JPH08267436A - 成形型枠における中子構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、貫通孔を具備するコンクリート製品
の成形型枠に用いる中子構造に関する。 【構成】貫通孔を具備するコンクリート製品を成形する
成形型枠における中子構造を、型枠本体の内部に形成し
た成形空間内に中子を配設し、同中子の基端を型枠本体
の側壁に軸線方向に摺動自在に取付け、同中子を、中子
の温度上昇に連動して軸線方向に後退自在とした構成と
している。養生室における養生の際、中子を軸線方向に
伸長させることができる。従って、中子は、従来の一本
式の中子構造と異なり、なんら軸方向の圧縮力を受けな
いことになり、軸方向の圧縮力に起因する中子の座屈現
象や、曲がり変形や、紡錘状変形や、塑性変形を確実に
防止することができる。その結果、コンクリート製品か
ら中子を容易に抜去することができ、また、成形された
コンクリート製品にクラック等が発生するのを確実に防
止することができるとともに、正確な形状の貫通孔を形
成することができ、コンクリート製品の歩留まりを著し
く高めることができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、貫通孔を具備するコン
クリート製品の成形型枠に用いる中子構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】上記した貫通孔を具備するコンクリート
製品Ｃの一形態として、図４及び図５に示すものがあ
り、同コンクリート製品Ｃは、表面形成部１の裏面側に
一対の控え部２を一体的に突設し、かつ、各控え部２
に、任意の数の貫通孔３を設けたことを特徴とする。

【０００３】上記したコンクリート製品Ｃを成形する成
形型枠Ｂとして、図６及び図７に示すものがある。

【０００４】この成形型枠Ｂは、化粧板４を上面に貼着
した底板５と、同底板５の両側縁から上方に向けて垂設
した一対の側壁６とによって、その内部に成形空間７を
形成している。

【０００５】また、両側壁６には、一対の長尺かつテー
パ付の棒状体からなる中子８の基端が取付けられてい
る。かかる中子８は、コンクリート製品Ｃに対する剥離
性を向上するため、ゴム製としている。

【０００６】かかる構成によって、成形型枠Ｂの成形空
間７内に成形材料であるコンクリートを充填し、一定期
間、養生・硬化した後、中子８を外部に引き抜き、その
後、成形型枠Ｂ内のコンクリート製品Ｃを外部に脱型す
ることによって成形作業が完了する。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記した成形
型枠Ｂにおける中子構造は、未だ、以下の解決すべき課
題を有していた。

【０００８】即ち、図６及び図７に示すように、中子８
は、その基端を、固定ボルト９によって側壁６に固定さ
れている。そして、打設時には、図６に示すように、各
中子８は、その先端同士を相互に軽く当接しており、打
設時に先端間にコンクリートが侵入しないようにしてい
る。

【０００９】その後、コンクリートを成形空間７内に打
設した後、養生室で養生することになるが、養生室は蒸
気によって相当高い温度になるので、ゴム製の中子８は
急激に伸長しようとする。

【００１０】しかし、中子８は、その基端を固定ボルト
９によって側壁６に固定されている一方で、その先端同
士を当接しているので、中子８は軸線方向に伸長するこ
とができず、その結果、中子８は強力な軸方向の圧縮力
を受けることになり、この圧縮力によって、図７におけ
る成形空間７の上部に示すように、中子８は座屈現象や
曲がり変形を起こしたり、図７における成形空間７の下
部に示すように、中子８は紡錘状に径方向に膨張するこ
とになる。

【００１１】その結果、コンクリート製品Ｃから中子８
を抜去するのが不可能となったり、困難となる。また、
成形されたコンクリート製品Ｃも、内外部にクラックを
生じたり、貫通孔３が変形したりする。

【００１２】また、圧縮力が強大な場合、中子８を形成
するゴムが弾性限界を越えて塑性変形を生じ、再度、成
形のために成形型枠Ｂに中子８を組み込んだ際、中子８
の先端同士間に間隙を生じることになり、コンクリート
を成形空間７内に打設した際、コンクリートの一部がこ
の間隙に流入し、コンクリート製品Ｃは貫通孔３を形成
することができなくなる。

【００１３】このように、従来の中子８を用いた場合
は、相当量のコンクリート製品Ｃが不良品となるおそれ
があり、歩留まりを著しく低下させることになってい
た。

【００１４】本発明は、上記した課題を解決することが
できる成形型枠における中子構造を提供することを目的
とする。

【００１５】

【課題を解決するための手段】本発明は、貫通孔を具備
するコンクリート製品を成形する成形型枠における中子
構造であって、型枠本体の内部に形成した成形空間内に
中子を配設し、同中子の基端を型枠本体の側壁に軸線方
向に摺動自在に取付け、同中子を、中子の温度上昇に連
動して軸線方向に後退自在としたことを特徴とする成形
型枠における中子構造に係るものである。

