JPH08209594A - ケーシング用原紙の製造方法及びケーシング用原紙 - Google Patents

ケーシング用原紙の製造方法及びケーシング用原紙

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JPH08209594A
JPH08209594A JP1923495A JP1923495A JPH08209594A JP H08209594 A JPH08209594 A JP H08209594A JP 1923495 A JP1923495 A JP 1923495A JP 1923495 A JP1923495 A JP 1923495A JP H08209594 A JPH08209594 A JP H08209594A
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晶子 三柴
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 商業ベースのケーシング加工の実機におい
て、ビスコース液を塗布する際に、ケーシング用原紙の
縦方向における伸び率が極めて小さく、加工適性に極め
て優れたケーシング用原紙の製造方法及び該方法による
ケーシング用原紙の提供。 【構成】 セルロース繊維を湿式抄紙するケーシング用
原紙の製造方法であって、該原紙の引張り強度の縦方向
と横方向の値の比が1.0〜1.5となるように抄紙時
のドローを2〜15%の範囲に調整する。得られるケー
シング用原紙は、縦方向における弾性率が1.0〜2.
2GPaである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ケーシング用原紙の製
造方法及びケーシング用原紙に関する。さらに詳しく述
べれば、本発明は、ケーシング加工時にビスコース液を
塗布することによって生じる原紙の縦方向における伸び
率を抑制し、加工適性に優れたケーシング用原紙の製造
方法及び該方法により得られるケーシング用原紙に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ハム、ソーセージ等の食肉加工品は、原
料を調合した練り製品をチューブ状のケーシングに充填
した後、加熱処理、殺菌処理、くん煙処理等を行なうこ
とによって製品される。ケーシングには、天然ケーシン
グと人工ケーシング(セルロースケーシング、コラーゲ
ンケーシング、プラスチックケーシング、ファイブラス
ケーシング等)があり、人工ケーシングは、天然ケーシ
ングに比べ安価で衛生的であり、また製品の大きさが一
定であるという利点から幅広く利用されている。しかし
ながら、セルロースケーシングには、強度が低く、湿度
に弱いという欠点があり、またプラスチックケーシング
にはくん煙を施すことが不可能であるという欠点がある
ため、従来から大型ロースハム、プレスハム用にはくん
煙可能で、かつ強靱なファイブラスケーシングが使用さ
れている。
【0003】ファイブラスケーシングとは、セルロース
パルプからなる紙基材にビスコース液を含浸させ、凝
固、再生処理を行なったもので、この方法は米国特許第
2,105,273号明細書に開示されている。ビスコ
ース液は重量比でセルロース分7%と水酸化ナトリウム
6%とを含む水溶液であり、したがって紙基材には、湿
潤強度と耐アルカリ性(アルカリ性液に強い抵抗力)が
要求される。このような紙基材には前記のビスコース液
の含浸に耐えうる湿潤強度と耐アルカリ性を付与するた
め、米国特許第3,135,613号明細書および3,
275,456号明細書に開示されているように、希薄
ビスコース液(セルロース分1%程度)の予備含浸と再
生処理が施されている。しかしながら、近年では、ビス
コース液は製造コストが高いこと、硫化水素発生による
公害問題の発生等の理由により、原紙メーカーは予備含
浸のためにビスコース液に代わる薬品の検討を行ってき
