JPH0827624A - 害虫忌避・脱臭・抗菌繊維及びその使用方法 - Google Patents

害虫忌避・脱臭・抗菌繊維及びその使用方法

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JPH0827624A
JPH0827624A JP6176158A JP17615894A JPH0827624A JP H0827624 A JPH0827624 A JP H0827624A JP 6176158 A JP6176158 A JP 6176158A JP 17615894 A JP17615894 A JP 17615894A JP H0827624 A JPH0827624 A JP H0827624A
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JP
Japan
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deodorant
fiber
pest repellent
antibacterial
essential oil
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Application number
JP6176158A
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English (en)
Inventor
Motoyasu Nakanishi
幹育 中西
Hiroyuki Suzuki
啓之 鈴木
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Suzuki Sogyo Co Ltd
Nippon Soda Co Ltd
Original Assignee
Suzuki Sogyo Co Ltd
Nippon Soda Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 繊維自体に害虫忌避、脱臭、抗菌作用を付与
して、パンティストッキング等の繊維製品において、防
蚊等の害虫忌避や、脱臭、抗菌をする。 【構成】 害虫忌避・脱臭・抗菌繊維10は、ポリアミ
ド樹脂等の合成樹脂から成る芯層12と、この芯層12
の外側に設けられた鞘層14とから成っている。鞘層1
4は、害虫忌避、脱臭、抗菌作用を有するシネオール等
の精油成分をゲスト化合物とし、このゲスト化合物をホ
スト化合物により包接した包接化合物16を含有するポ
リプロピレン等の樹脂から成っている。害虫忌避・脱臭
・抗菌繊維10からパンティストッキングを製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、害虫忌避、脱臭、抗菌
作用を有する繊維の改良、特に、害虫忌避、脱臭、抗菌
作用を持続的にかつ安定的に持たせた繊維、及びその実
用的な使用方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般の日常生活の中で、人間の周囲に
は、さまざまな細菌が存在し、我々の衛生、清潔性の保
持に少なからず影響を与えている。例えば、人体の皮膚
に常時存在する黄色ブドウ状球菌によって、汗中の尿素
がアンモニアとなり臭いの原因となったり、また、水虫
等によるムレ、痒み等も白癬菌等の細菌を原因とするも
のである。また、日常生活に限らず、例えば、病院内に
おいても、細菌による院内感染が問題となっている。こ
のため、従来から、これらの細菌等による被害の防止又
は排除による衛生保持が、強く望まれている。
【0003】このような背景に鑑み、近時、例えば、銀
や亜鉛等の金属イオンの働きにより抗菌等を図る繊維
等、種々の抗菌、脱臭機能を備えた繊維の開発が試みら
れている。これらの繊維を使用して形成される繊維製品
としては、例えば、肌着や靴下等の人肌に直接接触して
用いられる日常繊維製品の他、院内感染等を防止するた
め、手術着や医療用シーツなどの病院内等で用いられる
