JPH081839A - 不燃性ハニカム構造材 - Google Patents

不燃性ハニカム構造材

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JPH081839A
JPH081839A JP14494794A JP14494794A JPH081839A JP H081839 A JPH081839 A JP H081839A JP 14494794 A JP14494794 A JP 14494794A JP 14494794 A JP14494794 A JP 14494794A JP H081839 A JPH081839 A JP H081839A
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honeycomb structure
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plate
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JP14494794A
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Inventor
Kenzo Hayashi
鍵三 林
Kozo Hayashi
宏三 林
Kyoichi Fujimoto
恭一 藤本
Koji Tsuchiya
孝次 土屋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokiwa Electric Co Ltd
Original Assignee
Tokiwa Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 不燃性、耐火性に優れ、高温加熱時の形状保
持性にも優れたハニカム構造材を提供する。 【構成】 板状粒子からなるブルーサイト(水酸化マグ
ネシウムの天然鉱物)を主材として抄造した不燃性シー
トを原紙2とし、接着剤3を使用して多数の柱状セルの
集合体からなるハニカム構造に形成する。原紙2の表面
には、水ガラス水性液を塗布し、乾燥して無機質被覆4
を形成することもできる。また、パルプと無機質フィラ
とを主材として抄造した難燃性シートを原紙2とするこ
とができ、この場合、その原紙2の表面に板状粒子から
なるブルーサイトの分散液を塗布し、乾燥してブルーサ
イトの被覆を形成する。ブルーサイトの自己消火性によ
って優れた不燃性、耐火性が得られ、またその優れた固
結性によって熱分解後にも初期の形状が保持される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は間仕切用壁材、雨戸、
扉、床などの建材用パネルの芯材、或いは鉄道、自動車
等の車両の内装パネルの芯材等として使用される不燃性
ハニカム構造材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、間仕切用壁材などの建材用パ
ネルには、軽量な割りに強度を有することから、例えば
六角形等の断面の多数の柱状セルの蜂の巣状の集合体で
あるハニカム構造材が、芯材(コア)として使用されて
いる。
【0003】このハニカム構造材は、シート状の材料を
用い、これに一定の間隔で接着条を設けて交互に半ピッ
チずらして多数枚積層接着した後、これを所望の幅に切
断し、次いで展張する方法等によって、一般に製造され
る。そして、そのシート状の材料としては、金属材料に
比較して遥かに安価でありまた取扱も容易であることか
ら、クラフト紙等の紙材が一般に使用されている。
【0004】しかし、このようなクラフト紙から形成さ
れたハニカム構造材は、有機物であるパルプ材料からな
るために、燃え易く、また熱劣化し易い。リン酸アンモ
ニウム、或いはハロゲン化合物等の難燃剤で処理するこ
とによって、その燃焼性はある程度低下させることがで
きるものの、それにも限界がある。したがって、このよ
うなパルプ紙を原紙とするハニカム構造材は、耐火性或
いは防火性が特に要求される用途には不適なものであっ
た。なお、難燃性、耐火性にすぐれた紙材として従前で
は石綿繊維紙が代表的なものであったが、石綿繊維が健
康によくないことが分かり、現在では使用されていな
い。
【0005】そこで、ハニカム構造材を形成する原紙と
して水酸化アルミニム高含有紙を用いたものが、例え
ば、特開昭60−250945号公報、特開昭63−1
78033号公報、特公平5−57104号公報等にお
いて種々の態様で知られている。この水酸化アルミニム
高含有紙は水酸化アルミニムの粉体とパルプを主材とし
て抄造したもので、水酸化アルミニムを50〜90重量
%の高い割合で含む。そして、水酸化アルミニムは自己
消火性を有し、加熱により水分を放出して吸熱分解する
ために、難燃性、耐火性の高いハニカム構造材が形成さ
れる。なお、特開平5−57825号公報には、その水
酸化アルミニム高含有紙を原紙として形成したハニカム
構造材の不燃性、耐火性を更に向上するために、その原
紙に更に水酸化アルミニムの粉体を含浸し、付着させる
ことが提案されている。
【0006】また、不燃性、耐火性に優れたハニカム構
造材については、本出願人の提案による特開平5−22
9042号公報等に記載のものがあり、ここでは、繊維
性の含水ケイ酸マグネシウム鉱物であるセピオライトを
主材として抄造した不燃性シートを原紙として用いてい
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】水酸化アルミニム高含
有紙を原紙とするハニカム構造材は、クラフト紙等のパ
ルプ紙を原紙とするハニカム構造材に比べて、遥かに難
燃性で、耐火性に優れたものである。しかしながら、こ
の水酸化アルミニム高含有紙にはパルプが少なからず含
有されるために、不燃性、高温耐久性という点ではなお
不十分なものであり、また、熱分解後の水酸化アルミニ
ムの粉体は固結性に乏しいために、高温に加熱されると
保形性を失い、崩れ易いという傾向があった。
