JPH0819906B2 - 真空ポンプおよび真空排気装置 - Google Patents

真空ポンプおよび真空排気装置

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JPH0819906B2
JPH0819906B2 JP15355193A JP15355193A JPH0819906B2 JP H0819906 B2 JPH0819906 B2 JP H0819906B2 JP 15355193 A JP15355193 A JP 15355193A JP 15355193 A JP15355193 A JP 15355193A JP H0819906 B2 JPH0819906 B2 JP H0819906B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、筒状のシリンダと、
往復移動するピストンで構成した真空ポンプと、この真
空ポンプで構成した真空排気装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、真空ポンプには、種々の形式のも
のが知られている。大気圧より排気が行えるポンプとし
ては、油回転ポンプが最も一般的で、各方面に多用され
ている。然し乍ら、前記油回転ポンプは、ポンプ中の油
が真空容器側に逆拡散することが避けられないことか
ら、半導体デバイス製造装置や食品製造装置など、クリ
ーンな真空が要求される分野では、油の汚染を防止する
ための工夫が行われており、また、近来では油の汚染の
少ないルーツ型や、スクリュー型の真空ポンプが開発さ
れている。
【0003】前記ルーツ型のポンプは、一組のローター
を平行な回転軸を介して微間隔を保った状態で並列し、
かつローターと筒状ケーシング間にも微間隙を保って組
立てられる。運転は各ローターを互いに逆方向で高速回
転させるようになっており、ローターとローター間にガ
スを閉じ込め、これを排気側に容積移送する構造で、通
常5〜6段で構成されている。また、前記スクリュー型
のポンプは、一組のスクリューの歯と歯を互いに咬合せ
た状態で高速に回転させるようになっており、スクリュ
ーの歯と歯の間にガスを取込み、これを容積移送によっ
て機械的に排気する構造である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記ルーツ型やスクリ
ュー型の真空ポンプは、オイルフリーのクリーンな真空
を得る点で効果を達成しているが、未だ次のような問題
点があった。即ち、ルーツ型の真空ポンプの場合、大気
圧から10-1 Pa まで排気可能とする為に、ローターと
ローターの間及びローターとケースの間に微間隔を保っ
た単段ポンプが5段〜6段で構成されており、スクリュ
ー型の真空ポンプの場合も、1組のスクリューの歯と歯
の間に非接触の微間隔を保たせる必要があることから、
何れの真空ポンプも部品精度及び組立精度が要求される
結果、製造が難しいために、コストが高く、また、所要
の到達圧力を得るためには、段数を多くする必要がある
ため、ポンプが大型化する問題点があった。
【0005】また、前記の油回転ポンプをはじめ、ルー
ツ型やスクリュー型の真空ポンプは、取付姿勢が決めら
れており、自由な取付姿勢を選定できない問題点があ
り、運搬の際にも、この取付姿勢を守って取扱わなけれ
ばならない不便さがあった。
【0006】
【課題を解決する為の手段】この発明は前記のような問
題点に鑑みてなされたもので、クリーンな真空が得ら
れ、製造が容易で、かつ小形化が可能な真空ポンプおよ
び真空排気装置を提供することを目的としている。ま
た、取付や運搬の際の、ポンプの姿勢を自由にできる真
空ポンプを提供することも目的としている。
【0007】斯る目的を達成するこの発明の真空ポンプ
は、軸受で摺動自在に支承された往復移動軸に径の異な
るピストン部を設けて構成した多段ピストンに、前記ピ
ストン部が収容されるピストン室を形成したシリンダが
装着され、多段ピストンの往復移動によって、各ピスト
ン端面と前記ピストン室の内端面間に、夫々流体空間が
形成可能としてあると共に、前記流体空間を互いに連通
させる為の通路が多段ピストン内部に設けられ、該通路
のピストン部側壁に形成した開口部と、ピストン室の内
