JPH0820866A - 薄膜形成装置 - Google Patents

薄膜形成装置

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JPH0820866A
JPH0820866A JP15764694A JP15764694A JPH0820866A JP H0820866 A JPH0820866 A JP H0820866A JP 15764694 A JP15764694 A JP 15764694A JP 15764694 A JP15764694 A JP 15764694A JP H0820866 A JPH0820866 A JP H0820866A
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film forming
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cathode
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研一 佐藤
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ガス導入口16よりガスを導入しながら、カ
ソード電極であるバッキングプレート11上のターゲッ
ト10をスパッタして、該ターゲット10に対向させた
可撓性支持体の表面に保護膜を形成する薄膜形成装置に
おいて、基体の薄膜形成面およびこれに対向するターゲ
ット10の被スパッタ面10aが鉛直方向とされ、ガス
導入管16が、カソードユニット9よりも下方、且つ、
カソードマスク15の主面15aよりも後方に設けられ
てなる。 【効果】 薄膜材料のカソード電極上への落下および、
ターゲットと基体との間の空間への落下が起こりにく
く、異常放電の発生が抑えられる。このため、磁気テー
プにおける保護膜形成に適用すると、保護膜の膜厚およ
び膜質を均一に保つことができ、耐摩耗性に優れた磁気
テープを歩留まりよく製造できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、スパッタ法により基体
表面に薄膜を形成する薄膜形成装置に関し、特に、異常
放電が抑制できる構造を有する薄膜形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、真空薄膜成膜法として蒸着
法,スパッタ法,CVD法等の検討がなされ、種々の分
野において実用化されている。蒸着法,CVD法は成膜
速度が大きく、特に蒸着法ではEBガンを使用すること
によって高速成膜が可能であるという利点がある。しか
し、この蒸着法は金属を蒸気化して被着させる方法であ
るため、蒸気圧の異なる物質を同時に安定して蒸着する
ことが難しいという問題もある。
【0003】一方、スパッタ法は、蒸気圧の異なる様々
な金属の合金成膜が可能であることから注目され、例え
ば、ディジタルビデオテープレコーダー、業務用ビデオ
テープレコーダーに用いる磁気テープやデータストレー
ジ用の磁気テープ等、非常に高い耐久性を必要とする磁
気記録媒体における保護膜の成膜に適用することが検討
されている。具体的には、SiO2 、SiNx 、C、S
iC等の耐摩耗性材料を保護膜として成膜すると、磁気
記録媒体の走行耐久性や耐蝕性が向上することがわかっ
ている。
【0004】従来、上記スパッタ法は蒸着法に比べて成
膜速度に劣ることから生産性に欠けること、大量生産を
行うためには装置が大型化すること等の問題点があった
が、現在では、マグネトロンスパッタ法や対向ターゲッ
ト法等といったスパッタ法の開発により、成膜速度は高
速化しつつある。図5に、マグネトロンスパッタ法を適
用した薄膜形成装置を示す。この薄膜形成装置において
は、排気口1a,1bを有する真空室2内に、可撓性支
持体5を走行させるための走行系と、該可撓性支持体5
に対して薄膜を形成する成膜系とが設けられてなる。上
記走行系は、送りロール3、巻取りロール4、円筒キャ
ン6、ガイドロール7,8よりなり、図中の矢印方向に
定速回転することにより、可撓性支持体5を送りロール
3から順次送り出し、円筒キャン6の周面に沿って走行
させた後、巻取りロール4に巻取るようになされてい
る。
【0005】一方、成膜系は、仕切り板によって仕切ら
れた真空室2の下方側に設けられ、上記円筒キャン6の
