JPH08280036A - 陰極線管及び締付バンド - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 Ｔ型バンドを用いる陰極線管及びこれに用い
る締付バンドを板取りを工夫して材料歩留りを上げると
共に加工工数を減少させて焼嵌性の良いものを得る。 【構成】 陰極線管１のフェース部２の側壁部に焼嵌め
する締付バンド６に消磁コイル７を取付け可能な支持部
１４を配設する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は陰極線管及び締付バンド
に係わり、特に、消磁コイルの支持構造を改良した陰極
線管及び締付バンドに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来から陰極線管内に配設したアパーチ
ャグリル、シャドウマスクを地磁気等の外部磁界から遮
蔽するために内部磁気遮蔽部材を配設したり、陰極線管
のファンネル部近傍に消磁コイルを配設して電子ビーム
が所定軌道からずれるミスランディングによる色ずれ、
色むら等を防止している。

【０００３】従来の陰極線管では上述の消磁コイルは該
陰極線管管体を覆う様に配設した外部磁気遮蔽部材の上
下端に装着するかキャビネット等に支持していた。

【０００４】然し、外部磁気遮蔽部材上から管体内部の
アパーチャグリル等に着磁した磁力をキャンセルするに
は消磁コイルとキャンセル部材間の距離が大きくなっ
て、効果がうすれることや組立時に消磁コイルが邪魔に
なる等の問題があり、陰極線管に直接、消磁コイルを支
持する様になって来ている。

【０００５】例えば、特開昭５５−９６５４１号公報、
実開昭５５−９００２号公報等にはパノプライ型（ＰＯ
Ｐ型）の爆縮防止用陰極線管のリムバンド等に消磁コイ
ルを取り付ける様に成したものが示されている。

【０００６】図１０Ａ及びＢはこの様な陰極線管を示す
もので、陰極線管のフェースプレートパネル１の側壁部
２に巻装するリムバンド３に複数個の長方形状溝４を設
け、このリムバンド３上に取付部５を４隅に設けたテン
ションバンド（以下締付バンドと記す）６を巻装して、
図１０Ｂに示す様にファンネル部に挿通した長方形状の
消磁コイル７をリムバンド３の幅方向に形成した長方形
状溝４の上に配設した締付バンド６の下側を上記長方形
溝４に沿って挿通させ、締付バンド６の上側を通した支
持帯８によって支持する様に構成したものが開示されて
いる。

【０００７】更にＴバンド型の爆縮防止用陰極線１に於
いて、Ｔバンドを構成する締付バンド６に消磁コイル７
を支持するクリップを係止する様に成した構成も、例え
ば実開昭５５−５４１１号公報に開示されている。

【０００８】上記公報に開示されている構成は図１１Ａ
及びＢに示す様に、フェースプレートパネル部２及びフ
ァンネル部９より構成された陰極線管１のフェースプレ
ートパネル部２の側壁部を囲繞する様にリング状の突出
部１０を形成し、このリング状突出部１０上の４隅に断
面Ｌ字状の取付部５ａを配設して、Ｔバンドを構成する
締付バンド６を巻装し、図１１ＡのＡ部拡大図の図１１
Ｂに示す様に締付バンド６とリング状突出部１０間に形
成した隙間に消磁コイル７を支持帯８で支持可能なクリ
ップ１１を係止させる様に成したものである。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】上述の従来構成の図１
０Ａ及びＢに示した構成によると、リムバンド３に長方
形状溝４を形成する手間の外に、締付バンド６をリムバ
ント上に締付け後に支持帯８を長方形状溝４に挿通させ
て消磁コイル７を支持する等の手間を要し、組立に多く
の時間を要する問題がある。

【００１０】更に図１１Ａ及びＢに示した構成では陰極
線管管体を構成するフェースプレートパネル部１の側壁
部２を囲繞する様にリング状の突出部を設けたフェース
プレートが必要であって、一般の陰極線管管体のフェー
スプレートパネルに直ちに適合するものではなくコスト
アップにつながる問題があった。

【００１１】本発明は叙上の問題点を解消した陰極線管
及び締付バンドを提供するもので、その目的とするとこ
ろは極めて簡単な構造で加工工数が少なく材料取りの歩
留りがよく、廉価に構成可能な陰極線管及び締付バンド
を得るにある。

【００１２】

【課題を解決するための手段】本発明の陰極線管は管体
のフェース部の側壁部に締付バントを巻装し、管体の上
下に消磁コイルを装着して成る陰極線管に於いて、締付
バンドに上記消磁コイル支持部を配設して成るものであ
る。

【００１３】本発明の締付バンドは消磁コイル支持部が
配設可能な配設部を設けて成るものである。

【００１４】

【作用】本発明の陰極線管及び締付バンドは締付バンド
に消磁コイルを保持する支持部材を締付バンドの配設部
にワンタッチで取付可能であり、簡単で板取りの歩留り
がよく、加工工数の少ないものが得られる。