壁で、前記通路の連通/遮断弁が構成してあることを特
徴としているものである。
【0008】また、この発明の別の真空ポンプは、軸受
で摺動自在に支承された往復移動軸に、径の異なるピス
トン部を設けて構成した多段ピストンの、前記ピストン
部が前記往復移動軸方向で離接する2部材で構成され、
前記多段ピストンに前記ピストン部が収容されるピスト
ン室を形成したシリンダが装着され、多段ピストンの往
復移動によって、各ピストン端面と前記ピストン室の内
端面間に流体空間が形成可能としてあると共に、前記流
体空間を互いに連通させる為の通路が多段ピストン内部
に設けられ、該通路の連通/遮断弁が、前記離接する2
部材の対向部に構成してあることを特徴としている。
【0009】一方、この発明の真空排気装置は、前記の
如くの真空ポンプを複数台と、各真空ポンプを直列又は
並列に接続する為の切換路とからなることを特徴として
いる。
【0010】
【作用】この発明の真空ポンプによれば、シリンダ内
で、往復移動軸を介して多段ピストンを繰り返し往復移
動させると、多段ピストン内部に設けた通路が連通/遮
断弁を介して連通と遮断を繰り返し、各ピストン部の往
復移動方向両側に形成された流体空間内の流体(気体)
を圧縮し、或いは圧縮することなく、ピストン部を介し
て隣接する別の流体空間へと、順次移送することができ
る。
【0011】移送される流体を収容する流体空間のシー
ル部が、多段ピストンを構成したピストン部の側壁とシ
リンダの内壁の対向部および往復移動軸の側壁とシリン
ダの内壁の対向部で構成されている。
【0012】このように、軸方向に長い面状の間隙で構
成されるシール部の間隙は、軸受と摺動自在に支承され
る往復移動軸の支承構造部分で決定される。従って、ピ
ストンとシリンダーは非接触の構成が可能で、潤滑のた
めの油の必要をなくし、また、摩擦による熱の発生も小
さくできるため、油の汚染がないクリーンな真空を得る
ことができる。
【0013】軸方向に長い面状の間隙によるシール部に
は、極微小の間隙を確保するべく、ピストンおよびシリ
ンダに高い精度が要求されるが、ピストンおよびシリン
ダともに、シール部は円筒面であるので、前記従来のル
ーツ型やスクリュー型に比較して格段に工作が容易であ
る。また、1組のピストンとシリンダで、ポンプ機構を
多段に構成することが可能なので、小型の真空ポンプが
提供できる。
【0014】更に、油の使用を無くできるので、取付時
および運搬時の姿勢も自由にすることができる。
【0015】
【実施例】以下、この発明のいくつかの実施例を図を参
照して説明する。
【0016】図1および図2はこの発明の第1実施例の
真空ポンプであり、図中1が一体型の多段ピストン、2
が多段に構成されたシリンダである。多段ピストン1
は、図2に示したように、往復移動軸3の中間部に、小
径のピストン部4と筒状とした大径のピストン部5を一
体的に設けて構成されている。前記ピストン部4の上面
がピストン端面6、下面がピストン端面7を形成してい
ると共に、ピストン5の上面がピストン端面8、下面が
ピストン端面9を形成している。これらのピストン部
4、5は往復移動軸3と一体に構成されるが、往復移動
軸3にピストン部4、5を固着して一体化するなどの構
成とすることもできる。
【0017】一方、多段のシリンダ2は、内部に、前記
小径のピストン部4を収容する第1ピストン室10と大
径のピストン部5を収容する第2ピストン室11を上下
に形成したもので、中心に往復移動軸3の挿通孔12が
形成され、該挿通孔12の端部に、往復移動軸3を摺動
自在に軸支する軸受13a、13bが設置してある。
【0018】前記第1ピストン室10および第2ピスト
ン室11は、夫々、ピストン部4、5が往復移動(図中
上下に)できる距離に亘って形成してあり、ピストン部
4、5の往復移動に従って、ピストン端面6と第1ピス
トン室10のシリンダ内端面14が対向している、環状
の流体空間15およびピストン端面7と第1ピストン室
10のシリンダ内端面16が対向している、環状の流体
空間17、並びに、ピストン端面8と第2ピストン室1
1のシリンダ内端面18が対向している、環状の流体空
間19およびピストン端面9と第2ピストン室11のシ
リンダ内端面20が対向している、環状の流体空間21
が、夫々形成できるようになっている。
【0019】前記ピストン部4の内部には、通路22、
