JPH08277209A - 育毛剤 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ミノキシジルの経皮吸収性を向上させた育毛
剤を提供する。 【構成】 ミノキシジルおよび脂肪族多価アルコールの
アルキルエーテルを含有することを特徴とする育毛剤。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ミノキシジルの経皮吸
収性を増大させた育毛剤に関する。

【０００２】

【従来の技術】ミノキシジルは化学名を６−（１−ピペ
リジニル）−２，４−ピリミジンジアミン−３−オキサ
イドと称し、米国特許公報第４１３９６１９号に育毛剤
としての適用が述べられている。その米国特許公報中に
基剤成分としてプロピレングリコールを配合した処方例
などが記載されている。しかし、皮膚には薬物透過に対
する抵抗性が備わっているため、ミノキシジルを外用剤
として用いた場合、薬効発現に十分な量が吸収されにく
いという欠点があった。そのため、近年ミノキシジルの
経皮吸収性を製剤的に向上させる試みが行われてきた
が、これまで公知になっている製剤ではミノキシジルの
経皮吸収性が悪く、程度の異なる各種の脱毛症に対して
十分な効果が得られていなかった。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は上記事
情を鑑み、ミノキシジルの経皮吸収性を増大させ、薬効
発現に十分な量のミノキシジルが経皮吸収される育毛剤
を提供することにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
の結果、脂肪族多価アルコールのモノアルキルエーテル
がミノキシジルの経皮吸収性を著しく高めることを見い
だし、本発明を完成した。すなわち、本発明はミノキシ
ジルおよび脂肪族多価アルコールのモノアルキルエーテ
ルを含有することを特徴とする育毛剤である。

【０００５】本発明において、脂肪族多価アルコールと
は炭素数２個から６個で、２価または３価のアルコール
である。脂肪族多価アルコールとして好ましいものにグ
リセリン、ヘキサントリオール、エチレングリコール、
プロピレングリコール、１，４−ブタンジオール、トリ
エチレングリコール、ジエチレングリコールなどがあげ
られ、最も好ましいものとしてグリセリンがあげられ
る。また、脂肪族多価アルコールとエーテル結合を為す
アルキル基として好ましいのは炭素数８から２４の直鎖
状または分岐鎖状のアルキル基である。炭素鎖が８より
短くなると皮膚刺激性が増し、外用剤として好ましくな
く、炭素鎖が２４より長くなると流動性が悪くなり、製
剤化が困難になる。アルキル基として好ましいものにオ
クチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデ
シル基、セチル基、ステアリル基、イソステアリル基、
エイコサニル基、ドコサニル基などがあげられ、最も好
ましいものとしてイソステアリル基があげられる。

【０００６】脂肪族多価アルコールにおいて、アルキル
基とエーテル結合を為す水酸基は何れの部位の水酸基で
も構わないが、脂肪鎖の末端に位置する水酸基とエーテ
ル結合したものが最も好ましい。

【０００７】本発明中の脂肪族多価アルコールのモノア
ルキルエーテルが、外用剤として用いた場合に、高い安
全性を持ったもので無ければならないのは当然のことで
ある。

【０００８】本発明では、ミノキシジルの配合量は製剤
全体に対して０．１〜５重量％が好ましく、さらに好ま
しくは０．５〜２重量％である。脂肪族多価アルコール
のモノアルキルエーテルの配合量は１〜２０重量％が好
ましく、さらに好ましくは２〜１０重量％である。また
その他の成分としては通常育毛剤に用いられる賦形剤、
血管拡張剤（塩化カルプロニウム、ニコチン酸ベンジ
ル、センブリ抽出液、オタネニンジンエキス、ビタミン
Ｅアセテート、トウガラシチンキなど）、副腎皮質ホル
モン（酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸プロピオン酸ヒドロ
コルチゾンなど）、抗ヒスタミン剤（塩酸ジフェンヒド
ラミン、塩酸イソチペンジルなど）、抗炎症剤（グリチ
ルレチン酸、グアイアズレンなど）、角質溶解剤（尿
素、サリチル酸など）、殺菌剤（グルコン酸クロルヘキ
シジン、イソプロピルメチルフェノール、第４級アンモ
ニウム塩、ヒノキチオール、ピロクトンオラミンな
ど）、保湿剤（ヒアルロン酸ナトリウム、グリセリン、
コンドロイチン硫酸など）、各種動植物（イチイ、ボタ
ンピ、カンゾウ、オトギリソウ、附子、ビワ、カワラヨ
モギ、コンフリー、アシタバ、サフラン、サンシシ、ロ
ーズマリー、セージ、モッコウ、セイモッコウ、ホッ
プ、プラセンタなど）の抽出物、ビタミン類（酢酸レチ
ノール、塩酸ピリドキシン、アスコルビン酸、硝酸チア
ミン、シアノコバラミン、ビオチンなど）、油分（ミリ
スチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ス
クワラン、流動パラフィン、レシチンなど）、界面活性
剤（ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソ
ルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エ
ステル、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコ
ール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油
など）、多価アルコール（プロピレングリコール、１，
３−ブタンジオール、マクロゴール、ジプロピレングリ
コールなど）、精油（メントール、カンフルなど）、抗
酸化剤（ジブチルヒドロキシトルエン、イソプロピルガ
レートなど）、金属イオン封鎖剤（エチレンジアミンテ
トラアセテートまたはその塩）、色素、香料などを、本
発明の組成物の効果を損なわない範囲で配合することが
できる。

