JPH08262376A - プリズム付きコンタクトレンズ - Google Patents

プリズム付きコンタクトレンズ

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Publication number
JPH08262376A
JPH08262376A JP6968095A JP6968095A JPH08262376A JP H08262376 A JPH08262376 A JP H08262376A JP 6968095 A JP6968095 A JP 6968095A JP 6968095 A JP6968095 A JP 6968095A JP H08262376 A JPH08262376 A JP H08262376A
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JP
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lens
prism
contact lens
toric
refractive power
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JP6968095A
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English (en)
Inventor
Shunei Shinohara
俊英 篠原
Yoshinori Awanohara
芳則 粟野原
Osamu Wada
修 和田
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Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、プリズムを付加することにより装用
時のレンズに方向付けを行なうコンタクトレンズ、例え
ば二重焦点コンタクトレンズ、トーリックコンタクトレ
ンズの光学性能の改良を目的とするものである。 【構成】プリズムを付加することによって発生する非点
収差を予め予測し、それを相殺するだけの屈折力と軸方
向をもつトーリック面をフロントカーブとして構成する
ことにより、非点収差を相殺する。フロントトーリック
レンズでは、フロントカーブに設定された乱視と、プリ
ズムにより生ずる収差を補正するための乱視とを合成し
た乱視を求め、それに対応するトーリック面をフロント
カーブに設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、角膜上における方向性
を有しかつ光学性能に優れるコンタクトレンズ、更に詳
しくは多焦点コンタクトレンズ及び/またはトーリック
コンタクトレンズに関する。
【0002】
【従来の技術】コンタクトレンズは、近視あるいは遠視
矯正用の単焦点レンズに加え老視矯正用の多焦点コンタ
クトレンズも普及してきている。多焦点コンタクトレン
ズとしては二重焦点、三重焦点、累進焦点等があるが、
以下二重焦点コンタクトレンズを代表として例にとり説
明を行なう。
【0003】二重焦点コンタクトレンズは、レンズの幾
何学中心のまわりに同心円状に遠用部と近用部を配置し
た同時視タイプのコンタクトレンズもあるが、レンズ上
部に遠用部をレンズ下部に近用部を配置した二重焦点コ
ンタクトレンズ、すなわちフロントカーブが異なる2つ
の曲率半径からなるコンタクトレンズが一般的である。
この構造の代表的なものとしては特開昭62−2833
12号に記載されているものがある。図2は特開昭62
−283312号に記載されている二重焦点コンタクト
レンズの正面図である。このレンズの使用方法としては
遠くを見る時は視線をまっすぐにし、角膜上のコンタク
トレンズの上部の遠用部1を介して見、読書時のように
視線を下にずらして近くを見るときは角膜上のコンタク
トレンズの下部の近用部2を介して見るのである。図中
の6は遠用部と近用部の境界を示す。このタイプのもの
は交互視タイプと呼ばれる。従って二重焦点コンタクト
