JPH08245299A - 炭化ケイ素の結晶成長方法 - Google Patents

炭化ケイ素の結晶成長方法

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JPH08245299A
JPH08245299A JP5072195A JP5072195A JPH08245299A JP H08245299 A JPH08245299 A JP H08245299A JP 5072195 A JP5072195 A JP 5072195A JP 5072195 A JP5072195 A JP 5072195A JP H08245299 A JPH08245299 A JP H08245299A
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crucible
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seed crystal
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JP5072195A
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Kazuyuki Koga
和幸 古賀
Kiyoshi Ota
潔 太田
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Sanyo Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 貫通欠陥が低減された炭化ケイ素単結晶の成
長方法を提供することである。 【構成】 るつぼ22内の上面または底面の中心から一
方向に偏った位置に保持台23を配置することにより、
保持台23の一方の縁部Xの温度を対向する縁部Yに比
べて相対的に低く設定する。それにより、保持台23上
に設置される種結晶基板20の一方の縁部xから対向す
る縁部yに渡って単調増加する温度勾配を設け、ステッ
プ成長を主体とする成長機構により種結晶基板20上に
SiC単結晶を成長させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、昇華法により炭化ケイ
素単結晶を成長させる炭化ケイ素単結晶の成長方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】炭化ケイ素(SiC)は、広いバンドギ
ャップを有し、高温で安定であり、かつ機械的強度に優
れることから、高出力素子(パワーデバイス)や高周波
素子としての応用が検討されており、また、窒化アルミ
ニウム(AlN)、窒化ガリウム(GaN)等の窒化物
半導体材料とほぼ等しい格子定数を有することから、G
aN系発光素子の基板として注目されている。
【0003】SiC単結晶の成長方法としては、Tairov
らによってJounal of Crystal Growth 52(1981)146に開
示された種結晶を用いた昇華法が工業的に確立されてい
る。この成長方法は、アルゴン(Ar)ガス等の不活性
ガス雰囲気の減圧状態で、黒鉛(グラファイト)のるつ
ぼ内に平板状のSiC単結晶からなる種結晶基板および
粉末状の多結晶SiC原材料を配設し、種結晶基板と原
材料とに相対的に温度勾配を設け、高温の多結晶SiC
原材料を昇華させて低温の種結晶基板上に再結晶させる
という原理を有している。
【0004】従来の炭化ケイ素単結晶の成長方法では、
例えば図9に示するつぼが用いられる。上面および底面
を有する円筒形状のるつぼ1は黒鉛により形成されてい
る。るつぼ1内の上面または下面の中央部に黒鉛からな
る円柱状の保持台2が設けられ、その保持台2に種結晶
基板3が取り付けられる。一般に、種結晶基板3として
は、{0001}面の結晶成長面を有するSiC単結晶
が用いられる。るつぼ1内の種結晶基板3と反対側に粉
末状のSiC多結晶からなるSiC原材料4が収納され
る。SiC原材料4と種結晶基板3との間の距離は約2
0mmから100mmである。
【0005】図10に一般的な結晶成長装置の概略図を
示す。図9のるつぼ1は、図10に示す水冷式反応管6
の反応室内に配置される。るつぼ1の周囲には熱シール
ド材7が配置され、反応管6の周囲には高周波コイル8
が巻装されている。ガス導入口9からArガス等の不活
