JPH08276591A - 液体噴射記録ヘッド、その製造方法、及び記録装置 - Google Patents

液体噴射記録ヘッド、その製造方法、及び記録装置

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JPH08276591A
JPH08276591A JP8021995A JP8021995A JPH08276591A JP H08276591 A JPH08276591 A JP H08276591A JP 8021995 A JP8021995 A JP 8021995A JP 8021995 A JP8021995 A JP 8021995A JP H08276591 A JPH08276591 A JP H08276591A
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JP
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pattern
photosensitive material
recording head
ink
resin
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JP8021995A
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English (en)
Inventor
Masashi Miyagawa
昌士 宮川
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Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 安価、精密、また信頼性の高い高解像度の
液室パターンを簡便に形成できる液体噴射記録ヘッドの
製造方法を提供する。 【構成】 液体吐出エネルギー発生素子が形成された
基板上に(1) 溶出可能な樹脂でインク流路となる箇
所にインク流路パターンを形成する工程、(2) 該パ
ターン上にネガ型感光性材料層を形成する工程、(3)
ネガ型感光性材料層上に、天井部材の下面に共通液室
のマスキングパターンを形成した天井部材を貼り合わせ
る工程、(4) 天井部材の上面から天井部材を透過し
てネガ型感光材料層に光照射を施し、ネガ型感光性材料
層をパターン硬化し、次いで現像する工程、(5) イ
ンク流路となる箇所で切断する工程、(6) 溶出可能
な樹脂を溶出する工程、を順次行なう液体噴射記録ヘッ
ドの製造方法において、天井部材に形成するマスキング
パターンをノボラツク樹脂とナフトキノンジアジド化合
物とを少なくとも含有するポジ型感光性材料で形成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、インクジェット記録方
式において記録液小滴を発生させるための液体噴射記録
ヘッド、その製造方法、及び記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方式(液体噴射記録
方式)に用いられる液体噴射記録ヘッドは、一般に微細
な記録液吐出□(オリフィス)、インク流路及び該イン
ク流路の一部に設けられている液体吐出エネルギー発生
素子とを備えている。従来、このような液体噴射記録ヘ
ッドを作製する方法として、例えば、ガラスや金属等の
基板を用い、該基板に切削やエッチング等の加工手段に
よって微細な溝を形成した後、該溝を形成した基板を他
の適当な板と接合してインク流路の形成を行なう方法が
知られている。
【0003】しかしながら、かかる従来法によって作製
される液体噴射記録ヘッドは、切削加工されるインク流
路内壁面の荒れが大きくて使用に耐えないものであった
り、エッチング率の不均一性によってインク流路に歪が
生じたりして、流路抵抗の一定なインク流路が得難く、
このため製作した液体噴射記録ヘッドの記録特性にバラ
ツキが生じやすいという問題があった。
【0004】また、切削加工の際に、基板の欠けや割れ
が生じ易く、製造歩留りが悪いという欠点もあった。
【0005】また、エッチング加工を行なう場合には、
必要な製造工程が多く、製造コストの上昇を招くという
不利もあった。
【0006】更には、上記従来法に共通する欠点とし
て、インク流路を形成した溝付き板と、記録液小滴を吐
出させる為の吐出エネルギーを発生する、圧電素子や電
気熱変換素子等の液体吐出エネルギー発生素子が設けら
れた蓋板とを貼り合わせる際に、これらの板の位置合わ
せが困難であり、量産性に欠けるといった問題もあっ
た。
【0007】また、液体噴射記録ヘッドは、通常その使
用環境下にあっては、記録液(一般には、水を主体と
し、多くの場合中性ではないインク液、あるいは有機溶
剤を主体とするインク液等)と常時接触している。それ
故、液体噴射記録ヘッドを構成するへッド構造材料は、
記録液が及ぼす悪影響によって強度低下を起こすことが
なく、また逆に記録液中に、記録液適性を低下させるよ
うな有害成分を与えることの無いものが望まれる。しか
し、上記従来法においては、加工方法等の制約もあっ
て、必ずしもこれらの目的にかなった材料を選択するこ
とができなかった。
【0008】これらの問題を解決する為、特開昭57ー
208255,57−208256に記載されているよ
うに、感光性樹脂材料を使用して液体吐出エネルギー発
生素子が形成された基板上にインク流路およびオリフィ
ス部からなるインク流路をパターン形成し、この上にガ
ラス板等の蓋を接合する方法が提案された。
【0009】しかし、これらの方法には以下に記載する
問題点を有している。 (1) 天板を接着する為の接着部材がインク流路にた
れ込んで、インク流路形状を変形させる。 (2) 吐出□を形成する為に該基板を切断する際に、
インク流路に切断屑が入り込み、インク吐出を不安定に
する。 (3) インク流路が形成された空洞部を有する基板を
切断する為、切断によって形成されるインク吐出□の一
部に欠けを生じる。
【0010】これら問題によって、液体噴射記録ヘッド
の製造の歩留りは低下すると共に、更に微細なインク流
路構造、長尺で多数のインク吐出□を有する液体噴射記
録ヘッドの製造を困難なものとしている。
【0011】これらの問題を回避する方法として、特開
昭61−154947に記載される発明が挙げられる。
該発明は、溶解可能な樹脂でインク流路のパターンを形
成し、該パターンをエポキシ樹脂等の感光性材料層で被
覆した後ガラス等の天井部材を貼り合わせ、次いで共通
液室部を光照射によって硬化後、現像し、基板を切断後
に溶解可能な樹脂パターンを溶出除去するものである。
被覆部材として使用されるエポキシ樹脂は共通液室部を
パターニングできる光硬化性樹脂であり、一般的にはエ
ポキシ樹脂と芳香族オニウム塩との混合系が使用されて
いる。
【0012】該共通液室のパターン露光に際しては、天
井部材上にフォトマスクを配設して露光する方法が最も
簡便であるが、該方法に於いては、マスク面と感光性材
料層との距離を短くすることが難しく、光の回折や散乱
によって液室パターンが不鮮明になる問題を有してい
る。
【0013】このような問題を回避する手段として特開
平3−207660に記載される発明に於いては、天井
部材が感光性材料層と接する面側に金属や遮光性樹脂で
マスクパターンを形成して液室のパターン露光をする手
段を提唱している。しかし該マスクパターンの形成は通
常のフォトマスクと同一の製造方法である、マスク材料
の成膜、レジスト塗布、乾燥、露光、マスク材料のエッ
チング、レジスト剥離等の繁雑な工程を経て製造するも
のであり、これはコストアップを招く。更には、液室の
パターン形成後に該マスク材料を剥離する工程も別途必
要となる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の諸点に
鑑み成されたものであって、安価、精密であり、また信
頼性も高い高解像度の液室パターンを簡便に形成するこ
とを主たる目的とする。
【0015】また、液室パターンを高精度でパターニン
グすることにより、インク流路長を精密に制御すること
が可能となり、高い吐出周波数の液体噴射記録ヘッドの
製造ができるとともに、液室パターン露光時の回折光の
影響を少なくすることが可能となり、半硬化した液室形
成部材が脱落してゴミとなりインク流路を塞ぐこともな
い製造方法を提供することを目的とする。
【0016】また、記録液との相互影響が少なく、機械
的強度や耐薬品性に優れた液体噴射記録ヘッドを供給し
得る新規な液体噴射記録ヘッドの製造方法を提供するこ
とも目的とする。
【0017】また、耐熱性の高い、溶出可能なレジスト
