JPH0824326A - 人工血管およびその製造方法 - Google Patents

人工血管およびその製造方法

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JPH0824326A
JPH0824326A JP6160462A JP16046294A JPH0824326A JP H0824326 A JPH0824326 A JP H0824326A JP 6160462 A JP6160462 A JP 6160462A JP 16046294 A JP16046294 A JP 16046294A JP H0824326 A JPH0824326 A JP H0824326A
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Japan
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tubular body
collagen
blood vessel
artificial blood
fibrin
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JP6160462A
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English (en)
Inventor
Yoshihito Takano
良仁 高野
Takahiro Tanigawa
隆洋 谷川
Takashi Kitaoka
孝史 北岡
Risako Matsui
理佐子 松井
Nobuyuki Kawae
信幸 河江
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Terumo Corp
Original Assignee
Terumo Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】多孔質管状体2に外側表面に線維化コラーゲン
/変性コラーゲン混合物などのコラーゲンマトリックス
3を、内腔面にフィブリンマトリックス4を付与する。 【効果】生体適合性(抗血栓性、組織治癒性)に優れて
いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、抗血栓性および細胞誘
導性(組織治癒性)に優れた人工血管およびその製造方
法に関する。さらに詳しくは、本発明はプレクロッティ
ング操作を必要とせず、内腔側に付与されたフィブリン
により優れた抗血栓性と内腔面における組織治癒を促進
し、人工血管外側に付与されたコラーゲンマトリックス
により外膜組織からの組織治癒が達成され、これらの相
乗効果により優れた組織治癒性を有する人工血管および
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、医療用具および医療技術の目覚ま
しい進歩にともない、人間の血管を人工の血管代用物で
置換することが広く実施される様になり、特に内径8m
m以上の血管に適用される人工血管については、ほぼ満
足な成績が得られてきている。こうした人工血管は生体
適合性を有する材料から構成され、特にポリエステル系
材料、ポリテトラフルオロエチレン系材料が好適に用い
られている。ポリテトラフルオロエチレン製の人工血管
は材料自体の抗血栓性に期待するものであり、静脈系へ
の適用も図られている。
【0003】またポリエステル系材料を用いた人工血管
は、編みもしくは織りにより多孔性の管状体に成型さ
れ、その孔内へ組織細胞を誘導することにより、優れた
組織親和性を持たせたものである。また最近、こうした
ポリエステル製人工血管に組織細胞の誘導性を高めた