レンズは、角膜上における遠用部・近用部の方向付け、
すなわち、近用部が遠用部に対して必ず垂直下方に位置
することが必要不可欠であり、その方向付けが保たれて
いないとその効果は全く得られないことになる。この角
膜上における方向付けは、遠視あるいは近視矯正用の単
焦点コンタクトレンズや真の同心円状に遠用部と近用部
を配置した同時視タイプのコンタクトレンズでは問題と
されない点である。
【0004】ここでまばたきに伴うコンタクトレンズの
動きについて考えてみると、瞼を開けた瞬間にはコンタ
クトレンズ上端は上瞼にくっつき、やがて角膜上をなめ
らかに下降し下瞼に到達する。まばたきするとまず上瞼
がレンズ上端をくわえ込むように動きレンズは閉瞼され
た結膜嚢内に入り、やがて上瞼の圧迫がコンタクトレン
ズ全体から上端に移るように瞼を開ける。まばたきによ
るこのコンタクトレンズの動きは回転を伴うものである
が、角膜上における方向付けを必要とする二重焦点コン
タクトレンズは、まばたきによっても回転してはなら
ず、仮に回転しても素早く元の方向に戻らねばならない
のである。
【0005】コンタクトレンズの角膜上における方向付
けをする手段の一つとして、レンズの凸面(フロントカ
ーブ)あるいは凹面(ベースカーブ)をレンズ中心から
所定量だけ偏心させて、すなわちレンズの処方としては
プリズムを付与してレンズ周辺部の一方向を肉厚化する
プリズムバラスト構造が知られている。こうすることで
重力の作用によりレンズが安定するのである。図3は、
図2の二重焦点コンタクトレンズの中央垂直断面図であ
り、プリズムバラスト構造を示したものである。図3に
示すとおりベースカーブ4の曲率中心Ob をレンズ中心
Gと遠用部フロントカーブ1の曲率中心Of を結ぶ直線
上から偏心させることにより、レンズの底部が上部と比
較して肉厚になる。その結果、レンズの重心が下方近用
部内に位置するようになり、角膜上の涙液上に浮かぶコ
ンタクトレンズは必ず近用部が下になるように方向付け
され、安定した姿勢を保つのである。ちなみに、特開昭
62−283312号では、図2及び図3に示すように
レンズ下方近用部の下端を水平に切削し、これによりレ
ンズの下端を下瞼上で支持させ、より一層の姿勢の安定
化を図っている。
【0006】この他に、目の中における方向付けが必要
なコンタクトレンズとしては、乱視矯正用のコンタクト
レンズがある。これは目の角膜や水晶体が球面でなく方
向によって角膜の曲率半径、すなわち焦点距離が異なる
トーリック状の形状をなしているために生じる現象であ
る。乱視矯正用のコンタクトレンズは、ベースカーブあ
るいはフロントカーブのいずれかもしくは両方をトーリ
ック形状にして方向により度数を変えたものであり、そ
れにより乱視を相殺し、視力を矯正するものである。そ
の場合、使用者の目の乱視軸の方向とコンタクトレンズ
のトーリックの軸、すなわちレンズ仕様上での乱視軸と
が正確に合致していなければならない。両者の光学軸が
互いにずれている場合は矯正効果がないばかりか、実際
の視界を損なってしまうことになるからである。
【0007】この乱視矯正用のレンズは一般にトーリッ
クレンズと呼ばれている。トーリックレンズには、前面
をトーリックにしたフロントトーリックレンズ、後面を
トーリックにしたバックトーリックレンズあるいは前面
と後面の両方をトーリックとしたフロント/バックトー
リックレンズがある。バックトーリックレンズは、角膜
の形状がトーリック状であることにより生ずる乱視に対
しては、角膜に接する後面のトーリックによりそれをキ
ャンセルさせるため、フロントトーリックに比べ、レン
ズの姿勢の安定性において優れている。フロント/バッ
クトーリックレンズは、角膜形状による乱視をバックト
ーリック面で解消した後、更に水晶体の形状に起因する
分の乱視についてはフロントトーリック面により矯正す
るもので、バックトーリックレンズと同様に姿勢の安定
性が優れている。
【0008】トーリックレンズの角膜上における方向付
けの手段としては前述したプリズムバラスト構造の他
に、米国特許第4,095,878号に示されている様
に、少なくともレンズの一部を切除する方法がある。こ
