JPH08233442A - 冷蔵庫のドア構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 補強部材を任意の位置において固定して、全
面にわたって十分な剛性が得られるドア構造を提供す
る。 【構成】 ドアパネル８は、ブロー成形により形成され
た外殻体１１内に発泡ウレタン樹脂を充填した構造とな
っている。外殻体１１の裏面板１３には、その前後の縁
部に沿って取付溝１６が凹設されている。補強部材１５
は金属製であってアングル状をなしている。補強部材１
５の一方の屈曲部１８には、ねじ２０の挿通孔１９が複
数個間隔を開けて形成されている。補強部材１５の他方
の屈曲部１７を取付溝１６に差し込むと、もう一方の屈
曲部１８が裏面板１３に当接する。挿通孔１９からねじ
２０をねじ込むことで、補強部材１５がドアパネル８の
裏面に固定される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は冷蔵庫のドア構造に関
し、特にドアパネルの補強部分に改良を加えたドア構造
に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、宅配便等の車両に搭載されて使用
される冷蔵庫として、図８に示すものが知られている。
この冷蔵庫は、複数枚のパネルを組み付けることで、上
面の手前側の部分を開口した箱形をなすキャビネット本
体５１が形成され、そのキャビネット本体５１内を横幅
方向の途中位置において仕切板５２で仕切ることによっ
て、左右に冷蔵室５３と冷凍室５４とが画成され、上面
の手前側の開口部により冷蔵室５３と冷凍室５４のそれ
ぞれの荷物の出入口５５、５６が形成されている。そし
て、各出入口５５、５６に、それぞれドアパネル５７
が、蝶番を介して奥側への揺動開閉可能に装着されてい
る。

【０００３】このドアパネル５７は、キャビネット本体
５１を構成する各パネルと同様に、合成樹脂からなる表
裏のボードの間に断熱材となる発泡ウレタン樹脂を挟ん
だサンドイッチ構造となっていて、総じて剛性に劣るた
めにその補強を行う必要がある。

【０００４】従来は補強手段として、図９に示すよう
に、ドアパネル５７の剥き出しとなった各端面を覆うた
めのカバー５８を利用して、各コーナに金属製の補強部
材５９を取り付けるようにしていた。具体的には図１０
に示すように、カバー５８の内面にアングル状の補強部
材５９をねじ６０により固定し、互いに間隔を開けて配
設された表裏のボード６１、６１の周縁に４枚のカバー
５８を被着し、その後内部に発泡ウレタン樹脂６２を充
填するようにしていた。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来の補
強構造では、補強部材５９がコーナ部分に設けられてい
るだけであるから、必ずしも十分な補強がなされている
とは言えなかった。また、補強部材５９を取り付ける位
置がカバー５８に限られているから、補強箇所を選択す
る自由度が小さい欠点があった。

【０００６】本発明は上記のような事情に基づいて完成
されたものであって、補強部材を任意の位置において固
定して、全面にわたって十分な剛性が得られるドア構造
を提供することを目的とするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの手段として、請求項１の発明は、冷蔵庫の出入口に
開閉可能に装着されるドアにおいて、合成樹脂製のドア
パネルの外面には取付溝が凹設され、その取付溝内に、
金属製の補強部材が嵌め込まれて固定されている構成と
したところに特徴を有する。

【０００８】請求項２の発明は、請求項１の発明におい
て、前記ドアパネルは、ブロー成形により形成された合
成樹脂製の外殻体内に断熱材を充填して構成されてお
り、その外殻体に前記取付溝が凹設され、その取付溝内
に前記補強部材が嵌め込まれて固定部材により固定され
ている構成としたところに特徴を有する。

【０００９】

【作用】請求項１の発明においては、ドアパネルの外面
の任意位置において凹設された取付溝内に補強部材が嵌
め込まれて固定される。請求項２の発明においては、ブ
ロー成形により形成されたドアパネルの外殻体の任意位
置に取付溝が凹設されて、その中に補強部材が嵌め込ま
れて固定部材により固定される。