材料でインク流路パターンを形成することにより、被覆
樹脂層形成工程、被覆樹脂層熱硬化工程をより簡便に行
えるようにすることを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する為に
本発明は、液体吐出エネルギー発生素子が形成された基
板上に(1) 溶出可能な樹脂でインク流路となる箇所
にインク流路パターンを形成する工程、(2) 該パタ
ーン上にネガ型感光性材料層を形成する工程、(3)
ネガ型感光性材料層上に、天井部材の下面に共通液室の
マスキングパターンを形成した天井部材を貼り合わせる
工程、(4) 天井部材の上面から天井部材を透過して
ネガ型感光性材料層に光照射を施し、ネガ型感光性材料
層をパターン硬化し、次いで現像する工程、(5) イ
ンク流路となる箇所で切断する工程、(6) 溶出可能
な樹脂を溶出する工程、を順次行なう液体噴射記録ヘッ
ドの製造方法において、天井部材に形成するマスキング
パターンがノボラツク樹脂とナフトキノンジアジド化合
物とを少なくとも含有するポジ型感光性材料で形成され
てなることを特徴とする液体噴射記録ヘッドの製造方法
を提案するもので、天井部材に形成するマスキングパタ
ーンが、少なくともノボラック樹脂とナフトキノンジア
ジド誘導体及び酸性で発色するph指示染料を含有する
ものであること、天井部材に形成するマスキングパター
ンが、天井部材上に少なくともアルカリ溶解性樹脂と染
料とを含有する層と、少なくともアルカリ溶解性樹脂と
ナフトキノンジアジド誘導体とを含有する層とを順次積
層してなるものであること、ポジ型感光性材料が少なく
ともアルカリ溶解性樹脂とナフトキノンジアジドおよび
水溶性高分子化合物とを含むものであること、ポジ型感
光性材料がドライフィルム化されたものであることを含
む。
【0019】また本発明は前記の製造方法によって製造
した液体噴射記録ヘッドで、液体吐出エネルギー発生素
子が電気エネルギーを与えることによって発熱し、イン
クに状態変化を生ぜしめて吐出を行なわせるための電気
熱変換体であること、記録媒体の記録領域の全幅にわた
って吐出口が複数設けられているフルラインタイプのも
のであることを含む。
【0020】更に本発明は、記録媒体の被記録面に対向
してインクを吐出するインク吐出口が設けられている請
求項6に記載の記録ヘッドと、該記録ヘッドを載置する
ための部材とを少なくとも具備することを特徴とする記
録装置である。
【0021】
【作用】本発明はポジ型感光性樹脂によって天井部材の
下側(共通液室を形成するネガ型感光性材料層側)に共
通液室のマスキングパターンを形成することを特徴とし
ている。ノボラック樹脂とナフトキノンジアジド化合物
とから構成されるポジ型レジストは、一般的には高圧水
銀灯のg−線である436nmに感光波長を有する感光
性材料であり、該波長よりも短波長の紫外線に対して
は、ナフトキノンジアジドの高い吸光特性によって遮光
性を示す。また一般的なネガ型感光性材料は、最も多く
は高圧水銀灯のi−線(365nm)に感光ピークを有
するように設計されている。また近年高い機械的強度と
耐薬品性を示すエポキシ樹脂の光カチオン重合開始剤と
して使用される芳香族オニウム塩は250〜350nm
附近に感光波長域を有している。
【0022】本発明者は、該感光波長域の相違に着目
し、ポジ型フォトレジストのパターンがネガ型感光性材
料のパターン露光に際して遮光特性を有することを確認
し、本発明を完成するに至った。
【0023】前記したように、ポジ型フォトレジストの
感光材料である5ーナフトキノンジアジド誘導体は40
0nmよりも短波長の光に対して高い吸光特性を示すと
共に、一般的に知られるように436nmの高圧水銀灯
のg−線に対しても高い感度を有している。またカチオ
ン重合開始剤として使用されるSP−170(アデカ
社)の吸光特性は350nmよりも短波長側にある。こ
の為、ポジ型フォトレジストのパターンはカチオン重合
のパターン露光のマスク材料として使用することが可能
である。
【0024】以下、本発明の液体噴射記録ヘッドの製造
方法について、図面を参照しつつ概要を説明する。
【0025】図1から図10の夫々には、本発明の方法
に係わる液体噴射記録ヘッドの構成とその製造手順の一
例が示されている。尚、本例では、2つの吐出口を有す
る液体噴射記録ヘッドが示されているが、もちろんこれ
以上多数の吐出口を有する高密度マルチアレイ液体噴射
記録ヘッドの場合でも同様にして製造できることは、言
うまでもない。
【0026】まず、本態様においては、例えば図1に示
されるような、ガラス、セラミックス、プラスチックあ
るいは金属等からなる基板1が用いられる。尚、図1は
感光性材料層形成前の基板の模式的斜視図である。
【0027】このような基板1は、インク流路構成部材
の一部として機能し、また後述するネガ型感光性材料層
4の支持体として機能し得るものであれば、その形状、
材質等は特に限定されない。上記基板1上には、電気熱
変換素子あるいは圧電素子等の液体吐出エネルギー発生
素子2が所望の個数配置される(図1においては2個を
例示)。このような、液体吐出エネルギー発生素子2に
よって記録液小滴を吐出させるための吐出エネルギーが
インク液に与えられ、記録が行なわれる。
【0028】因に、例えば、上記液体吐出エネルギー発
生素子2として電気熱変換素子が用いられるときは、こ
の素子が近傍の記録液を加熱することにより、吐出エネ
ルギーを発生する。また、例えば、圧電素子が用いられ
るときは、この素子の機械的振動によって、吐出エネル
ギーが発生される。
【0029】尚、これらの素子2には、これら素子を動
作させるための制御信号入力用電極(図示せず)が接続
されている。また、一般にはこれら吐出エネルギー発生
素子の耐用性の向上を目的として、保護層等の各種機能
層が設けられるが、もちろん本発明に於いてもこの様な
機能層を設けることは一向に差しつかえない。
【0030】次いで図2に示すように、基板1上に溶解
可能な樹脂でインク流路パターン3を形成する。このよ
うなインク流路パターン3はスクリーン印刷等の手段を
用いて形成してもよいが、好ましくは感光性樹脂を使用
したフォトリソグラフィーによって行なうことが、精度
およびパターンプロファイルの制御性からみてより好ま
しい場合が多い。フォトリソグラフィーでインク流路パ
ターン3を形成する場合において、形成したインク流路
パターン3を溶解可能とする材料としては、アルカリ溶
解性樹脂とナフトキノンジアジド誘導体、アセタール等
の溶解禁止剤との混合物から形成されるポジ型フォトレ
ジストが最も好ましく、これらは汎用的にまた安価に入
手することができる。例えば東京応化工業(株)製PM
ER−900,PMER−1300、ヘキスト(株)製
AZ−4903,LP−10、ポジ型ドライフィルムO
ZATEC:R−255等を使用することが可能であ
る。また、後述するマスキング用レジストとして使用す
る、アルカリ溶解性樹脂とアジド化合物との混合系から
形成されるネガ型レジストも使用することが可能であ
る。これらネガ型レジストは形成したパターンからガス
の発生が少ないことから、後述するガス抜き工程が不要
となる為有利な場合がある。日立化成工業(株)製 R
U−1100N、王子製紙(株)製 王子感光液等を挙
げることができる。これらのレジストは半導体製造用レ
ジストである為、厚膜で使用する場合は濃縮操作を施し
てから使用することが好ましい。
【0031】また、フォトレジスト以外にも遠紫外線、
電子線およびX−線で露光するレジストを使用してもよ
い。これらレジストの使用は露光装置が高価であった
り、透過性の問題から複数回にわたる露光、現像操作が
必要となる場合があるが、極めて高い耐熱性を有したも
の、ガス発生がないもの、また電離放射線の付与によっ
てガス化して除去できるもの等があり、夫々に最適な材
料を用いて工程を実施することによって、簡便な液体噴
射記録ヘッドの製造工程を組むことが可能となる。この
様なレジストとしては、ポリメチルイソプロペニルケト
ン(東京応化工業社製 ODUR−1010,101
3)、ポリメチルメタクリレート(東京応化工業社製
OEBR−1000)等を挙げることができる。これら
レジストはポジ型遠紫外線あるいは電子線レジストとし
て使用されるものであり、極めて高い熱軟化温度、耐溶
剤性を有している。この為、後述するインク共通液室1
1を形成するネガ型感光性材料層4の被覆工程を速やか
に行なうことができる。また被覆時の両者の相溶を防止
することも可能である。
【0032】また、電離放射線によってガス化するポジ
型レジストも、後述する天井部材5の接合後の、このレ
ジストの除去が極めて簡便に行なえること等の利点を有
している。これらレジストとしては、二酸化イオウとオ