れは重心位置を回転中心位置より下方に維持するように
したもので、瞼の動きあるいは眼球の動きによってあら
ゆる方向へレンズが回転移動すると修正力を生じるので
あり、こうすることでコンタクトレンズ装着時にコンタ
クトレンズの正しい軸方向を維持できるのである。図4
は上部のみを切除した単弦式トーリックレンズを示す
図、図5は上部に加えて下部も切除した複弦式トーリッ
クレンズを示す図である。これらの図で斜線部分が切除
部分。これらの弦は下瞼によって固定される。また、こ
の単弦式と複弦式と前述のプリズムバラスト構造とを組
み合わせた方法もある。図6はフロントカーブの光軸を
レンズ中心から偏心させしかもレンズ下部を切除したト
ーリックコンタクトレンズである。
【0009】二重焦点コンタクトレンズ及び/またはト
ーリックコンタクトレンズの目の中における方向付けの
手段としては、前述したプリズムバラスト法、単弦式、
複弦式等の他にレンズの端部または端部近傍に若干大き
なプラスチック材料塊や金属を配設し、この重い端部が
回転軸の底部に向かって降下するのを利用し安定させる
方法もあるが、加工の容易さ等からプリズムバラスト法
が一般的である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、二重焦
点コンタクトレンズ及び/またはトーリックコンタクト
レンズにおいて、フロントカーブあるいはベースカーブ
のいずれかをレンズ中心から所定量だけ偏心させてやる
と、レンズ周縁部が肉厚化して角膜上におけるレンズの
位置決め性には効果があるが、反面レンズの中心部光学
領域にはプリズムが付与されることになり、非点収差が
生じ光学性能に問題が起こる。
【0011】具体例により、詳細に説明する。図7から
図10は、図2に示す二重焦点コンタクトレンズにおけ
る具体的な屈折力分布の第1の例を示したものである。
【0012】レンズの仕様としてはベースカーブ8.0
mm、遠用部度数−4ディオプトリー(以下、Dと略
す)、加入度数2Dすなわち近用度数は−2D、レンズ
中心Gにおけるプリズムは2プリズムディオプトリー
(以下、Δと表す)、プリズムの基底方向は270゜
(垂直下方)である。また遠用部と近用部の境界を示す
点Nはレンズ中心Gより、0.5mm下方である。このと
きの遠用部フロントカーブは半径8.74mm、近用部フ
ロントカーブは半径8.41mmである。
【0013】図7及び図8は、それぞれ遠用部における
レンズ中心Gを通る垂直な方向(Y軸方向)及び水平な
方向(X軸方向)の各位値での屈折力を示す。すなわ
ち、図7は、図11に示すように、レンズ中心Gを通る
垂直断面に、ベースカーブの曲率中心Ob とレンズ中心
Gとを結ぶ直線に平行に、主光線Y0 とそれに平行な光
線、例えばY-1、Y1 、Y2 、Y3 を入射したときに主
光線と各平行光線とで結ぶ焦点f-1、f1 、f2 、f3
を計算により求め、それを屈折力(単位:D)で表した
ものである。図8は、同様な計算をレンズ中心Gを通る
水平断面において行ったものである。
【0014】図7において、遠用部垂直方向の屈折力P
fyは、プリズム付加の影響でレンズ中心Gに対して対称
な分布にはならず、遠用部の下端の点Nから、上方に向
かって徐々に屈折力がプラス側に変化しており、狙いの
屈折力−4D(図中の破線)に対して、全体としてプラ
ス側にあることがわかる。この垂直方向の屈折力の点N
から2.5mm以内の平均値は、−3.66Dとなった。
【0015】一方、図8に示す、遠用部水平方向の屈折
力Pfxは、プリズムの基底方向とは直角であるため、左
右対称の分布となっており、レンズ中心から左右2.5
mm以内の平均値は、−4.09Dとなった。この結果か
ら、遠用部内のレンズ中心Gにおいては、垂直方向屈折
力の平均値−3.66Dと水平方向屈折力の平均値−
4.09Dとの差0.43Dが非点収差として発生して
いることがわかる。
【0016】次に、同様の計算を近用部において行なっ
た結果が図9及び図10である。図9は、図12に示す
ように、近用部の上端の点Nから下方にかけて、ベース