下方に設けられたカソードユニット9、この表面に配設
された薄膜の原料よりなるターゲット10、ガス導入管
16より構成される。上記カソードユニット9は、図6
にその断面を示すように、電源(図示せず。)に接続さ
れカソード電極となっているバッキングプレート11、
該バッキングプレート11の下方に配設されるマグネッ
ト12,13、これらを収納するカソードケース14、
該バッキングプレート11上面におけるターゲット10
が配置されていない範囲を被覆するカソードマスク15
よりなる。また、上記ガス導入管16は、カソードユニ
ット9の側方に設けられ、該カソードユニット9の長さ
と略同程度の長さを有するガス導入口16aを有してい
る。
【0006】そして、以上のような構成を有する装置に
よって薄膜を形成するには、上述の走行系にて可撓性支
持体5を走行させた状態にて、バッキングプレート11
に所定の電力を供給する。これにより、円筒キャン6と
の間に放電が起こり、ガス導入管16より供給されたガ
スがイオン化されてターゲット10を攻撃するため、可
撓性支持体5表面に薄膜材料が被着する。なお、マグネ
ット12,13から発生する漏れ磁界は、電子をトラッ
プして放電を持続させ、効率的なスパッタを可能とす
る。また、バッキングプレート11におけるターゲット
10が配設されていない範囲は、カソードマスク15に
よりイオンの攻撃から遮断されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、ターゲット
10から叩き出された薄膜材料は、可撓性支持体5以外
にも真空室2の内壁や仕切り板、カソードユニット9等
にも被着し、長時間に亘って堆積がなされると剥離して
落下する。そして、該薄膜材料がバッキングプレート1
1上へ落下すると異常放電を引き起こし、可撓性支持体
5表面に形成される薄膜の膜厚を不均一にしたり、膜質
に異常を発生させたりといった問題が生じる。
【0008】そこで本発明は、かかる実情に鑑みて提案
されたものであり、異常放電を抑制することにより、例
えば、磁気記録媒体における保護膜形成に適用すると耐
久性,防錆性の向上を図れるような、均一な膜厚,膜質
での薄膜形成が可能な薄膜形成装置を提供することを目
的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明等は上述の目的を
達成せんものと鋭意検討を重ねた結果、可撓性支持体の
薄膜形成面およびこれに対向するターゲットの被スパッ
タ面を鉛直方向とすることによって、カソード電極上へ
の薄膜材料の落下を抑制できることを見い出した。さら
に、カソード電極上への薄膜材料の落下以外にも、ター
ゲットと基体との間の空間への薄膜材料の落下をも防止
することが、異常放電の抑制に効果的であることを見い
出し、本発明を提案するに至った。
【0010】即ち、本発明に係る薄膜形成装置は、ガス
導入管よりガスを導入しながら、カソード電極上に配設
されたターゲットをスパッタして、該ターゲットに対向
させた基体の表面に薄膜を形成させる薄膜形成装置にお
いて、前記基体の薄膜形成面およびこれに対向する前記
ターゲットの被スパッタ面が鉛直方向とされ、前記ガス
導入管が、カソード電極表面のうち前記ターゲットが配
設されていない範囲を被覆するカソードマスクよりも下
方且つ後方に設けられてなるものである。
【0011】このように、基体の薄膜形成面およびこれ
に対向するターゲットの被スパッタ面が鉛直方向とされ
ると、カソード電極への薄膜材料の落下が抑えられる。
さらに、ガス導入管がカソードマスクよりも下方且つ後
方に設けられると、ガス導入管に付着した薄膜材料がタ
ーゲットと基体との間の空間へ落下することがなくな
り、異常放電の発生を一層抑えることが可能となる。
【0012】ところで、本発明の薄膜形成装置によって
薄膜形成がなされる基体は、長尺のフィルム上に金属磁
性薄膜が成膜された可撓性支持体であって好適である。
即ち、形成される薄膜は、いわゆる蒸着テープにおける
金属磁性薄膜上に設けられる保護膜であって好適であ
る。この場合、保護膜の材料としては従来公知のものが
いずれも使用可能であり、CrO2 ,Al2 3 ,B
N,Co酸化物、MgO,SiO2 ,Si3 4 ,Si
x ,SiC,SiNx −SiO2 ,ZrO2 ,TiO
2 ,TiC等が挙げられるが、カーボンが代表的であ
る。また、かかる保護膜はこれらの単層膜であってもよ
いし多層膜や金属との複合膜であってもよい。
