満としたのは、占有面
積率が2.4%未満であると、摺接面に存在する遊離炭
素量が少ないために、遊離炭素の持つ自己潤滑作用を充
分に得ることができず、相手部材を大きく摩耗させてし
まうからであり、逆に、占有面積率が12%以上となる
と、摺接面に占める遊離炭素の割合が多くなり過ぎるた
めに、摺接面の硬度が大幅に低下して自他共に摩耗する
とともに、摺接面から遊離炭素が破砕、脱落してしまう
恐れがあるためである。
【0013】また、上記遊離炭素が摺接面の一部に偏っ
て存在すると、相手部材との摺動において滑らかな摺動
特性が得られない。その為、摺接面には0.1μm以
上、2.9μm未満の大きさの遊離炭素を均一に分散さ
せることが重要である。
【0014】即ち、遊離炭素の平均径が0.1μm未満
となると分散する遊離炭素の径が小さすぎるために遊離
炭素の持つ自己潤滑作用が得難くなり、逆に、遊離炭素
の平均径が2.9μm以上となると前記炭素占有率との
関係から遊離炭素が摺接面の一部に偏って存在すること
となるために滑らかな摺動特性が得られず、また、摺接
面から遊離炭素が破砕、脱落してしまう恐れもあるから
である。
【0015】さらに、上記摺動部材の摺動特性を高める
ためには焼結体を構成する硬質部材の平均結晶粒子径も
重要な要件となる。
【0016】即ち、焼結体を構成する硬質部材の平均結
晶粒子径が15μm以上となると硬質部材の粒子径が大
きすぎるために焼結体自体を緻密化することが難く、ま
た、焼結体の靱性が大幅に低下することから相手部材と
の摺動により硬質部材が脱粒を起こし摺接面を摩耗させ
てしまうからである。
【0017】ただし、焼結体を構成する硬質部材の平均
結晶粒子径を0.1μmより小さくすることは製造上難
しい。
【0018】従って、焼結体を構成する硬質部材の最適
な平均結晶粒子径としては0.1μm以上、15μm未
満の範囲、好ましくは0.1μm以上、3.5μm未満
の範囲とすることが望ましい。
【0019】また、上述のような摺動部材を製造するに
は、まず、出発原料として硬質部材のみからなる主原料
に炭素を添加するか、あるいは硬質部材と金属粉末から
なる主原料に炭素を添加するかして混練乾燥することに
より混合原料を作製する。この時、炭素の添加量は出発
原料全体に対して1〜5重量%の範囲で添加することが
適量である。即ち、炭素の添加量が1重量%未満である
と、炭素の添加量が少なすぎるため、摺動部材の摺接面
に存在する遊離炭素の占有面積率を2.4%以上とする
ことができないからであり、逆に、炭素の添加量が5重
量%より多いと焼結体の靱性が低下して短期間で摩耗し
てしまうからである。
【0020】次に、得られた混合原料を金型成形法やラ
バープレス成形法により所定の形状に成形したあと、焼
成雰囲気、焼成温度を各焼結体に応じて適宜設定して焼
成し、最後に摺接面をなす表面に研摩加工を施すことに
より本発明に係る摺動部材を得ることができる。なお、
成形においては混合原料にさらに溶媒やバインダーを添
加して押出成形法や鋳込成形法でもって所定形状に成形
しても良く、また、ホットアイソスタティックプレス成
形法(HIP)やホットプレス成形法等により成形と焼
成を同時に形成することもできる。
【0021】一方、本発明に係る摺動部材においては、
摺接面に研摩加工やエッチング加工等を施して摺接面を
粗くし、該摺接面の表面凹部に液体潤滑剤や半固体潤滑
剤を保持させても良い。
【0022】このように、摺接面の表面凹部に液体潤滑
剤や半固体潤滑剤を保持させることにより摺接面に存在
する遊離炭素の自己潤滑作用と表面凹部に保持した潤滑
剤との相乗効果によりさらに摺動面の摩耗を防止するこ
とができ、長期間にわたり優れた摺動特性を備えた摺動
部材とすることができる。しかも、摺接面に設けた遊離
炭素には−H基や−CH基を吸着させる作用があるた
め、液体潤滑剤や半固体潤滑剤の保持力を高めることが
できる。その為、高負荷荷重下や高速度摺動下において
も常に摺接面間に潤滑膜を形成することができることか
ら優れた摺動特性を維持することができ、自他ともに殆
ど摩耗させることがない。
【0023】ただし、摺接面に保持させた潤滑剤による
優れた潤滑作用を得るためには、摺接面のベアリング.
