JPH08178842A - 二価アルコールの成分濃度の分析方法 - Google Patents

二価アルコールの成分濃度の分析方法

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JPH08178842A
JPH08178842A JP33737094A JP33737094A JPH08178842A JP H08178842 A JPH08178842 A JP H08178842A JP 33737094 A JP33737094 A JP 33737094A JP 33737094 A JP33737094 A JP 33737094A JP H08178842 A JPH08178842 A JP H08178842A
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dihydric alcohol
absorbance
wavelength
sample
concentration
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JP33737094A
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Seigo Yamazoe
誠吾 山添
Takeshi Shibuya
健 渋谷
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COSMO SOGO KENKYUSHO KK
Cosmo Oil Co Ltd
Original Assignee
COSMO SOGO KENKYUSHO KK
Cosmo Oil Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 分析に要する時間が時間が短く、オンライン
分析が可能な、二価アルコール、例えばエチレングリコ
ールの成分濃度の分析を方法を提供する。 【構成】 本発明方法は、組成物中の二価アルコールの
成分濃度を分析する方法であって、(1)二価アルコー
ルの成分濃度が異なる二価アルコールの成分濃度既知の
複数個の試料について、(a)近赤外分光分析計を使用
して、近赤外線領域の少なくとも1つの波長で近赤外吸
光度を測定し、(b)波長と吸光度測定値との関係を表
す数学的関数を求め、(c)上記数学的関数を個々の独
立した変数として多重回帰解析法及び部分最小二乗解析
法を含む統計学的処理のいずれかを行って、上記独立し
た変数に対する重み定数を決定して、近赤外分光分析計
をキャリブレーションするキャリブレーション方程式を
求め、(2)次いで、近赤外分光分析計を使用して、測
定試料について、上記工程(a)及び(b)を実施し、
更にキャリブレーション方程式に基づいて、測定試料の
二価アルコール成分濃度を算出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、二価アルコールの成分
濃度の分析方法、更に詳細には、フェノール類、二価ア
ルコール及びアルカリ土類金属酸化物又はアルカリ土類
金属水酸化物、更に、必要に応じて硫黄を反応させて得
られる反応生成物及び中間生成物中の二価アルコール、
例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ト
リメチレングリコール等の成分濃度を分析する方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】上述の反応生成物及び中間生成物中の二
価アルコール、例えばエチレングリコールの成分濃度を
分析することは、実際の生産現場においてそれら反応生
成物及び中間生成物の製造工程を管理する上で常時必要
になる。例えば、特開平3−26793号公報に記載の
過塩基性硫化アルカリ土類金属フェネート型清浄剤の製
造方法において、反応生成物及び中間生成物中のエチレ
ングリコールの成分濃度を測定することは、過塩基性硫
化アルカリ土類金属フェネート型清浄剤を製造する上で
極めて重要な位置を占めている。上掲公報の過塩基性硫
化アルカリ土類金属フェネート型清浄剤の製造方法は、
フェノール類、二価アルコール及びアルカリ土類金属酸
化物あるいは水酸化物に硫黄を加えたものを反応させて
フェノール類の金属付加と硫化を同時に行わせ(第1反
応)、次いで二硫化炭素処理を行う(第2反応)ことか
らなる過塩基性硫化アルカリ土類金属フェネート型清浄
剤の製法において、金属付加と硫化とを加圧・密閉の条