業務用の繊維製品等が考えられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、我々の衛生的
な生活は、細菌によるものばかりではなく、種々の害虫
によっても脅かされている。例えば、繊維製品の中で
も、特に、ストッキング、パンティストッキング等は、
上着等と比べて比較的薄いため、着用していても蚊に刺
されたり、また、屋内でもダニ等に噛まれたりすること
がある。このように、比較的薄く、また外部に露出して
用いられる衣類には、抗菌、殺菌は勿論のこと、特に、
蚊やダニ等の害虫に対する忌避作用の必要性が、非常に
高いと考えられる。この場合、従来のように、防虫スプ
レー等の特別の手段を用いて、虫さされ等の被害を防止
するのでは手間がかかるため、繊維自体に害虫を忌避す
る作用を付与すると、簡易かつ効果的に実用性を高める
ことができる。また、肌着以外でも、例えば、保存中の
衣類が害虫によって損傷を受ける等の被害を被ることも
ある。
【0005】また、より繊維に適した抗菌・脱臭成分等
が絶えず模索されているのが現状であり、ここに、対細
菌・防臭のみではなく、加えて蚊等の害虫に対しても忌
避作用を発揮できる成分として、例えばユーカリ油、レ
モン油、ローズゼラニウム油等の精油中に含まれている
シネオール、リモネン等の精油成分が好適であることが
知られている。また、これらの精油成分は芳香性、殺菌
による脱臭性をも有するものが多く、繊維に用いるのに
適しているといえる。
【0006】この場合、上述したストッキング等も含
め、パンティ等の下着、また、おしめカバー等にも抗菌
や忌避作用が望まれるが、これらの繊維製品は、上着等
の衣類と比べても、特に、頻繁に、洗濯等を経て繰り返
し使用されるものであるため、水中に曝されても、精油
成分が水中に放出又は溶解してその害虫忌避作用等が低
下しないように、耐水性等を付与し安定的に精油成分の
抗菌作用等を発揮させることが必要となる。また、繊維
製品は、長期にわたって使用されるのが通常であるた
め、これらの精油成分を含有させて繊維を形成する場
合、精油成分の有する害虫忌避、脱臭、抗菌作用を持続
的に発揮させることができなければ実用性の点で必ずし
も効果的とはいえない。
【0007】本発明の目的は、上記の欠点を回避し、精
油成分を担持して害虫忌避、脱臭、抗菌作用を発揮する
ことにより簡易に衛生を保持することができると同時
に、精油成分に徐放性を付与してその害虫忌避等の作用
の持続性、耐水性を向上し、効果的にかつ実用的に害虫
忌避等をすることができる害虫忌避、脱臭、抗菌繊維を
提供すると共に、この繊維を実用的に用いることができ
る使用方法を提供することにある。換言すれば、本発明
は、害虫忌避、脱臭、抗菌作用を有し、またこれらの作
用の持続性、耐水性を充分に備えた実用的な繊維製品、
及びこのような繊維製品に用いるのに適した害虫忌避、
脱臭、抗菌繊維の提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を
解決するための第1の手段として、合成樹脂から成る芯
層と、この芯層の外側に設けられた鞘層とから成り、こ
の鞘層は害虫忌避・脱臭・抗菌作用を有する精油成分を
ゲスト化合物とし、このゲスト化合物をホスト化合物に
より包接した包接化合物を含有する樹脂から形成されて
いることを特徴とする害虫忌避・脱臭・抗菌繊維を提供
するものである。
【0009】本発明は、上記の課題を解決するための第
2の手段として、合成樹脂から成る芯層と、この芯層の
外側に設けられた鞘層とから成り、この鞘層は害虫忌避
・脱臭・抗菌作用を有する精油成分をゲスト化合物と
し、このゲスト化合物をホスト化合物により包接した包
接化合物を含有する樹脂から形成されている害虫忌避・
脱臭・抗菌繊維から繊維製品、特に、パンティ等の下着
類、ストッキング、パンティストッキング、タイツを製
造することを特徴とする害虫忌避・脱臭・抗菌繊維の使
用方法を提供するものである。
【0010】また、本発明は 上記の第1及び第2の課
