JPH0819284B2 - ポリオレフィン製軸受 - Google Patents

ポリオレフィン製軸受

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JPH0819284B2
JPH0819284B2 JP62319884A JP31988487A JPH0819284B2 JP H0819284 B2 JPH0819284 B2 JP H0819284B2 JP 62319884 A JP62319884 A JP 62319884A JP 31988487 A JP31988487 A JP 31988487A JP H0819284 B2 JPH0819284 B2 JP H0819284B2
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polyolefin
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high molecular
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武 白木
教治 村岡
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三井石油化学工業株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 発明の技術分野 本発明は、耐摩耗性、耐熱性ないし摺動性に優れた軸
受に係り、さらに詳しくは、たとえばビデオテープレコ
ーダー(VTR)等の小型精密機器ないし自動車その他の
一般機器に用いられるシャフトと、潤滑剤等を供給ない
し含油させることなく良好に摺動自在に保持するポリオ
レフィン製軸受に関する。
発明の技術的背景ならびにその問題点 シャフトを回転自在もしくは往復動自在(総称して
「摺動自在」という)に保持するための軸受としては、
従来では、アルミニウムないしステンレス等の金属製軸
受本体の摺動部に軟質金属等の軸受材料が被覆されたも
のが知られている。しかしながら、金属製軸受は重量が
重く、特にVTR、ビデオカメラ、オフィスオートメーシ
ョン(OA)機器等の精密機器、コンベアー、自動車、健
康器具、あるいは玩具、その他の一般機器等にこれら金
属製軸受を用いると、これらの機器全体の重量が増大
し、好ましくなかった。また、このような金属製軸受に
あっては、その製造時における切削加工工程が煩雑であ
り、製造コストが増大する虞があった。
このような金属製軸受が有する不都合を解消するた
め、最近では、このような軸受をプラスチックで成形す
るようになってきた。このような軸受を構成するプラス
チックとしては、ポリアセタール樹脂、ポリイミド樹
脂、ポリカーボネート樹脂等のエンジニアリングプラス
チックが考えられる。しかしながら、このようなポリア
セタール樹脂、ポリイミド樹脂等のエンジニアリングプ
ラスチックは、高価であって経済性に劣ると共に摺動性
の点でも不十分であるという問題点がある。そこで、実
際には、比較的安価なナイロン12ないしポリエステルラ
バー等のモリブデンコートして摺動性をある程度高めた
軸受が、VTR等の精密機器あるいはその他の機器に多用
されていた。
しかしながら、このようなポリエステルラバー等にモ
リブデンコートした軸受にあっては、耐摩耗性、耐熱性
および摺動性の点で依然として十分とは言えず、軸受の
摺動部で損耗が生じたり、摺動による摩擦熱等による温
度上昇等により、軸受とそれに摺動自在に取り付けられ
るシャフトとの摺動性が悪くなり、ノイズ発生の原因と
なる虞があった。
なお、このような不都合を解消するために、このよう
な精密機器等に用いられる軸受を、超高分子量ポリオレ
フィンで成形することも考えられる。超高分子量ポリオ
レフィン、たとえば超高分子量ポリエチレンは、汎用の
ポリオレフィン、たとえば汎用のポリエチレンに比べ
て、耐衝撃性、耐熱性、耐摩耗性、摺動性、耐薬品性、
引張強度等に優れており、各種機器における軸受として
用いることが考えられる。しかしながら、超高分子量ポ
リオレフィンは、汎用のポリエチレンと比較して溶融粘
度が極めて高く流動性が悪いため、通常の押出成形や射
出成形によって成形することは非常に難しく、そのほと
んどは圧縮成形によって成形されており、ごく一部が極
めて低速でロッド状に押出成形されているのが現状であ
る。
もしこのような溶融流動性に劣る超高分子量ポリエチ
レンを通常の射出成形法によって軸受形状に成形する
と、金型キャビティ内に樹脂が充填される過程で剪断破
壊流を生じ、得られる成形品は雲母状に層状剥離を起こ
し、超高分子量ポリエチレンの優れた特性を有する成形
品が得られないがかりか、むしろ汎用のポリエチレンで
成形した軸受にも劣るという結果になるのが常であっ
た。
発明の目的 本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであ
り、超高分子量ポリオレフィンが本来具備する優れた機
械的性質を損うことなく、かつ層状剥離を生ずることが
なく、射出成形が可能であり、さらに摺動性を高めるた
めにモリブデンコートする必要もないと共に、潤滑剤を
別途供給ないし含油させる必要もなく、比較的安価で、
特に各種一般機器等に用いられる軸受用として好適な、
耐摩耗性、耐熱性、耐衝撃性、ないし摺動性に優れ、低
ノイズの軸受を提供することを目的とする。
発明の概要 かかる目的を達成するために、本発明に係るポリオレ
フィン製軸受は、下記のようにポリオレフィン組成物
(A)を射出成形して得られる。すなわち、この軸受
は、135℃デカリン溶媒中で測定した極限粘度が10〜40d
l/gである超高分子量ポリオレフィン(a)と、135℃デ
カリン溶媒中で測定した極限粘度が0.1〜5dl/gである低
分子量ないし高分子量ポリオレフィン(b)とから実質
