JPH08173552A - 温熱治療用アプリケータ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】放射線治療と温熱治療とを同時に行なうことが
できる温熱治療用アプリケータの提供を目的としてい
る。 【構成】高周波電流によって生体組織の患部７の温熱治
療を行なう温熱治療用アプリケータ２において、その内
部に放射線源１３を導入可能な管状部材５を挿通できる
挿通孔１２を少なくとも１つ設けたものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、癌等の患部を高周波電
流によって加温して治療する温熱治療用アプリケータに
関し、特に、温熱治療と放射線治療とを同時に行なうこ
とができる温熱治療用アプリケータに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、癌細胞等の患部が正常細胞に比較
して熱に弱いことを利用して、患部を高周波電流によっ
て加温することにより治療を行なう温熱治療が知られて
いる。このような従来の温熱治療では、例えば、生体の
目標とする患部部位を含む領域を対向する２つの電極で
挟み、高周波電源からの高周波電流を前記２つの電極間
に流すことによって患部の温熱治療を行なう温熱治療用
アプリケータが使用される。一方、別の癌治療として
は、放射性物質を使用し、放射線により癌細胞を破壊す
る放射線治療が知られている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、前記温熱治
療と前記放射線治療とを同時に施行することによって、
最も高い治療効果を得られることが、最近の研究におい
て明らかとなっている。しかし、従来では、放射線治療
と温熱治療とを同時に行なうことができる医療用装置が
なかったため、放射線治療と温熱治療とを別々に行なわ
なければならなかった。したがって、放射線治療と温熱
治療との間にどうしても時間差が生じてしまい、十分な
治療効果を得ることができないといった問題があった。

【０００４】本発明は上記事情に着目してなされたもの
であり、その目的とするところは、放射線治療と温熱治
療とを同時に行なうことができる温熱治療用アプリケー
タを提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段及び作用】上記課題を解決
するために、本発明は、高周波電流によって生体組織の
患部の温熱治療を行なう温熱治療用アプリケータにおい
て、その内部に放射線源を導入可能な管状部材を挿通で
きる挿通孔を少なくとも１つ設けたものである。上記構
成では、前記挿通孔に管状部材を挿通した状態で管状部
材内に放射線源を導入すれば、温熱治療と同時に放射線
治療を行なうことができる。

【０００６】

【実施例】以下、図面を参照しつつ本発明の実施例につ
いて説明する。図１ないし図３は本発明の第１の実施例
を示すものである。図１は、本実施例の温熱治療用アプ
リケータを備えた温熱治療装置の構成図を概略的に示し
た模式図である。

【０００７】図示する温熱治療装置は、体外に装着され
る体外アプリケータ１と、この体外アプリケータ１に比
べて小型で且つ患部（腫瘍部）７を確実に加温できる最
小限の大きさに形成された表在アプリケータ２とを１組
として構成される温熱治療用アプリケータを備えてい
る。体外アプリケータ１と表在アプリケータ２はそれぞ
れ、図示しない温熱治療装置内に設けられた高周波発振
器３と冷却水還流装置４とに接続されている。

【０００８】次に、図２を参照しつつ表在アプリケータ
２の構成について説明する。なお、図２の（ａ）は表在
アプリケータ２の側断面図、図２の（ｂ）は表在アプリ
ケータ２をバルーン１０側から見た図（図２の（ａ）の
Ａ方向から見た矢視図）である。

【０００９】図示のごとく、表在アプリケータ２は、肉
厚容器２２によってその本体が構成されている。肉厚容
器２２の内部には電極板８が設けられている。この電極
板８は、肉厚容器２２の側方を貫通する電極線９を介し
て、高周波発振器３に電気的に接続されている。

【００１０】また、電極板８による生体表面の熱傷を防
止するために、肉厚容器２２の表面には生体に密着する
可撓性のバルーン１０が設けられている。このバルーン
１０は、肉厚容器２２の側方を貫通する冷却水チューブ
１１を介して、冷却水還流装置４に接続されており、こ
れによって、冷却水還流装置４からの冷却水を冷却水チ
ューブ１１を介してバルーン１０の内部に供給するとと
もに、冷却水チューブ１１を介してバルーン１０内部の
冷却水を冷却水還流装置４に戻すいわゆる冷却水還流を
行なうことができるようになっている。