レフィンとの共重合体あるいはポリアルデヒド等を挙げ
ることができる。これらレジストとしてはポリー2−メ
チルペンテンー1−スルフォン、ポリーブテンー1−ス
ルフォン(MEAD社:PBS),ポリフタルアルデヒ
ド等が特に好ましい。これら電離放射線用レジストは、
インク流路パターン3を形成した後に、電離放射線を照
射して低分子化合物あるいはガス化することによって、
迅速に洗い出しあるいは除去できる利点を有している。
電離放射線としては遠紫外線やX−線を使用すること
が、簡便な装置で一括露光で除去できるので有利であ
る。
【0033】上記感光性材料を用いてインク流路パター
ン3を基板1上に形成するには、まず基板1上に上記感
光性材料による材料層(不図示)を形成する。該材料層
の形成の方法としては、該感光性材料を溶解した溶液
を、ソルベントコート法によって塗布しても良いし、ま
た該感光性材料を塗布したドライフィルムを作製し、ラ
ミネートによって基板上に形成しても良い。特に、液体
噴射記録ヘッドの製造に於いては、厚膜のパターニング
が必要であり、該材料層の形成に於いてはドライフィル
ムによるラミネートが有効な場合がある。
【0034】一般的には、スピンコート法は20〜30
μm程度の膜厚の皮膜形成には有効な手段であるが、3
0μmを越える厚膜の形成には困難を来す。即ち、感光
性材料溶液の固形分濃度を高めることが必要であるが、
このため粘度が高くなり、気泡を抱込んだり、また液の
広がりが悪くなる。またロールコート法やワイヤーバー
による塗布法に於いても、高粘度の感光性材料溶液の塗
布は、気泡の抱込みや、溶剤の蒸発により膜にピンホー
ルが発生する弊害を起こす。
【0035】ドライフィルムによるラミネートは、複数
回のラミネートによって、原理的には如何なる膜厚の材
料層の形成も可能である。この為、本発明による液体噴
射記録ヘッドの製造に於いては、上記ラミネートにより
如何なる厚膜の材料層をも形成でき、インク流路高さの
高い液体噴射記録ヘッドが製造できる。
【0036】インク流路のパターニングは通常のフォト
リソグラフィー技術によって行なうことが好ましい。材
料層の感光性材料に適した感光波長の光を一括露光ある
いはステップ&リピート方式、ビーム走査露光でインク
流路パターン3を像与露光し、夫々の感光性材料に適し
た現像液で現像することによって溶解可能なインク流路
パターン3を形成することができる。これらレジストパ
ターンはアッシング処理、脱泡処理を施しても構わな
い。脱泡処理とは、レジスト中のガス発生成分を除去す
る操作を表す。一般的ポジ型フォトレジストは感光剤と
してナフトキノンジアジド誘導体を使用しており、レジ
ストパターンからは、加熱や光照射によって感光剤が分
解して生成する窒素ガスが多量に発生して問題となる場
合がある。この為、次の工程であるネガ型感光性材料層
を形成する前に、予め材料層に光を照射せしめて感光剤
を分解し除去することによって工程の安定化を図ること
ができる。
【0037】次いで、前記方法により形成された溶解可
能なインク流路パターン3上に図3に示すようにインク
共通液室を形成するためのネガ型感光性材料層4を形成
する。
【0038】該材料層4の材料としてネガ型感光性材料
を使用する利点は、この材料が高い耐熱性と耐溶剤性、
安定性を有している為である。これら材料としては、エ
ポキシ樹脂、アクリル樹脂、DAP樹脂等を挙げること
ができる。
【0039】エポキシ系ネガ型感光性材料は、少なくと
もエポキシ樹脂と感光剤としてのオニウム塩とから構成
される。エポキシ樹脂としては、ビスフエノールA型、
F型エポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂
等何れのエポキシ樹脂を使用しても構わない。
【0040】オニウム塩としてはジフェニルヨードニウ
ムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニ
ウムヘキサフルオロボーレート等の芳香族ヨードニウム
塩、芳香族スルフォニウム塩(J.POLYMER S
CI:SymposiumNO. 56.383−3
(1976)参照)またこれらヨードニウム塩の溶解性
を高めたアルキル置換物であるジーTert−ブチルー
フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート等
も使用できる。また商品としてはアデカ社製:SP−1
50,SP−170,チバガイギー社製:イルガキュア
261等も使用することができる。
【0041】これらエポキシ系ネガ型感光性材料はイン
ク流路パターン3を形成する溶解可能な樹脂上に塗布さ
れる。塗布は該エポキシ樹脂が液体である場合に於いて
は、ディスペンサーやスクリーン印刷法等によって塗布
することができる。また固体状であれば、ソルベントコ
ート法やホットメルト法、射出成型法等の手段を用いて
行なうことができる。ソルベントコート法としては、パ
ターン3を溶解しない溶剤に溶解せしめて、スピンコー
トやバーコート等の手段で塗布することができる。例え
ば、インク流路パターン3を形成する材料としてポジ型
フォトレジストを使用した場合、該レジストはトルエン
やキシレン、クロルベンゼン等の芳香族あるいは塩素系
溶剤には溶解しない為、これら溶剤に溶解せしめてソル
ベントコートすることが望ましい。勿論インク流路パタ
ーンを形成する樹脂を溶解しない溶剤であれば、芳香族
や塩素系以外の何れの溶剤を使用しても構わない。
【0042】また、該ネガ型感光性樹脂層4を厚膜に形
成する場合に於いては、ホットメルトや射出成型法等の
溶剤を使用しない場合の方が乾燥に要する時間を短縮で
きること等の利点を有している。ホットメルトは樹脂混
合物を50〜150℃の温度で溶融せしめて塗布する手
段であり、安価で簡便にネガ型感光性材料層を形成でき
る。勿論インク流路パターン3を形成するレジスト等の
材料層の耐熱性が低くホットメルトや射出成型等の手段
でネガ型感光性材料層4を形成する場合にパターン3の
変形を招いたり、また段差を有するパターン3上にホッ
トメルト等を行なう時に気泡を含有してしまう場合に於
いては、スピンコート法等の手段を用いて予め薄く被覆
樹脂を被覆した後にホットメルトコートを実施すればこ
れら問題を回避できる。共通液室パターンを形成するネ
ガ型感光性材料層4の感光性材料としては、エポキシ樹
脂の他にアクリルやジアリルフタレート樹脂等を使用す
ることも可能である。
【0043】アクリル系のネガ型感光性材料は分子構造
中に不飽和二重結合を有するアクリル系モノマーおよび
ポリマーと、ラジカル重合開始剤とから構成される。
【0044】アクリル樹脂としてはトリメチロールプロ
パントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトール
ジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート等の多価アルコールとアクリル酸やメ
タクリル酸との反応によって合成されるモノマーの他、
ウレタンアクリレートや多価カルボン酸とヒドロキシエ
チル(メタ)アクリレート等との反応によって合成され
るモノマー等が好ましい。またこれらモノマーの他にポ
リメチルメタクリレートやポリアクリレート、更には側
鎖に反応性基を付与したこれらアクリル高分子化合物を
使用しても構わない。
【0045】これらアクリル系感光性材料は各社より極
めて多くの製品が市販されており全てを列挙することは
困難であるが、本発明では何れの材料をも使用すること
が可能である。これらアクリル系ネガ型感光性材料は前
記したエポキシ系感光性材料と同一の手段によって塗布
することが可能である。またこれらアクリル系ネガ型感
光性材料は、一般的には酸素の反応疎外を受ける為、露
光時には窒素置換を施したり、フィルムをラミネートし
たり、真空中での露光等の手段を講じる必要がある。
【0046】また上記アクリル系感光性材料に用いる感
光剤としては、ベンゾフェノンやミヒラーズケトン、2
−クロロチオキサントン等の汎用的ラジカル重合開始剤
を使用することが可能であり、またこれら開始剤と併用
してジエチルアミノベンゾエート等のアミンを添加して
も構わない。
【0047】またジアジドフタレート樹脂としては、オ
ルソおよびイソの何れを使用しても構わない。これら樹
脂にはアジド化合物あるいは前記したラジカル化合物を
添加することによってネガ型感光特性を付与することが
できる。アジド化合物としては4、4’ージアジドカル
コンや4、4’ージアジドベンゾフェノン、2、6−ジ
(4’−アジドベンザル)シクロヘキサノン等のビスア
ジド化合物が好ましい。またジクミルパーオキサイドや
