JPH08201128A - ガス漏洩検査システム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ガスメータ本体のコストアップを図ることな
く、早期にガス漏れを検出できると共に、使用ガス器具
の種類に応じたガス遮断時間を設定することが可能であ
り、より高機能なガス安全遮断機能を実現できるガス漏
洩検査システムを提供する。 【構成】 ガス漏れ検査時には地区整圧器（ガバナ）３
００が駆動され、ガスの供給圧力を能動的に変動させ
る。ガスメータ１００内では、圧力変動の前後それぞれ
において圧力センサ１４を用いてガス供給圧力を検出す
ると共にガス流量計１３を用いてガス流量を計測する。
これら圧力変動の前後それぞれのガス供給圧力およびガ
ス流量を用いて、ガス供給圧力とガス流量との相関関係
を求め、この関係からガス漏れの有無の判定を行う。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は各需要家におけるガス漏
れの有無を検出するためのガス漏洩検査システムに関す
る。

【０００２】

【従来の技術】近年、需要家用のガスメータとして、通
過するガスの流量を計測する機能の他に安全機能を付加
したものが実用化されている。このガスメータの安全機
能としては、流量計を用いて所定量以上のガス流量を検
出した場合や、所定のガス流量を所定時間以上検出した
場合等に、ガス遮断弁を駆動してガス流路を遮断させる
機能がある。これらの機能により、配管中の漏洩や、不
自然なガスの流出などを検出して、事故を未然に防止
し、安全性を保障するようになっている。

【０００３】また、ガス安全機能には、例えば特開平3-
217716号公報に示されるように、計測された現在のガス
流量と過去のガス流量から現在使われているガス器具の
数と各ガス器具の個別流量を推定し、最大の個別流量に
応じてガス遮断時間を設定するものがある。これは、ガ
ス給湯器のような流量の大きなガス器具は使用期間が短
く、ストーブのような流量の小さなガス器具は使用時間
が長いという使用実態を考慮したものである。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところが、同じような
ガス流量でもガス器具によって、継続して使用される時
間は異なる。従来のガス安全遮断機能では使用されてい
るガス器具の種類を考慮していないため、ガス器具の異
常な使用状況を把握するまでに時間がかかってしまうと
いう問題があった。また、単に個別流量のみに基づいて
ガス遮断時間を設定すると、危険がないのにガスを遮断
してしまったり、危険なのにガスを遮断しなかったりす
る事態が発生する恐れがある。

【０００５】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
ので、その目的は、ガスメータ本体のコストアップを図
ることなく、早期にガス漏れを検出できると共に、使用
ガス器具の種類に応じたガス遮断時間を設定することが
可能であり、より高機能なガス安全遮断機能を実現でき
るガス漏洩検査システムを提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明のガス漏洩検査シ
ステムは、ガスメータの上流側の所定の位置に設けら
れ、各需要家に供給されるガスの圧力を能動的に変動さ
せるガス供給圧力変動手段と、前記ガスメータに設けら
れ、前記ガスメータ内を流れるガスの圧力を検出するガ
ス圧力検出手段と、前記ガスメータに設けられ、前記ガ
スメータ内を流れるガスの流量を検出するガス流量検出
手段と、前記ガス供給圧力変動手段により発生されたガ
ス圧力の変動の前後においてそれぞれ、前記ガス圧力検
出手段およびガス流量検出手段を用いてガスの圧力およ
びガスの流量を検出し、検出されたガスの圧力とガスの
流量との相関関係からガス漏れの有無を判定するガス漏
れ検出手段とを備えている。

【０００７】ガス供給圧力変動手段としては、ガスメー
タの上流側の供給管に配設された地区整圧器（ガバナ）
と、ガス漏れ検査時において前記地区整圧器により圧力
変動を生じさせる駆動制御手段とにより構成することが
好ましい。

【０００８】このガス漏洩検査システムでは、ガス供給
圧力変動手段が駆動されガスの圧力が能動的に変動され
る共に、この変動の前後においてそれぞれガス圧力検出
手段およびガス流量検出手段を用いてガスの圧力および
ガスの流量が検出され、検出されたガスの圧力とガスの
流量との相関関係からガス漏れの有無が判定される。

