JPH08243532A - 厨房廃棄物処理装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 処理槽内に混入した幼虫等の殺虫を効果的に
行う。 【構成】 処理槽１内には処理材６が収容されており、
この処理材６に担持された微生物が投入される厨房廃棄
物を好気的に分解処理する。ここで、定期的にヒータ１
２によって処理材６を加熱し、ここの温度を６０〜７０
゜Ｃにする。これによって、微生物に悪影響を抑制し
て、殺虫処理が行える。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は微生物を利用した厨房廃
棄物の処理装置、特に家庭の厨房等から生じる厨房廃棄
物を好気性微生物を利用して分解処理する厨房廃棄物処
理装置およびその処理方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】家庭の厨房等から排出される厨房廃棄物
（食品産業や飲食産業からの廃棄物を含む）は、地方公
共団体等により、生ゴミあるいは可燃ゴミとして分別回
収され、焼却処理や埋め立て処理により、一括処分され
ている。このような廃棄物処理システムでは、回収作業
に多大な労働力を必要とする。また、焼却のためには多
大なエネルギーが必要であり、埋め立てのためには広大
な埋め立て用地を必要とする。

【０００３】さらに、生ゴミの処理における各工程にお
いて、悪臭が漂うなど、環境衛生上の深刻な社会問題を
も生じさせている。このため、厨房廃棄物の処理は、回
収して一括処分するのではなく、これらの発生源、すな
わち家庭等の厨房等において処分されることが望ましい
と考えられる。しかしながら、個々の発生源において、
処理のための焼却処理装置あるいは埋め立て用地を確保
することは到底困難なことである。

【０００４】そこで、従来より、微生物を利用して厨房
廃棄物を堆肥化（いわゆるコンポスト化）して、処理す
る厨房廃棄物処理装置が知られており、近年家庭用のも
のも相次いで製品化されている。

【０００５】この厨房廃棄物処理装置では、所望の微生
物を含ませたおが屑などの木材細片を処理材として利用
し、処理槽内にて厨房廃棄物を処理材に混ぜて好気的に
発酵させる。そして、この好気的発酵により、厨房廃棄
物をコンポスト化し、おが屑含む堆肥状の生成物を得
る。得られた堆肥状の生成物は、例えば家庭菜園等の園
芸用の肥料として再利用することができる。そこで、こ
の厨房廃棄物処理装置を利用すれば、厨房廃棄物の発生
源において、その処理が行える。

【０００６】しかしながら、この方法では、厨房廃棄物
は堆肥状の生成物に変換されるだけであり、廃棄物は消
滅するわけではない。従って、堆肥状の生成物を再利用
するなど処分する能力のない住宅などには不向きであ
る。

【０００７】そこで、厨房廃棄物を堆肥状の生成物では
なく、その実質的な構成物を水やガス等の低分子量の分
解生成物に分解する方法も提案されている。この方法で
は、コンポスト化と同様に厨房廃棄物を好気的に分解す
るが、このとき厨房廃棄物を水、ミネラル、ガス等にま
で、分解することで厨房廃棄物をほぼ完全に消滅するこ
とができる。そこで、堆肥などの処分能力がない場合に
も、好適に利用できる。なお、このような装置は、例え
ば実開平５−８８６８３公報に示されている。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】ここで、厨房廃棄物に
は、蝿、虻等の虫卵が混入している場合がある。これ
は、野菜など付着しているものと考えられる。このた
め、処理槽内でこれが孵化、幼虫が発生する場合があ
る。このような状況の発生は好ましいものではなく、殺
虫処理を必要とする。殺虫のためには、殺虫剤の散布が
考えられ、特にこれらの殺虫処理の有効な殺虫剤なども
提案されている。

【０００９】しかし、殺虫剤による処理により効力がお
よぶのは基本的に短期間のみであり、余り効果的でない
場合が多い。殺虫剤は投入された後、漸次流出したり分
解したりして、その効力を失う。また、大量の殺虫剤の
使用は、処理そのものに悪影響を及ぼす危険があった。
そこで、虫卵の孵化、幼虫発生を効果的に防止すること
が望まれていた。

