JPH08225394A - ダイヤモンドの気相合成方法 - Google Patents

ダイヤモンドの気相合成方法

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JPH08225394A
JPH08225394A JP7303350A JP30335095A JPH08225394A JP H08225394 A JPH08225394 A JP H08225394A JP 7303350 A JP7303350 A JP 7303350A JP 30335095 A JP30335095 A JP 30335095A JP H08225394 A JPH08225394 A JP H08225394A
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gas
diamond
vacuum chamber
oxygen
hydrogen
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JP7303350A
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English (en)
Inventor
Kazutaka Kanda
一隆 神田
Seiki Takehata
精己 竹端
Shoichi Yoshida
昇一 吉田
Kenichiro Yamagishi
憲一郎 山岸
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Nachi Fujikoshi Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 黒鉛を原料とし、水素と酸素または炭素を含
まない酸素化合物の混合ガスを媒体として、安価にダイ
ヤモンドあるいはダイヤモンド状硬質膜を合成する。 【解決手段】 真空槽内の圧力が予め設定された第1の
真空度になるまで真空槽内を排気した後、真空槽内に設
置された黒鉛を600 ℃以上2000℃以下に加熱しつつさら
に真空槽内の排気を続け、真空槽内の圧力が予め設定さ
れた第2の真空度に達したところで真空槽内の排気を停
止する。次に、炭素を含まない反応ガスを真空槽内へ供
給し、真空槽内の圧力が予め設定された値に到達したと
き反応ガスの供給を停止し、さらに真空槽内に充填され
た反応ガスを真空槽内で循環させる。以上の処理により
反応ガスが充満しかつ閉鎖された真空槽内の雰囲気中に
おいて、発生せしめた放電プラズマ中または加熱された
フィラメントの近傍に置かれかつ600 ℃以上1200℃以下
に加熱された基体上にダイヤモンドを合成させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はダイヤモンドの気相
合成方法に関し、より詳細には黒鉛を原料とし、水素と
酸素または炭素を含まない酸素化合物の混合ガスを、黒
鉛から炭素化合物ガスを得るための反応ガスとして用
い、安価にダイヤモンドあるいはダイヤモンド状硬質膜
を合成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ダイヤモンドの気相合成技術が進
展し、様々なダイヤモンド合成方法が提案されてきた。
例えば従来の高圧合成に加え、気相からも天然ダイヤモ
ンドと同等の硬度と結晶性をもつダイヤモンドないしは
ダイヤモンド状硬質炭素膜の人工合成が可能となってき
た。気相からのダイヤモンドの合成はその応用範囲が広
がってきており、ダイヤモンドの硬度、熱伝導率、弾性
率、半導性、光学的特性あるいは耐食性などの優れた特
性を利用した切削工具、耐摩耗部材、ヒートシンク、半
導体、音響機器部品、光学製品あるいは耐食性部品など
への応用が考えられている。
【0003】ダイヤモンドの気相合成方法としては従来
次のような方法が行われている。
【0004】.例えばJournal of Cry
