JPH08199244A - バーリング加工性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法 - Google Patents

バーリング加工性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法

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JPH08199244A
JPH08199244A JP7027696A JP2769695A JPH08199244A JP H08199244 A JPH08199244 A JP H08199244A JP 7027696 A JP7027696 A JP 7027696A JP 2769695 A JP2769695 A JP 2769695A JP H08199244 A JPH08199244 A JP H08199244A
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hot
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stainless steel
steel
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Manabu Oku
学 奥
Yoshihiro Uematsu
美博 植松
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Nippon Steel Nisshin Co Ltd
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Nisshin Steel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】バーリング加工性などの局所変形能を兼ね備え
た低コスト耐熱性フェライト系ステンレス鋼を提供す
る。 【構成】質量%として、C:0.03%以下,Si:0.80%
〜1.20%,Mn:0.60%〜1.50%,Cr:13.5%を超え
〜15.5%,Nb:0.20%〜0.80%,Ti:0.1 %以下,
Cu:0.02%以上0.30%未満,N:0.03%以下,Al:
0.05%以下,O:0.012 %以下,さらに、この範囲内に
あり、Cr+Mn+Si≧15.5の関係を満足するよう
に、これらの元素を含有し、残部がFeおよび製造上の
不可避的な不純物からなるフェライト系ステンレス鋼に
おいて、熱間圧延前の加熱温度を1250℃以下とし、850
℃以下の温度で熱間圧延を終了し、熱延板の焼鈍を980
℃〜1080℃の温度範囲で行なった後、冷間圧延を行い、
980 ℃〜1080℃の温度範囲で仕上げ焼鈍を行うこと特徴
とする、バーリング加工性に優れたフェライト系ステン
レス鋼板の製造方法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、各種内燃機関やガスタ
ービン等の排ガス管路部材用途、特に自動車用エキゾー
ストマニホールドに好適なバーリング加工性に優れた低
コストのフェライト系ステンレス鋼板の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、地球環境問題に係る関心の高まり
から、厳しい排ガス規制をクリアできる自動車エンジン
が求められている。これらの要求を満足すべく対策を行
うと、燃焼ガスの温度が高くなり、排ガス浄化システム
などの周辺部材の温度が高くなる。この結果、これらの
部材は、一層優れた耐熱性が要求されるようになってく
る。
【0003】オーステナイト系ステンレス鋼は、フェラ
イト系ステンレス鋼と比較して高温強度が高い。しか
し、熱膨張が大きいため、熱ひずみが大きく、加熱およ
び冷却の繰り返しを受けると熱疲労による割れを起こし
やすい。また、オーステナイト系ステンレス鋼は、C
r,Niを多量に含むため、製造コストも高くなる。こ
れらの理由から、自動車の排ガス用材料には、フェライ
ト系ステンレス鋼が使用されることが多い。
【0004】以上の背景から、本発明者らは、特開平5-
125491に開示されるような、耐熱性に優れた低Crフェラ
イト系ステンレス鋼を開発した。この鋼は、10.0%以上
17.0%未満のCrにSi,MnおよびNbを複合添加し
て、優れた高温塩害特性,高温強度および高温酸化特性
を有することを特徴とした鋼であり、エキゾーストマニ
ホールドのような高温に曝される用途に適している。
【0005】一方、エキゾーストマニホールドは、鋼板
もしくは鋼管を所定の形状に加工した後に溶接を行って
