JPH08205281A - ダイナミツクスピーカ - Google Patents

ダイナミツクスピーカ

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JPH08205281A
JPH08205281A JP4119495A JP4119495A JPH08205281A JP H08205281 A JPH08205281 A JP H08205281A JP 4119495 A JP4119495 A JP 4119495A JP 4119495 A JP4119495 A JP 4119495A JP H08205281 A JPH08205281 A JP H08205281A
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pair
diaphragms
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flat
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JP4119495A
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Mitsutatsu Ogasawara
三立 小笠原
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 楽器等の発音体にみられる、発音体の中央部
の振幅が最大で、その振幅が、発音体の両端部に向つて
逓減する自然な振動姿態をダイナミツクスピーカにおい
て実現する。 【構成】 揺動運動をする一対の平板状振動板21、2
1の揺動側Mと揺動側Mとを中間振動板22を介して屈
曲自在に連結し、磁気ユニツト30、30…によつて中
間振動板22を駆動する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、振動板の振動姿態を
楽器等の発音体の振動姿態に近似させるようにしたダイ
ナミツクスピーカに関する。
【0002】
【従来の技術】ダイナミツクスピーカは、捩動板の形状
によつて、コーン型、ドーム型、平板型等に分類される
が、これらは、いずれも、振動板がピストニツクモーシ
ヨンすることを構造上の基本としている。
【0003】例えば、コーン型スピーカであれば、その
振動板は、一箇所を駆動することによつて全体を同時に
駆動することができる形状、すなわち、コーン形に形成
されている。コーン振動板は、大径側の周辺部に付設す
るエツジと、小径側の周辺部に付設するダンパとによつ
て二箇所を支持されている。エツジとダンパは、いずれ
も、ボイスコイルの運動方向に弾性変形し易く、他方向
には変形し難い形状に成形されている。また、コーン振
動板の小径側には、円筒形のボビンが連結され、ボイス
コイルが巻かれている。
【0004】ボイスコイルに信号が加えられると、コー
ン振動板は、エツジとダンパとの弾性変形の範囲内にお
いて、全体が前後に平行移動するような往復運動、すな
わち、ピストニツクモーシヨンを基本動作として音を放
射する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このような従来のダイ
ナミツクスピーカは、振動板がコーン形のものに限ら
ず、入力信号に従つて振動板が忠実にピストニツクモー
シヨンをしたとしても、このピストニツクモーシヨンな
る振動姿態自体と、楽器の発音体や、自然界に存する発
音体が音を発する際における振動姿態とが著しく異なる
ということにより、原音再生という再生音の理想を追求
するうえで、構造的な限界を有する。
【0006】すなわち、従来のダイナミツクスピーカが
音を再生する際における振動板のピストニツクモーシヨ
ンに対し、楽器等の発音体の大部分のものの振動姿態
は、例えば、それが、バイオリンやチエロの弦であれ
ば、外力が加えられた弦の中央部分において最大の振幅
を示すとともに、その両端側の弦の固定位置に向けて振
幅が逓減する振動姿態をとる。このことは、大鼓の張り
革等、打楽器の発音体についても同様である。
【0007】このような振動姿態の相異と、音質の相異
との因果関係については、長期に亘る試聴実験に依らな
ければ判明しない部分もあり、現時点においてその全体
を定量的に解明することはできないが、振動姿態の相異
が原音と再生音とを異質なものとしている原因として、
判然としている理由について述べる。
【0008】現実の発音体の多くは、球面波を発生し、
極めて広い指向性を有するか、あるいは、無指向性であ
る。一方、ピストニツクモーシヨンは、基本的に平面波
を発生する運動であり、振動板の形状に拘らず、振動板
の大小に従つて一定の指向性が生じる。
【0009】また、振動板がピストニツクモーシヨンを
することにより、振動板の周辺部において、反射、回
折、打消等、再生音上有害な音響的不整合が発生するこ
とが知られている。かかる音響的不整合は、一定の面積
を有する振動板によつて除斥される空気と、振動板周辺
部の除斥されない空気との境界が明確であるというピス
トニツクモーシヨンに特有の問題であり、現実の発音体
については、かかる問題が生じる余地はない。つまり、
仮に、音響的不整合を伴うとしても、それが、その発音
体に固有の現実音に他ならないからである。
【0010】このような従来の技術に鑑み、この発明
は、一対の平板状振動板を組み合わせて振動させること
によつて、振動板全体についての振動姿態を楽器等の発
音体の振動姿態に近似させ、もつて原音再生の可能性を
構造的に高めるとともに、指向性、音響的不整合に関す
る問題を改善することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】この目的に対し、この発
明に係るダイナミツクスピーカは、フレームと、揺動側
を向い合わせてフレームに揺動自在に取り付ける一対の
平板状振動板と、一対の平板状振動板に共通する磁気ユ
ニツトとからなり、一対の平板状振動板は、その揺動側
と揺動側とを屈曲可能に連結するとともに、磁気ユニツ
トは、一対の平板状振動板の揺動側を同時に駆動するこ
とを要旨とする。
【0012】なお、一対の平板状振動板は、揺動側と揺