り、移植前のプレクロッティング操作を省略するために
コラーゲンを付与したり、ゼラチン、フィブリン、アル
ブミンを付与する方法が報告されている。
【0004】
【発明が解決すべき課題】しかしながら、前述のポリテ
トラフルオロエチレン系材料を用いた人工血管は、それ
自体の抗血栓性に期待するものであり、抗血栓的には優
れた機能を有するものの組織治癒性は不十分であり、長
期移植においても新生内膜細胞の被覆が認められず、外
膜組織の侵入性にも劣るものである。
【0005】人工血管の組織治癒性を向上させるために
種々の試みがなされているが、生体由来材料を被覆した
ものは材料自体の物性強度が不十分で、人工血管基材か
らの剥離等が危惧され生(なま)のままでは使用出来な
いため、イソシアネートやグルタールアルデヒド、ホル
ムアルデヒドといった化学処理材によって架橋処理がな
されているのが一般的である。アルブミンの被覆におい
ては、アルブミン自体には固着性が乏しいためにオート
クレーブ等による熱処理を行なっている。
【0006】しかしながら、グルタールアルデヒドやホ
ルムアルデヒドにより架橋処理したものは、材料の柔軟
性を低下させ、また生体内に移植したときに石灰沈着を
生じ易いことが知られている。また、コラーゲンやゼラ
チンを被覆した人工血管は組織治癒性に優れてはいるも
のの、その材料自体が血小板との反応性が高いために抗
血栓的には不十分であり、口径の細い人工血管、特に内
径6mm未満の人工血管としては適用が困難であった。
【0007】また、アルブミンを被覆した人工血管では
熱処理による蛋白変性が生じ、被覆した蛋白本来の効果
が得られない。フィブリンを被覆した人工血管はフィブ
リンの優れた抗血栓性、組織治癒性のため細い人工血管
にも適用可能であるが、移植初期の血栓溶解療法の施行
においては漏血の危険性を招く恐れがあり、その施行が
危惧される。
【0008】したがって、現在、細血管にも適用できる
ような優れた抗血栓性と組織治癒性を有し、臨床の場に
おいて施行される血栓溶解療法の適用も可能な人工血管
の開発が望まれている。
【0009】
【課題を解決するための手段】我々は以上の点に鑑み、
鋭意研究を重ねた結果、人工血管の内腔側には抗血栓性
に優れ、内腔側での組織治癒を促進するマトリックス
を、さらに外側には外膜組織からの組織治癒を促進し、
抗血栓的にも機能し得るマトリックスを付与してなる人
工血管の発明に至ったものである。すなわち性質の異な
る機能性生体由来材料を、それぞれの機能別に付与する
ことにより、より生体適合性(抗血栓性、組織治癒性)
に優れた人工血管を提供するものである。
【0010】上記本発明の人工血管およびその製造方法
は下記の通りである。
【0011】(1)多孔質構造を有する管状体からなる
人工血管において、当該管状体の少なくとも外側表面、
好ましくは外側表面および外側空隙部にコラーゲンマト
リックスが付与され、さらに当該管状体の少なくとも内
腔表面、好ましくは内腔表面と内腔側空隙部にフィブリ
ンが付与されていることを特徴とする人工血管。
【0012】(2)多孔質構造を有する管状体からなる
人工血管において、当該管状体の少なくとも外側表面、
好ましくは外側表面および外側空隙部に、主として線維
化コラーゲンと、ヘリックス含量が0〜80%である変
性コラーゲンとからなるコラーゲンマトリックスが付与
され、さらに当該管状体の少なくとも内腔表面、好まし
くは内腔表面と内腔側空隙部および前記コラーゲンマト
リックスの線維間にフィブリンが付与されていることを
特徴とする上記(1)に記載の人工血管。
【0013】(3)コラーゲンマトリックス溶液を、多
孔質管状体の少なくとも外側表面、好ましくは外側表面
および外側空隙部に付与した後に凍結乾燥し、熱収縮ポ