22が形成してある。通路22は、開口部23でピスト
ン部4のピストン端面6に開口していると共に、開口部
25でピストン部4の外側壁24に開口している。ま
た、前記ピストン部5の内部には二種類の通路26、2
6、27、27が形成してある。これらの通路のうち、
通路26は、開口部29でピストン部5の内側壁28に
開口していると共に、開口部30でピストン端面9に開
口している。一方通路27は、開口部31でピストン部
5のピストン端面8に開口していると共に、開口部33
でピストン部5の外側壁32に開口している。
【0020】一方、シリンダ2に形成した第1ピストン
室10の内向内壁34に凹部35が形成してある。凹部
35は、ピストン部4が最も上昇した時に、前記通路2
2の開口部25が対向する位置に、開口部25と正対す
る角度に亘って形成してあり、かつ通路22と流体空間
17が連通できる幅で形成してある。また、シリンダ2
に形成した第2ピストン室11の内向内壁36に凹部3
7が形成してある。凹部37は、ピストン部5が最も上
昇した時に、前記通路27の開口部33が対向する位置
に、開口部33と正対する角度に亘って形成してあり、
かつ、通路27と流体空間21が連通できる幅で形成し
てある。
【0021】図中、38は吸気口、39は排気口であ
る。吸気口38は、シリンダ2に形成した通路40と連
通しており、通路40の開口部41が第2ピストン室1
1の内向内壁36に開口している。開口部41は、ピス
トン部5が最も下降した時、流体空間19に開口する高
さとしてある。排気口39は、シリンダ2に形成した通
路42と連通しており、通路42の開口部43が挿通孔
12の内壁に開口している。開口部43は、ピストン部
4が最も下降した時、往復駆動軸3の側壁に形成した溝
44を介して、流体空間17と通路42が連通する位置
としてある。
【0022】前記各流体空間15、17、19、21を
形成するシリンダ内端面14、16、18、20には、
リリース弁45の受圧側が臨ませてあり、各リリース弁
45と前記排気口39に連通する通路42が、バイパス
通路46で連通させてあり、夫々の流体空間15、1
7、19、21内の圧力が、大気圧或いは予め定めた圧
力より高い圧力になった時には、リリース弁45が開い
て、流体空間が排気口39に直接連通できるようになっ
ている。
【0023】上記実施例の真空ポンプは、往復駆動軸3
を往復駆動機構(図示していない。)で矢示Aのように
往復移動させて、吸気口38側の気体を流体空間19、
21、15、17へと順次移送し、排気口39側へ排出
し、吸気口38に接続した真空容器(図示していない)
を真空排気することができる。
【0024】図3は、ピストン部4、5が、最も下降し
た状態(a) と最も上昇した状態(b)を、夫々示したもの
である。ピストン部4、5の往復移動によって生じる気
体の移送の様子を矢印によって示してある。(a) に示し
た矢印はピストン部4、5が(b) に示した状態から(a)
に示した状態に移行する行程の様子であり、(b) に示し
た矢印は逆の行程の様子である。
【0025】吸気口38を通して流体空間19に吸い込
まれた気体は、ピストン部5が最も上昇した時、通路2
7と流体空間21が凹部37で連通する結果、流体空間
21側に移送される(図(b) 参照)。
【0026】流体空間21に移送された気体は、ピスト
ン部5が最も下降した時、通路26と流体空間15が連
通する結果、流体空間15に移送される(図(a) 参
照)。
【0027】流体空間15に移送された気体は、ピスト
ン部4が最も上昇した時に、通路22と流体空間17が
凹部35で連通する結果、流体空間17側に移送される
(図(b) 参照)。
【0028】次に、流体空間17に移送された気体は、
ピストン部4が最も下降した時に、流体空間17と通路
42が溝44で連通する結果、排気口39を通して排出
される( 図(a) 参照)。
【0029】ピストン部4、5の上昇および下降の際
に、流体空間内の気体が一時的に圧縮される。圧縮され
た結果、流体空間内の圧力が所定の圧力(例えば大気
圧)を越えた時には、リリース弁45が開となって、バ
イパス通路46を通して、排気口39へ、流体空間内の
気体の一部を直接排出する。尤も、流体空間内の圧力が
圧縮によって高い圧力になるのは、真空容器が大気圧の