動側との間に中間振動板を介装して連結し、磁気ユニツ
トは、中間振動板を介して平板状振動板を駆動すること
ができる。
【0013】ただし、上記の発明の構成において、平板
状とは、殊に、コーン形状やドーム形状に対する意味に
おいて用い、単なる平板そのものに限らず、少なくとも
一対の辺が平行であることを条件として、曲面構成され
た板状体や、全体として板状である立体構造体を含むも
のとする。また、屈曲可能とは、ダイナミツクスピーカ
の振幅範囲内における極く僅かの屈曲を問題としている
のであり、したがつて、機械構造的に屈曲するようにな
つている場合の他に、屈曲する位置が明確であることを
条件として、構成材料が完全剛体であれば屈曲しない構
造になつているが、構成材料が完全剛体でないために、
結果的に屈曲可能であるものを含むものとする。同様
に、磁気ユニツトとは、ボイスコイルと、その巻枠であ
るボビンを含む意味で用いる。
【0014】
【作用】このようなダイナミツクスピーカの振動板は、
一対の平板状振動板によつて形成される。一対の平板状
振動板は、それぞれ、フレームに取り付けられた固定側
を揺動中心として揺動運動をすることができる。また、
形成された振動板と一対の平板状振動板との対応関係
は、振動板の中央部が一対の平板状振動板の揺動側に対
応し、振動板の両端部が一対の平板状振動板の固定側に
対応する関係になる。また、振動板は、中央部から屈曲
することができる。これは、一対の平板状振動板を、そ
の揺動側を向い合わせてフレームに取り付けた上、揺動
側と揺動側とを屈曲可能に連結した構成部分に基づく。
【0015】磁気ユニツトに入力信号を加えると、一対
の平板状振動板の揺動側は、同一位相で等しい振幅の揺
動運動をする。また、各平板状振動板の振幅は、揺動側
において最も大きく、固定側に向つて小さくなる。これ
は、一対の平板状振動板の揺動側を共通の磁気ユニツト
によつて同時に駆動する構成部分に基づく。
【0016】一対の平板状振動板の揺動運動は、振動板
全体については、両端部が不動の状態における中央部か
らの屈曲運動として現われる。したがつて、中央部にお
いて最大振幅を示すとともに、その振幅が両端部に向つ
て逓減する楽器等の発音体にみられる振動姿態に近似す
る振動姿態が実現される。
【0017】なお、一対の平板状振動板を中間振動板を
介して連結したものについても同様の振動姿態を実現す
ることができる。すなわち、中間振動板の振動姿態は、
ピストニツクモーシヨンであり、中間振動板に連結され
た一対の平板状振動板の揺動側の振幅は、中間振動板の
振幅と同一である。また、各平板状振動板の振幅は、固
定側に向つて逓減する。したがつて、中間振動板と一対
の平板状振動板とからなる振動板全体について、中央部
において最大振幅を示す振動姿態が実現される。
【0018】
【実施例】以下、図面を以つて実施例を説明する。
【0019】本発明に係るダイナミツクスピーカは、フ
レーム10と、振動板20と、複数の磁気ユニツト3
0、30…とからなる(図1)。
【0020】フレーム10は、非磁性体の金属材料から
なる角形の枠組体であり、その外周側には、ねじ止め用
の透孔H、H…を設けたフランジ11a、11a…
が形成してある。
【0021】振動板20は、それぞれ、固定桟15、1
5を介して、フレーム10の左右のフランジ11a、1
1aの内側面に揺動自在に取り付けた一対の平板状振動
板21、21と、その間に介装する中間振動板22とか
らなる。一対の平板状振動板21、21と中間振動板2
2とは、フレーム10の上下のフランジ11a、11a
間の内のり相当の長さの縦長の角形に形成され、相互
に、気密かつ屈曲可能に連結されている。
【0022】すなわち、一対の平板状振動板21、21
において、固定桟15、15によつてフレーム10に取
り付けた一辺側が固定側F、Fであり、中間振動板22
側の一辺側が揺動側M、Mになる。したがつて、フレー
ム10に対し、一対の平板状振動板21、21は、揺動
側M、Mを向い合わせて取り付けられているのであり、
中間振動板22は、向い合つた揺動側Mと揺動側Mとを
連結しているのである。
【0023】なお、一対の平板状振動板21、21は、
対称形状であつて、その前面側の面積は、互いに等し
い。また、中間振動板22は、単なる平板状ではない
が、その前面投影面積は、振動板20全体の約15%を
占める設定としてある。各平板状振動板21は、固定側
Fを除いてフレーム10に接触しておらず、中間振動板
22は、いずれの部分もフレーム10に接触していな
い。
【0024】磁気ユニツト30、30…は、一対の平板
状振動板21、21と中間振動板22とに共通のもので
あり、中間振動板22の背面側に沿つて4個並設してあ
る。
【0025】以上は、実施例の概要である。次いで、各
部分と全体について更に詳述する。
【0026】フレーム10は、周枠11と、マウントベ
ース12と、三対の補強桟13、13…とからなり、フ
レーム10には、二対のシールド桟14、14…と、一
対の固定桟15、15が付属している(図2)。
【0027】周枠11は、前述のフランジ11a、11
a…と、その裏面側全体に突出する周壁11b、11b
…とからなる、全体として角枠状の一体成形物である。
上下の周壁11b、11bの中央部分は、他の部分より
高く突出し、この部分に、それぞれ一対の固定片11
c、11c…を周枠11の内側に向けて突設してある。
したがつて、二対の固定片11c、11c…は、上下に
対向する姿勢になつている。
【0028】マウントベース12は、中央平板部12a
と、両側のリブ12b、12bとからなる広幅のチヤン
ネル状部材である。マウントベース12の全長は、上下
の周壁11b、11bの間隔相当であり、幅は、各周壁
11bの一対の固定片11c、11cの外側間隔相当で
ある。また、中央平板部12aには、ほぼ全長に亘つ
て、大きな開口部Hが形成されている。
【0029】三対の補強桟13、13…は、同一形状で
ある。各補強桟13は、両端に固定部13a、13aを
形成し、中間部全体にリブ13bを設けたT字形断面の
棒状部材である。
【0030】二対のシールド桟14、14…と、一対の
固定桟15、15は、いずれも、硬質のゴム系材料から
なる。各シールド桟14は、異形断面形状を有する棒状