リマーをかぶせて熱処理を行なうことにより前記コラー
ゲンマトリックスを前記多孔質管状体の外側表面に付着
させると同時にコラーゲンマトリックスに熱架橋を施し
た後、さらに前記多孔質管状体の内腔にフィブリノーゲ
ン溶液およびトロンビン溶液を同時に注入することによ
り前記多孔質管状体の少なくとも内腔表面、好ましくは
内腔表面および内腔空隙部にフィブリンを付着させるこ
とを特徴とする上記(1)に記載の人工血管の製造方
法。
【0014】(4)主として線維化コラーゲンと、ヘリ
ックス含量が0〜80%である変性コラーゲンとからな
るコラーゲンマトリックス溶液を、多孔質管状体の外側
表面および外側空隙部に付与した後に凍結乾燥し、熱収
縮ポリマーをかぶせて熱処理を行なうことにより前記コ
ラーゲンマトリックスを前記多孔質管状体の外側表面に
付着させると同時にコラーゲンマトリックスに熱架橋を
施した後、さらに前記多孔質管状体の内腔にフィブリノ
ーゲン溶液およびトロンビン溶液を同時に注入すること
により前記多孔質管状体の内側表面、内側空隙部および
前記コラーゲンマトリックスの線維間にフィブリンを付
着させることを特徴とする上記(2)に記載の人工血管
の製造方法。
【0015】本発明に用いるコラーゲンマトリックス
は、主成分がコラーゲンであれば特に限定しないが、線
維化コラーゲンと変性コラーゲンとが混合されているコ
ラーゲンマトリックスが好ましく用いられる。
【0016】線維化コラーゲンと変性コラーゲンとから
なるコラーゲンマトリックスは、従来のコラーゲン材料
と異なり、血小板との反応性が極めて低く、優れた組織
治癒性を有するばかりでなく抗血栓的にも機能する。ま
た化学架橋剤を用いることなしに熱架橋により必要とす
る物性強度を確保することが可能である。また人工血管
基材に付与されたコラーゲン線維の剥離、遊離がフィブ
リンゲルのコーティングにより防止できる。
【0017】本発明の人工血管に用いる線維化コラーゲ
ンと変性コラーゲンとからなるコラーゲンマトリックス
は、生体内に移植したとき極めて初期にマクロファージ
や好中球、他の炎症性の細胞が浸潤した後、早期に線維
芽細胞と毛細血管系がびまん性に侵入し、その結果、結
合組織が構築され人工血管外膜側の組織治癒が促進され
る。
【0018】さらに本発明においてコラーゲンマトリッ
クスに複合する変性コラーゲンのヘリックス含量は、0
〜80%であることが好ましい。コラーゲンの一般的な
架橋方法としては、加熱による脱水架橋、薬品を用いる
化学架橋等が実施されている。このうち熱脱水架橋は薬
品処理に比べ安全性が高いが、物理的にコラゲナーゼ等
の酵素に対する耐性が化学架橋に比べて低く、そこで化
学架橋を熱架橋と併用させたり、化学架橋単独で用いら
れることも多いが、これを実施すると、物性面での性能
向上が著しい反面、導入前にコラーゲンが有していた細
胞、組織に対する親和性が大幅に低下してしまうという
虞れがある。しかしながら、変性コラーゲンのヘリック
ス含量を0〜80%にすることにより、その問題点を解
決することができる。
【0019】本発明において、コラーゲンの架橋は好ま
しくは熱架橋によって実施され、コラーゲンを真空下2
0パスカル未満、50〜180℃で1〜24時間保持す
ることで脱水熱架橋する。架橋が導入されるべきコラー
ゲンは三重鎖ヘリックス構造を有する分散状の水溶性の
ものでは架橋しても物性があまり向上しないので、分散
状コラーゲンを37℃でリン酸系の緩衝液を用いて中和
処理し、生体内にあるような周期性線維構造をもつ再構
成された線維化コラーゲンの形にすることが好ましい。
これにより架橋処理との相乗効果で物性が飛躍的に向上
する。
【0020】また、ヘリックス含量が0〜80%である
変性コラーゲンは、例えば牛真皮由来のコラーゲンを酸