べンジルパーオキサイド等の過酸化物を添加せしめて架
僑密度を高める処方としても構わない。
【0048】更に、シランカップリング剤(例えばニホ
ンユニカー社製 A−187)、可とう性付与の為のエ
ポキシ希釈剤、シリカ等の充填剤等を添加しても構わな
い。
【0049】以上記載したネガ型感光性材料は主剤の樹
脂に対して感光剤を0.1〜10wt%,シランカップ
リング剤を1〜10wt%,シリカ等の充填剤を1〜5
0wt%等を添加することが好ましい。またこれら感光
性材料は好ましくはトルエン、キシレンおよびクロルベ
ンゼン、ジクロルベンゼン等の芳香族化合物、あるいは
溶解可能なインク流路パターン3を変形せしめなければ
ケトンやエステル、エーテルおよびアルコール等の溶剤
に5〜70wt%の濃度で溶解してソルベントコートを
行なうことが可能である。また前記したようにネガ型感
光性材料層4を厚膜で形成する場合は、これら材料を5
0〜150℃の温度に加熱してホットメルトコートして
も良い。勿論ネガ型感光性材料が熱重合しない温度で最
適条件を選択することが好ましい。特に分子構造中に不
飽和二重結合を有する化合物を有するアクリル系、ジア
リルフタレート系材料は120℃以下の温度でホットメ
ルトコートを実施することが好ましい。
【0050】次に、前記方法により形成されたネガ型感
光性材料層4に対して、図4に示すように天井部材5を
貼り合わせる。貼り合わせは、共通インク液室を形成す
るネガ型感光性材料をそのまま接着剤として使用するた
め、接着部材を別途設ける必要はない。貼り合わせに際
しては、該接着面に気泡を抱込むことを避ける手段を講
じる必要がある。該手段としては、真空中で貼り合わせ
を行なったり、あるいは該ネガ型感光性材料の粘度を低
滅せしめたり、更にはネガ型感光性材料を接着面のみに
選択的に塗布する等の手段を挙げることができる。また
常温で固体状の感光性材料を使用する場合は、加熱して
樹脂に粘着性を発現せしめる等の必要がある。
【0051】図4に示す天井部材5にはインク供給孔7
が部材5を貫通して形成されており、その下面の供給孔
7の周縁部には、インク共通液室を形成するためののマ
スクパターン6が設けられている。該天井部材として
は、紫外線を透過するものであり、インク液で侵され
ず、またインク液に不純物を溶出する材質の物でなけれ
ば何れの材料も使用できる。最も一般的にはホウケイ酸
ガラスが好ましいが、ケイ酸ガラス、感光性ガラス、ア
クリル、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、エ
ポキシ注型板等も使用することができる。
【0052】該天井部材5に対して、ネガ型感光性材料
を塗布、乾燥して感光性皮膜を形成する。塗布はロール
コーターやディップコート更には該材料で形成したドラ
イフィルムを用いてラミネーシヨンによって行なっても
よい。塗布膜厚は、インク共通液室を形成するネガ型感
光性材料層4の感光特性によって異なるが、1〜20μ
m程度が好ましい。乾燥、プリベークは70〜120℃
の温度で行なう。乾燥温度が70℃に満たないと溶剤の
除去が十分に行なわれない。また120℃を越えると、
熱反応によってアルカリ溶解性樹脂の水酸基がキノン構
造に変化してしまってパターニング特性が劣化してしま
う。
【0053】本発明においてマスキングパターン6を形
成するために用いるマスキング用ポジ型感光性材料は、
前記したように、少なくともアルカリ溶解性樹脂とナフ
トキノンジアジド誘導体とから構成される。
【0054】アルカリ溶解性樹脂としては、フェノール
性水酸基を有する高分子化合物、アクリル酸やメタクリ
ル酸を共重合したビニル系高分子化合物を挙げることが
できる。フェノール性水酸基を有する高分子化合物とし
ては、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラッ
ク樹脂、ビニルフェノール樹脂を挙げることができる。
勿論これら高分子化合物は樹脂の耐熱性やアルカリ溶解
性を制御する為に、所望の組成にてフェノールやクレゾ
ールの異性体(オルソ、メタ、パラ)を共重合した物で
あっても構わないし、分別操作を施して分子量分布を均
一化したものであっても構わない。ビニルフェノール樹
脂に於いても、オルソ、メタ、パラの異性体を夫々単一
で重合したもの、あるいは所望の組成で共重合したもの
であっても構わない。更にビニルフエノールとアクリル
等の不飽和二重結合を有する高分子化合物を共重合した
物であっても構わない。
【0055】工業的に汎用製品として入手可能な前記材
料としては、オルソクレゾールノボラック樹脂、メタク
レゾールノボラック樹脂、オルソーメタクレゾールノボ
ラック樹脂、ポリーオルソビニルフェノール樹脂、ポリ
ーパラビニルフェノール樹脂、ビニルフェノールとメチ
ルメタクリレート共重合体、ビニルフェノールとブチル
メタクリレート共重合体等を挙げることができる。
【0056】またアクリル酸やメタクリル酸を共重合し
た樹脂としては、該モノマーとメチル(メタ)アクリレ
ート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)
アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等の(メ
タ)アクリル酸アルキルエステルやスチレン、α−メチ
ルスチレン等を挙げることができる。
【0057】ナフトキノンジアジド誘導体としては、芳
香族系水酸基を有する化合物と1、2−ナフトキノンジ
アジドー5−スルフォン酸ナトリウムとを反応せしめた
誘導体の何れも使用できる。例えば、クレゾールと反応
せしめたシンコー技研社製D−021,ビスフェノール
Aと反応せしめたD−022A,P−クレゾールノボラ
ック樹脂と反応せしめたD−023、ビスフェノールS
と反応せしめたD−022,m−クレゾールノボラック
樹脂と反応せしめたD−23M、ビスピロガロールと反
応せしめたD−025,ピロガロールーアセトン樹脂と
反応せしめたD−026,トリヒドロキシベンゾフェノ
ンと反応せしめたD−029等を挙げることができる。
【0058】また1,2−ナフトキノンジアジドー4−
スルフォン酸ナトリウムと前記したフェノール性水酸基
を有する芳香族化合物との反応生成物に於いては、感光
波長域が短波長側にシフトする為、マスキング特性は低
下する傾向があるものの使用することは可能である。
【0059】また、該レジストに酸発色型ph指示染料
を添加することにより、更に遮光特性を高めることがで
きる。即ち、前記ポジ型フォトレジストは光の照射とと
もにナフトキノンジアジドが分解しブリーチングする。
この為350nmよりも短波長の光に対しても遮光性が
低下してしまう。インク共通液室を形成するネガ型感光
性材料の感度が高い場合には、該遮光性の低下は問題が
ないものの、低感度である場合には十分なマスキング特
性を実現できない場合が起こる。このような場合に於い
ては、酸発色型ph指示染料を添加することによって該
問題を解決できる。即ち、ナフトキノンジアジド誘導体
は光照射によって分解し、インデンカルボン酸に変化す
る為、酸発色型ph指示染料を発色させることができ
る。このため、共通液室をパターン露光する際に、フォ
トブリーチングによって感光剤のマスキング性が低下し
た場合でも酸発色染料の発色によって遮光性を高めるこ
とが可能である。
【0060】酸発色型ph指示染料としては、メチルイ
エロー、メチルレッド、メチルオレンジ、メタクレゾー
ルパープル、ブロモチモールブルー、ブロモフエノール
ブルー、ブロモクレゾールパープル、ブロモクレゾール
グリーン、フェノールレツド、ニュートラルレッド、m
−ニトロフェノール、α−ナフトールフタレイン、トロ
ペリン00、トロペリン0、チモールフタレイン等を挙
げることができる。
【0061】これらアルカリ溶解性樹脂とアジド化合物
は汎用的な有機溶剤に溶解して使用することが望まし
い。溶剤としては、2−ブタノン、メチルイソブチルケ
トン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、酢酸エチ
ル、酢酸ブチル、2−エトキシエチルアセテート、メチ
ルセロソルブ、エチルセルソルブ等のエステル系溶剤、
イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ジアセト
ンアルコール等の溶剤に所望の濃度で溶解して使用する
ことが好ましい。
【0062】該マスキングパターン用ポジ型感光性材料
は、通常は汎用的な有機溶剤であるケトンやエステル、
アルコール等に溶解せしめてスピンコート法やロールコ
ート法等の手段によって天井部材5上に塗布、乾燥する
ことによって皮膜を形成することができる。またインク