【００１０】

【発明の効果】請求項１の発明によれば、ドアパネルの
外面に取付溝を設けたこと自体で剛性が高められ、さら
にその取付溝内に金属製の補強部材を嵌め込むのである
から剛性が大幅に高められ、しかも補強部材の取付位置
は任意に選択し得るから、全面にわたって十分な剛性を
確保することが可能となる。また、補強部材は取付溝内
に嵌め込まれていて外面上にはみ出ない構造となってい
るから、手等を引っ掛けるおそれがなくて安全であり、
また、すっきりとした見栄えにまとめることができる効
果がある。

【００１１】請求項２の発明によれば、上記の効果に加
え、ブロー成形を採用したことで簡単にかつ安価に製造
できたドアパネルに対して、その剛性を十分に高めるこ
とができる。

【００１２】

【実施例】以下、本発明を車両搭載用の冷蔵庫に適用し
た実施例を添付図面に基づいて説明する。 ＜第１実施例＞図１乃至図３は本発明の第１実施例を示
す。図１において、符号１はキャビネット本体であっ
て、上面が開口され、かつ上面の奥側が一段高くなった
段付き状の箱形をなしており、ロータリ成形により形成
された二重壁構造の合成樹脂製の外殻体内に断熱材とな
る発泡ウレタン樹脂が充填されて形成されている。

【００１３】キャビネット本体１の内部には横幅方向の
途中位置に仕切板２が装入され、それによりキャビネッ
ト本体１内の図１の左側が冷蔵室３に、右側が冷凍室４
に画成されている。また、上面の段付部分には、後記す
るドアパネル８の受縁を設けた段面板５が張られている
とともに、奥側の一段高くなった部分の上面には上面板
６が張られている。

【００１４】上記により、キャビネット本体１の手前側
の上面には、冷蔵室３と冷凍室４のそれぞれの出入口７
が形成され、各出入口７に、それぞれドアパネル８が蝶
番２５を介して奥側への揺動開閉自由に取り付けられて
いる。各ドアパネル８は、上記した仕切板２、段面板５
および上面板６と同様、図３に示すように、ブロー成形
により形成された合成樹脂製の外殻体１１内に発泡ウレ
タン樹脂１２を充填して形成されている。

【００１５】なお、冷蔵室３と冷凍室４内の奥側の高く
なった部分には、図示しないクーリングユニットがそれ
ぞれ設置されており、ドアパネル８を開けることにより
出入口７を通して各室３、４内に荷物が出し入れされ、
各室３、４内に収容された荷物は、各クーリングユニッ
トから循環供給される冷気により冷蔵または冷凍状態に
保持されるようになっている。

【００１６】続いて、ドアの構造の詳細を改めて説明す
る。ドアパネル８の外殻体１１における裏面板１３に
は、前後方向（図２の上下方向）に沿った複数本の補強
用突条１４が、互いに間隔を開けて突設されている。こ
れらの補強用突条１４だけではドアパネル８の剛性が十
分に得られないため、以下のように補強部材１５が取り
付けられる。

【００１７】図２、３に詳細に示すように、外殻体１１
の裏面板１３には、補強部材１５の取り付け用の２本の
取付溝１６が、前後の縁部に沿うようにして略全幅にわ
たって凹設されている。その取付溝１６の両開口側縁に
は、補強部材１５が挿入しやすいように丸みが付けられ
ている。補強部材１５は、金属製であってアングル状に
形成されている。その補強部材１５は、幅狭な方の屈曲
部１７が、上記した取付溝１６内の底部まで略緊密に挿
入可能であって、その際幅広の方の屈曲部１８が、裏面
板１３に当接されるようになっている。補強部材１５の
幅広の方の屈曲部１８には、ねじ２０の挿通孔１９が複
数個長さ方向に沿って適宜の間隔を開けて形成されてい
る。

【００１８】また、外殻体１１の裏面板１３には、その
周縁の全周にわたって嵌合溝２２が凹設されており、そ
の嵌合溝２２にパッキン２３が嵌着されるようになって
いる。このパッキン２３は、ドアパネル８を閉じたとき
に出入口７の口縁に押し付けられることで出入口７の気
密を保つためのものである。また、外殻体１１の後縁
（図３の右端）には、蝶番２５を取り付けるための取付
金具２４が埋め込まれて取り付けられている。