またはアルカリ処理し、得られた三重鎖ヘリックスを有
するコラーゲン水溶液を37〜90℃で加熱することに
よって得られる。上記線維化および変性のための原料コ
ラーゲンは、酸またはアルカリ処理したコラーゲンをさ
らにプロクターゼまたはペプシンによりその分子末端の
テロペプチドを消化除去し、抗原性をなくしたものが好
ましい。
【0021】コラーゲンの変性度はヘリックス構造の含
量によって示される。ヘリックス含量とはコラーゲン特
有の三重鎖ヘリックス含量のことで、変性コラーゲンで
はこのヘリックスがランダムコイル化しているため、ヘ
リックス含量が変性度に対応する。このヘリックス含量
は円偏光二色性や赤外分光光度計で測定することができ
る。
【0022】ここで用いられるコラーゲンの変性度の指
標、すなわちヘリックス含量は0〜80%であり、より
好ましくは0〜50%である。例えばコラーゲン溶液を
60℃、30分熱処理するとヘリックス含量は約40%
であり、100℃、24時間熱処理するとヘリックス含
量は0となり、電気泳動によってコラーゲン分子の一部
が切断されていることが確認される。複合マトリックス
中の変性コラーゲンの含量は5〜80%であり、より好
ましくは10〜50%である。
【0023】次に本発明の人工血管の製造方法の一例を
示す。初めに、外膜組織に接触する人工血管外表面に、
前記線維化コラーゲンと前記変性コラーゲンとの混合溶
液を人工血管の基材である多孔質管状体の外側に含浸も
しくは塗布、もしくは外面側から内腔側に吸引すること
により多孔質管状体の外表面側の孔部に浸透させる等に
より付着させる。さらにこの後、付着させたコラーゲン
溶液を凍結乾燥させてスポンジ状にすることが好まし
い。
【0024】次にコラーゲンを付着させた管状体の外側
に熱収縮ポリマーからなるシートを被せ、熱処理を行な
い、熱収縮ポリマーからなるシートをコラーゲンを付着
させた管状体に密着させると同時にコラーゲンの熱架橋
を施す。このとき熱収縮ポリマーからなるシートを被せ
る前にあらかじめ予備熱架橋を施していても良い。
【0025】次ぎに血液に接触する人工血管内腔面は多
孔質管状体内腔に心棒を挿入し、多孔質管状体内腔面と
心棒の隙間にフィブリノーゲン溶液およびトロンビン溶
液を同時に注入し、熱収縮ポリマーからなるシートと心
棒との間に多孔質管状体内腔面からフィブリンを形成さ
せ、本発明の人工血管を製造することができる。
【0026】また本発明の人工血管を使用する際は、熱
収縮ポリマーからなるシートは剥がして使用する。
【0027】本発明の人工血管の製造方法は、人工血管
の内腔側には抗血栓性に優れ、内腔側での組織治癒を促
進するフィブリンを、さらに外側には外膜組織からの組
織治癒を促進し、抗血栓的にも機能し得るコラーゲンマ
トリックスを付与するものである。すなわち性質の異な
る機能性生体由来材料を、目的とする部位に、それぞれ
の機能別に付与することができ、生体適合性、抗血栓
性、組織治癒性に優れた人工血管の製造法を提供するも
のである。
【0028】また人工血管基材から剥離し易いコラーゲ
ンをグリセロール、エチレングリコール等の保湿剤の使
用なしに、フィブリンゲルにより保持することができ
る。
【0029】本発明の人工血管に付与されるフィブリン
は、中性付近のpHでイオン強度は0.15〜0.5、よ
り好ましくは0.15〜0.3の条件下で作製され、この
条件に調製することで線溶(プラスミン)に対する抵抗
性、および細胞増殖性に優れたフィブリンを得ることが
出来る。イオン強度の調整は、例えばNaClおよびC
aCl2を添加した緩衝液により可能である。
【0030】またフィブリン形成において反応させるフ
ィブリノーゲンとトロンビンの量比はフィブリノーゲン
1mgあたり0.07〜0.36、より好ましくは、0.