部材であり、各固定桟15は、台形断面形状を有する棒
状部材である。
【0031】振動板20は、全体として平板状に形成さ
れている(図3)。
【0032】各平板状振動板21は、硬質かつ軽量の発
泡樹脂材料の厚板を、固定側Fから揺動側Mに向けて板
厚を薄くするように形成するとともに、全表面に常温硬
化性の樹脂を塗布することによつて、目止め処理をした
ものである。なお、平板状振動板21の固定側Fの端面
は、斜面とし、固定側Fの端縁部分は、鋭角に仕上げて
ある。
【0033】中間振動板22は、センタコア22aと、
センタコア22aの両側に付設する一対のウイング22
b、22bとからなり、いずれも、樹脂を含浸させて硬
化したパルプ系のシート材料からなる。
【0034】センタコア22aは、振動板20の前方側
に向つて突出する向きの略U字形断面を有するように加
圧成形し、上下端と中間部との5箇所に、背面側から、
その断面形状に一致する形のスペーサ22c、22c…
を挿入固着したものである。なお、スペーサ22c、2
2c…の配置は、センタコア22aに対し、磁気ユニツ
ト30、30…のボビン37、37…を挿入すべき位置
を挟む配置としてある。
【0035】一対のウイング22b、22bは、センタ
コア22aの両側から、振動板20の前方に向けて開拡
する向きに取り付けてあり、センタコア22aと一対の
ウイング22b、22bとは、一対となつてW字形の断
面形状を形成している。
【0036】各平板状振動板21の固定側Fの端縁には
ヒンジ板21bが、また、上下の端面には、シールド板
21a、21aが取り付けてある。ヒンジ板21a、シ
ールド板21a、21aは、いずれも、プラスチツクの
薄板からなる。
【0037】ヒンジ板21bは、帯板状であり、その幅
中央部には、明確な折り目が付けてある。ヒンジ板21
bは、折り目を平板状振動板21の固定側Fの端縁に一
致させた上、その半幅部分を斜面になつている固定側F
の端面に貼着し、残る半幅部分は、前方に向けて突出し
た状態としてある。一方、各シールド板21aは、平板
状振動板21の背面側の形状に沿つて、一定幅を背面側
に突出させた状態を保ちながら、中間振動板22のウイ
ング22bの上端部分、さらに、センタコア22aの側
面上端部分に及んで貼着されている。
【0038】なお、各ウイング22bと平板状振動板2
1、また、センタコア22aと一対のウイング22b、
22bとは、各ウイング22bの基部側と先端部側の一
部を折り曲げ、折り曲げた部分を重ねて接着してある
(図4)。各シールド板21aのウイング22bの折り
目に対応する部分には、スリツトを形成し、スリツトに
は、弾性部材C、Cを詰めてある。したがつて、各
平板状振動板21とウイング22bとは、その連結部分
から屈曲可能であり、一対の平板状振動板21、21
は、中間振動板22を介して屈曲可能である。また、セ
ンタコア22aの幅は、ボビン37の直径に一致させて
あり、一対のウイング22b、22bの開拡角Aは、
約90度に設定してある。
【0039】フレーム10は、周枠11の上下の周壁1
1b、11b間を橋絡するようにマウントベース12を
取りけけるとともに、マウントベース12のリブ12
b、12bと周枠11の左右の周壁11b、11b間を
橋絡するように補強桟13、13…を取り付けて組み立
てられている(図5)。なお、シールド桟14、14…
は、上下の周壁11b、11bの内側面に、それぞれ、
一対付設してある。また、磁気ユニツト30、30…
は、マウントベース12の中央平板部12aに、その開
口部Hをまたぐようにして上下均等間隔に取り付けら
れている。
【0040】この際、マウントベース12の端部は、上
下の各周壁11bに設けた固定片11c、11cに重ね
て固定し、各補強桟13は、両端の固定部13a、13
aを、それぞれ、周壁11bの内側面と、マウントベー
ス12のリブ12bの外側面に重ねて固定してある(図
6)。
【0041】振動板20は、平板状振動板21、21の
固定側F、Fに付設したヒンジ板21b、21bの半幅
部分を固定桟15、15によつて左右のフランジ11
a、11aの内側面に挟み込んで取り付けられている。
【0042】この際、各固定桟15は、鋭角に形成され
ている角部がヒンジ板21bの折り目に一致する向きに
用いてあり、実質的に、固定側Fの端縁が各平板状振動
板21の揺動中心Pになる(図7)。
【0043】また、各シールド桟14は、振動板20の
裏面に密着しているのではなく、両者間には、作動間隙
を設けてある(図8、図9)。さらに、シールド桟
14の周壁11b側の面には、段差が形成してあり、振
動板20に付設されたシールド板21aの突出部分の一
部は、段差によつて周壁11bとシールド桟14との間
に生じる間隙に入り込んでいる。すなわち、振動板20
の上端縁と下端縁は、非接触、迷路式のエツジ構造にな
つている。
【0044】各磁気ユニツト30は、リング状のマグネ
ツト31と、マグネツト31を挟むバツクプレート32
と、トツププレート33、バツクプレート32の中心部
からトツププレート33側に向けて突設するポールピー
ス34、ボイスコイルを巻いたボビン37、トツププレ
ート33に取り付けるフレーム35、フレーム35とボ
ビン37との間に介装し、ボビン37を振動可能に支持
するダンパ36とからなる外磁型の極く一般的なもので
ある(図9)。なお、各磁気ユニツト30のボイスコイ
ルインピーダンスは16オームであり、4個の磁気ユニ
ツト30、30…は、並列結線とする。
【0045】各磁気ユニツト30のボビン37は、マウ
ントベース12の開口部Hを介して振動板20側に抜
け出ており、各磁気ユニツト30と振動板20とは、ボ
ビン37の先端部を中間振動板22の背面側からセンタ
コア22aの内部に挿入して固着してある。したがつ
て、振動板20は、全体として、両端部をヒンジ板21
b、21bによつて、中央部を4個の磁気ユニツト3
0、30…の各ダンパ36によつて支持した状態になつ
ている。また、各構成部分の寸法関係は、この組立て完
了状態において、振動板20の中央部が、磁気ユニツト
30側に僅かにくぼむ設定としてある(図6)。
【0046】このようなダイナミツクスピーカの全体並
びに各部は、次のように機能する。