【００１５】

【実施例】以下、本発明の陰極線管（以下ＣＲＴと記
す）として、１ガン３ビームでアパーチャグリルを用い
たカラー陰極線管及び締付バンドの一実施例を図１乃至
図６により説明する。

【００１６】図１は本発明のＣＲＴ及び締付バンドの組
立状態を示す斜視図、図２は締付バンドに取り付ける消
磁コイルを支持する支持具の取付状態を示す側断面図、
図３は消磁コイルを支持する支持具の斜視図、図４はＣ
ＲＴへ本発明の締付バンドを嵌着させた状態を示す斜視
図、図５は本例の締付バンドの斜視図、図６は本例及び
従来の締付バンドの板取りの説明図である。尚図１乃至
図６に於いて従来構成で説明したＣＲＴとの対応部分に
は同一符号を付して示す。

【００１７】図１及び図２に於いて、ＣＲＴ１は、フェ
ースプレートパネル部２の側壁部にフリットガラス等の
半田ガラス層１６を介してネック部１３を含むファンネ
ル部１２が一体化された陰極線管管体と成され、ネック
部１２内には図示しない１ガン３ビームの電子銃とステ
ム部１７を有し、フェースプレートパネル２の内面にス
トライプ蛍光面（カードグリル）を有し、更に図２に示
す様にこのカードグリルと対向してアパーチャグリル１
８を有し、該アパーチャグリルの格子等はフレームに架
張され、フェースプレートパネル部２の側壁部内面に設
けた突出部１９に係止されている。

【００１８】本例は上述の如きＣＲＴのフェースプレー
トパネル部２の側壁部、即ち、フェース部と半田ガラス
層１６との間に締付バンド６を焼嵌め等で巻装させる。

【００１９】この締付バンド６をＣＲＴのフェースプレ
ートパネル部２の側壁部を囲繞する様に巻装した状態を
図４に示す。

【００２０】締付バンド４は略々長方形状に形成された
４隅にキャビネット或はシャーシ等へＣＲＴ１を取り付
けるための取付部５が締付バンド６成形時に一体に形成
されている。

【００２１】更に、本例では図５の様にＣＲＴ１のフェ
ースプレート部２の長辺に対応する上下辺側に消磁コイ
ル７を支持する支持具１５が嵌挿固定される支持部１４
を締付バンド６と一体に成形する。

【００２２】上述の取付部５には螺子止め用の透孔５ａ
が穿たれ、支持部１４には支持具１５を嵌挿固定させる
ための矩形孔１４ａが穿たれている。

【００２３】この支持部１４に嵌挿固定する消磁コイル
７を保持する支持具１５の一例を図３によって説明す
る。消磁コイル７を支持する支持具は合成樹脂等で成形
され、略々長方形状の本体１５ａの上部一側端には消磁
コイル７の直径より小なる内径を有するクリップ部１５
ｂが半円筒形状に形成されている。又、本体のクリップ
部１５ｂの形成されている反対側の下方には支持部１４
に穿った矩形孔１４に挿入可能な爪２０が配設され、該
爪２０を矩形孔１４ａに嵌挿後は爪２０が押し拡げられ
て支持部１４に強固に固着される。

【００２４】この様な支持具１５を図１に示す様に支持
部１４に嵌挿して、該支持具１５のクリップ部１４ｂに
て略眼鏡のフレーム形に形成した消磁コイル７をクリッ
プさせる。尚、図１でＣＲＴ１の上側に配した消磁コイ
ル７を眼鏡フレーム形としたのはアノード釦２１近傍を
避けるためであり、ＣＲＴ１の下側に支持される消磁コ
イル７は略長方形状となされている。

【００２５】上述の図５で説明した締付バンド６の従来
及び本例のプレス時の板取りを図６Ａ及びＢで説明す
る。

【００２６】図５で説明した環状の締付バンド６は２枚
の帯状部材を溶接することで締付バンド６を形成する様
に成されている。

【００２７】図６Ｂは従来の板取りを示すもので１．２
ｔ乃至２．０ｔの冷間圧延鋼板２２をコイル幅Ｗにとっ
て順送プレスのダイによってピッチＰで矢印Ｄ方向に順
送されて打抜きが成される。即ち、環状の締付バンド６
は２枚の帯状部材６Ａ及び６Ｂをコ字状に折り曲げて長
方形状の締付バンド６を構成するが、この場合の帯状部
材６Ａ及び６Ｂでは取付部５ａは互に向かい合せて板取
りしているが、更に本例では図６Ａに示す様にこの取付
部５及び５間に例えば、１８０ｍｍ程度の間隔をとって
支持部１４，１４を互に向き合わせて板取り形成するこ
とで従来、捨てていた鋼材部分２２Ａを支持部１４と成
すことが出来て、材料を有効に利用可能となる。

【００２８】上述のプレスでは勿論、帯状部材６Ａ及び
６Ｂの型抜きと同時に支持部１４及び取付部５に形成し
た矩形孔１４ａ及び透孔５ａのプレスも同時に行われ
る。尚２３は２個の帯状部材６Ａ及び６Ｂをコ字状に折
り曲げた場合の接合部である。