題解決手段において、ホスト化合物は、特に、下記一般
式[1]で示される1,1,2,2−テトラキス(ヒド
ロキシフェニル)エタン(以下、TEPという)を用い
ることを特徴とする害虫忌避・脱臭・抗菌繊維及びその
使用方法を提供するものである。
【0011】
【化3】
【0012】更に、本発明は、上記の第1及び第2の課
題解決手段において、害虫忌避・脱臭・抗菌作用を有す
る精油成分として、シネオールを用いることを特徴とす
る害虫忌避・脱臭・抗菌繊維及びその使用方法を提供す
るものである。
【0013】
【作用】このように繊維を、芯層と、精油成分を包接し
て形成された包接化合物を含有する鞘層とから形成する
と、これらの精油成分により、繊維自体が抗菌、脱臭作
用に加えて、害虫忌避作用を発揮して簡易に衛生を保持
することができ、また、これを用いて繊維製品とする
と、害虫忌避、抗菌等の作用を、靴下等の日常衣類、シ
ーツ等の寝具等、手術着等の医療用業務用品等の幅広い
分野において有効に発揮させることができ、実用的に使
用することができるのは勿論のこと、特に、ストッキン
グ等の比較的薄めで外部に露出して使用される繊維製品
とすることにより、着用していても蚊やダニ等による被
害を受け易い繊維製品において、抗菌や防蚊等の害虫忌
避を効果的に行うことができるため実用性が向上する。
【0014】また、特に、TEPをホスト化合物として
ゲスト化合物である精油成分を包接して繊維に担持する
と、精油成分の放出速度が遅く、精油成分が徐々に放散
されるため(すなわち、徐放性が高い)、精油成分の害
虫忌避、抗菌、脱臭作用を長期にわたって確実に発揮さ
せることができ、繊維において持続的に抗菌等をするこ
とができる。また、この徐放性は水中系においても同様
に発揮され、精油成分が水中に放出又は溶解するのが制
御されるため、耐水性が向上し、効果的に抗菌等を行う
ことができる。その結果、これらの繊維から成る繊維製
品、特に、長期間使用される繊維製品や、繰り返し洗濯
等されるパンティ等の下着類において、実用性が向上す
る。
【0015】
【実施例】本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明
すると、図1は本発明の害虫忌避・脱臭・抗菌繊維10
の概念図であり、この害虫忌避・脱臭・抗菌繊維10
は、合成樹脂から成る芯層12と、この芯層12の外側
に設けられた鞘層14とから成っている。
【0016】芯層12を形成する合成樹脂としては、合
成繊維に一般に用いられているものを用いることがで
き、例えば、ナイロン66(商標)、ナイロン6(商
標)等のポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリビニルアルコール、ポリアクリルニトロル、ウ
レタン化合物、塩化ビニル、また、ポリエチレンやポリ
プロピレン等の炭化水素系樹脂のいずれかを又は2種以
上の混合を主成分とするものが挙げられる。
【0017】これらの合成樹脂は、目的とする繊維製品
に応じて適宜選択して用いればよく、例えば、ストッキ
ング、パンティストッキング等に用いる繊維10とする
場合には、強度が高いナイロン66等のポリアミド系樹
脂(繊維名:ナイロン)や、伸縮性に優れるウレタン化
合物(繊維名:ポリウレタン)等を用いる。その他、例
えば、ポリエチレンテレフタレート(繊維名:ポリエス
テル)は強度、耐熱性に優れ、ワイシャツ、ブラウス等
に、ポリビニルアルコール(繊維名:ビニロン)は耐摩
擦性、吸湿性が高く、トレーニングパンツ等に、また、
ポリアクリルニトロル(繊維名:アクリル)は保温性に
優れ、セーター等に、ポリプロピレン等は肌着等に、ま
た、塩化ビニルとポリビニルアルコールの混合(繊維
名:ポリクラール)はカーテン等に用いることができ
る。
【0018】このように、芯層12として、種々の合成
樹脂を用いることが可能となるため、目的とする繊維製
品に応じて要求される強度等の繊維本来の機能を損なう
ことなく、害虫忌避、脱臭、抗菌等を図ることができ
る。なお、これらの合成樹脂に、酸化防止剤や、熱安定