【0047】信号を入力すると、4個の磁気ユニツト3
0、30…のボビン37は、同一位相の振動をセンタコ
ア22aの4箇所に伝える。センタコア22aは、断面
をU字形としたことによる構造強度によつて、4箇所に
加わつた応力を全体に分散し、ボビン37と一体になつ
て運動する。また、センタコア22aと一対のウイング
22b、22bとは、断面をW字形とした構造強度を有
し、中間振動板22全体としても、ボビン37と一体的
にピストニツクモーシヨンを基本とする運動をする。
【0048】中間振動板22の運動は、ウイング22
b、22bの先端部から、一対の平板状振動板21、2
1の揺動側M、Mに伝えられる。そこで、平板状振動板
21、21は、固定側F、Fの揺動中心P、Pを中心と
し、平板状振動板21、21の幅を半径R、Rとし、中
間振動板22の振幅範囲内における同一位相の往復円弧
運動、すなわち、揺動運動をする(図10)。このと
き、一対の平板状振動板21、21が円弧運動をする結
果として、その揺動側M、M間の間隔Dが僅かに変化
するのであるが、間隔Dの変化は、一対のウイング2
2b、22bの開拡角Aが変化する運動として吸収さ
れる。
【0049】一対の平板状振動板21、21の揺動運動
と、中間振動板22のピストニツクモーシヨンとの全体
運動は、振動板20において、中央部の振幅が最大で、
その振幅が両端部に向つて逓減する振動姿態として観察
される。
【0050】かかる振動姿態は、楽器等の発音体の振動
姿態に近似しており、このことは、第一に、楽器等の音
色を正確に再生し得ることを示唆するものである。ま
た、かかる振動姿態による音響放射には、次のような性
質がある。
【0051】振動板20が音を放射すろ際の、振動板2
0の四周の挙動に注目すると、振動板20の左右の周辺
部は、一対の平板状振動板21、21の固定側F、Fに
該るため、音響的不整合を生じるような動きをしない。
一方、振動板20の上下の周辺部には、振動姿態がその
まま現われる。しかし、この部分における平均振幅は、
中間振動板22の幅にもよるが、振動板20がピストニ
ツクモーシヨンをする場合の6割程度である。したがつ
て、ステレオ再生時において特に有害である水平方向に
ついての音響的不整合の発生を皆無とすることができる
とともに、上下の周辺部における発生についても、低レ
ベルに抑えることができる。
【0052】一般に、音源から放射された音波は、その
振幅を減じながら周囲に伝播し、聴取者には、振幅が最
大である位置が音源の位置として覚知される。これを振
動板20についてみると、振動板20は、振幅が最大で
ある中間振動板22のセンタコア22aに沿つて、上下
方向の仮想線音源を有するものであるということができ
る。また、仮想線音源の向きが上下方向であるならば、
水平方向については、仮想点音源であるということがで
きる。このことは、再生音上、音像定位の良さ、指向性
の広さとして現われる。なお、この実施例に関しては、
中間振動板22の位置に、複数の小口径コーン型スピー
カをインライン配置したような仮想音源であると考えて
もよく、この場合にも同様の結論を得る。
【0053】また、振動板20の中央部において最大振
幅を示す振動姿態によつて放射される音波は、単なるピ
ストニツクモーシヨンによつて放射される音波に比べ、
より球面波に近いものとなる。振動板20から放射され
る音波が平面波であるか球面波であるかは、指向性の広
狭等、再生音の一面に関係するのみならず、再生音全般
に関係する。原音再生を目指す上で、平面波に対して球
面波が有利であることは通説的であるが、その理由は、
結局、指向性等の問題に帰着する。したがつて、ここで
は、一般に球面波を得るための努力がなされているとい
うことにとどめる。
【0054】ところで、スピーカの振動板の振幅速度、
すなわち、単位時間当りの空気除斥量は、スピーカの変
換能率を決定し、最大空気除斥量は、そのスピーカの規
模を示す。そこで、変換能率を上げるには、振動板を軽
量化するか、駆動力を増せばよい。また、スピーカの規
模を大きくするには、振動板の面積を大きくするか、振
動板の振幅範囲を拡大すればよい。ただし、振動板の質
量は、駆動力に対する負荷になるため、十分な駆動力を
確保できない場合には、振動板を大きくすることはでき
ない。
【0055】この前提に立つて、振動板20の振動姿態
を考察すれば、各平板状振動板21において、揺動側M
が、振幅Wの振動をするときの振幅速度をVとすると、
振幅速度Vは、平板状振動板21の幅中央位置におい
て、V/2になる割合で固定側Fに向つて減少する(図
11)。したがつて、振幅Wにおけるときの空気除斥量
(同図の斜線で示す部分)は、平板状振動板21が振幅
Wのピストニツクモーシヨンをする場合の半分になる。
なお、このときの中間振動板22の動作は、振幅速度V
のピストニツクモーシヨンである。
【0056】他方、各平板状振動板21を駆動するため
の所要駆動力について考察すると、平板状振動板21の
重心が、固定側Fと揺動側Mとの中間位置にあるものと
すれば、平板状振動板21に加わる力関係は、揺動中心
Pを支点とし、重心位置を作用点とし、揺動側Mを力点
とし、それぞれ、作用点と支点、作用点と力点間の距離
が等しい挺の力関係に相当する。したがつて、各平板状
振動板21についての所要駆動力は、ピストニツクモー
シヨンの場合の半分になると考えてよい。なお、この実
施例に関しては、各平板状振動板21は、揺動側Mに向
つて薄くなるように成形した均質材料からなるので、そ
の重心位置は、平板状振動板21の幅をL、L=5lと
したときに、固定側Fから2l、揺動側Mから3l程の
位置であるP点にあり、より小さな所要駆動力で足り
るものとしてある。
【0057】振幅速度、空気除斥量、駆動力に関する上
記考察は、全体として次のように結論付けることができ
る。
【0058】先ず、使用するキヤビネツトの内容積等を
決定する上で必要となるスピーカの規模は、一対の平板
状振動板21、21については、その面積の半分の割合
で、また、中間振動板22については、その面積のまま
で、コーン型スピーカの規模に換算することができる。
すなわち、一方の平板状振動板21の面積に中間振動板
22の面積を加えたものが、例えば、口径15インチの
