JPH08225353A - 高流動コンクリート用混和剤 - Google Patents

高流動コンクリート用混和剤

Info

Publication number
JPH08225353A
JPH08225353A JP3387095A JP3387095A JPH08225353A JP H08225353 A JPH08225353 A JP H08225353A JP 3387095 A JP3387095 A JP 3387095A JP 3387095 A JP3387095 A JP 3387095A JP H08225353 A JPH08225353 A JP H08225353A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
concrete
emulsion
admixture
fluidity
copolymer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP3387095A
Other languages
English (en)
Inventor
Naotane Minamida
尚胤 南田
Keizo Kimura
恵三 木村
Takumi Kuroiwa
巧 黒岩
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Takeda Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Takeda Chemical Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Takeda Chemical Industries Ltd filed Critical Takeda Chemical Industries Ltd
Priority to JP3387095A priority Critical patent/JPH08225353A/ja
Publication of JPH08225353A publication Critical patent/JPH08225353A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Curing Cements, Concrete, And Artificial Stone (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 モノマー成分から得られた遊離カルボン酸基
を高分子鎖中に有する共重合体エマルションを含有して
なる高流動コンクリート用混和剤。 【効果】 流動性、充填性に優れ、かつ分離抵抗性にも
優れた高流動コンクリートを比較的安価に調製すること
ができる。その結果、コンクリート施工時においては、
人手をかけずに容易に施工することができるため、騒音
の発生を防止することができとともに、人件費を削減す
ることができ、しかも均一組成を有する大きな強度のコ
ンクリートを施工することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高流動コンクリート用混
和剤の添加により、振動締め固め無しに型枠内を流動さ
せることができ、かつ打設後に均一な材質のコンクリー
トとなし得る高流動コンクリート用混和剤に関する。
【0002】
【従来の技術】コンクリート構造物の施工を行う際に
は、一般に、打設した流動状態のフレッシュコンクリー
ト(以下、単にコンクリートと記す)が型枠の隅々にま
で充填されるように人力でかきならしたり、バイブレー
ター等で振動を与えて締め固めている。
【0003】近年、このバイブレーターによる騒音公害
が問題となってきており、また人手不足のため施工時に
人手をかけることが難しくなってきているため、振動に
よって締め固めを行わなくてもよい流動性の大きいコン
クリートが要求されるようになってきている。
【0004】しかし、単にコンクリートの流動性を大き
くし過ぎると、コンクリートを構成する各成分の比重差
によりコンクリートの均一性が損なわれ、コンクリート
構造物の耐力や耐久性に悪影響を及ぼすという問題があ
る。そこで、コンクリート自体の流動性を大きくすると
同時に、材料の分離抵抗性も大きくし、コンクリートの
均一性を保持しつつ流動性を大きくする、いわゆる高流
動コンクリートの研究がなされるようになってきてい
る。
【0005】このような高流動コンクリートを調製する
ために、通常は何らかの添加剤を添加するが、従来にお
いては、高性能減水剤と、セメント及びポゾラン材料の
結合剤等の無機系微粉末とを組み合わせて添加する方法