剤、耐候剤、染料、顔料、可塑剤等の添加剤を添加して
用いてもよい。
【0019】鞘層14は、害虫忌避・脱臭・抗菌作用を
有する精油成分をゲスト化合物とし、このゲスト化合物
をホスト化合物により包接した包接化合物16を含有す
る樹脂から形成されている。
【0020】このゲスト化合物である精油成分として
は、害虫忌避等の作用を発揮することができる精油成分
であれば種類を問わず用いることができ、主なものとし
ては、天然の精油成分のシネオール、リモネン、ヒノキ
チオール、メントール、テルピネオール、ボルネオー
ル、ノポール、シトラール、シトロネロール、シトロネ
ラール、ゲラニオール、リナロール、ジメチルオクタノ
ール、ノピネン、フェニルエチルアルコール、ピペロナ
ール等を挙げることができる。これらの精油成分は、害
虫忌避、脱臭、抗菌作用を有しており、しかも芳香性を
も有し一般に香料としても用いられるものも多いことか
ら、通常人間の身の回りにおいて使用される繊維におい
て害虫忌避、抗菌等の作用を発揮させるには好適といえ
る。
【0021】なお、これらの精油成分は、主に天然の精
油中に含まれており、例えば、シネオールはユーカリ
油、ローズマリー油等に、リモネンは橙皮油、レモン
油、ベルガモット油、ういきょう油、松葉油、ハッカ油
等に、メントールはハッカ油に、ボルネオールはラベン
ダー油、ローズマリー油中に酢酸エステルとして、シト
ラールはレモン油、レモングラス油、ゲラニウム油等
に、シトロネラールはシトロネラ油、ユーカリ油等に、
リナロールはリナロエ油、芳樟油の主成分として、また
ベルガモット油、ラベンダー油等の中にエステルとし
て、ゲラニオールはバラ油、ゲラニウム油、シトロネラ
油等に、それぞれ含まれている。その他、化学合成によ
り生成されたものを用いてもよく、例えば、シネオール
やテルピネオールはテルピンを酸と煮て脱水することに
より得ることができる。また、これらの精油成分は、各
々を単独で用いてもよいし、必要に応じて2種以上を混
合して用いてもよい。
【0022】一方、ホスト化合物としては、ゲスト化合
物である精油成分を包接することができれば、種々のホ
スト化合物を用いることができるが、その中でも、特
に、TEP、すなわち、下記一般式[1]で示される
1,1,2,2−テトラキス(ヒドロキシフェニル)エ
タンを用いることが好ましい。このTEPは、水難溶性
を有し、また、精油成分の放出速度が遅いことから、精
油成分の徐放性が高いためである。
【0023】
【化4】
【0024】このTEPの具体例としては、1,1,
2,2−テトラキス(3−ヒドロキシフェニル)エタン
等を掲げることができるが、特に、下記構造式[2]で
示される1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシ
フェニル)エタン(以下、TEP−DFという)を用い
ることが望ましい。TEP−DFをホスト化合物として
得られる包接化合物は、常温で固体であり、取扱いが容
易であるためである。
【0025】
【化5】
【0026】包接化合物16は、メタノール、エタノー
ル、イソプロパノール、メチルエチルケトン等の溶媒中
にTEP等のホスト化合物が溶解するまで加温しながら
攪拌したスラリー中に、液体化したゲスト化合物である
シネオール等の精油成分を徐々に滴下して反応させ、反
応後、必要に応じて溶媒を蒸発留去するか、冷却するこ
とにより析出物として生成し、この析出物を濾過するこ
とにより得ることができる。
【0027】また、本発明に用いる包接化合物16は、
溶媒を用いることなく容易に製造することができ、この
場合には、液状の精油成分中にTEPを直接添加して反
応させることにより析出した固形物を、上記の方法と同
様に、濾過分離して目的とする包接化合物16を得るこ
とができる。なお、上記の2つの製造方法のいずれにお
いても、0℃〜100℃、好ましくは10℃〜60℃に
おいて、5分〜24時間反応させる。
【0028】以上のようにして得られる包接化合物は、
精油成分が有する優れた害虫忌避、脱臭、抗菌作用を損