的になるポリオレフィン組成物であり、かつ (i)上記超高分子量ポリオレフィン(a)は、該超高
分子量ポリオレフィン(a)と上記低分子量ないし高分
子量ポリオレフィン(b)との総重量に対し、15〜40重
量%の範囲にあり、 (ii)上記ポリオレフィン組成物の135℃デカリン溶媒
中で測定した極限粘度[η]が3.5〜15dl/gの範囲に
あり、 (iii)上記ポリオレフィン組成物の溶解トルクTが4.5
Kg・cm以下の範囲にあるポリオレフィン組成物(A)を
射出成形して得られることを特徴としている。
このような本発明に係るポリオレフィン製軸受によれ
ば、超高分子量ポリオレフィンが本来具備する優れた機
械的性質を損うことなく、かつ層状剥離を生ずることな
く、ポリオレフィン組成物を射出成形することによって
簡単に得られるので、耐摩耗性、耐熱性、耐衝撃性、な
いし摺動性に優れた軸受を、比較的安価に得ることが可
能にある。しかも本発明によれば、ポリオレフィン組成
物を射出成形することによって得られたポリオレフィン
製軸受単体で十分な摺動性を有するため、摺動性を高め
るために摺動部にモリブデンコートする必要もないと共
に潤滑剤を供給ないし含油させる必要もない。さらに、
本発明に係るポリオレフィン製軸受は、耐摩耗性、耐熱
性、耐衝撃性、ないし摺動性に優れていることから、軸
受の損耗が生じ難く、しかも機器内部の温度上昇等によ
っても、軸受とそれに摺動自在に取り付けられるシャフ
トとの摺動性が悪くなったりすることがないと共に、ノ
イズも極力抑制できる。
発明の具体的説明 以下本発明を具体的に説明する。
本発明に係るポリオレフィン製軸受は、たとえば、VT
R、ビデオカメラ、オフィスオートメーション(OA)機
器等の精密機器、コンベアー、健康器具、自動車、ある
いは玩具、その他の一般機器等に好ましく用いられ、少
なくとも下記に示すポリオレフィン組成物(A)をたと
えば金型内で射出成形することによって得られる。
ポリオレフィン組成物(A) 本発明で用いられるポリオレフィン組成物(A)は、
超高分子量ポリオレフィン(a)と、低分子量ないし高
分子量ポリオレフィン(b)とからなっているが、以下
に超高分子量ポリオレフィン(a)と、低分子量ないし
高分子量ポリオレフィン(b)について説明する。
本発明で用いられる超高分子量ポリオレフィン(a)
の135℃デカリン溶媒中で測定した極限粘度[η]
は、10〜40dl/g、好ましくは15〜35dl/gの範囲にあ
る。この極限粘度[η]が10dl/g未満であると、射出
成形品としての軸受の機械的性質が劣る傾向にあるため
好ましくなく、一方40dl/gを超えると、射出成形品とし
ての軸受の外観が悪くなり、フローマークが発生し、か
つ層状剥離を生じるため好ましくない。
本発明で用いられる低分子量ないし高分子量ポリオレ
フィンの135℃デカリン溶媒中で測定した極限粘度
[η]は、0.1〜5dl/g、好ましくは0.5〜3dl/gの範囲
にある。この極限粘度[η]が0.1dl/g未満である
と、分子量が低すぎて射出成形品としての軸受の表面に
ブリードする虞があるため好ましくなく、一方5dl/gを
超えると、溶融流動性が下がるため、汎用のポリエチレ
ン射出成形機をそのまま使用することは困難であるため
好ましくない。
上記のような超高分子量ポリオレフィンおよび低分子
量ないし高分子量ポリオレフィンは、たとえばエチレ
ン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、
1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、4-メチル‐1-ペン
テン、3-メチル‐1-ペンテンなどのα‐オレフィンの単
独重合体または共重合体からなる。このうち、エチレン
の単独重合体、またはエチレンと他のα‐オレフィンと
からなり、エチレンを主成分としてなる共重合体が望ま
しい。
本発明に係る軸受を構成するポリオレフィン組成物
(A)においては、上記超高分子量ポリオレフィンと、
低分子量ないし高分子量ポリオレフィンとは、上記高分
子量ポリオレフィンが両ポリオレフィン(a)(b)の
総重量に対し、15〜40重量%を占めるような割合で存在
しており、換言すれば、上記低分子量ないし高分子量ポ
リオレフィンが両ポリオレフィン(a)(b)の総重量
に対し、85〜60重量%を占めるような割合で存在してい
る。上記のような超高分子量ポリオレフィンは、両ポリ
オレフィン(a)(b)の総重量に対し、20〜35重量%
を占めるような割合で存在していることが好ましい。超
高分子量ポリオレフィンの量が15重量%未満であると、
得られる射出成形品としての軸受の機械的性質が劣る傾
向にあるため好ましくなく、一方40重量%を超えると、
得られる射出成形品としての軸受に層状剥離が発生し、
結果として機械的性質が良好な成形品が得られないため
好ましくない。
本発明で用いられるポリオレフィン組成物(A)は、
上記のような量的割合で存在する超高分子量ポリオレフ
ィンと、低分子量ないし高分子量ポリオレフィンとから
実質的になる。しかして、本発明で用いられるポリオレ
フィン組成物(A)は、135℃デカリン溶媒中で測定し
た極限粘度[η]が3.5〜15dl/gの範囲にあり、溶融
トルクT(Kg・cm)が4.5Kg・cm以下にある。なお、こ
こで溶融トルクTは、JSRキュラストメーター(今中機
械工業KK製)を用いて、温度240℃、圧力5Kg/cm2、振幅
3°振動数6CPMの条件で測定した値である。
上記の[η]が3.5dl/g未満であると、得られる射
出成形品としての軸受の機械的強度、とくに耐摩耗性が
劣る虞があるため好ましくなく、一方[η]が15dl/g
を超えると、得られる射出成形品としての軸受に層状剥
離は発生し、結果として耐摩耗性等の機械的強度が低下
するため好ましくない。