【0013】なお、本発明に係る薄膜形成装置を用いて
蒸着テープを製造する場合、上記金属磁性薄膜の材料も
従来公知のものがいずれも使用でき、例示するならば、
Fe,Co,Ni等の強磁性金属材料、Fe−Co,C
o−Ni,Fe−Co−Ni,Fe−Cu,Co−C
u,Co−Au,Co−Pt,Mn−Bi,Mn−A
l,Fe−Cr,Co−Cr,Ni−Cr,Fe−Co
−Cr,Co−Ni−Cr,Fe−Co−Ni−Cr等
の強磁性合金材料等が挙げられる。また、金属磁性薄膜
は、これらの単層膜であってもよいし多層膜であっても
よい。
【0014】さらに、非磁性支持体と上記金属磁性薄膜
間、あるいは多層膜の場合には各層間に、付着力向上、
並びに抗磁力の制御等のため、下地層または、中間層を
設けてもよい。また、例えば磁性層表面近傍が耐蝕性改
善等のために酸化物となっていてもよい。なお、上記金
属磁性薄膜、下地層や中間層の形成に本発明の薄膜形成
装置を使用することも可能である。
【0015】もちろん、本発明の薄膜形成装置によって
製造される磁気記録媒体の構成はこれに限定されるもの
ではなく、例えば必要に応じてバックコート層を形成し
たり、非磁性支持体上に下塗層を形成したり、潤滑剤、
防錆剤などの層を形成することは何等差し支えない。こ
の場合、バックコート層に含まれる非磁性顔料、樹脂結
合剤あるいは潤滑剤、防錆剤層に含まれる材料としては
従来公知のものがいずれも使用できる。
【0016】また、本発明の薄膜形成装置を適用して、
その他の金属薄膜の成膜も可能であり、例えば、基板に
対してAu,Cr,Ti,Cu,Mo,Mn,Bi,A
g,Pt等といった金属やこれらの合金の薄膜を成膜す
るために用いてもよい。本発明に係る薄膜形成装置は、
マグネトロンスパッタ法や対向ターゲット法等を用いた
スパッタ装置として適用可能であるが、特に、ターゲッ
トの下方にマグネットが配置されているマグネトロンス
パッタ装置であることが好ましい。この装置において
は、マグネットからの漏れ磁界が電子をトラップして放
電を持続させるため、ターゲットを効率的にスパッタす
ることが可能となり成膜速度が向上する。なお、上記装
置のターゲットの周囲にさらに補助マグネットを配し
て、磁界分布の偏りを改善できるようにしてもよく、こ
れにより、ターゲットを均一にスパッタすることがで
き、ターゲットの歩留まりを向上させることができる。
【0017】また、本発明をキャン対向プラズマCVD
法,プラズマ照射CVD法,ECRプラズマCVD法,
トーチ型プラズマCVD法等を用いたCVD装置に応用
することによって、対向電極上への薄膜材料の落下が抑
制され、且つ、ガス導入管からの薄膜材料の落下が放電
へ影響を与えない装置とすることもできる。
【0018】
【作用】本発明を適用して、基体の薄膜形成面およびこ
れに対向するターゲットの被スパッタ面が鉛直方向とさ
れると、カソード電極表面が鉛直方向となるため、該カ
ソード電極上方から落下してくる薄膜材料が該カソード
電極に接触する確率が非常に低くなる。また、ターゲッ
トから飛び出す薄膜材料の飛来方向が水平方向となるた
め、基体に被着しなかった薄膜材料がカソード電極より
も上方に付着する確率も低くなる。これにより、カソー
ド電極への薄膜材料の落下が抑えられ、異常放電を抑制
できる。
【0019】ところで、ターゲットと基体との間の空
間、即ち、放電によりガスのイオン化がなされている空
間(以下、放電空間)においては、該イオンと不純物と
の衝突が放電状態に影響を及ぼし、この空間へ薄膜材料
が落下することも異常放電の原因となる。このため、本
発明のごとくガス導入管をカソードマスクよりも下方且
つ後方に設けることは、ガス導入管に付着した薄膜材料
の上記放電空間への落下を防ぎ、異常放電の一層の抑制
につながる。そして、異常放電が抑制できると、均一な
膜厚,膜質にて薄膜を形成することが可能となる。
【0020】したがって、本発明に係る薄膜形成装置を
磁気テープにおける保護膜形成に適用すると、走行する
可撓性支持体に対して連続的に長時間に亘って保護膜を
形成しても、この保護膜の膜厚および膜質を均一に保つ
ことができる。このため、耐摩耗性に優れた磁気テープ
を歩留まりよく製造することが可能となる。
【0021】
【実施例】以下、本発明の具体的な実施例について説明
するが、本発明がこの実施例に限定されるものではな
い。ここでは、薄膜形成装置としてマグネトロンスパッ