サーフェス率を40〜99%とすることが好ましい。
【0024】ベアリング・サーフェス率とは、単位面積
当たりに占める平坦部分の面積の割合のことであり、平
坦部分以外は気孔部および表面凹部から構成されている
ことになる。そして、本発明に係る摺動部材では、開気
孔率が0.2%以下であることから実質的に気孔部がな
いものと見なすことができ、平坦部分以外は表面凹部か
ら構成されていることになる。なお、ここで表面凹部と
は、摺接面に存在するスクラッチ部、および粒子の脱粒
部のことである。
【0025】そして、このベアリング・サーフェス率が
40%より小さいと、摺接面に存在する表面凹部の割合
が多くなり過ぎるために潤滑剤の保持力が低下して短期
間で潤滑剤がなるなるために相手部材との摩耗が激しく
なり、逆に、ベアリング・サーフェス率が99%より大
きくなると、摺接面に存在する表面凹部の割合が少な過
ぎ、その結果、保持させる潤滑剤の量も少なくなるため
に充分な潤滑作用が得られなくなる。
【0026】また、本発明に係る摺動部材に使用する潤
滑剤としては、液体潤滑剤においてパラフィン系、ナフ
タレン系、芳香族系などの石油系潤滑油や合成炭化水
素、ポリアルキレングリコール、ジエステル、ポリオー
ルエステル、リン酸エステル、珪素化合物、ポリフェニ
ールエーテル、フッ素化合物などの合成潤滑油などを使
用することができ、半固体潤滑剤としてLi−石鹸、C
a−石鹸、Na−石鹸、Ba−石鹸などを用いることが
できる。
【0027】
【実施例】以下、本発明実施例に係る摺動部材により形
成したベーンポンプのベーンについて説明する。
【0028】(実施例1)硬質部材として平均粒子径2
μmのTiC粉末を81重量%と、金属成分としてMo
を1.65重量%とNiを7.5重量%添加し、他の成
分としてMo2 Cを4.85重量%とCr3 C2 を5重
量%添加した主原料粉末にPITCH系炭素繊維(繊維
径8μm,長さ10〜200μm程度)を3重量%添加
し、バインダーとともに振動ミルにて68時間粉砕する
ことにより0.8μm程度のTiC粉末を含んだ顆粒を
作製した。そして、顆粒を金型内に充填しメカプレスに
より図1に示すような一端が曲面状に形成された直方体
11を成形したあと、真空炉にて1400℃程度の焼成
温度で焼成することにより長辺6mm、短辺3mm、厚
み6mmで先端部分が半径3mmの曲面状をしたベーン
1を得た。
【0029】また、このベーン1は開放気孔率0.1%
で、TiCの平均粒子径が2.5μmのサーメット材か
らなり、その摺接面に存在する炭素の占有面積率は5.
9%で、かつその平均径は1.8μmであった。
【0030】(実験例1)ここで、摺接面に存在する炭
素の占有面積率およびその平均径を変化させた上記ベー
ン1を試作し、該ベーン1を回転する鋳鉄(FC25)
製円柱体2(外径30mm、長さ8mm)の外周面に線
接触するように摺動させ、ベーン1および円柱体2の摩
耗量について測定した。
【0031】本実験における摺動装置の概略図は図1に
示す通りであり、摺接条件としては円柱体2の回転速度
を3.2m/secとし、ベーン1を円柱体2に押し付
ける荷重を2Kg/6mmとして一定時間摺動させた。
そして、円柱体2の摩耗量は外周表面を表面粗さ計でト
レースしてその深さを測定し、ベーン1の摩耗量は摺動
によって生じた曲面部分の摩耗幅を光電式マイクロメー
タ付きの顕微鏡で測定した。
【0032】また、ベーン1の摺接面に存在する遊離炭
素の分散状態については画像解析装置を用いて400倍
の倍率で摺接面に存在する遊離炭素の占有面積率、およ
びその平均径を測定した。なお、上記画像解析装置では
炭素の占有部、表面凹部、開放気孔部、および閉気孔部
の判別が出来ないが、上記ベーン1を構成する焼結体の
開放気孔率は0.2%以下と非常に小さいため、摺接面
に存在する表面凹部、開放気孔部、および閉気孔部はな
いものと見なすことができ、画像解析装置により測定し
たそれぞれの値を摺接面に存在する遊離炭素の占有面積
率およびその平均径とした。
【0033】また、摺動特性の評価としては、下式で表
される遊離炭素を添加しないベーン1との摩耗比率が1
未満であるものを良好とした。
【0034】 式 (ベーン摩耗量/0.33+円柱体摩耗量/0.4)/2<1 なお、0.33は遊離炭素を添加しないベーン1の摩耗
量であり、0.4は上記ベーン1と摺動させた円柱体2
の摩耗量である。
【0035】各試料の材料特性値および摩耗量を表1に
示す。
【0036】
【表1】
【0037】まず、表1より摺接面に存在する遊離炭素
の占有面積率が大きくなるにしたがってベーン1自体の
摩耗量が増加し、円柱体2の摩耗量は遊離炭素の占有面
積率が12%までは減少し、占有面積率が12%以上と
なると増加傾向にあることが判る。そして、試料No.