や水溶性セルロース等の多糖類の有機系分離低減剤とを
組み合わせて添加する方法が行われていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記の無機系
微粉末と高性能減水剤とを組み合わせて用いる方法の場
合、コンクリートに多量の前記無機系微粉末を配合しな
ければならないため、配合の方法自体が容易ではなく、
またコンクリートの乾燥収縮や多量の前記添加剤の水和
熱によるひび割れが増大する等、コンクリートの耐久性
が小さくなるという問題があった。
【0007】また高性能減水剤と水溶性セルロース等の
天然多糖類高分子等の有機系分離低減剤とを組み合わせ
て用いる方法の場合、これらの物質が粉体であるため添
加作業が煩雑であるばかりか、耐凍結融解性能をも低下
させるという課題があった。また、分離低減剤等が高価
なためコンクリート価格を著しく高騰させるという問題
もあった。
【0008】本発明はこのような課題に鑑みなされたも
のであり、添加作業が容易で、コンクリートの価格を余
り上げさせることもなく、かつコンクリートの均一性を
保持しつつ流動性を大きくすることができる高流動コン
クリート用混和剤を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明に係る高流動コンクリート用混和剤は、モノマ
ー成分から得られた遊離カルボン酸基を高分子鎖中に有
する共重合体エマルションを含有してなることを特徴と
している。
【0010】以下、本発明に係る高流動コンクリート用
混和剤について説明する。
【0011】前記共重合体エマルションは、遊離カルボ
ン酸基を有する高分子を含有している。
【0012】前記共重合体エマルション中の重合体の濃
度は、5〜60wt%程度が好ましい。前記共重合体エ
マルション中の重合体の濃度が5wt%未満であると、
共重合体エマルションの安定性が低下し、また、輸送に
おいて水を運んでいるようになるため経済的に不利にな
ることがある。他方前記共重合体エマルション中の重合
体の濃度が60wt%を超えると、共重合体エマルショ
ンが緻密充填され、かなり粘度が高くなり、合成しにく
くなることがある。
【0013】前記乳化剤の含有量は1〜5wt%程度が
好ましく、前記乳化剤の含有量が1wt%未満である
と、共重合体エマルションの安定性が低下し、共重合体
エマルションとして存在できなくなることがある。他方
前記乳化剤の含有量が5wt%を超えると、コンクリー
トに添加した際、硬化遅延等の問題を生じることがあ
る。
【0014】またこの高流動コンクリート用混和剤は、
遊離カルボン酸基を高分子鎖中に有するが、この含有量
は重合体の全量に対して3〜60wt%が好ましい。
【0015】前記遊離カルボン酸基の含有量が前記重合
体の全量に対して3wt%未満であると、共重合体エマ
ルションが有する増粘性がかなり低下し、コンクリート
に添加した際に十分な分離抵抗性を発揮しなくなること
がある。他方前記遊離カルボン酸基の含有量が前記共重
合体の全量に対して60wt%を超えると、安定した共
重合体エマルションが得られないことがある。
【0016】この高分子鎖中には、前記遊離カルボン酸
基の他、例えば水酸基、スルホン酸基、アミド基等を含
んでいてもよい。
【0017】通常、前記重合体は主として線状の高分子
より構成されるが、必要により前記線状の高分子がトリ
アリルシアヌレートやジビニルベンゼン等の架橋剤によ
り架橋されていてもよい。
【0018】本発明に係る高流動コンクリート用混和剤
は、前記共重合体エマルションの他に、高性能減水剤等
の各種流動化剤および消泡剤等の添加剤を含有していて
もよい。
【0019】次に、前記共重合体エマルションを製造す
る方法について説明する。本発明の高流動コンクリート
用混和剤を構成する共重合体エマルションは、エチレン
性不飽和カルボン酸と、前記エチレン性不飽和カルボン
酸と共重合可能な不飽和単量体とを乳化重合して得られ
る。
【0020】前記エチレン系不飽和カルボン酸として
は、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等の
エチレン系不飽和モノカルボン酸、イタコン酸、フマル
酸、マレイン酸、それらの無水物、例えばイタコン酸メ
チル、マレイン酸メチル等のモノエステル等のエチレン
系不飽和ジカルボン酸が挙げられる。
【0021】前記エチレン性不飽和カルボン酸と共重合
可能な不飽和単量体としては、例えば1,3−ブタジエ
ン、イソプレン、2−クロル−1,3−ブタジエン、2
−メチル−1,3−ブタジエン等の共役ジエン系単量