カーブの曲率中心Ob に向かって、点Nを通る主光線Y
o とそれに平行な光線、例えばY-1、Y-2、Y-3を入射
させ、その焦点f-1、f-2、f-3を求め、それを屈折力
で表したものである。図10は、点Nを通る水平断面に
おいて同様の計算を行ったものである。
【0017】図9において、近用部垂直方向の屈折力P
nyは、近用部上端の点Nから下方に向かって、マイナス
側に大きく移行していることがわかる。点Nから2.5
mm以内の平均値は−2.23Dであり、狙い値−2D
(図中の破線)に対してマイナス側となった。一方、図
10に示す、近用部水平方向の屈折力Pnxは、左右対称
であり、点Nから左右2.5mm以内の平均値は−1.9
4Dとなった。
【0018】この結果から、近用部の上端の点Nにおい
ては、垂直方向屈折力の平均値−2.23Dと水平方向
屈折力の平均値−1.94Dとの差0.29Dが非点収
差として発生していることがわかる。
【0019】図13から図16は、具体的な屈折力分布
の第2の例を示す図である。これも同じく図2の二重焦
点コンタクトレンズにおける例である。このレンズの仕
様はベースカーブ8.0mm、遠用部度数+2D、加入度
数2D、レンズ中心Gにおけるプリズムは2Δ、プリズ
ム基底方向は270゜である。
【0020】図13及び図14、はそれぞれ遠用部にお
けるレンズ中心Gを通る垂直方向及び水平方向の屈折力
分布を示しており、プリズムの作用により、垂直方向の
屈折力Pfyの平均値は+2.68D、水平方向の屈折力
fxの平均値は+2.19Dとなり、その差0.49D
の非点収差が生じている。図15及び図16は、それぞ
れ近用部における点Nを通る垂直方向及び水平方向の屈
折力分布を示しており、垂直方向の屈折力Pnyの平均値
は+3.98D、水平方向の屈折力Pnxの平均値は+
4.33Dとなり、その差0.35Dの非点収差が生じ
ている。
【0021】以上の説明のとおり、レンズの方向付けの
ためにプリズムを付加するプリズムバラスト法を行う
と、非点収差が発生し、その結果、物がボケて見えると
いう使用上の問題が生ずる。
【0022】この現象は、プリズムバラスト法を行うト
ーリックレンズにおいても同様に生じることは、上述の
二重焦点コンタクトレンズの例から容易に理解できる。
すなわち、トーリックレンズの場合は、上述の二重焦点
レンズの遠用部もしくは近用部の一方のみのケースであ
り、更にベースカーブ面あるいはフロント面がトーリッ
ク形状にアレンジされているケースとして考えれば良い
からで、結果として得られる屈折力は、意図されたトー
リック面による乱視にプリズムバラスト法により生ずる
非点収差が合成されたものとなる。
【0023】そこで本発明は、以上説明したような従来
の問題を解決し、目の中での方向付け(姿勢の安定化)
の手段としてプリズムバラスト構造を採用した二重焦点
コンタクトレンズ及び/またはトーリックコンタクトレ
ンズにおいて、目の中の安定性を保ちながら光学性能に
も優れたコンタクトレンズを提供すること目的とするも
のである。
【0024】
【課題を解決するための手段】本発明は、以上の課題を
解決するために、装用時のレンズの方向付けのためのプ
リズムを有するプリズム付きコンタクトレンズにおい
て、該コンタクトレンズの光学領域を構成するフロント
カーブにおいて、該プリズムの基底方向あるいはそれに
直角な方向に回転軸をもつトーリック面を形成すること
により、該プリズムにより生ずる収差の補正を行なうこ
とを特徴とする。
【0025】また、該プリズム付きコンタクトレンズ
が、多焦点コンタクトレンズあるいは、バックトーリッ
クレンズであることを特徴とする。
【0026】さらに該プリズム付きコンタクトレンズ
は、少なくともフロントカーブにトーリック面を有する
トーリックレンズであって、処方から決定されるフロン
トカーブの乱視と前記プリズムにより発生する収差を補
正する乱視とを予め合成し、その結果に従ったトーリッ
ク面をフロントカーブに形成することを特徴とする。
【0027】第1図に、二重焦点コンタクトレンズに本
発明を適用した場合のフロントカーブの形状を示す。図