た。例えば、米国特許第5,108,546号明細書に
はポリビニルアルコールを用いた予備含浸が開示されて
いる。
【0004】一方、ケーシング用原紙には、前記したよ
うに高い湿潤強度と耐アルカリ性が必要であるととも
に、良好な操業性を維持するためにケーシング加工時に
ビスコース液の塗布によって前記原紙の縦方向における
伸び率が低いことが要求される。商業ベースの実機にお
けるケーシング加工では、巻取から予備含浸処理された
或いは予備含浸処理が施されていない原紙が引き出さ
れ、次いで原紙の両端が丸められて円筒形にされた状態
で、ビスコース液を塗布するためのダイスを通過させら
れてビスコース液が前記原紙の表面に塗布され、その後
凝固、再生浴中を通過させられる。
【0005】この時に、縦方向における伸び率の大きい
原紙では、ビスコース液を塗布した後に原紙の縦方向に
おいてテンションが緩み、原紙にシワが発生したり、円
筒形にした原紙の貼合部のズレを招くばかりか、逆にそ
の分テンションを戻そうとするため、原紙にさらにより
大きなテンションがかかり、円筒形がきれいな真円とな
らず歪んでしまう。また、過大なテンションによる負荷
は、断紙につながる恐れもある。したがって、ファイブ
ラスケーシング用原紙を用いてケーシングに加工する側
からみると、ビスコース液を塗布する際に、原紙の縦方
向における伸び率がより少ないケーシング用原紙の出現
が強く望まれている。
【0006】公知の薬品を用いる予備含浸処理は、ケー
シング用原紙に繊維交点の結合をより強固に補強する作
用があるので、そのような予備含浸処理した原紙は、縦
方向における伸び率はかなり抑制されている。しかしな
がら、ケーシング用原紙の前記予備含浸処理はなんとい
っても余分な工程を必要とし、操業のためのエネルギー
がかかり、コスト的にも高価となる。その上、そのよう
にして得られる原紙は、予備含浸処理を施していない原
紙に比べ、ビスコース液を塗布する際の含浸性が悪化す
る傾向にあるため、予備含浸なしでも原紙の耐アルカリ
性と湿潤強度が優れ、したがってより安価で、ビスコー
ス液の塗布に際してもビスコース液の含浸性が阻害され
ることがなく、しかもケーシングに加工する際に原紙の
縦方向における伸び率が極めて少ないケーシング原紙の
製造方法及びそのような原紙の開発が望まれている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、かかる
現状に鑑み、ケーシング用原紙にビスコース液を塗布し
た時に生じる原紙の縦方向における伸び率の抑制方法に
ついて鋭意研究を重ねた結果、原紙の縦方向における弾
性率に着眼し、弾性率が高い紙は伸び率が低く、前記原
紙の縦方向の弾性率が1.0〜2.2GPaの範囲にあ
るケーシング用原紙は、ビスコース液を該原紙に塗布す
る際に発生する縦方向における伸び率が極めて小さいこ
とを見出し、本発明を完成させるに至った。本発明の目
的は、セルロースパルプを原料として抄紙機において抄
造されるケーシング用原紙であって、商業ベースの実機
においてビスコース液を塗布する際に、縦方向における
伸び率が極めて小さく、加工適性に極めて優れたケーシ
ング用原紙の製造方法及び該方法によるケーシング用原
紙を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の第一は、セルロ
ース繊維を湿式抄紙するケーシング用原紙の製造方法に
おいて、該原紙の引張り強度の縦方向と横方向の値の比
が1.0〜1.5となるように抄紙時のドロ−を2〜1
5%の範囲に調整することを特徴とするケーシング用原
紙の製造方法である。本発明の第二は、縦方向における
弾性率が1.0〜2.2GPaであることを特徴とする
請求項1記載の方法によるケーシング用原紙である。こ
こで、原紙の引張り強度の縦方向と横方向の値の比と
は、前記原紙の縦方向と横方向におけるJIS P 8
113に準じて測定された破断時の引張り強度の値の比
であり、ドローとは、抄紙機においてリール速度(R)