件下で行うことを特徴としている。以下、二価アルコー
ルの例として、エチレングリコールを例に挙げて説明す
る。
【0003】上述の清浄剤の製造工程において、エチレ
ングリコールの成分濃度の分析が、第1反応工程終了後
の中間生成物中のエチレングリコールの成分濃度を分析
するために必要である。即ち、第2反応工程は、第1反
応で得られた中間生成物を蒸留して、中間生成物中の生
成水の少なくとも一部又は生成水の全部及び未反応二価
アルコールの少なくとも一部を留去した後に行われる。
エチレングリコールの成分濃度の分析は、第1反応工程
で得られた中間生成物を蒸留する工程で、その蒸留残留
物中のエチレングリコールの成分濃度を測定することに
より、蒸留工程の進行状況を管理し、第2反応工程に移
行する時期を決定するために行われる。また、第2反応
工程で得られた反応生成物中のエチレングリコールの成
分濃度を測定することも必要である。
【0004】更に別の例として、特開昭64−2935
4号公報に開示されているヒドロキシアルキル安息香酸
及びアルキルフェノールのアルカリ土類金属塩硫化混合
物の製造方法を挙げ、エチレングリコールの成分濃度の
分析の必要性を説明する。この製造方法は、フェノール
類と、エチレングリコールと、及び、前記フェノール類
に対するグラム当量比が0.99以下のアルカリ土類金
属の酸化物若しくは水酸化物、又はそれらの混合物より
なる反応原料混合物とを反応させ、次いで水およびアル
カリ土類金属試薬1モル当たり0.6モル以下になるま
でエチレングリコールを留去して得られた蒸留残留物に
二酸化炭素を反応させ、得られた生成物にアルカリ土類
金属試薬1モル当たり0.1〜4モルの元素硫黄を反応
させることを特徴としている。この製造方法の場合で
も、蒸留工程の進行状況を管理するために、蒸留残留物
中の二価アルコール、即ちエチレングリコールの成分濃
度の分析が必要となる。
【0005】上述の製造プロセスにおいては、いずれも
蒸留残留物中のエチレングリコールの成分濃度が蒸留に
より一定になる蒸留の終点を迅速に確認する必要があ
る。さもなければ、次の反応工程において、高品質な生
成物、例えば、上掲の二つの方法では高品質な添加剤を
製造することはできない。この分野において特に商業的
運転者にとって最も厄介な問題の1つは蒸留残留物中の
エチレングリコールの成分濃度が何時実際的有用な濃度
に達したかを知ることであった。
【0006】ところで、従来、エチレングリコールの成
分濃度を分析する場合、ガスクロマトグラフ法を使用し
て来た。ガスクロマトグラフ法では、試料は、分離カラ
ムに注入され、溶離不活性ガス、例えば、ヘリウムによ
り運ばれて分離カラムの最終端に到達するまでの経過時
間、即ち、保持時間が、例えば、FID検出器、熱伝導
検出器またはその他の検出器により測定され、それに基
づいてエチレングリコールの成分濃度が算出される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、ガスクロマト
グラフ法は、分析に長い時間を要するために分析値のフ
ィードバックが遅くなるため、例えば、前述した過塩基
性硫化アルカリ土類金属フェネート型清浄剤の製造装置
の工程管理を行うために、ガスクロマトグラフ法をレス
ポンスの早いオンライン的分析方法として採用すること
は技術的に難しい。そこで、本発明の目的は、分析に要
する時間が時間が短く、オンライン分析が可能な、二価
アルコール、例えばエチレングリコールの成分濃度の分
析方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、種々の分析
法を試みた末に、近赤外分光分析法に着目し、その適用
について研究した。近赤外線(800nm〜2500n
m、または波数12500cm-1〜4000cm-1の光)を
物質に照射すると、その物質特有の吸収が特定波長にお
いて観察される。この吸収された近赤外線は、その物質
の分子の基準振動の倍音及び結合音であって、近赤外分
光分析法は、その特定波長の吸光度を測定し、所定のデ
ータ処理を施すことにより、その物質の成分濃度を算出
する方法である。近赤外分光分析法は、炭化水素混合物
中の成分組成および性状を測定する方法として、近年、
パラフィン、オレフィン、芳香族の組成分析或いはガソ
リンのオクタン価の測定が実験的に試みられている。
【0009】しかし、添加剤製造工程の中間体のような
複雑な組成混合物の成分分析、特にエチレングリコール
等の二価アルコールの成分濃度の分析について近赤外分
光分析法が試みられたことは未だ報告されていない。そ