【００１１】また、バルーン１０の表面には温度センサ
ー５０が設けられている。この温度センサー５０は送信
ライン５１を介して例えば図示しない制御装置に接続さ
れており、前記制御装置は、温度センサー５０からの温
度情報に基づいて高周波発振器３及び冷却水還流装置４
の駆動を制御するようになっている。

【００１２】また、表在アプリケータ２には複数の貫通
孔１２…が設けられている。これらの貫通孔１２…は、
生体に刺入可能な管状の放射線治療用アプリケータ５を
挿入することができる大きさに形成されている。なお、
放射線治療用アプリケータ５は放射線治療装置６に接続
されている。

【００１３】上記構成の温熱治療用アプリケータを用い
て温熱治療を行なう場合は、まず、体外アプリケータ１
と表在アプリケータ２とを生体表面に密着固定する。こ
の場合、加温すべき腫瘍部７を体外アプリケータ１と表
在アプリケータ２とによって挟み込むように、アプリケ
ータ１，２同志を対向させた状態に配置する。特に、腫
瘍部７が生体表面に近い場合には、図３に示すように、
腫瘍部７の上部に表在アプリケータ２が配置される。こ
の場合、表在アプリケータ２は、そのバルーン１０が生
体表面に接触された状態で配置される。

【００１４】また、表在アプリケータ２の複数の貫通孔
１２…内にそれぞれ放射線治療用アプリケータ５…を挿
通し、放射線治療用アプリケータ５…の鋭利な尖端部を
腫瘍部７に刺入する。

【００１５】以上の準備が完了したら、高周波発振器３
を駆動させて、アプリケータ２の電極板８に高周波電流
を供給する。これによって、アプリケータ２の電極板８
とアプリケータ１の電極（図示しない）との間に高周波
電流が流れて、これらの電極間に挟みこまれた腫瘍部７
が加温される。また、この温熱治療時には、冷却水還流
装置４によってバルーン１０内に冷却水を還流させ、生
体表面が過度に加熱されることお防止する。そして、こ
の温熱治療の前後或いは温熱治療中に、適当なタイミン
グを見計らって、放射線治療装置６から放射線源１３を
放射線治療用アプリケータ５内に導入して、放射線治療
をも行なう。なお、図３は、放射線源１３が放射線治療
用アプリケータ５内に導入された状態を示している。

【００１６】このように、本実施例の温熱治療用アプリ
ケータは、放射線治療と温熱治療とを同時に行なうこと
ができるため、高い治療効果を得ることができる。ま
た、本実施例の温熱治療用アプリケータは、表在アプリ
ケータ２が体外アプリケータ１よりも小さくしかも腫瘍
部７を確実に加温できる最小限の大きさに形成されてい
るため、高周波発振器３から発振される高周波電流によ
って、他の正常な生体組織を加温することなく、腫瘍部
７のみを集中的に加温することができる。

【００１７】図４は、本発明の第２の実施例を示すもの
である。本実施例の表在アプリケータ２ａは、放射線治
療用アプリケータ５を挿入するための貫通孔１２…が側
方に斜めに設けられているものである。そして、貫通孔
１２…に対する放射線治療用アプリケータ５の挿入を妨
げないように、電極線９と冷却水チューブ１１（本実施
例では、冷却水チューブ１１が注入用と排出用の２本か
らなる。）は、表在アプリケータ２ａの生体に接触され
る側（バルーン１０側）とは反対側の部位に設けられて
いる。なお、それ以外の構成、すなわち体外アプリケー
タ１の構成及びその他の周辺機器の構成は、第１の実施
例と略同一である。

【００１８】このような構成の表在アプリケータ２ａを
使用すれば、放射線治療用アプリケータ５を腫瘍部７に
対して斜めに刺入できるため、第１の実施例と同じ数の
放射線源１３を用いた場合でも、より広い範囲で放射線
の照射を行なうことができる。

【００１９】また、放射線治療用アプリケータ５内にお
ける放射線源１３の位置を調整することにより、腫瘍部
７の周縁部で放射線治療を行なうこともできるため、加
温し残した部分を放射線治療で補なうことができ、より
確実な治療が可能となる。