とワイヤー速度(W)の差をワイヤー速度で除して百分
率で示したものをいい、{(R−W)×100}/W
(%)で表示される。
【0009】ケーシングに加工する側では、ビスコース
液を塗布する時の原紙の縦方向(流れ方向)における伸
び率の予測を以下のような試験法で原紙を測定し、得ら
れた結果で行っている。即ち、実際に実機のケーシング
加工機に原紙をかける前に、縦方向を長辺とするA4サ
イズに断裁された原紙の片面に実際に使用するビスコー
ス液(セルロース分7%、苛性ソーダ分6%)を厚さ1
mmで塗布し、次いで30秒経過後塗布した試料の縦方
向を上下にして吊し、下に1kgの重りを取付けさらに
30秒間放置後、紙の縦方向の長さ(L1)を測定し、
ビスコース液を塗布する前の長さ(L0)との差をビス
コース液を塗布する前の長さ(L0)で除して、百分率
で表示し伸び率(L、%)を求める(L、%={(L1
ーL0)×100}/L0)。この測定方法により得ら
れる伸び率が1.3%を越えて大きい場合、実機でその
原紙を用いてビスコース液を塗布するとビスコース液を
塗布する間に紙が縦方向に大きく伸びて、シワやタルミ
が生じ、しかもテンションが不安定となり操業が困難と
なることが経験的に知られている。
【0010】前記の縦方向における伸び率の評価方法の
代替として、本発明者等は、前記伸び率と原紙の縦方向
における弾性率の相関関係について検討した結果、ビス
コース液を塗布する前の原紙の弾性率を測定する方法が
有効であり、原紙の縦方向における弾性率が1.0GP
a以上であれば、ケーシング加工時に原紙にビスコース
液を塗布した後に、あるいは、塗布する間に、原紙の縦
方向への伸びを抑制することができ、即ちテンションの
問題に起因するトラブルもなくケーシング加工機を操業
できることを見出し、したがって原紙に薬品を予備含浸
処理することなく弾性率を高くして伸び率を低くするた
めの方法について研究した。その結果、抄紙機における
抄紙時のドローを2〜15%の範囲で操業することによ
り、原紙の引張り強度の縦方向と横方向の値の比を1.
0〜1.5の範囲内に調整すれば、得られる原紙の縦方
向における弾性率が1.0GPa以上となり、ビスコー
ス液を塗布した後の原紙の縦方向における前記の伸び率
を1.3%未満に抑えることが可能であることを見出し
たのである。原紙の弾性率は、前記の条件下では自ずと
上限が定まり、そのような上限値は2.2GPaであ
る。
【0011】ビスコース液を商業ベースの加工機で塗布
する時の原紙の縦方向における伸びを評価するために、
直接ビスコース液を使用してA4サイズの原紙を用いて
縦方向における伸び率を測定する代わりに、塗布する前
の原紙の弾性率を測定することにより代替できる理由は
明確ではないが、以下のように推測される。即ち、加工
機においてビスコース液を塗布した時の原紙の縦方向に
おける伸びは、ビスコース液が塗布されてから徐々に時
間経過とともに発生するのではなく、ビスコース液を塗
布する前でも、加工機で原紙を一定のテンションをかけ
て巻取りから繰り出した時にもかなり伸びが発生してお
り、この状態でビスコース液を原紙に塗布するとその直
後に伸びが一層助長される割合が大きいことが判明し、
このことは原紙のような紙基材の縦方向における伸び
は、その基材の初期の引張り強度に対する歪み易さに依
存することを示唆しているものと考えられる。弾性率
は、初期の一定歪みに対する強度を示しているため、歪
みが小さければ弾性率は大きくなる。このような相関関
係によりビスコース液を塗布する前の弾性率が縦方向に
おける紙の伸びの代替評価方法になりうると考えられ、
縦方向における弾性率を大きくすることによって縦方向
における伸びの小さい原紙が得られるのである。
【0012】本発明でいう弾性率とは、原紙の弾性限界
内における引張り強度とその伸びとの関係を示す係数で
ある。通常、紙の引張り強度を測定する際、荷重の初期
で弾性的性質を示し、応力と歪の関係は直線で示される