5〜8では遊離炭素の占有面積率が12%以上であるこ
とから、遊離炭素を添加しないベーン1との摩耗比率が
1以上と大きく摩耗した。特に、試料No.6〜8では
遊離炭素の占有面積率が12%以上であるとともに、遊
離炭素の平均径が2.9μm以上であるためにベーン1
の遊離炭素が脱粒を生じ、円柱体2を大きく摩耗させ
た。
【0038】また、試料No.9では遊離炭素の占有面
積率が2.4%未満と摺接面に存在する遊離炭素量が少
なすぎるために充分な潤滑作用が得られず、円柱体2を
0.4μmも摩耗させた。その結果、遊離炭素を添加し
ないベーン1との摩耗比率が1以上と大きく摩耗した。
【0039】これに対し、本発明に係る試料No.1〜
4では遊離炭素の占有面積率が2.4%以上、12%未
満で、かつその平均径が0.1μm以上、2.9μm未
満の範囲にあるため、ベーン1自体の摩耗量は大きくて
も0.5mm以下であり、また、遊離炭素を添加しない
ベーン1との摩耗比率を1未満とすることができた。こ
の結果より、摺動部材の摺接面に存在する遊離炭素の占
有面積率を2.4%以上、12%未満で、かつその平均
径を0.1μm以上、2.9μm未満とすれば、双方の
摩耗量を大きく低減できることが判る。
【0040】(実験例2)次に、表1の各試料からなる
ベーン1の摺接面にエッチング加工を施してベアリング
サーフェス率を40%とし、該ベーン1をアセトン溶液
中で超音波洗浄して室温で乾燥し、さらに乾燥機中60
℃で2時間乾燥したあと、マシン油中(JIS K 2
238)に浸せきし、30℃の雰囲気中で真空脱気を行
うことにより、摺動面に遊離炭素と潤滑油が存在したベ
ーン1を得た。
【0041】そして、これらのベーン1を実験1と同様
の条件で円柱体2に摺動させ、その摩耗状態を測定し
た。
【0042】また、摺動特性の評価としては、下式で表
される遊離炭素を添加しないベーン1との摩耗比率が
0.5未満であるものを良好とした。
【0043】 式 (ベーン摩耗量/0.06+円柱体摩耗量/0.08)/2<0.5 なお、0.06は遊離炭素を添加しないベーン1の摩耗
量であり、0.08は円柱体2の摩耗量である。
【0044】それぞれの結果は表2に示す通りである。
【0045】
【表2】
【0046】表2より判るように、ベーン1の摺接面に
潤滑油を保持させたことにより、いずれの場合もベーン
1および円柱体2の摩耗量を低減することができた。そ
して、各試料における摩耗状態を見ると、表1と同様の
傾向が見られ本発明に係る試料No.1〜4のベーン1
を用いたものでは、遊離炭素を添加しないベーン1との
摩耗比率が0.5未満と、双方の摩耗量を最も低減する
ことができた。
【0047】(実験例3)さらに、表1の試料No.1
からなるベーン1の摺接面にエッチング加工を施して摺
接面のベアリングサーフェス率を変化させ、該ベーン1
の摺接面に実験2と同様の方法でマシン油を保持させた
ベーン1を試作し、実験1と同様の条件でその摩耗状態
を測定した。
【0048】なお、摺動特性の評価は実験例2と同様に
摩耗比率が0.5未満のものを良好とした。それぞれの
結果は表3に示す通りである。
【0049】
【表3】
【0050】表3より判るようにベアリングサーフェス
率が40%以上の範囲にある試料B〜Fのものでは、遊
離炭素を添加しないベーン1との摩耗比率を0.5未満
とすることができたのに対し、ベアリングサーフェス率
が35%の試料Aでは摩耗比率が1と潤滑剤による効果
が得られなかった。
【0051】このことから、摺接面に潤滑剤を保持させ
る場合には摺接面のベアリング・サーフェス率を40%
以上とすれば良いことが判る。
【0052】(実施例2)硬質部材として平均粒子径2
μmのTiNを87.5重量%と、金属成分としてNi
を7.5重量%添加し、他の成分としてCr3 C2 を5
重量%添加した主原料粉末にPITCH系炭素繊維(繊
維径8μm,長さ10〜200μm程度)を1〜5重量
%の範囲で添加し、バインダーとともに振動ミルにて6
8時間粉砕して0.8μm程度のTiN粉末を含んだ顆
粒を作製した。そして、顆粒を金型内に充填しメカプレ
スにより一端が曲面状をした直方体11を成形したあ