製品となる。この排気管の形状は非常に複雑であるた
め、成形の際、鋼板もしくは鋼管は苛酷な加工を受ける
場合がある。
【0006】フェライト系ステンレス鋼のプレス成形性
については、すでに広範な検討がなされており、深絞り
性の改善のために、r値の向上やリジングの防止などの
措置が、合金元素添加の面および製造方法の面からとら
れている。
【0007】管の曲げ性などは、均一伸び限界(n値)
に優れることが重要となってくる。これに対しては、本
発明者らは、合金成分の観点から広範な検討を行い、本
成分系においてCuを微量に添加することにより、加工
性に優れた鋼が得られることを見いだしている。Cuの
微量添加は、引張試験における全伸びおよび均一伸びを
上昇させ、加工性の向上に有効である。この鋼は、全伸
びおよび均一伸びは良好な特性を示し、局部伸びは、C
uを添加しない鋼に比べて若干優れている。
【0008】板のプレス成形や管の曲げ加工を行った後
に、さらに穴広げ(バーリング加工)などの2次加工を
行う場合、材料は延性破断限界に近い加工を受けること
になる。この場合、r値やn値の改善も有効ではあるが
材料の局所変形能自体が優れることが非常に重要とな
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】耐熱性向上のために添
加している、Cr,Nb,Siなどの合金元素は、室温
においても固溶強化により素材の延性を低下させる方向
に働くため、これらの合金元素を低減すれば、局所変形
能が向上することは容易に想像できる。しかしながら、
加工性の向上のために本来有するべき耐熱性を損なう
と、エキゾーストマニホールドのような苛酷な環境では
使用できなくなる。そこで、耐熱性を損なうことなく、
優れた加工性を有する鋼の開発が望まれていた。
【0010】本発明は、耐熱性に有効な合金元素の低減
もしくは、第三元素の添加を行うことなしに、加工性,
とくに局所変形能に優れた低コストのフェライト系ステ
ンレス鋼板を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、質量%
として、C:0.03%以下,Si:0.80%〜1.20%,M
n:0.60%〜1.50%,Cr:13.5%を超え〜15.5%,N
b:0.20%〜0.80%,Ti:0.1 %以下,Cu:0.02%
以上0.30%未満,N:0.03%以下,Al:0.05%以下,
O:0.012 %以下,さらに、この範囲内にあり、Cr+
Mn+Si≧15.5の関係を満足するように含有し、残部
がFeおよび製造上の不可避的な不純物からなるフェラ
イト系ステンレス鋼において、熱間圧延前の加熱温度を
1250℃以下とし、850 ℃以下の温度で熱間圧延を終了
し、熱延板の焼鈍を980 ℃〜1080℃の温度範囲で行なっ
た後、冷間圧延を行い、980 ℃〜1080℃の温度範囲で仕
上げ焼鈍を行うこと特徴とする、バーリング加工性に優
れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法を提供す
る。
【0012】
【作用】本発明者らは、耐熱性を損なわずに加工性,と
くに材料の局所変形能を改善することを目的とし、材料
の製造条件について広範な検討を行った結果、加工性
(局所変形能)は、金属組織の均一性と密接に関連して
いること、および金属組織の均一化には、製造方法,と
くに熱延から熱延板焼鈍までの工程での製造条件を厳密
に規定し、組織および析出物を制御すればよいことを明
らかにした。
【0013】図1は、Fe−14Cr− 1.0Mn− 1.0S
i− 0.5Nb− 0.1Cuを基本成分とする鋼の2.0mm の
冷延焼鈍板のバーリング加工割れ率に及ぼす熱延用スラ
ブの加熱温度の影響を示したものである。なお、試験片
の作成方法および試験方法は後述する実施例と同じ手段
を用いている。
【0014】図1によると、冷延焼鈍板のバーリング加
工割れ発生率は、熱延用スラブの加熱温度に依存してい
ることがわかる。加熱温度が高くなるのにともない、割
れ発生率が増大し、1260℃の加熱では割れ発生率は60%
にも達する。
【0015】図2は、図1と同様な成分系の鋼のバーリ
ング割れ発生率に及ぼす熱延終了温度の影響を示す。図
2の結果から、割れ発生率は、熱延終了温度にも強く依
存し、終了温度が850 ℃以下であると、割れを著しく抑
制できることがわかる。
【0016】図3は、図1と同様な成分系の鋼のバーリ
ング割れ発生率に及ぼす熱延板の焼鈍温度の影響を示
す。図3の結果から、割れ発生率は、熱延板の焼鈍温度
にも影響を受け、980 ℃〜1080℃の焼鈍温度であれば、
良好な加工性を有するといえる。