れは、添加剤製造工程の中間体が種々多数の成分からな
る極めて複雑な混合物であって、エチレングリコールお
よびその他の混合物の組成比が試料毎に異なることか
ら、エチレングリコールの成分濃度を迅速に分析するこ
とが非常に困難であると考えられていたからである。
【0010】本発明者等は、近赤外分光分析法の適用に
ついて研究し、近赤外分光分析法が上述の中間生成物及
び反応生成物中のエチレングリコールの成分濃度の分析
に適用できることを以下のようにして実証した。先ず、
第1段階として、エチレングリコールの成分濃度が段階
的に減少するサンプル1からサンプル6の試料を用意し
た。試料は、いずれも前述の過塩基性硫化アルカリ土類
金属フェネート型清浄剤製造の第1反応工程で得た生成
中間体を単蒸留している蒸留釜の釜底残留物から得たも
ので時間の経過と共に組成が変化しており、従って、サ
ンプル1から6は、エチレングリコール成分濃度、溶剤
成分濃度、アルキルフェノール成分濃度及び粒子濃度が
相互に変化している。これに規定量のトルエンを加えて
攪拌し、更に遠心分離機にかけて粒子を除去し、試料と
して調製した。次いで800〜2500nmの波長領域
で光学密度(以下吸光度と略す。)を測定し、図1に示
すような結果を得た。図1は、横軸に近赤外線の波長
を、縦軸に吸光度を取って、吸光度対波長関係を示して
いる。
【0011】第2段階として、図1に示す吸光度対波長
関係について数学的関数を求めた。数学的関数の例とし
ては、図1に示した吸光度対波長関係自体、吸光度対波
長関係を波長で一次微分した一次微分値対波長の関数、
二次微分した二次微分値対波長の関数、更には高次の微
分値対波長の関数がある。図2は、エチレングリコール
の成分濃度が異なるサンプル1からサンプル6の6個の
試料の吸光度対波長関係を2nmの波長間隔で二次微分
した二次微分値対波長の関数関係を示すものであって、
拡大すると、試料のエチレングリコールの成分濃度の序
列(濃度の濃淡)が、試料の吸光度の二次微分の序列
(二次微分値の大小)に対応することが判る。
【0012】図3は、試料の一の吸光度の二次微分値対
波長の関数関係(太線)と、エチレングリコールの10
0%試料の吸光度の二次微分値対波長の関数関係(細
線)とを対比して同じ図面に重ねて示したグラフであ
る。図3からわかるように、グラフは、エチレングリコ
ール特有のCH2 の倍音及び3倍音、O−H倍音の吸収
について、サンプル試料と100%エチレングリコール
試料との間の相関が特定の波長域において存在すること
を示しており、その波長域は、エチレングリコールの成
分濃度を測定するために使用し得る特性波長であること
を示している。図2と図3から、800〜2500nm
の波長領域内の特性波長を使用することにより、試料中
のエチレングリコール成分を識別し、かつその成分濃度
を検出することができることが判る。
【0013】サンプル1から6のエチレングリコールの
成分濃度をガスクロマトグラフ法により測定し、更に、
横軸に波長、縦軸に相関係数を取った図4に、サンプル
1からサンプル6のエチレングリコールの成分濃度と吸
光度対波長関係の二次微分値との相関関係を示した。図
4は、相関係数が1.00又は−1.00に近い程、そ
の波長によるエチレングリコールの吸光度と試料の二次
微分吸光度が良く相関することを示すグラフであって、
多くの波長域で相関係数が1.00また−1.00に近
い値を示している。
【0014】これらの相関する波長域の中から、任意の
1784nm、1844nm、2312nmを中心とす
る3個の波長域を選定し、次に、各サンプルについて選
定した3個の波長域の吸光度対波長関係を求め、更に、
吸光度対波長関係を二次微分して得た二次微分関数の関
数値(二次微分値)を1784nm、1844nm、2
312nmの3個の波長についてそれぞれ求めた。3個
の波長域の二次微分関数を個々の独立した変数とするエ
チレングリコールの成分濃度のキャリブレーション方程
式について、各波長毎に求めた各試料の二次微分値と、
エチレングリコールの成分濃度のガスクロマトグラフ法
による分析値に基づいて、多重回帰解析法及び部分最小
二乗解析法を含む統計学的処理のいずれかを行って、キ
ャリブレーション方程式のオフセット定数及び独立した
変数に対する重み定数を決定し、近赤外分光分析計で測
定した吸光度に基づきエチレングリコールの成分濃度を
算出するキャリブレーション方程式を確立した。
【0015】次いで、改めて近赤外分光分析計により、
選定した3個の波長域の吸光度対波長関係をサンプル1