【００１６】本発明は、また、上記した構成を有する中
子構造において、中子を以下の構成にしたことにも特徴
を有する。

【００１７】一対の中子の基端を、それぞれ、型枠本
体の対向する側壁に取付け、両中子の先端同士を当接
し、少なくともいずれか一方の中子の基端を、型枠本体
の側壁に軸線方向に摺動自在に取付け、同中子を、中子
の温度上昇に連動して軸線方向に後退自在とした。

【００１８】一つの中子の基端を型枠本体の一側側壁
に摺動自在に取付け、かつ、同中子の先端を型枠本体の
他側側壁に当接可能とした。

【００１９】

【実施例】以下、添付図に示す実施例を参照して、本発
明に係る中子構造を、同中子構造を具備する成形型枠を
参照して具体的に説明する。

【００２０】(実施例１)図１及び図２に示すように、本
実施例において、成形型枠Ａは、実質的に、中子構造を
除いて、従来技術で説明した成形型枠Ｂと同様な構成を
有する。

【００２１】即ち、成形型枠Ａは、図１及び図２に示す
ように、化粧板 (図示せず) を上面に貼着した底板 (図
示せず) と、同底板の両側縁から上方に向けて垂設した
一対の側壁10とによって、その内部に成形空間11を形成
している。

【００２２】また、両側壁10には、成形型枠Ａの同一高
さ位置で、両端開口の中子支持筒12,12 を取付けてお
り、各中子支持筒12,12 は、その内部に、成形空間11に
向けて漸次径を小さくするテーパ状の中子支持孔を有し
ている。

【００２３】それぞれ長尺かつテーパ付のゴム製筒状体
からなる一対の中子13,13 が、成形型枠Ａ内で、同一軸
線上及び左右対称に配設されている。中子13,13 の基端
部分13a,13a をそれぞれ中子支持筒12,12 によって軸線
方向に摺動自在に支持されるとともに、その先端13b,13
b 同士は成形空間11の中央部で当接可能としている。

【００２４】一方の中子13は、その先端13b に突起13c
を具備するとともに、他方の中子13は、その先端13b
に、上記した突起13c を嵌入するための突起嵌入孔13d
を設けており、突起13c を突起嵌入孔13d に嵌入するこ
とによって、先端13b,13b 同士の当接を正確かつ確実な
ものとすることができる。

【００２５】また、両中子13,13 は、その内部に、同心
円的に中子支持軸14,15 を配設しており、それぞれ、そ
の基端14a,15a を側壁 6,6に取付けた固定プレート16,1
6 に固定連結するとともに、その先端14b,15b を、中子
13,13 の先端13b,13b に内側から押圧状態に当接してい
る。従って、中子支持軸14,15 は、ゴム製筒状体からな
る中子13,13 に、成形に必要な一定の剛性を付与するこ
とができる。

【００２６】図示の実施例におけるその他の構成につい
て説明すると、各中子13,13 は、その基端側端面に抜止
防止用フランジ17,17 を取付けており、同抜止防止用フ
ランジ17,17 と側壁10,10 との間には、成形組立時にお
いて、一定の間隙ｔが形成されるようにしている。

【００２７】次に、上記した構成を有する成形型枠Ａに
よるコンクリート製品Ｃの成形作業について説明する。

【００２８】まず、図１に示す状態に成形型枠Ａを組み
立てる。

【００２９】次に、成形型枠Ａの成形空間11内に成形材
料であるコンクリートを充填し、一定時間放置してある
程度硬化させた後、養生室に搬送し、同養生室において
養生を行う。

【００３０】この養生において、養生室は蒸気によって
相当高い温度になるので、それぞれ長尺かつテーパ付の
ゴム製筒状体からなる中子13,13 は、それぞれ、急激に
伸長しようとする。

【００３１】この際、本実施例では、図１及び図２に示
すように、各中子13,13 は、その先端13b,13b 同士を当
接させているが、その基端部分13a,13a をそれぞれ中子
支持筒12,12 によって軸線方向に摺動自在に支持させて
いる。

【００３２】そのため、中子13,13 は、図２に示すよう
に、それぞれの基端側を、中子支持筒12,12 内を摺動し
ながら、円滑に側壁10,10 から離隔する方向に伸長させ
ることができる。

【００３３】従って、中子13,13 は、従来の中子構造と
異なり、なんら軸方向の圧縮力を受けないことになり、
軸方向の圧縮力に起因する中子13,13 の座屈現象や、曲
がり変形や、紡錘状変形や、塑性変形を確実に防止する
ことができる。