性ガスが反応室内に導入され、排気口10からロータリ
ーポンプにより排気が行われる。 G.Zieglerらの特公昭
63−57400号公報に開示されているように、通
常、反応管6内の反応室の圧力は数Torrに保たれ、
るつぼ1の温度は約2100℃から2300℃に保たれ
る。
【0006】図9に示すように、高周波コイル8によっ
てるつぼ1を加熱し、種結晶基板3が2150〜235
0℃となり、かつSiC原材料4が2200〜2400
℃となるように温度勾配を設けると、SiC原材料4が
昇華し、るつぼ1内に発生した昇華ガスが種結晶基板3
に当たって種結晶基板3の表面にSiC単結晶5のイン
ゴットが成長する。なお、温度設定には、高周波加熱法
の他に抵抗加熱法も使用されている。
【0007】例えば、文献S.Amelinckx et al, in Sili
con Carbide, Eds., J.R.O'Connorand J.Smiltens(Perg
amon Press, 1960)162 に開示されているように、昇華
法によるSiC単結晶の成長、あるいはSiC研磨材の
工業的製法である Acheson法による成長では、渦巻き成
長が主要な成長機構として認知されている。
【0008】ここで、例えば、高須新一郎によって、物
理工学実験12「結晶育成基礎技術」(東京大学出版会
1980年)の第89頁〜第93頁に述べられている
渦巻き成長機構について簡単に説明する。なお、以下で
は単純な1個の螺旋転位についてのモデルについて述べ
るが、実際には複数個の螺旋転位が互いに影響し合った
り、その他の転位、欠陥と結合した比較的大きく複雑な
渦巻き成長中心が存在する。
【0009】図11に螺旋転位の発生モデルを示し、図
12に螺旋転位を中心とした渦巻き成長モデルを示す。
図11に示すように、結晶11に転位線を中心として矢
印Aおよび矢印Bで示す滑り方向に螺旋転位が発生する
と、昇華された原子が段差の側壁に順次付着し、図12
に示すように、転位線を中心として渦巻き状に成長が進
行する。これは、結晶表面に到達した原子は、平らな部
分では不安定で動きやすいのに対し、段差の側壁部分で
は隣り合わす原子が多いので安定となるからである。
【0010】昇華法での成長に限定すると、従来のSi
C単結晶の成長方法において渦巻き成長が起こる原因は
次のように考えられる。例えば、 G.Zieglerらの文献IE
EE Trans.Electron Devices ED-30(1983)277から引用す
ると、図13に示すように、種結晶基板を設置する円柱
状の保持台2は円筒形状のるつぼ1の中心部に設けられ
ているので、るつぼ1を高周波で加熱した場合、保持台
2は円筒中心軸に対称に熱伝導および熱輻射で加熱され
る。したがって、保持台2の温度分布は中心部が低温と
なり、外周部が高温となり、図14に示すように、保持
台2上に設置された種結晶基板12も同様な温度分布を
有するものと考えられる。その結果、相対的に低温であ
る種結晶基板12の中心部分でより多くの核発生が行わ
れ、種結晶基板12の中央部を中心として複数の渦巻き
成長が行われる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上記のような従来のS
iC単結晶の成長方法により得られたSiC単結晶に
は、成長方向に連続的に伸びる貫通欠陥(Micropipe;マ
イクロパイプ) が多数存在する。例えば、 GL.Barretら
の文献Jounal of Crystal Growth 137(1994)181 による
と、SiC単結晶中に100から1000[cm-2]の
貫通欠陥が存在している。
【0012】貫通欠陥は、成長初期の種結晶の近傍で発
生しており、結晶成長とともに結晶の上部まで伝播す
る。この結晶欠陥の発生原因は明確に解明されていない
が、成長初期に多くの結晶核が発生した基板中心部分に
存在する格子不整合、異種結晶形の発生部分などに起源
を持ち、転位の発生とともに渦巻き成長を行い、成長と
ともに成長上部に引き継がれて行くものと考えられる。
【0013】貫通欠陥の成長機構は、主として渦巻き成
長の集合体であるので、貫通欠陥の多いSiC単結晶に
は、成長最表面に多数の渦巻きパターンが観察される。
このような貫通欠陥が存在する基板を用いた素子では、
その性能が著しく低下する。例えば、KogaらによるAmor
phous and Crystalline Silicon Carbide IV,Eds. C.Y.