また溶融トルクTが4.5Kg・cmを超えると、成形時に
通常のスクリューに喰い込まず、汎用の射出成形機では
射出成形不能であるため好ましくない。
本発明で用いられるポリオレフィン組成物(A)は、
好ましくは[η]が4.0〜10dl/gの範囲にある。
本発明で用いられるポリオレフィン組成物(A)は、
超高分子量ポリオレフィンと低分子量ないし高分子量ポ
リオレフィンとを上記のような割合で配合して調製する
こともできるが、本発明者らの検討によれば、特定の高
活性固体状チタン触媒成分および有機アルミニウム化合
物触媒成分から形成される触媒の存在下に、オレフィン
を多段階で重合せしめる下記のような多段階重合法によ
り得られるポリオレフィン組成物(A)が優れた特性を
有していることが分った。
このような多段階重合法は、マグネシウム、チタンお
よびハロゲンを必須成分とする高活性チタン触媒成分
(イ)と、有機アルミニウム化合物触媒成分(ロ)とか
ら形成されるチーグラー型触媒の存在下に、オレフィン
を多段階重合させることにより実施される。すなわち、
少なくとも1つの重合工程において極限粘度10〜40dl/g
の超高分子量ポリオレフィンを生成させ、その他の重合
工程において水素の存在下にオレフィンを重合させて極
限粘度が0.1〜5dl/gの低分子量ないし高分子量ポリオレ
フィンを生成させる。
使用される特定のチーグラー型触媒は、基本的には、
固体状チタン触媒成分と有機アルミニウム化合物触媒成
分とから形成される特定の性状の触媒である。該固体状
チタン触媒成分としては、たとえば粒度分布が狭く、平
均粒径が0.01〜5μm程度であって、微小球体が数個固
着したような高活性微粉末状触媒成分を用いるのが好適
である。かかる性状を有する高活性微粉末状チタン触媒
成分は、たとえば特開昭56−811号公報に開示された固
体状チタン触媒成分において、液状状態のマグネシウム
化合物と液状状態のチタン化合物とを接触させて固体生
成物を析出させる際に、析出条件を厳密に調整すること
によって製造することができる。具体的には、特開昭56
−811号公報に開示された方法において、塩化マグネシ
ウムと高級アルコールとを溶解した炭化水素溶液と、四
塩化チタンとを低温で混合し、次いで50〜100℃程度に
昇温して固体生成物を析出させる際に、塩化マグネシウ
ム1モルに対し、0.01〜0.2モル程度の微量のモノカル
ボン酸エステルを共存させるとともに強力な攪拌条件下
に該析出を行なうことにより、高活性微粉末状チタン触
媒成分を調製することができる。さらに必要ならば四塩
化チタンで洗浄してもよい。
このようにすると、優れた活性および粒子状態を有す
る固体触媒成分を得ることができる。かかる触媒成分
は、たとえばチタンを約1〜約6重量%程度含有し、ハ
ロゲン/チタン(原子比)は約5〜約90、マグネシウム
/チタン(原子比)は約4〜約50の範囲にある。
また、上記のようにして調製した該固体状チタン触媒
成分のスラリーを高速で剪断処理することにより得られ
る、粒度分布が狭く、しかも平均粒径が0.01〜5μm、
好ましくは0.05〜3μmの範囲にある微小球体も、高活
性微粉末状チタン触媒成分として好適に用いられる。高
速剪断処理の方法としては、具体的には、たとえば不活
性ガス雰囲気中で固体状チタン触媒成分のスラリーを市
販のホモミキサーにより適宜時間処理する方法が採用さ
れる。その際触媒性能の低下防止を目的として、予めチ
タンと当モル量の有機アルミニウム化合物とを添加して
おく方法を採用することもできる。さらに、処理後のス
ラリーを篩いで濾過し、粗粒を除去する方法を採用する
こともできる。これらの方法によって、前記微小粒径の
高活性微粉末状チタン触媒成分が得られる。
本発明で用いられるポリオレフィン組成物(A)は、
上記のような高活性微粉末状チタン触媒成分(イ)と有
機アルミニウム化合物触媒成分(ロ)とを用い、必要に
応じ電子供与体を併用して、ペンタン、ヘキサン、ヘプ
タン、灯油などの炭化水素媒体中で、通常、0〜100℃
の範囲の温度条件下、少なくとも2段以上の多段階重合
工程でオレフィンをスラリー重合することによって製造
することができる。
有機アルミニウム化合物触媒成分(ロ)としては、た
とえばトリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミ
ニウムのようなトリアルキルアルミニウム、ジエチルア
ルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリ
ドのようなジアルミニウムクロリド、エチルアルミニウ
ムセスキクロリドのようなアルキルアルミニウムセスキ
クロリド、あるいはこれらの混合物が好適に用いられ
る。
該オレフィンの多段重合工程には、少なくとも2個以
上の重合槽が通常は直列に連結された多段階重合装置が
採用され、たとえば2段重合法、3段重合法、…n段重
合法が実施される。また、1個の重合槽で回分式重合法
により多段階重合法を実施することも可能である。該多
段階重合工程のうちの少なくとも1個の重合槽において
は、特定量の超高分子量ポリオレフィンを生成させるこ
とが必要である。該超高分子量ポリオレフィンを生成さ
せる重合工程は、第1段重合工程であってもよいし、中
間の重合工程であってもよいし、また2段以上の複数段
であっても差しつかえない。第1段重合工程において超
高分子量ポリオレフィンを生成させることが、重合処理
操作を容易にさせ、しかも得られるポリオレフィン組成
物(A)の物性を容易に制御しうるため好ましい。該重
合工程においては、本発明で用いられるポリオレフィン
組成物(A)中の15〜40重量%が、極限粘度[η]
(デカリン溶媒中で135℃で測定した値)が10〜40dl/
gである超高分子量ポリオレフィンで占められるように
することが必要であり、さらには本発明で用いられるポ