なうことなく、精油成分を繊維に担持するのに適した物
性とすることができる。
【0029】特に、ホスト化合物としてTEP(特に、
TEP−DF)を用いた場合、精油成分の放出速度が水
系中においても遅く(すなわち、徐放性が高い)、害虫
忌避、抗菌等の作用の持続性、耐水性等の物性が向上
し、また、TEP(ホスト化合物)に対して、通常、2
倍モル〜4倍モルの精油成分(ゲスト化合物)を包接す
ることができる。
【0030】本発明に用いる包接化合物16のより具体
的な製造方法の一例を挙げると、5mlのメタノール中
に、旭有機材工業製のTEP−DFを1.0g(2.5
1mmol)加え、TEP−DFが完全に溶解するまで
加温しながら攪拌した溶液中に、1,8シネオールを
1.55g(10.04mmol)徐々に滴下し、60
℃において10分間攪拌しながら反応させた。その後、
直ちに濾過し、この濾液を室温で放置して結晶物を析出
させ、この析出物を濾過分離後、室温にて真空乾燥させ
て白色結晶物として本発明に用いる包接化合物16を得
た。因に、このようにして得られた包接化合物16は、
ゲスト(シネオール)/ホスト(TEP)がモル比で
4.0と効率よく精油成分を包接しており、また、精油
成分の放出温度は102.9℃であった。
【0031】鞘層14を構成する樹脂としては、溶融し
て紡糸加工する際に、精油成分の有する害虫忌避等の作
用を損なわずに包接化合物を含有することができる樹
脂、具体的には、樹脂の中でも比較的融点が低く、低温
にて紡糸加工されるポリプロピレン、ポリエチレン等を
用いることが望ましい。これは比較的融点が低く、熱に
弱い性質を有するものが多い精油成分の加工性を考慮し
たためである。
【0032】すなわち、例えばシネオール等の熱に弱く
溶融した樹脂に直接混入することが困難な精油成分を、
ホスト化合物、特に分解温度が約160度と比較的高い
TEPにより包接した包接化合物16として、精油成分
の放出温度を100℃前後に高めて精油成分の耐熱性を
向上させることにより、この包接化合物16が耐え得る
加工温度、すなわち、比較的融点が低く約100℃前後
の温度で加工されるポリエチレン等の樹脂に混入して、
精油成分の害虫忌避等の作用を損なうことなく精油成分
を鞘層14として繊維10に担持させることを可能とし
たものである。これにより、精油成分が有する害虫忌避
等の作用を繊維10自体において有効に発揮させること
ができる。
【0033】なお、このように精油成分を含む包接化合
物16の担持を専ら鞘層14、すなわち、比較的融点の
低い樹脂に委ねることにより、上述したように、例え
ば、ナイロン66やポリエチレンテレフタレート等の強
度は強いが融点が高く250℃以上の高温にて溶融加工
される合成樹脂から成る芯層12を有する繊維10の表
面付近に精油成分を担持することが可能となる。従っ
て、本発明は、特に、融点が高い樹脂から成る繊維10
に、精油成分を担持させる場合に有効といえ、その結
果、本発明の繊維10全体としては、芯層12により強
度等の繊維本来に要求される機能を、また、実際に害虫
や細菌等が直接又は空気等を介して間接に接触する鞘層
14により害虫忌避等の作用を発揮し、繊維としての実
用性に優れる。なお、鞘層14として包接化合物を含有
することができる樹脂を用いれば、結果的に芯層12を
構成する樹脂と、鞘層14を構成する樹脂とが、例えば
共にポリプロピレンである等同一であっても構わない。
【0034】本発明の害虫忌避・脱臭・抗菌繊維10
は、従来から知られている方法によって製造することが
できる。例えば、芯層12用の樹脂と鞘層14用の樹脂
とを、それぞれ適切な温度に加熱された押出機に充填し
て加熱溶融することにより紡糸原液とした上で、鞘層1
4用の紡糸原液には予め包接化合物16を混合分散し、
次いで、これらの紡糸原液をそれぞれ所定の温度に加熱
した2層の紡糸口金から押し出して溶融紡糸し、所定の
温度で冷却した後、所定の温度の熱水中で適切な倍率に
延伸して巻き取ることにより製造することができる。そ
の他、芯層12を紡糸形成した後、包接化合物16を含