【０００９】

【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
て詳細に説明する。

【００１０】図１は本実施例に係るガス漏洩検査システ
ムの概略構成を表すものである。このガス漏洩検査シス
テムは、ガスメータ１００の下流側に接続された配管１
７のガス器具２００までの間のガス漏れの有無を検出す
るものである。ガスメータ１００の上流側には供給配管
１６が接続され、この供給配管１６には地区整圧器（ガ
バナ）３００が設置されている。なお、この地区整圧器
３００の下流側には図４に一例を示したように多数のガ
スメータ１００が設置されるようになっている。

【００１１】ガスメータ１００のハウジング１０の内部
にはガス流路となるガス管１１が配設されている。この
ガス管１１には、ガス漏れ等の異常時においてガス流路
を遮断するためのガス遮断弁１２と、ガス流路を通過す
るガスの流量を検出するためのガス流量計１３と、ガス
流路内のガス圧力を検出するための圧力センサ１４とが
順次配置されている。

【００１２】また、ガスメータ１００内には、ガス流量
計１３および圧力センサ１４の各出力を入力すると共に
ガス遮断弁１２を制御するための制御部１５が設けられ
ている。

【００１３】図２は本実施例のガスメータ１００におけ
る制御部１５とその周辺の構成を示すブロック図であ
る。この図に示すように、制御部１５は、ＣＰＵ（中央
処理装置）２０、ＲＯＭ（リード・オンリ・メモリ）２
１、ＲＡＭ（ランダム・アクセス・メモリ）２２、タイ
マ２３およびＩ／Ｏ（入出力）ポート２４を備え、これ
らは互いにバス２５によって接続されている。入出力ポ
ート２４にはガス流量計１３と、圧力センサ１４と、ガ
ス遮断弁１２を駆動するための駆動回路２６とが接続さ
れている。

【００１４】制御部１５では、ＣＰＵ２０が、ＲＡＭ２
２をワーキングエリアとしてＲＯＭ２１に格納されたプ
ログラムを実行することによって、ガス漏れの検出等の
機能を実現するようになっている。

【００１５】地区整圧器（ガバナ）３００は、通常時に
は供給ガスの変動を吸収しガスの流れの安定化を行う
が、ガス漏れ検査の際には図示しない駆動制御手段によ
り駆動され、ガスの圧力を能動的に変動させるようにな
っている。なお、この駆動制御手段としては、時計仕掛
けにより所定の時間帯のみ昇圧するタイムリーコントロ
ーラ、地区整圧器の出管に若干の固定絞りを設け、流量
の変化を伴う差圧を利用するかあるいは整圧器の駆動圧
力を利用して昇圧するセルフコントローラ、専用線，無
線等を利用して遠隔操作を行うテレコントローラなどを
用いることにより容易に実現できる。

【００１６】制御部１５は、ガス漏れの検出に関する機
能としてガス流量計１２および圧力センサ１４を用いて
ガスの流量およびガスの圧力を検出し、検出されたガス
の圧力とガスの流量との相関関係からガス漏れの有無を
判定するようになっている。

【００１７】図３は本実施例におけるガス漏洩検査シス
テムの機能構成を表すものである。このガス漏洩検査シ
ステムは、ガスメータ１００の上流側の所定の位置に設
けられ、各需要家に供給されるガスの圧力を能動的に変
動させるガス供給圧力変動手段３０と、ガスメータ１０
０に設けられ、ガスメータ１００内を流れるガスの圧力
を検出するガス圧力検出手段３１と、ガスメータ１００
に設けられ、ガスメータ１００内を流れるガスの流量を
検出するガス流量検出手段３２と、ガス供給圧力変動手
段３０により発生されたガス圧力の変動の前後において
それぞれ、ガス圧力検出手段３１およびガス流量検出手
段３２を用いてガスの圧力およびガスの流量を検出し、
検出されたガスの圧力とガスの流量との相関関係からガ
ス漏れの有無を判定するガス漏れ検出手段３３とを備え
ている。

【００１８】ここに、ガス供給圧力変動手段３０は地区
整圧器（ガバナ）３００およびこれを駆動させるタイム
リーコントローラなどの駆動制御手段により実現され、
ガス圧力検出手段３１は圧力センサ１４、ガス流量検出
手段３２はガス流量計１３、またガス漏れ検出手段３３
は制御部１５によりそれぞれ実現される。