1に示すように、遠用部1および/あるいは近用部2に
おいて水平方向(X方向)と垂直方向(Y方向)での曲
率半径がそれぞれrf1、rf2および/あるいはrn1、r
n2であるようなトーリック面を形成する。
【0028】一般にプリズムバラストのプリズム基底方
向は270゜(垂直下方)であるため、トーリック面を
構成する2つの曲率半径は、垂直及び水平となる。すな
わち、トーリック面の回転軸は垂直もしくは水平とな
る。プリズムバラストのプリズム基底方向を、270゜
よりずらす場合は、それに従ってトーリック面の回転軸
の方向もずらす必要がある。
【0029】
【作用】フロントカーブを適切なトーリック面にするこ
とにより、プリズムバラストにより発生する非点収差を
相殺し、良好な光学性能を得ることができる。
【0030】
【実施例】以下、実施例により、詳細に説明をする。
【0031】(実施例1)図17から図20に、第1の
従来例に示す二重焦点コンタクトレンズレンズに本発明
を適用した場合の屈折力分布の一例を示す。この例にお
いては遠用部フロントカーブ及び近用部フロントカーブ
にトーリック面を導入している。レンズの仕様は、図7
から図10を用いて説明した第1の従来例と同じく、ベ
ースカーブ8.0mm、遠用部度数−4D、加入度数2
D、レンズ中心Gにおけるプリズムは2△、プリズムの
基底方向は270°である。
【0032】遠用部フロントカーブは、水平方向(X方
向)の半径rf1が8.74mm、垂直方向(Y方向)の半
径rf2が8.81mmであるX方向に回転軸を有するトー
リック面となっている。また近用部フロントカーブは、
水平方向の半径rn1が8.41mm、垂直方向の半径rn2
が8.36mmのトーリック面となっている。
【0033】図17及び図18は、それぞれ本実施例に
よる遠用部におけるレンズ中心Gを通る垂直方向及び水
平方向の屈折力分布を示しており、図17と図7を比較
すると明らかなように、図17においては遠用部フロン
トカーブをトーリック面としたことにより、垂直方向の
屈折力Pfyが全体的に0.46Dだけマイナス側にシフ
トしている。その結果、従来例と同様にして求めた垂直
方向の屈折力の平均値は、−4.12Dとなる。
【0034】一方、図18と図8を比較すると明らかな
ように、水平方向の屈折力Pfxは従来と変わらないた
め、その平均値も−4.09Dと変わらず、垂直方向の
屈折力の平均値との差である非点収差は0.03Dとな
り、従来の0.43Dに比べて大幅に改善されている。
【0035】同様に、近用部フロントカーブをトーリッ
ク面としたことにより、近用部における点Nを通る垂直
方向の屈折力分布を示した図19と図9を比較すると明
らかなように、垂直方向の屈折力Pnyが0.31Dだけ
プラス側にシフトしており、その平均値は−1.92D
となる。一方、水平方向の屈折力分布を示した図20と
図10を比較すると明らかなように、水平方向の屈折力
nxの平均値は−1.94Dと変わらず。非点収差は
0.29Dから0.02Dに大幅に改善されている。
【0036】(実施例2)図21から図24に、第2の
従来例に示す二重焦点コンタクトレンズレンズに本発明
を適用した場合の屈折力分布の一例を示す。この例にお
いても遠用部フロントカーブ及び近用部フロントカーブ
にトーリック面を導入している。レンズの仕様は、図1
3から図16を用いて説明した第2の従来例と同じく、
ベースカーブ8.0mm、遠用部度数+2D、加入度数2
D、レンズ中心Gにおけるプリズムは2△、プリズムの
基底方向は270°である。
【0037】遠用部フロントカーブは、水平方向の半径
f1が7.88mm、垂直方向の半径rf2が7.95mmで
あるX方向に回転軸を有するトーリック面となってい
る。また近用部フロントカーブは、水平方向の半径rn1
が7.61mm、垂直方向の半径rn2が7.57mmのトー
リック面となっている。
【0038】図21及び図22は、それぞれ本実施例に
よる遠用部におけるレンズ中心Gを通る垂直方向及び水
平方向の屈折力分布を示しており、図21と図13を比
較すると明らかなように、図21においては遠用部フロ