stal Growth,52(1981)219に示
されるごとく、炭化水素ガスまたは炭化水素と水素の混
合ガスを加熱分解して炭素の過飽和な雰囲気を作り、こ
の雰囲気中に置かれ加熱された基体上にダイヤモンドを
化学的に移送し堆積する方法。
【0005】.例えば、Journal of Ap
plied Physics.Vol.42.No.7
(1971)2953に示されるごとく、炭素イオンを
加速し室温の基体上にダイヤモンド状炭素膜を合成する
方法。
【0006】.例えば、特開昭58−91100ある
いはJapanese Journal of App
lied Physics.Vol.25.No.6
(1986)L519に示されるごとく、炭化水素また
はアルコール類またはケトン類と水素の混合ガスを高温
の熱フィラメントを用いて熱分解し、化学的に活性な原
子あるいは分子を作り、加熱された基体上にダイヤモン
ドを合成する方法。
【0007】.炭化水素またはアルコール類と水素の
混合ガスを原料としこれらのガス雰囲気中で、例えば特
開昭60−221395に示されるごとく直流放電によ
り、または特開昭58−135117に示されるごとく
高周波放電により、あるいは特開昭58−110494
に示されるごとくマイクロ波放電によりプラズマを発生
させ活性な化学種を作り、加熱された基体上にダイヤモ
ンドを合成する方法。
【0008】.例えば、雑誌「ニューダイヤモン
ド」、Vol.4、No.2(1988)30に示され
るごとく炭化水素と水素とアルゴンまたはヘリウムの混
合ガス中に直流放電によりジェット状に噴射する強力な
熱プラズマ流を作り、該プラズマ流の中でダイヤモンド
を合成する方法。
【0009】.例えば、雑誌「ニューダイヤモン
ド」、Vol.4、No.3(1988)34に示され
るごとく、炭化水素あるいはアルコールと水素または酸
素の混合ガスの燃焼炎中でダイヤモンドを合成する方
法。
【0010】これらの方法のうち、の方法は炭化水素
ガスあるいは炭化水素と水素の混合ガスを熱分解し化学
移送法によりダイヤモンドを合成するのであるが、詳細
な試験方法が示してなく、また再現性が難しいため、現
在一般的には行われていない。また、の方法にて合成
されるダイヤモンド状炭素膜は一般に硬度が低く、また
広い面積にわたり高速度で膜を合成するのが難しく工業
的には不利である。
【0011】そこで、現在は上記のうち〜が良好な
ダイヤモンドを成する方法として行われている。即ち上
記〜に示すダイヤモンドの気相合成においては、ダ
イヤモンドの原料となる炭素を炭化水素のように炭素と
水素から構成される化合物ガス、あるいはアルコール
類、ケトン類などのような炭素と水素と酸素から構成さ
れる化合物ガスから供給し、これらのガスと水素ガスの
混合ガス雰囲気中において、熱フィラメントないしはプ
ラズマの存在下に600℃〜1200℃に加熱された基
体上にダイヤモンドの合成が行われてきた。このとき、
炭素源とともに多量の水素ガスを反応ガス中に加えるの
は、熱フィラメントあるいはプラズマにより活性化され
た水素が、ダイヤモンド合成時にダイヤモンドとともに
多量に析出するグラファイトを選択的に除去する作用を
持っているからである。
【0012】また、炭素源としてアルコール類またはケ
トン類を用いた場合には高速でダイヤモンドの合成を行
えることが知られているが、これはアルコール類または
ケトン類の持つO−H基あるいは酸素によるグラファイ
トの除去効果が、前記の活性化された水素の効果に重畳
されるため、より多くの炭素源の供給が可能になるため
と考えられている。また、反応ガス中にアルゴンなどの
希ガスを加えることがあるが、これは放電プラズマをつ
くる場合、放電電圧を下げ安定な放電を行わせるためで
ある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述の〜
の方法は、ダイヤモンドの原料となる炭素を炭素化合物
ガスからとっているため、ダイヤモンドとして基板上に
析出される炭素量が僅かであるにもかかわらず、ダイヤ