【００２０】図５は、本発明の第３の実施例を示すもの
である。本実施例の表在アプリケータ２ｂは、カップ形
状の支持部材１４と、支持部材１４のカップ底面部に取
り付けられたアプリケータ本体２２ａと、アプリケータ
本体２２ａ内に設けられた電極板９と、アプリケータ本
体２２ａの表面に設けられたバルーン１０とから構成さ
れている。この場合、バルーン１０は支持部材１４の内
部で露出しており、支持部材１４によって腫瘍部７を覆
った際にバルーン１０が腫瘍部７に接触するようになっ
ているものである。また、この構成では、放射線治療用
アプリケータ５を挿通可能な貫通孔１２…が支持部材１
４の側方に穿設されている。なお、それ以外の構成、す
なわち体外アプリケータ１の構成及びその他の周辺機器
の構成は、第１の実施例と略同一である。

【００２１】このような構成の表在アプリケータ２ｂを
用いて生体表面から突出する腫瘍部７に温熱治療及び放
射線治療を施す場合は、カップ形状の支持部材１４を、
伏せた状態で、腫瘍部７が位置する生体表面に密着させ
る。つまり、生体表面から突出する腫瘍部７を支持部材
１４によって覆い、バルーン１０を腫瘍部７に密着させ
る。その後の治療手順は第１の実施例と同様である。

【００２２】このように、本実施例の表在アプリケータ
２ｂを使用すれば、***が大きい腫瘍部７に対しても放
射線治療と温熱治療とを同時に行なうことができる。図
６は、本発明の第４の実施例を示すものである。なお、
図６の（ａ）は本実施例の表在アプリケータ２ｃの側断
面図、図６の（ｂ）は表在アプリケータ２ｃをバルーン
１０側から見た図である。

【００２３】図示のように、本実施例の表在アプリケー
タ２ｃは、放射線治療アプリケータ５を挿入可能な貫通
孔１２…が表在用アプリケータ２の中央付近に集中して
設けられている。つまり、電極板８の大きさが、貫通孔
１２が集中している領域に比べて、遥かに大きくなって
いる。なお、それ以外の構成は、第１の実施例と同一で
ある。

【００２４】このような構成の表在アプリケータ２ｃを
用いて治療を行なう場合は、腫瘍部７の大きさに適合す
る放射線領域を有するアプリケータ２ｃを選択使用す
る。つまり、貫通孔１２…が集中している領域の大きさ
（放射線治療の範囲）が腫瘍部７の大きさと略同程度と
なる大きさのアプリケータ２ｃを使用する。この場合、
加温範囲１５は放射線治療範囲より遥かに大きくなる。

【００２５】このように、本実施例の表在アプリケータ
２ｃを使用すれば、腫瘍部７の全域に放射線を照射する
ことができるとともに、加温範囲１５が腫瘍部７の大き
さよりも遥かに大きくなるため、加温されにくい腫瘍部
７の周縁部に対しても十分な温熱治療を施すことができ
る。つまり、腫瘍部７の治療残りがなくなる。また、加
温範囲１５を大きくとっても正常組織に対する影響はな
いため、正常組織を損傷することなく腫瘍部７を確実に
治療することができる。

【００２６】図７は、本発明の第５の実施例を示すもの
である。本実施例は、上記各実施例の構成を、管腔臓
器、特に直腸部を加温する内腔アプリケータに適用した
ものである。

【００２７】図示のように、内腔アプリケータ１６は可
撓性の挿入部１８を有している。この挿入部１８の先端
側には電極１９が設けられており、この電極１９は挿入
部１８内に挿通された電極線を介して高周波発振器３
（図１参照）に電気的に接続されている。

【００２８】また、挿入部１８の先端側には電極１９を
囲周するバルーン２０が設けられている。挿入部１８内
には前記バルーン２０に対する冷却水の給排を行ないし
める冷却水給排孔（図示せず。）が設けられており、こ
の冷却水給排孔を冷却水還流装置４（図１参照）に接続
することによって冷却水還流装置４とバルーン２０との
間で冷却水還流を行なうことができるようになってい
る。

【００２９】挿入部１８の両側方には、挿入部１８を生
体管腔内に挿入した際に生体壁に当接し得る放射線治療
用アプリケータ支持部材１７が設けられている。この支
持部材１７には放射線治療用アプリケータ５を挿通可能
な貫通孔１２…が設けられている。