【0008】これに対し、前述のセピオライトを主材と
して抄造した不燃性シートを原紙とするハニカム構造材
は、その不燃性シートが実質的に有機成分を含まないの
で、優れた不燃性と高温耐久性を有するものである。ま
た、セピオライトが固結性に優れるために、高温加熱時
の保形性にも優れている。
【0009】このように、繊維状の天然鉱物であるセピ
オライトを使用したハニカム構造材は優れた効果を有す
るものであった。そこで、本発明者等は、このハニカム
構造材の開発を進める一方、セピオライトに代わる新た
な材料についても更に模索した。そしてその結果、水酸
化マグネシウムの天然鉱物であるブルーサイトの原石を
ジェット粉砕等で粉砕した不定形板状の粒子からなる微
粉体が、セピオライトと同等またはそれ以上の優れた特
性を有することを見出した。即ち、このブルーサイトの
微粉体は、セピオライトと同様に水分散性がよいと共に
固着性もよく、抄造が容易であり、しかも、板状粒子の
形態であるために充填性に優れ、緻密な構造のシート或
いは被覆を形成すること、また、水酸化アルミニムと同
様に優れた自己消化性を有すること、更には、固結性に
優れ、熱分解後にも良好な形状保持性を有すること等で
ある。
【0010】そこで、本発明は、優れた不燃性、耐火性
を有し、また高温加熱時の形状保持性にも優れた不燃性
ハニカム構造材の提供を課題とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1にかかる不燃性
ハニカム構造体は、板状粒子からなるブルーサイトを主
材として抄造した不燃性シートを原紙とし、接着剤を使
用して多数の柱状セルの集合体からなるハニカム構造に
形成してなるものである。
【0012】ここで、ブルーサイト(brucite
水滑石)は、主に蛇紋岩地域に脈状または塊状に産出す
る水酸化マグネシウム(Mg(OH)2 )鉱物である。
このブルーサイトの原石としては、中国遼寧省で産出さ
れるものが代表的であり、クリソタイル石綿を含有しな
い高品質なものとして知られている。そして、本発明に
おいて、このブルーサイトは、原石をジェット粉砕機等
で微粒子状に粉砕した不定形板状(偏平状)の粒子形態
のものとして用いられる。その粒子の大きさは、抄造時
の歩留り、得られる不燃性シートの強度、可撓性等の点
で、平均粒径において一般に0.5〜20μm程度であ
ることが好ましく、より好ましくは、2〜10μm程度
である。
【0013】そして、この板状粒子からなるブルーサイ
トは、その水酸基によって固結性、吸着性に優れている
と共に水とのなじみ性にも優れ、水中においてカチオン
に帯電して容易に分散するために、そのスラリーから抄
造によって容易にシートを形成することができ、また、
形成されたシートは十分な保形性を有する。したがっ
て、原紙としてのシートは、この板状粒子からなるブル
ーサイトを単独で使用して形成することもできるが、バ
インダ、セピオライト、補強繊維等を含むものとして形
成することもできる。
【0014】また、この板状粒子からなるブルーサイト
を主材として抄造した不燃性シートを原紙とする上述の
ハニカム構造材は、その強度をより高め、また耐火性を
より向上するために、従来からもなされているように、
水ガラスを塗布し含浸することができる。
【0015】即ち、請求項2にかかるハニカム構造材
は、板状粒子からなるブルーサイトを主材として抄造し
た不燃性シートを原紙とし、接着剤を使用して多数の柱
状セルの集合体からなるハニカム構造に形成すると共
に、原紙の表面に水ガラスの水性液を塗布し、乾燥して
無機質被覆を形成してなるものである。
【0016】ここで、水ガラスは、アルカリ金属ケイ酸
塩を主要成分とする水性溶液である。このアルカリ金属
ケイ酸塩は、一般式M2 O・nSiO2 で表され、Mは
ナトリウムNa、カリウムK、またはリチウムLiであ
り、また、M2 OとSiO2とのモル比であるnは一般
に1.6〜4.5である。このようなアルカリ金属ケイ
酸塩の水性溶液としては、安価で、またJIS規格品と
して容易に入手可能なケイ酸ナトリウムの水ガラスを、
特に好適に用いることができる。またこのケイ酸ナトリ
ウムの水ガラスに、ケイ酸リチウムの水ガラスを混合し
て用いることもでき、それによって硬化後の耐水性をよ
り高めることができる。
【0017】この水ガラス組成物には、被覆の水不溶
性、耐熱性を向上するために、硬化剤を併用することも
できる。そのような硬化剤については、従来より種々の
ものが知られ、また用いられている。代表的なものは、
酸化亜鉛などの多価金属の酸化物、水酸化カルシウムな
どの多価金属の水酸化物、ケイ酸カルシウムなどのケイ
化物、ケイ弗化ナトリウムのようなケイ弗化物、ホウ酸
カリウムなどのホウ酸塩、リン酸アルミニウムなどのリ
ン酸塩、あるいはリン酸と金属酸化物との混合焼成物等
である。
【0018】なお、この水ガラスの水性液には、前記の
板状粒子からなるブルーサイト、水酸化マグネシウムの
粉体等の無機質フィラを加え、形成される無機質被覆が
無機質フィラを含むようにすることもできる。
【0019】即ち、請求項3にかかるハニカム構造材
は、請求項2における水ガラスの水性液に、更に無機質
フィラを加えたものである。
【0020】また、請求項4にかかるハニカム構造材
は、パルプと無機質フィラを主材として抄造した難燃性
シートを原紙とし、接着剤を使用して多数の柱状セルの
集合体からなるハニカム構造に形成すると共に、その原
紙の表面に板状粒子からなるブルーサイトの分散液を塗
布し、乾燥してブルーサイトの被覆を形成してなるもの
である。
【0021】ここで、難燃性シートをパルプと共に形成
する無機質フィラとしては、上記の板状粒子からなるブ
ルーサイトを含めて、水酸化アルミニウムの粉体、セピ
オライト、含水ホウ酸カルシウム(灰硼石)の粉体、等
が好ましい。また、この無機質フィラは比較的高い含有
量で、即ち50〜95重量%の割合で含まれることが好
ましい。また、被覆を形成する板状粒子からなるブルー
サイトは、難燃性シートにおいて使用したものと同様
に、平均粒径において一般に0.5〜20μm程度のも