有する鞘層14用の樹脂を塗布することにより製造して
もよい。なお、この場合、包接化合物16を鞘層14用
の樹脂中に混合分散するには、ボールミル、グラインド
ミル、ロールミル、スピードランミル等の適宜な分散装
置を用いることができる。
【0035】このように、少なくとも繊維10の製造段
階において精油成分を繊維10自体に担持することによ
り、既成の繊維又は繊維製品に、事後的に殺菌剤等の薬
品を塗布、浸漬等する必要がなくなるため、手間と時間
をかけることなく、簡易に害虫忌避等をすることができ
る。
【0036】次に、本発明の害虫忌避・脱臭・抗菌繊維
10の使用方法について説明すると、合成樹脂から成る
芯層12と、この芯層12の外側に設けられた鞘層14
とから成り、この鞘層14は害虫忌避・脱臭・抗菌作用
を有する精油成分をゲスト化合物とし、このゲスト化合
物をホスト化合物により包接した包接化合物16を含有
する樹脂から形成されている害虫忌避・脱臭・抗菌繊維
10から繊維製品を製造して使用することができる。
【0037】この使用方法において、繊維製品として、
特に、ストッキング、パンティストッキング、タイツを
製造すると、本発明の害虫忌避・脱臭・抗菌繊維10を
有効に使用することができる。すなわち、これらのスト
ッキング等は、上着等に比べて比較的薄く外部に露出し
て用いられるため、特に、着用していても蚊等に刺され
たり、ダニ等に噛まれたりすることが多く害虫による被
害を受けやすいので、害虫忌避作用を有する本発明の害
虫忌避・脱臭・抗菌繊維10を使用して製造することに
より、これらの特に害虫忌避の必要性が高いストッキン
グ等において、防虫スプレー等の特別な手段を用いるこ
となく、簡易に防蚊等をすることができる。なお、スト
ッキング等の全体を本発明の害虫忌避・脱臭・抗菌繊維
10を編織することにより製造してもよいし、一部にア
クセント的に用いてもよいが、足部だけでなく、少なく
とも実際に蚊等に刺される危険性がある部位には用いる
ことが好ましい。
【0038】また、本発明の害虫忌避・脱臭・抗菌繊維
10を使用して、パンティ等の下着類を製造することも
非常に効果的である。これは、上述したストッキング等
も含め、パンティ等の下着、また、おしめカバー等は、
特に、頻繁に、洗濯等を経て繰り返し使用されるもので
あるため、水系中においても精油成分の徐放性に優れる
本発明の害虫忌避・脱臭・抗菌繊維10を使用して製造
することにより、洗濯等に付してもその害虫忌避、抗菌
等の作用が損なわれず、実用的に使用することができ
る。加えて、通常、長期にわたって使用される繊維製品
において、一般的に要求される害虫忌避等の作用の持続
性も確保され、この点でも実用性に優れる。
【0039】勿論、本発明の害虫忌避・脱臭・抗菌繊維
10の使用方法は、これらのストッキング等に限られ
ず、繊維製品であれば種類を問わず幅広い分野において
有効に用いることができる。例えば、靴下、ワイシャ
ツ、ブラウス、その他の肌着、スポーツウェアや、シュ
ーズ、タオルやシーツ等の寝具等を製造することもで
き、この場合には、抗菌、脱臭作用により汗臭さや体臭
等を防止したり、ダニ等による被害を防止することがで
きる。また、スーツやワンピース等の上着に使用して、
保存中に害虫によっていわゆる虫食い等の被害を被るの
を防止したり、カーペット等に用いて、ダニ等の寄生を
事前に防止することも考えられる。更に、害虫忌避作用
を考えると、蚊帳や食卓に用いられる蠅除け等を製造す
ることも考えられる。
【0040】以上のような、日常繊維製品の他、例え
ば、手術着や白衣等、また、医療用のシーツやタオル等
の医療業務用繊維製品に使用することも可能であり、こ
れにより、近時問題となっている細菌等による院内感染
等に対処することができる。
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、上記のように、繊維
を、芯層と、精油成分を包接して形成された包接化合物
を含有する鞘層とから形成しているため、これらの精油