コーン型スピーカの振動板の面積相当であれば、本実施
例のダイナミツクスピーカの規模は、15インチ口径の
コーン型スピーカ相当であるということができ、キヤビ
ネツトの内容積等も、換算した規模に応じて決定するこ
とができる。
【0059】ここで、スピーカの規模に関連して、周波
数特性について付言する。
【0060】振動系の質量が駆動力に対する負荷になる
という意味において、大口径のコーン型スピーカにおい
ては、周波数特性を高域側へ伸ばすことが困難になる。
しかし、本実施例のダイナミツクスピーカにおける高音
域再生については、中間振動板22のウイング22b、
22bの向きと、一対の平板状振動板21、21の向き
とが異なつているため、ウイング22b、22bと平板
状振動板21、21の連結部分に、明確な振動の節が形
成され、一対の平板状振動板21、21は、中間振動板
22を支持する単なるエツジとして機能するに過ぎなく
なる。したがつて、振動板20が大規模なものである場
合にも、中間振動板22の面積割合を適切なものとする
ことによつて、高音域を十分に伸ばすことができ、従来
不可能であつた大規模な全音域用のダイナミツクスピー
カの実現も可能である。
【0061】また、変換能率に関しては、振動板20の
全面積に対して低能率となるが、上述の換算方式に従つ
て換算した同規模のコーン型スピーカと同等の変換能率
を得ることができるといえる。ただし、コーン形の振動
板に対する最適駆動箇所は、一箇所に限られ、変換能率
を改善するために駆動力を増すことが容易ではないのに
対し、本発明のダイナミツクスピーカでは、振動板20
の複数箇所を安定に多点駆動できるため、駆動力を増す
ことが容易であり、この点において有利である。
【0062】
【他の実施例】次いで、変形例、置換例、応用例につい
て説明する。
【0063】中間振動板22を設けることの主な目的
は、ボビン37によつて加えられた応力を受け止め、で
きるだけ均一に分散して平板状振動板21、21の揺動
側M、Mに中継することと、高音域の輻射を担うという
ことにあり、中間振動板22としては、この目的を達成
することができる範囲内において、自由な材料、形状、
構造を採用することができる。
【0064】例えば、中間振動板22は、一対のウイン
グ22b、22bと、一対のウイング22b、22bを
連結するセンタキヤツプ22cとから形成することがで
きる(図12)。各ウイング22bは、中間部分を明確
に折曲げ成形してある。一対のウイング22b、22b
は、前半部分が約90度の開拡角Aをなし、後半部分
がボビン37に沿つて平行になるように対称配置してあ
る。センタキヤツプ22cは、折り曲げられた一対のウ
イング22b、22bの中間部分を気密に連結してい
る。各ボビン37は、ウイング22b、22bの後半部
分とセンタキヤツプ22cとによつて形成される溝形の
部分に挿入固着してある。ボビン37によつて加えられ
る応力は、溝形の有する構造強度によつて受け止められ
る。
【0065】また、中間振動板22は、単一のシート材
料から一体成形することができる(図13)。一対のウ
イング22b、22bは、所定幅に裁断したシート状材
料の中間部分を湾曲させた上、その形状を固定すること
によつて形成されている。ウイング22b、22bの裏
面側には、一対の側枠22d、22dが平行姿勢となる
ように付設してある。一方、ボビン37の前端部は、ウ
イング22b、22bの湾曲部分の曲率に合致する凹形
に形成してある。ボビン37は、一対の側枠22d、2
2dの間に挿入固着する。同様に、略溝形の構造強度を
発揮することができる。
【0066】ここで、ウイング22b、22bの開拡角
について付言する。開拡角Aは、中間振動板22
に対する振動板としての要求と、平板状振動板21、2
1への応力の中継部材としての要求との妥協点に求めら
れる角度であるということができる。
【0067】すなわち、薄板状であるウイング22b、
22bは、引張応力、圧縮応力に対して強く、曲げ応力
に対して脆弱である。このことを開拡角Aに関連付け
ると、開拡角Aを大きくすることにより、中間振動板
22の前面投影面積が増加し、振動板としての有効性が
増す反面、ウイング22b、22bに加わる応力には、
曲げ応力の成分が増加し、応力の中継部材としては、損
失の大きなものとなる。一方、開拡角Aを小さくする
ことにより、ウイング22b、22bに加わる曲げ応力
の成分を減らすことができる反面、振動板としての有効
性も減少する関係となる。この関係は、ウイング22
b、22bをボビン37側に向つて開拡する姿勢とした
場合においても同様である。また、この関係からすれ
ば、曲げ応力に強い構造を採用することにより、中間振
動板22全体を平板状に形成することができる。
【0068】中間振動板22を平板状に形成する例を説
明する(図14)。
【0069】中間振動板22は、平板状振動板21、2
1と同種の発泡樹脂の単板に目止め処理を施したものか
らなる。中間振動板22の板厚は、平板状振動板21、
21の揺動側M、Mの板厚と同等とし、その両側の端面
は、前方に向つて開く向きの斜面とする。また、平板状
振動板21、21の揺動側M、Mの端面は、中間振動板
22の端面に平行に形成し、両者間に僅かな間隙を設け
る。中間振動板22の裏面に一対の側枠22d、22d
を立設し、各側枠22dの外側面と中間振動板22の裏
面との間に、三角形の補強リブ22fを取り付ける。ボ
ビン37は、一対の側枠22d、22dの間に挿入固着
する。また、中間振動板22と平板状振動板21、21
とは、適度に可撓性を有するプラスチツクの薄板を階段
形に成形してなる結合板22e、22eを介して気密に
連結する。この際、各結合板22eは、幅方向の一端縁
を中間振動板22に重ねるとともに、他端縁を平板状振
動板21に重ねて固着する。このとき、結合板22eの
幅中央部分は、ボビン37の軸方向に向ける。
【0070】中間振動板22は、側枠22d、22d等
と一体になつてピストニツクモーシヨンに耐える強度を
発揮し、結合板22e、22eは、その幅中央部分によ
つて、中間振動板22の振動を損失なく平板状振動板2
1、21に中継するとともに、揺動側M、Mの間隔D
の変化を吸収する。
【0071】なお、いずれの場合にも、一対の平板状振