が、さらに荷重が増加するに従い弾性挙動を示さなくな
り、応力と歪の関係は直線より次第にはずれ、曲線で示
されるようになる。この初期の引張り強度と伸びとの直
線領域での傾きから弾性率が算出される。本発明の弾性
率の測定方法としては、前記したように、原紙の引張り
強度を測定し、その応力−歪み曲線における初期の直線
部分の傾きから算出する方法と、原紙に超音波を発信
し、その伝播速度から算出方法とがあるが、本発明のた
めの弾性率の測定法は特に限定されるものではない。
【0013】弾性率を原紙の引張り強度から算出する場
合、通常の風乾紙の引張り強度のみでなく、湿潤引張り
強度からの値でも評価できるが、湿潤引張り強度からの
場合、弾性率の値が全体に低く、差が小さくなるため、
風乾紙の引張り強度から弾性率を求めるのが好ましい。
弾性率の算出方法を下記に示す。 1.引張り強度における応力−歪み曲線から弾性率Eを
算出する方法 JIS P 8113に従い、原紙の縦方向の引張り強
度を測定し、応力−歪み曲線を描く。応力−歪み曲線の
初期直線部の伸び(ΔL)と強度(F)から弾性率Eを
式(1)により算出する。 E={F/(ΔL/L)/S}×1/109 ={(F×L)/(S×△L)} ×1/109 式(1) E:弾性率(N/m2 ×1/109=GPa) F:強度(kgf×9.8m/sec2) S:断面積=サンプル巾×厚さ(m2 ) 原紙の厚さは、JIS P 8118に従い測定する。 L:スパン長さ(m) ΔL:伸び(m)
【0014】2.超音波伝播速度から算出する方法 超音波伝播速度測定計(例えば、SST−250 野村
商事社製)を用いて、原紙の縦方向の超音波伝播速度C
を測定し、式(2)により弾性率Eを算出する。 E=ρC2 式(2) E:弾性率(GPa) ρ:紙基材の密度(Kg/m3) C:超音波伝播速度(m/s)
【0015】原紙の弾性率を高めるための手段として
は、原紙の引張り強度の縦方向と横方向の値の比を高く
する、原紙の抄紙時にリール速度を上げ、ドローを強く
することにより紙を縦方向に引張り気味で抄紙する、セ
ルロースパルプを叩解して結合強度増加させる、抄紙後
の原紙にキトサン、ビスコース希薄液、ポリビニルアル
コール等の薬品を予備含浸処理を施すことにより繊維同
士の交点の結合を強める等があるが、本発明では予備含
浸を行なうことなく、抄紙の際に抄紙速度とドローのバ
ランス、さらにはそれによって引張り強度の縦方向と横
方向における値の比とのバランスにより原紙の弾性率が
調整される。
【0016】本発明では、ビスコース液を塗布する前に
原紙に薬品の予備含浸を施さないから、操業工程の合理
化と操業エネルギーの効率化に寄与し、コスト的にも安
価となることは勿論であるが、ケーシングを製造するた
めの加工機においてビスコース液を原紙に塗布した時に
ビスコース液の原紙への含浸性が損なわれないため、最
終的なケーシングの透明性が良くなり、肉を詰めた時に
肉の詰まり具合が見易いという外観面での利点ととも
に、ケーシングの強度も向上するという利点が得られる
のである。
【0017】本発明のファイブラスケーシング用原紙の
ために原紙の引張り強度の縦方向と横方向の値の比は、
1.0〜1.5の範囲となるように、抄紙機での条件が
調整される。抄紙機は公知のものが使用できるが、長網
抄紙機の場合はワイヤー・ジェット比、ブリーディング
量、シェーキング等の抄紙条件を調整しても前記の比を
得ることが困難である。また、円網抄紙機の場合も繊維
が縦方向に並び易く前記の比の範囲を得るのが困難であ
る。これに対し、傾斜ワイヤー式抄紙機の場合は、パル
プ濃度や抄紙速度を調整することにより容易に前記の比
が調整できる。即ち、本発明では、傾斜ワイヤー式湿式
抄紙機が好適に用いられ、この場合、抄紙機のワイヤー
速度とドローを組み合わせて増減することにより麻パル
プのように長繊維であっても前記縦方向と横方向におけ
る値の比を比較的容易に調整できる。
【0018】しかしながら、前記縦と横の値の比を1.