体、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、
p−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物、アクリル
酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アク
リル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプ
ロピル、アクリル酸ヒドロキシブチル、メタクリル酸メ
チル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル
酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシブチ
ル、メタクリル酸グリシジル等の不飽和カルボン酸アル
キルエステル化合物、アクリロニトリル、メタクリロニ
トリル、α−クロルアクリロニトリル等のシアン化ビニ
ル化合物、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メ
チロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルア
ミド等のエチレン系不飽和カルボン酸アミド、酢酸ビニ
ル等のカルボン酸ビニルエステル化合物、アクリル酸メ
チルアミノエチル、アクリル酸ジメチルアミノエテル、
アクリル酸ジメチルアミノプロピル、アクリル酸ジブチ
ルアミノエテル、メタクリル酸メチルアミノエチル、メ
タクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチ
ルアミノプロピル、メタクリル酸ジブチルアミノエチ
ル、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等のエチ
レン系不飽和アミン化合物等が挙げられる。
【0022】また、例えばジビニルベンゼン等の芳香族
ジビニル化合物、エチレングリコールジアクリレート、
ブチレングリコールジアクリレート、ヘキサンジオール
ジアクリレート、オリゴエチレングリコールジアクリレ
ート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメ
チロールプロパントリアクリレート、エチレングリコー
ルジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレー
ト、オリゴエチレングリコールジメタクリレート、トリ
メチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロール
プロパントリメタクリレート等のアルカンポリオールポ
リ(メタ)アクリレート化合物、トリアリルシアヌレー
ト等のシアヌレート化合物等の架橋性単量体も使用する
ことができる。
【0023】共重合体エマルションは、特定割合の前期
単量体を公知の乳化剤、重合開始剤、連鎖移動剤等を使
用して、乳化重合されたものである。
【0024】ここで乳化剤としては、例えばドデシルベ
ンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウ
ム、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウ
ム、こはく酸ジアルキルエステルスルホン酸ナトリウ
ム、ナフタレンスルフォン酸ホルマリン縮合物等のアニ
オン系乳化剤、ポリオキシエチレンアルキルエステル、
ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル等のノニオ
ン系乳化剤が使用される。
【0025】前記乳化剤の使用量は、0.5〜10重量
%(前記単量体の総計量に対して、以下同じ)、好まし
くは1〜8重量%である。
【0026】また連鎖移動剤としては、例えばt−ドデ
シルメルカプタン(1,1−ジメチルデカン−1−チオ
ール)、1−ヘキサデカンチオール、1,10−デカン
チオール、1−8−ジメルカプト−3,6−ジオキサオ
クタン、1,5,10−デカントリチオール、メルカプ
トプロピオン酸2−エチルヘキシルエステル、オクタン
酸2−メルカプトエチルエステル、四塩化炭素、四臭化
炭素、α−メチルスチレンダイマー、ターピノーレン、
α−テルピネン、γ−テルピネン、ジペンテン、アリル
アルコール、2−アミノ−プロパノール−1等が挙げら
れる。
【0027】重合開始剤としては、例えば過硫酸カリウ
ム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の無機過