モンド合成中は常に所定の比率に混合された反応ガスを
流し続けなければならないという欠点がある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記従来技術の問題点を
解決するために、本発明ではまず、真空槽内の圧力が予
め設定された第1の真空度になるまで真空槽内を排気し
た後、真空槽内に設置された黒鉛を600℃以上200
0℃以下に加熱しつつさらに真空槽内の排気を続け、真
空槽内の圧力が予め設定された第2の真空度に達したと
ころで真空槽内の排気を停止する。次に、水素原子数と
酸素原子数の比が1:0.001〜0.3に調整され
た、炭素を含まない反応ガスすなわち水素ガスと酸素ガ
スとの混合ガス;炭素を含まない酸素化合物ガス;酸素
ガスと炭素を含まない酸素化合物ガスとの混合ガス;の
いずれかを真空槽内へ供給し、反応ガスの供給により真
空槽内の圧力が予め設定された値に到達したとき反応ガ
スの供給を停止し、さらに真空槽内に充填された反応ガ
スを真空槽内で循環させる。以上の処理により反応ガス
が充満しかつ閉鎖された真空槽内の雰囲気中において、
発生せしめた放電プラズマ中または加熱されたフィラメ
ントの近傍に置かれかつ600℃以上1200℃以下に
加熱された基体上にダイヤモンドを合成させることとし
た。
【0015】すなわち、構成における本発明と従来技術
との大きな相違は、従来技術が反応ガスとして炭素を含
むガスを使用し、真空槽内に反応ガスを供給し続けると
ともに排出し続ける構成としているのに対し、本発明は
反応ガスとして炭素を含まないガスを使用し、真空槽内
に反応ガスを供給し続けることなく、予め設定された圧
力の反応ガスを真空槽内に供給した後は反応ガスの供給
を停止し、この後は自然対流、好ましくは循環装置を用
いた強制対流により反応ガスを閉鎖された真空槽内で対
流させ、黒鉛板と反応ガスとの間の化学反応により炭素
を含むガスを発生させる構成としている。
【0016】より詳細には、黒鉛は酸素の存在下で60
0℃以上の温度領域で一酸化炭素あるいは二酸化炭素を
生成し、また酸素と水素の反応の結果生じた水と反応し
一酸化炭素と水素を生成することが知られているので、
本発明は閉鎖された真空槽内でこの反応を起こさせて主
に一酸化炭素から成る炭素化合物ガスを生成させ、雰囲
気中に放出された炭素化合物ガスが熱フィラメント近傍
あるいはプラズマ中で分解・活性化され、その結果基体
上にダイヤモンドが析出されるようにしている。ダイヤ
モンドの析出により炭素は雰囲気中から除かれるが、酸
素および水素は依然として雰囲気中に残るため、水とな
って循環し、再び黒鉛と反応して雰囲気中に主に一酸化
炭素から成る炭素化合物ガスを供給する反応に寄与する
ことになる。黒鉛の温度は600℃以上であればその融
点近傍まで上げても構わないのであるが、実用上200
0℃以下が好ましい。
【0017】基体の温度は600℃以下ではダイヤモン
ドと共にグラファイト成分が多く折出するので好ましく
なく、また1200℃を越えると折出したダイヤモンド
がグラファイトに変化してしまうため、基体の温度を6
00℃以上1200℃以下に限定した。
【0018】
【発明の実施の形態】以下に実施例をもって本発明の実
施形態を示す。
【0019】
【実施例】
(実施例1)図1に示すような装置を用いてダイヤモン
ドの気相合成を行った。すなわち、真空槽1内には黒鉛
加熱用ヒータ電流導入端子12に支持されたモリブデン
製ヒータ3が設けられ、黒鉛粉末2が該モリブデン製ヒ
ータ上に載せられている。さらに、モリブデン製ヒータ
の上方には基板支持台支持具兼ヒータ電流導入端子11
に接続する加熱ヒータ13を内蔵する基体支持台5が形
成されるとともに、該基体支持台上にタングステン板か
ら成る基体6が載置されている。さらに、基体の上方に
3〜5mmの隙間を介してフィラメント4がフィラメン
ト用電流導入端子10により支持されている。なお、7
は真空排気管、8は該真空排気管に配置された排気バル
ブ、9はガス導入管である。