供給孔等の貫通孔を有する天井部材に塗布する場合に於
いては、前記したロールコート法等の手段が適当であ
る。更には該感光性材料に水溶性高分子化合物を添加せ
しめ、感光性材料の皮膜性を高めることによって、ロー
ルコート法に於いては皮膜の均一性を向上することが可
能である。また該高分子化合物の皮膜性を高めることに
よって該感光性材料をドライフィルム化することができ
る。即ち、感光性組成物の溶液をポリエチレンテレフタ
レート等のフィルムに一旦塗布し、乾燥した後に天井部
材上に転写せしめれば、更に均一な皮膜を形成すること
ができる。
【0063】水溶性高分子化合物としては、アルカリ性
現像液に溶解し、前記した材料との相溶性が良好なもの
であれば何れの材料も使用できる。最も好ましくはメチ
ルビニルエーテル、カルボキシメチルセルロース、無水
マレイン酸や(メチル)アクリル酸と不飽和二重結合を
有するモノマーの共重合体を挙げることができる。これ
ら樹脂の添加量は1〜20wt%が好ましい。1wt%
に満たない場合は樹脂の添加効果が現れず、また20w
t%を越えて添加すると現像時の露光部の膜減りが大き
くなり良好なパターン形成ができなくなる。最も良好な
高分子化合物としてはメチルビニルエーテルを挙げるこ
とができる。該樹脂はポジ型感光性材料との相溶性が高
く、また該樹脂の皮膜性を格段に向上することが可能で
ある。このような高分子化合物を0.5〜5wt%添加
することによってロールコーター等の塗布による皮膜性
を高めることができ、例えばインク供給孔が形成された
天井部材等の塗布に於いても、供給孔周辺の感光性材料
層の盛り上がりやダレを防止することが可能となる。ま
た5〜20wt%添加によってドライフィルム化が可能
となる。ドライフィルム化することによって、貫通孔が
形成された天板上ヘのコーティングが更に安定に行え
る。
【0064】これら高分子化合物を添加した場合、該感
光性材料はドライフィルム化することが可能である。ド
ライフィルムの基材としては、ポリエチレンテレフタレ
ート(PET)や、アラミド、カプトン等汎用的ドライ
フィルム用基材を使用できる。また該フィルムにシリコ
ン等の離型処理を施しておいても構わない。
【0065】また該マスキングパターン用感光性材料の
マスキング特性を更に向上せしめる手段として、該パタ
ーンを染色して使用することも有効である。該感光性材
料の主成分はフェノール性芳香環を有するアルカリ溶解
性樹脂を使用している為、アゾカップリングで容易に染
色することが可能である。ジアゾニウム塩は一般的なジ
アゾ化反応で形成し、該水溶液に前記マスキングパター
ンを形成した天井部材を浸漬することによってパターン
の染色を行うことができる。ジアゾ化反応は、ガンマ酸
等の芳香族アミンの水溶液に塩酸と亜硝酸ナトリウムを
添加し5℃以下の温度で攪拌することによって容易の行
うことができる。
【0066】また最もマスキング性を高める方法とし
て、ポジ型感光材料層の下層に遮光層を更に形成する2
層化手段を挙げることができる。天井部材と直接接して
いる遮光層はアルカリ溶解性樹脂と遮光性染料との混合
系から構成され、この上層にポジ型感光材料層をパター
ン形成した後、該パターンをマスクとして下層の遮光層
をエッチングすることによってマスキングパターンを形
成するものである。
【0067】遮光層としては、アルカリ溶解性樹脂に遮
光性染料を混合した系を挙げることができる。該遮光層
はアルカリ溶液によってエツチングできる為、ポジ型感
光材料層の現像工程と遮光層のエッチングエ程を同一の
工程で行なうことが可能である。アルカリ溶解性樹脂と
しては前記した樹脂の何れも使用でき、また遮光性染料
としては該樹脂との相溶性が良好で、また該樹脂の塗布
溶剤に溶解するものであれば何れの材料も使用すること
が可能である。この2層構成マスキングパターンの最も
重要なポイントは、同一の溶解特性の樹脂層を安定して
塗布することにある。即ち、上層のポジ型感光材料層の
コーティング時に該層の塗布溶剤が下層の遮光層を溶解
してしまう問題が発生する。最も好ましくは上層の形成
をラミネーシヨンで行なうことであるが、工程上ソルベ
ントコートを使用する場合に於いては、ロールコート法
で行なうことによっても安定した2層皮膜の形成が可能
である。
【0068】また遮光層を形成する樹脂として水溶性樹
脂や芳香族系溶剤溶解性樹脂を用いることによって2層
のソルベントコートのプロセス安定性を更に高めること
が可能である。即ち下層の遮光層のバインダーとして水
溶性樹脂を使用すれば、上層の塗布溶剤には殆ど溶解し
ない為安定した2層構成を実現できる。水溶性樹脂とし
ては、ポジ型感光性材料に混合するバインダーとして記
載した樹脂の何れも使用できる。更にはポリビニルアル
コールやポリビニルピロリドン等も使用することが可能
である。
【0069】また芳香族溶解性樹脂をバインダーに使用
し、上層のポジ型感光性材料層のコーティング溶剤とし
てアルコール系溶剤を使用することによっても2層の塗
布を安定して行なうことが可能である。このような樹脂
としてはポリスチレンやアクリル樹脂、エポキシ樹脂を
挙げることができる。また該手段に於いて上層の感光材
料層の塗布溶剤としては、イソプロピルアルコール、ブ
チルアルコール、ヘキシルアルコール、ジアセトンアル
コール、ベンジルアルコール等を使用することが好まし
い。
【0070】以上記載したマスキングパターンの除去方
法としては、インク流路パターンを除去する工程で一括
して除去することが可能である。また樹脂によってはイ
ンク共通液室の現像時に除去できるものもある。何れに
してもこれらマスキングパターンの除去は特別の工程を
設けなくても前記した工程の何れかによって除去するこ
とが可能である。
【0071】上記マスキングパターン6を構成するポジ
型感光性材料中のアルカリ溶解性樹脂とナフトキノンジ
アジド誘導体との配合比は重量基準で1.0〜40、好
ましくは5.0〜30である。
【0072】次いで図5に示すように、天井部材5を透
過して上方から紫外線を照射せしめてインク共通液室の
パターン露光を行なう。該露光に於いては、インク供給
孔7下方のネガ型感光性材料層4の材料部分4aを硬化
せしめないように該部所を遮光するクロムパターン9を
有するフォトマスク8を天井部材5の上に別途配設して
いる。本発明に於いては、天井部材5の下面に設けたマ
スキングパターン6がネガ型感光性材料層4の上面と直
接接触しているので、露光によるインク共通液室パター
ンの形成が細かに、また高精度で行なうことができる。
即ち、天井部材5上面にマスクを配設する場合には、天
井部材5による屈折、色収差、光の散乱や回折等によっ
てパターンボケが発生し、パターンプロファイルが良好
でなくなったり、精度が悪くなったり、更にはボケ光で
半硬化したネガ型感光性材料がゴミとなってインク流路
を詰らせる等の問題が発生するが、本発明においてはマ
スキングパターン6を天井部材5の下面に形成している
ので、このような問題は生じないものである。
【0073】露光はフォトマスク8を介した一括露光や
ステップ&リピ−ト露光の何れを使用しても構わない。
一括露光は平行光でマスクパターンを転写する方式(装
置としてはキヤノン製PLA等を使用するもの)や、マ
スクパターンを光学系で感光性材料層面に集光する投影
露光(装置としてはキヤノン製MPA等を使用するも
の)等を挙げることができる。
【0074】次いで、図6に示すようにネガ型感光性材
料層4の現像を行ない、材料部分4aを溶解除去する。
この現像は、ディップ現像の他、スプレーやパドル等何
れの手段を用いても構わない。現像液はネガ型感光性材
料を溶解せしめ、且つインク流路を形成するために形成
したインク流路パターン3を溶解しない溶剤であれば何
れの溶剤を使用してもよい。現像後にスカムや残渣の発
生がある場合に於いては、酸素プラズマ等のアッシング
処理を施してもよい。また特にエポキシ系感光性材料等
の様に熱の付与が、該材料層4と基板1あるいは天井部
材5との接着性の向上に効果のある場合に於いては、現
像操作の前あるいは後工程に於いて随時熱処理を施して
もよい。
【0075】次いで図7に示すように、基板1をインク
流路パターン3と直行する面で切断する。切断はダイシ
ングソー12等の機械的手法によっても行なえるし、ま
たYAG、エキシマー、CO2レーザー等の光加工に依
っても行なえる。また、切断後に切断面を研削、研磨
し、インク吐出口とインク吐出エネルギー発生素子間の
距離精度を向上しても構わない。この工程においては、
後で形成するインク流路には溶解可能な樹脂であるイン
ク流路パターン3が詰っている為、切断屑、研磨剤等が
インク流路に入り込むことがない。またインク流路とな