からサンプル6の試料について求め、更に、上述と同様
にして、選定した波長での吸光度対波長関係の二次微分
値を求めて、キャリブレーション方程式によりエチレン
グリコールの成分濃度を算出した。
【0016】図5は、多重回帰解析法による統計的処理
を行ってキャリブレーション方程式を求め、求めたキャ
リブレーション方程式により算出したサンプル1から6
のエチレングリコールの成分濃度の分析値と、ガスクロ
マトグラフ法によるサンプル1から6のエチレングリコ
ールの成分濃度の分析値と比較を示すものである。図5
から判るように、双方の分析法により得た分析値は、相
関係数0.9996で相関していて、多重回帰解析法に
より得たキャリブレーション方程式は、エチレングリコ
ールの濃度を測定するために使用し得ることが判る。従
って、相互に異なるエチレングリコール成分濃度が既知
の複数個の試料について特定波長域の吸光度対波長関係
を求め、エチレングリコール成分濃度と吸光度対波長関
係の特定波長での二次微分値から多重回帰解析法により
予めキャリブレーション方程式を求めておけば、以後の
測定の際には、予め作成してあるキャリブレーション方
程式から試料中のエチレングリコールの成分濃度を求め
ることができる。
【0017】多重回帰解析法に代えて部分最小二乗解析
法による統計学的処理を行うこともできる。図6は、部
分最小二乗法による統計的処理を行ってキャリブレーシ
ョン方程式を求め、求めたキャリブレーション方程式に
より算出したサンプル1から6のエチレングリコールの
成分濃度の分析値と、ガスクロマトグラフ法によるサン
プル1から6のエチレングリコールの成分濃度の分析値
と比較を示すものである。図6から判るように、双方の
分析法により得た分析値は、相関係数0.9996で相
関していて、部分最小二乗法により得たキャリブレーシ
ョン方程式は、エチレングリコールの濃度を測定するた
めに使用し得ることが判る。従って、相互に異なるエチ
レングリコール成分濃度が既知の複数個の試料について
特定波長域の吸光度対波長関係を求め、エチレングリコ
ール成分濃度と吸光度対波長関係の特定波長での二次微
分値から部分最小二乗法により予めキャリブレーション
方程式を求めておけば、以後の測定の際には、予め作成
してあるキャリブレーション方程式から試料中のエチレ
ングリコールの成分濃度を求めることができる。
【0018】以上の実験に基づき、本発明に係る二価ア
ルコールの成分濃度の分析方法は、フェノール類、二価
アルコール及びアルカリ土類金属酸化物又はアルカリ土
類金属水酸化物、更に必要に応じて硫黄を反応させて得
られる反応生成物及び中間生成物中の二価アルコールの
成分濃度を分析する方法において、 (1)相互に異なる、既知の二価アルコールの成分濃度
を有する複数個の基準試料の各々について、(a)近赤
外分光分析計を使用して、800〜2500nm帯域の
少なくとも1つの波長の吸光度を測定し、(b)吸光度
を独立変数とする二価アルコールの成分濃度の関数から
なるキャリブレーション方程式について、各試料の二価
アルコールの既知成分濃度と工程(a)で求めた各試料
の吸光度とに基づいて、多重回帰解析法及び部分最小二
乗解析法を含む統計学的処理のいずれかを行って、上記
キャリブレーション方程式のオフセット定数及び独立変
数に対する重み定数を決定して、近赤外分光分析計で測
定した吸光度に基づき二価アルコールの成分濃度を算出
するキャリブレーション方程式を確立し、 (2)次いで、近赤外分光分析計を使用して、測定試料
について上記工程(a)を実施し、更に吸光度測定値に
基づきキャリブレーション方程式に従って測定試料の二
価アルコール成分濃度を算出することを特徴としてい
る。
【0019】また、更に好適な本発明に係る二価アルコ
ールの成分濃度の分析方法は、フェノール類、二価アル
コール及びアルカリ土類金属酸化物又はアルカリ土類金
属水酸化物、更に必要に応じて硫黄を反応させて得られ
る反応生成物及び中間生成物中の二価アルコールの成分
濃度を分析する方法において、 (1)相互に異なる、既知の二価アルコールの成分濃度
を有する複数個の基準試料の各々について、(a)近赤
外分光分析計を使用して、800〜2500nm帯域の
少なくとも1つの波長領域で吸光度対波長関係を求め、
(b)各波長領域の吸光度対波長関係を波長により一次
微分した関数、二次微分した関数及び更に高次微分した
関数のうちのいずれかの関数を選定し、(c)各波長領
域で特定波長をそれぞれ選定し、(d)特定波長に対し
て、選定した関数の関数値を算出し、(e)工程(b)