【0020】実施の方法は、まず真空槽内を真空排気管
7を通して10-4Torrまで排気した後、モリブデン
ヒータ上に置いた黒鉛粉末を通電により800〜100
0℃に加熱し、真空度が10-5Torrに達した後、真
空排気管につながる排気バルブを閉じ、水素:水蒸気の
モル比を100:2とした反応ガスをガス導入管を通し
て真空槽内の圧力が100Torrに達するまで導入
し、ついでフィラメントを通電により約2000℃に加
熱することによってフィラメントの下方に置かれた基体
上にダイヤモンドの合成を行った。ダイヤモンド合成時
には基体支持台に取り付けたヒータに通電し基体支持台
の温度を800℃とし、この上に載せた基体を加熱し
た。これにより、2時間の合成処理を行ったところ、基
体上のフィラメント直下の部分に自形面を持ったダイヤ
モンドが多く合成され、最も厚いところで12μmの厚
さがあった。
【0021】ダイヤモンド合成中の真空槽内の圧力はフ
ィラメントへの通電開始時に真空槽内の反応ガスの温度
が上昇したことにより上昇したが、以後はほとんど一定
であった。
【0022】(実施例2)図2に示すような装置を用い
てダイヤモンドの気相合成を行った。すなわち、真空槽
1の内部に黒鉛加熱用ヒータ電流導入端子12に支持さ
れた黒鉛板2′を有し、真空槽の底面から立設され冷却
口18を備えた陽極14上にはWC−Co基超硬合金基
体6が載置される。該基体から約40mm上方にはトリ
ア入りタングステン製のフィラメントから成る陰極4が
フィラメント用電流導入端子10に接続されて位置して
いる。真空排気管7、排気バルブ8およびガス導入管9
は図1の場合と同様に配置されている。
【0023】実施の方法は、まず真空槽内を10-4To
rrまで排気後、黒鉛板を通電により約1000℃に加
熱しながら排気を続け、真空度が10-5Torrに達し
た後排気バルブを閉じて排気を止め、水素ガスと酸素ガ
スを体積比で100:6とした反応ガスを、ガス導入管
を通して真空槽内へ圧力が30Torrに達するまで導
入した後供給を止め、ついでトリア入りタングステン製
フィラメントを通電により約2000℃に加熱し、フィ
ラメントと陽極の間に4Aの電流を流すことによって両
極間にプラズマを発生させ、陽極上に置いた基体上にダ
イヤモンドの合成を行った。
【0024】ダイヤモンド合成時にはプラズマの影響で
基体の温度が上昇するため、陽極内部に備えた冷却口に
通水することによって陽極を冷却し、その上に載せた基
体の温度を700〜1000℃の範囲に保った。これに
より3時間の処理を行ったところ、WC−Co基超硬合
金上に約10μmの厚さの自形面を持った多結晶から成
るダイヤモンド膜が合成された。
【0025】(実施例3)図3に示すように、内部の基
体が対流により循環できる構造を持つ真空槽1内に通電
により加熱できる黒鉛板2′を有し、真空槽内の基体中
にプラズマを発生させるためのマイクロ波発振器15
と、マイクロ波を真空槽へ導入するための導波管16
と、プラズマの状態を調整するためのプランジャー1
7、およびその他の付属品から成るマイクロ波プラズマ
発生装置と、プラズマ中に基体6を置くための基体支持
台5を有する装置を用いて、以下の方法にてダイヤモン
ドの合成を行った。
【0026】タングステン板を基体としこれを基体支持
台上に置き、実施例2と同様の手順にて真空排気および
黒鉛の加熱を行い、水素ガス:一酸化窒素ガスのモル比
を100:4とした反応ガスを真空槽内に30Torr
まで充填し、350Wのマイクロ波を形成し、このブラ
ズマ中に置いた基体上にダイヤモンドの合成を行った。
このときの基体の温度は800〜900℃と推定され
た。
【0027】この方法により3時間の処理を行ったとこ
ろ、タングステン基体上に約5μmの厚さの自形面を持
つ多結晶ダイヤモンドから成る膜が合成された。
【0028】上記実施例1および3において、酸素化合
物ガスとして水および一酸化窒素を用いたが、これらの
他に例えば二酸化窒素から構成される化合物ガスを用い