硫酸塩、クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパ
ーオキサイド、イソプロピルベンゼンパーオキサイド等
の有機過酸化物、アゾイソブチロニトリル等のアゾ系開
始剤等が挙げられる。
【0028】重合開始剤の使用量は0.03〜2.0重
量%、好ましくは0.05〜1.0重量%である。
【0029】また、乳化重合を促進させるために、例え
ばピロ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸
水素ナトリウム、硫酸第一鉄、ホルムアルデヒドナトリ
ウムスルホキシレート、L−アスコルビン酸およびその
塩等の還元剤や、例えばエチレンジアミン四酢酸ナトリ
ウム、グリシン等のキレート剤等を併用することができ
る。
【0030】乳化重合に際しては、前記乳化剤、前記連
鎖移動剤、前記重合開始剤などの他に、必要に応じて、
例えばポリアクリル酸ナトリウム等の分散剤、塩化カリ
ウム、りん酸二ナトリウム、りん酸三ナトリウム、りん
酸二アンモニウム、ピロリン酸ナトリウム、トリポリリ
ン酸ナトリウム等の電解質、pH調整剤等が使用され
る。
【0031】乳化重合は、前記単量体、前記乳化剤、前
記重合開始剤、前記連鎖移動剤等を前記範囲内の量で使
用して、重合温度が10〜100℃、好ましくは40〜
90℃、重合時間が8〜40時間の重合条件下で行われ
る。前記、各単量体の添加方法は特に制限されるもので
はなく、一括添加法、連続添加法、分割添加法、モノマ
ー乳化法等の任意の方法が採用される。
【0032】また、ポリビニルアルコール、ヒドロキシ
エチルセルロース等の保護コロイド剤も使用される。
【0033】さらに必要に応じて公知の充填剤、分散
剤、消泡剤、増粘剤、発泡剤、着色剤、難燃剤、防腐
剤、耐水化剤、老化防止剤、安定剤、加硫促進剤、帯電
防止剤等を添加してもよい。
【0034】上記方法により製造された本発明に係る共
重合体エマルションは、必要に応じて、ポリビニルアル
コール、ポリ酢酸ビニルなど他の合成樹脂エマルション
などとブレンドして使用することができる。
【0035】上記方法により製造された本発明に係る共
重合体エマルションは、そのまま高流動コンクリート用
混和剤としてコンクリートに添加してもよく、また上記
した添加剤を加えた状態でコンクリートに添加してもよ
い。
【0036】次に、本発明に係る高流動コンクリート用
混和剤を添加する対象となるコンクリート材料は、一般
に、セメント、細骨材及び粗骨材より構成されるが、前
記コンクリート材料にフライアッシュ、高炉スラグ、シ
リカフューム、石灰石等の微粉体を添加してもよい。
【0037】前記セメントとしては、普通ポルトランド
セメントが使用されるが、その他にも、例えば早強、超
早強、中庸熱、白色等のポルトランドセメントやフライ
アッシュセメント、高炉セメント、シリカセメント等の
混合ポルトランドセメント等も使用することができる。
【0038】前記細骨剤とは、10mm網ふるいを全部
通り、5mm網ふるいを85重量%以上通る骨材をい
い、粗骨剤とは5mm網ふるいに85重量%以上留まる
骨材をいう。前記骨材としては、例えば川砂、海砂、山
砂、栗石、砕石、フライアッシュ等が挙げられる。
【0039】本発明に係る高流動コンクリート用混和剤
を添加した高流動コンクリートは、流動性が大きく、か
つコンクリートの均一性を保持することができるという
両特性を満足するが、そのためコンクリート組成とし
て、セメントを150〜600kg/m3 (使用するコ
ンクリート1m3 当たり、以下同様)、細骨材を500
〜1000kg/m3 、粗骨材を500〜1500kg
/m3 、前記共重合体エマルションを乾燥樹脂換算で
0.01〜5kg/m3 含有しているのが好ましい。
【0040】前記セメントの含有量が150kg/m3
未満であると、セメントが少ないため十分な強度がでな
くなる。他方前記セメントの含有量が600kg/m3
を超える場合も、セメントによる強度はでるが、単位骨
材料が減少するため、コンクリートの強度が十分でない
結果となる。
【0041】前記細骨材の含有量が500kg/m3
満であると、粗骨材料が多くなり材料分離を起こしやす
くなる。他方前記細骨材の含有量が1000kg/m3
を超えると、分離抵抗性がでるため流動性を阻害するこ
とになり、また、単位粗骨材料が減少するため強度も低
下することになる。
【0042】前記粗骨材の含有量が500kg/m3
満であると、単位粗骨材料が多くなり十分な強度がでな
くなる。他方前記粗骨材の含有量が1500kg/m3
を超えると、材料分離を起こしやすくなる。
【0043】前記共重合体エマルションの含有量が乾燥