で選定した関数を独立変数とする二価アルコールの成分
濃度の関数からなるキャリブレーション方程式につい
て、各試料の二価アルコールの既知成分濃度と工程
(d)で求めた各試料の関数値とに基づいて、多重回帰
解析法及び部分最小二乗解析法を含む統計学的処理のい
ずれかを行って、上記キャリブレーション方程式のオフ
セット定数及び独立変数に対する重み定数を決定して、
近赤外分光分析計で測定した吸光度に基づき二価アルコ
ールの成分濃度を算出するキャリブレーション方程式を
確立し、 (2)次いで、近赤外分光分析計を使用して、測定試料
について上記工程(a)及び(d)を実施し、更に得た
関数値に基づきキャリブレーション方程式に従って測定
試料の二価アルコール成分濃度を算出することを特徴と
している。
【0020】本発明方法は、二価アルコール、例えばエ
チレングリコールの広い範囲の成分濃度を有する試料の
分析に適用でき、測定下限のエチレングリコールの成分
濃度は約0.1%であり、上限は100%質量濃度であ
る。本発明方法において使用する近赤外分光分析計の仕
様は、特に限定は無く、市販品を使用できる。また、使
用する波長は、800〜2500nm帯域でエチレング
リコールの成分濃度の変化に対応して吸光度が最大限変
化するような波長又は波長域を使用する。測定精度の点
から、例えば、1784nm前後、1844nm前後、
2312nm前後の波長域を使用するのが好ましい。す
なわち、測定精度を向上させるために、測定波長領域に
おいて、単波長での相関式の相関係数の絶対値が最も大
きな波長域(例えば、1784nm前後)を先ず選定す
る。その後、相関係数を最も向上させる波長域(例えば
1844nm前後と2312nm前後)を順次選定して
行く。本発明において、キャリブレーション方程式を求
めるために用いるエチレングリコールの成分濃度既知の
複数個の基準試料は、分析精度の見地から言って、好ま
しくはエチレングリコールの成分濃度を測定する必要の
ある試料に近い組成であることが好ましい。また、エチ
レングリコールの成分濃度は、ガスクロマトグラフ法に
より求める。
【0021】本発明において、キャリブレーション方程
式は、次の式(1)で表される。 c=K0 +K1 *r1 +K2 *r2 +・・・・・+Kn *rn (1) ここでK0 :オフセット定数 Kn :波長λn における吸光度又は吸光度対波長関係の
数学的関数値に対する重み定数 rn :波長λn における吸光度又は吸光度対波長関係の
数学的関数値 C :成分濃度(質量%又は重量%) また、キャリブレーション方程式は、吸光度を変数とす
る関数よりも、吸光度対波長関係の数学的関数を変数と
する方が、外乱を除去できるので分析精度の見地から好
ましく、特に、吸光度波長関係の波長による一次微分ま
たは二次微分が最も好ましい。同様に、それ以上の高次
の微分も利用できるが、高次になるにつれてノイズを強
調する傾向があり、逆に傾向が悪くなる。本発明方法で
使用する多重回帰解析法及び部分最小二乗解析法を含む
統計学的処理は、いずれも既知の統計的手法であって、
特に本発明方法に特有のものではない。
【0022】測定試料の粘度が高いときには、適当な溶
剤、例えばトルエンで希釈して、粘度の低い測定試料を
調製するのが望ましい。また、試料に固体または準固体
粒子が懸濁している時には、予め遠心分離装置等の粒子
分離装置により粒子を分離した測定試料を調製するのが
望ましい。このようにして試料を調製することにより、
測定試料の粘度が下がり、その後の近赤外分光分析法に
よるエチレングリコール濃度定量の分析操作が簡単にな
り、分析精度を向上させることができる。特に、前述の
過塩基性硫化アルカリ土類金属フェネート型清浄剤の製
造工程において得られる反応生成物及び中間生成物は、
粘度が高く、それらが流動する温度は、約120°C 以
上である。従って、それらから得た測定試料を試料セル
に充填するには、試料を約140°C に加熱するか、ま
たは溶剤で希釈して取扱いを容易にすることが必要であ
る。生産現場でのオンライン分析或いは液浸プローブを
使用する場合は、加熱する方法の方が簡単であるが、実
験室で分析するには溶剤で希釈する方が容易である。溶
剤としては、トルエン、n−ヘキサン等の常用の溶剤を
使用することができる。また、試料を溶剤で希釈しない
で測定する場合は、近赤外分析計の反射型セルに加熱し
た試料を充填したり、又は製造工程のラインに直結して
測定試料を採取する。
【0023】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に