【００３０】このような構成の内腔アプリケータ１６を
用いて、直腸部に発生した腫瘍部７を治療する場合は、
まず、肛門４０から直腸部内に挿入部１８を挿入し、電
極１９を腫瘍部７の部位に位置させる。この状態で、冷
却水還流装置４からバルーン２０内に冷却水を供給し且
つこれを還流させてバルーン２０を膨らませ、バルーン
２０を腫瘍部７に押し付ける。これにより、電極１９に
よる生体の過熱が防止されるとともに、直腸内において
挿入部１８が位置決めされる。また、この時、支持部材
１７は肛門４０付近で生体壁に当接する。したがって、
この状態で、支持部材１７の貫通孔１２…内に放射線治
療用アプリケータ５…を挿通し、放射線治療用アプリケ
ータ５…の鋭利な尖端部を腫瘍部７に刺入する。なお、
その後の治療手順は第１の実施例と同様である。

【００３１】このように、本実施例の内腔アプリケータ
１６によれば、生体表面に近い管腔臓器に対して放射線
治療と温熱治療とを同時に行なうことができる。なお、
本実施例の内腔アプリケータ１６は、直腸のみならず、
例えば体腔など生体表面に近い管腔臓器に対しても適用
することができる。

【００３２】図８及び図９は、本発明の第６の実施例を
示すものである。図８に示すように、本実施例の温熱治
療用アプリケータ６０は、例えば柔軟なシリコンゴムに
よって形成されるシャフト６１ａと、このシャフト６１
ａより硬質のシリコンゴム等によって形成された電極フ
レーム６１ｂとによってアプリケータ本体６１が構成さ
れている。電極フレーム６１ｂ内には、銅板等で形成さ
れた加温用高周波電極６２が配設されている。

【００３３】電極フレーム６１ｂの内部にはルーメン６
３の先端部が配置されている。このルーメン６３の基端
側は、シャフト６１ａの内部に挿通されており、シャフ
ト６１ａの基端から突出されたルーメン６３の末端には
密封小線源遠隔操作装置７１に接続可能な線源コネクタ
６３ｂが設けられている。なお、この場合、ルーメン６
３は、フッ素樹脂等の摩擦抵抗の小さい材料によって形
成された線源チューブとして構成されている。

【００３４】電極フレーム６１ｂの片側面にはシリコン
ゴム等で形成された薄肉の膜状体６４が被覆されてい
る。この膜状体６４の表面上にはここに感応点を有する
複数の温度センサー６５ａ，６５ｂ…が設けられてい
る。

【００３５】また、シャフト６１ａの内部には、前記膜
状体６４の内部に精製水等の冷媒を供給・排出するため
の冷媒供給チューブ６６と冷媒排水チューブ６７とが挿
通されている。冷媒供給チューブ６６と冷媒排水チュー
ブ６７のそれぞれの末端には冷媒入口コネクタ６６ａと
冷媒出口コネクタ６７ａとが設けられている。さらに、
シャフト６１ａの内部には、加温用高周波電極６２にＲ
Ｆ電力を供給するためのＲＦ供給ライン６８と、温度セ
ンサー６５ａ，６５ｂ…からの信号を伝送するための信
号伝送ライン６９とが挿通され、これらのＲＦ供給ライ
ン６８と信号伝送ライン６９の各末端にはＲＦコネクタ
６８ａと温度センサーコネクタ６９ａとが設けられてい
る。

【００３６】図９は、図８の電極フレーム６１ｂの縦断
面図である。図９中、７３は密封小線源遠隔操作装置７
１（図８参照）によってルーメン６３の先端部内に導入
された密封小線源である。

【００３７】上記構成の温熱治療用アプリケータ６０
は、冷媒入口コネクタ６６ａ、冷媒出口コネクタ６７
ａ、ＲＦコネクタ６８ａ、温度センサーコネクタ６９ａ
のそれぞれを、ＲＦ供給源と冷媒供給源とその他各種の
駆動部とを有する図示しない加温治療装置本体に接続す
ることによって生体表面に適用されて使用される。使用
時、温熱治療用アプリケータ６０は、電極フレーム６１
ｂの膜状体６４の側すなわち図８に示すＡ面側が生体に
接触される。そして、加温治療用電極６２に対向する図
示しない電極を加温装置本体に接続することによって、
温熱治療可能状態となる。

【００３８】一方、密封小線源遠隔操作装置７１によっ
て小線源コネクタ６３ｂからルーメン６３の先端部内に
密封小線源７３を導入することにより、放射線治療を行
なうことができる。

【００３９】このように、本実施例によれば、表在性腫
瘍に対して、電磁波による温熱治療と小線源７３による
放射線照射療法とを同時に実施できるため、治療効果の
向上および治療時間の短縮、ひいては患者負担の低減を
図ることができる。