【０００９】本発明の育毛剤はローション剤、トニック
剤、クリーム剤、軟膏剤、エアゾール剤などの外用製剤
を常法に従って製造することができる。

【００１０】本発明の育毛剤は、１日１〜数回適量を頭
皮に塗布して使用する。

【００１１】

【発明の効果】後記試験例から明らかなように、本発明
によりミノキシジルの経皮吸収性を高めた育毛剤を提供
することが可能になった。

【００１２】

【実施例】以下、実施例および試験例に基づいて本発明
を詳細に説明する。

【００１３】実施例１ エタノール８０重量部にミノキシジル０．５重量部、α
−モノイソステアリルグリセリルエーテル２重量％、精
製水１７．５重量部を加えて撹拌溶解し、ローションタ
イプの育毛剤を調製した。

【００１４】実施例１記載の調整方法に準じ、表１に示
す処方で実施例２〜４および対照例１、２の育毛剤を調
製した。

【００１５】

【表１】

【００１６】実施例５ 精製水４２．７重量部にカルボキシビニルポリマー０．
４重量部を撹拌しながら分散させた。これに、エタノー
ル４０重量部、１，３−ブタンジオール５重量部、ミノ
キシジル１重量部、α−モノイソステアリルグリセリル
エーテル１０重量部、Ｌ−メントール０．５重量部およ
びジイソプロパノールアミン０．４重量部を撹拌溶解さ
せた液を添加し、撹拌混合して、ゲルタイプの育毛剤を
調製した。

【００１７】実施例６ ポリオキシエチレン（２０）ソルビタンモノステアレー
ト５重量部、ソルビタンモノステアレート３重量部、セ
タノール２重量部、ステアリルアルコール２重量部、流
動パラフィン１０重量部およびビタミンＥアセテート
０．２重量部、α−モノイソステアリルグリセリルエー
テル２重量部を加温しながら混合溶解した。別に、ミノ
キシジル１重量部、ヒノキチオール０．１重量部、グリ
チルレチン酸０．２重量部、ジブチルヒドロキシトルエ
ン０．０５重量部、エチレンジアミンテトラアセテート
−２ナトリウム塩０．０５重量部、パラオキシ安息香酸
メチル０．０５重量部、精製水７４．３５重量部を加温
しながら溶解撹拌した液を加え、混合撹拌しながら室温
まで冷却し、クリームタイプの育毛剤を調製した。

【００１８】実施例７ ミノキシジル２重量部、パントテニールエチルエーテル
０．１重量部、センブリエキス０．１重量部、α−モノ
イソステアリルグリセリルエーテル２重量部、ポリオキ
シエチレン硬化ヒマシ油０．５重量部、エタノール６０
重量部、精製水３５．３重量部を撹拌溶解して、ローシ
ョンタイプの育毛剤を調製した。

【００１９】実施例８ ミノキシジル５重量部、プロピレングリコール１０重量
部、α−モノイソステアリルグリセリルエーテル１０重
量部、エタノール６５重量部、精製水１０重量部を混合
溶解して、ローションタイプの育毛剤を調製した。

【００２０】実施例９ ミノキシジル０．５重量部、グリセリン２重量部、ポリ
オキシエチレン（２０）ポリオキシプロピレン（６）デ
シルテトラデシルエーテル２重量部、セイモッコウエキ
ス１重量部、ニンジンエキス０．１重量部、α−モノイ
ソステアリルグリセリルエーテル１０重量部、エタノー
ル６０重量部および精製水２４．４重量部を撹拌溶解
し、ローションタイプの育毛剤を調製した。