樹脂換算で0.01kg/m3 未満であると、十分な分
離抵抗性が得られなくなる。他方前記共重合体エマルシ
ョンの含有量が乾燥樹脂換算で5kg/m3 を超える
と、コンクリートの流動性を阻害してしまう。
【0044】また、本発明に係る高流動コンクリート用
混和剤が添加されたコンクリートに上記した流動性の大
きさとコンクリート組成の均一性をより良好に維持させ
るため、セメント分散剤として、例えばリグニンスルホ
ン酸塩、オキシカルボン酸塩、ポリオール複合体、メラ
ミンスルホン酸ホルマリン縮合物またはその塩、クレオ
ソート油スルホン酸ホルマリン縮合物またはその塩、ナ
フタリンスルホン酸ホルマリン縮合物またはその塩、ポ
リカルボン酸またはその塩等の(AE)減水剤、流動化
剤及び高性能(AE)減水剤を添加してもよい。
【0045】さらに、上記セメント分散剤の他にも、例
えばメチルセルロース等のセルロース系高分子増粘剤、
ポリアクリルアミド重合体の様なアクリル系高分子増粘
剤、水溶性ポリサッカライド等の水溶性高分子増粘剤、
β−1,3−グルカンを主成分としている様な多糖類ポ
リマー等の増粘性高分子化合物を添加してもよい。
【0046】
【作用】本発明に係る高流動コンクリート用混和剤によ
れば、モノマー成分から得られた遊離カルボン酸基を高
分子鎖中に有する共重合体エマルションを含有してなる
ので、前記高流動コンクリート用混和剤が添加されたコ
ンクリートは、前記高分子中の遊離カルボン酸基が、セ
メントペーストのアルカリ成分によって膨潤及び増粘
し、コンクリートの流動性を阻害せずに、分離抵抗性を
発揮することによって、コンクリートの流動性の大きさ
とコンクリート組成の均一性が良好に維持される。
【0047】
【実施例】以下、本発明に係る高流動コンクリート用混
和剤が添加されたコンクリートに関する試験例を説明す
る。
【0048】(1) 共重合体エマルションの製造 下記の表1に、配合する各原料、水、乳化剤等の配合量
を重量部で示しており、これらはa、b、c、d及びe
の各グループに分けられ、これらの各グループに記載さ
れたものを同時に又は予めこれらを混合した状態で反応
容器中に添加した。
【0049】次に、この表1及び表2に基づいて共重合
体エマルションの製造方法を説明する。
【0050】まず、共重合体エマルションA(以下、エ
マルションAと記す)及び共重合体エマルションB(以
下、エマルションBと記す)の製造方法について説明す
ると、攪拌機付きの反応容器中にaグループのものを表
1の割合で仕込み、窒素パージを行いながら85℃まで
昇温させた。一方、bグループのものは予め混合して乳
化状態にしておき、この乳化状態の混合物とcグループ
のものとを、aグループの液温が80℃に達した後、別
々に反応容器中に滴下した。滴下を行う間、液温は80
〜85℃に保持し、bグループのものは120分間で、
cグループのものは130分間で滴下を終了した。この
後、dの洗浄水を滴下し、その後80〜85℃で90分
間保持し、熟成させた。その後、前記反応容器を冷却
し、さらにeグループのものを添加して、共重合体エマ
ルションの製造を終了した。
【0051】次に、共重合体エマルションD(以下、エ
マルションDと記す)及び共重合体エマルションE(以
下、エマルションEと記す)の製造方法について説明す
ると、撹拌機付きの耐圧反応容器中にaグループのもの
を表2の割合で仕込み、窒素パージを行いながら85℃
まで昇温した。次に、bグループの混合物とcグループ
の混合物を180分間で連続チャージした後120分間
熟成させた。その間の反応温度は85℃に保持した。そ
の後、前記反応器を冷却して共重合体エマルションの製
造を終了した。
【0052】上記方法で製造された共重合体エマルショ
ンの物性値を下記の表3に示している。なお、エマルシ
ョンCは、上記方法により製造されたエマルションA
(エマルションA中の乾燥樹脂換算量)とPVA(ポリ
ビニルアルコール)とを重量比で1:9になるようにブ
レンドしたものである。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】
【0056】このようにして得られたエマルションA、
B、C、D、Eを用いて、以下に説明するような配合量
でコンクリートに配合し、その流動性及び分離抵抗性を
評価した。
【0057】まず、共重合体エマルションと分離低減剤
以外の他の部材の配合量は一定とした。具体的な配合量
として、水:170kg/m3 、セメント:350kg
/m3 、細骨材:825kg/m3 、粗骨材:1045
kg/m3 、高性能AE減水剤7.0kg/m3 とし、
水セメント比を50.0重量%、細骨材の比率を44.