Yang,M.M.Rahman and G.L.Harris (Springer-verlag, B
erlin, 1992)96 には、発光ダイオードを製作した場合
にリーク電流の増加および光度の低下が起こることが報
告されている。また、高出力素子の試作でも、耐圧が保
たれないことが報告されている。したがって、SiC単
結晶基板を用いた素子の性能を向上させたり、ウエハ内
の歩留りを上げるためには、この貫通欠陥を低減するこ
とが重要となる。
【0014】それゆえに、本発明の目的は、貫通欠陥が
低減化されたSiC単結晶の成長方法を提供することで
ある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者は、貫通欠陥の
発生が渦巻き成長を主体とする成長の初期過程で生じる
ことに着目し、成長の機構を変化させるべく次の本発明
を創作した。
【0016】本発明に係る炭化ケイ素単結晶の成長方法
は、炭化ケイ素原材料を昇華させて種結晶基板上に炭化
ケイ素単結晶を成長させる方法において、種結晶基板上
にステップ成長を主体とする成長機構を用いて炭化ケイ
素単結晶を成長させるものである。
【0017】種結晶基板の一方の縁部から対向する他方
の縁部に渡って温度勾配を設けてもよい。温度勾配は、
一方の縁部から他方の縁部に向かって単調増加または単
調減少する温度分布であることが好ましい。
【0018】種結晶基板として{0001}面から5度
ないし30度傾斜した結晶成長面を有する単結晶基板を
用いてもよい。種結晶基板の結晶成長面は{0001}
面から〈1120〉方向に傾斜していてもよく、〈10
10〉方向に傾斜していてもよい。
【0019】
【作用】本発明に係る炭化ケイ素単結晶の成長方法にお
いては、ステップ成長を主体とする成長機構により種結
晶基板上に炭化ケイ素単結晶が成長する。このようなス
テップ成長が支配的になると、広い結晶表面上に発生す
る自然核を原因とするランダムな島状成長が防止される
とともに、島状成長の不規則な結合等により生じる異種
結晶形(例えば、6H形SiC単結晶からなる種結晶上
に6H形SiC単結晶を成長させる場合、3C型、15
R型等)の発生および格子不整合が防止され、ひいては
渦巻き成長が生じなくなる。それにより、渦巻き成長と
密接な関係を有する貫通欠陥の発生が減少し、素子性能
の向上につながる高品質な炭化ケイ素単結晶が形成され
る。
【0020】図1に示すように、種結晶基板20の一方
の縁部から対向する他方の縁部に渡って温度勾配を設け
ると、温度が相対的に低い縁部において結晶核の発生が
早くしかも多くなる。成長の初期過程では、この結晶核
から島状成長が行われ、それらが互いに結合し合って低
温側の縁部にステップ(段差)が形成される。ステップ
が形成されると、そのステップの側壁に分子種が吸着
し、ステップの発生した低温側の縁部から高温の縁部に
向かってステップの成長が進行するとともに、そのステ
ップ上の低温側の縁部に新たなステップが形成される。
この過程が繰り返されることにより、図1に示すような
ステップ成長機構を主体とする成長層21が形成され
る。結果的に、渦巻き成長の発生が抑制され、渦巻き成
長と密接な関係がある貫通欠陥の発生が防止される。
【0021】図2に示すように、{0001}面から角
度θだけ傾斜した成長面31を有する種結晶基板30で
は、成長面31に密度の高い結晶構造的ステップ32が
存在する。それにより、広い結晶表面で成長初期に起こ
る結晶核の発生がなくなり、結晶構造的ステップ32へ
の分子種の吸着を中心としたステップ成長が開始する。
この場合、成長の初期過程で分子種がステップ32の側
壁に吸着し、各ステップ32のテラス33上に成長が進
行する。結果的に、渦巻き成長の発生が抑制され、渦巻
き成長と密接な関係を有する貫通欠陥の発生が防止され
る。