【００１９】次に、本実施例のガス漏洩検査システムの
動作について図４および図５を参照して説明する。

【００２０】すなわち、ガス漏れ検査を定期的に行う場
合には、地区整圧器（ガバナ）３００が図示しない駆動
制御手段により駆動され、ガスの供給圧力を能動的に変
動させる（ステップＳ４００）。これにより各需要家に
おけるガスメータ１００内を流れるガス圧力が変動す
る。各ガスメータ１００内では、圧力変動の前後それぞ
れにおいて圧力センサ１４を用いてガス供給圧力を検出
すると共にガス流量計１３を用いてガス流量を計測する
（ステップＳ４０１）。検出された圧力変動前後におけ
るガス供給圧力およびガス流量はそれぞれ制御部１５内
のＲＡＭ２２に格納される。そして、制御部１５では、
ＲＡＭ２２に格納された圧力変動の前後それぞれのガス
供給圧力およびガス流量を用いて、ガス供給圧力とガス
流量との相関関係を求め、この関係からガス漏れの有無
の判定を行う（ステップＳ４０２）。すなわち、両者に
相関関係が有るときには異常（ガス漏れ有り）とし、一
方、相関関係が無いときには正常（ガス漏れ無し）と判
定する。なお、相関関係が有ってガス漏れ有りと判定し
たときには、図示しないランプを点灯等して警報を発す
ると共に、必要に応じてガス遮断弁１２を駆動してガス
流路を遮断することは従来と同様である。

【００２１】ここで、本実施例におけるガス漏れの有無
の判定、更にガス器具２００の種類の判定の方法につい
て説明する。

【００２２】ガス供給圧力を上述のように能動的に変動
させた場合、ガス器具２００側にガス供給圧力の変動に
よるガス流量の変化を補正する機能がなければ、ガス供
給圧力の変動がそのままガス流量の変動を引き起こす。
このような場合としては、ガスガバナを持たないガス器
具の使用中や、ガスガバナの有無にかかわらずガス漏れ
が発生している場合がある。従って、ガス漏れが発生し
ているときは、ガス供給圧力とガス流量の間には相関関
係がある。

【００２３】一方、ガス給湯器、風呂釜等は器具内にガ
スガバナを内蔵しており、ガス供給圧力の変動をガスガ
バナで吸収するため、ガス漏れが発生していなければ、
ガス供給圧力が変動してもガス流量にその影響は現れな
い。従って、ガス供給圧力とガス流量は無相関となる。

【００２４】以上のことを利用し、ガス漏れの有無の判
定およびガス器具の判定は、例えば以下のようにして行
う。

【００２５】まず、圧力変動を発生させた後のガス供給
圧力とガス流量の間に相関関係がなければ、ガスガバナ
を有するガス機器が使用されているか、またはガスが使
用されていないと判定される。なお、ガス漏れの検出動
作をガス器具の使用時に行う場合には、ガス供給圧力と
ガス流量の間に相関関係がなければ、ガスガバナを有す
るガス器具であること、およびガス漏れが発生していな
い（正常である）ことが判別される。

【００２６】次に、ガス供給圧力とガス流量の間に相関
関係がある場合には、ガスガバナを有するガス器具の場
合にはガス漏れが発生していることが分かるが、ガスガ
バナを有しないガス器具の場合にはガス供給圧力とガス
流量の間に相関関係があることだけではガス漏れの有無
を判定することができない。従って、相関関係の有無に
他の条件を加えて、ガスガバナの有無およびガス漏れの
有無を判定する。

【００２７】例えば、ガス供給圧力の変動に対するガス
流量の変動の割合が所定値以下の場合には、ガス漏れが
発生していると判定される。なお、ガス漏れの検出動作
をガス器具の使用時に行う場合には、ガスガバナを有す
るガス器具であること、およびガス漏れが発生している
ことが判別される。一方、ガス供給圧力の変動に対する
ガス流量の変動の割合が所定値を越える場合には、ガス
ガバナを有しないガス器具の使用時であることが判別さ
れるが、ガス漏れの有無は不明なので、さらに他の条件
を加えてガス漏れの有無を判定する。例えば、ガスの使
用が終了した後に再度ガス供給圧力とガス流量の相関関
係を調べ、相関関係があればガス漏れが発生していると
判定し、相関関係がなければガス漏れが発生していない
と判定することができる。

【００２８】なお、上述のように、ガス器具が使用中か
否かの情報を加えることによって、ガスガバナの有無お
よびガス漏れの有無の判定が容易になるが、ガス器具２
００が使用中か否かは、例えばフレームロッド等のセン
サによって点火を検出したり、ガス流量計１３を用いて
ガス流量の急激な増加を検出したりすることによって知
ることができる。