のを使用することができる。しかし、より好ましくは、
0.5〜7μm程度の比較的小さい粒径であるのが好ま
しい。そして、このブルーサイトの被覆は、原紙に対し
て、一般に10重量%以上の付着量で形成することがで
きる。しかし、板状粒子からなるブルーサイトは緻密な
被覆を形成することができるために、この被覆は、10
重量%以下の付着量で形成することもできる。
【0022】そして、請求項5にかかるハニカム構造材
は、請求項4における板状粒子からなるブルーサイトの
分散液に、更にバインダを添加したものである。
【0023】このバインダとしては、上述の水ガラス等
の無機バインダ、ポリビニルアルコール等の有機バイン
ダ等を使用することができる。
【0024】更に、請求項4における難燃性シートをパ
ルプと板状粒子からなるブルーサイトを主材として抄造
したものとする場合、ブルーサイトの分散液に代えて、
請求項2と同様に、水ガラスの水性液を用いることもで
きる。
【0025】即ち、請求項6にかかるハニカム構造材
は、パルプと板状粒子からなるブルーサイトを主材とし
て抄造した難燃性シートを原紙とし、接着剤を使用して
多数の柱状セルの集合体からなるハニカム構造に形成す
ると共に、原紙の表面に水ガラスの水性液を塗布し、乾
燥して無機質被覆を形成してなるものである。
【0026】なお、この水ガラスの水性液は、請求項3
と同様に、無機質フィラを含むこともできる。
【0027】これらの発明の詳細と更なる態様について
は、後の実施例と共に更に詳細に説明する。
【0028】
【作用】請求項1においては、ハニカム構造材を形成す
る原紙が板状粒子からなるブルーサイトを主材として抄
造した不燃性シートであるため、原紙自体が不燃性、耐
火性を有すると共に、接着剤として有機接着剤を使用し
た場合等であっても、その接着剤等の有機物はブルーサ
イトの自己消火性によって不燃化される。また、ブルー
サイトの粒子は板状であるために充填性がよく、緻密な
組織構造のシートが形成されると共に、このブルーサイ
トは熱分解後の固結性にも優れるために、高温加熱時に
ブルーサイトが熱分解しても、シートは崩れることがな
く、その形状、即ちハニカム構造が保持される。なお、
ブルーサイトの優れた固結性は、ブルーサイトが純粋な
水酸化マグネシウムではなく、天然鉱物としてケイ酸塩
等を含むことに基づくものと考えられる。
【0029】請求項2においては、更に原紙の表面に水
ガラスの水性液を塗布し、乾燥して無機質被覆を形成し
ているので、耐火性がより高められると共に、剛性が高
められ、形状保持性が向上される。
【0030】また、請求項3においては、請求項2にお
ける水ガラスの水性液に更に無機質フィラを加えている
ので、原紙の表面にこの水性液を塗布し、乾燥すること
によって、水ガラスによって結合された無機質フィラか
らなる無機質被覆が形成される。そのため、ハニカム構
造材の耐火性がより一層高められると共に、剛性もより
高められ、形状保持性が更に向上される。
【0031】請求項4においては、パルプと無機質フィ
ラを主材として抄造した難燃性シートを原紙としている
が、原紙の表面に板状粒子からなるブルーサイトの分散
液を塗布し、乾燥してブルーサイトの被覆を形成してい
るので、パルプが火炎と接触することが防止され、しか
も、ブルーサイトが自己消化性を有するために、原紙は
実質的に不燃化される。また、ブルーサイトの被覆はブ
ルーサイトが板状粒子の形態であるために緻密に形成さ
れると共に、ブルーサイトは熱分解後の固結性に優れる
ので、高温加熱時にブルーサイトが熱分解しまたパルプ
が焼失しても、その被覆は崩れることがなく、原紙の形
状、即ちハニカム構造が保持される。
【0032】請求項5においては、請求項4におけるブ
ルーサイトの分散液に更にバインダを添加しているの
で、この分散液を原紙の表面に塗布し、乾燥することに
よって形成されたブルーサイトの被覆は、バインダによ
って強度が高められると共に、原紙に強固に被着され
る。そのため、被覆の厚膜化が可能となり、ハニカム構
造材の不燃性、耐火性、また形状保持性をより確実なも
のとすることができる。
【0033】請求項6においては、パルプと板状粒子か
らなるブルーサイトを主材として抄造した難燃性シート
を原紙としているが、原紙の表面に水ガラスの水性液を
塗布し、乾燥して無機質被覆を形成しているので、パル
プが火炎と接触することが防止され、しかも、ブルーサ
イトが自己消化性を有するために、原紙は実質的に不燃
化される。また、ブルーサイトの粒子は板状であるため
に充填性がよく、緻密な組織構造のシートが形成される
と共に、このブルーサイトは熱分解後の固結性にも優れ
るために、高温加熱時にブルーサイトが熱分解しまたパ
ルプが焼失しても、シートは崩れることがなく、その形
状、即ちハニカム構造が保持される。
【0034】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
する。
【0035】〈第一実施例〉図1は本発明の第一実施例
の不燃性ハニカム構造材を示す斜視図である。
【0036】図1のように、全体を符号1で示すハニカ
ム構造材は、原紙2を、接着剤3を使用して多数の柱状
セルの集合体からなるハニカム構造に形成したものであ
る。また、原紙2の全表面には水ガラス水性液を塗布
し、乾燥することによって無機質被覆4が形成されてい
る。このハニカム構造材1の構造自体はよく知られたも
のであるが、本実施例において、原紙2は板状粒子から
なるブルーサイトを主材として抄造した不燃性シートか
らなっている。
【0037】ここで、この原紙2として用いた不燃性シ
ートの製造について説明する。
【0038】この不燃性シートは、板状粒子からなるブ
ルーサイトを主材とする原材料を水中に均一に分散さ
せ、抄紙のためのスラリーを形成するスラリー形成工程
と、形成したスラリーを抄紙機を用いて抄紙する抄紙工
程と、抄紙工程で形成された湿った紙層を圧搾して脱水
し、次いで乾燥する乾燥工程とからなる一般的な抄造方
法によって、製造される。
【0039】本実施例においては、この不燃性シートの