る箇所には、インク流路パターン3が存在している為、
切断時に基板等にカケが生じる等の問題も生じることが
なく、良好な形状のインク吐出口が形成できる。
【0076】最後に図8に示すように、インク流路パタ
ーン3を溶解し、インク流路50を形成する。現像に用
いる溶剤は、インク流路パターン3を溶解するものであ
れば、何れの溶剤でも構わない。また超音波等を併用し
て溶出に要する時間を速めることもできる。
【0077】本発明においてマスキングパターン6を形
成するポジ型感光性材料は、前記したようにアルカリ水
溶液やアルコール、ケトン、エステル等の汎用的溶剤に
溶解する為、インク流路パターン3としてアルカリ溶解
性樹脂とナフトキノンジアジド誘導体との混合系から構
成される汎用的なポジ型フォトレジストを使用した場合
に於いては、マスキングパターン6と一括して溶解除去
することが可能である。
【0078】溶解可能なインク流路パターン3を形成す
る樹脂として電離放射線分解型ポジ型レジストを用いた
場合に於いては、溶出前の何れかの工程に於いて電離放
射線を付与しレジストを低分子化しておくことにより、
溶出を極めて迅速に行なうことができる。該電離放射線
の照射は天井部材5の材質、厚さ、レジストの分解波長
等によっても異なるので、いずれの工程後に行なうかは
夫々場合に応じて選定することが好ましいが、インク共
通液室パターン11を形成した後であり、天板部材5を
接合する前に行なう、あるいは切断工程を完了した後に
行なう、の何れかが好ましい。
【0079】また溶解可能なインク流路パターン3を、
電離放射線の付与によってガス化せしめて除去する場合
に於いては、切断工程後に該操作を行なうことが好まし
い。これら電離放射線分解型ポジ型レジストを用いる場
合には、前記マスキングパターン6を形成するレジスト
は、アルカリ水溶液やアルコールで事前に溶解除去して
おくことが好ましい。
【0080】電離放射線としては、一括露光が行なえる
遠紫外線、あるいはX−線、SOR光等を使用すること
が可能である。特にX−線やSOR光は透過性に優れて
いる為、効率よくレジストを分解あるいはガス化でき
る。
【0081】最後に図9に示すように、インク供給の為
の各部材の実装および電気実装等を施して本発明の液体
噴射記録ヘッドを完成する。なお、図中、13はインク
吐出口、14はインク供給部材、15は駆動用IC、1
6はベースプレートである。
【0082】図10は本発明製造方法によって得られた
液体噴射記録ヘッドをインクジェットカートリッジ(I
JC)として装着したインクジェット記録装置(IJR
A)の一例を示す外観斜視図である。
【0083】図10において、20はプラテン24上に
送紙されてきた記録紙の記録面に対向してインク吐出を
行うノズル群を備えたインクジェットカートリッジ(I
JC)である。31はIJC20を保持するキャリッジ
HCであり、駆動モーター17の駆動力を伝達する駆動
ベルト18の一部と連結し、互いに平行に配設された2
本のガイドシャフト19Aおよび19Bと摺動可能とす
ることによりIJC20の記録紙の全幅にわたる往復移
動が可能となる。
【0084】26はへッド回復装置であり、IJC20
の移動経路の一端、例えばホームポジションと対向する
位置に配設される。伝動構構23を介したモーター22
の駆動力によって、ヘッド回復装置26を動作せしめ、
IJC20のキャッピングを行う。このへッド回復装置
26のキャップ部26AによるIJC20ヘのキャッピ
ングに関連させて、ヘッド回復装置26内に設けた適宜
の吸引手段によるインクの吸引、もしくはIJC20ヘ
のインク供給経路に設けた適宜の加圧手段によるインク
圧送を行い、インクを吐出口より強制的に排出させるこ
とによりノズル内の増粘インクを除去する等の吐出回復
処理を行う。また、記録終了時等にキャッピングを施す
ことによりIJC20が保護される。
【0085】30はへッド回復装置26の側面に配設さ
れ、シリコンゴムで形成されるワイピング部材としての
ブレードである。ブレード30はブレード保持部材30
Aにカンチレバー形態で保持され、ヘッド回復装置26
と同様、モーター22および伝動機構23によって動作
し、IJC20の吐出面との係合が可能となる。これに
より、IJC20の記録動作に於ける適切なタイミング
で、あるいはへッド回復装置26を用いた吐出回復処理
後に、ブレード30をIJC20の移動経路中に突出さ
せ、IJC20の移動動作に伴ってIJC20の吐出面
に於ける結露、濡れ、あるいは塵等をふきとるものであ
る。
【0086】以下に実施例を示し、本発明を更に詳細に
説明するが、勿論本発明は下記実施例に限定されるもの
ではない。
【0087】
【実施例】
実施例1 図1から図9に示した操作手順に準じて、図9に示す構
成の液体噴射記録ヘッドを作製した。
【0088】まず、液体吐出エネルギー発生素子として
の電気熱変換素子(材質HfB2からなるヒーター)を
形成したシリコン基板上に、ポジ型フォトレジストAZ
−4903(ヘキスト社)を塗布し90℃で30分間窒
素中でべ−キングを行なった。該レジストの膜厚は30
μmであった。次いで該基板をキヤノン製ミラープロジ
ェクシヨンアライナー:MPA−600FAに装着して
インク流路パターンをパターン露光した。インク流路パ
ターンはインク流路となるところのレジストが残存する
ように行ない、露光は1600mJ/cm2の露光量を
施した。次いでへキスト社アルカリ現像液MIF−31
2を脱イオン水で2倍に希釈した現像液を用いて現像を
行なった。現像はデイップで行ない、10分間で現像が
完了した。
【0089】次いで70℃で3時間ベーキングを行なっ
た後、キヤノン製マスクアライナー:PLA−501を
使用して1000mJ/cm2の紫外線照射を行ない、
真空中で30分間処理し、再度2000mJ/cm2
紫外線照射を行ない、真空中で30分間処理し、最後に
10J/cm2の紫外線照射を行ない10時間真空処理
を行なってレジストパターン中のナフトキノンジアジド
を分解して脱泡処理を完了した。
【0090】次いでインク共通液室を形成するネガ型感
光性材料として、油化シェルエポキシ(株)製 ビスフ
エノール型エポキシ樹脂 エピコート828を100
部、日本ユニカー社製 シランカップリング剤A−18
7を5部、アデカ社製オニウム塩SP−170を1.5
部混合した物を、ディスペンサーで該レジストパターン
上に塗布した。インク流路パターンに存在する気泡を除
去する為、該基板を真空中に1時間放置せしめた。
【0091】天井部材は以下の工程で別途作製した。厚
さ1mmのパイレックスガラスに超音波加工でインク供
給孔を形成した。日本電子工業(株)製 超音波化工機
(出力1500W)を用いて、グリーンシリコンカーバ
イド#250の砥粒で加工を行なった。ガラスを洗浄
後、アルカリ溶解性樹脂とナフトキノンジアジド誘導体
とから構成されるポジ型フォトレジストAZ−4903
(ヘキスト社)をロールコーターでガラス板上に塗布し
た。該ガラス板を90℃で30分間ベーキングした。皮
膜の膜厚は20μmであった。
【0092】次いで、キヤノン製マスクアライナー P
LA−501で、ガラス板上に形成したポジ型フォトレ
ジスト皮膜と共通液室パターンを形成したフォトマスク
を重ねてパターン露光を行なった。露光量は90カウン
トで行なった。へキスト社アルカリ現像液MIF−31
2を脱イオン水で2倍に希釈した現像液に5分間浸漬す
ることによって現像を行なって、マスキングパターンを
形成した。
【0093】共通液室を形成するネガ型感光性材料を塗
布した基板と、前記ガラス製天井部材とを、ネガ型感光
性材料面とマスキングパターン面とを合わせた状態で、
真空中で気泡を取込まないように貼り合わせ、次いで大
気中に取り出して、基板と天井部材とをアライメントし
てそのまま基板の周囲4点、φ5mmの径で紫外線(光
源:キヤノン製 マスクアライナー PLA−501)
を照射せしめて基板と天井部材を接着した。紫外線の照
射量は8J/cm2にて行なった。そのまま、インク供
給孔の遮光を行なう為のフォトマスクを天井部材上に配
設せしめ、キヤノン製マスクアライナーPLA−501
で6J/cm2の紫外線露光を行なって共通液室のパタ
ーン露光を行なった。次いで45℃で30分間ベーキン
グを行なって反応を進行せしめた。
【0094】次いでトリクロルエタンに浸漬して超音波
を照射しつつ現像を行なった。トリクロルエタンで2回
リンスを行なった後、基板を130℃で1時間加熱せし
めて接着性を更に向上させた。
【0095】基板を東京精密(株)製 マイクロフォー
ミングマシンFM−20を用いて切断を行なった。切断
は吐出口に於いては#600のメタルブレードでガラス
に0.8mmの溝入れを行なった後、#2000のレジ