【0017】これらの結果から、本成分系においては、
冷延焼鈍板の加工性(局所変形能)は、熱延条件および
熱延板の焼鈍条件に依存していることが明らかになっ
た。この原因は、局所変形能は冷延焼鈍板の金属組織と
の関連が強いこと、冷延焼鈍板の金属組織は熱延焼鈍板
の組織を引き継ぐことによるものと考えられる。すなわ
ち、局所変形能の改善には、熱延焼鈍板の金属組織の均
一化が必要であり、図1〜図3の結果は、以下のように
推察できる。
【0018】スラブの加熱温度:比較的粗大な未固溶析
出物が存在すると、熱間加工によって、その析出物の回
りに再結晶の核となる変形帯が導入されやすくなると考
えられる。スラブの加熱温度が1250℃以上では未固溶析
出物が消失するため、熱延板の再結晶核となり得る変形
組織は導入されにくい。
【0019】熱延終了温度:熱延終了温度は、熱延によ
って導入された変形ひずみの解放度合いと、その後の焼
鈍時の再結晶過程において、再結晶の成長をPinning す
る微細析出物の生成度合いを左右しているものと推察さ
れる。熱延終了温度が900 ℃以上では、熱延にて変形帯
を導入しても冷却中にひずみが開放されるため、熱延板
の再結晶核の数が減少する。また、微細析出物の動的析
出に加え、熱延後の冷却中の静的析出が起こり、再結晶
に不利な微細析出物の生成量も増大する。
【0020】熱延板の焼鈍温度:スラブの加熱温度およ
び熱延終了温度を制御して、再結晶しやすい状態であっ
ても、熱延板の焼鈍温度が低すぎると、熱延焼鈍板には
未再結晶粒が残存する。その後冷延を行っても、仕上げ
焼鈍時にその組織は引き継がれ、製品の未再結晶組織が
多くなる。一方、熱延板の焼鈍温度が高すぎると、冷延
板の焼鈍時に再結晶の核となる位置の数(粒界および析
出物)が減少するため、再結晶自体が遅滞することにな
る。さらに、固溶NbのDrag効果による再結晶遅滞も起
こる。
【0021】スラブの加熱温度,熱延終了温度および熱
延板の焼鈍温度の各々を最適条件で行うと、その後の冷
間圧延および980 ℃〜1080℃での仕上げ焼鈍後に、均一
で微細な再結晶粒が得られ、局所変形能に優れたフェラ
イト系ステンレス鋼板が得られる。再結晶粒の粒径は、
JIS G 0552で規定される結晶粒度番号が5以
上となるように、調製することが望ましい。
【0022】以下に、本発明鋼における各成分の作用と
それらの含有量および製造条件の限定理由を個別に概説
する。
【0023】CとN:一般的には高温強度を高めるため
には重要な元素であるが、反面、含有量が多くなると耐
酸化性,加工性,ならびに靱性の低下をきたす。また、
CとNはNbとの化合物をつくり、フエライト相中の有
効Nb量を減少せしめる。このような理由からCとNは
それぞれ0.03%以下とする。
【0024】Si:耐高温酸化性を改善するために不可
欠な元素である。本発明鋼のような比較的Cr量が少な
い鋼であっても優れた耐高温酸化性を付与するのに非常
に有効である。しかし、過剰に添加すると硬質になり、
加工性および靱性の劣化をもたらすので0.80%〜1.20%
の範囲とする。
【0025】Mn:本発明鋼の重要な元素である。本発
明鋼のようにSiを添加することによって、酸化増量は
抑制するのに加え、Mnを添加すると表層酸化物の密着
性を著しく改善する。しかし、過剰に添加すると、オー
ステナイト相の析出などによってかえって異常酸化を誘
発する。したがって、その範囲を0.60%〜1.50%とす
る。
【0026】Cr:耐食性および耐高温酸化性を付与す
るためには非常に有効な元素であり、耐食性を有するた
めには10%以上,さらに十分な耐酸化性を有するために
は13.5%を超える量の添加を必要とする。一方、過剰に
添加すると鋼の脆化を招き、また、硬質となって、加工
性を劣化させる他、原料価格が高くなる。したがって、
Crの範囲は、13.5%を超え〜15.5%とする。
【0027】Nb:高温強度を維持せしめるのに有効に
作用するので本発明鋼の重要な元素である。高温強度を
維持するためには少なくとも0.20%以上添加する必要が
ある。一方、Nbを過剰に添加するとスラブの靱性低下
が顕著になる。十分な高温強度を維持し、なおかつ、ス
ラブの靱性低下にあまり影響を及ぼさないようにNbの
上限を0.80%とする。
【0028】Cu:低温靱性と加工性(全伸びおよび均
一伸び)の両方を向上させるのに有効な元素であり、そ
の効果は0.02%の添加で顕著となる。しかしながら、C
uを過剰に添加すると、加工性に支障をきたす。したが
って、Cuの含有範囲は、質量%で0.02%以上0.30%未
満とする。
【0029】Al:製鋼工程において酸素吹錬により脱
炭を行なうが、その際、鋼中に残存した酸素は溶接性を