【００４０】図１０は、本発明の第７の実施例を示すも
のである。本実施例の温熱治療用アプリケータは、線源
チューブとしての複数のルーメン８１ａ〜８１ｃを有
し、これらのルーメン８１ａ〜８１ｃの先端部が互いに
平行に電極フレーム６１ｂ内に配置されている。

【００４１】各ルーメン８１ａ〜８１ｃの基端側はそれ
ぞれシャフト６１ａ内に挿通され、その各末端には密封
小線源遠隔操作装置７１（図８参照）に接続可能な線源
コネクタ８２ａ〜８２ｃが設けられている。また、中央
に位置するルーメン８１ｂの先端部内には温度センサー
８３の感応部が配置されている。なお、それ以外の構成
は、第６の実施例と同一である。

【００４２】したがって、本実施例の温熱治療用アプリ
ケータは、ルーメン８１ａ〜８１ｃの全てに密封小線源
７３を導入することができるため、より広範囲の領域に
対して放射線照射が可能となり、また、任意の線量分布
を形成することが可能となる。したがって、更なる治療
効果の向上を図ることが可能となる。

【００４３】なお、本実施例において、密封小線源７３
は、ルーメン８１ａ〜８１ｃの全てに導入されても、ま
た、選択的に一部のルーメンに導入されてもよい。広範
囲の領域に均等な線量分布を求める場合には、分布に空
隙が発生しないように、各ルーメン８１ａ〜８１ｃの配
列間隔を５〜１５mm程度とすることが望ましい。また、
本実施例においては、３つのルーメンが示されている
が、ルーメンの数はこれに限定されない。

【００４４】図１１は本発明の第８の実施例を示すもの
である。本実施例の温熱治療用アプリケータは、線源チ
ューブとしての複数のルーメン８１ａ〜８１ｃを有し、
これらのルーメン８１ａ〜８１ｃの先端部が互いに非平
行に電極フレーム６１内に配置されている。なお、それ
以外の構成は、第７の実施例と同一である。

【００４５】したがって、本実施例の温熱治療用アプリ
ケータは、小線源７３が電極フレーム６１ｂの根元付近
（シャフト６１ａ側）に複数配置された場合には高密度
の線量分布を、小線源７３が電極フレーム６１ｂの先端
付近に複数配置された場合には低密度の線量分布を形成
することが可能となり、また、その範囲において線量強
度を可変できる。このように、線量強度分布を任意に設
定できるため、更なる治療効果の向上を図ることが可能
となる。

【００４６】図１２は本発明の第９の実施例を示すもの
である。本実施例の温熱治療用アプリケータは、線源チ
ューブとしての２つのルーメン８６ａ，８６ｂを有し、
これらのルーメン８６ａ，８６ｂの先端部が互いに平行
に電極フレーム６１ｂ内に配置されている。また、電極
フレーム６１ｂの鉛直方向において前記ルーメン８６
ａ，８６ｂと重ならない位置に温度センサー８７が設置
されている。なお、それ以外の構成は、第７の実施例と
同一である。

【００４７】したがって、本実施例の温熱治療用アプリ
ケータは、ルーメン８６ａ，８６ｂ内に導入される小線
源７３と生体患部との間に温度センサー８７が存在しな
いため、小線源７３の放射線照射を妨げるものが少なく
なる。また、生体に対する線量強度分布をより均等に設
定できるため、治療効果の向上を図ることが可能とな
る。なお、密封小線源７３はルーメン８６ａ，８６ｂの
全てに導入されても、また、選択的に一部のルーメンに
導入されても良い。

【００４８】図１３は本発明の第１０の実施例を示すも
のである。本実施例の温熱治療用アプリケータは、線源
チューブとしての複数のルーメン８８ａ〜８８ｃを有
し、これらのルーメン８８ａ〜８８ｃの先端部が互いに
平行に電極フレーム６１ｂ内に配置されている。また、
電極フレーム６１ｂの鉛直方向において前記ルーメン８
８ａ〜８８ｃと重ならない位置に２つの温度センサー８
９ａ，８９ｂが設置されている。この場合、温度センサ
ーの一方８９ａが電極フレーム６１ｂの先端まで延びて
この部位の温度を感知するとともに、他方の温度センサ
ー８９ｂが電極フレーム６１ｂの根元側温度を感知でき
るような長さとなっている。なお、それ以外の構成は、
第７の実施例と同一である。なお、小線源７３と生体患
部との間に温度センサー８９ａ，８９ｂを介在させなけ
れば、各ルーメン８８ａ〜８８ｃは電極フレーム６１ｂ
内において非平行に配置されていても良い。