説明する。分析例1 近赤外分光分析計としてNIRSystems社製のモ
デルNIRS6500を用意し、予め、本発明方法に従
ってキャリブレーションした。使用する波長として17
84nm、1844nm、2312nmを選定し、キャ
リブレーション方程式は、 C=9.814−26.914r1 −25.055r2
+1.580r3 である。ここで、C :エチレングリコールwt% r1 :1784nmにおける吸光度の波長による二次微
分値 r2 :1844nmにおける吸光度の波長による二次微
分値 r3 :2312nmにおける吸光度の波長による二次微
分値 である。次いで、前述の製造方法により過塩基性硫化ア
ルカリ土類金属フェネート型清浄剤を製造する工程にお
いて、第1反応で得られた中間生成物を単蒸留して残存
エチレングリコール等の軽質留分を除去している単蒸留
釜の釜底残留物から試料1から6を採取した。試料は、
番号1から6の順番で蒸留時間が経過しており、従って
残存エチレングリコールが少なくなっている。採取した
各試料の5gを50mlのビーカーに採取し、10ml
のトルエンを添加して、試料を溶解し、全容が25ml
の測定試料1から6を調製した。試料に粒子を含む場合
は、遠心分離により、粒子を除去した。
【0024】キャリブレーションした近赤外分光分析計
により、調製された測定試料1から6について800〜
2500nmの吸光度対波長関係を求め、波長1784
nm、1844nm、2312nmでの二次微分値に基
づきキャリブレーション方程式に従って表1に示すよう
に測定試料中のエチレングリコールの成分濃度の分析値
(質量%)を得た。また、同じ測定試料についてガスク
ロマトグラフ法によりエチレングリコールの成分濃度を
測定し、その測定値を表1に併記した。
【表1】
【0025】分析例2 別のバッチの単蒸留残留油から得た試料を採取し、分析
例1と同様にして測定試料7から10を調製した。次い
で、測定試料中のエチレングリコールの成分濃度を本発
明方法及びガスクロマトグラフ法により測定し、表1に
示すような結果を得た。
【0026】分析例3 更に別のバッチの単蒸留残留油から試料を採取し、分析
例1と同様にして測定試料11から14を調製した。次
いで、測定試料中のエチレングリコールの成分濃度を本
発明方法及びガスクロマトグラフ法により測定し、表1
に示すような結果を得た。
【0027】分析例4 単蒸留釜の残留物から採取した試料を溶剤で希釈するこ
となく、そのまま測定試料として使用し、かつ加熱して
粘度を低下させたこと以外は、分析例1と同様にして測
定試料15から21を調製し、その測定試料についてエ
チレングリコールの成分濃度を測定し、表2に示すよう
な結果を得た。
【表2】
【0028】表1及び表2に示す結果から明らかなよう
に、測定試料1から14の分析結果は、ガスクロマトグ
ラフ法と相関係数0.996で相関し、分析精度も変動
係数5%以下であった。分析所要時間は約10分であ
り、ガスクロマトグラフ法に比べて著しく処理時間が短
縮された。よって、本発明方法は、フェノール類、エチ
レングリコール及びアルカリ土類金属酸化物又は水酸化
物、更に必要に応じて硫黄を反応させて得られる反応生
成物及び中間生成物中のエチレングリコールの成分濃度
を分析する方法として極めて有用であり、特に生産現場
でのリアルタイムのオンライン分析に適用できることが
実証されたと言える。
【0029】
【発明の効果】本発明方法によれば、本発明方法で特定
した手順により予めキャリブレーション方程式を確立し
た後、近赤外分光分析計を使用して、試料の近赤外線吸
光度を測定し、吸光度対波長関係に関して特定した数学
的関数の特定波長での関数値に基づきキャリブレーショ
ン方程式に従って試料中のエチレングリコールの成分濃
度を算出することにより、フェノール類、エチレングリ
コール及びアルカリ土類金属酸化物又は水酸化物、更に
必要に応じて硫黄を反応させて得られる反応生成物及び
中間生成物中のエチレングリコールの成分濃度を容易に
分析することができる。本発明方法を使用すれば、試料
中のエチレングリコールの成分濃度を正確にしかも短時
間で容易に分析できるので、生産現場におけるリアルタ
イムのオンライン分析に適用でき、これにより生産工程
を適切に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】エチレングリコールの成分濃度が異なる6個の
試料の近赤外線領域のスペクトルである。
【図2】図1にその近赤外線領域のスペクトルを示す6