0未満にすることはどのように抄紙条件を調整しても達
成困難であり、また前記縦と横の値の比が1.5を越え
るとケーシングとした場合の横方向の強度の絶対値が低
くなり、肉を詰めた時に破袋し易くなるとともに、横方
向にケーシングが伸び易くなるので、詰め込みハムの充
填径の管理が難しくなり適さない。一方、ドローは、2
〜15%の範囲で原紙を抄紙し、前記引張り強度の縦方
向と横方向の値の比と併せて、原紙の弾性率が1.0〜
2.2GPaの範囲内に治まるようにする。ドローが2
%未満では弾性率が向上せず、ビスコース液を塗布した
際の縦伸びが改善されない。またドローを15%を越え
て高くすると原紙が抄紙中に断紙し易くなり、抄紙が困
難となるので適さない。
【0019】本発明のための原紙としては、例えば晒ク
ラフトパルプのような木材パルプ、麻パルプ(マニラ
麻、サイザル麻、亜麻、***、ジュート)、コウゾ、ミ
ツマタ等の非木材繊維(じん皮繊維)等からのパルプ、
あるいはこれらのパルプを適宜選択して混合したパル
プ、好ましくは麻パルプを紙料として公知の湿式抄紙機
において抄紙される紙が好適に用いられる。乾燥につい
ては特に限定はないが、90〜150℃の温風ドライヤ
ーのような公知の乾燥設備を用いる方法が好適に用いら
れる。
【0020】パルプは、ポーラスな原紙を抄紙するた
め、未叩解(フリーネス650〜750mlcsf)で
使用されるのが好ましいが、叩解を施せば結合強度が増
加するので、用途によってはフリーネスを500mlc
sfまで低下させたパルプを全部あるいは一部を用いて
も良い。また、原料にはより高い強度を付与するために
耐水化剤もしくは湿潤強度剤のような薬品を予めパルプ
スラリーに添加して抄紙するのが良い。原紙の坪量は、
所望する用途に応じて異なるが、ケーシング用原紙のた
めには15〜30g/m2 の範囲で適宜選択して用いら
れる。
【0021】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、勿論本発明はこれによって限定されるもの
ではない。尚、実施例及び比較例中の%は特に断わらな
い限り重量%を示す。
【0022】実施例1 未叩解(フリーネス690mlcsf)の市販フィリピ
ン産の麻パルプ(品番:S2ーB)スラリーに絶乾パル
プ重量当りポリアミドエピクロルヒドリン樹脂(WS−
570、日本PMC社製)を1.5%添加し、充分攪拌
して紙料とし傾斜ワイヤー式抄紙機にて坪量23g/m
2の原紙を抄紙した。この時のワイヤー速度は、20m
/分、リール速度は20.6m/分(ドロー:3%)と
し、原紙の引張り強度の縦方向と横方向における値の比
が1.1となるように抄紙した。原紙の乾燥は、130
℃のスルードライヤーを通して行ない、巻取を採取し
た。得られた原紙の縦方向の弾性率は、1.2GPaで
あった。引張り強度の測定及び縦方向と横方向の値の
比、ドローの算出、原紙の縦方向における弾性率の算
出、原紙の縦方向の伸びの評価、実機加工での操業性評
価及びケーシングの透明性の評価は以下のようにして行
った。
【0023】(1)原紙の引張り強度及び縦方向と横方
向の比 JIS P 8113に準じてテンシロン引張り試験機
(型式:UTMーIIIー100、東洋ボルドウィン社
製)で幅15mm、スパン長さ100mm、引張り速度
20mm/分で試料が破断するまで縦方向と横方向にお
ける引張り強度と伸びを測定し、破断引張り強度の縦方
向の値を横方向の値で除して比を求めた。 (2)ドローの算出 抄紙機のリール速度(Rm/分)とワイヤー速度(Wm