ントカーブをトーリック面としたことにより、垂直方向
の屈折力Pfyが全体的に0.54Dだけマイナス側にシ
フトしている。その結果、垂直方向の屈折力の平均値
は、+2.14Dとなる。
【0039】一方、図22と図14を比較すると明らか
なように、水平方向の屈折力Pfxは従来と変わらないた
め、その平均値も+2.19Dと変わらず、垂直方向の
屈折力の平均値との差である非点収差は0.05Dとな
り、従来の0.49Dに比べて大幅に改善されている。
【0040】同様に、近用部フロントカーブをトーリッ
ク面としたことにより、近用部における点Nを通る垂直
方向の屈折力分布を示した図23と図15を比較すると
明らかなように、垂直方向の屈折力Pnyが0.33Dだ
けプラス側にシフトしており、その平均値は+4.31
Dとなる。一方、水平方向の屈折力分布を示した図24
と図16を比較すると明らかなように、水平方向の屈折
力Pnxの平均値は+4.33Dと変わらず。非点収差は
0.35Dから0.02Dに大幅に改善されている。
【0041】以上から明らかなように、プリズムバラス
ト法によりレンズの方向付けを行うレンズにおいて、そ
のフロントカーブをそのプリズム付加により発生する非
点収差量に応じたトーリック面に形成することにより、
その非点収差を相殺し、非点収差の極めて小さい良好な
光学性能をもつコンタクトレンズが実現できる。
【0042】この適切なトーリック面を決定する方法と
しては、コンピューターを使って、光線追跡法により、
プリズムバラストにより発生する非点収差を計算するこ
とにより可能である。
【0043】また、二重焦点コンタクトレンズの場合の
みを例にとって説明したが、、プリズムバラスト法を用
いたトーリックレンズにおいても本発明の適応は可能で
ある。すなわち、バックトーリックレンズにおいては、
レンズに処方された乱視については、レンズ後面のトー
リック面において実現し、プリズムバラストにより発生
する非点収差を相殺するためのトーリック面をフロント
面に構成すれば良い。またフロントトーリックレンズあ
るいはフロント/バックトーリックレンズにおいては、
フロントトーリック面に処方された乱視量と、プリズム
バラストにより発生する非点収差を計算し、それを補正
する乱視(すなわち、その収差量と同じでかつ乱視軸
が、その非点収差と直角である乱視)とを合成したトー
リック面を計算し、それに従って加工することにより、
狙いの乱視処方をもったトーリックレンズが実現可能で
ある。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
プリズムバラストによる装用時の方向付け、すなわちコ
ンタクトレンズの姿勢の安定化という本来の機能を損な
うことなく、プリズムバラストによって発生する非点収
差を相殺することができ、非点収差の極めて小さい、優
れた光学性能を有するプリズム付きコンタクトレンズを
提供することができ、多焦点コンタクトレンズやトーリ
ックコンタクトレンズの普及を図る上で多大の効果を有
するものである。
【0045】なお本発明では、プリズムバラストにより
発生する非点収差の補正をフロントカーブのトーリック
面化で行うこととしたが、その量が微量であればレンズ
の動きに影響しない範囲でベースカーブのトーリック面
化で補正することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 二重焦点コンタクトレンズに本発明を適用し
た場合のフロントカーブの形状を示す図。
【図2】 従来の代表的な二重焦点コンタクトレンズの
正面図。
【図3】 図2の二重焦点コンタクトレンズの中央垂直
断面図。
【図4】 従来の単弦式トーリックレンズを示す図。
【図5】 従来の復弦式トーリックレンズを示す図。
【図6】 従来のレンズ下部を切除したトーリックレン
ズを示す図。
【図7】 第1の従来例による二重焦点コンタクトレン
ズの遠用部におけるレンズ中心Gを通る垂直方向の屈折
力分布を示す図。
【図8】 第1の従来例による二重焦点コンタクトレン
ズの遠用部におけるレンズ中心Gを通る水平方向の屈折
力分布を示す図。