07〜0.18NIH単位とすることが好ましい。この
比率よりもトロンビンが多いとフィブリンのクロスリン
ク度(重合度)が低下し、安定化フィブリンが形成され
にくくなる。また血小板との反応性も高くなる。逆にト
ロンビンが少なくてもフィブリンのクロスリンク度が低
下し、安定化フィブリンゲルが形成されにくくなり、線
溶に対する抵抗性も低下する。
【0031】さらに本発明の人工血管に用いるフィブリ
ノーゲンは混入しているプラスミノーゲンを除去したも
のを使用することが好ましい。プラスミノーゲンの除去
法としては、特に限定されないが、一般的なアフィニテ
ィークロマトグラフィーを通過させる方法があげられ
る。この操作を行なったフィブリノーゲンは自己融解が
抑制され、長期の安定性が向上する。
【0032】また本発明の人工血管に用いるフィブリノ
ーゲンは、血液凝固第13因子の活性が1mg/ml溶
液中で正常ヒト血漿1ml中の活性値に対して60%以
上の活性があることが好ましく、より好ましくは80%
以上の活性が必要である。これにより物理的強度を有
し、線維芽細胞や平滑筋細胞の増殖を促進し、良好な組
織治癒性を有するフィブリンが形成される。
【0033】またこのフィブリン形成時にカルシウムイ
オンを添加することが好ましく、その濃度は2mM濃度
以上が良く、より好ましくは20mM濃度程度である。
このカルシウムイオンの添加によりフィブリンのクロス
リンク(重合)が達成され、組織治癒性に優れたものと
なる。
【0034】本発明の人工血管の多孔質管状体はポリエ
ステル、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン(テフ
ロン)、ポリウレタン等の生体内で安定な高分子材料に
よる編み、織り物もしくは核材を抽出する湿式抽出法ま
たはメルトブローン等により製造された不織布が好適に
用いられるが、これらに限定されるものではない。これ
ら多孔質管状体は組織治癒性の点から、基材の外側から
内腔まで連通した孔を有していることが好ましいが、基
材の内腔側および外側がマトリックスを付与するための
多孔質構造を有していれば良く、内腔側および外側の間
にシール層が付与されていても良い。
【0035】本発明に用いる多孔質管状体の透水率は5
00〜5000ml/min/cm2(120mmHg)が好ましく、
より好ましくは1000〜4000ml/min/cm2である。
透水率が低すぎると多孔質管状体内への細胞の侵入が達
成されなくなり、また大きすぎても多孔質管状体の物性
強度の低下および多孔質管状体とコーティング材料との
アンカーリング性(接着性)の低下を招く恐れがある。
【0036】また本発明の人工血管の製造において用い
られる熱収縮ポリマーからなるシートは、基本的には多
孔質管状体に被覆可能で、コラーゲンの熱架橋温度(5
0〜180℃)で熱収縮し、生体にとっての毒性物質の
溶出のない材料であればいかなるものであっても良い。
例えば、塩化ビニル、ポリプロピレン、シリコン、ポリ
エステル、テフロン等が好適に使用できる。
【0037】本発明の人工血管へのコラーゲンの被覆方
法は、上述した方法が望ましいが、予めシート形状に加
工したものを巻き付けても良い。
【0038】次に本発明の人工血管の具体例を図1を参
照しながら説明する。人工血管1は、多孔質構造を有す
る多孔質管状体2からなり、その外側表面および外側空
隙部に、主として線維化コラーゲンとヘリックス含量が
0〜80%である変性コラーゲンとが混合されたコラー
ゲンマトリックス3が付与され、さらに内腔表面と内腔
側空隙部および前記複合コラーゲンマトリックス線維間
にフィブリン4が形成される。
【0039】
【実施例】以下、実施例を示し本発明をさらに詳細に説
明する。
【0040】(実施例)コラーゲンマトリックスの調整 アテロコラーゲンをpH3.0の希塩酸に溶解して、0.
3(W/V)%にした。この溶液を濾過滅菌した後、撹拌し
ながらリン酸緩衝液(pH7.2〜7.5)を加え、終濃
度が0.27(W/V)%アテロコラーゲン、30mMリン酸
2ナトリウム、100mM NaClであるコラーゲン
溶液を調整した。次いで37℃の恒温槽で4.5時間イ
ンキュベートし、線維化アテロコラーゲン(FC)溶液
を調整した。これを遠心分離により濃縮し、最終濃度
2.5(W/V)%FC溶液(リン酸緩衝生理的食塩水溶液)
とした。
【0041】また上記の濾過滅菌後のアテロコラーゲン
希塩酸溶液を濃縮するために、凍結乾燥後蒸留水に再溶
解し、この溶液を60℃の恒温槽で30分処理した後、
リン酸緩衝液を加えて終濃度が2.5(W/V)%アテロコラ
ーゲン、30mMリン酸2ナトリウム、100mM N
aClである変性(熱処理)アテロコラーゲン溶液(H
AC:pH7.2〜7.5)を調製した。このようにして
得られた変性アテロコラーゲンのヘリックス含量は約4
0%であった。上記の2.5(W/V)%FC溶液および2.