状態から排気を開始した直後の短時間であるので、前記
リリース弁45はポンプの運転中、常時開閉を繰り返す
ものではない。従って、リリース弁45を介設したバイ
パス通路46は、必ずしも全ての流体空間15、17、
19、21に対して設ける必要は無く、流体空間19に
対してだけ設けるなどの変更が可能である。
【0030】前記のような排気動作において、流体空間
19と21を連通させる通路が通路27で構成され、該
通路27の流通/遮断弁が、開口部33と第2ピストン
室11の内向内壁36および内向内壁36に形成した凹
部37で構成されている。流体空間21と15を連通さ
せる通路は、通路26で構成され、該通路26の流通/
遮断弁が、開口部29と第2ピストン室11の外向内壁
47で構成されている。また、流体通路15と17を連
通させる通路は、通路22で構成され、該通路の流通/
遮断弁が、開口部25と、第1ピストン室10の内向内
壁34および内向内壁34に形成した凹部35で構成さ
れている。
【0031】これらの流通/遮断弁が閉の状態では、各
流体空間のシール部が、ピストン部4の外側壁24と第
1ピストン室10の内向内壁34の面状の対向部、往復
移動軸3の外壁と挿通孔12の内壁の面状の対向部、ピ
ストン部5の内側壁28と第2ピストン室11の外向内
壁47の面状の対向部並びにピストン部5の外側壁32
と第2ピストン室11の内向内壁36の面状の対向部で
構成される。
【0032】即ち、各シール部は、軸方向に長い面状の
間隙とでき、シール用油などを介在させることなく、シ
ール機能を発揮させることができる。夫々の対向部は、
排気される気体の平均自由工程に対して、十分に短い距
離(50〜100μm )となっていれば良く、多段ピス
トン1とシリンダ2の組立も、組立治具を必要とするこ
となく、通常の組立作業で行うことができる。この結
果、製造は容易である。
【0033】前記シール部を構成する対向部は、接触状
態にすることも可能である。例えば、ピストン部4の径
をプラス側公差で製造し、シリンダ2の第1ピストン室
10の径をマイナス側公差で製造する。組立後、多段ピ
ストン1を往復移動により、ピストン部4の外側壁24
と第1ピストン室10の内向内壁34が互いに磨耗し、
対向間隙が実質的に0のシール部を得ることができる。
この場合、ピストン部4の外側壁24の硬度を第1ピス
トン室10の内向内壁34の硬度に対して小さいことが
望ましく、材質や表面処理を考慮すると良いであろう。
【0034】また、ピストン部4、5の外側壁24、3
2およびシリンダ2における外向内壁47に、夫々環状
凹入溝を形成して耐磨耗性リングを装着し、夫々のシー
ル部にシール材を介在させることもできる。耐磨耗性リ
ングを装着するだけで、軸方向に長い面状の間隙のシー
ル性能を簡単に向上させることができる。
【0035】上記実施例においては、4つの流体空間1
5、17、19、21の最大体積が、互いに等しくなる
ようにしてある。例えば、ピストン部4の直径を80m
m、ピストン部5の内側壁28の直径を80mm、外側壁
32の直径を110mmとし、往復移動のストロークを2
2.5mmとすると、夫々の流体空間の最大体積を約11
0cc、最小体積を約3.5ccとすることができる。従っ
て、この大きさで圧縮比が約30となり、理論的到達圧
力が1×10-1 Pa 、往復移動の速度を1800rpmと
して、理論的排気速度が約200 l/min の真空ポンプ
を得ることができる。
【0036】図4は、ピストン部4、5の大きさを上記
のようにした試作機の排気速度の測定結果であり、10
5 Paから10Paの範囲で約200 l/min の排気速度が
観測された。10Pa近辺から低い圧力では、排気速度の
減少が認められた。
【0037】図5は同じく試作機の吸気口38で測定し
た圧力で、8×10-2Paであった。排気口39は大気圧
(約105 Pa)とした場合であり、流体空間19がステ
ージ4、流体空間21がステージ3、流体空間15がス
テージ2、流体空間17がステージ1の圧力に相当す
る。
【0038】次に図6は、給気口38に、異なる容積の
真空容器を接続して、排気特性を測定した結果のグラフ
である。50 l程度までの真空容器は、約30分で到達
圧力である10-1Paまで排気することができた。