【００４９】図１４は本発明の第１１の実施例を示すも
のである。本実施例は、第１の実施例の構成を***用に
適用したものである。図示のように、腫瘍部７が***７
０の比較的深部に有る場合、２つの表在アプリケータ２
ｄ，２ｄによって***を挟み込むように加温する。放射
線治療用アプリケータを挿入可能な挿入孔１２ａ…がそ
れぞれのアプリケータ２ｄ，２ｄに設けてある。なお、
それ以外の構成は第１の実施例と同一である。

【００５０】このような構成によれば、放射線治療用ア
プリケータ５（図１参照）を生体に刺入することなく、
***７０の深部の腫瘍部７に対して放射線治療と温熱治
療とを同時に行なうことができる。

【００５１】図１５は本発明の第１２の実施例を示すも
のである。本実施例では、表在アプリケータ２ｄとこの
表在アプリケータ２ｄより大きな電極面積を持つ体外ア
プリケータ２１とを対向させて使用する。体外アプリケ
ータ２１は、***用であるため、第１の実施例の体外ア
プリケータ１よりも小さい面積となる。なお、放射線治
療用アプリケータ挿入孔１２ａ…は表在アプリケータ２
ｄのみに設けられている。

【００５２】本実施例は、腫瘍部７が***７０の表面に
近い場合に適応される。すなわち、第１の実施例と同
様、小さい面積の表在アプリケータ２ｄが接触している
生体部分のみが集中的に加温される。他の正常組織を過
度に加温したり照射線被曝を生じさせることなく、***
７０の表面に近い部分の腫瘍部７に対して効果的に温熱
治療と放射線治療とを同時に行なうことができる。

【００５３】図１６は本発明の第１３の実施例を示すも
のである。本実施例では、２個の表在アプリケータが絶
縁層２２を間に介して一体のリング形となっている。電
極板は絶縁層２２により電極板２３と電極板２４の二つ
で構成され、それぞれ高周波発振器３に接続されてい
る。バルーン１０は一体構成でリング状アプリケータの
最内側を覆っている。バルーン１０には冷却水チューブ
２５，２６が接続され、それぞれ冷却水の給排水を行な
っている。冷却水チューブ２５，２６の他端は冷却水還
流装置４（図１参照）に接続されている。放射線治療用
アプリケータ挿入孔１２…は、表在アプリケータの外周
に沿って設けられている。なお、それ以外の構成につい
ては、第１の実施例と同一の符号を付してその説明を省
略する。

【００５４】このような構成によれば、***７０の全体
に対して加温及び放射線照射を行なうことができるた
め、***７０の全体に腫瘍部７が存在する場合において
も、温熱治療と放射線治療とを効率的且つ同時に実施で
きる。

【００５５】なお、以上説明してきた態様により、以下
の項で示す各種の構成が得られる。 １．高周波電流によって生体組織の患部の温熱治療を行
なう温熱治療用アプリケータにおいて、その内部に放射
線源を導入可能な管状部材を挿通できる挿通孔を少なく
とも１つ備えていることを特徴とする温熱治療用アプリ
ケータ。

【００５６】２．使用時に体外に位置するアプリケータ
の部材に、放射線源用管状部材の位置決め手段として挿
通孔があることを特徴とする第１項に記載の温熱治療用
アプリケータ。

【００５７】３．高周波電流によって生体組織の患部の
温熱治療を行なう温熱治療用アプリケータにおいて、そ
の内部に放射線源を導入可能な管状部材を挿通できる挿
通孔を少なくとも１つ備えていることを特徴とする表在
用温熱治療用アプリケータ。

【００５８】４．可撓性部材からなる肉厚容器の内部に
変形容易な電極体が包含されており、生体に接する部分
が可撓性材料からなる袋状体で構成され、前記袋状体の
表面に温度センサーが設けられ、冷却水の給水路と排水
路とを設けて袋状体内部に冷却水を還流するとともに袋
状体を生体に確実に密着させることによって生体に対す
る過度の加熱を防止し、放射線治療用アプリケータであ
る前記管状部材を挿通する挿通孔が貫通しており、前記
管状部材を前記挿通孔に挿通してこれを腫瘍部に穿刺
し、生体表面に対向して配置される対向アプリケータの
電極と前記電極体との間に高周波電流を流すことによっ
て患部（腫瘍部）を加温し、同時に前記管状部材内に導
入された放射線源によって放射線を照射し、温熱治療と
放射線治療とを同時に行なうことを特徴とする第１項な
いし第３項のいずれか１項に記載の温熱治療用アプリケ
ータ。