主材として、平均粒径2.5μm(325メッシュ)の
板状(偏平状)粒子からなるブルーサイトを使用した
(フォートライトPC−1000 昭和鉱業(株)
製)。この板状粒子からなるブルーサイト(以下、単に
板状ブルーサイトという)は、中国遼寧省で産出された
ブルーサイト原石をジェット粉砕機によって微細な粒子
に粉砕したもので、次の化学分析値を有し、クリソタイ
ル石綿を含有しないものである。
【0040】
【表1】
【0041】そして、スラリー形成工程において、上記
の板状ブルーサイト4重量部と、予め解繊したセピオラ
イト1重量部と、繊維長さ約6mmのガラス繊維0.5重
量部と、水300重量部とを混合タンクに入れ、均一な
分散が得られまで十分混合した。次いで、この板状ブル
ーサイトとセピオライトが均一に分散したスラリーに、
主に凝集のためのバインダとして、ノニオン系であるポ
リエチレンオキシド(PEO)0.5%水溶液を10重
量部配合し、更に混合した。これによって、板状ブルー
サイトとセピオライト及びガラス繊維の凝集フロックが
容易に形成された。なお、このように形成したスラリー
の配合は、まとめると、次のものである。
【0042】
【表2】
【0043】この配合例において、セピオライトは、シ
ートの結着性をより高めて、その強度を増強するために
用いられている。また、セピオライトは、ブルーサイト
が300〜400℃で熱分解して酸化マグネシウムに変
るのに対し、800℃以上の熱安定性を有するので、高
温加熱時のシートの形状保持性にも優れた作用を発揮す
る。なお、このセピオライトは必ずしも配合する必要は
ないが、配合する場合には、一般に板状ブルーサイト1
00重量部に対して10〜40重量部程度が好ましい。
【0044】また、ガラス繊維は、不燃性シートの物理
的強度をより高めるための補強繊維として加えられてい
る。このような補強繊維としては、このガラス繊維に限
らず、各種の繊維を使用することができる。例えば、ロ
ックウール繊維等の鉱物繊維、ステンレス繊維等の金属
繊維、チタン酸カリウム繊維等のセラミック繊維または
ウィスカー、石膏繊維等の無機化合物繊維、等である。
しかし、材料コスト、凝集効果等の点からガラス繊維が
最適である。そして、これらの無機質繊維は、不燃性シ
ート全体に対して、一般に3〜20重量%配合すること
ができる。また、補強繊維としては、無機質繊維だけで
なく、木材パルプ、またはこれを難燃化したリン酸パル
プ、アラミド繊維等の織物繊維、等の有機質繊維も使用
することができる。ただし、その配合量は、不燃性を完
全なものとするためには、不燃性シート全体に対して5
重量%以下であることが好ましい。
【0045】また、この配合例ではバインダとしてポリ
エチレンオキシドを使用したが、バインダとしてはこの
他にも、グアーガム、でんぷん等の天然高分子化合物、
ポリアミド、ポリアクリルアミド、ポリエステル等の熱
可塑性樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−
ホルムアルデヒド樹脂、エピクロルヒドリン系ポリアミ
ド樹脂等の熱硬化性樹樹脂を適宜に使用することがで
き、好ましくは、これらは凝集剤としての作用を合わせ
て有するカチオン系、アニオン系、またはノニオン系の
ものが用いられる。そして、これらのバインダはそれぞ
れ単独で、または組合わせて使用されることができる
が、形成される不燃性シートにおいて一般に5重量%ま
での割合で含まれるように調整される。5重量%を越え
ると一般に不燃性シートの可撓性が低下し、またシート
の完全な不燃化の点で好ましくないからである。しか
し、これは限定的ではなく、また、ブルーサイトが優れ
た自己消化性を有するために、用いる高分子化合物によ
っては5重量%以上の割合で含ませることもできる。
【0046】なお、板状ブルーサイトを主材として含む
スラリーには、セピオライト、補強繊維、有機高分子化
合物からなるバインダの他にも、水酸化アルミニム、含
水ホウ酸カルシウム(灰硼石)等の無機質粉体を加える
ことができる。また、例えば、コロイドシリカを添加す
ることもでき、それによって、不燃性シートの白色度を
増し、また、シートを強化することができる。
【0047】そして、このように形成されたスラリー
は、次いで抄紙工程において、丸網式、短網式等の抄紙
機を用いて抄紙される。本実施例では、前述の配合例1
のスラリーを80メッシュの抄網を使用して、短網式抄
紙機を用いて抄紙した。そして抄紙後の湿潤状態の紙層
を、次の乾燥工程において、プレスをかけて脱水し、オ
ーブン中で120℃で5分間乾燥した。これによって、
その紙層の内部の水分が揮散し、板状ブルーサイトを主
材とする成分が乾燥固化した厚さ約0.5mmのシートが
得られた。
【0048】この得られたシートは、有機質成分として
ポリエチレンオキサイドが僅かに含まれるだけであり、
実質的に無機質からなり、不燃である。また、このシー
トは、板状ブルーサイトが固着性に優れるために、水に
浸漬しても再溶解することがなく、強度の低下も少な
い。そして、この主材としてのブルーサイトは板状粒子
の形態であるため、充填性が良く、緻密な組織構造のシ
ートが形成される。しかも、板状ブルーサイトは高温下
では熱分解するが、固結性に優れるために、熱分解後に
おいてもシートの形状は十分に保持される。
【0049】このような板状ブルーサイトを主材とする
不燃性シートを原紙2として使用して、図1のハニカム
構造材1は、通常の良く知られた方法によって形成する
ことができる。
【0050】即ち、原紙2の表面に、スクリーン転写或
いはローラー塗布により、一定間隔で所定の幅に接着剤
3を筋状に塗布する。なお、この接着剤の条の幅はハニ
カム構造材1の重合部の長さを決定し、この接着剤の条
の幅とピッチを変えることによって、ハニカム構造材1
を構成するセルの形状と寸法とを所望に変化させること
ができる。そして、このように接着剤の条を形成した原
紙の多数枚を、その接着剤の条が隣接する原紙の間で相
互に半ピッチだけずれるようにして重ね合わせ、上下方
向から圧着して相互に接着する。次いで、この相互に接