5(W/V)%HAC溶液を容量比9:1で混合し、線維化
コラーゲン/変性コラーゲン混合物(以後、コラーゲン
マトリックスと称す)を調製した。
【0042】コラーゲンマトリックスの多孔質管状体
への付与および熱架橋 上記で調製したコラーゲンマトリックスを、内腔にス
テンレス心棒(内径3mm)を通したポリエステル製編
み管状体(内径3mm)の外表面に塗布し、マッサージ
することにより多孔質管状体孔内にもコラーゲンマトリ
ックスを侵入させた。その後凍結乾燥を行ない、コラー
ゲンマトリックスをスポンジ状に形成させた。
【0043】これを塩化ビニル製の熱収縮チューブに挿
入し、10パスカル未満の真空下で110℃で3時間熱
処理することで熱収縮チューブの固定およびコラーゲン
マトリックスの熱架橋を施した。
【0044】多孔質管状体へのフィブリンゲルの付与 上記で製造したコラーゲンマトリックスを被覆した多
孔質管状体からステンレス心棒を抜き取り、多孔質管状
体内径より1mm細いガラス棒(直径2mm)を多孔質
管状体内腔の中心に治具を用いて固定した。このガラス
棒と多孔質管状体との隙間に140mM NaClを含
む10mM Hepes緩衝液(pH7.4)で溶解し
た20mg/mlヒトフィブリノーゲン(ミドリ十字社
製剤をプラスミノーゲン除去したもの)溶液と20mM
CaCl2、140mM NaClを含む10mM
Hepes緩衝液(pH7.4)で溶解した10単位/
mlトロンビン溶液(持田製薬社製)を容量比7:1で
同時注入し、フィブリンゲルを多孔質管状体内腔面に被
覆した。
【0045】以上の操作により、外側表面および外側空
隙部に、主として線維化コラーゲンとヘリックス含量が
0〜80%である変性コラーゲンとの混合マトリックス
が付与され、さらに内腔表面と内腔側空隙部および複合
コラーゲンマトリックス線維間にフィブリンが形成され
た本発明の人工血管が得られる。
【0046】(比較例)また比較例として用いるため、
実施例のの熱変性アテロコラーゲン溶液を調製する過
程において、熱処理を行なわずに調製した2.5%アテ
ロコラーゲン溶液に多孔質管状体を浸漬して、さらにマ
ッサージすることを3回繰り返し、多孔質管状体の内外
表面および内部にコラーゲンを十分に含浸させた。これ
を凍結乾燥後、真空下で110℃、3時間熱処理し、熱
架橋を施しアテロコラーゲンコート人工血管(比較例
1)を製造した。
【0047】また、さらに実施例の様なコラーゲンマ
トリックスを付与せずにフィブリンのみをコーティング
した人工血管(比較例2)を、上記方法と同様にして製
造した。
【0048】これらの比較例の人工血管のうち、アテロ
コラーゲンコート人工血管(比較例1)は乾燥している
ために粗雑に扱うとコートしたコラーゲンマトリックス
が剥離してしまう危険性があった。
【0049】(試験例1)コラーゲンマトリックスの血
小板との反応性評価 実施例ので作製したコラーゲンマトリックスを凍結乾
燥し、スポンジ状に形成させ、これを110℃で3時間
熱処理することで熱架橋を施した、線維化コラーゲン/
変性コラーゲン混合マトリックスを得た。
【0050】また実施例ので熱変性アテロコラーゲン
溶液を調製する過程において、熱処理を行なわずに調製
した2.5%アテロコラーゲン溶液(リン酸緩衝生理的
食塩水溶液)を凍結乾燥後、同様に110℃、3時間の
熱架橋を施したスポンジ状アテロコラーゲン(比較例
3)を得た。
【0051】線維化コラーゲン/変性コラーゲン混合マ
トリックスおよび比較例3のスポンジ状アテロコラーゲ
ンの小片(約0.5cm角)にラット血漿より調製した
多血小板血漿(PRP:7×107個/ml)を0.5m