【００２９】上述の締付バンド６は取付部５と消磁コイ
ル７の支持部１４を一体に形成したが、４隅の取付部５
のみを一体に形成した帯状部材６Ｃに図７に示す様に消
磁コイル７を支持する支持部１４を別体として打抜いた
後に溶接２４等で帯状部材６Ｃに固着させて締付バンド
６を構成させる様に成してもよい。

【００３０】図５及び図７に示した環状の締付バンド６
をフェースプレートパネル部２の側壁部を囲繞する様に
嵌着させた後に、高周波加熱等でＣＲＴに焼嵌めを行な
って所定の圧縮力を付加させる様に成した場合に、つい
て考えると、帯状部材６Ａ及び６Ｂの幅が一様であれば
締付バンド６は図８Ａ及びＢに示す様に均一に誘導電流
が流れるため、均一に温まり、熱膨張により４隅の取付
部５及び５間で破線で示す様に凸状に相似的に拡がる。

【００３１】然し、図５及び図７の様に消磁コイル７を
保持させる支持部１４を付加して行くと、帯状部材６Ａ
及び６Ｂの幅がこの部分で広くなり誘導電流はこの部分
で流れ難くなり、温度差を生じて締付バンド６は相似的
に拡がらなくなり、図９Ａ及びＢに示す様にフェースプ
レートパネル２の長辺部の上側の取付部５及び５間及び
下側の取付部５及び５間での締付バンド６の延びは破線
で示す様に凹状となり、上下の取付部５及び５間では凸
状となって挿着時の焼嵌性が悪化する問題が生じた。

【００３２】そこで、この支持部１４の幅Ｗ₁ 及びＷ₂
の締付バンド６の全周長に占める割合を変えて、作った
締付バンド６の焼嵌性の歩留りについて実験した結果を
以下に示す。

【００３３】

【表１】

【００３４】ここで、支持部の全周に占める割合は４隅
の支持部の幅Ｗ₁ 又はＷ₂ の４倍の４Ｗ₁ 又は４Ｗ₂ の
値を示す。

【００３５】上述の実験より明らかな様に図８Ａ及びＢ
で示す様に支持部１４の４Ｗ₁ の長さの割合が締付バン
ド６の全周長の１５％以下であれば焼嵌性に何の問題も
生ぜず、図９Ａ及びＢの様に４Ｗ₂ の様に支持部１４の
長さの割合が２０％以上にならない様に支持部１４の大
きさを選択すればよいことが解る。

【００３６】本発明の陰極線管及び締付バンドは消磁コ
イル取付用の支持部を締付バンドに配設したので、材料
の板取り歩留りが向上し、又、加工工数を減少出来て、
キャビネットへの取付再現性並びに消磁コイル支持具の
取付け位置の再現性のよいものが得られる。又、帯状部
材へ支持部を溶接した場合には管体への装着性の良好な
ものが得られる。且つ通常の管体を用いることが出来
る。

【００３７】尚、本例は１ガン３ビームのアパーチャグ
リルを用いたＣＲＴを説明したがシャドウマスク型のＣ
ＲＴにも適用可能なことは明らかである。

【００３８】

【発明の効果】本発明のＣＲＴ及び締付バンドによれば
極めて簡単な構造で加工数が少なく板取りの歩留りも良
好で廉価なものが得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の陰極線管の一実施例を示す構成図であ
る。

【図２】本発明の陰極線管及び締付バンドに用いる消磁
コイルの取付側断面図である。

【図３】本発明の陰極線管及び締付バンドに用いる消磁
コイル支持部材の斜視図である。

【図４】本発明の陰極線管への締付バンド取付状態を示
す斜視図である。

【図５】本発明の締付バンドの一実施例を示す斜視図で
ある。

【図６】本発明に用いる締付バンドの板取り説明図であ
る。

【図７】本発明の締付バンドの他の実施例を示す斜視図
である。

【図８】焼嵌め説明図（Ｉ）である。

【図９】焼嵌め説明図（II）である。

【図１０】従来の消磁コイル取付説明図である。

【図１１】従来の他の消磁コイル取付説明図である。

【符号の説明】

１ 陰極線管 ２ フェースプレートパネル部 ５ 取付部 ６ 締付バンド ７ 消磁コイル １４ 支持部 １５ 支持具

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 管体のフェース部の側壁部に締付バンド
   を巻装し、該管体の上下に消磁コイルを装着して成る陰
   極線管に於いて、 上記締付バンドに上記消磁コイル支持部を配設して成る
   ことを特徴とする陰極線管。
2. 【請求項２】 前記消磁コイル支持部の長さの合計は前
   記締付バンドの全周の１５％以下であることを特徴とす
   る請求項１記載の陰極線管。
3. 【請求項３】 消磁コイル支持部が配設可能な配設部を
   設けて成ることを特徴とする締付バンド。