タ法を適用した装置を用い、いわゆる蒸着テープにおけ
る保護膜形成を行った。実施例1 図1に薄膜形成装置の構成例を示す。この装置において
は、排気口1a,1bを有する真空室2内に、可撓性支
持体5を走行させるための走行系と、該可撓性支持体5
に対して薄膜を形成する成膜系とが設けられてなる。
【0022】上記走行系は、同図中の矢印a方向に定速
回転する送りロール3と、同様に同図中の矢印b方向に
定速回転する巻取りロール4とが設けられ、これら送り
ロール3から巻取りロール4にテープ状の可撓性支持体
5が順次走行するようになされている。これら送りロー
ル3から巻取りロール4側に上記可撓性支持体5が走行
する中途部には、上記各ロール3、4の径よりも大径と
なされた円筒キャン6が設けられている。この円筒キャ
ン6は、上記可撓性支持体5を図中手前側に引き出す様
に設けられ、同図中の矢印cで示す方向に定速回転する
構成とされる。なお、上記送りロール3、巻取りロール
4、及び円筒キャン6は、それぞれ可撓性支持体5の幅
と略同じ長さを有する円筒体であり、これらの長軸方向
が鉛直方向と一致するようになされている。また、上記
円筒キャン6には、内部に図示しない冷却装置が設けら
れ、上記可撓性支持体5の温度上昇による変形等を抑制
し得るようになされている。
【0023】したがって、上記可撓性支持体5は、その
主面が鉛直方向に平行な状態にて、送りロール3から順
次送り出され、さらに上記円筒キャン6の周面に沿って
走行し、巻取りロール4に巻取られていくようになされ
ている。なお、本実施例では、円筒キャン6は冷却され
ているが、可撓性支持体と薄膜との接着強度を上げるた
め、適宜加熱した状態でもよい。また、同様の目的で成
膜前に予めボンバード処理を施してもよい。
【0024】一方、成膜系は、上記円筒キャン6の周面
に対向して設けられたカソードユニット9、この表面に
配設された薄膜の原料よりなるターゲット10、ガス導
入管16より構成される。上記カソードユニット9は、
図2にその断面を示すように、電源(図示せず。)に接
続されカソード電極となっているバッキングプレート1
1、前記バッキングプレート11の裏側に配置されるマ
グネット12及びマグネット13、前記マグネット1
2,13を収納するカソードケース14よりなる。
【0025】上記バッキングプレート11表面は、ター
ゲット10よりも大きな面積を有しているが、ターゲッ
ト10が配設された範囲以外には、カソードマスク15
により被覆されている。上記カソードマスク15は、タ
ーゲット10の周囲を取り囲んでバッキングプレート1
1をマスクしている。なお、この外周端部はカソードケ
ース14に接着され、その下面はバッキングプレート1
1に接することなく、また、その側面がターゲット10
に接することなく固定されている。
【0026】上述のカソードユニット9には冷却水の供
給及び排出を行う冷却パイプ(図示せず。)が接続さ
れ、冷却水を循環させることによりバッキングプレート
11とこれに接着されたターゲット10の加熱を防止で
きるようになされている。また、マグネット12,13
は、中央に位置するマグネット12の周囲をマグネット
13が囲むように配置されており、マグネット12とマ
グネット13との間に漏れ磁界が発生するようになされ
ている。
【0027】また、ガス導入管16は、上記カソードユ
ニット9の下方にて、上記カソードマスク15の主面1
5aよりも後方に設けられている。なお、ガス導入管1
6におけるガス導入口16aは、カソードユニット9の
幅方向と平行に、且つ、該カソードユニット9の幅と略
同程度の長さを有して設けられている。なお、ここで
は、ガス導入口16aはターゲット10の被スパッタ面
10aに垂直方向に向かって開いており、ターゲット1
0とこれに対向する可撓性支持体5との間の空間へガス
を供給できるようになされている。
【0028】以上のような構成を有する薄膜形成装置に
おいて、真空室2を一定の真空度に保った状態にて、バ
ッキングプレート11に電力を供給し、ガス導入口16
aからガスを供給すると、円筒キャン6との間に放電が
起こってガスがイオン化され、ターゲット10を攻撃す
ることによって、走行する可撓性支持体5表面に薄膜材
料が被着する。なお、マグネット12,13による漏れ
磁界は、電子をトラップして放電を持続させ、効率的な
スパッタを可能とする。また、バッキングプレート11
におけるターゲット10が配設されていない範囲は、カ