【００１０】本発明は、上記課題に鑑みなされたもので
あり、簡単な方法で、虫卵の孵化、幼虫の発生を効果的
に防止できる厨房廃棄物処理装置およびその方法を提供
することを目的とする。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明は、微生物を担持
した処理材を収容した処理槽内において厨房廃棄物を処
理する厨房廃棄物処理装置において、処理槽の内部にお
ける処理材の温度を６０〜７０゜Ｃに加熱する加熱装置
を有することを特徴とする。

【００１２】また、本発明は、さらに、処理材の温度を
計測する温度計測手段を有し、この温度計測手段の計測
値に基づいて上記加熱装置による加熱を制御することを
特徴とする。

【００１３】また、本発明は、さらに、加熱時期制御手
段を有し、上記加熱装置による加熱を定期的に行うこと
を特徴とする。

【００１４】また、本発明は、さらに、加熱時間制御手
段を有し、処理材の温度を６０〜７０゜Ｃに維持する時
間を制御することを特徴とする。

【００１５】また、本発明は、さらに、処理槽内の処理
材を撹拌する撹拌装置を有し、上記加熱装置により加熱
する時に、撹拌装置による撹拌を行うことを特徴とす
る。

【００１６】また、本発明は、微生物を担持した処理材
に厨房廃棄物を混合して、厨房廃棄物を処理する厨房廃
棄物処理方法において、所定の頻度で、処理材の温度を
６０〜７０゜Ｃに一過的に加熱し、虫の発生を防止する
ことを特徴とする。

【００１７】

【作用】微生物は、例えばおが屑などからなる処理材に
担持されており、処理槽内には、所定量の処理材が収容
される。厨房廃棄物がこの処理材に混合されると、処理
材に担持されている微生物によって厨房廃棄物が炭酸ガ
ス、水などに分解される。

【００１８】ここで、本発明では、処理を行っている際
の処理材の温度を定期的（例えば１０日に１度程度）
に、６０〜７０゜Ｃにする。このような高温にすると、
孵化した幼虫などが死滅する。一方、厨房廃棄物の好気
的分解処理の中心を担う微生物（細菌）は、高温性の細
菌であり、７０゜Ｃ程度では、死滅しない。従って、こ
のような高温にすることによって処理機能を維持しつ
つ、殺虫処理を行うことができる。

【００１９】また、温度を計測し、加熱を制御すること
によって、温度を確実に６０〜７０゜Ｃにすることがで
きる。さらに、加熱時期制御手段により、１０日に一度
等の定期的な加熱処理を自動的に行える。また、６０〜
７０゜Ｃに維持する時間を制御することによって、最適
な時間で効果的な殺虫処理が行える。さらに、加熱処理
の際に、処理材を撹拌することによって、全体をまんべ
んに加熱することができる。

【００２０】

【実施例】以下、本発明の実施例について、図面に基づ
いて説明する。図１は、実施例に係る厨房廃棄物処理装
置の構成を示す図である。処理槽１内には、厨房廃棄物
（生ゴミ）を処理するための内部空間２が形成されてい
る。処理槽１の上部は、蓋３によって封止されている。
なお、蓋３は、処理槽１から取り外せるようになってい
る。また、内部空間２内には、パドル状の撹拌機４が設
けられている。この撹拌機４は水平方向に保持され、モ
ータ５によって回転される。

【００２１】処理槽１の内部の内部空間２には、所望の
微生物を担持する処理材６が収容されている。なお、処
理が行われている時には、処理槽１の内部空間２に厨房
廃棄物が投入されるため、処理材６中に生ゴミが混合さ
れている。

【００２２】また、処理槽１の下部には、処理材６を支
持すると共に、空気および水を通すことができる多孔板
７が設けられている。処理槽１の多孔板７の下方の部位
は、ホッパ状に形成されており、最低部（ホッパの中心
部）には、処理槽１の底部に溜まった水を排水する排水
管８が接続されている。また、処理槽１の上部には、排
気口９が設けられている。

【００２３】処理槽１内の上部空間には、ファン１０が
設けられている。また、このファン１０の吸気口には、
プレヒータ１１が設けられており、ファン１０を駆動す
る場合には、プレヒータ１１もオンし、温風を処理槽１
内に供給する。