リオレフィン組成物(A)中の18〜37重量%、とくに21
〜35重量%が、極限粘度[η]が15〜35dl/g、とくに
18〜30dl/gである超高分子量ポリオレフィンで占められ
るようにすることが好ましい。この重合工程において、
生成する超高分子量ポリオレフィンの極限粘度[η]
が10dl/g未満であっても、また該重合工程で生成する超
高分子量ポリオレフィンが15〜40重量%の範囲を外れて
も、射出成形可能なポリオレフィン組成物(A)を得る
ことは難しい。
該多段階重合工程において、超高分子量ポリオレフィ
ンを生成させる重合工程では、前記高活性チタン触媒成
分(イ)および前記有機アルミニウム化合物触媒成分
(ロ)からなる触媒の存在下に重合が実施される。重合
は気相重合法で実施することもできるし、液相重合法で
実施することもできる。いずれの場合にも、超高分子量
ポリオレフィンを生成させる重合工程では、重合反応は
必要に応じて不活性媒体の存在下に実施される。たとえ
ば気相重合法では必要に応じて不活性媒体からなる希釈
剤の存在下に実施され、液相重合法では必要に応じて不
活性媒体からなる溶媒の存在下に実施される。
該超高分子量ポリオレフィンを生成させる重合工程で
は、触媒として高活性チタン触媒成分(イ)をたとえば
媒体1当りのチタン原子として約0.001〜約20ミリグ
ラム原子、好ましくは約0.005〜約10ミリグラム原子、
有機アルミニウム化合物触媒成分(ロ)を、Al/Ti(原
子比)が約0.1〜約1000、とくに約1〜約500となるよう
な割合で使用するのがよい。前記超高分子量ポリオレフ
ィンを生成させる重合工程の温度は、通常、約−20〜約
120℃、好ましくは約0〜約100℃、とくに好ましくは約
5〜約95℃の範囲である。また、重合反応の際の圧力
は、前記温度で液相重合または気相重合が可能な圧力範
囲であり、たとえば大気圧〜約100Kg/cm2、好ましくは
大気圧〜約50Kg/cm2の範囲である。また、重合工程にお
ける重合時間は、前重合ポリオレフィンの生成量が該高
活性チタン触媒成分中のチタン1ミリグラム原子当たり
約1000g以上、好ましくは約2000g以上となるように設定
すればよい。また、該重合工程において、前記超高分子
量ポリオレフィンを生成させるためには、該重合反応を
水素の不存在下に実施するのが好ましい。さらには、該
重合反応を実施後、重合体を不活性媒体雰囲気下で一旦
単離し、保存しておくことも可能である。
該超高分子量ポリオレフィンを生成させる重合工程に
おいて使用することのできる不活性媒体としては、たと
えばプロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタ
ン、オクタン、デカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シ
クロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環族炭化水素;
ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;
ジクロルエタン、メチレンクロリド、クロルベンゼンな
どのハロゲン化炭化水素;あるいはこれらの混合物など
を挙げることができる。とくに脂肪族炭化水素の使用が
望ましい。
また、本発明で用いられるポリオレフィン組成物
(A)を製造する際には、前記超高分子量ポリオレフィ
ンを生成させる重合工程以外の他の重合工程すなわち低
分子量ないし高分子量ポリオレフィンを得るための重合
工程においては、水素の存在下に残余のオレフィンの重
合反応が実施される。超高分子量ポリオレフィンを生成
させる重合工程が第1段階重合工程であれば、第2段階
以降の重合工程が当該重合工程に該当する。当該重合工
程が超高分子量ポリオレフィン生成重合工程の後に位置
している場合には、当該重合工程には該超高分子量ポリ
オレフィンを含むポリオレフィンが供給され、当該重合
工程が超高分子量ポリオレフィン生成重合工程以外の重
合工程の後に位置する場合には、前段階で生成した低分
子量ないし高分子量ポリオレフィンが供給され、いずれ
の場合にも連続して重合が実施される。その際、当該重
合工程には、通常、原料オレフィンおよび水素が供給さ
れる。当該重合工程が第1段階の重合工程である場合に
は、前記高活性チタン触媒成分(イ)および有機アルミ
ニウム化合物触媒成分(ロ)からなる触媒が供給され、
当該重合工程が第2段階以降の重合工程である場合に
は、前段階で生成した重合生成液中に含まれている触媒
をそのまま使用することもできるし、必要に応じて前記
高活性チタン触媒成分(イ)および/または有機アルミ
ニウム化合物(ロ)を追加補充しても差しつかえない。
このようにして得られる低分子量ないし高分子量ポリ
オレフィンは、全重合工程で重合される全オレフィン成
分に対して5〜70重量%、好ましくは20〜60重量%、と
くに好ましくは25〜55重量%の範囲で存在している。
前記超高分子量ポリオレフィン生成重合工程以外の重
合工程における水素の供給割合は、当該各重合工程に供
給されるオレフィン1モルに対して、通常、0.01〜50モ
ル、好ましくは0.05〜30モルの範囲である。
前記超高分子量ポリオレフィン生成重合工程以外の重
合工程における重合槽内の重合生成液中の各触媒成分の
濃度は、重合容積1当り、前記処理した触媒をチタン
原子に換算して約0.001〜約0.1ミリグラム原子、好まし
くは約0.005〜約0.1ミリグラム原子とし、重合系のAl/T
i(原子比)が約1〜約1000、好ましくは約2〜約500と
なるように調製されることが好ましい。そのために必要
に応じ、有機アルミニウム化合物触媒成分(ロ)を追加
使用することができる。重合系には、他に分子量、分子
量分布等を調節する目的で水素・電子供与体、ハロゲン
化炭化水素などを共存させてもよい。