【００５９】この第４項の構成によれば、アプリケータ
を交換することなしに、温熱治療の外部加温と同時に放
射線治療の組織内照射を行なうことができる。 ５．前記対向アプリケータよりも小型に形成されている
ことを特徴とする第４項に記載の温熱治療用アプリケー
タ。

【００６０】６．前記管状部材を側方から挿入できるよ
うにしたことを特徴とする第１項ないし第４項のいずれ
か１項に記載の温熱治療用アプリケータ。 ７．***した腫瘍部を包み込むようなカップ状に形成さ
れていることを特徴とする第１項ないし第４項のいずれ
か１項に記載の温熱治療用アプリケータ。

【００６１】８．前記管状部材を挿通可能な前記挿通孔
が中央部付近に集中して設けられていることを特徴とす
る第１項ないし第４項のいずれか１項に記載の温熱治療
用アプリケータ。

【００６２】９．可撓性の挿入部を有し、この挿入部に
電極が設けられ、この電極を囲周するように可撓性の袋
状体が設けられ、袋状体表面に温度センサーが設けら
れ、冷却水の給水路と排水路とを設けて袋状体内部に冷
却水を還流するとともに袋状体を生体に確実に密着させ
ることによって生体に対する過度の加熱を防止し、放射
線治療用アプリケータである前記管状部材を挿通する挿
通孔が貫通しており、前記管状部材を前記挿通孔に挿通
してこれを腫瘍部に穿刺し、生体表面に対向して配置さ
れる対向アプリケータの電極と前記電極体との間に高周
波電流を流すことによって患部（腫瘍部）を加温し、同
時に前記管状部材内に導入された放射線源によって放射
線を照射し、温熱治療と放射線治療とを同時に行なうこ
とを特徴とする第１項または第２項に記載の温熱治療用
アプリケータ。

【００６３】この第９項の構成によれば、アプリケータ
を交換することなしに、温熱治療の腔内加温と同時に放
射線治療の組織内照射を行なうことができる。アプリケ
ータの表面には温熱治療装置内の冷却水還流装置により
冷却水が還流されるため、生体表面が過度に加熱される
ことなく腫瘍深部まで確実に加温される。腔内アプリケ
ータは生体管腔臓器に挿入され、放射線治療用アプリケ
ータ挿入孔を通して放射線治療用アプリケータが挿入さ
れて腫瘍部に刺入されており、放射線治療装置により放
射線治療用アプリケータに挿入された放射線源によって
放射線治療も施される。なお、放射線治療は温熱治療と
同時に行なうことは勿論、温熱治療前後のいずれにおい
ても行なうことができる。

【００６４】１０．前記管状部材を前記挿入部に沿って
挿入できるように、前記挿通孔が管状部材に連設された
管状部材支持部に設けられていることを特徴とする第９
項に記載の温熱治療用アプリケータ。

【００６５】１１．可撓性部材からなる肉厚容器の内部
に変形容易な電極体が包含されており、生体に接する部
分が可撓性材料からなる袋状体で構成され、前記袋状体
の表面に温度センサーが設けられ、冷却水の給水路と排
水路とを設けて袋状体内部に冷却水を還流するとともに
袋状体を生体に確実に密着させることによって生体に対
する過度の加熱を防止し、放射線治療用アプリケータで
ある前記管状部材を挿通する挿通孔が前記肉厚容器の内
部に包含され、前記管状部材を前記挿通孔に挿通してこ
れを腫瘍部に穿刺し、生体表面に対向して配置される対
向アプリケータの電極と前記電極体との間に高周波電流
を流すことによって患部（腫瘍部）を加温し、同時に前
記管状部材内に導入された放射線源によって放射線を照
射し、温熱治療と放射線治療とを同時に行なうことを特
徴とする第１項ないし第３項のいずれか１項に記載の温
熱治療用アプリケータ。