【0022】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照しながら
詳細に説明する。図3は本発明の実施例によるSiC単
結晶の成長方法に用いる結晶成長装置の概略図である。
【0023】図3において、水冷式石英二重管からなる
反応管40の反応室41内にるつぼ22が配置される。
るつぼ22の周囲は保温のために熱シールド材42で覆
われ、反応管40の周囲には高周波コイル43が巻装さ
れている。流量計45およびバルブ46を介して供給さ
れるArガス等の不活性ガスがガス導入口44から反応
室41に導入される。反応室41は排気口47からロー
タリーポンプにより排気され、数Torr程度の圧力に
保たれる。冷却水入口48から導入される冷却水は、石
英二重管を循環して冷却水出口49から排出される。
【0024】まず、本発明の第1の実施例によるSiC
単結晶の成長方法を説明する。本実施例では、6H形S
iC単結晶からなる種結晶基板の{0001}面上に6
H形SiC単結晶を成長させる。図4(a)は第1の実
施例によるSiC単結晶の成長方法に用いるるつぼの上
部の縦断面図、図4(b)はそのるつぼの横断面図およ
び温度分布を示す図、図4(c)は種結晶基板上に成長
した成長層を示す図である。
【0025】円筒形状のるつぼ22は黒鉛により形成さ
れている。るつぼ22内の上面の中心から一方向に偏っ
た位置に、黒鉛からなる円柱状の保持台23が設けられ
ている。保持台23上にはSiC単結晶からなる種結晶
基板20が設置される。
【0026】ここで、図4(a)に示すように、るつぼ
22の外径をD1とし、保持台23の直径をD2とし、
るつぼ22の周壁の厚さをWとし、保持台23の外周面
とるつぼ22の内周面との間の最大距離および最小距離
をそれぞれL1およびL2とする。例えば、るつぼ22
の外径D1は100mmであり、るつぼ22の周壁の厚
さWは15mmである。また、保持台23の直径D2は
35mmであり、保持台23の外周面とるつぼ22の内
周面との間の最大距離L1は25mmであり、最小距離
L2は10mmである。
【0027】このようなるつぼ22を図3に示した結晶
成長装置の反応室41内に配置し、高周波コイル43に
より高周波加熱を行う。従来の成長方法と同様に、Si
C原材料(図示せず)が高温となり、種結晶基板20が
低温となるように温度勾配を設けることにより、SiC
原材料が昇華して種結晶基板20の表面に昇華ガスの分
子種が当たる。
【0028】この場合、るつぼ22の周壁からの熱伝導
および熱輻射により保持台23が加熱されるので、図4
(b)に示すように、保持台23においてるつぼ22の
周壁から最も近い縁部Yが周壁から最も遠い縁部Xに比
べて高温になり、縁部Xから縁部Yに渡って温度勾配が
設定される。例えば、るつぼ22の外周面が2300℃
に設定された場合、保持台23の縁部Xが2250℃と
なり、縁部Yが2280℃となり、その間の領域では温
度が単調増加する。
【0029】それにより、保持台23上に設置される種
結晶基板20においても、るつぼ22の周壁から最も遠
い縁部xの温度がるつぼ22の周壁に最も近い縁部yの
温度よりも相対的に低くなる。
【0030】したがって、縁部xでの結晶成長が縁部y
に比べて速くなり、縁部xからステップ成長が開始され
る。縁部xにステップが形成されると、そのステップの
側壁に分子種が吸着し、縁部xから縁部yに向かってス
テップの成長が進行するとともに、そのステップ上の縁
部xに新たなステップが形成される。その結果、図4
(c)に示すように、種結晶基板20上にステップ成長
機構を主体とする成長層21が形成される。
【0031】本実施例の成長方法によれば、ステップ成
長が支配的となり、渦巻き成長の発生が抑制されるの
で、貫通欠陥が少ない高品質のSiC単結晶が得られ
る。次に、本発明の第2の実施例によるSiC単結晶の
成長方法を説明する。本実施例においても、6H形Si