重合温度はスラリー重合、気相重合が可能な温度範囲
で、かつ約40℃以上、より好ましくは約50〜約100℃の
範囲が好ましい。また、重合圧力は、たとえば大気圧〜
約100Kg/cm2、とくには大気圧〜約50Kg/cm2の範囲が好
ましい。そして重合体の生成量が、チタン触媒成分中の
チタン1ミリグラム原子当り約1000g以上、とくに好ま
しくは約5000g以上となるような重合時間を設定するの
がよい。
超高分子量ポリオレフィンを生成させるための重合工
程以外の重合工程は、同様に気相重合法で実施すること
もできるし、液相重合法で実施することもできる。もち
ろん各重合工程で異なる重合方法を採用することも可能
である。液相重合法のうちではスラリー懸濁重合法が好
適に採用される。いずれの場合にも、該重合工程では重
合反応は通常は不活性媒体の存在下に実施される。たと
えば気相重合法では不活性媒体希釈剤の存在下に実施さ
れ、液相スラリー懸濁重合法では不活性媒体溶媒の存在
下に実施される。不活性媒体としては前記超高分子量ポ
リオレフィンを生成させる重合工程において例示した不
活性媒体と同じものを例示することができる。
最終段階の重合工程で得られるポリオレフィン組成物
の極限粘度[η]が、通常、3.5〜15dl/g、好ましく
は4.0〜10dl/g、溶融トルクが4.5Kg・cm以下となるよう
に重合反応が実施される。
前記多段階重合法は、回分式、半連続式または連続式
のいずれかの方法でも実施することができる。
前記多段階重合方法が適用できるオレフィンとして
は、前述のようにエチレン、プロピレン、1-ブテン、1-
ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデ
セン、4-メチル‐1-ペンテン、3-メチル‐1-ペンテンな
どのα‐オレフィンを例示することができ、これらのα
‐オレフィンの単独重合体の製法に適用することもでき
るし、二種以上の混合成分からなる共重合体の製法に適
用することもできる。これらのα‐オレフィンのうちで
は、エチレンまたはエチレンと他のα‐オレフィンとの
共重合体であって、エチレン成分を主成分とするエチレ
ン系重合体の製法に前記多段階重合方法を適用するのが
好ましい。
摺動性充填剤(B) 本発明に係るポリオレフィン製軸受を製造するのに好
適なポリオレフィン組成物は、上記のような超高分子量
ポリオレフィン(a)と低分子量ないし高分子量ポリオ
レフィン(b)とに加えて、摺動性充填剤(B)を含ん
でも良い。
摺動性充填剤(B)としては、従来摺動性充填剤とし
て公知のものが特に限定されることなく用いられるが、
具体的には以下のような化合物が用いられる。
グラファイト粉末、ポリテトラフルオロエチレン樹脂
(PTFE)、四フッ化エチレン‐六フッ化プロピレン共重
合体樹脂(FEP)、四フッ化エチレン‐パーフルオロア
ルコキシエチレン共重合体樹脂(PFA)、三フッ化塩化
エチレン樹脂(PCTFE)、四フッ化エチレン‐エチレン
共重合体樹脂(ETFE)、フッ化ビニリデン樹脂などのフ
ッ素樹脂粉末、フッ化モリブデン粉末、硫化モリブデン
粉末、酸化チタン粉末、ポリフェニレンサルファイド樹
脂粉末など。
これらの摺動性充填剤(B)は、粉末状で用いられる
ことが好ましく、その粒子径は0.01〜500μm好ましく
は0.05〜100μmであることが望ましい。
本発明に係る軸受を構成するポリオレフィン組成物で
は、上記のような摺動性充填剤(B)は、超高分子量ポ
リオレフィン(a)と低分子量ないし高分子量ポリオレ
フィン(b)との合計100重量部に対して1〜70重量
部、好ましくは3〜50重量部さらに好ましくは5〜30重
量部の量で用いられるのが良い。
繊維状充填剤(C) 本発明に係るポリオレフィン製軸受を構成するポリオ
レフィン組成物は、前記超高分子量ポリオレフィン
(a)と低分子量ないし高分子量ポリオレフィン(b)
とに加えて、繊維状充填剤(C)を含んでも良い。
繊維状充填剤(C)としては、従来繊維状充填剤とし
て公知のものが特に限定されることなく用いられるが、
具体的には以下のようなものが用いられる。
ガラス繊維、カーボン繊維、ボロン繊維、チタン酸カ
リウイスカー、金属繊維たとえばアルミニウム繊維、ス
テンレス鋼繊維など。
石綿、アラミド繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド
繊維など。
これらの繊維状充填剤(B)は、その繊維径が1〜30
μm好ましくは5〜20μmであり、繊維長が1000〜1000
0μm好ましくは3000〜6000μmであり、アスペクト比
は33〜10000好ましくは150〜1200であることが望まし
い。
本発明に係る軸受を構成するポリオレフィン組成物で
は、上記のような繊維状充填剤(C)は、超高分子量ポ
リオレフィン(a)と低分子量ないし高分子量ポリオレ
フィン(b)との合計100重量部に対して1〜70重量
部、好ましくは3〜50重量部さらに好ましくは5〜30重
量部の量で用いられる。
フェノール系安定剤(D) 本発明に係るポリオレフィン製軸受を構成するポリオ
レフィン組成物は、前記超高分子量ポリオレフィン
(a)と低分子量ないし高分子量ポリオレフィン(b)
とに加えて、フェノール系安定剤(D)を含んでも良
い。
フェノール系化合物としては、従来公知のものが特に
限定されることなく用いられるが、具体的には以下のよ
うな化合物が用いられる。
2,6-ジ‐t-ブチル‐4-メチルフェノール、 2,6-ジ‐シクロヘキシル‐4-メチルフェノール、 2,6-ジイソプロピル‐4-エチルフェノール、 2,6-ジ‐t-アミル‐4-メチルフェノール、 2,6-ジ‐t-オクチル‐4-n-プロピルフェノール 2,6-ジシクロヘキシル‐4−n-オクチルフェノール、 2-イソプロピル‐4-メチル‐6-t-ブチルフェノール、 2-t-ブチル‐2-エチル‐6-t-オクチルフェノール、 2-イソブチル‐4-エチル‐6-t-ヘキシルフェノール、 2-シクロヘキシル‐4-n-ブチル‐6-イソプロピルフェ