【００６６】この第１１項の構成によれば、アプリケー
タを交換することなしに、温熱治療の外部加温と同時に
放射線治療の外部照射を行なうことができる。表在アプ
リケータが体外アプリケータより小さければ、他の生体
組織が加温されることなく、腫瘍部は、高周波発振器か
ら発振される高周波電流により、集中的に加温される。
アプリケータの表面には温熱治療装置内の冷却水還流装
置により冷却水が還流されるため、生体表面が過度に加
熱されることなく、腫瘍深部まで確実に加温される。こ
のとき、表在アプリケータには放射線治療用アプリケー
タが挿入されており、腫瘍部に外部から放射線が照射で
きる。放射線治療装置により放射線治療用アプリケータ
に挿入された放射線源によって放射線治療も施される。
放射線治療は温熱治療と同時に行なうことは勿論、温熱
治療前後のいずれにおいても行なうことができる。

【００６７】１２．前記挿通孔が複数個設けられている
ことを特徴とする第１項ないし第３項または第１１項の
いずれか１項に記載の温熱治療用アプリケータ。 １３．前記複数の挿通孔を互いに平行に設け、複数の管
状部材を互いに平行に挿入できるようにしたことを特徴
とする第１項ないし第３項または第１２項のいずれか１
項に記載の温熱治療用アプリケータ。

【００６８】１４．前記複数の挿通孔を互いに非平行に
設け、複数の管状部材を互いに非平行に挿入できるよう
にしたことを特徴とする第１項ないし第３項または第１
２項のいずれか１項に記載の温熱治療用アプリケータ。

【００６９】１５．前記複数の挿通孔が全て同じ長さに
形成されていることを特徴とする第１項ないし第３項ま
たは第１２項のいずれか１項に記載の温熱治療用アプリ
ケータ。

【００７０】１６．前記対向アプリケータとともに***
を挟み込んで、***深部の腫瘍部に対して温熱治療と放
射線治療とを同時に行なうことができることを特徴とす
る第１１項に記載の温熱治療用アプリケータ。

【００７１】１７．前記対向アプリケータよりも小型に
形成されていることを特徴とする第１６項に記載の温熱
治療用アプリケータ。 １８．対向アプリケータと一体に形成されるとともに対
向アプリケータとの間に絶縁層を介在させることによっ
てリング形を形成し、このリング形状によって***を囲
周するように装着されることを特徴とする第１１項に記
載の温熱治療用アプリケータ。

【００７２】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の温熱治療
用アプリケータによれば、温熱治療と同時に放射線治療
を行なうことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施例に係る温熱治療用アプリ
ケータを備えた温熱治療装置の全体構成を示す概略図で
ある。

【図２】（ａ）は本発明の第１の実施例に係る温熱治療
用アプリケータの側断面図、（ｂ）は（ａ）のＡ方向矢
視図である。

【図３】図１の温熱治療装置を用いて温熱治療と放射線
治療とを同時に行なう様子を示す図である。

【図４】本発明の第２の実施例に係る温熱治療用アプリ
ケータの側断面図である。

【図５】本発明の第３の実施例に係る温熱治療用アプリ
ケータの側断面図である。

【図６】（ａ）は本発明の第４の実施例に係る温熱治療
用アプリケータの側断面図、（ｂ）は（ａ）をバルーン
側から見た図である。

【図７】本発明の第５の実施例に係る温熱治療用アプリ
ケータの要部構成図である。

【図８】本発明の第６の実施例に係る温熱治療用アプリ
ケータの斜視図である。

【図９】図８の温熱治療用アプリケータの要部構成図で
ある。

【図１０】本発明の第７の実施例に係る温熱治療用アプ
リケータの全体構成図である。

【図１１】本発明の第８の実施例に係る温熱治療用アプ
リケータの要部構成図である。

【図１２】本発明の第９の実施例に係る温熱治療用アプ
リケータの要部構成図である。

【図１３】本発明の第１０の実施例に係る温熱治療用ア
プリケータの要部構成図である。

【図１４】本発明の第１１の実施例に係る温熱治療用ア
プリケータを備えた治療装置の概略構成図である。

【図１５】本発明の第１２の実施例に係る温熱治療用ア
プリケータの要部構成図である。

【図１６】本発明の第１３の実施例に係る温熱治療用ア
プリケータの要部構成図である。

【符号の説明】

１，２，２ａ，２ｂ，２ｃ，２ｄ…アプリケータ、１２
…貫通孔（挿通孔）。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 高周波電流によって生体組織の患部の温
   熱治療を行なう温熱治療用アプリケータにおいて、その
   内部に放射線源を導入可能な管状部材を挿通できる挿通
   孔を少なくとも１つ備えていることを特徴とする温熱治
   療用アプリケータ。