ソードマスク15によりイオンの攻撃から遮断されてい
る。
【0029】そして、上述のような薄膜形成装置を、磁
気記録媒体の保護膜形成に適用し、以下のようにして磁
気テープを作成した。先ず、下塗が施された非磁性支持
体上に、一般的な連続巻取り式の斜方蒸着装置を用い
て、Co−Ni系の金属磁性薄膜を被着させた。使用し
たベース、下塗、蒸着条件は下記の通りである。
【0030】非磁性支持体条件 ベース :ポリエチレンテレフタレート 10μm厚 150mm幅 下塗 :アクリルエステルを主成分とする
水溶性ラテックスを塗布 突起密度 約1000万個/mm2 蒸着条件 インゴット :Co80−Ni20(数字は各金属の
重量比) 入射角 :45〜90° テープ速度 :0.17m/sec 磁性層厚 :0.2μm 真空度 :7×10-2Pa 次に、先に説明した薄膜形成装置によって保護膜を形成
した。スパッタ条件を下記に示す。
【0031】スパッタ条件 方式 :DCマグネトロンスパッタ法 ターゲット :カーボン,サイズ150mm×1
50mm 使用ガス :アルゴン 真空度 :0.6Pa テープ速度 :0.1m/sec 保護膜膜厚 :15nm 投入電力 :10w/cm2 さらに、下記の条件に従ってバックコート、トップコー
トを施し所定のテープ幅に裁断して磁気テープとした。
【0032】バックコート :カーボン、及びウレ
タンバインダーを混合したものを0.6μm厚塗布 トップコート :パーフルオロポリエーテルを塗布 スリット幅 :8mm幅比較例1 ここでは、実施例1に比して、ガス導入管16が前方に
設けられた薄膜形成装置を用いた。
【0033】具体的には、図3にカソードユニット9と
ガス導入管16とを示すように、ガス導入管16は、カ
ソードユニット9の下方にて、カソードマスク15の主
面15aよりも前方に設けられ、ガス導入口16aは上
方に向かって開かれている。なお、これ以外は、実施例
1と同様な構成を有している。そして、上述のような薄
膜形成装置を用いて、実施例1と同様にして保護膜形成
を行って磁気テープを作製した。比較例2 ここでは、ガス導入管16がカソードユニット9の上方
に設けられた薄膜形成装置を用いた。
【0034】具体的には、図4にカソードユニット9と
ガス導入管16とを示すように、ガス導入管16は、カ
ソードユニット9の上方にて、カソードマスク15の主
面15aよりも前方に設けられ、ガス導入口16aは下
方に向かって開かれている。なお、これ以外は、実施例
1と同様な構成を有している。そして、上述のような薄
膜形成装置を用いて、実施例1と同様にして保護膜形成
を行って磁気テープを作製した。比較例3 ここでは、従来型の薄膜形成装置を用いた。
【0035】具体的な構成は前述したとおりであるが、
図5に示すように、送りロール3、巻取りロール4、及
び円筒キャン6の長軸方向が水平方向に一致するように
なされ、カソードユニット9は、上記円筒キャン6の下
方に配設され、ターゲット10の被スパッタ面10aは
周面に対向して上方を向いている。また、図6に示され
るように、ガス導入管16は、カソードユニット9の側
方に設けられ、該カソードユニット9の長軸と略同じ長
さのガス導入口16aが側方に向かって開かれている以
外は、実施例1と略同様な構成を有している。
【0036】そして、上述のような薄膜形成装置を用い
て、実施例1と同様にして保護膜形成を行って磁気テー
プを作製した。特性の評価 以上のように構成の異なる薄膜形成装置を用いて、保護
膜の成膜を10時間に亘って連続して行い、異常放電の
発生回数を調べた。なお、異常放電回数とは、1分あた
りの電圧又は電流が20%以上変動した回数とした。ま
た、各薄膜形成装置を用いて作製された磁気テープをソ
ニー社製,EV−S900なる記録再生装置に搭載し
て、白50%の信号を記録し、1分当り−16dB,1
0μsec以上のドロップアウトが発生した数をカウン
トした。これらの結果を表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】表1より、実施例1の薄膜形成装置を用い
た場合が最も異常放電の発生回数が少なく、また、該薄
膜形成装置によって保護膜形成が行われた磁気テープに
おけるドロップアウトも最も少ないことがわかる。ま
た、各比較例同士を比較すると、比較例1、比較例2、
比較例3の順で異常放電の回数が増大し、各薄膜形成装
置を用いて保護膜形成が行われた磁気テープにおけるド