劣化させる。このため、一般に、Alは脱酸材として必
要不可欠な元素である。本発明鋼は、Siを含有してい
るため、Alによる脱酸は必ずしも必要でない。しか
し、製鋼工程においてAlが過剰に混入すると、鋼中の
介在物の量が増加し、清浄度が低下する。介在物は、延
性破壊の起点となりやすく、局所変形能を低下させる。
また、Alが大量に存在すると、溶接時にAl系の酸化
物が多量に生成し、逆に溶接性を低下させる。このた
め、Al量は、0.05%以下であるのがよく、この程度の
Al量は本発明において、不純物として許容できる量で
ある。
【0030】Ti:鋼板のr値を向上させ、深絞り性に
有効な元素であることが知られている。しかし、Tiを
添加すると、TiNを生成しやすく、延性破壊の起点に
なる可能性があるうえに、鋼板におけるヘゲ疵の発生に
よる歩留低下,また、溶接性を低下させる。このため、
Tiの含有量の範囲は、質量%で0.10%以下であるのが
よい。さらに、厳しい加工が施される場合には、TiN
の生成を防止するために、0.05%以下とするのが好まし
い。
【0031】O:上述のように、溶接性に悪影響を及ぼ
すため、Oの含有量はできる限り低くすることが望まし
いが、Oの含有量を低くするほど製造コストが増えてし
まう。一方、本願発明鋼では、Alの添加によって脱酸
を行う場合も考慮して、Alの含有量は、十分な加工性
および溶接性を有する範囲に定めている。そこで、Oの
含有量の範囲は、質量%で0.012 %以下とした。
【0032】優れた耐高温酸化性を得るためには、前記
のような各成分の含有量において、Cr,Mn,Siの
合計量の厳密な調整が必要である。すなわち、優れた高
温酸化特性を示すためには、下式(1)の関係、すなわ
ち、 Cr+Mn+Si≧15.5 ・・・(1) の関係を満足するように、これらの元素を含有する必要
がある。
【0033】さらに、上記成分範囲の鋼のバーリング加
工性(局所変形能)を確保するために以下の条件で製造
することが必要である。
【0034】熱延用スラブの加熱温度は、上述したよう
に、高すぎると熱延板の再結晶核となるNb系析出物が
全て固溶するため、再結晶が進行しなくなる。そこで、
図1の結果から、加熱温度は1250℃以下とする。なお、
下限についてはとくに規定しないが、加熱温度が低すぎ
ると熱延板に線状ロールマークなどの表面疵を生じやす
いため、1150℃以上が好ましい。
【0035】熱延用スラブの加熱時間についてはとくに
規定はしないが、短いと鋳造組織の均質化が不十分とな
り、長すぎるとスラブ表面の酸化スケールが成長し、熱
延板の表面疵が発生しやすくなるため、スラブの加熱時
間は、1時間以上5時間以下が好ましい。
【0036】熱延終了温度は、上述したように、高すぎ
ると熱延で導入された変形ひずみが熱延後の冷却中に解
放され、再結晶を遅滞させる。また、析出温度域を通過
する時間が長くなるため、再結晶粒の成長に有害な微細
析出物の生成を助長する。したがって、熱延終了温度は
低い方が好ましく、850 ℃以下とする。
【0037】熱延終了後の冷却速度は、とくに規定しな
いが、熱延終了温度が高い場合と同様に変形ひずみの解
放や微細析出物の生成が起こる可能性があるため、熱延
終了から400 ℃程度までは、30℃/秒以上で冷却するの
が好ましい。
【0038】熱延板の焼鈍温度は、低すぎると未再結晶
組織が残存し、その後の冷延板の焼鈍でも未再結晶組織
が消滅しにくくなる。また、焼鈍温度が高すぎると、析
出物や粒界の数が減少し、冷延板の焼鈍時に再結晶の核
が不足し、短時間の焼鈍では十分に再結晶しない可能性
がある。したがって、完全に再結晶し、なおかつ、粗大
化しないように、熱延板の焼鈍温度は980 ℃〜1080℃と
する。さらに1000℃〜1060℃の温度範囲での焼鈍が好ま
しい。
【0039】冷間圧延率については、とくに規定はして
いないが、低すぎると冷延板の再結晶に必要なひずみが
十分に蓄積されず、未再結晶組織が残存する可能性があ
る。そこで冷間圧延率は40%以上とするのが好ましい。
【0040】冷延焼鈍板の仕上げ焼鈍温度は、上述まで
の工程にて作成したものならば,通常の再結晶温度以上
の加熱で十分であるが、高すぎると逆に加工性の低下を
招く。そこで仕上げ焼鈍温度は980 ℃〜1080℃とする。
さらに1000℃〜1060℃の温度範囲での焼鈍が好ましい。
【0041】以上のような製造方法によって作製した本
発明のフェライト系ステンレス鋼板は、結晶粒度番号5
番以上の微細な組織を有し、バーリング加工性などの局
所変形能に優れており、苛酷な加工にも耐え得る。しか
も18%以上のCrを含有するフェライト系ステンレス鋼
よりも低コストに製造できる。