/分)から抄紙機のドロー(D%)を式(3)により算
出した。 D(%)=(R−W)×100/W (3)
【0024】(3)原紙の縦方向における弾性率の算出 得られた原紙の縦方向における弾性率は、縦方向の引張
り強度を測定した際の応力−歪み曲線の直線の傾きから
式(1)より算出した。 (4)縦方向における伸びの評価 得られた原紙から断裁してA4サイズ(長辺が縦)の大
きさの試料を採取し、この上にビスコース液(セルロー
ス分7%、NaOH分6%)を厚さ1mmに塗布し、直
ちに該試料の長辺の上部を挟んで吊し、30秒放置後、
1kgの重りを長辺の下部に吊り下げ、さらに30秒放
置した。その後試料の縦方向における長さ(L1)を測
定し、ビスコース液を塗布する前の長さ(L0)との差
をビスコース液を塗布する前の長さ(L0)で除して百
分率で伸び率(L、%)を表示した(L、%={(L1
ーL0)×100}/L0)。
【0025】(5)実機加工での操業性評価 300mm巾のケーシング用原紙の巻取をケーシング加
工機に掛け、実際にケーシングを作成する。その際ビス
コース液が塗布された後の紙に生じるシワやタルミの発
生の有無を黙視で観察して操業性を評価した。シワやタ
ルミの発生がなくスムーズに操業された場合は○、シワ
やタルミが発生し操業性が劣る場合は△で表示した。 (6)ケーシングの透明性評価 実機ケーシング加工機にて作成されたケーシングの透明
性を目視で観察し、透明性が良い場合は○、やや劣る場
合は△で表示した。
【0026】実施例2 ワイヤー速度は24m/分、リール速度は24.7m/
分(ドロー:3%)とし、原紙の引張り強度の縦方向と
横方向における値の比が1.4となるように抄紙したこ
と以外は、実施例1と同様にして原紙を製造し、その品
質を評価した。得られた原紙の縦方向における弾性率は
1.5GPaであった。
【0027】実施例3 ワイヤー速度は18m/分、リール速度は20.3m/
分(ドロー:13%)とし、原紙の引張り強度の縦方向
と横方向における値の比が1.1となるように抄紙した
こと以外は、実施例1と同様にして原紙を製造し、その
品質を評価した。得られた原紙の縦方向における弾性率
は1.8GPaであった。
【0028】実施例4 ワイヤー速度は22m/分、リール速度は24.9m/
分(ドロー:13%)とし、原紙の引張り強度の縦方向
と横方向における値の比が1.4となるように抄紙した
こと以外は、実施例1と同様にして原紙を製造し、その
品質を評価した。得られた原紙の縦方向における弾性率
は2.0GPaであった。
【0029】比較例1 ワイヤー速度は25m/分、リール速度は25.3m/
分(ドロー:1%)とし、原紙の引張り強度の縦方向と
横方向における値の比が1.4となるように抄紙したこ
と以外は、実施例1と同様にして原紙を製造し、その品
質を評価した。得られた原紙の縦方向における弾性率は
0.8GPaであった。
【0030】比較例2 ワイヤー速度は20m/分、リール速度は23.6m/
分(ドロー:18%)として実施例1と同様にして抄紙
したが、湿紙の状態で原紙が断紙し易く、巻取を採取で
きなかった。
【0031】比較例3 ワイヤー速度は18m/分、リール速度は18.2m/
分(ドロー:1%)とし、原紙の引張り強度の縦方向と
横方向における値の比が1.1となるように抄紙したこ
と以外は、実施例1と同様にして原紙を製造した。得ら
れた原紙の縦方向における弾性率は0.7GPaであっ
た。一方、酢酸0.5%、キトサン(SK−200、甲
陽ケミカル社製)0.5%(酢酸:キトサンの重量比=