0重量%とした。なお、高性能減水剤として、ポリカル
ボン酸系の高性能AE減水剤を使用した。
【0058】上記した組成のコンクリートに、さらに上
記共重合体エマルションA、B、C、D、E及び分離低
減剤を下記の表4に示した割合で添加、混合して高流動
コンクリート組成物を調製し、この高流動コンクリート
に要求される特性、すなわち流動性、分離抵抗性、充填
性について、以下の方法により測定を行った。図1は分
離抵抗性及び充填性の評価を行うために使用したU字溝
であり、寸法は図示した通りである。このU字溝の中央
部分には、直径13mmの丸鋼11が50mm間隔で水
平方向に配筋されており、下記の試験例及び比較試験例
により調製されたコンクリート組成物を流し込んで下記
の方法で評価した。
【0059】 流動性の評価について 通常行われているスランプフロー測定法、すなわちJI
S A1101に規定された方法により測定した。その
結果を、スランプフロー値及びスランプ値として下記の
表4に示している。
【0060】 分離抵抗性の評価 コンクリート組成物を前記U字溝に流し込んで充填した
後、図1中、A、Bで示した箇所よりコンクリート組成
物を取り出し、それぞれに含まれている粗骨材の重量を
測定し、下記の数1式の値を分離抵抗度とし、その値を
下記の表4に示している。この場合、分離抵抗度が10
0%であれば、全く分離していないことになる。
【0061】
【数1】分離抵抗度=(A/B)×100 (%) また、別の分離抵抗性を評価する方法として、スランプ
フロー測定後、広がったコンクリートに先行しているセ
メントペーストの距離を測定する方法を採用した。測定
された距離をセメントペースト先行距離として、下記の
表4に示している。この場合、セメントペースト先行距
離が小さいほど、分離抵抗性が大きいことを示してい
る。
【0062】 充填性の評価 U字溝の片側からコンクリート組成物を流し込み、コン
クリートの動きが止ったときのコンクリート注入側とそ
の反対側との高さの差を測定した。測定された高さの差
を充填高さの差として、下記の表4に示している。
【0063】
【表4】
【0064】上記表4に示した結果より明らかなよう
に、実施例に係るエマルションA、B、C、D、Eが使
用されたコンクリート組成物では、流動性を示すスラン
プ値、スランプフロー値とも大きく、分離抵抗性を示す
分離抵抗度が大きく、かつセメント先行距離は小さい。
また、充填性を示す充填高さの差も小さく、特に試験例
1〜4の場合に小さくなっている。また、硬化後のコン
クリート強度も十分な値が得られた。
【0065】このように実施例に係るエマルションを少
量コンクリートに添加することにより、流動性、充填性
に優れ、かつ分離抵抗性にも優れた高流動コンクリート
を調製することができる。
【0066】
【発明の効果】以上詳述したように本発明に係る高流動
コンクリート用混和剤にあっては、モノマー成分から得
られた遊離カルボン酸基を高分子鎖中に有する共重合体
エマルションを含有してなるので、前記高流動コンクリ
ート用混和剤をコンクリートに添加することにより、流
動性、充填性に優れ、かつ分離抵抗性にも優れた高流動
コンクリートを比較的安価に調製することができる。
【0067】この結果、コンクリート施工時において
は、人手をかけずに容易に施工することができるため、
騒音の発生を防止することができとともに、人件費を削
減することができ、しかも均一組成を有する大きな強度
のコンクリートを施工することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】コンクリートの流動性及び分離抵抗性を測定す
るためのU字溝を模式的に示した斜視図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 モノマー成分から得られた遊離カルボン
    酸基を高分子鎖中に有する共重合体エマルションを含有
    してなる高流動コンクリート用混和剤。
JP3387095A 1995-02-22 1995-02-22 高流動コンクリート用混和剤 Pending JPH08225353A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3387095A JPH08225353A (ja) 1995-02-22 1995-02-22 高流動コンクリート用混和剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3387095A JPH08225353A (ja) 1995-02-22 1995-02-22 高流動コンクリート用混和剤