と、真空炉にて1300〜1500℃程度の焼成温度で
焼成することにより長辺6mm、短辺3mm、厚み6m
mで先端部分が半径3mmの曲面状をしたベーン1を得
た。
【0053】そして、これらのベーン1を実験1および
実験2と同様の条件で鋳鉄(FC25)製円柱体2と摺
動させ、その摩耗状態について測定した。
【0054】また、摺動特性の評価としては、下式3で
表される遊離炭素を添加しないベーン1との摩耗比率が
1未満であるものを良好とし、潤滑剤を保持させた場合
には下式4で表される遊離炭素を添加しないベーン1と
の摩耗比率が0.5未満であるものを良好とした。
【0055】 式3 (ベーン摩耗量/0.44+円柱体摩耗量/0.7)/2<1 式4 (ベーン摩耗量/0.08+円柱体摩耗量/0.14)/2<0.5 なお、0.44、0.08は遊離炭素を添加しないベー
ン1の摩耗量であり、0.7、0.14は円柱体2の摩
耗量である。
【0056】それぞれの結果は表4および表5に示す通
りである。
【0057】
【表4】
【0058】
【表5】
【0059】まず、表4より試料No.23は摺接面に
存在する遊離炭素の占有面積率が2.4%以下と摺接面
に存在する遊離炭素量が少ないために円柱体2を0.7
μmも摩耗させ、遊離炭素を添加しないベーン1との摩
耗比率も1未満とすることができなかった。
【0060】また、試料No.22では摺接面に存在す
る遊離炭素の占有面積率が12%以上であるためにベー
ン1自体の摩耗量が0.78mmと多く、遊離炭素を添
加しないベーン1との摩耗比率も1以上であった。
【0061】これに対し、本発明に係る試料No.20
および21では摺接面に存在する遊離炭素の占有面積率
が2.4%以上、12%未満で、かつその平均径が0.
1μm以上、2.9μm未満の範囲にあるため、ベーン
1自体の摩耗量は大きくても0.5mm以下とすること
ができ、また、遊離炭素を添加しないベーン1との摩耗
比率も1未満と摩耗を大きく低減することができた。
【0062】また、表5よりベーン1の摺接面に遊離炭
素と潤滑油を存在させた場合でも表4と同様の傾向が見
られ本発明に係る試料No.20、21のベーン1を用
いれば、遊離炭素を添加しないベーン1との摩耗比率を
1未満とすることができた。 (実施例3)硬質部材として平均粒子径が7μm程度、
純度99.6%のAl2 3 粉末100重量%に対し、
PITCH系グラファイト繊維(繊維径8μm,長さ1
0〜200μm)を1〜5重量%の範囲で添加し、バイ
ンダーとともに振動ミルにて粉砕を行って顆粒を作製し
た。そして、顆粒を金型内に充填しメカプレスにより一
端が曲面状をした直方体11を成形したあと、真空炉に
て1700〜1800℃程度の焼成温度で焼成すること
により長辺6mm、短辺3mm、厚み6mmで先端部分
が半径3mmの曲面状をしたベーン1を得た。
【0063】そして、これらのベーン1を実験1および
実験2と同様の条件で鋳鉄(FC25)製円柱体2と摺
動させ、その摩耗状態について測定した。
【0064】また、摺動特性の評価としては、下式5で
表される遊離炭素を添加しないベーン1との摩耗比率が
0.5未満であるものを良好とし、潤滑剤を保持させた
場合には下式6で表される遊離炭素を添加しないベーン
1との摩耗比率が0.5未満であるものを良好とした。
【0065】 式3 (ベーン摩耗量/1.0+円柱体摩耗量/0.6)/2<0.5 式4 (ベーン摩耗量/0.08+円柱体摩耗量/0.06)/2<0.5 なお、1.0、0.08は遊離炭素を添加しないベーン
1の摩耗量であり、0.6、0.06は円柱体2の摩耗
量である。
【0066】それぞれの結果は表6および表7に示す通
りである。
【0067】
【表6】
【0068】
【表7】
【0069】表6より試料No.33では摺接面に存在
する遊離炭素の占有面積率が12%以上であるためにベ
ーン1自体の摩耗量が1.0mmと多く、また、遊離炭
素を添加しないベーン1との摩耗比率も0.5以上と大
きく摩耗した。
【0070】また、試料No.32では摺接面に存在す
る遊離炭素の占有面積率が2.4%未満であるためにや
はり遊離炭素を添加しないベーン1との摩耗比率が0.