ノール、 テトラキス[メチレン(3,5-ジ‐t-ブチル‐4-ヒドロ
キシ)ヒドロキシンナメート]メタンなど。
またフェノール系安定剤として、フェノール核を2個
以上有するフェノール系化合物を用いることもできる。
このようなフェノール核を2個以上有するフェノール系
化合物としては、具体的には、以下のような化合物が用
いられる。
2,2′‐メチレンビス(4-メチル‐6-t-ブチルフェノ
ール) 4,4′‐ブチリデンビス(3-メチル‐6-t-ブチルフェ
ノール) 4,4′‐チオビス(3-メチル‐6-t-ブチルフェノー
ル) 2,2′‐チオビス(4-メチル‐6-t-ブチルフェノー
ル) 1,3,5-トリメチル‐2,4,6-トリス(3,5-ジ‐t-ブチル
‐4-ヒドロキシフェニル)ベンジルベンゼン、 1,3,5-トリス(2-メチル‐4-ヒドロキシ‐5-t-ブチル
フェノール)メタン、 テトラキス[メチレン(3,5-ジ‐tert-ブチル‐4-ヒ
ドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、 β‐(3,5-ジ‐tert-ブチル‐4-ヒドロキシフェニ
ル)プロピオン酸アルキルエステル、 2,2′‐オキザミドビス[エチル‐3-(3,5-ジ‐tert-
ブチル‐4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート] などが例示できる。β‐(3,5-ジ‐tert-ブチル‐4-ヒ
ドロキシフェニル)プロピオン酸アルキルエステルとし
てはとくに炭素数18以下のアルキルエステルが好まし
い。また、テトラキス[メチレン(2,4-ジ‐t-ブチル‐
4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、n-オ
クタデシル‐3-(4′‐ヒドロキシ‐3,5-ジ‐t-ブチル
フェニル)プロピオネート、2,6-ジ‐t-ブチル‐p-クレ
ゾール、2,4,6-トリス(3′,5′‐ジ‐t-ブチル‐4′
‐ヒドロキシベンジルチオノ‐1,3,5-トリアジン、2,
2′‐メチレンビス(4-メチル‐6-t-ブチルフェノー
ル)、4,4′‐メチレンビス(2,6-ジ‐t-ブチルフェノ
ール)、2,2′‐メチレンビス[6-(1-メチルシクロヘ
キシル)p-クレゾール]、ビス[3,5-ビス(4-ヒドロキ
シ‐3-t-ブチルフェニル)ブチリックアシド]グリコー
ルエステル、4,4′‐ブチリデンビス(6-t-ブチル‐m-
クレゾール)、1,1,3-トリス(2-メチル‐4-ヒドロキシ
‐5-t-ブチルフェニル)ブタン、1,3,5-トリス(2,6-ジ
メチル‐3-ヒドロキシ‐4-t-ブチルベンジル)イソシア
ヌレート、1,3,5-トリス(3,5-ジ‐t-ブチル‐4-ヒドロ
キシベンジル)‐2,4,6-トリメチルベンゼン、1,3,5-ト
リス(3,5-ジ‐t-ブチル‐4-ヒドロキシベンジル)イソ
シアヌート、1,3,5-トリス[(3,5-ジ‐t-ブチル‐4-ヒ
ドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシ
アヌレート、2-オクチルチオ‐4,6-ジ(4-ヒドロキシ‐
3,5-ジ‐t-ブチル)フェノキシ‐1,3,5-トリアジン、4,
4′‐チオビス(6-t-ブチル‐m-クレゾール)などが用
いられる。
これらのフェノール系安定剤は、単独であるいは組合
せて用いられる。
本発明に係る軸受を構成するポリオレフィン組成物で
は、上記のようなフェノール系安定剤(B)は、超高分
子量ポリオレフィン(a)と低分子量ないし高分子量ポ
リオレフィン(b)との合計100重量部に対して0.005〜
5重量部、好ましくは0.01〜0.5重量部さらに好ましく
は0.05〜0.2重量部の量で用いられる。
有機フォスファイト系安定剤(E) 本発明に係るポリオレフィン製軸受を構成するポリオ
レフィン組成物は、前記超高分子量ポリオレフィン
(a)と低分子量ないし高分子量ポリオレフィン(b)
とに加えて、有機フォスファイト系安定剤(C)を含ん
でも良い。
有機フォスファイト系安定剤としては、従来公知のも
のが特に限定されることなく用いられるが、具体的には
以下のような化合物が用いられる。
トリオクチルホスファイト、トリラウリルホスファイ
ト、トリデシルホスファイト、オクチル‐ジフェニルホ
スファイト、トリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)ホ
スファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(プト
キシエチル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)
ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホ
スファイト、テトラ(トリデシル)‐1,1,3-トルス(2-
メチル‐5-tert-ブチル‐4-ヒドロキシフェニル)ブタ
ンジホスファイト、テトラ(C12〜C15混合アルキル)‐
4,4′‐イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、
テトラ(トリデシル)‐4,4′‐ブチルデンビス‐(3-
メチル‐6-tert-ブチルフェノール)ジホスファイト、
トリス(3,5-ジ‐tert-ブチル‐4-ヒドロキシフェニ
ル)ホスファイト、トリス(モノ・ジ混合ノニルフェニ
ル)ホスファイト、水素化‐4,4′‐イソプロピリデン
ジフェノールポリホスファイト、ビス(オクチルフェニ
ル)・ビス[4,4′‐ブチリデンビス(3-メチル‐6-ter
t-ブチルフェノール)]・1,6-ヘキサンオールジホスフ