lづつ加え、血小板の凝集程度を観察した。比較例3で
は血小板との接触後20分以内に血小板凝集反応が認め
られたのに対し、本発明の人工血管に用いる線維化コラ
ーゲン/変性コラーゲン混合マトリックススポンジでは
100分経過しても血小板の凝集反応は観察されなかっ
た。
【0052】すなわち、本発明の人工血管に用いる線維
化コラーゲン/変性コラーゲン混合マトリックスは、従
来の人工血管に用いられていたコラーゲン材料に比し、
血小板との反応性が極めて低く、抗血栓的に有利に機能
することが確認された。
【0053】(試験例2)人工血管の家兎腹部大動脈移
植試験 実施例で製造した本発明の人工血管、アテロコラーゲン
のみをコートした人工血管(比較例1)およびフィブリ
ンのみをコートした人工血管(比較例2)を塩化ビニル
製の熱収縮チューブを剥がしてから家兎腹部大動脈に移
植して、それぞれの組織治癒性を比較検討した。内径3
mm、長さ3cmのサンプルを各3羽づつ移植した。ペ
ントバルビタール25mg/kgを耳介静脈より投与
し、全身麻酔を施し、仰臥位固定後、腹部剃毛消毒、正
中切開により腹部大動脈を露出し、腎動脈より下位でサ
ンプルを7−0縫合糸を用いて連続縫合にて端々縫合し
た。なお手術中および前後にはヘパリン等の抗凝固療法
は一切行なわなかった。
【0054】移植1か月後に移植時と同様全身麻酔を施
し、開腹後、触診にてサンプルの開存性を確認した。そ
の後、ヘパリン300unit/kgにて全身ヘパリン化し、
サンプルを摘出した。サンプルは10%中性緩衝ホルマ
リンで固定した後、組織治癒性について病理組織学的に
検索した。
【0055】本発明の人工血管および比較例2の人工血
管は共に、すべての移植例で開存しており、良好な抗血
栓性が確認された。しかしながらアテロコラーゲンコー
ト人工血管(比較例1)ではすべての移植例で閉塞して
おり、血液接触面にコラーゲンが露出したものでは抗血
栓性は不十分であることが確認された。
【0056】組織治癒性においては、フィブリンのみを
コーティングした人工血管(比較例2)では、人工血管
内腔面のほぼ全面に新生内膜細胞の被覆が観察された
が、外膜側からの人工血管基材(多孔質管状体部分)内
への細胞侵入は部分的であり、すなわち基材内腔表面か
ら基材の外側、つまり外膜組織まで細胞が連続した状態
は部分的にしか観察されなかった。
【0057】一方、本発明の人工血管では人工血管の内
腔面のほぼ全面に新生内膜細胞の伸展が認められ、外膜
組織からの人工血管の多孔質管状体内への細胞侵入も非
常に良好で、人工血管内腔面から外膜組織側まで連続し
た細胞が観察された。また基材外側には炎症性細胞の集
積が若干認められた。
【0058】以上の結果より、本発明の人工血管は抗血
栓性に優れ、人工血管内腔表面への細胞誘導性および外
膜組織の基材内部への細胞誘導性に優れ、極めて高い組
織治癒性を有することが確認された。
【0059】
【発明の効果】本発明の人工血管は、生体内に移植した
とき、内腔側に付与したフィブリンにより優れた抗血栓
性と内腔側での組織治癒が達成され、外側に付与した複
合コラーゲンマトリックスにより外側からの良好な組織
治癒が達成される。これらの相乗効果により非常に優れ
た組織治癒性を有する。
【0060】また外側に付与するコラーゲンマトリック
スに線維化コラーゲン/変性コラーゲン混合マトリック
スを使用することにより、血小板との反応性が極めて低
く、抗血栓的にも作用し得る。
【0061】さらに内外表面に連通した多孔質構造を有
する人工血管での移植初期における血栓溶解療法の施行
に際しても、フィブリンマトリックスは溶解してしまう