た場合でも同様な効果が得られる。また、実施例2およ
び3では直流放電およびマイクロ波により放電プラズマ
を発生したが、プラズマを発生するための手段としては
この他に高周波を用いた場合にも同様な効果が得られ
る。
【0029】(実施例4)図4に示すような装置を用い
てダイヤモンドの気相合成を行った。すなわち、真空槽
1内には黒鉛加熱用ヒータ電流導入端子12に支持され
たモリブデン製ヒータ3が設けられ、黒鉛粉末2が該モ
リブデン製ヒータ上に載せられている。さらに、モリブ
デン製ヒータの上方には基体支持台支持具兼ヒータ電流
導入端子11に接続する加熱ヒータ13を内蔵する基体
支持台5が形成されるとともに、該基体支持台上に10
mm×10mm×3mmのタングステン板から成る基体
6が載置されている。さらに、基体の上方に3〜5mm
の隙間を介してフィラメント4がフィラメント用電流導
入端子10により支持されている。また、真空槽内へ供
給される反応ガスは、真空槽下部側面から吸引され、ガ
ス循環ポンプ20により加圧された後、ガス流量計19
を通り真空槽上部から真空槽内へ噴射される。なお、7
は真空排気管、8は該真空排気管に配置された排気バル
ブ、9はガス導入管である。
【0030】実施の方法は、まず真空槽内を真空排気管
7を通して10-4Torrまで排気した後、モリブデン
ヒータ上に置いた黒鉛粉末を通電により800〜100
0℃に加熱し、真空度が10-5Torrに達した後、真
空排気管につながる排気バルブを閉じ、水素:酸素のモ
ル比を95:5とした反応ガスを、ガス導入管を通して
真空槽内の圧力が50Torrに達するまで導入し、つ
いで循環ポンプにより真空槽内のガスを500CCMの
流量で循環させ、その後フィラメントを通電により約2
000℃に加熱することによってフィラメントの下方に
置かれた基体上にダイヤモンドの合成を行った。ダイヤ
モンド合成時には基体支持台に取り付けたヒータに通電
し基体支持台の温度を800℃とし、この上に載せた基
体を加熱した。これにより2時間の合成処理を行ったと
ころ、タングステン基板上面にダイヤモンドが合成さ
れ、膜厚は厚い部分で約16μm、薄い部分で約8μm
であった。
【0031】比較例として循環ポンプを動作させない他
は上記と同条件としてダイヤモンドの合成を行ったとこ
ろダイヤモンドの膜厚は厚い部分で約10μm、薄い部
分で約2μmとなり、ガスを循環させない場合に較べ膜
の成長速度が遅くなり膜厚のばらつきも大きくなった。
【0032】(実施例5)図5に示すように、内部の気
体がガス循環ポンプ20を用いてガス流量形19にて流
量を測定しながら循環できる構造を持つ真空槽1内に、
通電により加熱できる黒鉛板2′を有し、真空槽内の気
体中にプラズマを発生させるためのマイクロ波発振器1
5と、マイクロ波を真空槽へ導入するための導波管16
と、プラズマの状態を調整するためのプランジャー1
7、およびその他の附属品から成るマイクロ波プラズマ
発生装置と、プラズマ中に基体6を置くための基体支持
台5を有する装置を用いて、以下の方法にてダイヤモン
ドの合成を行った。
【0033】JIS記号SNGN120408型のWC
−Co基超硬合金を基体としてこれを基体支持台上に置
き、実施例2と同様の手順にて真空排気および黒鉛の加
熱を行い、水素ガス:水蒸気のモル比95:5とした反
応ガスを真空槽内に30Torrまで充填し、ガス循環
ポンプにて真空槽内のガスを200SCCMの流量で循
環させた後、350Wのマイクロ波を導入して真空槽内
の反応ガス中に放電プラズマを形成し、このプラズマ中
に置いた基体上にダイヤモンドの合成を行った。このと
きの基体の温度は800〜900℃と推定された。
【0034】この方法により3時間の処理を行ったとこ
ろ、基体の上面周辺部に約7μm、上面中心部に約4μ
mの厚さの自形面を持つ多結晶ダイヤモンドから成る膜
が合成された。
【0035】比較例として、ガス循環ポンプを設置せず
自然対流のみでガス循環を行わせる方法で、反応ガスの