C単結晶からなる種結晶基板の{0001}面上に6H
形SiC単結晶を成長させる。図5(a)は第2の実施
例によるSiC単結晶の成長方法に用いるるつぼの部分
斜視図、図5(b)はそのるつぼの部分縦断面図であ
る。
【0032】図5(a)に示すように、黒鉛からなる方
形のるつぼ51内の底面または上面に方形の保持台52
が設けられている。保持台52上にSiC単結晶からな
る方形の種結晶基板53が配置される。
【0033】図5(b)に示すように、保持台52は、
るつぼ51の一方の側壁54に近く、他方の側壁55か
ら遠い位置に配置されている。すなわち、るつぼ51の
一方の側壁54から保持台52の一方の側面までの距離
をL3とし、るつぼ51の他方の側壁55から保持台5
2の他方の側面までの距離をL4とすると、L3<L4
に設定する。
【0034】この場合、るつぼ51の側壁54,55か
らの熱伝導および熱輻射により保持台52が加熱される
ので、図6に示すように、保持台52の一方の側縁部V
から他方の側縁部Wに向かって単調増加する温度勾配が
設定される。したがって、保持台52上の種結晶基板5
3の一方の側縁部vから他方の側縁部wに向かって単調
増加する温度勾配が設定される。それにより、低温側の
側縁部vでの成長が高温側の側縁部wに比べて速くな
り、側縁部vからステップ成長が開始する。その結果、
第1の実施例と同様に、ステップ成長を主体とする成長
機構が支配的となり、渦巻き成長が抑制されるため、貫
通欠陥が少ない高品質のSiC単結晶が得られる。
【0035】次に、本発明の第3の実施例によるSiC
単結晶の成長方法を説明する。図7は第3の実施例によ
るSiC単結晶の成長方法に用いる種結晶基板を示す図
である。
【0036】図7に示すように、種結晶基板30は、
{0001}面から〈1120〉方向に10°〜30°
傾斜した成長面31を有する6H形SiC単結晶からな
る。このような成長面31の傾斜角度をオフ角度と呼
ぶ。種結晶基板30の成長面31には、多数の結晶構造
的ステップ32が高密度で存在する。本実施例では、こ
のような種結晶基板30上に6H形SiC単結晶を成長
させる。
【0037】この種結晶基板30をるつぼ内の保持台に
設置する。種結晶基板30を設置するるつぼとしては、
図4に示したるつぼ22または図5に示したるつぼ51
を用いてもよく、あるいは図9に示したるつぼ1を用い
てもよい。第1および第2の実施例と同様に、るつぼを
結晶成長装置の反応室内に設置して加熱を行うと、種結
晶基板30の成長面31上への結晶成長が行われる。
【0038】上記のように、種結晶基板30の成長面3
1には多数の結晶構造的ステップ32が高密度で存在す
るので、広い結晶表面で成長初期に起こる結晶核の発生
が抑制され、ステップ32へのSiCの分子種の吸着に
よるステップ成長が開始される。この場合、成長の初期
過程で分子種がステップ32の側壁に吸着し、各ステッ
プ32のテラス33上に成長が進行する。
【0039】種結晶基板のオフ角度と貫通欠陥の密度と
の関係を測定したところ、図8に示す結果が得られた。
図8に示すように、{0001}面(オフ角度0°)の
SiC単結晶基板を用いた場合には、貫通欠陥が約54
0[個/cm2 ]であるのに対し、{0001}面から
〈1120〉方向にオフ角度5°〜20°を有するSi
C単結晶基板を用いた場合には、貫通欠陥が約220〜
330[個/cm2 ]となっている。
【0040】また、{0001}面のSiC単結晶基板
上およびオフ角度5°のSiC単結晶基板上にそれぞれ
成長したSiC単結晶の表面を走査型電子顕微鏡(SE
M)で観察した。{0001}面のSiC単結晶基板上
に成長したSiC単結晶の表面には多数の渦巻き成長パ
ターンが見られたのに対して、オフ角度5°のSiC単
結晶基板上に成長したSiC単結晶の表面にはステップ
成長パターンが見られ、渦巻き成長パターンは見られな