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08225353A true JPH08225353A (ja) 1996-09-03

Family

ID=12398557

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3387095A Pending JPH08225353A (ja) 1995-02-22 1995-02-22 高流動コンクリート用混和剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH08225353A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6165262A (en) * 1998-01-20 2000-12-26 Nippon Shokubai Co., Ltd. Cement additive and cement composition using same
JP2011195984A (ja) * 2010-03-18 2011-10-06 Dai Ichi Kogyo Seiyaku Co Ltd ポリエステル繊維用難燃加工剤及び難燃加工方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6165262A (en) * 1998-01-20 2000-12-26 Nippon Shokubai Co., Ltd. Cement additive and cement composition using same
CN1102917C (zh) * 1998-01-20 2003-03-12 株式会社日本触媒 水泥外加剂和使用该外加剂的水泥组合物
JP2011195984A (ja) * 2010-03-18 2011-10-06 Dai Ichi Kogyo Seiyaku Co Ltd ポリエステル繊維用難燃加工剤及び難燃加工方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4155616B2 (ja) セメント混和剤およびそれを用いたセメント組成物並びにその調製方法
JP5479478B2 (ja) セメント状組成物のワーカビリティ保持のためのダイナミックコポリマー
CN109021181A (zh) 一种兼具降粘和保坍功能的聚羧酸系减水剂及其制备方法
US7232875B1 (en) Preparation of comb-branched polymers
CN110790872B (zh) 一种具有微交联结构的降粘型聚羧酸减水剂及其制备方法
JP6821250B2 (ja) 水硬性組成物の硬化体の製造方法
JP2003221266A (ja) セメント混和剤
JP2015187054A (ja) セメント分散剤組成物およびセメント組成物
JP6386281B2 (ja) セメント分散剤およびセメント組成物
JP2003252666A (ja) コンクリート用材料分離低減剤
JP2002187755A (ja) 水硬性組成物用分散剤
JP4118375B2 (ja) セメント混和剤およびそれを用いたセメント組成物並びにその調製方法
JPH08225353A (ja) 高流動コンクリート用混和剤
JPH0952749A (ja) 高流動コンクリート用混和剤及びそれが添加されたコンクリート材
JP6837824B2 (ja) 水硬性組成物
WO2020100212A1 (ja) 水硬性組成物用添加剤の製造方法
JP2001089212A (ja) セメント混和液剤およびその製造方法
JP6433316B2 (ja) 新規ポリカルボン酸系共重合体およびセメント分散剤、並びにセメント組成物
JPH07144949A (ja) フレッシュコンクリートの製造方法、フレッシュコンクリート及びコンクリート打肌面の美麗化方法
JP7090504B2 (ja) 再生骨材含有セメント組成物用添加剤
JP3811986B2 (ja) コンクリート組成物及びコンクリート
JP6433282B2 (ja) セメント混和剤用ポリマー、セメント混和剤、およびセメント組成物
JP6386282B2 (ja) セメント分散剤およびセメント組成物
JP2000143312A (ja) セメント混和剤
JPH08157820A (ja) 地盤注入工法用混和剤及び地盤注入工法

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20020430