ンブレードで吐出口の切断を行なった。吐出口の部分以
外の切断は#400のレジンブレードで行ない、基板を
分離した。次いで、エチルアルコールで、超音波を照射
しつつ、5分間をかけてレジストAZ−4903で形成
されたインク流路パターンおよびマスキングパターンを
溶出し、エチルアルコールでリンスを1回行なった後、
十分に水洗を行なった。
【0096】最後に図9に示すようにフィルター、イン
ク供給部材の装着、および電気実装を施して液体噴射記
録ヘッドを完成した。
【0097】このようにして、作製した液体噴射記録ヘ
ッドを図10に示す構成からなる記録装置に装着し、純
水/グリセリン/ダイレクトブラック154(水溶性黒
色染料)=65/30/5(重量比)から成るインクを
用いて記録を行なったところ、安定な印字ができた。
【0098】実施例2 本実施例は実施例1で使用したポジ型フォトレジストに
酸発色性ph指示色素を添加することによってマスキン
グ特性を向上せしめた例を示す。マスキング特性を向上
することによって薄膜に於いても十分な遮光性を有する
マスキングパターンの形成が可能となり、塗布膜の均一
性とパターンプロファイルの向上を図ることができる。
【0099】実施例1と同様に基板上にAZ−4903
から成るインク流路パターンを形成し、脱泡処理を行な
った。次いでインク共通液室を形成するネガ型感光性材
料を塗布し、真空中で脱泡処理を施した。また天井部材
は実施例1と同様にしてインク供給孔を設けた。次いで
へキスト社製ポジ型フォトレジストAZ−4903にメ
チルイエロー(キシダ化学:試薬)を5wt%添加した
ものをロールコート法で塗布した。90℃で30分間ベ
ーキングを行なった。該皮膜の膜厚は10μmであっ
た。実施例1と同様にインク共通液室のマスクパターン
の露光を行ない、更に現像を行なった。このようにして
作成したマスキングパターンに90カウントの全面露光
を行なったところパターンは黄赤色と変色した。
【0100】次いで、基板とマスキングパターンを形成
した天井部材を真空中で貼り合わせ、実施例1と同様に
してアライメントした後、仮止めを行なった。実施例1
と同様にしてインク共通液室のパターン露光と現像を行
なった後、基板を切断せしめ、インク流路パターンを形
成するポジ型フォトレジストおよびマスキングパターン
をエチルアルコールで溶解せしめた。
【0101】最後にインク供給の為の部材を配設した
後、印字装置に該液体噴射記録ヘッドを装着して印字を
行なったところ良好な印字ができた。
【0102】実施例3 本実施例は実施例1で使用したエポキシ系感光性材料の
感光波長が300nm附近にある為、Deep−UV露
光でインク共通液室のパターン露光を行なった例を記載
する。本発明におけるマスキングパターンはフェノール
性芳香環を有している為、特に300nm以下の波長の
光の透過性が低く、該波長で露光を行なうことにより、
該パターンのマスキング特性は更に有効に利用すること
ができる。
【0103】またインク流路を形成する溶解可能なレジ
ストパターンとしては、Deep−UV用ポジ型レジス
トである東京応化工業社製:0DUR−1010を使用
し、被覆樹脂層塗布時の耐溶剤性、耐熱性を高め工程マ
ージンの拡大を図るとともに、ポジ型フォトレジストに
必要な脱泡工程の排除を実施した例である。
【0104】東京応化工業社製 ポジ型Deep−UV
レジスト:0DUR・1010を膜厚25μmのポリエ
チレンテレフタレートフィルムにバーコーターで塗布し
た。該皮膜を90℃で20分間ベークして乾燥を行っ
た。該皮膜の膜厚は15μmであった。該フィルムを電
気熱変換素子を形成した基板に120℃で2回ラミネー
トし、膜厚30μmに感光性皮膜を形成した。次いで1
20℃で30分間ベークを行なった。該基板をキヤノン
(株)製 マスクアライナー:PLA−520に導入し
てインク流路パターンを形成した。コールドミラーはC
M−290を使用し、露光は140カウント、現像はメ
チルイソブチルケトン:キシレン=4:1混合液(容量
比)でディップで行なった。1回の露光、現像操作では
パターン形成できなかった為、該露光、現像操作を2回
繰返して膜厚30μmのレジスト皮膜に前記したインク
流路パターンを形成した。該パターンの溶解除去性を高
める為、再度PLA−520で200カウントの全面露
光を行った。
【0105】次いで、ネガ型感光性材料として油化シエ
ルエポキシ社製:エピコート1001を100部、シラ
ンカップリング剤として日本ユニカー社製:A−187
を5部、光重合開始剤としてアデカ社製:SP−170
を1.5部を混合したものをホットメルトコーター(ノ
ードソン社製で160℃の温度で200μm膜厚でコー
ティングした。
【0106】実施例1と同様にして作製した天板と前記
基板を100℃で圧着、次いで天板のインク供給孔部を
マスクするフォトマスクを密着し、PLA−520で5
0カウントの露光を行なってインク流路を形成するエポ
キシ系感光剤の露光を行った。
【0107】実施例1と同様にして基板を切断し、次い
でメチルイソブチルケトンで超音波を照射しつつ0DU
Rを洗い出した。2回のリンスをメチルイソブチルケト
ンで行なった後、200℃で4時間の加熱を行なって硬
化を完全なものとした。実施例1と同様にインクを充填
して記録を行なったところ、良好な印字ができた。
【0108】実施例4 本実施例はマスキングパターンに使用するポジ型フォト
レジストをドライフィルム化し、ラミネーションによっ
てインク供給孔を形成した天板に皮膜形成する方法の実
施例を記載する。実施例1と同様にしてインク流路パタ
ーンを形成するためにポジ型フォトレジストのパターニ
ングおよびインク共通液室を形成するエポキシ系ネガ型
感光性材料層の形成を行なった。
【0109】ヘキスト社ポジ型フォトレジストAZ−4
903およびポリメチルビニルエーテル(BASF社:
ルトナールM40)を40wt%の濃度でシクロヘキサ
ノンに溶解したそれぞれの溶液を7:3の混合比で混合
し、該樹脂溶液を膜厚25μmのアラミドフィルム(東
レ社製)上にワイヤーバーで塗布した。90℃で30分
間ベーキングを行ない、皮膜を得た。該皮膜の膜厚は2
0μmであった。実施例1と同様に作製した天板上に前
記手段で作製したドライフィルムを100℃、4kg/
cm2の温度および圧力でラミネートした。そのままア
ラミドフィルムを剥離した後、実施例1と同様にインク
共通液室のパターン露光および現像を行なった。
【0110】以降の工程は実施例1と同様である。尚イ
ンク共通液室を形成するエポキシ系ネガ型感光材料の露
光工程のみは実施例3に記載した手段であるDeep−
UV露光で実施した。
【0111】実施例5 本実施例は2層構成のマスキングパターンを形成した例
をしめす。
【0112】m−クレゾールノボラック樹脂(住友デュ
レーズ社製)をエチルアルコールとキシレンで分別、乾
燥した樹脂90部とコンゴーレッド(キシダ化学試薬)
10部をシクロヘキサノンに30wt%の濃度で溶解
し、ロールコータで実施例1と同様にして作製した天板
上に塗布し、90℃で30分間乾燥した。該遮光層を形
成するための皮膜の膜厚は5μmであった。次いでポジ
型フォトレジスト0FPR−800(東京応化工業社
製:130cp)をロールコーターで該天板上に形成し
た前記皮膜上にロールコートした。次いで、90℃で1
0分間ベーキングを行なった。該ポジ型感光材料層を形
成するための皮膜の膜厚は2μmであった。
【0113】該天板に共通インク液室のパターンを有す
るフォトマスクをコンタクトし、キヤノン製マスクアラ
イナーPLA−501で25カウントの露光を行ない東
京応化工業社製アルカリ現像液NMD−3(2.3wt
%)で現像を行なった。現像はポジ型感光材料層および
遮光層を一括して行なった。
【0114】該天板を使用し、他の工程は全て実施例1
と同様に行なった。
【0115】実施例6 本実施例は、電離放射線照射によってガス化するレジス
トを使用した例である。 MEAD(株)製 ポリブテ
ンー1−スルフオンを1/5に濃縮し、スピンコートで
電気熱変換素子を形成した基板上に塗布し、次いで10
0℃で30分間ベークした。形成した皮膜の膜厚は15
μmであった。基板をエリオニクス(株)製電子線描画
装置 ELS−3300に装着し、インク流路パターン
の描画を行なった。電子線の加速電圧は20kV,露光
量は50μC/cm2である。現像はメチルイソブチル
ケトンで行なった。
【0116】得られたインク流路パターン上に、実施例
1と同様にしてエポキシ系感光剤をコーティング、天板
の貼り合わせ、液室のパターン露光、現像を行った。
【0117】実施例1と同様にして基板を切断し、十分
に水で洗浄した後、理学電機(株)製 X−線照射装置