個の試料の吸光度の波長による二次微分値対波長のグラ
フである。
【図3】図2に示す吸光度の波長による二次微分値対波
長のグラフの一とエチレングリコールの近赤外線領域で
の吸光度の二次微分値対波長のグラフとを示した図であ
る。
【図4】エチレングリコールの成分濃度をガスクロマト
グラフ法により測定した測定値と、吸光度の波長による
二次微分値対波長から求めたエチレングリコールの成分
濃度の測定値との相関関係を示すグラフである。
【図5】ガスクロマトグラフ法と近赤外分光分析法(多
重回帰解析法により統計的処理)とにより求めたエチレ
ングリコールの成分濃度の比較を示すグラフである。
【図6】ガスクロマトグラフ法と近赤外分光分析法(部
分最小二乗法解析法により統計的処理)とにより求めた
エチレングリコールの成分濃度の比較を示すグラフであ
る。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フェノール類、二価アルコール及びアル
    カリ土類金属酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物、更
    に必要に応じて硫黄を反応させて得られる反応生成物及
    び中間生成物中の二価アルコールの成分濃度を分析する
    方法において、 (1)相互に異なる、既知の二価アルコールの成分濃度
    を有する複数個の基準試料の各々について、(a)近赤
    外分光分析計を使用して、800〜2500nm帯域の
    少なくとも1つの波長の吸光度を測定し、(b)吸光度
    を独立変数とする二価アルコールの成分濃度の関数から
    なるキャリブレーション方程式について、各試料の二価
    アルコールの既知成分濃度と工程(a)で求めた各試料
    の吸光度とに基づいて、多重回帰解析法及び部分最小二
    乗解析法を含む統計学的処理のいずれかを行って、上記
    キャリブレーション方程式のオフセット定数及び独立変
    数に対する重み定数を決定して、近赤外分光分析計で測
    定した吸光度に基づき二価アルコールの成分濃度を算出
    するキャリブレーション方程式を確立し、 (2)次いで、近赤外分光分析計を使用して、測定試料
    について上記工程(a)を実施し、更に吸光度測定値に
    基づきキャリブレーション方程式に従って測定試料の二
    価アルコール成分濃度を算出することを特徴とする二価
    アルコールの成分濃度の分析方法。
  2. 【請求項2】 フェノール類、二価アルコール及びアル
    カリ土類金属酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物、更
    に必要に応じて硫黄を反応させて得られる反応生成物及
    び中間生成物中の二価アルコールの成分濃度を分析する
    方法において、 (1)相互に異なる、既知の二価アルコールの成分濃度
    を有する複数個の基準試料の各々について、(a)近赤
    外分光分析計を使用して、800〜2500nm帯域の
    少なくとも1つの波長領域で吸光度対波長関係を求め、
    (b)各波長領域の吸光度対波長関係を波長により一次
    微分した関数、二次微分した関数及び更に高次微分した
    関数のうちのいずれかの関数を選定し、(c)各波長領
    域で特定波長をそれぞれ選定し、(d)特定波長に対し
    て、選定した関数の関数値を算出し、(e)工程(b)
    で選定した関数を独立変数とする二価アルコールの成分
    濃度の関数からなるキャリブレーション方程式につい
    て、各試料の二価アルコールの既知成分濃度と工程
    (d)で求めた各試料の関数値とに基づいて、多重回帰
    解析法及び部分最小二乗解析法を含む統計学的処理のい
    ずれかを行って、上記キャリブレーション方程式のオフ
    セット定数及び独立変数に対する重み定数を決定して、
    近赤外分光分析計で測定した吸光度に基づき二価アルコ
    ールの成分濃度を算出するキャリブレーション方程式を
    確立し、 (2)次いで、近赤外分光分析計を使用して、測定試料
    について上記工程(a)及び(d)を実施し、更に得た
    関数値に基づきキャリブレーション方程式に従って測定
    試料の二価アルコール成分濃度を算出することを特徴と
    する二価アルコールの成分濃度の分析方法。
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