成分により、繊維自体が抗菌、脱臭作用に加えて、害虫
忌避作用を発揮して簡易に衛生を保持することができ、
また、これを用いて繊維製品とすると、害虫忌避、抗菌
等の作用を、靴下等の日常衣類、シーツ等の寝具等、手
術着等の医療用業務用品等の幅広い分野において有効に
発揮させることができ、実用的に使用することができる
のは勿論のこと、特に、ストッキング等の比較的薄めで
外部に露出して使用される繊維製品とすることにより、
着用していても蚊やダニ等による被害を受け易い繊維製
品において、抗菌や防蚊等の害虫忌避を効果的に行うこ
とができるため実用性が向上する実益がある。
【0042】また、上記のように、特に、TEP、より
望ましくはTEP−DFをホスト化合物としてゲスト化
合物である精油成分を包接して繊維に担持した場合、精
油成分の再放出速度が遅く、精油成分が徐々に放散され
るため(すなわち、徐放性が高い)、精油成分の害虫忌
避、抗菌、脱臭作用を長期にわたって確実に発揮させる
ことができ、繊維において持続的に抗菌等をすることが
できる上に、この徐放性は水中系においても同様に発揮
され、精油成分が水中に放出又は溶解するのが制御され
るため、耐水性が向上し、効果的に抗菌等を行うことが
できるので、これらの繊維から成る繊維製品、特に、長
期間使用される繊維製品や、繰り返し洗濯等されるパン
ティ等の下着類において、実用性が向上する実益があ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の害虫忌避・脱臭・抗菌繊維の概念図で
ある。
【符号の説明】
10 害虫忌避・脱臭・抗菌繊維 12 芯層 14 鞘層 16 包接化合物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D01F 1/10

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 合成樹脂から成る芯層と、前記芯層の外
    側に設けられた鞘層とから成り、前記鞘層は、害虫忌避
    ・脱臭・抗菌作用を有する精油成分をゲスト化合物と
    し、前記ゲスト化合物をホスト化合物により包接した包
    接化合物を含有する樹脂から形成されていることを特徴
    とする害虫忌避・脱臭・抗菌繊維。
  2. 【請求項2】 ホスト化合物が、下記一般式[1]で示
    される1,1,2,2−テトラキス(ヒドロキシフェニ
    ル)エタンであることを特徴とする請求項1に記載の害
    虫忌避・脱臭・抗菌繊維。 【化1】
  3. 【請求項3】 精油成分が、シネオールであることを特
    徴とする請求項1又は請求項2に記載の害虫忌避・脱臭
    ・抗菌繊維。
  4. 【請求項4】 合成樹脂から成る芯層と、前記芯層の外
    側に設けられた鞘層とから成り、前記鞘層は、害虫忌避
    ・脱臭・抗菌作用を有する精油成分をゲスト化合物と
    し、前記ゲスト化合物をホスト化合物により包接した包
    接化合物を含有する樹脂から形成されている抗菌・殺菌
    ・害虫忌避繊維から繊維製品を製造することを特徴とす
    る害虫忌避・脱臭・抗菌繊維の使用方法。
  5. 【請求項5】 繊維製品が、パンティ、ストッキング、
    パンティストッキング、タイツのいずれかであることを
    特徴とする請求項4に記載の害虫忌避・脱臭・抗菌繊維
    の使用方法。
  6. 【請求項6】 ホスト化合物が、下記一般式[1]で示
    される1,1,2,2−テトラキス(ヒドロキシフェニ
    ル)エタンであることを特徴とする請求項4又は請求項
    5に記載の害虫忌避・脱臭・抗菌繊維の使用方法。 【化2】
  7. 【請求項7】 害虫忌避・脱臭・抗菌作用を有する精油
    成分が、シネオールであることを特徴とする請求項4乃
    至請求項6のいずれかに記載の害虫忌避・脱臭・抗菌繊
    維の使用方法。
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