【００１９】この第１実施例は上記のような構造であっ
て、外殻体１１内へ発泡ウレタン樹脂１２を充填してド
アパネル８が形成されたら、図２、３に示すように、そ
の裏面の各取付溝１６に、補強部材１５の幅狭側の屈曲
部１７を差し込む。その際、取付溝１６の開口側縁には
丸みが付けられていることで、補強部材１５の差し込み
はスムーズに行われる。幅狭側の屈曲部１７が差し込ま
れたら、幅広側の屈曲部１８はドアパネル８の裏面に当
てられるので、補強部材１５の各挿通孔１９にねじ２０
を通してドアパネル８に向けてねじ込みことで、補強部
材１５が固定される。その後、ドアパネル８の嵌合溝２
２にパッキン２３を嵌着するとともに、後縁の取付金具
２４を介して蝶番２５を取り付けることでドアの組み付
けが完了される。

【００２０】以上のように本第１実施例によれば、ドア
パネル８の裏面に取付溝１６を設けたこと自体で剛性が
高められ、さらにその取付溝１６に金属製の補強部材１
５が嵌め込まれて固定されているから、ドアパネル８の
全面にわたってその剛性が大幅に高められる。しかも、
補強部材１５はドアパネル８の裏面上に取り付けられる
のであるから、取付位置の自由度はきわめて大きく、剛
性に劣る部分を重点的に補強することが可能となる。

【００２１】また、補強部材１５は、その幅狭側の屈曲
部１７が取付溝１６内に差し込まれ、幅広側の屈曲部１
８がドアパネル８の裏面と略面一に固定されていて、ド
アパネル８の裏面上にはみ出していないから、ドアパネ
ル８を開けて荷物を出し入れする場合に、手等を引っ掛
けるおそれがなくて安全であり、また、すっきりとした
見栄えにまとめられる。

【００２２】さらに、この実施例では、補強部材１５を
固定するのにねじ止め方式を採用しており、ドアパネル
８の外殻体１１はねじ２０に比べて軟らかいものである
から、外殻体１１に下孔を開けなくても、補強部材１５
にねじ２０の挿通孔１９を開けてさえおけば、ねじ２０
を挿通孔１９に通してねじ込むだけで補強部材１５の固
定ができ、すなわち補強部材１５の固定作業が簡単に行
える。

【００２３】＜第２実施例＞次に、本発明の第２実施例
を図４乃至図７に基づいて説明する。この実施例では、
図４、５に示すように、第１実施例と同様のドアパネル
３０における外殻体１１の裏面板１３に、その前縁並び
に左右の両側縁に沿って、補強部材３１を取り付けるた
めの取付溝３２が凹設されている。この取付溝３２は、
第１実施例の取付溝１６と比べると幅広に形成され、そ
の両開口側縁には丸みが付けられている。また、各取付
溝３２の両側には、一段下がった取付座面３３が形成さ
れている。

【００２４】この取付溝３２に取り付けられる補強部材
３１は金属製であって、図５に示すように、角筒部３５
の一面の両側縁に、取付板３６をその面と面一に突出し
て形成した断面形状となっており、各取付溝３２の長さ
に対応したものが３本準備されている。各補強部材３１
は、その角筒部３５が対応する取付溝３２の底部まで緊
密に嵌合され、そのとき両取付板３６が取付座面３３に
当接されるようになっている。その補強部材３１の両取
付板３６には、リベット孔３７が複数個長さ方向に沿っ
て適宜の間隔を開けて形成されている。

【００２５】また、裏面板１３にはその周縁に沿って同
様に嵌合溝３８が形成され、そこにパッキン３９が嵌着
されるようになっている。その他の構造は上記の第１実
施例と同様であって、同一部材については第１実施例と
同一符号を付して重複した説明は省略する。