かった。
【0041】これらの結果から、種結晶基板のオフ角度
が5°以下になると、渦巻き成長とステップ成長とが混
在する不安定な成長になるが、種結晶基板のオフ角度が
5°以上であればステップ成長が安定に発生するものと
考えられる。なお、{0001}面から〈1010〉方
向へ傾斜した成長面を有するSiC単結晶基板を用いて
も、同様の効果が得られる。
【0042】このように、本実施例の成長方法によれ
ば、ステップ成長を主体とする成長が進行し、渦巻き成
長の発生が抑制されるので、貫通欠陥が少ない高品質の
SiC単結晶が得られる。
【0043】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、種結晶基
板上にステップ成長を主体とする成長機構を用いて炭化
ケイ素単結晶を成長させることにより、渦巻き成長の発
生が抑制され、貫通欠陥が大幅に減少した高品質の炭化
ケイ素単結晶が安定に得られる。したがって、炭化ケイ
素単結晶を基板として用いた素子の性能の向上を図るこ
とが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による温度勾配を用いたSiC単結晶の
成長方法を説明するための図である。
【図2】本発明による傾斜基板を用いたSiC単結晶の
成長方法を説明するための図である。
【図3】本発明の実施例によるSiC単結晶の成長方法
に用いる結晶成長装置の概略図である。
【図4】本発明の第1の実施例によるSiC単結晶の成
長方法に用いるるつぼの部分縦断面図、横断面図および
種結晶基板上に成長した成長層を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施例によるSiC単結晶の成
長方法に用いるるつぼの部分斜視図および部分縦断面図
である。
【図6】図5のるつぼの保持台の温度分布を示す図であ
る。
【図7】本発明の第3の実施例によるSiC単結晶の成
長方法に用いる種結晶基板を示す図である。
【図8】種結晶基板のオフ角度と貫通欠陥の密度との関
係の測定結果を示す図である。
【図9】従来のSiC単結晶の成長方法に用いるるつぼ
およびその温度分布を示す図である。
【図10】SiC単結晶の成長に用いられる一般的な結
晶成長装置の概略図である。
【図11】螺旋転位の発生モデルを示す図である。
【図12】渦巻き成長モデルを示す図である。
【図13】従来のSiC単結晶の成長方法に用いるるつ
ぼの温度分布を示す図である。
【図14】従来のSiC単結晶の成長方法に用いる種結
晶基板の温度分布および渦巻き成長を示す図である。
【符号の説明】
20,30,53 種結晶基板 21 成長層 22,51 るつぼ 23,52 保持台 31 成長面 32 ステップ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭化ケイ素原材料を昇華させて種結晶基
    板上に炭化ケイ素単結晶を成長させる方法において、前
    記種結晶基板上にステップ成長を主体とする成長機構を
    用いて炭化ケイ素単結晶を成長させることを特徴とする
    炭化ケイ素単結晶の成長方法。
  2. 【請求項2】 前記種結晶基板の一方の縁部から対向す
    る他方の縁部に渡って温度勾配を設けることを特徴とす
    る請求項1記載の炭化ケイ素単結晶の成長方法。
  3. 【請求項3】 前記種結晶基板として{0001}面か
    ら5度ないし30度傾斜した結晶成長面を有する単結晶
    基板を用いることを特徴とする請求項1または2記載の
    炭化ケイ素単結晶の成長方法。
JP5072195A 1995-03-10 1995-03-10 炭化ケイ素の結晶成長方法 Pending JPH08245299A (ja)

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