1:1)及び水99%を混合し、25℃で、120分間
攪拌しながらキトサンを溶解した。このキトサン水溶液
に、攪拌しながら2%水酸化ナトリウム水溶液を徐々に
添加し、キトサン水溶液のpHが6.5となるように調
整した。pH調整後、さらに水を加え、最終的なキトサ
ン固形分濃度が0.3%のキトサン水溶液とした。前記
原紙に含浸機にて、上記キトサン水溶液を含浸し、11
0℃のヤンキードライヤーにて乾燥した。予備含浸処理
を施した原紙の引張り強度の縦方向と横方向の値の比
は、1.1であり、縦方向における弾性率は1.2GP
aであった。キトサンの予備含浸を施していない原紙及
びキトサンの予備含浸を施した原紙の品質は、実施例1
と同様にして評価した。
【0032】実施例1〜比較例3の評価結果を表1に示
した。
【0033】
【表1】
【0034】表1から分かるように、セルロースパルプ
から構成される原紙を抄紙する際に、抄紙機のワイヤー
速度とリール速度の差で表示されるドローを2〜15%
の範囲に調整し、引張り強度の縦方向と横方向の値の比
を1.0〜1.5の範囲内となるように抄紙される本発
明によるケーシング用原紙は、縦方向における弾性率が
1.0〜2.2GPaの範囲内にあり、そのようなケー
シング用原紙は、ビスコース液の塗布による実際的な伸
びの試験では1.0%以下に治まっており、さらにケー
シング加工機での実操業においても原紙の伸びが殆どな
く、使用条件の許容範囲内にあるため操業性が極めて良
好であり、またケーシングの透明性にも優れている(実
施例1〜4)。
【0035】一方、抄紙の際にドローを2%未満のよう
に低くして抄紙すると、引張り強度の縦方向と横方向の
値の比は高くても(比較例1)、低くても(比較例
3)、原紙の縦方向における弾性率は共に低い。しかし
ながら、このような原紙は、キトサン予備含浸がない場
合、ビスコース液の塗布による試験で縦方向における伸
びは高く(1.5%)、ケーシング加工機での操業性が
悪くなる。これに対してキトサン予備含浸を施した場
合、縦方向における伸びは低い水準(0.5%)に抑え
ることができ、前記加工機での操業性は良くなる。しか
しながら、この場合、キトサンの予備含浸を施すことに
より、余分の工程を必要とし、エネルギー的にも、コス
ト的にも不経済となる上、ケーシングの透明性が悪くな
る。抄紙の際にドローを余り高くすると(18%)、断
紙が多発して巻取り製品が得られず、不適である(比較
例2)。
【0036】
【発明の効果】以上詳細に説明したごとく、本発明は、
加工機の実操業においてビスコース液を塗布する際に縦
方向(流れ方向)における伸びが殆どなく、操業性が極
めて優れ、且つ薬品による予備含浸を施す必要がないこ
とからケーシングの透明性にも優れたセルロースパルプ
を用いるケーシング用原紙の製造方法及び該製造方法に
よるケーシング用原紙を提供するという効果を奏する。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セルロース繊維を湿式抄紙するケーシン
    グ用原紙の製造方法において、該原紙の引張り強度の縦
    方向と横方向の値の比が1.0〜1.5となるように抄
    紙時のドロ−を2〜15%の範囲に調整することを特徴
    とするケーシング用原紙の製造方法。
  2. 【請求項2】 縦方向における弾性率が1.0〜2.2
    GPaであることを特徴とする請求項1記載の方法によ
    るケーシング用原紙。
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