着された多数枚の原紙からなるブロックを、接着剤の条
とは直角方向に、望まれるハニカム構造材の厚さに応じ
た所定の幅に截断する。そして、この截断物を両側から
展張することによって、ハニカム構造材1が形成され
る。
【0051】ここで、接着剤3としては、コロイダルシ
リカ系、コロイダルアルミナ系、水ガラス系、リン酸塩
系等の無機接着剤を使用することができるが、原紙2の
接着をより容易に行うことができる酢酸ビニル、エポキ
シ系、或いは、デンプン糊、CMC、更にはホットメル
ト系等の有機接着剤を使用することもできる。有機接着
剤自体は燃焼性であるが、原紙2として使用した不燃性
シートの板状ブルーサイトが自己消火性を有するため
に、その有機接着剤が不燃化されるからである。したが
って、接着剤3として酢酸ビニル等の有機接着剤を使用
できることも、本実施例の一つの特長である。
【0052】また、本実施例では、上述のようにハニカ
ム構造材1を形成すると共に、その原紙2の表面全体に
水ガラスの水性液を塗布し、乾燥して、無機質被覆4を
形成する。
【0053】この水ガラス水性液の塗布は、スプレー塗
装等の手段によって行うこともできるが、好ましくは、
前述の展張と合わせて水ガラスの水性液を満たした処理
槽に浸漬することによって行うことができ、ハニカム構
造材1を処理槽内に展張した状態で浸漬するか、または
処理槽内に浸漬した状態で展張する。そして、この浸漬
処理に使用する水ガラス水性液は、例えば、ケイ酸ソー
ダJIS3号(ケイ酸ナトリウムの固形分38.5%)
を5倍程度に稀釈した水性液を用いることができる。ま
たこの水ガラスの水性液としては、水ガラスをその硬化
剤と共に予めゲル化し、その水ガラスのゲルが微細な粒
子状に粉砕されて分散する水性分散液を使用することも
できる。このような水性分散液の場合、水ガラス水性液
の粘度が比較的低いので、処理操作が容易である。
【0054】そして、このように原紙2の表面に水ガラ
スの水性液を塗布することによって、水ガラスが原紙2
の組織内に含浸され、また表面に付着する。これを次い
で乾燥することによって、水ガラスの乾燥硬化物である
無機ポリマー(ケイ酸塩ポリマー)からなる無機質被覆
4が形成されると共に、原紙2を形成する板状ブルーサ
イト等の成分がその無機ポリマーによって結合される。
これによって、ハニカム構造材1の展張状態が固定保持
されると共に、その引張り強度、圧縮強度が高められ、
更に、原紙2を形成する粉体成分の剥れ落ちが防止され
る。また、この水ガラスの無機質被覆4によって、原紙
2に含まれる有機質成分や有機接着剤3が火炎と直接接
触することが防止されるので、ハニカム構造材1の耐火
性がより高められる。更に、水ガラスの耐熱温度は高い
ので、ハニカム構造材1の形状保持性もより向上する。
【0055】なお、ハニカム構造材1は上述のような展
張法だけでなく、コルゲート法等の他の方法によっても
形成することができる。また、そのように形成されるハ
ニカム構造材1は、多数の柱状セルの集合体からなる蜂
の巣状の構造を有するものであればよく、その柱状セル
の断面形状は六角形以外にも、三角形、四角形等の角
形、或いは円形または円弧を含む形状等であることがで
きる。
【0056】このように、本実施例のハニカム構造材1
は、板状粒子からなるブルーサイトを主材として抄造し
た不燃性シートを原紙2とし、接着剤3を使用して多数
の柱状セルの集合体からなるハニカム構造に形成してな
るものである。したがって、原紙2として板状粒子から
なるブルーサイトを主材として抄造した不燃性シートを
使用しているので、原紙2自体が不燃性であり、優れた
耐火性を有すると共に、接着剤として有機接着剤を使用
した場合等であっても、ブルーサイトの自己消火性によ
ってハニカム構造材の不燃性、耐火性が維持される。ま
た、ブルーサイトの板状粒子は充填性がよく、そのため
緻密な不燃性シートが形成されると共に、ブルーサイト
は固結性にも優れるので、熱分解後においても原紙2の
形状は良好に保持される。更に、板状粒子からなるブル
ーサイトは、天然鉱物として安価であり、しかも容易に
抄造できるものであるため、低コストでハニカム構造材
1を製造することができる。
【0057】また、本実施例のハニカム構造材1は、更
に、原紙2の表面に水ガラス水性液を塗布し、乾燥して
無機質被覆を形成してなるものである。したがって、ハ
ニカム構造材1の強度、耐火性等がより高められる。
【0058】そして、この第一実施例は、請求項2の態
様に相当するものであり、したがって、請求項1の態様
に相当するものでもある。
【0059】なお、原紙2の表面に塗布する水ガラスの
水性液は、それに更に無機質フィラを加えて分散したも
のであることもできる。
【0060】この無機質フィラは、無機質の粉体であれ
ばどのようなものでもよいが、水酸化アルミニウムの粉
体、或いは原紙2の主材として使用した板状ブルーサイ
トが特に好ましい。以下に、このような水ガラス水性液
の一例を示す。
【0061】
【表3】
【0062】なお、この例では、水ガラスと硬化剤(ケ
イ弗化ナトリウム)を予めゲル化し、次いで水中で粉砕
して分散した。
【0063】そして、この無機質フィラを含む水ガラス
の水性液を原紙2の表面に塗布し、乾燥することによ
り、無機質フィラは原紙2の組織に充填されると共に、
水ガラスによって結合された無機質フィラの被覆が形成
される。この被覆は水ガラスのみを塗布し乾燥した場合
の被覆よりも厚く形成されるので、ハニカム構造材1の
強度をより高めることができ、また、耐火性をより高め
ることができる。
【0064】なおこの場合は、請求項3の態様に相当す
るものである。
【0065】〈第二実施例〉図2は本発明の第二実施例
の不燃性ハニカム構造材を示す斜視図である。
【0066】図2のように、この第二実施例の不燃性ハ
ニカム構造材10は基本的には第一実施例の不燃性ハニ
カム構造材と同じであり、原紙2を、接着剤3を使用し
て多数の柱状セルの集合体からなるハニカム構造に形成
したものである。ただし、この原紙2はパルプと無機質
フィラを主材として抄造した難燃性シートからなってい