【００２９】このように本実施例のガス漏洩検査システ
ムでは、ガス供給圧力変動手段として地区整圧器３００
を用いてガス供給圧力を能動的に変動させ、この変動の
前後におけるガスの圧力およびガスの流量を検出して、
ガスの圧力とガスの流量との相関関係からガス漏れの有
無を判定するようにしたので、漏れ量の大小にかかわら
ず、早期にガス漏れを検出することができる。また、既
設の地区整圧器３００を利用するようにしたので、ガス
メータ１００内に個別にガス供給圧力変動手段（例えば
比例弁）を組み込む必要がなく、ガスメータ本体をコス
トアップすることなく実現できる。

【００３０】また、本実施例では、各需要家におけるガ
ス漏れの有無だけでなく、使用されているガス器具２０
０の種類も判別が可能であるため、使用ガス器具の種類
に応じたガス遮断時間を設定することが可能である。こ
のためガス漏れの判断をより正確に行うことができ、よ
り高機能なガス安全遮断機能を実現できる。

【００３１】なお、本発明は上記実施例に限定されるも
のではなく、例えば、ガス供給圧力変動手段として、地
区整圧器３００の代わりに地区整圧器３００の前後に新
たに圧力変動を起こさせる手段を設置するようにしても
よい。

【００３２】

【発明の効果】以上説明したように請求項１および２記
載のガス漏れ検査システムによれば、ガスメータの上流
側に地区整圧器（ガバナ）等のガス供給圧力変動手段を
設け、ガス供給圧力を能動的に変動させ、この変動の前
後におけるガスの圧力およびガスの流量を検出して、ガ
スの圧力とガスの流量との相関関係からガス漏れの有無
を判定するようにしたので、漏れ量の大小にかかわら
ず、早期にガス漏れを検出することができるという効果
がある。

【００３３】また、各需要家におけるガス漏れの有無だ
けでなく、使用されているガス器具の種類も判別が可能
であるため、使用ガス器具の種類に応じたガス遮断時間
を設定することができる。このため、ガス漏れの判断が
より正確になり、より高機能なガス安全遮断機能を実現
できる。

【００３４】また、請求項２記載のガス漏れ検査システ
ムによれば、ガス供給圧力変動手段として既設の地区整
圧器を利用するようにしたので、ガスメータ内に個別に
ガス供給圧力変動手段を組み込む必要がなく、ガスメー
タ本体をコストアップすることなく実現できるという効
果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係るガス漏洩検査システム
の構成を一部断面して表す図である。

【図２】図１におけるガスメータの制御部とその周辺の
構成を示すブロック図である。

【図３】図１のシステムの機能構成を表すブロック図で
ある。

【図４】図１のシステムにおけるガス漏れの検出動作を
説明するため構成図である。

【図５】図１のシステムにおけるガス漏れの検出動作を
説明するための流れ図である。

【符号の説明】

１００ ガスメータ ２００ ガス器具 ３００ 地区整圧器（ガバナ） １２ ガス遮断弁 １３ ガス流量計 １４ 圧力センサ １５ 制御部

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ガスメータの上流側の所定の位置に設け
   られ、各需要家に供給されるガスの圧力を能動的に変動
   させるガス供給圧力変動手段と、 前記ガスメータに設けられ、前記ガスメータ内を流れる
   ガスの圧力を検出するガス圧力検出手段と、 前記ガスメータに設けられ、前記ガスメータ内を流れる
   ガスの流量を検出するガス流量検出手段と、 前記ガス供給圧力変動手段により発生されたガス圧力の
   変動の前後においてそれぞれ、前記ガス圧力検出手段お
   よびガス流量検出手段を用いてガスの圧力およびガスの
   流量を検出し、検出されたガスの圧力とガスの流量との
   相関関係からガス漏れの有無を判定するガス漏れ検出手
   段とを備えたことを特徴とするガス漏洩検査システム。
2. 【請求項２】 前記ガス供給圧力変動手段を、前記ガス
   メータの上流側に配設された地区整圧器と、ガス漏れ検
   査時において前記地区整圧器により圧力変動を生じさせ
   る駆動制御手段とにより構成したことを特徴とする請求
   項１記載のガス漏洩検査システム。