【0042】また、本発明の製造方法で冷延および焼鈍
を2回以上繰り返し、薄板を製造しても、良好な加工性
を有する鋼板が製造可能である。
【0043】
【実施例】本発明方法によって、製造した鋼板の加工性
を実施例を用いて説明する。
【0044】表1に供試材の化学成分値を示した。
【0045】
【表1】
【0046】表中のA鋼,B鋼およびC鋼は、本発明の
範囲に含まれるものである。いずれの鋼も溶製後、スラ
ブの加熱温度,加熱時間,熱延終了温度を変化させて板
厚が3.0mm 〜6.0mm の熱延鋼帯とした。その後、得られ
た熱延鋼板の焼鈍温度,冷間圧延率および仕上げ焼鈍温
度を種々変化させて板厚が2.0mm の冷延焼鈍板を作製し
た。これらの製造条件を表2に示す。冷延焼鈍板を用
い、加工性の検討を行った。表2にその試験結果をあわ
せて示す。
【0047】
【表2】
【0048】加工性(局所変形能)は、バーリング加工
性で評価した。すなわち板厚2.0mmの冷延焼鈍板をφ76m
mの円板に加工し、その中央にφ14mmの穴を開けた。穴
は、クリアランス15%(板厚に対して15%のギャップ;
ポンチ径:φ14.0mm,ダイス径:φ14.3mm)で打ち抜
き、打ち抜きままでバーリング加工を行った。バーリン
グ加工は、ポンチφ27.5mm(肩部3mmR),ダイスφ34.1
mm(肩部6mmR)の組み合わせで、φ14mmの穴がポンチ径
まで広がるよう穴広げを行った。試験数は各10枚とし、
打ち抜き面の割れ発生割合で評価した。
【0049】表2に見られるように、本発明の方法No.1
〜No.8は、いずれも熱延および熱延板の焼鈍を厳密な範
囲で行っているため、冷延焼鈍板のバーリング加工割れ
率が20%以下であり、良好な局所変形能を有しているこ
とがわかる。
【0050】これに対して、本発明の製造範囲から1つ
でも外れると、比較方法のNo.9〜No.14 に示すように、
バーリング加工割れ発生率は著しく高くなる。とくに熱
延終了温度の高い比較方法No.10 の材料は、全て割れが
発生していることから、各製造工程のうち、熱延終了温
度がバーリング加工性に最も大きく影響していることが
わかる。
【0051】
【発明の効果】本発明によれば、Cr量が比較的低い耐
熱性フェライト系ステンレス鋼にあって、本来有してい
る耐熱性を損なうことなく、バーリング加工性などの局
所変形能を改善することができる。このため、とくに形
状が複雑な自動車エンジンのエキゾーストマニホールド
など、苛酷な加工を施して製造される部材への低コスト
フェライト系ステンレス鋼の適用が可能となる。したが
って、これらの部材の設計自由度が広がるとともに、経
済的にも従来と比べると優位な材料が提供され、この分
野の技術の進展に大きく貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】冷延焼鈍板のバーリング加工割れ発生率に及ぼ
すスラブの加熱温度の影響を示す。
【図2】冷延焼鈍板のバーリング加工割れ発生率に及ぼ
す熱延終了温度の影響を示す。
【図3】冷延焼鈍板のバーリング加工割れ発生率に及ぼ
す熱延板の焼鈍温度の影響を示す。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】質量%として、C :0.03%以下,Si:
    0.80%〜1.20%,Mn:0.60%〜1.50%,Cr:13.5%
    を超え〜15.5%,Nb:0.20%〜0.80%,Ti:0.1 %
    以下(無添加を含む),Cu:0.02%以上0.30%未満,
    N :0.03%以下,Al:0.05%以下(無添加を含
    む),O :0.012 %以下,さらに、上記の範囲内にあ
    り、 Cr+Mn+Si≧15.5 ・・・(1) の関係を満足するように含有し、残部がFeおよび製造
    上の不可避的な不純物からなるフェライト系ステンレス
    鋼において、熱間圧延前の加熱温度を1250℃以下とし、
    850 ℃以下の温度で熱間圧延を終了し、熱延板の焼鈍を
    980 ℃〜1080℃の温度範囲で行なった後、冷間圧延を行
    い、980 ℃〜1080℃の温度範囲で仕上げ焼鈍を行うこと
    特徴とする、バーリング加工性に優れたフェライト系ス
    テンレス鋼板の製造方法。
JP7027696A 1995-01-25 1995-01-25 バーリング加工性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法 Withdrawn JPH08199244A (ja)

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