【0039】次に図7は、この発明の第2実施例の真空
ポンプである。構造は第1実施例と略同様である。ピス
トン部は48、49、50と3段とし、これに対応させ
て、流体空間も51、52、53、54、55、56の
6室が、ピストン部の往復移動方向の両側に形成できる
ようになっている。
【0040】この実施例では、各流体空間の最大体積を
互いに等しくすることは困難で、給気口57から排気口
58へ向う移送方向で、最大体積が段階的に小さくなっ
ている。各流体空間51、52、…56と、排気口58
の間には、夫々、リリース弁59を介設したバイパス通
路60が、シリンダ61に形成してある。
【0041】この実施例の真空ポンプも、往復移動軸6
2を介してピストン部48、49、50を往復駆動する
ことによって、吸気口57側の気体を、流体空間55、
56、53、54、51、52へと順次移送して、排気
口58へと排出することができる。
【0042】次にこの発明の第3実施例の真空ポンプを
図8を参照して説明する。この実施例は前記第1実施例
と略同様の構成であるので、同一部材に同一符号を付し
て詳細な説明は省略する。
【0043】第1実施例と異なる部分は、往復移動軸3
が、シリンダ2の両側に設置した軸受13c、13d
で、摺動かつ回転自在に軸支されている部分と、各部の
通路の連通/遮断をする為に設けた凹部35、37に代
えて、縦凹部63、64、65、66が設けられている
部分である。
【0044】即ち、縦凹部63、64が、シリンダ2の
第1ピストン室10の内向内壁34の下部および第2ピ
ストン室11の内向内壁36の下部に設けられている
(図(c) 、(d) 参照)。また、縦凹部65、66がシリ
ンダ2の第2ピストン室11の外向内壁47の下部およ
びピストン部5の外側壁32の上部に設けられている
(図(a) 、(b) 参照)。
【0045】前記縦凹部63、64並びに縦凹部65、
66は夫々、往復移動軸3から見て同一角度の方向に設
けてあるのに対して、縦凹部63と65或いは縦凹部6
4と66は異なる角度の方向に設けてある。即ち、往復
移動軸3を介してピストン部4、5を往復移動させる際
に、ピストン部4、5を回転させることによって、縦凹
部63と開口部25並びに縦凹部64と開口部33が対
向と非対向の間で変化し、通路22、27の連通/遮断
が行なわれるようになっている。同様に、縦凹部65と
ピストン部5の内側壁28に形成した開口部29並びに
縦凹部66と、吸気口38に連通する通路40の開口部
41が対向と非対向の間で変化し、通路26、40の連
通/遮断が行なわれるようになっている。一方、往復移
動軸3の、ピストン4より下方の側壁には、縦凹部69
が、前記開口部28、29、33のうち一方の開口部
(図において右側)の方向と同一方向に向けて形成して
ある。
【0046】以上のような構成によって、多段ピストン
1を図の(a) 、(b) 、(c) 、(d)のように往復移動させ
る場合、(a) 、(b) の下降工程では、通路40、26、
42が連通状態、通路27、22が遮断状態とできるの
に対し、(c) 、(d) の上昇工程では、通路27、22が
連通状態、通路40、26、42が遮断状態とすること
ができる。尚、多段ピストンを昇降に際して回転させる
が、図はシリンダ2を相対回転させて示してあるもので
ある。
【0047】この実施例の真空ポンプもピストン部4、
5の回転と往復移動を、図の(a) 、(b) 、(c) 、(d) の
ように繰り返すことによって、吸気口38から排気口3
9へ向けて、気体を流体空間19、21、15、17へ
と順次移送することができる。各工程における気体の流
れを、矢印で表わした。
【0048】この実施例の場合、ピストン部4、5の往
復移動による流体空間内の気体の圧縮動作を無くするこ
とができるので、リリース弁を介設したバイパス通路を
省くことができると共に、気体の圧縮が無いので、ピス
トン部4、5を往復移動させる駆動源の所要パワーを極
めて小さくすることが可能である。
【0049】また、水蒸気のような凝縮性のガスを排気
する場合に、排気中のガスの凝縮を避けることができ
る。
【0050】図9は、この発明の第4実施例の真空ポン
プを表わしたものである。前記第1実施例のピストン部
4、5が一体物として構成したのに代えて、ピストン部
4、5が第1部材68と第2部材69の2部材で構成し