【図9】 第1の従来例による二重焦点コンタクトレン
ズの近用部における点Nを通る垂直方向の屈折力分布を
示す図。
【図10】 第1の従来例による二重焦点コンタクトレ
ンズの近用部における点Nを通る水平方向の屈折力分布
を示す図。
【図11】 第1の従来例による二重焦点コンタクトレ
ンズのレンズ中心G及びその近傍における屈折状態を示
す図。
【図12】 第1の従来例による二重焦点コンタクトレ
ンズの点N及びその近傍における屈折状態を示す図。
【図13】 第2の従来例による二重焦点コンタクトレ
ンズの遠用部におけるレンズ中心Gを通る垂直方向の屈
折力分布を示す図。
【図14】 第2の従来例による二重焦点コンタクトレ
ンズの遠用部におけるレンズ中心Gを通る水平方向の屈
折力分布を示す図。
【図15】 第2の従来例による二重焦点コンタクトレ
ンズの近用部における点Nを通る垂直方向の屈折力分布
を示す図。
【図16】 第2の従来例による二重焦点コンタクトレ
ンズの近用部における点Nを通る水平方向の屈折力分布
を示す図。
【図17】 実施例1による二重焦点コンタクトレンズ
の遠用部におけるレンズ中心Gを通る垂直方向の屈折力
分布を示す図。
【図18】 実施例1による二重焦点コンタクトレンズ
の遠用部におけるレンズ中心Gを通る水平方向の屈折力
分布を示す図。
【図19】 実施例1による二重焦点コンタクトレンズ
の近用部における点Nを通る垂直方向の屈折力分布を示
す図。
【図20】 実施例1による二重焦点コンタクトレンズ
の近用部における点Nを通る水平方向の屈折力分布を示
す図。
【図21】 実施例2による二重焦点コンタクトレンズ
の遠用部におけるレンズ中心Gを通る垂直方向の屈折力
分布を示す図。
【図22】 実施例2による二重焦点コンタクトレンズ
の遠用部におけるレンズ中心Gを通る水平方向の屈折力
分布を示す図。
【図23】 実施例2による二重焦点コンタクトレンズ
の近用部における点Nを通る垂直方向の屈折力分布を示
す図。
【図24】 実施例2による二重焦点コンタクトレンズ
の近用部における点Nを通る水平方向の屈折力分布を示
す図。
【符号の説明】
1・・・・・遠用部 2・・・・・近用部 rf1・・・・遠用部フロントカーブの水平方向の曲率半
径 rf2・・・・遠用部フロントカーブの垂直方向の曲率半
径 rn1・・・・近用部フロントカーブの水平方向の曲率半
径 rn2・・・・近用部フロントカーブの垂直方向の曲率半

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】装用時のレンズの方向付けのためのプリズ
    ムを有するコンタクトレンズにおいて、該コンタクトレ
    ンズの光学領域を構成するフロントカーブにおいて、該
    プリズムの基底方向あるいはそれに直角な方向に回転軸
    をもつトーリック面を形成することにより、該プリズム
    により生ずる収差の補正を行なうことを特徴とするプリ
    ズム付きコンタクトレンズ。
  2. 【請求項2】多焦点コンタクトレンズであることを特徴
    とする請求項1に記載のプリズム付きコンタクトレン
    ズ。
  3. 【請求項3】バックトーリックレンズであることを特徴
    とする請求項1に記載のプリズム付きコンタクトレン
    ズ。
  4. 【請求項4】装用時のレンズの方向付けのためのプリズ
    ムを有するコンタクトレンズにおいて、該コンタクトレ
    ンズは、少なくともフロントカーブにトーリック面を有
    するトーリックレンズであって、処方から決定されるフ
    ロントカーブの乱視と前記プリズムにより発生する収差
    を補正する乱視とを予め合成し、その結果に従ったトー
    リック面をフロントカーブに形成することを特徴とする
    プリズム付きコンタクトレンズ。
JP6968095A 1995-03-28 1995-03-28 プリズム付きコンタクトレンズ Pending JPH08262376A (ja)

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