ァイト、フェニル・4,4′‐イソプロピリデンジフェノ
ール・ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,
4-ジ‐tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジ
ホスファイト、ビス(2,6-ジ‐tert-ブチル‐4-メチル
フェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリ
ス[4,4′‐イソプロピリデンピス(2-tert-ブチルフェ
ノール)]、ホスファイト、フェニル・ジイソデシルホ
スファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトー
ルジホスファイト、トリス(1,3-ジ‐ステアロイルオキ
シイソプロピル)ホスファイト、4,4′‐イソプロピリ
デンビス(2-tert-ブチルフェノール)・ジ(ノニルフ
ェニル)ホスファイト、9,10-ジ‐ヒドロ‐9-オキサ‐9
-オキサ‐10-ホスファフェナンスレン‐10-オキサイ
ド、テトラキス(2,4-ジ‐tert-ブチルフェニル)‐4,
4′‐ビフェニレンジホスファイトなどが挙げられる。
またビス(ジアルキルフェニル)ペンタエリスリトー
ルジホスファイトエステルは、下記の式(1)で示され
るスピロ型ないし式(2)で示されるケージ形のものも
使用される。通常はこのようなホスファイトエステルを
製造する方法から生じる経済的理由のために両異性体の
混合物が最も多く使用される。
ここで、R1、R2は炭素原子数1〜9のアルキル基とく
に分枝のあるアルキル基なかでもtert-ブチル基が好ま
しく、またフェニル基におけるその置換位置は2,4位が
最も好ましい。好適なホスファイトエステルはビス(2,
4-ジ‐tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジ
ホスファイトである。
これらの有機フォスファイト系安定剤は、単独である
いは組合せて用いられる。
本発明に係る軸受を構成するポリオレフィン組成物で
は、上記のような有機フォスファイト系安定剤(C)
は、超高分子量ポリオレフィン(a)と低分子量ないし
高分子量ポリオレフィン(b)との合計100重量部に対
して0.005〜5重量部、好ましくは0.01〜0.5重量部さら
に好ましくは0.05〜0.2重量部の量で用いられる。
有機チオエーテル系安定剤(F) 本発明に係るポリオレフィン製軸受を構成するポリオ
レフィン組成物は、前記超高分子量ポリオレフィン
(a)と低分子量ないし高分子量ポリオレフィン(b)
とに加えて、有機チオエーテル系安定剤(F)を含んで
も良い。
有機チオエーテル系安定剤としては、従来公知のもの
が特に制限されることなく用いられるが、具体的には、
以下のような化合物が用いられる。
ジラウリルー、ジミリスチルー、ジステアリルーなど
のジアルキルチオジプロピオネート及びブチルー、オク
チルー、ラウリルー、ステアリルーなどのアルキルチオ
プロピオン酸の多価アルコール(例えばグリセリン、ト
リメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタ
エリスリトール、トリスヒドロキシエチルイソシアヌレ
ート)のエステル(例えばペンタエリスリトールテトラ
ラウリルチオプロピオネート)が挙げられる。さらに具
体的には、ジラウリルチオジプロピオネート、ジミリス
チルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピ
オネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、
ジステアリルチオジブチレートなど。
これらの有機チオエーテル系安定剤は、単独であるい
は組合せて用いられる。
本発明に係る軸受を構成するポリオレフィン組成物で
は、上記のような有機チオエーテル系安定剤(F)は、
超高分子量ポリオレフィン(b)と低分子量ないし高分
子量ポリオレフィン(b)との合計100重量部に対して
0.005〜5重量部、好ましくは0.01〜0.5重量部さらに好
ましくは0.05〜0.2重量部の量で用いられる。
本発明に係る軸受を構成するポリオレフィン組成物
に、前述の超高分子量ポリオレフィン(a)と低分子量
ないし高分子量ポリオレフィン(b)とに加えて、フェ
ノール系安定剤(D)、有機フォスファイト系安定剤
(E)有機チオエーテル系安定剤(F)、もしくはこれ
らのうちの複数を含ませれば、射出成形時の熱安定性お
よび長期耐熱安定性が向上するが、さらに後述する高級
脂肪酸の金属塩(G)を安定剤として加えると、さらに
射出成形時の熱安定性および長期耐熱安定性に優れたポ
リオレフィン製軸受が得られる。
高級脂肪酸の金属塩(G) 本発明に係る軸受を構成するポリオレフィン組成物
は、前記超高分子量ポリオレフィン(a)と低分子量な
いし高分子量ポリオレフィン(b)とに加えて、高級脂
肪酸の金属塩(G)を含んでいる。
高級脂肪酸の金属塩としては、ステアリン酸、オレイ
ン酸、ラウリン酸、カプリン酸、アラキジン酸、パルミ
チン酸、ベヘニン酸などの高級脂肪酸のマグネシウム
塩、カルシウム塩、バリウム塩などのアルカリ上類金属
塩、カドミウム塩、亜鉛塩、鉛塩、ナトリウム塩、カリ
ウム塩、リチュウム塩などのアルカリ金属塩などが用い
られる。具体的には、以下のような化合物が用いられ
る。
ステアリン酸マグネシウム、ラウリン酸マグネシウ
ム、パルミチン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウ
ム、オレイン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ス
テアリン酸バリウム、オレイン酸バリウム、ラウリン酸
バリウム、アラキジン酸バリウム、ベヘニン酸バリウ