動板21、21と中間振動板22とは、一体成形するこ
とができる(図示せず)。例えば、単一のシート材料を
折曲げ成形し、必要な箇所に補強部材を付設することに
よつて振動板20全体を形成することができる。この場
合、振動板20を構成する材料が完全剛体であれば、一
対の平板状振動板21、21は屈曲不能となるが、実際
には、屈曲しないように作ることの方が困難であり、一
対の平板状振動板21、21は、適度なステイフネスを
伴つてシート材料の折曲げ部分から屈曲することができ
る。また、スピーカの振幅範囲内では、折曲げ部分の疲
労劣化等は考慮するには及ばない。
【0072】振動板20の中央部において最大振幅を示
す振動姿態は、中間振動板22の有無に拘らず実現する
ことができる。そこで、次に、中間振動板22を省略
し、全体構造を簡略化した例を示す。
【0073】一対の平板状振動板21、21は、ボビン
37の先端部に埋め込んだセンタコア23を介して連結
されている(図15)。センタコア23は、強化処理し
た軽量な発泡樹脂材料からなる角棒状の一体成形物であ
り、先端側の端面中央部は、凸形に形成してある。セン
タコア23の基部は、ボビン37に形成した角形の切欠
き37hにはめ込み、両側面からボビン37の残る前端
部分をふさぐように付設するL字形断面の盲板23b、
23bとともに固着してある。各盲板23bには、補強
リブ23cが付設される。
【0074】センタコア23の先端寄りの両側面には、
全長に亘る条溝H、Hが形成してあり、先端部に
は、その形状に倣つて屈曲形成したキヤツプ23aが取
り付けてある。キヤツプ23aの両端縁は、条溝H
の側方位置で平板状振動板21、21側に向けて折
り曲げてあり、一対の平板状振動板21、21の揺動側
M、Mは、折り曲げたキヤツプ23aの端縁に重ねて固
着してある。
【0075】ボビン37の振動は、キヤツプ23aを介
して平板状振動板21、21の揺動側M、Mに伝達さ
れ、平板状振動板21、21は、同一位相の揺動運動を
する。この運動は、振動板20全体については、センタ
キヤツプ23aを挟んで振動板20の中央部が屈曲する
振動姿態となつてあらわれる。この際、揺動側M、Mの
間隔Dの変化は、キヤツプ23aの条溝H、H
方に該る部分によつて吸収される。なお、一対の平板状
振動板21、21を一体成形してもよいことは、中間振
動板22を備える場合と同様である。
【0076】磁気ユニツト30は、複数個を用いること
によつて十分な駆動力が得られること、性能の安定性、
入手の容易性等を考慮して用いたものであるが、理想的
には、振動板20の中央部を単一のユニツトによつて均
一に駆動できるものであることが望ましい。そこで、次
に、中間振動板22に沿つて縦長に形成した磁気ユニツ
ト40について説明する(図16)。
【0077】振動板20の全体構造は、前述の中間振動
板22を備えるものに準ずるが、センタコア22aは、
浅く形成し、より軽量化してある。磁気ユニツト40
は、一対のマグネツト41、41と、一対のサイドヨー
ク42、42と、センタヨーク43と、ボイスコイル4
5aを巻いた角形のボビン45とからなり、磁気ユニツ
ト40の背後には、アダプタフレーム44が付属する。
これらの部材は、アダプタフレーム44を除き、センタ
コア22aと同等の長さを有し、ボビン45の幅は、セ
ンタコア22aの幅に等しい。
【0078】磁気ユニツト40は、センタヨーク43を
挟むように、両側にマグネツト41、41を添え、さら
に、その全体を両側から挟むように、サイドヨーク4
2、42を添えて組み立てられている(図18)。セン
タヨーク43の先端部は、T字形の断面に形成され、両
側のサイドヨーク42、42との間に、2条の磁気空隙
を形成している。この際、一対のマグネツト41、41
は、同じ極性の磁極を内側を向けて取り付けてあり、し
たがつて、2条の磁気空隙における磁力線の向きは、セ
ンタヨーク43を中心に反対方向を向いている。なお、
各マグネツト41は、希土類系の磁性材料からなり、板
厚を薄く設定してある。また、サイドヨーク42、42
とセンタヨーク43の磁気空隙を形成して対面する部分
は、鏡面仕上げの上、モリブデンコーテイグを施してあ
る。
【0079】角形のボビン45は、アルミニウム合金の
薄板からなり、その一方の端縁側には、多数のスリツト
45h、45h…が形成されている(図17)。ボイス
コイル45aは、スリツト45h、45h…を形成した
側に寄せて巻き付けた上、極薄の2枚のテフロンシート
45b、45bによつて、ボビン45とともに挟み込ん
で被覆してある。ボビン45は、ボイスコイル45aを
巻いた部分を磁気空隙内に位置決めした状態において、
センタコア22aの外側にはめ込んで固着してある(図
18)。このとき、ボビン45の上下の側面部分に巻か
れたボイスコイル45aの一部は、磁気空隙の外に出て
いる。
【0080】アダプタフレーム44は、一対のフランジ
44a、44aを有する溝形に形成され、溝形内に磁気
ユニツト40の背後部分を収納するようにして取り付け
られている。磁気ユニツト40は、アダプタフレーム4
4を介してフレーム10のマウントベース12に固定さ
れる。
【0081】縦長の磁気ユニツト40は、センタコア2
2a全体を均一に駆動することができる。ボイスコイル
45aの発熱に伴なう熱膨張は、ボビン45の各スリツ
ト45hの位置において、ボビン45の板厚を限度とし
て、ボイスコイル45aがカテナリ状に変形することに
よつて吸収される。この際、ボイスコイル45aは、テ
フロンシート45b、45bによつて両側から挟まれて
いるので、変形後においても、ボビン45との一体性を
損なうことがなく、駆動力をボビン45に伝えることが
できる他、ボイスコイル45aは、センタヨーク43、
または、サイドヨーク42、42と接触した場合にも断
線せず、モリブデンコーテイングと相俟つて、擦過性雑
音の発生についても、極く低レベルに抑えることができ
る。また、スリツト45h、45h…は、ボイスコイル
45aからの伝導熱によるボビン45自体の熱膨張を吸
収し、ボビン45の歪曲を防止する。なお、磁気空隙外
に出ているボイスコイル45aの一部は、駆動力を発生
することができないのであるが、ボビン45の縦横寸法
比が十分に大きいため、ボイスコイル45a全体に対す