ロップアウトも、上記の順に悪化していることがわか
る。
【0039】これより、基体の薄膜形成面およびこれに
対向するターゲット10の被スパッタ面10aが鉛直方
向とされた方が、さらに、ガス導入管16がカソードユ
ニット9よりも下方に配設された方が、さらにまた、該
ガス導入管16がカソードマスク15の主面15aより
も後方に配設された方が、より好ましいことがわかっ
た。
【0040】以上、本発明に係る薄膜形成装置を磁気記
録媒体の保護膜形成に適用した例について説明したが、
本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、本発
明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変形変更が可能であ
る。例えば、薄膜形成装置においては、上記送りロール
3と上記円筒キャン6との間及び該円筒キャン6と上記
巻取りロール4との間にそれぞれガイドロールを配設
し、上記円筒キャン6に沿って走行する可撓性支持体5
に所定のテンションをかけるようにしてもよい。また、
ターゲットの材料、マグネットの配置等の変更が可能で
あり、該薄膜形成装置によって成膜される薄膜も保護膜
に限られず、金属磁性薄膜や導電性金属薄膜であっても
よい。また、磁気記録媒体における保護膜形成に適用す
る場合も、該保護膜の材料や成膜条件は適宜変更可能で
あり、その他、磁性薄膜,バックコート層,トップコー
ト層等の形成条件等も従来公知の方法がいずれも適用で
きる。
【0041】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明の薄膜形成装置においては、薄膜材料のカソード電極
上への落下が起こりにくく、また、ターゲットと基体と
の間の空間への薄膜材料の落下も抑制できるため、異常
放電の発生が抑えられ、均一な膜厚および膜質の薄膜が
形成できる。
【0042】このため、本発明に係る薄膜形成装置を磁
気テープにおける保護膜形成に適用すると、走行する可
撓性支持体に対して連続的に長時間に亘って保護膜を形
成しても、この保護膜の膜厚および膜質を均一に保つこ
とができ、耐摩耗性に優れた磁気テープを歩留まりよく
製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る薄膜形成装置の一構成例を示す模
式図である。
【図2】実施例の薄膜形成装置におけるカソードユニッ
トとガス導入管とを模式的に示す断面図である。
【図3】比較例の薄膜形成装置におけるカソードユニッ
トとガス導入管とを模式的に示す断面図である。
【図4】他の比較例の薄膜形成装置におけるカソードユ
ニットとガス導入管とを模式的に示す断面図である。
【図5】従来の薄膜形成装置の一構成例を示す模式図で
ある。
【図6】従来の薄膜形成装置におけるカソードユニット
とガス導入管とを模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1 排気口 2 真空室 3 送りロール 4 巻取りロール 5 可撓性支持体 6 円筒キャン 9 カソードユニット 10 ターゲット 11 バッキングプレート 12,13 マグネット 14 カソードケース 15 カソードマスク 16 ガス導入管

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガス導入管よりガスを導入しながら、カ
    ソード電極上に配設されたターゲットをスパッタして、
    該ターゲットに対向させた基体の表面に薄膜を形成させ
    る薄膜形成装置において、 前記基体の薄膜形成面およびこれに対向する前記ターゲ
    ットの被スパッタ面が鉛直方向とされ、 前記ガス導入管が、カソード電極表面のうち前記ターゲ
    ットが配設されていない範囲を被覆するカソードマスク
    よりも下方且つ後方に設けられてなることを特徴とする
    薄膜形成装置。
  2. 【請求項2】 前記基体が長尺のフィルム上に金属磁性
    薄膜が成膜された可撓性支持体であることを特徴とする
    請求項1記載の薄膜形成装置。
  3. 【請求項3】 形成する薄膜が、カーボンよりなる保護
    膜であることを特徴とする請求項2記載の薄膜形成装
    置。
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