【００３４】その結果、コンクリート製品Ｃから中子1
3,13 を容易に抜去することができ、また、成形された
コンクリート製品Ｃにクラック等が発生するのを確実に
防止することができるとともに、正確な形状の貫通孔３
を形成することができ、コンクリート製品Ｃの歩留まり
を著しく高めることができる。

【００３５】(実施例２)本実施例は、図３に示すよう
に、コンクリート製品Ｃにおける貫通孔３を一本の中子
113 によって成形することができる成形型枠Ａの構成を
示す。

【００３６】図示するように、本実施例に係る成形型枠
Ａは、以下に説明する構成を除いて、上記した実施例１
に係る成形型枠Ａと実質的に同一の構成を有するので、
同一の構成部分は実施例１において用いた符号に100 を
足して示す。

【００３７】即ち、本実施例では、中子113 の先端113b
に設けた突起113cを、一方の側壁110 に突設したブロッ
ク120 に設けた突起嵌入孔113d内に嵌入可能としたこと
を特徴とする。

【００３８】かかる構成においても、養生室における養
生の際、中子113 は、図３に示すように、その基端側
を、中子支持筒112 内を摺動しながら、円滑に一側側壁
110 から離隔する方向に伸長させることができる。

【００３９】従って、中子113 は、従来の一本式の中子
構造と異なり、なんら軸方向の圧縮力を受けないことに
なり、軸方向の圧縮力に起因する中子113 の座屈現象
や、曲がり変形や、紡錘状変形や、塑性変形を確実に防
止することができる。

【００４０】その結果、コンクリート製品Ｃから中子11
3 を容易に抜去することができ、また、成形されたコン
クリート製品Ｃにクラック等が発生するのを確実に防止
することができるとともに、正確な形状の貫通孔３を形
成することができ、コンクリート製品Ｃの歩留まりを著
しく高めることができる。

【００４１】

【効果】本発明では、貫通孔を具備するコンクリート製
品を成形する成形型枠における中子構造を、型枠本体の
内部に形成した成形空間内に中子を配設し、同中子の基
端を型枠本体の側壁に軸線方向に摺動自在に取付け、同
中子を、中子の温度上昇に連動して軸線方向に後退自在
とした構成としている。

【００４２】かかる構成によって、養生室における養生
の際、中子を軸線方向に伸長させることができる。従っ
て、中子は、従来の一本式の中子構造と異なり、なんら
軸方向の圧縮力を受けないことになり、軸方向の圧縮力
に起因する中子の座屈現象や、曲がり変形や、紡錘状変
形や、塑性変形を確実に防止することができる。その結
果、コンクリート製品から中子を容易に抜去することが
でき、また、成形されたコンクリート製品にクラック等
が発生するのを確実に防止することができるとともに、
正確な形状の貫通孔を形成することができ、コンクリー
ト製品の歩留まりを著しく高めることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例１における中子構造を具備する
成形型枠の要部断面正面図である。

【図２】養生時における同成形型枠の要部断面正面図で
ある。

【図３】本発明の実施例２における中子構造を具備する
成形型枠の要部断面正面図である。

【図４】図１の成形型枠で成形されるコンクリート製品
の斜視図である。

【図５】図４のI-I 線による断面図である。

【図６】従来の中子構造を具備する成形型枠の要部断面
正面図である。

【図７】養生時における同成形型枠の要部断面正面図で
ある。

【符号の説明】

Ａ 成形型枠 Ｃ コンクリート製品 ３ 貫通孔 13 中子

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】貫通孔を具備するコンクリート製品を成形
   する成形型枠における中子構造であって、型枠本体の内
   部に形成した成形空間内に中子を配設し、同中子の基端
   を型枠本体の側壁に軸線方向に摺動自在に取付け、同中
   子を、中子の温度上昇に連動して軸線方向に後退自在と
   したことを特徴とする成形型枠における中子構造。
2. 【請求項２】一対の中子の基端を、それぞれ、型枠本体
   の対向する側壁に取付け、両中子の先端同士を当接し、
   少なくともいずれか一方の中子の基端を、型枠本体の側
   壁に軸線方向に摺動自在に取付け、同中子を、中子の温
   度上昇に連動して軸線方向に後退自在としたことを特徴
   とする請求項１記載の成形型枠における中子構造。
3. 【請求項３】一つの中子の基端を型枠本体の一側側壁に
   摺動自在に取付け、かつ、同中子の先端を型枠本体の他
   側側壁に当接可能としたことを特徴とする請求項１記載
   の成形型枠における中子構造。