【００２４】そして、処理槽１内の処理材６の下部に
は、ヒータ１２が設けられ、処理材中の上部には温度セ
ンサ１３が設けられている。また、これらヒータ１２お
よび温度センサ１３は、制御装置１４に接続されてい
る。制御装置１４は、内蔵のタイマ１４ａおよび温度セ
ンサ１３の検出結果に応じて、ヒータ１２のオンオフを
制御する。なお、ヒータ１２は、ニクロム線に石綿を巻
いたものなど各種のものが採用可能である。また、ヒー
タ１２の配置位置は、撹拌機４の上方でもよく、また複
数本処理材６中に挿入してもよい。

【００２５】この装置により、厨房廃棄物の処理を行う
場合には、まず処理槽１内に処理材６を投入する。この
処理材６は、例えば、ある程度大きさのそろった（直径
数ｍｍ程度）杉材のおが屑で、所定の細菌（好気性の高
温細菌であって、生ゴミを大気中で好気性発酵させる場
合に自然発生する複数種の細菌）が予め担持されたもの
が採用される。また、おが屑は、微生物の生育に不適な
成分をある程度除去したものが好ましく、通常の場合脱
脂処理したものが採用される。また、この脱脂処理によ
り、おが屑の多孔質化も図られる。

【００２６】そして、蓋３を開けて、処理すべき生ゴミ
を処理槽１内に投入する。通常の場合、処理槽１内に
は、４０ｋｇ程度の処理材６を収容しておき、生ゴミの
投入量は１ｋｇ／日以下にする。これによって、被処理
材である生ゴミの微生物に対する量を処理可能な範囲に
収めることができる。なお、一般的な４人家族の家庭に
おける生ゴミの発生量は７００ｇ程度であり、この程度
の容量の処理装置によって、４人家族の生ゴミの処理が
可能である。なお、生ゴミの処理量を大きくする場合に
は、処理槽１を大きくして処理材６の収容量を大きくす
ればよい。

【００２７】処理材６は、上述のような粒径を有してい
るため、堆積した場合に空隙が保持される。このため、
処理材６内には空気が流通され、処理材６に担持された
微生物は好気的状態に保たれる。そこで、処理材６に担
持された好気性微生物は、供給された生ゴミを好気的に
分解する。すなわち、生ゴミを構成する各種の有機物を
低分子化し、最終的には、ガス、水、無機塩類等にまで
分解する。なお、微生物は、処理材６に予め担持された
細菌が多いが、その他の糸状菌、酵母、放線菌等も含ま
れる。

【００２８】このように、処理材６に生ゴミを混合する
ことで、生ゴミの処理が行われるが、生ゴミを単に投入
しただけでは、生ゴミが接触する処理材６が限られてお
り、また堆積によって処理材６が圧密され、空気の流通
が悪くなる。そこで、１日に４〜５分程度は、撹拌機４
を駆動し、処理材６を撹拌し、これを切り返す。また、
この撹拌によって空気の供給も行われる。

【００２９】そして、本実施例では、１０日に一度程
度、ヒータ１２によって処理材６を加熱する。この加熱
は、処理材が６０〜７０゜Ｃになるようにする。すなわ
ち、６０゜Ｃ以上の温度になると、虫卵は死滅しない
が、孵化した幼虫は、死滅する。一方、厨房廃棄物の分
解処理を行う細菌は、高温細菌であり、７０゜Ｃ程度ま
では耐えることができる。そこで、制御装置１４が、ヒ
ータ１２による加熱を制御することによって、処理材６
の温度、すなわち、この処理材６に混入される幼虫の温
度を６０〜７０゜Ｃにすることによって、厨房廃棄物の
分解処理に悪影響を及ぼすことなく、殺虫処理を行うこ
とができる。

【００３０】また、一般に、蝿や虻の虫卵の孵化には、
１０日程度かかるため、１０日に一度程度の加熱処理に
よって、効率的な殺虫が行える。なお、この程度の加熱
処理であれば、これにかかる電力消費は、非常に少ない
ものである。

【００３１】そして、制御装置１４はその内部にタイマ
１４ａを有しており、１０日に一度の加熱処理を自動的
に行う。そこで、この加熱処理を忘れてしまうことが防
止でき、確実な殺虫処理を行うことができる。