ム、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、ラウリン酸亜
鉛、ステアリン酸リチュウム、ステアリン酸ナトリウ
ム、パルミチン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、
ステアリン酸カリウム、ラウリン酸カリウム、12-ヒド
ロキシステアリン酸カルシウムなど。
これらの高級脂肪酸の金属塩は、単独であるいは組合
せて用いられる。
本発明に係る軸受を構成するポリオレフィン組成物で
は、上記のような高級脂肪酸の金属塩(E)は、超高分
子量ポリオレフィン(a)と低分子量ないし高分子量ポ
リオレフィン(b)との合計100重量部に対して0.005〜
5重量部、好ましくは0.01〜0.5重量部さらに好ましく
は0.05〜0.2重量部の量で用いられる。
なお、本発明では、軸受を構成するポリオレフィン組
成物には、上記の成分に加えてたとえば耐熱安定剤、耐
候安定剤、顔料、染料、滑剤、難燃剤、中性子遮蔽剤
等、通常、ポリオレフィンに添加混合される配合剤を本
発明の目的を損わない範囲で添加することができる。
発明の効果 以上説明してきたように、このような本発明に係るポ
リオレフィン製軸受によれば、超高分子量ポリオレフィ
ンが本来具備する優れた機械的性質を損うことなく、か
つ層状剥離を生ずることなく、ポリオレフィン組成物を
射出成形することによって簡単に得られるので、耐摩耗
性、耐熱性、耐衝撃性、ないし摺動性に優れた軸受を、
比較的安価に得ることが可能になる。しかも本発明によ
れば、ポリオレフィン組成物を射出成形することによっ
て得られたポリオレフィン製軸受単体で十分な摺動性を
有するため、摺動性を高めるために、モリブデンコート
等する必要もないと共に、潤滑剤を別途供給ないし含油
させる必要もない。さらに、本発明に係るポリオレフィ
ン製軸受は、耐摩耗性、耐熱性、耐衝撃性、ないし摺動
性に優れていることから、軸受における摺動部での損耗
が生じ難く、しかも機器内部の温度上昇等によっても軸
受とそれに摺動自在に取り付けられるシャフトとの摺動
性が悪くなったりすることがないと共に、ノイズも極力
抑制できる。したがって、このような軸受をVTR等の各
種精密機器もしくはその他の一般機器に用いた場合に
は、これらの機器の軽量化、低コスト化、低ノイズ化を
図ることが可能になる。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】135℃デカリン溶媒中で測定した極限粘度
    が10〜40dl/gである超高分子量ポリオレフィン(a)
    と、135℃デカリン溶媒中で測定した極限粘度が0.1〜5d
    l/gである低分子量ないし高分子量ポリオレフィン
    (b)とから実質的になるポリオレフィン組成物であ
    り、 (i)上記超高分子量ポリオレフィン(a)は、該超高
    分子量ポリオレフィン(a)と上記低分子量ないし高分
    子量ポリオレフィン(b)との総重量に対し、15〜40重
    量%の範囲にあり、 (ii)上記ポリオレフィン組成物の135℃デカリン溶媒
    中で測定した極限粘度[η]が3.5〜15dl/gの範囲に
    あり、 (iii)上記ポリオレフィン組成物の溶解トルクTが4.5
    Kg・cm以下の範囲にあるポリオレフィン組成物を射出成
    形して得られるポリオレフィン製軸受。
  2. 【請求項2】上記ポリオレフィン組成物は、マグネシウ
    ム、チタンおよびハロゲンを必須成分とする高活性チタ
    ン触媒成分(イ)および有機アルミニウム化合物触媒成
    分(ロ)から形成されるチーグラー型触媒の存在下に、
    少なくとも1つの重合工程においてオレフィンを重合さ
    せて極限粘度が10〜40dl/gの超高分子量ポリオレフィン
    (a)を生成させ、その他の重合工程において水素の存
    在下にオレフィンを重合させて極限粘度が0.1〜5dl/gの
    低分子量ないし高分子量のポリオレフィン(b)を生成
    させる多段階重合法によって製造されたものである特許
    請求の範囲第1項に記載のポリオレフィン製軸受。
  3. 【請求項3】上記ポリオレフィン組成物は、摺動性充填
    剤をさらに含むことを特徴とする特許請求の範囲第1項
    または第2項に記載のポリオレフィン製軸受。
  4. 【請求項4】上記摺動性充填剤が、グラファイト、フッ
    素樹脂粉末、フッ化モリブデン、硫化モリブテンまたは
    ポリフェニレンサルファイド樹脂粉末である特許請求の
    範囲第3項に記載のポリオレフィン製軸受。
  5. 【請求項5】上記ポリオレフィン組成物は、繊維状充填
    剤をさらに含むことを特徴とする特許請求の範囲第1項
    から第4項のいずれかに記載のポリオレフィン製軸受。
  6. 【請求項6】上記繊維状充填剤が、ガラス繊維、カーボ
    ン繊維、ボロン繊維、チタン酸カリウイスカー、石綿、
    金属繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維またはポリ
    アミド繊維である特許請求の範囲第5項に記載のポリオ
    レフィン製軸受。
  7. 【請求項7】上記ポリオレフィン組成物は、安定剤をさ
    らに含むことを特徴とする特許請求の範囲第1項から第
    6項のいずれかに記載のポリオレフィン製軸受。
  8. 【請求項8】上記安定剤が、フェノール系安定剤、有機
    フォスファイト系安定剤、有機チオエーテル系安定剤、
    または高級脂肪酸の金属塩である特許請求の範囲第7項
    に記載のポリオレフィン製軸受。
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