てあり、第2部材69が往復移動軸3に沿って摺動し、
第1部材68と離接できるようにしてある。
【0051】ピストン部4、5を構成した第1部材68
および第2部材69内には、通路70、71、72、7
3、74、75、76、77、78が図示したように形
成してあり、これらの通路の連通/遮断が第1部材68
と第2部材69の離接によって行なわれるようになって
いる。79はピン、80はピン79に対する逃げであ
る。第1実施例と同一の符号は同一の構成要素である。
【0052】図10は、この実施例の動作の様子を説明
する図である。図中、(a) は矢示Aへ、(b) は矢示Bの
方向へ、夫々往復移動軸3を介してピストン部4、5を
移動させる場合を表わしている。矢示Aの方向の移動の
工程では、前記第1部材68と第2部材69が離れて、
両部材の間に通路73,74が形成されるのに対し、矢
示Bの方向の移動の工程では、第1、第2部材68、6
9は近接して、これらの通路73、74は形成されな
い。
【0053】各工程における気体の流れを矢印で表わし
た。この実施例の場合も、流体空間内の気体の移送に際
し、圧縮動作を無くすることができる。従って、リリー
ス弁を介在させたバイパス通路を不要にでき、また、駆
動源の所要パワーを小さくすることができる。排気中、
凝縮性のガスが凝縮しないようにできる点は、前記第3
実施例と同様である。
【0054】図11は、ピストン部の形状を変更した第
5実施例の概略図である。ピストン部90は凹入部分の
無い形状として、加工の容易性と、工作精度の向上が図
られるようにしたものである。ピストン部90とシリン
ダ部91の間で構成する流体通路の図示は省略してある
が、前記第1乃至第4実施例と同様の考え方で設けられ
ることは言うまでもない。
【0055】次に図12は、上記の実施例の真空ポンプ
を用いて構成した真空排気装置の図である。真空ポンプ
は、P1 、P2 で示してあり、前記第1実施例から第5
実施例の何れの真空ポンプでも良い。各真空ポンプの吸
気口38と排気口39の間に、図示したような管路81
を設置し、該管路81に弁V1 、V2 、V3 が介設して
あると共に、真空容器82との接続部83の近くに、圧
力ゲージGが設けてある。
【0056】このように構成した真空排気装置によれ
ば、弁V1 、V2 、V3 の開閉を制御することによっ
て、真空ポンプP1 、P2 は、並列接続状態と、直列接
続状態に切換えることが可能である。即ち、弁V1 、V
3 を開とし、弁V2 を閉にすると、真空ポンプP1 、P
2 は並列接続状態となり、1台の真空ポンプの排気速度
の2倍の排気速度の真空排気装置とすることができる。
一方、弁1 、V3 を閉とし、弁V2 を開とすると、真空
ポンプP1 、P2 が直列接続状態となり、到達圧力の低
い真空排気装置とすることができる。弁1 、V2 、V3
の開閉制御は、圧力ゲージGの出力に応じて、制御装置
(図示していない)で行うことも可能である。
【0057】各ポンプの往復移動軸の駆動機構は、種々
の態様が考えられる。往復移動軸を直列に配列させて、
中間に駆動源(図示していない)を設置し、真空ポンプ
1、P2 の駆動を一つの駆動源で行うこともできる。
この場合、各ポンプの往復移動を逆位相とすることによ
って、駆動による振動を低減することが可能な場合があ
る。
【0058】また、並列接続の場合に、真空ポンプP1
の吸気口38と流体空間19が連通する時期と、真空ポ
ンプP2 の吸気口38と流体空間19が連通する時期の
位相を180度ずれるようにすると、真空容器82に対
する排気の脈動を小さくすることができる。
【0059】
【発明の効果】以上に説明した通り、この発明によれ
ば、クリーンな真空が得られると共に、製造を容易にで
き、かつ小形化可能な真空ポンプおよび真空排気装置を
提供できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施例の断面図である。
【図2】同じく第1実施例の多段ピストンの斜視図であ
る。
【図3】(a) 、(b) は、同じく第1実施例の動作を説明
する図である。
【図4】同じく第1実施例の圧力と排気速度の関係を示
すグラフである。
【図5】同じく第1実施例の吸気口と排気口の圧力分布
を示すグラフである。