る割合は、十分小さく抑えられている。また、ダンパ
は、設けても設けなくてもよいが、設けない場合には、
振動板20の任意の箇所に適当な振幅規制部材を取り付
けることを要す。
【0082】磁気ユニツト30、40は、一対の平板状
振動板21、21に共通のものとして用いる限り、振動
板20の前面に設けてもよい。この際、一般的な磁気ユ
ニツト30については、振動板20の前面に設けること
について技術的な有利性はないといえるが、縦長の磁気
ユニツト40については、流線形のカバーを取り付ける
等の工夫によつて、イコライザとして有効に機能させる
ことが可能である。また磁気ユニツト30、40は、振
動板20の前後両側に配置し、プツシユプル動作させる
こともできる。さらに、振動板20については、ダブル
コーン型スピーカにおける、サブコーンに相当する副振
動板25、25を設けることができる。
【0083】次に、一対の副振動板25、25を備える
振動板20をプツシユプル駆動する例を説明する(図1
9)。
【0084】振動板20の背面側には、磁気ユニツト3
0が縦方向に複数個並設してあり、振動板20の前面側
には、縦長の磁気ユニツト40が、振動板20を挟んで
対面する姿勢で配置してある。磁気ユニツト40は、フ
レーム10の上下の周枠11の中央部に、前方に向けて
突設した固定部11eによつて、上下から挟むようにし
て固定してある。なお、磁気ユニツト40のボビン45
の幅は、磁気ユニツト30のボビン37の直径より僅か
に広く設定してある。
【0085】複数の磁気ユニツト30のボビン37は、
共通のキヤツプ24を介して連結してある。キヤツプ2
4は、中央部に溝形部を形成し、溝形部の両側に、斜め
前方に向けて開拡する一対の連結片24a、24aを折
返し成形したものである。各ボビン37は、キヤツプ2
4の溝形部に挿入固着し、一対の平板状振動板21、2
1の揺動側M、Mは、連結片24a、24aの先端部分
に固着してある。また、磁気コニツト40のボビン45
は、キヤツプ24の溝形部の外側にはめ込んで固着して
ある。各副振動板25は、前方に向けて湾出する向きの
曲面に形成してある。一対の副振動板25、25の一端
縁は、磁気ユニツト40のボビン45の側面に固着し、
他方の端縁は、平板状振動板21、21の表面に固着し
てある。
【0086】対面する磁気ユニツト30、40のボビン
37、45が連結されているため、磁気ユニツト30、
40は、協働して大きな駆動力を発揮することができ
る。この際、磁気ユニツト30、40は、直列に連結さ
れた状態になつているので、両者の特性が異なつていて
も、音質上の支障は生じない。また、副振動板25、2
5は、駆動力を平板状振動板21、21に伝える必要が
ないので、高音域再生に有利な素材を用いることがで
き、より良質の高音再生が可能である。
【0087】この場合において、振動板20の前面側の
磁気ユニツト40を高音域再生に有利な設計とするとと
もに、ボビン37とボビン45との連結部分に対し、意
図的にコンプライアンスを付与すれば、磁気ユニツト4
0と副振動板25、25とは、殆んど独立の高音域専用
スピーカとして機能し、全体としては、複合型スピーカ
の動作に近いものとなる。しかも、副振動板25、25
についても、独立に、中央部において最大振幅を示す振
動姿態を実現することができる。
【0088】本発明に係るダイナミツクスピーカの振動
板20に要求される技術的事項は、コーン型スピーカに
おけるコーン振動板に要求される事項と、ほぼ同様であ
る。具体的には、軽量であること、高剛性であること、
適度の内部損失を有すること、音の伝播速度が速いこと
等である、したがつて、振動板20の素材としては、今
日、ダイナミツクスピーカの振動板として用いられてい
る総ての素材を対象とすることができる他、振動板20
が平板状であることにより、各種の天然木のシート状単
板等、一般に、塑性加工が困難とされる材料をも対象に
加えることができる。また、平板状振動板21に限つて
は、その振動姿態が揺動運動であるため、全質量に対
し、駆動力の負荷として作用する質量が小さいこと、固
定側Fが重くても支障ないことにより、立体構造を採用
することが容易である。次に、立体構造を採用した平板
状振動板21の例を説明する。
【0089】各平板状振動板21は、芯材21cと、芯
材21cの表裏両面に貼着する2枚の表面板21d、2
1dとからなるハニカム構造にすることができる(図2
0)。芯材21cは、固定側Fから揺動側Mに向けて板
厚を薄くするように形成した硬質軽量の発泡樹脂の単板
に、角形と円形の重量軽減孔H、H…を規則的に設
けたものである。一方、各表面板21dは、炭素繊維の
織地に樹脂を含浸させ、これを加熱圧縮成形してなるシ
ートを裁断したものである。ただし、含浸する樹脂の使
用量は、炭素繊維を固定するために必要な最少限とし、
表面板21dの表面には、炭素繊維の織地文様が現われ
た状態になつている。3部材からなるため、やや重い平
板状振動板21となるが、ハニカム構造によつて高強度
を得ることができる。
【0090】各平板状振動板21は、表面板21fと複
数の補強リブ21e、21e…とからなるリブ付き構造
にすることができる(図21)。表面板21fは、天然
木の単板からなり、各補強リブ21eは、軽量のプラス
チツク製である。表面板21fは、平板状振動板21の
縦横寸法に応じて決定する適度の板厚に製材した板材に
対し、有機溶剤への浸漬と、水洗い、乾燥を数度に亘つ
て繰り返すことによつて、脱脂と内部応力の除去とを行
ない、最後に、表面を研磨し、ワニス仕上げしたもので
ある。また、各補強リブ21eは、丁度、航空機の主翼
のリブに相当する形状にモールド仕上げしてある。表面
板21fの木目は、平板状振動板21の長手方向を向け
てあり、補強リブ21e、21e…は、幅方向を向けて
上下等間隔配置してある。
【0091】表面板21fに天然木を用いた平板状振動
板21は、その意匠において、また、分割振動時の音色
として天然木素材固有の音色を得ることができるという
点において、需要者の趣向の範囲に及ぶ要望にも応える
ことができる。なお、天然木の単板とは、一枚板の意味
ではなく、板厚方向に接合されていないという意味であ
る。また、天然木を一例だけ示すとすれば、南米産のア