【００２６】第２実施例においてドアパネル３０に補強
部材３１を取り付ける工程は以下のようである。外殻体
１１内への発泡ウレタン樹脂１２の充填が完了したら、
裏面の各取付座面３３に、図５に示すように、補強部材
３１の取付板３６に形成されたリベット孔３７と対応し
て下孔４１を開ける。そして、補強部材３１の角筒部３
５を対応する取付溝３２内に嵌め込む。その際取付溝３
２の両開口側縁には丸みが付けられていることで、補強
部材３１の嵌め込みはスムーズに行われる。補強部材３
１の嵌め込みが終わると、両取付板３６が取付座面３３
に当接し、リベット孔３７と下孔４１とが整合される。
続いて、両孔３７、４１を通してにリベット４３を打ち
込む。

【００２７】このリベット４３は、図７（Ａ）に示すよ
うに、一端にリベツト頭４５を設けた筒形をなすアルミ
ニウム製の本体４４内に鉄製の芯線４６が挿通されて、
その先端に設けられた頭部４７が本体４４のリベット頭
４５を設けていない側の他端に係止された状態で組み付
けられている。そして、専用の工具を用いて、同図
（Ｂ）に示すように、リベット４３を比較的軟らかい発
泡ウレタン樹脂１２中に食い込ませつつ両孔３７、４１
に挿通し、その後芯線４６を引っ張る。そうすると、同
図（Ｃ）に示すように、芯線４６が途中で切断されつつ
その頭部４７が本体４４の他端を押し広げて新たにリベ
ット頭４８を形成し、両リベット頭４５、４８の間で取
付板３６と裏面板１３が挟み付けられる。それにより外
殻体１１に対して補強部材３１が固定される。

【００２８】この第２実施例においても、補強部材３１
を取り付けたことでドアパネル３０の剛性が大幅に高め
られ、補強部材３１の取付位置の自由度も同様に大き
い。また、補強部材３１は、角筒部３５が取付溝３２内
に差し込まれ、取付板３６が取付座面３３上に固定され
て、ドアパネル３０の裏面上にはみ出さないから、同様
に安全性が確保されるとともに、見栄えもすっきりとま
とまる。特に、補強部材３１の固定部材にリベット４３
を用いたことで、補強部材３１をより強固に固定し得る
利点が得られる。

【００２９】＜他の実施例＞本発明は上記記述及び図面
によって説明した実施例に限定されるものではなく、例
えば次のような実施態様も本発明の技術的範囲に含ま
れ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種
々変更して実施することができる。

【００３０】（１）上記各実施例では、補強部材をドア
パネルの裏面側に取り付けたものを例示したが、ドアパ
ネルの表面側に補強部材を取り付けることも可能であ
る。 （２）また本発明は、車両用冷蔵庫に限らず、冷蔵庫全
般のドア構造について適用することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例に係る冷蔵庫の外観斜視図
である。

【図２】ドアの分解斜視図である。

【図３】ドアの一部切欠断面図である。

【図４】第２実施例に係るドアの分解斜視図である。

【図５】補強部材の取り付け前の状態の部分断面図であ
る。

【図６】その取り付け後の状態の部分断面図である。

【図７】リベットによる固定工程を示す部分断面図であ
る。

【図８】従来例に係る冷蔵庫の斜視図である。

【図９】そのドアの斜視図である。

【図１０】補強部材の取付構造を示す部分断面図であ
る。

【符号の説明】

３…冷蔵室 ４…冷凍室 ７…出入口 ８…ドアパネル １１…外殻体 １２…発泡ウレタン樹脂（断熱材） １３…（外殻体１１の）裏面板 １５…補強部材 １６…取付溝 ２０…ねじ（固定部材） ３０…ドアパネル ３１…補強部材 ３２…取付溝 ４３…リベット（固定部材）

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 冷蔵庫の出入口に開閉可能に装着される
   ドアにおいて、合成樹脂製のドアパネルの外面には取付
   溝が凹設され、その取付溝内に、金属製の補強部材が嵌
   め込まれて固定されていることを特徴とする冷蔵庫のド
   ア構造。
2. 【請求項２】 前記ドアパネルは、ブロー成形により形
   成された合成樹脂製の外殻体内に断熱材を充填して構成
   されており、その外殻体に前記取付溝が凹設され、その
   取付溝内に前記補強部材が嵌め込まれて固定部材により
   固定されていることを特徴とする請求項１記載の冷蔵庫
   のドア構造。