る。また、原紙2の全表面には、板状粒子からなるブル
ーサイトの被覆5が形成されている。
【0067】この難燃性シートはパルプと無機質フィラ
を主材として抄造したもので、無機質フィラとしては、
従来から一般に使用されている水酸化アルミニウム、炭
酸カルシウム、クレー、タルク等を用いることができ
る。そして、この無機質フィラは、十分な難燃性を得る
ために、比較的高い割合で、即ち50〜95重量%の割
合で含まれることが好ましい。したがって、この難燃性
シートとしては、例えば水酸化アルミニム高含有紙等を
使用することができる。
【0068】しかし、この難燃性シートの形成に使用す
る無機質フィラとしては、第一実施例で使用した板状粒
子からなるブルーサイト(板状ブルーサイト)も好適に
用いることができる。以下に、この板状ブルーサイトを
用いた難燃性シートを形成するためのスラリーの配合例
を示す。
【0069】
【表4】
【0070】このスラリー配合例では、パルプとしては
針葉樹晒クラフトパルプが用いられ、また、板状ブルー
サイトは実施例1で使用した平均粒径2.5μm(32
5メッシュ)のものである。またこの配合例2では、第
一実施例におけるスラリー配合例1と同様に、高温加熱
時の形状保持性をより高めるために、セピオライトが配
合されている。バインダとしては、主に凝集のために、
カチオン性のジメチルアミノエチルメタクリレート(D
MAEM)の1%水溶液0.5重量部と、アニオン性の
アクリルアミドアクリル酸共重合体(AA)の1%水溶
液0.5重量部とが配合されている。
【0071】なお、このスラリーの配合例2では、スラ
リー配合例1では使用されたガラス繊維は配合されず、
したがって、パルプがこれに代わる補強繊維として比較
的多く配合されている。そのため、このスラリーから抄
造されたシートは、有機物であるパルプを含むために、
完全な不燃性ではないが、ブルーサイトが自己消火性を
有するために、水酸化アルミニム高含有紙と同様に難燃
性の高いものである。
【0072】そして、このような難燃性シートを使用し
て、ハニカム構造材10は第一実施例と同様に、例えば
展張法によって、形成することができる。また、接着剤
としても同様に、無機系、有機系のいずれの接着剤も使
用できる。ただし、本実施例の場合においては、原紙2
として用いるシートがパルプを含み、完全な不燃性を有
しないものであるため、原紙2の表面に板状粒子からな
るブルーサイトの分散液を塗布し、乾燥してそのブルー
サイトの被覆5を形成する。
【0073】この被覆5を形成するためのブルーサイト
は、不燃性シート、難燃性シートを形成するために使用
した板状粒子からなるブルーサイト(板状ブルーサイ
ト)と同じものである。したがって、この被覆5の形成
に使用する板状ブルーサイトとしては、一般に、平均粒
径0.5〜30μmのものを使用することができる。し
かし、より緻密な被覆5を得るためには、比較的粒径が
小さい方が好ましく、そのため、平均粒径が0.5〜7
μm程度のものがより好ましい。そして、この板状ブル
ーサイトを分散液として原紙2の表面に塗布し、乾燥す
ることにより、ブルーサイトの板状粒子は原紙2の組織
の隙間に充填されると共に、被覆5が形成される。この
塗布は、スプレー等の手段によって行うこともできる
が、第一実施例における水ガラス水性液の塗布の場合と
同様に、浸漬によって行うのが好ましい。
【0074】ここで、その分散液は、板状ブルーサイト
を水に単に分散したものでもよいが、十分な厚さの被覆
5を形成するために、バインダを添加して比較的粘稠な
分散液として形成することが好ましい。そして、このよ
うなバインダとしては、無機質バインダ、水性の有機バ
インダ等を使用することができる。その一例を以下に示
す。
【0075】
【表5】
【0076】この分散液例は水ガラスをバインダとして
使用したものであり、板状ブルーサイト(平均粒径2.
5μm)100重量部と水ガラス(ケイ酸ソーダJIS
3号)とを混合撹拌し、48時間放置して水ガラスをゲ
ル化させて高粘度の分散液を形成し、次いで、250重
量部の水で稀釈したものである。
【0077】なお、この例では、水ガラスをバインダと
使用しているが、無機バインダとしては、この他にも、
コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ等を使用するこ
とができる。ただし、リン酸塩系バインダはブルーサイ
トとの反応性が高く、発熱を伴ってゲル化するため好ま
しくない。
【0078】また、バインダとしては、有機バインダも
使用することができる。その一例を以下に示す。
【0079】
【表6】
【0080】この例では、ポリビニルアルコール(PV
A)の10%水溶液をバインダとしている。このような
水性の有機バインダとしては、このPVA以外にも、酢
酸ビニルエマルジョン、アクリル系樹脂エマルジョン等
この種のバインダとして一般にも使用されている任意の
ものを使用することができる。また、このような有機バ
インダは、フェノール樹脂、尿素樹脂等のアミノ樹脂、
或いはシリコン系樹脂等をバインダとする有機溶剤型の
ものであることもできる。しかし、バインダとしては水
ガラス等の無機バインダを使用することが好ましく、そ
れによって、ハニカム構造材の不燃性、耐火性をより高
め、また、高温加熱時の形状保持性もより高めることが
できる。
【0081】また、上記の分散液例2のように、板状ブ
ルーサイトの分散液には、セピオライトを更に加えるこ
ともできる。これによって、不燃性シート、難燃性シー
トの場合と同様に、ブルーサイト被覆の高温加熱時の形
状保持性をより高めることができる。なお、セピオライ
ト以外にも、例えば、ガラス繊維等の補強繊維も、適宜
に加えることができる。
【0082】以上のように、本実施例のハニカム構造材
10は、パルプと無機質フィラを主材として抄造した難
燃性シートを原紙2とし、接着剤3を使用して多数の柱
状セルの集合体からなるハニカム構造に形成すると共
に、その原紙の表面に板状粒子からなるブルーサイトの
分散液を塗布し、乾燥してブルーサイトの被覆5を形成
してなるものである。