種類、圧力、黒鉛温度、基体の種類、基体温度、マイク
ロ波出力、処理時間を上記と同じくしてダイヤモンドの
合成を行ったところ、ダイヤモンド膜の厚さは基体の上
面周辺部で約5μm、基体上面中心部で約2μmであ
り、膜成長速度が遅くなるとともに、膜厚の不均一さも
増した。
【0036】以上の実施例3〜5に示されたように、真
空槽内のガスを循環せしめるためのガス循環ポンプを設
け、ダイヤモンドの気相合成の原料となる炭素化合物ガ
スのダイヤモンド合成領域への供給量を高めることによ
り、ダイヤモンドの合成速度が上昇するとともに、合成
されたダイヤモンド膜の膜厚の均一性を改善することが
できた。
【0037】
【発明の効果】本発明の方法では、反応ガスとして炭素
を含まないガスを使用し、真空槽内に反応ガスを供給し
続けることなく、予め設定された圧力の反応ガスを真空
槽内に供給した後は反応ガスの供給を停止し、この後は
自然対流、好ましくは循環装置を用いた強制対流により
反応ガスを閉鎖された真空槽内で循環させ、黒鉛板と反
応ガスとの間の化学反応により炭素を含むガスを効果的
に発生させるようにしたので、従来のように炭化水素ガ
スあるいは炭酸水素化合物ガス等の炭素を含有する反応
ガスを連続的に真空槽内へ供給しつつ排出する方法と比
較して、反応ガスの消費量を格段に少なくすることがで
き、したがって安価にダイヤモンドを合成することがで
きるので工業的に非常に有利なものとなった。特に、反
応ガスとして用いられる引火性の高い水素ガスの貯蔵量
を従来のものより減らすことができるので、反応ガスの
保安性も高くなった。
【0038】また、従来の気相合成装置に僅かな改良を
加えるだけで本願の方法が実施できるのであり、きわめ
て容易かつ経済的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1によるダイヤモンドの気相合
成装置の概略図である。
【図2】本発明の実施例2によるダイヤモンドの気相合
成装置の概略図である。
【図3】本発明の実施例3によるダイヤモンドの気相合
成装置の概略図である。
【図4】本発明の実施例4によるダイヤモンドの気相合
成装置の概略図である。
【図5】本発明の実施例5によるダイヤモンドの気相合
成装置の概略図である。
【符号の説明】
1 真空槽 2 黒鉛粉末 2′黒鉛板 4 フィラメント 6 基体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山岸 憲一郎 富山県富山市不二越本町一丁目1番1号 株式会社不二越内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】真空槽内の圧力が予め設定された第1の真
    空度になるまで真空槽内を排気した後、該真空槽内に設
    置された黒鉛を600℃以上2000℃以下に加熱しつ
    つさらに真空槽内の排気を続け、真空槽内の圧力が予め
    設定された第2の真空度に達したところで真空槽内の排
    気を停止し、しかる後水素原子数と酸素原子数の比が
    1:0.001〜0.3に調整された、炭素を含まない
    反応ガスすなわち水素ガスと酸素ガスとの混合ガス;炭
    素を含まない酸素化合物ガス;酸素ガスと炭素を含まな
    い酸素化合物ガスとの混合ガス;のいずれかを真空槽内
    へ供給し、該反応ガスの供給により真空槽内の圧力が予
    め設定された値に到達したとき反応ガスの供給を停止
    し、さらに真空槽内に充填された前記反応ガスを真空槽
    内で循環させ、以上の処理により反応ガスが充満しかつ
    閉鎖された真空槽内の雰囲気中において、発生せしめた
    放電プラズマ中または加熱されたフィラメントの近傍に
    置かれかつ600℃以上1200℃以下に加熱された基
    体上にダイヤモンドを合成することを特徴とするダイヤ
    モンドの気相合成方法。
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