5以上となった。
【0071】これに対し、本発明に係る試料No.3
0、31では摺接面に存在する遊離炭素の占有面積率が
2.4%以上、12%未満で、かつその平均径が0.1
μm以上、2.9μm未満の範囲にあるため、ベーン1
自体の摩耗量は大きくても0.6mm以下とすることが
でき、また、遊離炭素を添加しないベーン1との摩耗比
率も0.5未満とすることができた。
【0072】また、表7よりベーン1の摺接面に遊離炭
素と潤滑油を存在させた場合でも表4と同様の傾向が見
られ本発明に係る試料No.30、31のベーン1を用
いれば、遊離炭素を添加しないベーン1との摩耗比率を
1未満とすることができた。なお、本実施例では摺動部
材を構成する焼結体がセラミックスからなるものについ
てはAl2 3 についてのみ示したが他に焼結体がZr
2 、Si3 4 、SiCからなる摺動部材において
も、摺接面に存在する遊離炭素の占有面積率を2.4%
以上、12%未満で、かつその平均径を0.1μm以
上、2.9μm未満とすれば同様の傾向が見られた。
【0073】
【発明の効果】以上のように、本発明では遊離炭素を含
有する開放気孔率が0.2%以下の焼結体からなる摺動
部材であって、該摺動部材の摺接面に存在する遊離炭素
の占有率を2.4%以上、12%未満で、かつその平均
径を0.1以上、2.9μm未満となるようにしたこと
により、摺接面に存在する遊離炭素により滑らかな摺動
特性が得られるとともに、自他共に低摩耗を実現するこ
とができる。
【0074】また、本発明は上記摺動部材の摺接面に粗
研摩やエッチング加工等を施してベアリングサーフェス
率が40〜99%の摺接面とするとともに、該摺接面に
存在する表面凹部に液体潤滑剤や半固体潤滑剤を保持さ
せたことにより、摺接面に存在する遊離炭素と潤滑剤と
の相乗効果により、さらに低摩耗とすることができ、高
負荷、高速度条件での摺動におても滑らかな摺動特性を
長期間にわたって実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】摺動装置を示す概略図である。
【符号の説明】
1 ベーン 11直方体 2 円柱体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C04B 35/58 101 7123−3J F16C 33/24 A F16C 33/10 F16K 3/02 33/24 F16J 9/26 A F16K 3/02 10/00 A // F16J 9/26 15/34 H 10/00 C04B 35/56 S 15/34 101H

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも摺接面が平滑であり、かつ該摺
    接面には遊離炭素を含有する開放気孔率が0.2%以下
    の焼結体からなる摺動部材であって、該摺動部材の摺接
    面に存在する遊離炭素の占有面積率が2.4%以上、1
    2%未満で、かつその平均径が0.1μm以上、2.9
    μm未満の範囲にあることを特徴とする摺動部材。
  2. 【請求項2】上記摺動部材の摺接面に粗研摩やエッチン
    グ加工等を施してベアリングサーフェス率を40〜99
    %とするとともに、該摺接面に形成した表面凹部に液体
    潤滑剤や半固体潤滑剤を保持したことを特徴とする請求
    項1に記載の摺動部材。
JP7106550A 1995-04-28 1995-04-28 摺動部材 Pending JPH08301648A (ja)

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