【0083】したがって、原紙2には可燃性のパルプが
含まれるが、その原紙2の表面はブルーサイトの被覆5
によって覆われるので、パルプが火炎と接触することが
防がれると共に、ブルーサイトの自己消火性によってパ
ルプの燃焼が阻止される。このため、ブルーサイトの被
覆5によって、ハニカム構造材10は実質的に不燃性と
なる。また、板状粒子からなるブルーサイトは充填性が
よいので、その分散液を塗布し、乾燥することによって
形成された被覆5は緻密な構造の平滑性に優れたもので
あると共に、ブルーサイトは固結性に優れるために、高
温加熱下でブルーサイトが熱分解し、また原紙2のパル
プが焼失しても、ハニカム構造材10の形状はそのブル
ーサイト被覆5によって保持されることができる。更
に、ブルーサイト被覆5の形成は、ハニカム構造材の形
成における展張工程と合わせて容易に行うことができ、
しかも、ブルーサイトは安価な材料であるため、低コス
トでこのハニカム構造材10を製造することができる。
【0084】また、上述のように、板状粒子からなるブ
ルーサイトの分散液に更にバインダを加えた場合には、
形成されたブルーサイトの被覆5はバインダによって固
められると共に、原紙2に対して強固に被着される。し
たがって、ハニカム構造材10の剛性を高めることがで
きると共に、ブルーサイト被覆5による不燃化効果、形
状保持効果をより確実にすることができる。そして、バ
インダとして水ガラス等の無機バインダを使用すれば、
耐火性、高温加熱時の形状保持性を更に高めることがで
きる。
【0085】なお、本実施例は請求項4の態様に相当
し、また、請求項5の態様にも相当する。
【0086】〈第三実施例〉なお、上述の第二実施例で
は原紙2の表面に板状ブルーサイトの分散液を塗布し、
乾燥してブルーサイトの被覆5を形成したが、原紙2と
してパルプと板状ブルーサイトを主材として抄造した難
燃性シートを用いる場合には、その板状ブルーサイトの
分散液に代えて、第一実施例と同様に、水ガラスの水性
液を用いることができる。
【0087】即ち、本第三実施例のハニカム構造材は、
図1を援用して説明すると、パルプと板状ブルーサイト
を主材として抄造した難燃性シートを原紙2とし、接着
剤3を使用して多数の柱状セルの集合体からなるハニカ
ム構造に形成すると共に、その原紙2の表面に水ガラス
の水性液を塗布し、乾燥して、水ガラスの乾燥硬化物か
らなる無機質被覆4を形成してなるものである。
【0088】ここで、原紙2として使用するパルプと板
状ブルーサイトを主材として抄造した難燃性シートは、
第二実施例において既に説明したように、例えば、表4
のスラリー配合例2のスラリーから形成することができ
る。また、水ガラスの水性液についても第一実施例にお
いて既に説明したとおりであり、また、これには水酸化
アルミニウムの粉末、セピオライト等の無機質フィラを
加えることもできる。
【0089】そして、本実施例においても、原紙2には
可燃性のパルプが含まれるが、その原紙2の表面は水ガ
ラスの無機質被覆4によって覆われるので、パルプが火
炎と接触することが防がれると共に、ブルーサイトの自
己消火性によってパルプの燃焼が阻止される。このた
め、ハニカム構造材は実質的に不燃性となる。また、板
状粒子からなるブルーサイトは充填性がよいので、緻密
な難燃性シートが形成されると共に、ブルーサイトは固
結性にも優れるので、高温加熱下でブルーサイトが熱分
解しまた原紙2のパルプが焼失しても、ハニカム構造材
の形状が保持される。この高温加熱時の形状保持性は、
無機質被覆4によっても高められる。そして、低コスト
で製造することができる等のその他の効果についても、
第一及び第二実施例と同様である。
【0090】なお、本実施例は請求項6の態様に相当す
るものである。
【0091】このように、本発明のハニカム構造材は優
れた不燃性、耐火性を有し、また高温加熱時の形状保持
性にも優れている。そのため、本発明のハニカム構造材
は、間仕切用壁材、雨戸、扉、床等の建材用パネルの芯
材、或いは鉄道車両の内装パネルの芯材等として、幅広
く利用することができる。また、本発明のハニカム構造
材は、そのセル内に発泡材等を充填して使用することも
でき、それによって断熱性、吸音性等を高めることがで
きる。
【0092】
【発明の効果】以上のように、請求項1にかかるハニカ
ム構造材は、板状粒子からなるブルーサイトを主材とし
て抄造した不燃性シートを原紙とし、接着剤を使用して
多数の柱状セルの集合体からなるハニカム構造に形成し
てなるものである。
【0093】したがって、このハニカム構造材によれ
ば、原紙として板状粒子からなるブルーサイト(水酸化
マグネシウム鉱物)を主材として抄造した不燃性シート
を使用しているので、原紙自体が不燃性、耐火性に優れ
るだけでなく、ブルーサイトが自己消火性を有するため
に、接着剤として有機接着剤を使用した場合等であって
も、優れた不燃性、耐火性が得られる。また、ブルーサ
イトの粒子は板状であるために、充填性がよく、緻密な
組織構造のシートが形成されると共に、ブルーサイトは
熱分解後の固結性にも優れるので、高温加熱下で熱分解
された後の形状保持性にも優れている。更に、ブルーサ
イトは天然に多量に産出する安価な鉱物であり、また水
中分散性、固着性等に優れるので抄造が容易であり、そ
のため、低コストで製造することができる。
【0094】請求項2にかかるハニカム構造材は、板状
粒子からなるブルーサイトを主材として抄造した不燃性
シートを原紙とし、接着剤を使用して多数の柱状セルの
集合体からなるハニカム構造に形成すると共に、原紙の
表面に水ガラス水性液を塗布し、乾燥して無機質被覆を
形成してなるものである。
【0095】したがって、請求項1のハニカム構造材に
おいて、更に、原紙の表面に水ガラス水性液を塗布し、
乾燥して無機質被覆を形成しているので、請求項1の効
果に加えて、ハニカム構造材の強度を高め、また、耐火
性もより高めることができる。
【0096】請求項3にかかるハニカム構造材は、請求
項2における水ガラス水性液に、更に無機質フィラを加
えたものである。
【0097】したがって、無機質フィラが加えられてい