【００２１】実施例１０ ミノキシジル２重量部、エチニルエストラジオール０．
０００８重量部、トウガラシチンキ０．５重量部、ニコ
チン酸アミド０．２重量部、ポリオキシエチレン（６）
モノオレエート０．５重量部、ジプロピレングリコール
４重量部、α−モノイソステアリルグリセリルエーテル
５重量部、ハッカ油０．０１重量部、ジブチルヒドロキ
シトルエン０．００５重量部、エタノール６０重量部、
精製水２７．７８４２重量部を撹拌溶解し、ローション
タイプの育毛剤を調製した。

【００２２】実施例１１ ミノキシジル１重量部、イソプロピルメチルフェノール
０．０５重量部、１，３−ブタンジオール５重量部、α
−モノイソステアリルグリセリルエーテル５重量部、ポ
リオキシエチレン（２０）硬化ヒマシ油０．５重量部、
エタノール５５重量部および精製水３３．４５重量部を
撹拌溶解した。この液５０重量部をエアゾール缶に入
れ、ジメチルエーテル５０重量部を加圧充填し、エアゾ
ールタイプの育毛剤を調製した。

【００２３】実施例１２ ミノキシジル２重量部、グリチルレチン酸０．１重量
部、ヒノキチオール０．１重量部、ビタミンＥアセテー
ト０．２重量部、パントテニールエチルエーテル０．１
５重量部、塩酸イソチペンジル０．５重量部、塩酸ピリ
ドキシン０．１重量部、プラセンタエキス０．１重量
部、ミリスチン酸オクチルドデシル０．５重量部、Ｌ−
メントール０．０５重量部、グリセリルモノオレエート
１重量部、ソルビタンモノラウレート１重量部、α−モ
ノイソステアリルグリセリルエーテル２０重量部、エタ
ノール５０重量部および精製水２４．２重量部を撹拌溶
解してローションタイプの育毛剤を調製した。

【００２４】実施例１３ ステアリン酸２重量部、セタノール１．５重量部、白色
ワセリン３重量部、ラノリンアルコール２重量部、ポリ
オキシエチレン（１０）モノオレエート２重量部、α−
モノイソステアリルグリセリルエーテル５重量部、ビタ
ミンＥアセテート０．２重量部を加熱しながら混合溶解
した。これに、ミノキシジル０．５重量部、グリチルレ
チン酸０．２重量部、パラオキシ安息香酸メチル０．０
５重量部、エチレンジアミンテトラアセテート−２ナト
リウム塩０．０５重量部、プロピレングリコール１０重
量部、精製水７３．５重量部を加熱溶解した液を加え、
混合しながら室温まで冷却し、乳液タイプの育毛剤を調
製した。

【００２５】試験例［ミノキシジルの経皮吸収試験］ ウイスター系ラット（７週齢，オス）の腹部皮膚を摘出
し、ガラス製拡散セル（有効面積０．９５ｃｍ²）にレ
シーバー側が皮膚の裏面に接するように装着した。レシ
ーバーにはｐＨ７．４のリン酸緩衝液３ｍｌを加え、循
環水により３７℃に保つようにした。皮膚の表面側は開
放状態とし、実施例１〜４および対照例１、２の試料を
５μｌ塗布し、レシーバー溶液中に透過してくるミノキ
シジル量を高速液体クロマトグラフ法により測定した。
試験結果は試験開始２４時間後の透過量について、比較
例サンプルを１００％とした場合の実施例サンプルの透
過量の比率（実施例１および実施例２については比較例
１と、実施例３および実施例４については比較例２とそ
れぞれ比較）で表した。その結果を表２に示す。

【００２６】

【表２】

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ａ６１Ｋ 47/04 Ａ６１Ｋ 47/04 Ｅ 47/14 47/14 Ｅ (72)発明者 漆崎 文男 東京都豊島区高田３丁目24番１号 大正製 薬株式会社内

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ミノキシジルおよび脂肪族多価アルコー
   ルのモノアルキルエーテルを含有することを特徴とする
   育毛剤。
2. 【請求項２】 脂肪族多価アルコールがグリセリンであ
   る請求項１記載の育毛剤。
3. 【請求項３】 脂肪族多価アルコールのモノアルキルエ
   ーテルがα−モノイソステアリルグリセリルエーテルで
   ある請求項１記載の育毛剤。