でX−線照射を行なった。ターゲットはPd,投入電力
は15kW,ターゲットと基板の間隔は10cmとし、
照射を30分間行なった。照射終了後、ポリブテンー1
−スルフォンがガス化して飛散したことを確認し、実施
例1と同様に実装、インク充填を行ない記録したとこ
ろ、良好な印字が可能であった。
【0118】
【発明の効果】以上説明した本発明によってもたらされ
る効果としては、下記に列挙する項目が挙げられる。
【0119】1)ヘッド製作の為の主要工程が、フォト
レジストや感光性ドライフィルム等を用いたリソグラフ
ィー技術による為、ヘッドの細密部を、所望のパターン
で、しかも極めて容易に形成することができるばかり
か、同構成の多数のへッドを同時に加工することも容易
にできる。
【0120】2)共通液室の形成がフォトリソグラフィ
ー技術によって形成できる為、ノズル長を精度良くまた
ばらつきを少なく制御できる為、吐出周波数が高い液体
噴射記録ヘッドを製造できる。
【0121】3)共通液室をパターン露光する際のマス
キングパターンが天井部材の感光性材料面側に形成され
ている為、簡易な露光機を用いても良好なパターン形成
が行える。この為、液室の寸法精度を高めることが可能
であり、吐出周波数の高い液体噴射記録ヘッドが作製で
きる。また光学系の散乱や回析によるかぶり露光部が少
ない為、スカムや残澄等が発生せず、該ゴミ成分による
ノズル詰りのない信頼性の高い液体噴射記録ヘッドが作
製できる。
【0122】4)マスクパターンを形成する材料はアル
カリ水溶液や汎用的溶剤で除去できる為、基板上に形成
された配線パターンや天井部材、インク共通液室を形成
する材料ヘのダメージがなく、信頼性が高いへッドを簡
便に形成することができる。 5)マスキングエ程が簡便でまた安価な材料を使用して
いる為、コストの低減を図れる。
【0123】6)インク流路となる箇所にインク流路パ
ターンを構成するレジストが充填したままで切断を行な
う為、基板等に切断時のカケが生じない。また研磨等の
後処理が可能となり、ヨレやムラの少ない液体噴射記録
ヘッドを製造することが可能となる。
【0124】7)ポジ型感光性材料として耐熱性や耐溶
剤性の高い材料を使用することが可能であり、工程マー
ジンを広げることが可能となって歩留りの向上が図れ
る。
【0125】8)電離放射線でガス化するポジ型レジス
トを使用した場合は、溶剤によるレジスト洗浄工程を省
くことが可能となり、工程の短縮化、歩留り向上が図れ
ると共に、洗い出し溶剤の廃液処理等の必要がなくな
る。
【0126】9)高密度マルチアレイ液体噴射記録ヘッ
ドが簡単な手段で得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電気熱変換素子が形成された基板の一例を示す
模式的斜視図である。
【図2】溶解可能な樹脂でインク流路パターンを形成し
た基板の一例を示す模式的斜視図である。
【図3】共通液室を形成するネガ型感光性樹脂を塗布し
た基板の一例を示す模式的(a)は側面断面図、(b)
は正面断面図である。
【図4】マスキングパターンを形成した天井部材をはり
あわせる工程の一例を示す模式的(a)は側面断面図、
(b)は正面断面図である。
【図5】天井部材を透過してインク共通液室をパターン
露光する工程の一例を示す模式的断面図である。
【図6】インク共通液室を現像して形成した状態を示す
模式的断面図である。
【図7】基板を切断してインク吐出口面を形成した状態
の一例を示す模式的断面図である。
【図8】インク流路パターン等の溶解可能な樹脂を溶出
した基板の一例を示す模式的断面図である。
【図9】基板をべ−スプレート上にダイボンし、インク
供給部材の実装および電気信号を付与する電気実装を行
ない形成した液体噴射記録ヘッドの一例を示す模式的斜
視図である。
【図10】本発明方法により製造した液体噴射記録ヘッ
ドを用いた記録装置の一例を示す模式的斜視図である。
【符号の説明】
1 基板 2 電気熱変換素子 3 溶解可能な樹脂によるインク流路パターン 4 ネガ型感光性材料層 5 天井部材 6 マスキングパターン 7 インク供給孔 8 フォトマスク 9 クロムパターン 10 感光硬化部 11 共通インク液室 12 切断ブレード 13 インク吐出口 14 インク供給部材 15 駆動用IC l6 ベースプレート 17 駆動モーター 18 駆動ベルト 19A ガイドシャフト 19B ガイドシャフト 20 インクジェットヘッドカートリッジ 22 クリーニング用モーター 23 伝動機構 24 プラテン 26 キャップ部材 30 ブレード 30A ブレード保持部材 31 キャリッジ 50 インク流路

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液体吐出エネルギー発生素子が形成され
    た基板上に (1) 溶出可能な樹脂でインク流路となる箇所にイン
    ク流路パターンを形成する工程、 (2) 該パターン上にネガ型感光性材料層を形成する
    工程、 (3) ネガ型感光性材料層上に、天井部材の下面に共
    通液室のマスキングパターンを形成した天井部材を貼り
    合わせる工程、 (4) 天井部材の上面から天井部材を透過してネガ型
    感光性材料層に光照射を施し、ネガ型感光性材料層をパ
    ターン硬化し、次いで現像する工程、 (5) インク流路となる箇所で切断する工程、 (6) 溶出可能な樹脂を溶出する工程、を順次行なう
    液体噴射記録ヘッドの製造方法において、前記天井部材
    に形成するマスキングパターンがノボラツク樹脂とナフ
    トキノンジアジド化合物とを少なくとも含有するポジ型
    感光性材料で形成されてなることを特徴とする液体噴射
    記録ヘッドの製造方法。
  2. 【請求項2】 天井部材に形成するマスキングパターン
    が、少なくともノボラック樹脂とナフトキノンジアジド
    誘導体及び酸性で発色するph指示染料を含有するする
    請求項1に記載の液体噴射記録ヘッドの製造方法。
  3. 【請求項3】 天井部材に形成するマスキングパターン
    が、天井部材上に少なくともアルカリ溶解性樹脂と染料
    とを含有する層と、少なくともアルカリ溶解性樹脂とナ
    フトキノンジアジド誘導体とを含有する層とを順次積層
    してなる請求項1に記載の液体噴射記録ヘッドの製造方
    法。
  4. 【請求項4】 ポジ型感光性材料が少なくともアルカリ
    溶解性樹脂とナフトキノンジアジドおよび水溶性高分子
    化合物とを含むものである請求項1乃至3のいずれかに
    記載の液体噴射記録ヘッドの製造方法。
  5. 【請求項5】 ポジ型感光性材料がドライフィルム化さ
    れたものである請求項1乃至4のいずれかに記載の液体
    噴射記録ヘッドの製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至5のいずれかに記載の製造
    方法によって製造した液体噴射記録ヘッド。
  7. 【請求項7】 液体吐出エネルギー発生素子が電気エネ
    ルギーを与えることによって発熱し、インクに状態変化
    を生ぜしめて吐出を行なわせるための電気熱変換体であ
    る請求項6に記載の液体噴射記録ヘッド。
  8. 【請求項8】 記録媒体の記録領域の全幅にわたって吐
    出口が複数設けられているフルラインタイプのものであ
    る請求項6に記載の液体噴射記録ヘッド。
  9. 【請求項9】 記録媒体の被記録面に対向してインクを
    吐出するインク吐出口が設けられている請求項6に記載
    の記録ヘッドと該記録ヘッドを載置するための部材とを
    少なくとも具備することを特徴とする記録装置。
JP8021995A 1995-04-05 1995-04-05 液体噴射記録ヘッド、その製造方法、及び記録装置 Pending JPH08276591A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003251808A (ja) * 2001-12-28 2003-09-09 Canon Inc インクジェット記録ヘッドの流路構成部材及びインクジェット記録ヘッドの製造方法
JP2010131954A (ja) * 2007-12-19 2010-06-17 Canon Inc 液体吐出ヘッドの製造方法
JP2014217965A (ja) * 2013-05-02 2014-11-20 キヤノン株式会社 液体吐出ヘッドの製造方法

Cited By (3)

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