ガチス材を挙げることができる。
【0092】各平板状振動板21は、波形に形成した表
面板21hと、表面板21hに対し、波形の形成方向と
直交方向に向けて取り付ける補強リブ21k、21k…
とからなるリブ付き構造にすることができる(図2
2)。各補強リブ21kは、波の山に該る部分に点付け
してある。表面板21hは、素材自体が薄い場合におい
ても、波形に形成することによつて、一方向について十
分な強度を発揮することができるとともに、他方向の強
度は、補強リブ21k、21k…によつて補うことがで
きるので、厚くすることによつて重量が過大となる素材
を表面板21hとして用いることが可能になる。また、
各補強リブ21kの側縁を波形に形成し、表面板21k
との接着面積を増すことによつて、補強効果を増大する
ことができる。
【0093】本発明に係るダイナミツクスピーカは、大
面積のプレーンバツフル、建物の壁、または、大容量の
位相反転型キヤビネツトに取り付けて用いるのが望まし
い。しかし、住宅事情等により、小形の位相反転型、ま
たは、密閉型キヤビネツトで使用したいという要求も当
然予想される。そこで、密閉型キヤビネツトを利用する
場合のエツジの構造について説明する。
【0094】先ず、各平板状振動板21に取り付けるシ
ールド板21aは、その後端縁が、中間振動板22のセ
ンタコア22aとウイング22bとの連結部分に向けて
直線となるように形成する(図23に二点鎖線で示
す)。次いで、一方の平板状振動板21の固定側Fか
ら、シールド板21aの後端縁寄りを経由し、センタコ
ア22aとウイング22b、22bとの連結部分2箇所
を通り、他方の平板状振動板21の固定側Fに至るよう
にエツジ部材28を取り付け、エツジ部材28を介し
て、振動板20とフレーム10の周壁11bの内側面と
を連結する(図24)。なお、エツジ部材28は、気密
性の弾性材料からなる帯状のシートを折り返した簡単な
ものでよい。振動板20の下端側についても同様とし、
これによつて、振動板20の上下の端縁を振動可能に密
閉することができる。
【0095】また、別の方法としては、一対の平板状振
動板21、21の揺動側Mと揺動側Mとを結ぶ直線L
を想定する(図23)。直線Lとセンタコア22aと
平板状振動板21、21とによつて囲まれる三角形の部
分(同図に斜線で示す)に、それぞれ、当て板26、2
6、27、27を取り付けて塞ぎ、一方の平板状振動板
21の固定側Fから、直線Lを通り、他方の平板状振
動板21の固定側Fに至るエツジ部材28を取り付ける
ことにより、同様に、振動板20の上下の端縁を密閉す
ることができる。ただし、直線Lとセンタコア22a
とウイング22b、22bとによつて囲まれる部分に対
応する各当て板26の2辺には、独立気泡性の極めて柔
軟な樹脂材料からなるパツキング26a、26aが取り
付けてあり、ウイング22b、22bの開拡角Aの変
化を可能としている。なお、中間振動板22が平板状で
ある振動板20や、中間振動板22を有しない振動板2
0については、より簡略な方法で密閉構造にすることが
できる。
【0096】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明に係るダ
イナミツクスピーカは、揺動自在の一対の平板状振動板
の揺動側と揺動側とを屈曲自在に連結し、連結した一対
の平板状振動板の揺動側を共通の磁気ユニツトにより同
時に駆動することによつて、一対の平板状振動板からな
る振動板全体として、中央部において最大振幅を示し、
その振幅が振動板の両端部に向けて逓減するという楽器
等における発音体の振動姿態に近似する振動姿態を実現
することができるので、原音再生の可能性を構造的に高
めることができるとともに、かかる振動姿態によつて放
射される音波は、より球面波に近いものであり、また、
音波の放射に際し、振動板の両端部は全く振動しないの
で、指向特性に優れ、しかも、振動板周囲における音響
的不整合の発生についても、水平方向については、皆無
にすることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 全体正面図
【図2】 フレームの分解斜視図
【図3】 振動板の斜視図
【図4】 図3のA−A線矢視拡大断面図
【図5】 全体背面図
【図6】 図5のB−B線矢視拡大断面図
【図7】 図6のE矢視部分拡大図
【図8】 図5のD−D線矢視拡大断面図
【図9】 図5のC−C線矢視拡大断面図
【図10】 動作説明線図
【図11】 動作説明線図
【図12】 他の実施例を示す図4相当図
【図13】 他の実施例を示す図4相当図
【図14】 他の実施例を示す図4相当図
【図15】 他の実施例を示す図4相当図
【図16】 他の実施例を示す要部分解斜視図
【図17】 図16のK矢視部分拡大説明図
【図18】 他の実施例を示す図9相当図
【図19】 他の実施例を示す図9相当図
【図20】 他の実施例を示す要部分解斜視図
【図21】 他の実施例を示す要部斜視図
【図22】 他の実施例を示す図21相当図
【図23】 他の実施例を示す要部分解斜視図
【図24】 他の実施例を示す図1のY−Y線矢視拡大
断面相当図
【符号の説明】
M…揺動側 10…フレーム 21…平板状振動板 22…中間振動板 30…磁気ユニツト

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フレームと、揺動側を向い合わせて該フ
    レームに揺動自在に取り付ける一対の平板状振動板と、
    該一対の平板状振動板に共通する磁気ユニツトとからな
    り、前記一対の平板状振動板は、前記揺動側と揺動側と
    を屈曲可能に連結し、前記磁気ユニツトは、前記一対の
    平板状振動板の揺動側を同時に駆動することを特徴とす
    るダイナミツクスピーカ。
  2. 【請求項2】 前記一対の平板状振動板は、前記揺動側
    と揺動側との間に中間振動板を介装して連結し、前記磁
    気ユニツトは、該中間振動板を介して前記平板状振動板
    を駆動することを特徴とする請求項1記載のダイナミツ
    クスピーカ。
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