【図6】同じく第1実施例の排気時間と圧力の関係を示
すグラフである。
【図7】この発明の第2実施例の断面図である。
【図8】(a) 、(b) 、(c) 、(d) は、夫々、この発明の
第3実施例の断面図で、ピストン部の往復移動工程に従
って、動作を説明する図である。
【図9】この発明の第4実施例の断面図である。
【図10】(a) 、(b) は、同じく第4実施例の動作を説
明する図である。
【図11】この発明の第5実施例の概略断面図である。
【図12】この発明の真空排気装置の実施例を示す系統
図である。
【符号の説明】
1 多段ピストン 2、61 シリンダ 3、62 往復移動軸 4、5、48、49、50 ピストン部 6、7、8、9 ピストン端面 10 第1ピストン室 11 第2ピストン室 13a、13b 軸受 15、17、19、21、51、52、…56 流体空
間 14、16、18、20 内端面 22、26、27、40、42、70、71、…78
通路 23、25、29、30、31、33、41、43 開
口部 35、37 凹部 38、57 吸気口 39、58 排気口 45、59 リリース弁 46、60 バイパス通路 63、64、…66 縦凹部 68 第1部材 69 第2部材 81 管路 82 真空容器

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸受で摺動自在に支承された往復移動軸
    に径の異なるピストン部を設けて構成した多段ピストン
    に、前記ピストン部が収容されるピストン室を形成した
    シリンダが装着され、多段ピストンの往復移動によっ
    て、各ピストン端面と前記ピストン室の内端面間に、夫
    々流体空間が形成可能としてあると共に、前記流体空間
    を連通させる為の通路が多段ピストン内部に設けられ、
    該通路のピストン部側壁に形成した開口部と、ピストン
    室の内壁で、前記通路の連通/遮断弁が構成してあるこ
    とを特徴とする真空ポンプ
  2. 【請求項2】 多段ピストンの各ピストン部の、ピスト
    ン端面とピストン室の内端面間に形成される流体空間
    は、最大体積を互いに等しくした請求項1記載の真空ポ
    ンプ。
  3. 【請求項3】 多段ピストンの各ピストン部の、ピスト
    ン端面とピストン室の内端面間に形成される流体空間
    は、最大体積を、ピストン部毎に異なる体積とした請求
    項1記載の真空ポンプ。
  4. 【請求項4】 多段ピストンの各ピストン部の、ピスト
    ン端面とピストン室の内端面間に形成される流体空間の
    うち、少なくとも一つの流体空間と排出口の間に、リリ
    ース弁を介設したバイパス通路が設けてある請求項1記
    載の真空ポンプ。
  5. 【請求項5】 多段ピストンは、往復移動軸の回りで回
    転可能としてある請求項1記載の真空ポンプ。
  6. 【請求項6】 軸受で摺動自在に支承された往復移動軸
    に、径の異なるピストン部を設けて構成した多段ピスト
    ンの、前記ピストン部が前記往復移動軸方向で離接する
    2部材で構成され、前記多段ピストンに前記ピストン部
    が収容されるピストン室を形成したシリンダが装着さ
    れ、多段ピストンの往復移動によって、各ピストン端面
    と前記ピストン室の内端面間に流体空間が形成可能とし
    てあると共に、前記流体空間を互いに連通させる為の通
    路が多段ピストン内部に設けられ、該通路の連通/遮断
    弁が、前記離接する2部材の対向部に構成してあること
    を特徴とする真空ポンプ。
  7. 【請求項7】 多段ピストンの各ピストン部の、ピスト
    ン端面とピストン室の内端面間に形成される流体空間
    は、最大体積を互いに等しくした請求項6記載の真空ポ
    ンプ。
  8. 【請求項8】 請求項1記載の真空ポンプを複数台と、
    各真空ポンプを直列又は並列に接続する為の切換路とか
    らなる真空排気装置。
  9. 【請求項9】 請求項6記載の真空ポンプを複数台と、
    各真空ポンプを直列又は並列に接続する為の切換路とか
    らなる真空排気装置。
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