【００３２】また、ヒータ１２による加熱は、処理材６
の温度を１０分程度、６０゜Ｃ以上に保持することによ
って、殺虫処理を完全に行える。そこで、制御装置１４
は、温度センサ１３の出力から６０゜Ｃ以上の温度が１
０分間継続したことを確認したときに、ヒータ１２によ
る加熱を終了する。この場合にもタイマ１４ａを利用す
るとよい。

【００３３】このようにして、ヒータ１２による加熱と
いう非常に簡単な方法によって、確実な殺虫処理を行う
ことができる。

【００３４】さらに、微生物の生育のためには、温度が
所定以上であることが必要である。そこで、本実施例で
は、制御装置１４が温度センサ１３の出力に応じて、処
理材６の温度が所定範囲（３０〜５０゜Ｃ程度）に収ま
るように、ヒータ１２の加熱を制御する。これによっ
て、温度の低下により、微生物の活動が低下するのを防
止することができる。特に、殺虫処理のための加熱は、
１０日に一度程度であり、通常時は加熱を行っていな
い。そこで、ヒータ１２、温度センサ１３を通常の温度
制御に兼用することによって、装置の有効利用が図ら
れ、装置全体のコストアップを抑制することができる。

【００３５】また、制御装置１４が、ヒータ１２によっ
て殺虫処理のための加熱処理を行う時に、モータ５を制
御して撹拌機４による撹拌を行うようにするとよい。こ
れによって、処理材６全体において、６０〜７０゜Ｃの
加熱処理が行え、効果的な殺虫処理が行える。

【００３６】

【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る厨房
廃棄物処理装置によれば、加熱手段によって、処理材を
６０〜７０゜Ｃに加熱する。そこで、微生物による厨房
廃棄物の処理機能を維持しつつ、簡単な装置で効果的な
殺虫処理を行うことができる。

【００３７】また、温度を制御することによって、殺菌
処理をより確実で、効率的なものにできる。さらに、加
熱時期制御手段を用いて、定期的な加熱処理を自動的に
行え、殺虫処理を確実に行うことができる。また、６０
〜７０゜Ｃに維持する時間を制御することによって、確
実な殺虫処理を行うことができる。さらに、加熱処理の
際に、処理材を撹拌することによって、全体をまんべん
に加熱することができ、効果的な殺虫を行える。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の実施例に係る厨房廃棄物処理装置の
構造を示す図である。

【符号の説明】

１ 処理槽、２ 内部空間、３ 蓋、４ 撹拌機、５
モータ、６ 処理材、７ 多孔板、８ 排水管、９ 排
気口、１０ ファン、１１ プレヒータ、１２ヒータ、
１３ 温度センサ、１４ 制御装置。

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 微生物を担持した処理材を収容した処理
   槽内において厨房廃棄物を処理する厨房廃棄物処理装置
   において、 処理槽の内部における処理材の温度を６０〜７０゜Ｃに
   加熱する加熱装置を有することを特徴とする厨房廃棄物
   処理装置。
2. 【請求項２】 請求項１に記載の装置において、 さらに、処理材の温度を計測する温度計測手段を有し、 この温度計測手段の計測値に基づいて上記加熱装置によ
   る加熱を制御することを特徴とする厨房廃棄物処理装
   置。
3. 【請求項３】 請求項１または２に記載の装置におい
   て、 さらに、加熱時期制御手段を有し、 上記加熱装置による加熱を定期的に行うことを特徴とす
   る厨房廃棄物処理装置。
4. 【請求項４】 請求項１〜３のいずれかに記載の装置に
   おいて、 さらに、加熱時間制御手段を有し、 処理材の温度を６０〜７０゜Ｃに維持する時間を制御す
   ることを特徴とする厨房廃棄物処理装置。
5. 【請求項５】 請求項１〜４のいずれかに記載の装置に
   おいて、 さらに、処理槽内の処理材を撹拌する撹拌装置を有し、
   上記加熱装置により加熱する時に、撹拌装置による撹拌
   を行うことを特徴とする厨房廃棄物処理装置。
6. 【請求項６】 微生物を担持した処理材に厨房廃棄物を
   混合して、厨房廃棄物を処理する厨房廃棄物処理方法に
   おいて、 所定の頻度で、処理材の温度を６０〜７０゜Ｃに一過的
   に加熱し、虫の発生を防止することを特徴とする厨房廃
   棄物処理方法。