ることにより、形成される無機質被覆は無機質フィラを
含む厚い被覆となり、ハニカム構造材の強度がより一層
高められ、また、火炎に対する抵抗性も高められ、耐火
性もより向上される。
【0098】請求項4にかかるハニカム構造材は、パル
プと無機質フィラを主材として抄造した難燃性シートを
原紙とし、接着剤を使用して多数の柱状セルの集合体か
らなるハニカム構造に形成すると共に、その原紙の表面
に板状粒子からなるブルーサイトの分散液を塗布し、乾
燥してブルーサイトの被覆を形成してなるものである。
【0099】したがって、原紙には可燃性のパルプが含
まれているが、その表面には自己消火性を有するブルー
サイトの被覆が形成されているので、パルプは実質的に
不燃化される。そのため、実質的に不燃性で、耐火性に
優れたハニカム構造材が得られる。また、ブルーサイト
の粒子は板状であるために充填性がよく、緻密な構造の
被覆が形成されると共に、ブルーサイトは熱分解後の固
結性にも優れているので、高温加熱下でブルーサイトが
熱分解し、またパルプが焼失しても、ブルーサイトの被
覆は崩れることがなく、ハニカム構造材の形状は十分に
保持される。
【0100】請求項5にかかるハニカム構造材は、請求
項4における板状粒子からなるブルーサイトの分散液
に、更にバインダを添加したものである。
【0101】したがって、板状粒子からなるブルーサイ
トの分散液にバインダが含まれるので、原紙に強固に被
着され、また十分な厚さを有するブルーサイトの被覆を
形成することができる。また、バインダとして水ガラス
等の無機バインダを使用する場合には、耐火性、高温加
熱時の形状保持性を更に高めることができる。
【0102】請求項6にかかるハニカム構造材は、パル
プと板状粒子からなるブルーサイトを主材として抄造し
た難燃性シートを原紙とし、接着剤を使用して多数の柱
状セルの集合体からなるハニカム構造に形成すると共
に、その原紙の表面に水ガラス水性液を塗布し、乾燥し
て無機質被覆を形成してなるものである。
【0103】したがって、原紙には可燃性のパルプが含
まれているが、その表面には水ガラスによる無機質被覆
が形成されているので、パルプと火炎との接触が防がれ
ると共に、ブルーサイトの自己消火性によってパルプの
燃焼が阻止される。そのため、実質的に不燃性で、耐火
性に優れたハニカム構造材が得られる。また、ブルーサ
イトの粒子は板状であるために充填性がよく、緻密な組
織構造のシートが形成されると共に、ブルーサイトは熱
分解後の固結性にも優れ、しかも、原紙の表面には水ガ
ラスの無機質被覆が形成されているので、高温加熱下で
ブルーサイトが熱分解しまたパルプが焼失しても、原紙
は崩れることがなく、ハニカム構造材の形状は十分に保
持される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明の第一実施例の不燃性ハニカム
構造材を示す斜視図である。
【図2】 図2は本発明の第二実施例の不燃性ハニカム
構造材を示す斜視図である。
【符号の説明】
1,10 ハニカム構造材 2 原紙 3 接着剤 4 無機質被覆 5 ブルーサイト被覆
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 土屋 孝次 岐阜県各務原市金属団地65番地 株式会社 常盤電機内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 板状粒子からなるブルーサイトを主材と
    して抄造した不燃性シートを原紙とし、接着剤を使用し
    て多数の柱状セルの集合体からなるハニカム構造に形成
    してなることを特徴とする不燃性ハニカム構造材。
  2. 【請求項2】 板状粒子からなるブルーサイトを主材と
    して抄造した不燃性シートを原紙とし、接着剤を使用し
    て多数の柱状セルの集合体からなるハニカム構造に形成
    すると共に、前記原紙の表面に水ガラスの水性液を塗布
    し、乾燥して無機質被覆を形成してなることを特徴とす
    る不燃性ハニカム構造材。
  3. 【請求項3】 前記水ガラスの水性液に、更に無機質フ
    ィラを加えたことを特徴とする請求項2に記載の不燃性
    ハニカム構造材。
  4. 【請求項4】 パルプと無機質フィラを主材として抄造
    した難燃性シートを原紙とし、接着剤を使用して多数の
    柱状セルの集合体からなるハニカム構造に形成すると共
    に、前記原紙の表面に板状粒子からなるブルーサイトの
    分散液を塗布し、乾燥して前記ブルーサイトの被覆を形
    成してなることを特徴とする不燃性ハニカム構造材。
  5. 【請求項5】 前記板状粒子からなるブルーサイトの分
    散液に、更にバインダを添加したことを特徴とする請求
    項4に記載の不燃性ハニカム構造材。
  6. 【請求項6】 パルプと板状粒子からなるブルーサイト
    を主材として抄造した難燃性シートを原紙とし、接着剤
    を使用して多数の柱状セルの集合体からなるハニカム構
    造に形成すると共に、前記原紙の表面に水ガラスの水性
    液を塗布し、乾燥して無機質被覆を形成してなることを
    特徴とする不燃性ハニカム構造材。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005247235A (ja) * 2004-03-08 2005-09-15 Kawaju Gifu Engineering Kk 高速鉄道車両用騒音吸収パネル
US7297299B2 (en) * 2003-11-19 2007-11-20 Corning Incorporated Composition and method for making ceramic filters
JP2014214083A (ja) * 2013-04-30 2014-11-17 東南貿易株式会社 ブルーサイト由来の水酸化マグネシウムスラリーの製造方法

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