危険性があるが、コラーゲンマトリックスは残存するた
め漏血が防止され、それ自体が抗血栓性も有するため、
血栓閉塞の危険を回避することができ血栓溶解療法の施
行が可能となる。
【0062】また本発明の人工血管の製造方法は、人工
血管の内腔側には抗血栓性に優れ、内腔側での組織治癒
を促進するマトリックスを、さらに外側には外膜組織か
らの組織治癒を促進し、抗血栓的にも機能し得るマトリ
ックスを付与するものである。すなわち性質の異なる機
能性生体由来材料を、目的とする部位に、それぞれの機
能別に付与することができ、より生体適合性(抗血栓
性、組織治癒性)に優れた人工血管の製造法を提供する
ものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の人工血管の具体例の断面図。
【符号の説明】
1・・・人工血管、2・・・多孔質管状体、3・・・コラーゲン
マトリックス、4・・・フィブリンマトリックス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松井 理佐子 神奈川県足柄上郡中井町井ノ口1500番地 テルモ株式会社内 (72)発明者 河江 信幸 神奈川県足柄上郡中井町井ノ口1500番地 テルモ株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】多孔質構造を有する管状体からなる人工血
    管において、当該管状体の少なくとも外側表面にコラー
    ゲンマトリックスが付与され、さらに当該管状体の少な
    くとも内腔表面にフィブリンが付与されていることを特
    徴とする人工血管。
  2. 【請求項2】多孔質構造を有する管状体からなる人工血
    管において、当該管状体の少なくとも外側表面に、主と
    して線維化コラーゲンと、ヘリックス含量が0〜80%
    である変性コラーゲンとからなるコラーゲンマトリック
    スが付与され、さらに当該管状体の少なくとも内腔表面
    にフィブリンが付与されていることを特徴とする請求項
    1に記載の人工血管。
  3. 【請求項3】コラーゲンマトリックス溶液を、多孔質管
    状体の少なくとも外側表面に付与した後に凍結乾燥し、
    熱収縮ポリマーをかぶせて熱処理を行なうことにより前
    記コラーゲンマトリックスを前記多孔質管状体の外側表
    面に付着させると同時にコラーゲンマトリックスに熱架
    橋を施した後、さらに前記多孔質管状体の内腔にフィブ
    リノーゲン溶液およびトロンビン溶液を同時に注入する
    ことにより前記多孔質管状体の少なくとも内腔表面にフ
    ィブリンを付着させることを特徴とする請求項1に記載
    の人工血管の製造方法。
  4. 【請求項4】主として線維化コラーゲンと、ヘリックス
    含量が0〜80%である変性コラーゲンとからなるコラ
    ーゲンマトリックス溶液を、多孔質管状体の少なくとも
    外側表面に付与した後に凍結乾燥し、熱収縮ポリマーを
    かぶせて熱処理を行なうことにより前記コラーゲンマト
    リックスを前記多孔質管状体の外側表面に付着させると
    同時にコラーゲンマトリックスに熱架橋を施した後、さ
    らに前記多孔質管状体の内腔にフィブリノーゲン溶液お
    よびトロンビン溶液を同時に注入することにより前記多
    孔質管状体の少なくとも内側表面にフィブリンを付着さ
    せることを特徴とする請求項2に記載の人工血管の製造
    方法。
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